(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パターンにおいて変更される前記基本層が、半導体材料から構成され、この基本層の変更が、ドープ工程を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
パターンにおいて変更される前記基本層が、半導体材料から構成され、この基本層の変更が、合金元素を導入する工程を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
パターンにおいて変更される前記基本層が、半導体材料又は金属から構成され、この基本層の変更が、この基本層の材料の結晶相を変化させる工程を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
省略形「SOI」は、「シリコンオンインシュレータ」を表す。SOIは、絶縁体上に半導体材料を含むより大きな製造物の群からなる(現実に大きな重要性がある)特有のケースである。セミコンダクターオンインシュレータタイプの基板は、したがって、それ自体が基板上に置かれている絶縁体上への薄い半導体膜の積層体からなる。それらは、電気的絶縁性及び耐放射線性の当初の特性の結果、バルク半導体基板に対する代替として現れている。
【0003】
ここで状況を考慮すると、SOIは、シリコンオンインシュレータを、拡張すればセミコンダクターオンインシュレータを、同様に意味することができる。
【0004】
将来の産業化の観点で現在検討されているSOI構造体は、以下の基板を含む:
静電制御性を最適化する極薄絶縁体(最大で約10ナノメートル厚)を有する基板、
排熱を改善する又は電荷トラップを可能とする、いわゆる「特殊」絶縁基板(例えば、通常のバルクシリカの代わりに、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、又は、そのような層の積層体等)、
不均一系の一体化の制約に対する最良の応答性を提示するために、絶縁体の厚みが均一でない基板。
【0005】
現在、これらの特有の基板は、2つの基板を互いに分子接着した後、例えば、グラインドによってそれらのうちの一方を薄化する(これらのプロセスは、BSOI(貼り合わせSOI)、BESOI(貼り合わせ及びエッチバックSOI)、及び、Eltran(エピタキシャル層転写)を含む)ことによって製造(及び販売)され得る。これらのプロセスは、1つのみを製造するために2つの基板を消費するという欠点を有する(基板のうちの一方は、大部分が薄化工程中に消費される)。
【0006】
これに並行して、Smart Cut(TM)プロセスは、材料の質と同様にコストの理由で現在優れている(50nmを超える厚みを有する絶縁体としてシリカを使用して)標準的なSOI基板を製造するためのプロセスである。要約すれば、このSmart Cut(TM)プロセスは、例えば、絶縁体を形成する酸化物層が表面に形成されており、絶縁体層が形成された表面上に第2の基板を接着した基板における所与の深さに所与の種を注入することに本質がある。この接着は、大抵は分子接着であり、有利には硬化熱処理が後に続く。そして、上述した第1の基板の薄層が接着されて絶縁体層と密着した基板(上述した第2の基板)が得られるように、注入された層の高さに、実際には熱処理によって少なくとも一部に、破壊部が形成される。
【0007】
しかしながら、様々な知られているアプローチは、様々な制限を有する。
【0008】
このように、Smart Cut(TM)プロセスは、SOI基板をドナー基板の残余から切り離すのに必要である破壊工程を含み、この工程は、他のプロセス(BSOI、BESOI、Eltran等)には存在しておらず、この追加の工程が、最終SOI構造体の一部を形成する膜を除いて薄化が基板の一方の全部を消費する他のプロセスとは異なり、ドナー基板の残余の再利用を可能とするのは事実である。しかしながら、このSmart Cut(TM)プロセスの特有の工程は、例えば、ある薄い絶縁体の場合に、接着工程において水分が捕捉される場合等、特定の予防措置が採られない場合には、特有の欠陥を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実際には、SOI基板の絶縁体は、基板にわたって厚み変化を有することがあり、最終製造物は、通常、(特に絶縁体が関係している場合に)特有の特性が様々なパターンの特有の将来の役割に依存するこれらのパターンを含むことができる。現在、絶縁体が均一な厚みから構成されていない基板の製造は、後にそれが用いられる際の用途によって決められる。すなわち、様々なパターンの絶縁体間の差異は、最終製造物によって決められるスキームにしたがって、基板の製造中に引き起こされる。