特許第5745250号(P5745250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745250
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/10 20100101AFI20150618BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20150618BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20150618BHJP
【FI】
   H01L33/00 130
   H01L33/00 172
   H01L33/00 186
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-234051(P2010-234051)
(22)【出願日】2010年10月18日
(65)【公開番号】特開2011-254061(P2011-254061A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2010年10月18日
【審判番号】不服2014-4406(P2014-4406/J1)
【審判請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】099117667
(32)【優先日】2010年6月1日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】509055253
【氏名又は名称】廣▲ジャー▼光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】李政憲
(72)【発明者】
【氏名】郭修▲い▼
【合議体】
【審判長】 吉野 公夫
【審判官】 星野 浩一
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−536725(JP,A)
【文献】 特開2009−038355(JP,A)
【文献】 特開2007−180302(JP,A)
【文献】 特開2009−164423(JP,A)
【文献】 特開2007−258277(JP,A)
【文献】 特開2010−040761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電基板と、
前記導電基板の上に形成される金属反射層と、
異なる屈折率を有する材料が前記金属反射層の上に順に積層されて形成される積層膜構造であって、TixTa1-xO2或いはTixNb1-xO2と、ITOが順に積層されて構成される積層膜構造と、
前記積層膜構造の上に形成され、ITOを含む透明導電層と、
前記透明導電層の上に形成される半導体積層と、を含むことを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記積層膜構造は、分布ブラッグ反射構造(Distributed Bragg Reflector、DBR)であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記半導体積層は、前記透明導電層に接続される第一導電型半導体積層と、前記第一導電型半導体積層の上に形成される活性層と、前記活性層の上に形成される第二導電型半導体積層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記金属反射層と前記導電基板との間に接着層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記接着層の材料は、金属材料或いは導電粒子を含む有機材料を含むことを特徴とする請求項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記導電基板の材料は、酸化亜鉛、シリコン或いは金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスに関し、特に分布ブラッグ反射構造(Distributed Bragg Reflector、DBR)を有する発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、発光ダイオードなどのような発光デバイスは、例えば、表示装置、交通信号装置、照明装置、医療装置および通信装置などに広く使われている。
【0003】
図1の従来の発光デバイス10は、導光板11と、前記導光板11の上に形成される接着層13と、前記接着層13の上に形成される金属反射層15と、前記金属反射層15の上に形成される透明導電層17と、前記透明導電層17の上に形成される半導体積層19と、を含む。前記半導体積層19は、前記透明導電層17の上に形成されるP型窒化ガリウム層192と、前記P型窒化ガリウム層192の上に形成されるN型窒化ガリウム層196と、前記P型窒化ガリウム層192と前記N型窒化ガリウム層196との間に位置する活性層194と、を含む。
【0004】
前記発光デバイス10において、前記透明導電層17は、直接に前記P型窒化ガリウム層192に接続されてオーム性接続機能を実現し、且つ前記透明導電層17の高透過特性を通して前記金属反射層15の高反射機能を実現することができる。
【0005】
しかし、前記発光デバイス10の製造過程において加熱工程を実施する必要があるので、前記透明導電層17と前記金属反射層15との間にディフュージョン現象(Diffusion)が生じる可能性がある。即ち、前記発光デバイス10を製造する過程に前記金属反射層15の表面に霧化現象が生じる可能性がある。従って、前記金属反射層15の反射率が悪くなり、前記発光デバイス10の発光効率に影響を与える。
【0006】
