(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が減少すると、容器本体にキャップ体を装着させた状態で、例えば塗布部が内容物と十分に接触しなくなる等し、塗布部が内容物を保持し難くなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を減少させることができる塗布具付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布具付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から前記容器本体の底部側に向けて突出し、先端に塗布部が配設された塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、前記キャップ体は、前記塗布具が装着された基筒部と、該基筒部に容器軸回りに回転自在に外挿されるとともに、前記基筒部に対する回転に伴って前記塗布具を容器軸方向に進退させる回転筒部と、を備え、前記塗布具には、前記基筒部に形成された径方向に貫通する内孔、および前記回転筒部に形成された径方向の内側に向けて開口する外孔に一体に挿通された装着突起が設けられ、前記内孔および前記外孔のうちのいずれか一方は、容器軸回りに沿う周方向に螺旋をなすように延在し、他方は容器軸方向に延在し、前記キャップ体には、前記塗布具が前進端位置に位置するときに、該塗布具を、前記底部側とは反対側の反底部側に向けて付勢する付勢部材
と、前記口部に内挿または外挿されるとともに前記基筒部に連結され、該口部に対して容器軸回りに回転させられることにより該口部に着脱される装着筒部と、が備えられ、該装着筒部は、周方向のうち、前記塗布具を前進させるときに前記基筒部に対して前記回転筒部を回転させる一方側に向けて、前記口部に対して回転させることにより、該口部から離脱され、前記基筒部には、前記塗布具が前進端位置に位置するときに、前記回転筒部に形成された係合部が、前記一方側とは反対側の他方側から係合することで、前記基筒部に対する前記回転筒部の前記一方側に向けた更なる回転を規制する回転規制部が形成されていることを特徴とする。
なお、前記塗布具は、前記基筒部に装着される基部と、該基部から下方に向けて延設され、前記基筒部に配設されたシール部材内に挿通されるとともに下端に前記塗布部が配設された棒部と、を備え、前記棒部における下側部分の外径が上側部分の外径よりも大きく、前記塗布具が後退端位置に位置しているとき、前記棒部において上側部分と下側部分とを連結する段部と、前記シール部材の下端と、が当接してもよい。
【0007】
この発明では、内容物を塗布する際、容器本体にキャップ体を装着させた状態で、回転筒部を基筒部に対して周方向の一方側に回転させ、装着突起を内孔および外孔の双方に沿って前記底部側に移動させることで、塗布具を、付勢部材の付勢力に抗して前進端位置まで前進させて、塗布具のキャップ体からの突出量を増やす。その後、キャップ体を容器本体から離脱させ、塗布部に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
そして内容物を塗布し終えた後には、キャップ体を容器本体に装着させるとともに、回転筒部を基筒部に対して前記一方側とは反対側の他方側に回転させ、装着突起を内孔および外孔の双方に沿って前記反底部側に移動させることで塗布具を前進端位置から後退させて、塗布具のキャップ体からの突出量を元に戻す。ここで塗布具は、前進端位置に位置するときに付勢部材により前記反底部側に向けて付勢されているので、装着突起は、内孔および外孔の双方に沿って前記反底部側に円滑に移動する。
【0008】
以上のように、当該塗布具付き容器によれば、キャップ体を容器本体から離脱させる前に、塗布具のキャップ体からの突出量を増やし、塗布部を容器本体の底面に近接、当接または圧接させることができる。
したがって、容器本体内の内容物が減少することにより、例えば塗布具が後退端位置に位置するとき等に、塗布部が容器本体内の内容物に十分に接触しなくなった場合には、塗布部を内容物内に改めて進入させることができる。また、塗布部の内容物との接触量が小さくなった場合には、その接触量を増やすことができる。さらに、容器本体内の底部上に内容物が僅かに残留している場合には、底部上に塗布部を当接または圧接させて内容物を塗布部に保持させることができる。