この特異性は、(基板自体の製造段階から)基板の多用途性を制限し、(目的とする用途を除いてはもはや利用できず、実際には、それらの事前の目的とする使用を知ることなしでは、基板の製造を阻害し)、また、基板の製造段階において、(通常は集積回路の製造のために予定されている)フォトリソグラフィ及びエッチング工程を導入し、これらの工程を実施するのを可能とするために、ハードウェア及び技術的ノウハウにおけるそれらの投資が増加することを基板製造業者に強いる。さらに、基板のユーザは、それらの基板の供給業者とそれらの製造物の使用に関する情報を共有しなければならず、それらの供給業者から注文された基板の用途に関して機密性を危うくする可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、形成されるべき構造体の特有の特徴が、(特に、目的とするパターンからなる絶縁体の導電率及び/又は熱伝導率が関係している場合)均一な基板の製造工程後にのみ考慮されるような異なるパターンを有するセミコンダクターオンインシュレータタイプの微細電子構造体の製造である。ここでの「均一」は、少なくとも2つの異なるパターンの規模において均一であることを意味することに留意すべきである。したがって、均一性は、複数のパターンの規模において、又は、基板の一部の規模若しくは基板の全体の規模においてさえも有効であり得る。
【0012】
付随する方法において、本発明はまた、この初期の製造が、絶縁体の選択に関しては制約なしで、Smart Cut(TM)プロセス等のプロセスを適用して実施可能であるべきであるという目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、異なるパターンを有するセミコンダクターオンインシュレータタイプの微細構造体の製造方法であって:
基板を形成する板材と、この基板と密着している連続的な絶縁層と、この絶縁層によって基板から離隔されておりこの絶縁層と密着している半導体層とを含むセミコンダクターオンインシュレータタイプの積層された均一な構造体が形成される工程であって、この連続的な絶縁層は、最下基本層と、少なくとも1つの中間基本層と、半導体層と密着している最上基本層とを含む少なくとも3つの基本層の積層体から形成されており、最下基本層及び最上基本層のうち少なくとも1つは、(電気的に)絶縁材料からなる、前記均一な構造体が形成される工程と、
この積層された均一な構造体内に、複数の少なくとも2つのパターンが形成される工程であって、この基本層が、これらの2つのパターン間において物理的又は化学的性質の有意差を有するように、これらのパターンのうちの1つにおいてこれらの基本層のうちの1つを変更することによって該パターンが区別される、前記複数の少なくとも2つのパターンが形成される工程とを含み、
絶縁材料からなる最下及び最上基本層のうち少なくとも1つは、これらの2つのパターンにおいて変化しないままとされる、製造方法を提案する。
【0014】
したがって、積層された均一な中間構造体が使用されることから、2つの工程、すなわち、(製造業者によってもたらされた)積層された均一な構造体を製造する工程と、(エンドユーザによってもたらされ得る)変更して特殊化又はカスタマイズする工程とが区別され得ることは明らかである。これは、製造及び保管に関してコスト減を実現する。
【0015】
この第1の工程の後、パターンは、基本層を変化させることによって自由に区別され得る。この層の変化、構成、変更、又は、調整という用語は、他の材料による除去又は置換を含み、この層の物理的及び/又は化学的性質の局所的な変更を修飾するために同義で使用されるであろう。
【0016】
最後に、この積層された均一な構造体が、一方が基板と密着し且つ他方が半導体層と密着している少なくとも2つの層の積層体から形成された絶縁層を含むことを考えると、異なる材料が、特に最上基本層と半導体層との間及び最下基本層と基板との間における良好な接着を可能とするように、これらの2つの層について選択され得る。少なくとも1つが絶縁体である最下及び最上基本層の材料の選択はまた、例えば、ウェットエッチング作業と関連して特殊化時に行われる工程に応じて行われ得る。
【0017】
最下及び最上基本層は、有利には、双方とも絶縁材料から構成され、これは、双方の層について同一の絶縁材料又は異なる材料であり得る。
【0018】
有利には、中間基本層が変更される。
【0019】
最終構造体のパターンを区別するように1つの基本層のみが変更されるのが好ましいが、代わりに、変更が複数の基本層に影響を及ぼし得ることに留意すべきである。
【0020】
積層された均一な構造体は、有利には:
半導体材料からなる第1の基板が用意される工程と、
第2の基板が用意される工程と、
第1及び/又は第2の基板上に前記積層体からなる基本層が形成される工程と、
最上基本層が第1の基板と密着し且つ最下基本層が第2の基板と密着して積層体が2つの基板間にあるように、第1の基板及び第2の基板が互いに接着、有利には分子接着される工程と、
