特許第5745223号(P5745223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745223
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20150618BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20150618BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/42
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61Q5/12
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-538668(P2009-538668)
(86)(22)【出願日】2007年11月7日
(65)【公表番号】特表2010-511599(P2010-511599A)
(43)【公表日】2010年4月15日
(86)【国際出願番号】EP2007061971
(87)【国際公開番号】WO2008064976
(87)【国際公開日】20080605
【審査請求日】2010年9月7日
(31)【優先権主張番号】0624132.7
(32)【優先日】2006年12月2日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100140523
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 千尋
(74)【代理人】
【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真
(72)【発明者】
【氏名】エブラエ,エマニユエル・ポール・ジヨ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】マレー,アンドリユー・マルコム
(72)【発明者】
【氏名】フアム,トウイ−アン
(72)【発明者】
【氏名】プンタムベカー,スミター
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−227601(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0210509(US,A1)
【文献】 特開2003−160446(JP,A)
【文献】 特表2000−513381(JP,A)
【文献】 特開平04−074108(JP,A)
【文献】 特開2004−035556(JP,A)
【文献】 特開2001−226221(JP,A)
【文献】 特表2006−526029(JP,A)
【文献】 新化粧品ハンドブック,日本,日光ケミカルズ株式会社,2006年10月,第198-207頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性界面活性剤、脂肪性物質、粘度調整剤並びに水性坦体を含むヘアコンディショニング組成物であって、
前記粘度調整剤が、親水性置換基および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナンあって、前記親水性置換基がヒドロキシプロピル基であり、前記疎水性置換基が14から28個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基もしくはこのようなアルキルの組み合わせであり、
前記組成物は、1重量%ポリクオタニウム−55、3重量%セチルアルコール、1.5重量%アモジメチコンエマルジョン、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロライド、0.5重量%ヒドロキシプロピルグアール、1重量%グリセロールステアレート、2重量%ポリビニルピロリドン、保存剤および100重量%までの水を含むスタイリング組成物ではない、
ヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物であって、カチオン性界面活性剤が下記一般式(I)、
[N(R)(R)(R)(R)](X) (I)
(式中、R、R、RおよびRは(a)1から22個の炭素原子の脂肪族基、または(b)22個までの炭素原子を有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールもしくはアルキルアリール基から各々独立に選択され;並びにXは塩形成性アニオンである。)
に対応する四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物であって、カチオン性界面活性剤が下記一般式(II)、
−C(O)−N(H)−R−N(R)(R) (II)
(式中、Rは12から22個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であり、Rは1から4個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、並びにRおよびRは、独立に、1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。)
に対応するアミンの塩である、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
脂肪性物質がセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
親水性および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナンが親水性および疎水性アルキルエーテル置換基をそれぞれ有するポリガラクトマンナンのポリ(アルキルエーテル)である、請求項1から4のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナンを含むヘアコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアコンディショニング組成物は、典型的には、シャンプーおよびリンスの直後に毛髪に適用される。コンディショニング組成物は毛髪全体にわたって作用し、水で毛髪からこれをすすぐ前までの間、毛髪に浸透させることができる。