以上により、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を減少させることができる。
【0009】
また、当該塗布具付き容器を使用して内容物を塗布する際に、キャップ体からの塗布具の突出量を増やした後、元に戻すことができるので、当該塗布具付き容器の未使用時には、塗布部を容器本体の底部から離間させておき、使用する際に、塗布部を容器本体の底部に当接させたり圧接させたりすることができる。このように、未使用時に塗布部を容器本体の底部から離間させておくことにより、容器本体の底部から塗布部に負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部の耐久性を確保し易くすることができる。
【0010】
また塗布具が、前進端位置に位置するときに付勢部材により前記反底部側に向けて付勢されているので、装着突起の内孔および外孔の双方に沿った前記反底部側への移動を円滑に行うことが可能になり、塗布具を少ない力でスムーズに後退させることができる。
【0012】
また、内容物を塗布する際、回転筒部を基筒部に対して前記一方側に向けて回転させることにより、塗布具を前進端位置まで前進させた後、さらに回転筒部を前記一方側に回転させると、回転筒部に加えられた前記一方側に向けた回転力が、係合部、回転規制部および基筒部を介して回転筒部から装着筒部に伝達される。これにより、回転筒部および装着筒部を容器本体の口部に対して共回りさせ、装着筒部を容器本体の口部に対して前記一方側に向けて回転させることが可能になり、キャップ体を容器本体の口部から離脱させることができる。
以上のように、内容物を塗布する際、回転筒部を前記一方側に向けて回転させることだけで、塗布具を前進端位置まで前進させることだけでなく、キャップ体を容器本体の口部から離脱させることもできるので、塗布具付き容器の操作性を向上させることができる。
【0013】
また、前記回転規制部は、前記内孔を画成する壁面のうち、前記他方側を向く面とされ、前記係合部は、前記外孔を画成する壁面のうち、前記一方側を向く面とされ、前記塗布具が前進端位置に位置するときに、前記係合部は、前記装着突起を介して前記回転規制部を前記一方側に押圧することにより該回転規制部に係合してもよい。
【0014】
この場合、回転規制部および係合部を、内孔および外孔をそれぞれ画成する壁面により構成することができるので、前述のように塗布具付き容器の操作性を向上させつつ、当該塗布具付き容器の構造が複雑になるのを抑えることができる。
【0015】
また、前記内孔および前記外孔のうちの少なくとも一方を画成する壁面には、前記塗布具が前進端位置に位置するときに、前記装着突起に離脱自在に係止することにより該装着突起が前記内孔および前記外孔の双方に沿って前記反底部側に移動するのを規制する突起規制部が形成されていてもよい。
【0016】
この場合、内孔および外孔のうちの少なくとも一方を画成する壁面に前記突起規制部が形成されているので、塗布具が前進端位置に位置するときに、付勢部材により塗布具を前記反底部側に付勢するだけでは、装着突起に対する突起規制部の係止が解除されずに、付勢部材による付勢に加えて回転筒部を基筒部に対して前記他方側に回転させることにより、装着突起に対する突起規制部の係止が解除されるように構成することができる。これにより、回転筒部を基筒部に対して回転させていないときに、塗布具が不意に後退させられるのを抑制しつつ、回転筒部を基筒部に対して回転させたときに、塗布具を確実に後退させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る塗布具付き容器によれば、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る塗布具付き容器を説明する。
図1に示すように、塗布具付き容器10は、内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、該容器本体11の口部12に着脱自在に装着されるキャップ体14と、該キャップ体14に装着されるとともに該キャップ体14から下側(底部側)に向けて突出し、先端に塗布部16が配設された塗布具17と、を備えている。
【0020】
なお前記内容物としては、例えば液状体や粉状体などを採用することが可能である。
また、容器本体11およびキャップ体14の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿ってキャップ体14側を上側(反底部側)といい、容器本体11の底部15側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0021】