前記積層体に付着される前記半導体層を形成するように第1の半導体基板が薄化される工程とによって形成される。
【0021】
この薄化は、事前に形成された、有利には接着工程前に形成された、例えば、1つ以上のガス種の注入によって形成された多孔質領域又は脆弱領域である基板の脆弱な埋め込み領域の高さにおける機械化学薄化又は破壊の結果であり得る。
【0022】
これは、材料の選択、特に積層体の材料の選択における大きな自由度を維持しながら、半導体層を形成するためのSmart Cut(TM)プロセス等、薄層を形成するための方法の効果を得る。
【0023】
組み合わせて適用可能な本発明の方法の他の有利な特徴によれば:
パターンにおいて変更される前記基本層は、半導体材料から構成され、前記パターンのこの基本層の変更は、(例えば、イオン照射及び熱活性化によって)導電率特性の変更を促進するドープ工程を含む。
パターンにおいて変更される前記基本層は、半導体材料から構成され、前記パターンのこの基本層の変更は、合金元素(照射によって又は拡散によって得られることもできる)を導入する工程を含み、合金元素の導入は、当初材料及び合金元素のそれぞれの特性(例えば、導電率及び/又は熱伝導率)の選択によって、このように形成されて変更される(積層体によって形成された)絶縁体の全層の特性の調整を可能とする。
パターンにおいて変更される前記基本層は、半導体材料又は金属から構成され、前記パターンのこの基本層の変更は、例えば、レーザを用いた局所的な加熱等によってこの基本層の材料の結晶相を(材料の様々な相に)変化させる工程を含む(例えば、炭素の場合、結晶体であるかアモルファスであるか否かに応じて異なる電気又は熱特性に対応することができる)。
パターンの基本層の前記変更は、前記基本層を局所的に除去する工程をさらに含み、好ましくは基本層の局所的な除去によって残された空間を新たな材料で満たす工程が後に続き、マイクロエレクトロニクスの分野が提供している標準プロセスの使用のおかげで、基本層の位置に応じて完全に異なる材料から構成される基本層を形成するのを可能とする。
【0024】
勿論、様々なタイプの変更が同一の構造体内で組み合わせ可能である。これらの変更は、好ましくは、積層された構造体の同一の基本層に関係するが、本発明は、変更が複数の基本層に影響を及ぼす全てのケースに一般的である(パターンあたり1つの変更のみ、又は、あるパターンの範囲内で2つ以上の変更があり得る)。
【0025】
上述した方法によって得られる構造体は、支持基板上に、基板と密着している絶縁領域と、この絶縁領域によって基板から離隔された半導体領域とをそれぞれ含む複数のパターンを含む積層されたセミコンダクターオンインシュレータタイプの構造体であって、複数の少なくとも2つの前記パターンのうちの絶縁領域が、基板と密着し且つ第1の材料から形成されている最下基本層と、少なくとも1つの中間基本層と、第2の材料から形成されている半導体層と密着している最上基本層とを含む少なくとも3つの基本層の積層体からそれぞれ形成されており、第1及び/又は第2の材料が絶縁材料であり、前記2つのパターンのうちの絶縁領域の2つの基本層が、それぞれ、物理的又は化学的性質の有意差を有するこれらの2つのパターンの構成積層体において同一平面を占有し、前記絶縁材料が、前記2つのパターンのうちの絶縁領域において同一であることを特徴とする、構造体であるという事実によって認められ得る。
【0026】
そのような積層された構造体が、異なるパターン、すなわち、それらの基本層のうちの1つの組成においてのみ主として異なるものの、異なる特性を有するパターンを形成することは明らかであり、本方法に関する上述した効果は、特にこれから生じる。
【0027】
組み合わせて適用可能な本発明のこの構造体の有利な特徴によれば(実際には、本方法に関して上述したものと一致する):
絶縁領域からなる前記基本層間の差異は、導電率及び/又は熱伝導率の差異から生じる。
前記2つのパターンの絶縁領域からなる前記基本層は、それぞれ、半導体材料又は金属と、絶縁材料又は空隙とから形成されている。
前記2つのパターンの絶縁領域からなる前記基本層は、それぞれ、第1の材料と、ドープされた後の同一の材料とから形成されており、この第1の材料は、有利には、電気抵抗である。
前記2つのパターンの絶縁領域からなる前記基本層は、それぞれ、第1の材料と、空隙とから形成されている。
前記2つのパターンの絶縁領域からなる前記基本層は、それぞれ、第1の材料と、第1の材料と他の元素との合金から構成された他の材料とから形成されており、第1の材料は、有利には、抵抗材料であり、前記他の元素は、有利には、金属元素である。
前記2つのパターンの絶縁領域からなる前記基本層は、それぞれ、2つの異なる結晶相を有する同一材料から形成されている。
【0028】