【0003】
伝統的に、このようなコンディショニング組成物はカチオン性界面活性剤および脂肪性物質、例えば長鎖脂肪アルコールの組み合わせを用いている。この組み合わせは製品に望ましい粘度を与えるラメラゲル相を形成し、この製品を使用する間、毛髪に付着してコンディショニングの効果をもたらす。
【0004】
多くの消費者は、毛髪にさほど多くないつるつる感および被覆感を与える「軽い」コンディショニング製品を望む。これは、脂肪性物質の含有率が低下した「低脂肪」処方の開発につながっている。
【0005】
しかしながら、脂肪性物質の含有率の減少は製品の粘度を許容できないレベルにまでも低下させ得る。従って、濃厚剤の組み込みが必要であることが見出されている。
【0006】
この目的に用いられている濃厚剤の例は非イオン性セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルセルロースである。
【0007】
疎水性修飾セルロースエーテル、例えばセチルヒドロキシエチルセルロースも用いられている。この種類の物質は、EP 412 705、EP 412 706およびEP 412 710において、大部分のポリマー性濃厚剤に伴うぬるぬる感なしに、および典型的な四級アンモニウム化合物/脂肪アルコール・ゲル−ネットワーク濃厚系を用いることなしに、典型的なヘアコンディショナーのゲル−ネットワーク構造に非常によく似たレオロジーをもたらすものとして記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第412 705号明細書
【特許文献2】欧州特許第412 706号明細書
【特許文献3】欧州特許第412 710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記セルロース性濃厚剤の使用に伴う問題は、製品使用の異なる条件の下で正しい粘度プロフィールを得ることが困難であることである。例えば毛髪へのコントロールされた注ぎおよび製品適用量には濃厚でクリーミーな製品粘度が望ましい。低製品粘度は毛髪全体への製品の塗布およびリンスを容易にするには好ましいが、製品が毛髪の中に「消失する」ことを認める程度にまでではない。
【0010】
本発明者らは、親水性および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナンをヘアコンディショニング組成物の濃厚化に用いる場合、この問題を解決できることを見出している。
【0011】
上記種類の置換ポリガラクトマンナンは、WO99/01105において、レザリング組成物(lathering composition)、例えばシャワーゲルおよびシャンプーの安定化について提示されている。この刊行物における配合物は不溶性シリコーンおよび洗浄剤界面活性剤に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、カチオン性界面活性剤、脂肪性物質、親水性および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナン並びに水性坦体を含むヘアコンディショニング組成物を提供する。
【0013】
本発明は、カチオン性界面活性剤および脂肪性物質を含むヘアコンディショニング組成物における粘度調整剤(viscosity modifier)としての、親水性および疎水性置換基を有するポリガラクトマンナンの使用をも提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
カチオン性界面活性剤
本発明による組成物は、化粧品として許容可能であり、毛髪への局所塗布に適する、1種類以上のカチオン性界面活性剤を含む。
【0015】
本発明の組成物における使用に適するカチオン性界面活性剤はアミノもしくは四級アンモニウム親水性部分を含有し、これらは組成物中で溶解するとき正に帯電する。
【0016】
適切な四級アンモニウムカチオン性界面活性剤は下記一般式(I)、
[N(R)(R)(R)(R)](X) (I)
に対応し、式中、R、R、RおよびRは(a)1から22個の炭素原子の脂肪族基、もしくは(b)22個までの炭素原子を有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールもしくはアルキルアリール基から各々独立に選択され;並びにXは塩形成性アニオン、例えばハロゲン(例えばクロライド、ブロマイド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートナイトレート、スルフェートおよびアルキルスルフェートラジカルから選択されるものである。
【0017】
脂肪族基は、炭素および水素原子に加えて、エーテル結合および他の基、例えばアミノ基を含有することができる。長鎖脂肪族基、例えば約12炭素以上のものは飽和であっても不飽和であってもよい。
【0018】
一般式(I)のカチオン性界面活性剤の適切なクラスにおいて、RおよびRはRおよびRの両者に少なくとも1つのエステル結合を含むC16からC22ヒドロカルビル鎖から各々独立に選択され、並びにRおよびRはCHおよびCHCHOHから各々独立に選択される。
【0019】
一般式(I)のカチオン性界面活性剤の別の適切なクラスにおいて、RおよびRはC16からC22飽和もしくは不飽和鎖、好ましくは飽和鎖から各々独立に選択され、並びにRおよびRはCHおよびCHCHOH、好ましくはCHから各々独立に選択される。
【0020】
一般式(I)のカチオン性界面活性剤の好ましいクラスにおいて、RはC16からC22アルキル鎖であり、並びにR、RおよびRはCHおよびCHCHOH、好ましくはCHから各々独立に選択される。
【0021】