容器本体11は、前記口部12および前記底部15と、口部12よりも大径とされ下端開口が底部15により閉塞された胴部18と、口部12の下端と胴部18の上端とを連結する肩部19と、を備えている。
容器本体11の外面には、例えば蒸着などにより遮光膜20が形成されている。遮光膜20は、前記胴部18の外周面に全面にわたって形成されている一方で、前記底部15には形成されておらず、容器本体11の内部は底部15を通して視認可能となっている。
【0022】
図2に示すように、容器本体11の口部12の外周面には、後述する装着筒部13の爪部34が配置される配置凹部21が、周方向に複数、間隔をあけて設けられている。配置凹部21は、前記口部12の外周面上に形成された凹部画成部22と、前記肩部19と、の間に画成されている。凹部画成部22は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0023】
凹部画成部22は、容器軸O方向に沿って延設されるとともに下端が前記肩部19に連結された第1突条部23と、第1突条部23の上端から周方向に延在する第2突条部24と、第2突条部24における周方向の中間部から下方に向けて延設され下端が前記肩部19に連結された第3突条部25と、を備えている。これらの第1突条部23、第2突条部24および第3突条部25と、肩部19と、の間に画成される空間が、前記配置凹部21となっている。
【0024】
なお、全ての凹部画成部22における各第2突条部24は、各第1突条部23から周方向のうちの同一方向に向けて螺旋をなすように延設されている。
また、第3突条部25における前記口部12の外周面からの突出量は、第1突条部23における前記口部12の外周面からの突出量よりも小さくなっている。
【0025】
図1に示すように、容器本体11の口部12内には、塗布具17に付着した余分な内容物をしごき落とすしごき部材26が配設されている。しごき部材26は、前記口部12内に嵌合された嵌合筒部27と、嵌合筒部27から径方向の内側に向けて突設されたしごき片28と、を備えている。これらの嵌合筒部27およびしごき片28は、一体に形成されるとともに、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0026】
嵌合筒部27の上端には、径方向の外側に向けて突出する外フランジ部29が設けられており、この外フランジ部29は、前記口部12の開口端縁上に配置されている。また嵌合筒部27の下端には、径方向の外側に向けて突出し、口部12の下端に当接もしくは近接する規制凸部30が形成されている。
しごき片28は、周方向の全周にわたって延在するとともに、径方向の内側に向かうに従い漸次、下方に向けて延在している。
【0027】
キャップ体14は、容器本体11の口部12に外挿された装着筒部13と、前記装着筒部13から容器軸O方向に沿って上側に向けて延設されるとともに塗布具17が装着された基筒部31と、基筒部31に容器軸O回りに回転自在に外挿されるとともに、基筒部31に対する回転に伴って塗布具17を容器軸O方向に進退させる回転筒部32と、を備えている。装着筒部13、基筒部31および回転筒部32は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0028】
装着筒部13の上端は、基筒部31の下端に連結されており、図示の例では、装着筒部13と基筒部31とは一体に形成されている。
また装着筒部13は、容器本体11の口部12に対して容器軸O回りに回転させられることにより該口部12に着脱される。本実施形態では、装着筒部13の下端には、径方向の内側に向けて突出する爪部34が設けられている。爪部34は、容器本体11の口部12における前記配置凹部21と対応して、周方向に複数、間隔をあけて配設されており、各爪部34は、当該爪部34に対応する配置凹部21内に各別に配置されている。
【0029】
基筒部31の下端には、径方向の内側に向けて突出する内フランジ部36が設けられている。内フランジ部36は、容器軸Oと同軸に配置され、内フランジ部36には、容器軸Oと同軸に配置された取付け筒部35が、下方に向けて延設されている。取付け筒部35には、下端部が前記しごき片28に上方から液密に当接する筒状のシール部材45が外挿されている。
【0030】