前記から、本発明の1つの態様は、特に最下及び最上基本層が双方とも絶縁材料からなる場合に、上述した方法が先に定義された構造体に到達するように使用する、積層された均一な中間構造体に関する、ということになる。
【0029】
本発明のこの態様は、基板を形成する板材と、この基板と密着している連続的な絶縁層と、基板から離隔されることによってこの絶縁層と密着している半導体層とを含む積層された均一な構造体であって、この連続的な絶縁層は、基板を形成する板材と密着している第1の絶縁材料からなる最下基本層と、少なくとも1つの中間基本層と、半導体層と密着している第2の絶縁材料からなる最上基本層とを含む少なくとも3つの基本層の積層体から形成されており、最下基本層及び/又は最上基本層は、絶縁材料からなることを特徴とする、構造体を提案する。
【0030】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付された図面を参照して具体的且つ限定されない例として与えられる以下の記述から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、積層された均一な構造体(パターンが今のところはまだない)を示しており、
図3(A)から
図3(F)及び
図4Aから
図4Gは、そのような構造体を使用する方法を示しており、
図2(及び同様に
図4G)は、積層された均一な構造体に対する本方法の応用から得られた最終構造体を示していることから、添付された図面は、このように、本発明の3つの態様を示している。
【0033】
積層された均一な構造体は、それから得られる特有の構造体の最終目的からなお独立しているという意味において一般的であるといえる。したがって、それは、将来の使用の非常に様々な多様性に応じて、特殊化、カスタマイズ、又は、変更され得る。
【0034】
均一としてこの構造体を参照すると、それを構成する様々な層は、連続的であり、少なくとも2つのパターンのもの、又は、さらには基板の一部若しくは基板の全部よりも大きい距離にわたって、すなわち、一般的に1センチメートル又はさらには数十センチメートルを超える規模で略一定の厚みからなる、という事実を反映する。そのため、それは、使用可能な一部が連続的且つ一定厚みの上述した積層体を含む、板材であるといえる。
【0035】
より正確には、
図1は、一般符号10のもとに示されたセミコンダクターオンインシュレータタイプの積層された構造体を示している。それは、例えば、最も外側の層12、14の一方又は双方が絶縁体である層12、13、14と、半導体膜15とからなる積層体を載置した板材の大きさである基板11を含む。
【0036】
このような構造体は、基板と半導体膜との間において、絶縁材料からなる最も外側の層の一方又は双方の基本層の積層体によってバルク絶縁体が置換されるという点で、標準的なSOI基板とは異なる。ここで考慮される例において、2つの最も外側の層は、双方とも、絶縁材料からなる。すなわち、板材11と密着している最下層12は、第1の絶縁材料からなるとともに、半導体膜15と密着している最上層14は、第2の絶縁材料からなり、第1及び第2の絶縁材料は、同一であっても異なっていてもよい。これらの様々な層は、一定の厚みを有する。
【0037】
本発明によれば、以下に詳細に述べるように、絶縁体である最も外側の層のうちの少なくとも1つは、積層された均一な構造体の変更工程中に変化しないままとされる。
【0038】
層数は、奇数が好ましく、有利には絶縁層と導電(電気的に抵抗があるが、絶縁体よりも高い導電率を有する)層とを交互に有する。換言すれば、Nが整数である場合、積層体は、任意の材料であるN個の層と交互になっているN+1個までの絶縁層を含むことができ、材料は、したがって、他の基準に応じて選択され得る。
図1の例において、数Nは、1に等しく、本発明の最も単純な適用に対応する。
【0039】
より一般的には、偶数又は奇数の基本中間層を有して第1及び/又は最後の層が絶縁体である積層体がある。
【0040】
有利には、Smart Cut(TM)プロセス等のプロセスの使用に適合する材料(例えば、シリカからなる厚い層)からなる基板11と密着している層12の材料として選択される。これは、Smart Cut(TM)プロセスの制約から独立している最上層の材料を選択させる。したがって、(任意の種類、任意の厚みからなる)任意の材料が、技術的なプロセスの利益を保持しながら、最終構造体についての目的とする用途に応じて、この最上層14のために使用され得る。
【0041】
以下、必要性に応じて、この層の特性、したがって、積層体(12−13−14)の特性を局所的に「適合する」ために、事後のカスタマイズ化の間に、この層の物理的又は化学的性質が変更され得る、という事実を反映するように、表現変更可能な材料が、基本層12、13、14を構成する材料のために使用される。
【0042】