一般式(I)の四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体的な例は、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTAC)、セチルピリジニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、タロウトリメチルアンモニウムクロライド、ココトリメチルアンモニウムクロライド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロライド、PEG−2オレイルアンモニウムクロライドおよびこれらの塩であり、クロライドはハロゲン(例えばブロマイド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートナイトレート、スルフェートもしくはアルキルスルフェートで置き換えられる。
【0022】
本発明における使用に特に好ましい四級アンモニウムカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(これは、例えばHoechst Celanese製のGENAMIN CTACおよびAkzo Nobelによって供給されるArquad 16/29として商業的に入手可能である。)並びにベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTAC)、例えばClariantによって供給されるGenamin KDM−Pである。
【0023】
前記物質のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0024】
一級、二級および三級脂肪アミンの塩も本発明における使用に適するカチオン性界面活性剤であり得る。このようなアミンのアルキル基は、好ましくは約12から約22個の炭素原子を有し、置換されていてもいなくてもよい。これらのアミンは酸との組み合わせで典型的に用いられ、カチオン性種を提供する。
【0025】
アミンの好ましいクラスは下記一般式(II)、
−C(O)−N(H)−R−N(R)(R) (II)
に対応し、式中、Rは12から22個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖であり、Rは1から4個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、並びにRおよびRは、独立に、1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0026】
一般式(II)の適切な物質の具体的な例は、ステアルアミドプロピルジメチルアミン、ステアルアミドプロピルジエチルアミン、ステアルアミドエチルジエチルアミン、ステアルアミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミンおよびジエチルアミノエチルステアルアミドである。
【0027】
ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロウプロパンジアミン、エトキシル化(エチレンオキシド5モルを有する。)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミンおよびアラキジルベヘニルアミンも有用である。
【0028】
ステアルアミドプロピルジメチルアミンが特に好ましい。
【0029】
上記物質のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0030】
カチオン種をもたらすのに用いられる酸は遊離アミン窒素を中和するのに十分な酸強度のあらゆる有機酸もしくは無機酸であり得る。このような酸には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸およびプロピオン酸もしくはこれらの組み合わせが含まれる。一般に、アミドアミン化合物を中和し、組成物の最終pHを約2.5から約6の範囲内、好ましくは約3から約5のpH範囲に調整するのに十分な酸量が添加される。プロトン化性アミン基の酸からのHに対するモル比は、好ましくは約1:0.3から1:1.2、より好ましくは約1:0.5から約1:1.1である。
【0031】
上記カチオン性界面活性剤のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0032】
本発明の組成物において、カチオン性界面活性剤の濃度は、組成物の総重量に基づくカチオン性界面活性剤の総重量で、好ましくは0.1から10%、より好ましくは0.2から5%、最も好ましくは0.25から4%の範囲をとる。
【0033】
脂肪性物質
本発明の組成物は脂肪性物質を含む。脂肪性物質は、カチオン性界面活性剤および水性坦体と共に、様々なヘアコンディショニング属性をもたらすのに適するラメラゲル相を形成する。
【0034】
「脂肪性物質」が意味するところは一般式R−Xを有する化合物であり、式中、Rは脂肪族炭素鎖であり、Xは官能基(例えばアルコール、酸もしくは誘導体)である。
【0035】
Rは、好ましくは8から30個の炭素原子、より好ましくは16から22個の炭素原子を含む、完全に飽和された脂肪族炭素鎖である。
【0036】
Xは、好ましくはアルコール基である。
【0037】
最も好ましくは脂肪性物質はセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびこれらの混合物から選択される。
【0038】
本発明のコンディショナーにおける脂肪性物質の濃度は、適切には、組成物の総重量に基づく脂肪性物質の総重量で、0.01から15%、好ましくは0.1から10%、より好ましくは0.1から5%の範囲をとる。
【0039】
カチオン性界面活性剤の脂肪性物質に対する重量比は、適切には10:1から1:10、好ましくは4:1から1:8、より好ましくは1:1から1:7である。
【0040】
適切なポリガラクトマンナン