シール部材45の下側部分の外径は、上方から下方に向かうに従い漸次、小さくなっており、この下側部分の外周面が、しごき片28の上面に液密に当接している。またシール部材45において下側部分よりも上側に位置する上側部分の上端面には、容器軸Oと同軸に配置された環状溝46が上方に向けて開口している。そして、この環状溝46内に取付け筒部35が嵌合されている。
【0031】
また、内フランジ部36の内周縁には、容器軸Oと同軸に配置された立ち上がり筒部33が、上方に向けて延設されている。
ここで、基筒部31の下端部の内周面には、下端が前記内フランジ部36に連結された縦リブ部31aが、周方向に間隔をあけて複数配設されている。縦リブ部31aは、表裏面が径方向および容器軸O方向の両方向に沿う板状に形成され、縦リブ部31aの径方向の内端縁は、前記立ち上がり筒部33に連結されている。また縦リブ部31aの上端縁は、立ち上がり筒部33の上端縁よりも下側に位置している。
【0032】
また、基筒部31の下端部の外周面には、周方向の全周にわたって延在する周溝部37が形成されている。そして、基筒部31において下端部よりも上側に位置する孔形成部分には、径方向に貫通する内孔38が形成されている。
内孔38は、容器軸Oを間に挟むように前記孔形成部分に一対、配設されており、これらの内孔38は、互いに同形同大とされるとともに、
図3に示すように、周方向に螺旋をなすように延在している。また、内孔38を画成する壁面を径方向の外側から見た正面視形状は閉ループ状であり、内孔38は、容器軸O方向および周方向の両方向に非開口である該壁面内の開口部となっている。
【0033】
なお本実施形態では、
図2および
図3に示すように、周方向のうち、内孔38がなす螺旋が上方から下方に向かう方向は、前記凹部画成部22の第2突条部24が第1突条部23から延在する方向と一致している。以下、この方向を一方側といい、周方向に沿って一方側とは反対側を他方側という。
【0034】
図1に示すように、回転筒部32の下端は、装着筒部13の下端と容器軸O方向の位置が同等であるとともに、回転筒部32の上端は、基筒部31の上端と容器軸O方向の位置が同等となっており、回転筒部32は、装着筒部13および基筒部31に一体に外挿されている。さらに回転筒部32は、基筒部31を上方から覆う有頂筒状に形成されている。
【0035】
回転筒部32の内周面には、装着筒部13の前記周溝部37が配置された周条部39が形成されている。そして、回転筒部32において周条部39よりも上側に位置する孔形成部分は、基筒部31の前記孔形成部分を径方向の外側から囲繞している。回転筒部32の前記孔形成部分には、径方向の内側に向けて開口する外孔40が形成されている。
外孔40は、容器軸Oを間に挟むように回転筒部32の前記孔形成部分に一対、配設されており、容器軸O方向に延在している。また、これらの外孔40は、互いに同形同大となっている。図示の例では、外孔40は、回転筒部32の前記孔形成部分の内周面に溝状に形成されて径方向の外側に向けて非開口となっている。
【0036】
塗布具17は、基筒部31に装着される基部42と、基部42から下方に向けて延設された棒部43と、前記塗布部16と、を備えている。
塗布部16は、棒部43の下端に装着されるとともに、弾性変形可能なブラシ状に形成されている。
【0037】
基部42は、外径が基筒部31の内径よりも若干小さい有頂円筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。基部42の頂壁部42aには、容器軸Oと同軸に配置された垂下筒部41が、下方に向けて延設されている。垂下筒部41は、前記立ち上がり筒部33とほぼ同径とされ、立ち上がり筒部33に上方から対向している。
また基部42の下端には、径方向の外側に向けて突出する装着突起44が設けられている。装着突起44は、容器軸Oを間に挟むように一対配設され、基筒部31の内孔38および回転筒部32の外孔40に一体に挿通されている。
【0038】
棒部43は容器軸Oと同軸に配置されており、棒部43の上端は、基部42の前記垂下筒部41内に嵌合され、棒部43の下端は、容器本体11の胴部18内におけるしごき部材26の下端よりも下方に位置している。そして棒部43は、前記立ち上がり筒部33内、前記内フランジ部36内および前記シール部材45内に挿通されるとともに、棒部43において、シール部材45の下端よりも下側に位置する下側部分43aは、該下端よりも上側に位置する上側部分43bよりも外径が大きくなっている。棒部43の下側部分43aの外径は、しごき片28の内径よりも若干大きくされるとともに、棒部43の上側部分43bの外周面は、シール部材45の内周面に摺接している。