このように、本発明によれば、積層された構造体10のカスタマイズ(又は特殊化)時に、空隙による又は他の材料によるその置換を含む、この基本層12、13、14を局所的に変更することにより、基本層の変更可能な材料の存在は、特にその層の導電率又は熱伝導率の観点から、異なる種類の領域を形成する。したがって、その製造後において、積層された均一な構造体10を、
図1から、
図2において示されているように(全体として見ると)絶縁体の積層体が用途の必要性にしたがってもはや均一でない構造体に変化させることが可能である。
【0043】
中間層13の材料は、一般に、例えば、シリコン(特に多結晶シリコン)等の半導体であり、最上層14の材料は、有利には、下にある中間層を構成する材料の酸化物(シリコンの例においてはシリカ)である。最下層12の材料に関しては、それは、有利には、酸化物、窒化物、及び、広い電子ギャップを有する材料から選択される材料である。
【0044】
図2は、概略的に、基本層のうちの1つ(ここでは中間層13)を構成する材料の
図1からの局所的な変更により、積層された均一な構造体10から得られた異なるパターンを有するセミコンダクターオンインシュレータタイプの最終構造体20を示している。
【0045】
このように、4つのパターンM1、M2、M3、及びM4が、
図1におけるもののような同じ支持基板11上に区別され得る。
【0046】
実際には、基板11と密着している絶縁領域と、この絶縁領域によって基板から離隔されている半導体領域15の一部とをそれぞれ含む複数のパターンが識別され得る。
【0047】
パターンM3は、明らかに、
図1の積層された均一な構造体におけるパターンの単純な画定に由来する。したがって、その半導体領域Z3は、
図1の半導体層15の一部であるのに対して、その絶縁領域は、
図1の最下層12の一部と、中間層13の一部と、最上層14の一部とを含む積層体E3から形成されている。
【0048】
図2において示される例において、他のパターンM1、M2、及びM4は、全て、中間層13に関してのみ、ここで考慮される例においてはパターンM3とは異なる。したがって、絶縁領域E1からE4は、全て略同一の厚みを有し、基板と密着しており且つ各パターンにおいて同一厚みからなり各パターンについて同一の第1の材料(例えば、絶縁体)から形成されている最下層と、少なくとも1つの中間層と、半導体領域と密着しており且つ各パターンにおいて同一厚みからなる第2の材料(例えば、これも絶縁体)から形成されている最上層とを有する、同一層数の積層体から全て形成されている。さらにまた、半導体領域Z1からZ4は、同一材料の同一厚みから形成されている(これらは、層15の一部である)。
【0049】
換言すれば、各パターンにおいて区別され得る層は、1つのパターンから他方まで動かすことによって互いに並べられ、構造体が
図1のもののような積層された構造体から得られたと認識され得ることが、この特徴において特にある。
【0050】
考慮される例において、最下層12の一部は、
図1におけるもののように、この層がなお連続的であることから、パターンに応じて境界が画定されない。勿論、示されない変形例において、パターンM1からM4にそれぞれ属しているこれらの部分は、互いに関連して境界が画定され得る。
【0051】
少なくとも1つのパターンは、基本層の1つ、ここでは中間基本層13の内部において物理的又は化学的性質の有意差を有する。差異が所定の製造プロセスにおける通常の変化よりも非常に大きく、その結果、その差異を発生させる周到な意図のみから生じ得る場合に、有意(又は相当な)差があることが、ここで理解されなければならない。
【0052】
これは、有利には、導電率の差異(又は、導電率及び熱伝導率の差異若しくは熱伝導率の差異のみ)を発生させることを意図した差異である。
【0053】
中間層は、(この層の変更が、それらのうちの少なくとも1つの範囲内で、当初の層と関連して僅かな厚みの差異をもたらすことができる場合であっても)各パターンにおいて同一の全体的な厚みを有する。
【0054】
ここで考慮される場合において、差異についての3つの区別可能な例が概略的に示されている。
【0055】
したがって、パターンM1は、(例えば、ドープ又は合金元素の電子照射によって及び/又は適切な熱処理によるその元素の拡散によって導入された)追加の元素を用いたドープ又は合金化等の変更により、符号13Aによって指示されたその中間層の材料が、パターンM3のもの(すなわち、
図1における層13のもの)と同一材料から生じるという事実に基づいて、パターンM3とは異なるパターンの場合を概略的にここで示している。
【0056】
パターンM2は、符号13Bによって指示されたその中間層の材料が、パターンM3のものと同一材料から生じるという事実に基づいて、また、パターンM1の層13Aの置換とは異なる大きさ又は性質を有するがその置換に基づいて、パターンM3とは異なる他のパターンの場合を概略的に示している。