ポリガラクトマンナンは主としてガラクトースおよびマンノースで構成される多糖であり、特定のマメ科種子、例えばグアール(guar)、イナゴマメ(locust bean)、ハニーロカスト(honey locust)、火焔樹等の胚乳内に通常見出される。例えばグアールガムは、本質的に単一メンバーのガラクトース分岐を有する直鎖マンナンである、ガラクトマンナンでほとんど構成される。グアールポリマーにおけるガラクトースのマンノースに対する比は1:2である。イナゴマメゴムは、ガラクトースのマンノースに対する比が1:4である、類似の分子構造のポリガラクトマンナンゴムである。
【0041】
グアールおよびイナゴマメゴムが、主としてこれらの商業的入手性のため、ポリガラクトマンナンの好ましい源である。グアールガムが最も好ましい源である。
【0042】
本発明の組成物において用いるためのポリガラクトマンナン(以下、「置換ポリガラクトマンナン」と呼ぶ。)は親水性置換基および疎水性置換基を含有する。
【0043】
適切には、置換ポリガラクトマンナンは、ポリガラクトマンナンの起源に依存して、50,000から1,600,000の分子量を有するポリガラクトマンナンから誘導される。
【0044】
適切な置換ポリガラクトマンナンは0.7を上回る総モル置換を有する。好ましくは総モル置換は0.9から2.01の範囲をとる。「モル置換」が意味するところは、ポリガラクトマンナンの各無水グルコシド単位上の置換基の平均モル数である。
【0045】
適切な置換ポリガラクトマンナンは無水グリコシド単位あたり平均で0.7から4の親水性置換基を含有する。好ましい置換ポリガラクトマンナンは無水グリコシド単位あたり平均で0.9から2の親水性置換基を含有する。
【0046】
適切な置換ポリガラクトマンナンは無水グリコシド単位あたり平均で0.0001から0.02の疎水性置換基を含有する。好ましい置換ポリガラクトマンナンは無水グリコシド単位あたり平均で0.0005から0.01の疎水性置換基を含有する。
【0047】
適切には、親水性置換基の疎水性置換基に対するモル比は35:1から40,000:1の範囲をとる。好ましくはこのモル比は90:1から4000:1の範囲をとる。
【0048】
親水性置換基は−Cヒドロキシアルキル基、例えばカルボキシメチル、アミノおよびカルボン酸基から適切に選択することができる。好ましくは親水性置換基はC−Cヒドロキシアルキル基、最も好ましくはヒドロキシプロピル基である。上記親水性置換基のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0049】
疎水性置換基は、10から32個の炭素原子、より好ましくは14から28個の炭素原子を含有する、直鎖もしくは分岐鎖アルキルおよびアルケニル基から適切に選択することができる上記疎水性置換基のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0050】
親水性および疎水性置換基は炭素−炭素結合を介して無水グリコシド単位に直接結合してもよく、またはエーテル、ウレタン、エステル、アミドもしくはアシル結合を介して、好ましくはエーテル結合を介して結合してもよい。
【0051】
本発明において用いるのに好ましい置換ポリガラクトマンナンは、親水性および疎水性アルキルエーテル置換基をそれぞれ有する、ポリガラクトマンナンのポリ(アルキルエーテル)である。
【0052】
このような物質の例は、親水性置換基がHOR−であり、式中、Rは2から4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、OH基はエーテル基に対してβ位の炭素原子上にあり、並びに疎水性置換基がR、HORおよびRO−CHCH(OH)−CH−から選択され、式中、Rは10から32個の炭素原子を含有するアルキル基であり、Rは、エーテル基に対してβ位の炭素原子上にOH基を有する、10から32個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、Rは7から29個の炭素原子を有するアルキル基である、ポリガラクトマンナンのポリ(アルキルエーテル)である。
【0053】
このような物資の好ましい例は、親水性置換基がヒドロキシプロピル基であり、疎水性置換基が14から28個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基もしくはこのようなアルキルの混合物である、ポリガラクトマンナンのポリ(アルキルエーテル)である。
【0054】
US 4,960,876およびUS 4,870,167が本発明の組成物における使用に適する置換ポリガラクトマンナンの調製方法を記載する。
【0055】
本発明の組成物における使用に適する置換ポリガラクトマンナンの商業的に入手可能な例は、Lamberti社によってEsaflor HM 22の名称で販売される、もしくはRhone−Poulenc社によってJaguar XC 95−3の名称で販売されるグアールガムである。
【0056】
本発明のコンディショナーにおける置換ポリガラクトマンナンの濃度は、適切には、組成物の総重量に基づく置換ポリガラクトマンナンの総重量で、0.001から10%、好ましくは0.005から5%、より好ましくは0.01から2%の範囲をとる。
【0057】
水性坦体
本発明のコンディショニング組成物は水性坦体を含む。
【0058】
適切な水性坦体は水並びに低級アルキルアルコールおよび多水酸基アルコールの水溶液である。
【0059】
適切な低級アルキルアルコールの例は、1から6個の炭素を有する一水酸基アルコール、好ましくはエタノールおよびイソプロパノールである。
【0060】
適切な多水酸基アルコールの例は、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンおよびプロパンジオールである。
【0061】
好ましくは水性坦体は実質的に水である。
【0062】
一般に、本発明による組成物は、組成物の総重量に基づく重量で、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%の水を含む。