発光デバイス10の製造過程に反射構造の反射率が低くなる問題は、解決すべき問題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、発光効率を向上させることができる発光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明では、導電基板と、金属反射層と、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層して形成される積層膜構造と、透明導電層と、半導体積層と、を含む発光デバイスを提供する。前記金属反射層は、前記導電基板の上に形成されている。前記積層膜構造は、前記金属反射層の上に形成されている。前記積層膜構造は、絶縁層と、積層膜構造を貫通して形成される少なくとも1つの穴構造とを含む。前記透明導電層は、前記前記積層膜構造の上に形成され、前記半導体積層は、前記積層膜構造の上に形成されている。
【0009】
上記課題を解決するために本発明では、導電基板と、金属反射層と、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層して形成される積層膜構造と、透明導電層と、半導体積層とを含む発光デバイスを提供する。前記積層膜構造は、前記金属反射層の上に形成され、少なくともTiO2が混入されている導電材料で製造する。前記透明導電層は、前記積層膜構造の上に形成され、前記半導体積層は、前記透明導電層の上に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明の発光デバイスは、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層される積層膜構造を通して光線を反射する。前記積層膜構造は、金属反射層と透明導電層を分離させるので、加熱工程により両者の間にディフュージョン現象(Diffusion)が生じ、金属反射層の表面に霧化現象が生じることを防ぐことができる。即ち、金属反射層の表面が霧化されることを防げるために、前記金属反射層の反射率が悪くなることを防ぎ、前記発光デバイスの発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の発光デバイスを示す。
図2】本発明の第一実施形態に係る発光デバイスを示す。
図3】本発明の第二実施形態に係る発光デバイスを示す。
図4】本発明の第三実施形態に係る発光デバイスを示す。
図5】本発明の第四実施形態に係る発光デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明の第一実施形態に係る発光デバイスを示す。図2の発光デバイス30は、導電基板31と、金属反射層33と、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層して形成される積層膜構造35と、透明導電層37と、半導体積層39と、穴構造352と、電極41と、を含む。
【0013】
図2に示すように、前記発光デバイス30は、垂直式発光ダイオードである。前記金属反射層33は、前記導電基板31の上に形成され、前記積層膜構造35は、前記金属反射層33の上に形成され、前記透明導電層37は、前記積層膜構造35の上に形成され、前記半導体積層39は、前記透明導電層37の上に形成され、前記電極41は、前記半導体積層39の上に形成されている。前記積層膜構造35は、Ta2O5、SiNx、TiO2或いはSiO2から構成される少なくとも1つの絶縁層を含む。前記積層膜構造35には、前記金属反射層33と前記透明導電層37との間の電気接続を実現するための穴構造352が形成されている。前記穴構造352は、積層膜構造35を貫通して形成される穴構である。
【0014】
図2の実施形態において1つの穴構造352が形成されているが、他の実施形態で需要に従って複数の穴構造を形成してもよい。または、前記穴構造352を形成する材料として銀、アルミニウム、金或いはその合金などの高光反射材料を使って発光デバイス30の光反射率を高くするか、チタン、アルミニウム、クロミウム或いはその合金などの高光反射材料を使って発光デバイス30の強度を高くすることもできる。
【0015】
前記積層膜構造35は、Ta2O5、SiNx、TiO2或いはSiO2などから構成される複数な絶縁材料を積層させて製造することができる。本発明では、TiO2とSiO2を積層させて積層膜構造35を製造する。
【0016】
異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料を順に積層させて得る積層膜構造35は、通常異なる屈折率を有する二種の材料を順に積層させて得る積層膜構造35を言う。本発明の積層膜構造35は、一層厚がλ/4である分布ブラッグ反射構造(Distributed Bragg Reflector、DBR)である。前記λは、前記発光デバイス30の主波長(dominant wavelength)である。
【0017】
前記半導体積層39の材料として、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)類或いはアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)を使うことができる。前記半導体積層39は、第一導電型半導体積層392と、活性層394と、第二導電型半導体積層396と、を含む。前記第一導電型半導体積層392は、前記透明導電層37の上に形成され、前記活性層394は、前記第一導電型半導体積層392の上に形成され、前記第二導電型半導体積層396は、前記活性層394の上に形成されている。
【0018】