【0057】
パターンM4に関しては、それは、(例えば、パターンの画定時点で形成された側面からの)パターンの位置において、任意の適切な知られている手段により、中間層が除去され、その後に、当初の層13のものから独立している材料によって可能な置換が行われているという意味で、符号13Dによって指示されたその中間層の材料が、当初の層13の材料からのより大きな変更により生じるという事実に基づいて、パターンM3とは異なるさらなるパターンの場合を概略的に示している。したがって、例えば、アルミニウムは、シリコンにとって代わることができる。
【0058】
明らかに、(ここで変更可能な材料とみなされた)これらの材料の各変更は、パターンM3の特性と関連して、半導体膜Z1、Z2、又はZ4によって見られるように、(全体として見ると)絶縁領域の特性を局所的に変化させる。
【0059】
パターンM1、M2、又はM4のそれぞれを参照として採り上げると、他のそれぞれは、勿論、その中間層の材料の変更以外は、それと一致すると考慮され得る。
【0060】
したがって、
図2からの構造体は、それらの絶縁領域E1からE4においてのみ異なるパターンを含むとして分析され得る。したがって、これらのパターンのそれぞれは、ここで考慮される例において、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に交互配置された少なくとも1つの変更可能な層を備え、その上に載置される積層体及び半導体層は、以下のタイプのうちの少なくとも2つのパターンを画定するように、少なくとも第2の絶縁層(すなわち、最下基本層)の範囲までエッチングされる:
変更可能な材料が変化しないままとされるタイプのパターン(例えば、パターンM3)、
例えば、ドープによって又は合金化によって変更可能な材料が少なくとも部分的に変更されるタイプのパターン(例えば、パターンM1又はパターンM2)、
変更可能な材料が、異なる方法、特に異なるドープ又は異なる合金化により、少なくとも部分的に変更されるタイプのパターン(互いに比較されるパターンM1、M2の場合)、
変更可能な材料が除去されるタイプのパターン(層13の材料を除去することによって残された空隙が満たされない場合におけるパターンM4の場合)、
変更可能な材料が除去されて他の材料によって置換されるタイプのパターン(材料13を除去することによって残された空隙が満たされた場合におけるパターンM4の場合)。
【0061】
明らかに、前記の解説は、一般に、最上及び最下基本層間に複数の中間層がある場合に適用する。すなわち、隣接するパターンのものとは異なる1つのパターンの特性を与えるために、これらの中間層のうちの少なくとも1つの変更があることは十分である。さらに、最下及び最上基本層の双方が絶縁材料からなる必要はなく、それらのうちの1つがそうであれば十分である。
【0062】
上述した例において、中間層は、半導体材料からなり、あるいは、金属からなることができる。この場合、その変更は、例えば、熱処理による又は前記層の性質に変更を発生させる酸化、若しくは任意の他の処理からなる結晶相の局所的な置換又は変更から生じることができる。
【0063】
より一般的には、他の選択肢は、中間層でなく最下又は最上基本層のいずれかを変更することである。これらの層の少なくとも1つが絶縁体である場合には、それにもかかわらず、これらの2つの層のうち、少なくとも1つの層(最下及び最上層のうちの1つのみが絶縁体である場合には、絶縁体であるほうの層、又は、2つのそれぞれが絶縁材料からなる場合には、最下及び最上層のうちの1つ)が、絶縁体である完全なままに保たれるように留意される。
【0064】
特に、ESD(静電気放電)用途のために、最下基本層12が絶縁材料からなり且つ最上基本層14もまた絶縁層である場合には、例えば、導電(例えば、シリコン等の半導体)層によって局所的に最上基本層を置換することは有益であり得る。
【0065】
層12、14が双方とも絶縁材料からなる場合には、パターンの高さにおいて最下基本層12を局所的に変更することが同様に可能である。例えば、最下基本層12が当初は酸化物である場合には、それは、例えば、シリコン等の導電材料によって局所的に置換され得る。したがって、最下基本層の高さにおいてシリコンを含むパターンは、絶縁層12が保持されたパターンが半導体層15と基板11との間において厚い絶縁体(12、14)を保持した状態で、基板11と電気的に接触した中間層13を有することになる。
【0066】
図2において、最上基本層の残余部分及びパターンM1、M2の半導体層が当初の中間層に対応する下にある層よりも狭いことに留意すべきである。これは、これらのパターンのそれぞれの中間層に対する電位の印加を促進する表面を自由のままとする。勿論、基板に平行なこの種の自由表面は、電位の印加を可能とすることが必須ではない(例えば、この種の自由表面は、パターンM3には存在しない)。