【0039】
以上のように構成された塗布具付き容器10は、例えば搬送時や店舗における陳列時など、使用を開始する前の流通段階では、塗布具17が後退端位置に位置している。このとき、塗布具17の棒部43において上側部分43bと下側部分43aとを連結する段部と、シール部材45の下端とが当接するとともに、塗布部16の下端と、容器本体11の底部15との間に、容器軸O方向に隙間があいている。またこのとき、回転筒部32の頂壁部32aには、塗布具17の基部42の頂壁部42aが下方から当接している。
【0040】
そして本実施形態では、キャップ体14には、塗布具17が前進端位置に位置するときに上方に向けて付勢する付勢部材52が備えられている。なおこの付勢部材52は、
図1に示すように塗布具17が後退端位置に位置するときには、塗布具17の基部42を非付勢状態で支持している。
【0041】
付勢部材52は、容器軸Oと同軸に配置された筒状に形成され、例えば樹脂ばね、金属ばね(コイルスプリングなど)、ゴム製部材、エラストマー樹脂製部材等により構成することが可能である。付勢部材52は、基筒部31の前記孔形成部分内に配置されるとともに、塗布具17の前記基部42の頂壁部42aと基筒部31の前記縦リブ部31aとの間に介装されている。付勢部材52の上端は、前記基部42の頂壁部42aと垂下筒部41との間に設けられた隙間に配置されている。また付勢部材52の下端は、基筒部31と前記立ち上がり筒部33との間に設けられた隙間に配置されている。
なお付勢部材52は、回転筒部32および基部42のうちのいずれか一方と一体に成形されていてもよい。
【0042】
また本実施形態では、塗布具17が後退端位置に位置するときには、
図3に示すように、塗布具17の前記装着突起44が、基筒部31の前記内孔38における周端部38a、38bのうち、上側に位置する上周端部38aに位置している。
そして、内孔38を画成する壁面には、塗布具17が後退端位置に位置し、前記装着突起44が上周端部38aに位置するときに、装着突起44に離脱自在に係止する位置保持部53が形成されている。位置保持部53は、内孔38を画成する壁面のうち、下方を向くガイド壁面50aに形成されている。
【0043】
ここでガイド壁面50aは、内孔38の前記上周端部38aを画成する上側壁部55aと、内孔38における周端部38a、38bのうち、下側に位置する下周端部38bを画成する下側壁部55bと、これらの上側壁部55aと下側壁部55bとを連結する中間壁部55cと、により構成されている。本実施形態では、上側壁部55a、中間壁部55cおよび下側壁部55bは、滑らかに連結されており、前記一方側に向かうに従い漸次、下方に向けて傾斜している。なお、上側壁部55aおよび下側壁部55bは、容器軸Oに直交する図示しない直交面に平行に延在していてもよい。
そして前記位置保持部53は、前記ガイド壁面50aにおける前記上側壁部55aと前記中間壁部55cとの接続部、または前記上側壁部55a上に配設された突起により構成されており、上周端部38aに配置された装着突起44に前記一方側から係止する。
【0044】
さらに本実施形態では、内孔38を画成する壁面には、装着突起44が下周端部38bに位置するときに、装着突起44に離脱自在に係止する突起規制部54が形成されている。突起規制部54は、前記ガイド壁面50aにおける前記下側壁部55bと前記中間壁部55cとの接続部、または前記下側壁部55b上に配設された突起により構成されており、下周端部38bに配置された装着突起44に前記他方側から係止する。
【0045】
なお後述するように、装着突起44が下周端部38bに位置するときには、塗布具17が前進端位置に位置することとなる。このとき、塗布具17が付勢部材52により付勢されることで、装着突起44は、内孔38の前記ガイド壁面50aにおける前記下側壁部55bに下方から当接している。
【0046】
次に、前記塗布具付き容器10の作用について説明する。
内容物を塗布する際には、
図1に示すように、容器本体11の口部12にキャップ体14を装着させた状態で、回転筒部32を基筒部31に対して前記一方側に回転させる。
【0047】
すると