【0063】
さらなるコンディショニング剤
本発明の組成物はさらなるコンディショニング剤を含み湿潤および乾燥コンディショニングの利益を最適化することができる。
【0064】
特に好ましいさらなるコンディショニング剤はシリコーンエマルジョンである。
【0065】
適切なシリコーンエマルジョンには、ポリジオルガノシロキサン、特には、ジメチコンのCTFA名を有するポリジメチルシロキサン、ジメチコノールのCTFA名を有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンおよびアモジメチコンのCTFA名を有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンのようなシリコーンから形成されるものが含まれる。
【0066】
エマルジョンの液滴は、0.01から20マイクロメートル、より好ましくは0.2から10マイクロメートルの範囲のSauter平均液滴直径(D)を本発明の組成物において典型的に有し得る。
【0067】
Sauter平均液滴直径(D)を測定するのに適切な方法は、Malvern Mastersizerのような機器を用いるレーザー光散乱によるものである。
【0068】
本発明の組成物において用いるのに適するシリコーンエマルジョンはシリコーンの供給者、例えばDow CorningおよびGE Siliconesから入手可能である。このような予備形成シリコーンエマルジョンの使用はシリコーン粒子サイズの処理および制御の容易性のため好ましい。このような予備形成シリコーンエマルジョンは、典型的には、適切な乳化剤、例えばアニオン性もしくは非イオン性乳化剤をさらに含み、化学的乳化法、例えばエマルジョン重合によって、もしくは高剪断ミキサーを用いる機械的乳化によって調製することができる。0.15マイクロメーター未満のSauter平均液滴直径(D)を有する予備形成シリコーンエマルジョンはマイクロエマルジョンと一般に呼ばれる。
【0069】
適切な予備形成シリコーンエマルジョンの例には、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788並びにマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870が含まれ、これらはすべてDow Corningから入手可能である。これらはすべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。アモジメチコンエマルジョン、例えばDC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)も適切である。
【0070】
例えばWO03/094874に記載されるように、高分子量の表面活性ブロックコポリマーの特定の種類がシリコーンエマルジョン液滴と配合されているシリコーンエマルジョンも適切である。このような物質において、シリコーンエマルジョン液滴はポリジオルガノシロキサン、例えば上述のものから好ましくは形成される。表面活性ブロックコポリマーの好ましい形態の1つは下記式、
【0071】
【化1】
によるものであり、式中、xの平均値は4以上であり、yの平均値は25以上である。
【0072】
表面活性ブロックコポリマーの他の好ましい形態は下記式、
【0073】
【化2】
によるものであり、式中、aの平均値は2以上であり、bの平均値は6以上である。
【0074】
上記シリコーンエマルジョンのいずれかの混合物を用いることもできる。
【0075】
シリコーンは、一般に、組成物の総重量に基づくシリコーンの総重量で、0.05から10%、好ましくは0.05から5%、より好ましくは0.5から2%の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0076】
他の場合による成分
本発明による組成物は他の化粧上適切な成分を、好ましくは2重量%以下の濃度で、取り込むこともできる。適切な成分には、保存剤、着色剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、抗菌剤、ふけ防止剤、カチオン性コンディショニングポリマー、スタイリング成分、日焼け止め剤、タンパク質および加水分解タンパク質が含まれる。
【0077】
使用
本発明の組成物は、これらを濡れた毛髪、典型的には、シャンプーした後に水ですすいだ毛髪に塗布することによって用いることができる。
【0078】
一般に、組成物は毛髪に塗布された後、毛髪を通して作用する。好ましくは組成物を約1から3分間毛髪に浸透させた後、水で毛髪からこれをすすぐ。
【0079】
ここで、以下の実施例を参照することによって本発明をさらに説明する。これらの実施例において、すべてのパーセンテージは、他の指定されない限り、総重量に基づく重量基準である。本発明による実施例は数字によって表され、これに対して比較例は文字によって表される。
【0080】
実施例
下記表1に示される成分を有する一連のヘアコンディショニング組成物を調製した。
【0081】
【表1】
(1)ヒドロキシエチルセルロース、Aqualon製
(2)セチルヒドロキシエチルセルロース、Aqualon製
(3)疎水性修飾ヒドロキシプロピルグアール、Lamberti製
これらの組成物を、剪断応力の変化する条件下で、これらの粘度挙動について評価した。
【0082】
評価の結果を以下で表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
これらの結果は、本発明による実施例(1、2および3)が、同じ界面活性剤塩基を含む比較例(A、B、C、D)と比較するとき、低および高剪断の条件下で優れた粘度プロフィールを有することを示す。
【0085】
本発明による組成物は低剪断で望ましい高粘性を有し、この粘性の高剪断での低下は急速すぎることがない。(例えば比較例Bに示されるように)粘度が高剪断で急速に低下する場合、消費者が毛髪全体へコンディショナーを塗布するとき、コンディショナーが毛髪の中に「消失する」ことが認められる。