【0067】
実際に、本発明の最終構造体は、特殊な使用を提供する。
図2からの構造体の場合に記述される例は、以下に言及され、V1は、パターンM1の中間層に印加される電位を示し、V2は、パターンM2の中間層に印加される電位であり、V3は、パターンM3の中間層に印加される電位である。
【0068】
第1の使用例において、電位V1、V2は、特有の電位である一方で、他の電位V3は、浮遊電位である。
【0069】
第2の使用例において、第1及び第2の電位V1、V2は、それぞれ、特有の電位であるが異なる(これは、あるパターンが活性化されるか又は非活性化されるのを可能とする)。
【0070】
パターンの変更可能な層(すなわち、中間層、又は、最上若しくは最下基本層のいずれか)に対する特有の電位の印加は、有利には、自由接触表面の存在を利用する。この自由表面は、有利には、パターンのエッチング中に形成される開口内に形成され得る。
【0071】
図3(A)から
図3(F)は、
図1に係る積層された均一で一般的な構造体の製造における様々な工程を示している。
【0072】
図3(A)において、プロセスは、例えば、絶縁材料からなる第1の層(最上基本層14を形成することが意図される)がその上に形成される半導体基板16を用いて開始する。そして、この層の上に、例えば、半導体材料(例えば、多結晶シリコン)又は金属からなる第2の層13が形成される(
図3(B))。
【0073】
例えば、絶縁体12からなる第3の層の形成が続く(
図3(C))。その性質は、有利には、プロセスの残余に有利に作用するように選択され(
図3(E)参照)、それは、有利には、例えば、層13がシリコンからできている場合には、その層13の一部の熱酸化によって得られるシリカ(SiO
2)である。
【0074】
図3(D)において、埋め込まれた脆弱層18の形成工程の結果が示されている。これらの工程は、一般に、所与深さにおいて空隙を形成するのに適している少なくとも1つの種(一般には水素及び/又はヘリウム)を用いたイオン照射を含み、このような方法で照射によって導入された元素により、この層の脆弱化を有利に作用するように構成された熱処理が後に続く。注入は、第1の層の形成前、又は、この第1の層の形成と第2の層の形成との間、若しくは、第2の層の形成と第3の層の形成との間、又は、これらの3つの層からなる積層体の形成後に起こり得る。
図3(E)は、層12に対して基板11が接着、好ましくは分子接着される工程を示しており、基板11は、
図1からの積層された構造体の支持基板を形成するように意図される。
【0075】
図3(E)における2本の破線19、19’は、基板11自体が酸化物の層を含む(最下破線19によって概略的に示される場合)か、含まない(最上破線19’によって概略的に示される場合)かに応じた、接着界面についての2つの可能な高さを概略的に示している。それにもかかわらず、この高さの差異が単に2つの可能な場合を視覚的に区別する1つの方法であり、その一方で、接着高さは、勿論、2つの場合のそれぞれにおいて固有であることが、明らかに理解されなければならない。
【0076】
接着接触に至らしめられる層が酸化シリコンから構成される場合には、非常に良好な接着及び機械的強度の品質が結果として生じることは、ここで指摘されるべきである。
【0077】
上述した例において、全ての基本層12、13、14は、基板16上に形成されている。
示されない変形例において、積層体の一部は、基板16上に形成され、積層体の残余は、基板11上に形成される。それは、支持基板11上に形成されることになる層12の全て若しくは一部、層12の全てと層13の全て若しくは一部、又は、層12、13と層14の全て若しくは一部について実際に可能であり、これらの層の残余は、例において述べたように、基板16上に形成される。そして、接着界面は、積層体12、13、14の内部に又はさらには基板16を有する界面にある。
【0078】
技術工程(特に、洗浄、研磨、配置、その他の工程)は、勿論、様々な基本層の各形成工程の前に及び/又は後に実施され得る。
【0079】
最後に、
図3(F)において示されるように、任意の適切な知られているタイプの熱的及び/又は機械的性質の破壊処理が、
図1における符号15のものに対応する薄い半導体膜と、
図1からのもののような積層された構造体の新たな形成工程について再利用され得る半導体材料のブロックとに、脆弱層18の高さにおいて基板16を切り離す。
【0080】
他の技術は、勿論、基板16を薄化するために使用され得る(例えば、機械的化学的薄化、多孔質の埋め込み領域の高さにおける破壊等)。
【0081】