図3に示すように、装着突起44が位置保持部53を乗り越えて、位置保持部53の装着突起44に対する係止が解除される。その後、装着突起44は、内孔38および外孔40の双方に沿って下方に移動させられることとなり、このとき、塗布具17が、付勢部材52を弾性変形させながら、付勢部材52による上方に向けた付勢力に抗して容器軸O方向に後退端位置から前進させられる。
【0048】
そして装着突起44が、前記突起規制部54を乗り越えて、内孔38の下周端部38bに配置されると、この装着突起44には、内孔38を画成する壁面のうち、前記他方側を向く規制壁面(回転規制部)50bが前記一方側から当接し、装着突起44の更なる移動が規制される。このとき、塗布具17の前進も規制され、塗布具17が前進端位置に位置することとなる。
以上のように、塗布具17を容器軸O方向に前進端位置まで前進させ、塗布具17のキャップ体14からの突出量を増やすと、本実施形態では
図4に示すように、塗布部16の下端が容器本体11の底部15に当接または圧接する。
【0049】
次に、キャップ体14を容器本体11から離脱させる。このとき本実施形態では、塗布具17が前進端位置に位置した状態で、さらに回転筒部32を前記一方側に向けて回転させる。すると
図3および
図4に示すように、回転筒部32の前記外孔40を画成する壁面のうち、前記一方側を向く押圧壁面(係合部)50cが、前記下周端部38bに配置された装着突起44に前記他方側から当接する。ここで前述のように、装着突起44は内孔38の規制壁面50bに当接していることから、基筒部31に対する回転筒部32の前記一方側に向けた回転が規制される。このとき、外孔40の前記押圧壁面50cは、装着突起44を介して規制壁面50bを押圧することとなる。
【0050】
したがって、回転筒部32に加えられた前記一方側に向けた回転力が、前記押圧壁面50c、装着突起44、前記規制壁面50bおよび基筒部31を介して、回転筒部32から装着筒部13に伝達される。これにより、回転筒部32および装着筒部13が容器本体11の口部12に対して共回りさせられ、装着筒部13が容器本体11の口部12に対して前記一方側に向けて回転させられることとなる。
【0051】
すると
図5に示すように、装着筒部13の爪部34が、前記凹部画成部22の第3突条部25(
図2参照)を前記一方側に乗り越えることで、配置凹部21から離脱される。その後、キャップ体14と容器本体11とを容器軸O方向に相対的に離間移動させ、装着筒部13の爪部34に、前記口部12において周方向に互いに隣り合う凹部画成部22同士の間を通過させる。これにより、キャップ体14が前記口部12から離脱される。
以上のようにしてキャップ体14を容器本体11の口部12から離脱させた後、塗布部16に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
【0052】
内容物の塗布を終了し、キャップ体14を容器本体11に装着させるときには、
図5に示すように、キャップ体14に装着された塗布具17をその先端から前記口部12内に進入させる。その後、キャップ体14と容器本体11とを径方向および周方向に位置合わせしながら、キャップ体14と容器本体11とを容器軸O方向に相対的に接近移動させ、装着筒部13の爪部34に、前記口部12において周方向に互いに隣り合う凹部画成部22同士の間を通過させる。
【0053】
その後、回転筒部32を前記他方側に回転させる。このとき、回転筒部32と装着筒部13とが前記他方側に共回りすると、装着筒部13の爪部34が、前記凹部画成部22の第3突条部25を乗り越えて配置凹部21内に配置され、装着筒部13が前記口部12に装着される。
【0054】
またこのとき、例えば装着筒部13の爪部34が、前記凹部画成部22の第3突条部25や第1突条部23に当接すること等により、装着筒部13の前記口部12に対する回転が規制され、回転筒部32が基筒部31に対して前記他方側に回転することになる。このとき、
図3に示すように、装着突起44が内孔38および外孔40の双方に沿って上方に移動することで、塗布具17が容器軸O方向に後退しようとする。
【0055】
すると、まず装着突起44が、突起規制部54を乗り越えて突起規制部54の装着突起44に対する係止が解除される。その後、装着突起44が、内孔38および外孔40の双方に沿って上方に移動し、位置保持部53を乗り越えて内孔38の上周端部38aに位置して、内孔38を画成する壁面のうち、前記一方側を向く壁面に当接または近接する。これにより、塗布具17が前進端位置から後退端位置まで後退し、塗布具17のキャップ体14からの突出量が元に戻る。