前記活性層394は、歪多重量子井戸(multi-quantum well、MQW)構造に形成されている。前記第一導電型半導体積層392は、P型半導体層構造に形成され、前記第二導電型半導体積層396は、N型半導体層構造に形成されている。即ち、前記第一導電型半導体積層392は、P型窒化アルミニウムインジウムガリウム層に形成され、前記第二導電型半導体積層396は、N型窒化アルミニウムインジウムガリウム層に形成されている
【0019】
前記半導体積層39の表面は、粗い面に形成されている。これにより前記活性層で生じる光線が半導体層39と外部環境の屈折率の差異によって生じる全反射の現象を減らし、発光デバイス30の出光率を高くすることができる。
【0020】
前記透明導電層37の材料として、透明な酸化金属材料を使うことができる。例えば、ITO、CTO、ZnO、In2O3、SnO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2などを使うことができる。本実施形態では、ITOを選んで使う。
【0021】
前記導電基板31の材料として、酸化亜鉛、シリコン或いは金属などを使うことができる。前記導電基板31の下表面に裏面電極(Back Electrode)312を形成してもよい。
【0022】
前記金属反射層33の表面を接着層に形成して、前記導電基板31と積層膜構造35を金属反射層33の両面に接着させることができる。前記金属反射層33は、高光反射性を有する金属で製造する。例えば、銀、アルミニウム、金或いはその合金などの材料を使うことができる。且つ、金属共晶接合(Eutectic bonding)技術により金属反射層33に接着層を形成することもできる。
【0023】
図3は、本発明の第二実施形態に係る発光デバイスの図である。図3の実施形態において、金属反射層33と導電基板31との間に接着層34がさらに形成されている。前記接着層34は、金属反射層33と導電基板31との間の接着力を高くする。前記接着層34の材料として、金属或いは導電粒子を含む有機材料を使うことができる。
【0024】
上述したように、本発明の発光デバイスは、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層される積層膜構造を通して金属反射層と透明導電層を分離させる。従って、透明導電層と金属反射層との間に加熱工程によりディフュージョン現象(Diffusion)が生じ、金属反射層の表面に霧化現象が生じることを防ぐことができる。従って、前記発光デバイスの発光効率を改善することができる。
【0025】
前記積層膜構造35が前記金属反射層33と前記透明導電層37との間に形成されているので、透明導電層37と金属反射層33との間に加熱工程によりディフュージョン現象が生じ、金属反射層33の表面が霧化されることを防ぐことができる。従って、前記金属反射層33の反射率に影響を与えることなく、発光デバイス30の発光効率を改善することができる。また、積層膜構造35と金属反射層33により所定方向性の反射鏡を形成することができるので、発光デバイス30の設計を容易にすることができる。
【0026】
図4は、本発明の第三実施形態に係る発光デバイス50を示す図である。前記発光デバイス50と上述した発光デバイス30が異なる所は、積層膜構造55を導電性材料で製造したことである。前記積層膜構造55を製造する導電性材料として、ITO、CTO、ZnO、In2O3、SnO2、CuAlO2、CuGaO2或いはSrCu2O2などを使うことができる。前記積層膜構造55を導電材料で製造したので、前記積層膜構造55により金属反射層33と透明導電層37を導電接続させることができる。
【0027】
本実施形態の積層膜構造55は、少なくともTiO2が混入される材料を含んでいる本実施形態のTiO2が混入されている材料は、TixTa1-xO2或いはTixNb1-xO2である。即ち、本実施形態の積層膜構造55は、TixTa1-xO2或いはTixNb1-xO2と、ITOとが順に積層して形成されるものである。
【0028】
本実施形態の発光デバイス50は、積層膜構造55を貫通して形成されて金属反射層33と透明導電層37との間の電気接続状態を向上させる少なくとも1つの穴構造(図に示しない)を含むことができる。且つ、前記穴構造を形成する材料として銀、アルミニウム、金或いはその合金などの高光反射材料を使って発光デバイス50の光反射率を高くするか、チタン、アルミニウム、クロミウム或いはその合金などの高光反射材料を使って穴構造の強度を高くすることもできる。
【0029】
図5は、本発明の第四実施形態に係る発光デバイス50を示す図である。図3の実施形態において、金属反射層33と導電基板31との間に接着層54がさらに形成されている。前記接着層54は、金属反射層33と導電基板31との間の接着力を高くする。前記接着層54の材料として、金属材料或いは導電粒子を含む有機材料を使うことができる。
【0030】
上述したように、本発明の発光デバイスは、異なる屈折率を有する二種或いは二種以上の材料が順に積層される積層膜構造を介して金属反射層と透明導電層を分離させる。従って、加熱工程により透明導電層と金属反射層との間にディフュージョン現象(Diffusion)が生じ、金属反射層の表面に霧化現象が生じることを防ぐことができる。金属反射層の表面が霧化されることを防げるために、前記金属反射層33の反射率が悪くなることを防ぎ、前記発光デバイスの発光効率を向上させることができる。また、積層膜構造と金属反射層により所定方向性の反射鏡を形成することができるので、発光デバイスの設計を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0031】
30、50 発光デバイス
31 導電基板
312 裏面電極
33 金属反射層
34、54 接着層
35、55 積層膜構造
352 穴構造
37 透明導電層
39 半導体積層
392 第一導電型半導体積層
394 活性層
396 第二導電型半導体積層
41 電極
図1
図2
図3
図4
図5