最上層14の材料は、有利には、絶縁体である。すなわち、それは、半導体の酸化により、及び/又は、通常の蒸着プロセス(CVD、ALD)又は絶縁材料(窒化物、酸化剤、ダイヤモンド等の広いギャップを有する材料、その他)について使用される成長プロセス(MBE)により、得られ得る。その厚みは、一般に、約1ナノメートルから数百ナノメートルである。
【0082】
中間層の材料はまた、同じ方法によって蒸着され得る。それらの厚みは、同じ値の範囲内で変化する。
【0083】
層14の材料は、一般に、CVDによって蒸着された(又は、例えば、中間層がシリコンからなる場合には酸化によって得られる)酸化物SiO
2等の絶縁体であり、数十ナノメートルから数百ナノメートルの厚みである。
【0084】
積層された均一な構造体の変更(又はカスタマイズ若しくは特殊化)段階において、導電率及び/又は熱伝導率の観点から特有の特性がその後に局所的に得られるのを可能とするように、様々な例が、特性が変更されることになる材料の選択から与えられ得る。
【0085】
第1の実施形態において、変更可能な材料は、ドープされたパターンにおいてその伝導率及びその出力量を変化させるように、少なくとも1つのタイプのパターンにおいて、(例えば、イオン注入及び熱活性化によって)少なくとも局所的に、カスタマイズ工程中に多かれ少なかれドープされる電気抵抗材料(例えば、シリコン)である。
【0086】
第2の実施形態において、変更可能な材料は、その導電率若しくは熱伝導率又はその出力量を改善するように、カスタマイズ工程中に、金属を用いて合金化された又は金属によって置換された電気的又は熱的抵抗材料(例えば、ニッケル又はアルミニウムを用いてケイ化されるシリコン)である。
【0087】
第3の実施形態において、変更可能な材料は、カスタマイズ工程中に、絶縁材料(例えば、ALDによるSiO
2)によって又は空隙によってパターンのうちの1つにおいて置換され得る半導体材料(例えば、シリコン又はSiGe)である。
【0088】
さらなる実施形態において、カスタマイズ工程における適切な処理の効果として、少なくとも1つのタイプのパターンが、その伝導率を変更するように結晶状態を変化させるために、変更可能な材料は、相を変化させることが可能な材料(例えば、黒鉛相への変換によってより伝導性がある状態にされた、抵抗−結晶、又は、アモルファス−炭素)である。
【0089】
さらなる実施形態において、変更可能な材料は、導電性材料によって局所的に置換される電気的絶縁材料(例えば、最下又は最上基本層のもの)である。
【0090】
図4Aから
図4Gは、
図4Gにおいて示されるようなカスタマイズされた最終構造体を得るための、
図1からの積層された均一で一般的な構造体のカスタマイズ化の例の様々な工程を示している。
【0091】
第1の工程は、SiO
2からなる層12と、多結晶シリコンからなる層13と、これもまたSiO
2からなる層14とを有する(層15は、ここでもやはりシリコンからなる)
図1の積層された均一な構造体を用意することである(
図4A)。そして、半導体膜15の表面は、一般には窒化ケイ素からなる窒化物層31によって被覆される(
図4B)。
【0092】
その後、樹脂層32が蒸着され、層13の範囲まで積層体内に溝33を形成するために、エッチングに耐性がある残余領域のフォトリソグラフィによって境界が画定される(
図4C)。
【0093】
そして、樹脂32が除去され、窒化物スペーサ34が溝の側面に沿って形成される。その後、層13の材料が溝の付近においてエッチングされ、その結果、中身のない空間35が残る(
図4D)。
【0094】
その後、空隙35は、例えば、約800℃の温度でLPCVD(減圧化学気相成長;low−pressure chemical vapor deposition)によって蒸着されたHTOタイプの酸化物等、優れた適合性を有し、高いアスペクト比を有する空隙を満たすのを可能とする絶縁材料36で満たされる(
図4E)。
【0095】
溝及び窒化物層31から流出する酸化物をエッチングすることにより、その後、左側部分においては当初の基板と同じ積層体を含むが、右側部分においては全体的に絶縁材料から形成された絶縁領域を有する構造体が得られる(
図4F)。
【0096】
そして、構造体は、右側部分においては薄い絶縁体、左側部分においては厚い絶縁体を含む構造体を利用するための端子によって完成され得る(
図4G)。
【0097】
図5は、従来の技術によって得られる電気的な観点から等価な構造体40を示している。変化する厚みを有する基板41と、変化する厚みの補完部を有する不連続な絶縁層42と、半導体膜43とを含むことに留意すべきであり、まさに最初の製造工程からのこの微細構造体の性能を留意せざるを得ない。ここで、
図4Aから
図4Gは、本発明により、重要な製造工程を越えて最終構造体の特有の適合(すなわち、積層された均一で一般的な構造体を形成するもの)を奨励したにもかかわらず、同じ電気的特性を有する最終構造体を形成することが可能であることを示している。