【0056】
ここで塗布具17が、前進端位置に位置するときに付勢部材52により上方に向けて付勢されているので、装着突起44は、内孔38および外孔40の双方に沿って上方に円滑に移動する。なお本実施形態では、塗布具17は、前進端位置から後退端位置に至るまでの全長にわたって付勢部材52により付勢される。
【0057】
なお、塗布具付き容器10の未使用時には、
図3に示すように、位置保持部53が装着突起44に係止することにより、装着突起44が内孔38および外孔40の双方に沿って下方に移動するのが規制されることとなる。したがって、回転筒部32を基筒部31に対して意図せず僅かに回転させたときに塗布具17が前進するのを抑え、塗布具17の容器軸O方向の位置を安定させることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布具付き容器10によれば、キャップ体14を容器本体11から離脱させる前に、塗布具17のキャップ体14からの突出量を増やし、塗布部16を容器本体11の底部15に近接、当接または圧接させることができる。
したがって、容器本体11内の内容物が減少することにより、例えば塗布具17が後退端位置に位置するとき等に、塗布部16が容器本体11内の内容物に十分に接触しなくなった場合でも、塗布部16を内容物内に改めて進入させることができる。また、塗布部16の内容物との接触量(面積)が小さくなった場合には、その接触量を増やすことができる。さらに、容器本体11内の底部15上に内容物が僅かに残留している場合には、底部15上に塗布部16を当接または圧接させて内容物を塗布部16に保持させることができる。
以上により、容器本体11内の内容物が減少しても塗布部16に内容物を保持させ易くして、残量を減少させることができる。
【0059】
また、当該塗布具付き容器10を使用して内容物を塗布する際に、キャップ体14からの塗布具17の突出量を増やした後、元に戻すことができるので、当該塗布具付き容器10の未使用時には、塗布部16を容器本体11の底部15から離間させておき、使用する際に、塗布部16を容器本体11の底部15に当接させたり圧接させたりすることができる。このように、未使用時に塗布部16を容器本体11の底部15から離間させておくことにより、容器本体11の底部15から塗布部16に負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部16の耐久性を確保し易くすることができる。
【0060】
また塗布具17が、前進端位置に位置するときに付勢部材52により上方に向けて付勢されているので、装着突起44の内孔38および外孔40の双方に沿った上方への移動を円滑に行うことが可能になり、塗布具17を少ない力でスムーズに後退させることができる。
【0061】
さらに、内容物を塗布する際、回転筒部32を前記一方側に向けて回転させるだけで、塗布具17を前進端位置まで前進させることだけでなく、キャップ体14を容器本体11の口部12から離脱させることもできるので、塗布具付き容器10の操作性を向上させることができる。
しかも本実施形態では、回転筒部32に加えられた前記一方側に向けた回転力が、前記押圧壁面50c、装着突起44、前記規制壁面50bおよび基筒部31を介して、回転筒部32から装着筒部13に伝達されるので、前述のように塗布具付き容器10の操作性を向上させつつ、当該塗布具付き容器10の構造が複雑になるのを抑えることができる。
【0062】
また、内孔38の前記ガイド壁面50aに前記突起規制部54が形成されているので、塗布具17が前進端位置に位置するときに、付勢部材52により塗布具17を上方に付勢するだけでは、装着突起44に対する突起規制部54の係止が解除されずに、付勢部材52による付勢に加えて回転筒部32を基筒部31に対して前記他方側に回転させることにより、装着突起44に対する突起規制部54の係止が解除されるように構成することができる。これにより、回転筒部32を基筒部31に対して回転させていないときに、塗布具17が不意に後退させられるのを抑制しつつ、回転筒部32を基筒部31に対して回転させたときに、塗布具17を確実に後退させることができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、遮光膜20、しごき部材26およびシール部材45はなくてもよい。
【0064】
また、塗布部16は前記実施形態に示したものに限られず、例えば含浸または付着などにより内容物を保持するように適宜構成を変更することが可能である。例えば、塗布部として、基部材にフロッキー加工を施すことにより、基部材の表面に植毛部が形成されてなる構成を採用してもよい。また塗布部として、スポンジ状や匙(スパチュラ)状の構成などを採用することも可能である。
【0065】
また前記実施形態では、位置保持部53が、内孔38の前記ガイド壁面50aに配設された突起により構成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、前記ガイド壁面50aの前記上側壁部55aを、装着突起44を配置可能に上方に窪ませ、この窪みを突起規制部としてもよい。
さらに前記実施形態では、位置保持部53が内孔38を画成する壁面に形成されているものとしたが、内孔38および外孔40のうちの少なくとも一方を画成する壁面に形成されていてればよく、外孔40を画成する壁面に形成されていてもよく、さらに両方の壁面に形成されていてもよい。
さらにまた、位置保持部53はなくてもよい。
【0066】
また前記実施形態では、突起規制部54が、内孔38の前記ガイド壁面50aに配設された突起により構成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、前記ガイド壁面50aの前記下側壁部55bを、装着突起44を配置可能に上方に窪ませ、この窪みを固定部としてもよい。
さらに前記実施形態では、突起規制部54が内孔38を画成する壁面に形成されているものとしたが、内孔38および外孔40のうちの少なくとも一方を画成する壁面に形成されていてればよく、外孔40を画成する壁面に形成されていてもよく、さらに両方の壁面に形成されていてもよい。
さらにまた、突起規制部54はなくてもよい。
【0067】
また前記実施形態では、回転筒部32の外孔40は、径方向の外側に向けて非開口であるものとしたが、開口していてもよい。
さらに前記実施形態では、内孔38が、周方向に螺旋をなすように延在し、外孔40が、容器軸O方向に沿って延在するものとしたが、これに限られず、内孔38が、容器軸O方向に沿って延在するものとし、外孔40が、周方向に螺旋をなすように延在していてもよい。つまり、内孔38および外孔40のうちのいずれか一方が、周方向に螺旋をなすように延在し、他方が容器軸O方向に延在していればよい。
なお、外孔40が周方向に螺旋をなすように延在している場合、周方向のうち、外孔40がなす螺旋が上方から下方に向かう方向と、塗布具17を前進させるときに基筒部31に対して回転筒部32を回転させる方向と、は、前記実施形態とは異なり互いに反対側を向くこととなる。
【0068】
また前記実施形態では、塗布具17が前進端位置に位置するときに、係合部としての回転筒部32の前記押圧壁面50cが、回転規制部としての基筒部31の前記規制壁面50bを、装着突起44を介して前記他方側から押圧するものとしたが、これに限られない。
例えば、回転筒部32の内周面および基筒部31の外周面それぞれに、係合凸部が各別に設けられ、塗布具17が前進端位置に位置するときに、回転筒部32側の係合凸部(係合部)が、基筒部31側の係合凸部(回転規制部)に前記他方側から係合してもよい。
また
本発明の参考例では、前記回転規制部および前記係合部はなくてもよい。
【0069】
また前記実施形態では、装着筒部13は、容器本体11の口部12に外挿されているものとしたが、内挿されていてもよい。
さらに前記実施形態では、容器本体11の口部12の前記配置凹部21に、装着筒部13の前記爪部34が配置されることにより、装着筒部13が前記口部12に着脱自在に装着されているものとしたが、これに限られるものではなく、装着筒部13として、口部12に対して容器軸O回りに回転させられることにより口部12に着脱される構成などを適宜採用することが可能である。例えば、装着筒部13を口部12に螺着させてもよい。また、装着筒部13として、口部12に対して容器軸O回りに回転させなくても口部12に着脱させることができる構成を採用してもよい。
【0070】
また前記実施形態では、塗布具17が、前進端位置から後退端位置に至るまでの全長にわたって付勢部材52により付勢されるものとしたが、前進端位置に位置するときに付勢部材52により上方に向けて付勢されていれば、全長にわたって付勢されていなくてもよい。
【0071】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。