【実施例1】
【0010】
本実施例の電子レンジ加熱用容器1は、
図1〜
図4に示すように、内面に発熱体11を設けた1枚のブランク2を折り曲げて角筒状に組立てられる容器であって、前記ブランク2は、略矩形のシートからなり、天面形成部3と、一方の立面形成部4と、底面形成部5と、他方の立面形成部6とを、それぞれ折曲線L1〜L3を介して連接した構成からなっている。
【0011】
本実施例で、容器1は、
図2に示したように断面矩形の角筒状(箱形)の場合を例示したが、断面形状は上記実施例に限定されず、任意の多角形状、円形・楕円形状、半円形・半楕円形状などであってもよい。
【0012】
[天面形成部]
天面形成部3は略長方形状からなっており、長手方向の端縁側にブランク2の折り曲げ姿勢を拘束する掛止手段の一方、図示例では掛止受部30が、1又は複数(図示例では2つ)設けられている。
掛止受部30は、天面形成部3の端縁部に沿って穿設された略円弧状の凹部からなっているが、凹部の開口側を塞いで後述の掛止片部40を下から挿入可能なほぼ同形状とした孔であってもよい。
【0013】
該掛止受部30は、先端の開口部から内側(天面形成部3の中央)に向かって切り欠かれており、その両側の辺の中途位置に開口幅を狭めるように突出する一対の突部31が形成されており、該突部31の奧側の裾野部分に掛止用のスリット32が形成されている。
そして、前記スリット32間を結ぶように内側に湾曲する円弧状の辺33が形成されている。
【0014】
また、天面形成部3には、排熱孔が設けられている。
前記掛止受部30も平板状の掛止片部40を掛け止めた後に円弧状の辺33で囲まれた排熱孔として機能しうるが、本実施例では更に第1排熱孔形成部7と、第2排熱孔形成部12とが形成されている。
【0015】
[第1排熱孔形成部]
第1排熱孔形成部7は、天面形成部3と該天面形成部3と連設する立面形成部4との間の折曲線L1に両端が接し中間部分が天面形成部3側に突片状、図示例では略円弧状に形成された切抜線9からなっている。
従って、容器組立時に、天面形成部3を立面形成部4に対して折曲線L1に沿って直角に折り曲げることで第1排熱孔形成部7は切抜線9で囲まれた部分が立面14と一連に延びる略円弧状の突片17(後述の脚部形成片8と同様の突片)となって天面13に対して直交し、天板13上に排熱孔7aを開口することができる(
図2参照)。
【0016】
[第2排熱孔形成部]
第2排熱孔形成部12は、天面形成部3の中途位置に形成された切抜線からなっており、図示例では、円弧状等の突片状の切抜線12aと、該突片状の切抜線の両端間を結ぶ線で、前記円弧状の切抜線の両端と離間した位置に両端が設けられた切抜線12bとからなっており、図示例では略半円状に形成されている(
図2参照)が、この発明では、無端状に連続せずに1又は複数個所に非切断部を有するものであればよく、その全体形状は特に限定されない。なお、切抜線12aは、角がなく、湾曲している方が好ましい。
【0017】
第2排熱孔形成部12は、図示例の場合、天面形成部3の長手方向の中央を通る中心線に対して、円弧状の切抜線が中心線を向くように左右対称に配置したが、この配置は特に限定されず、任意の向きに配置してもよい。
また、長手方向に一列に並べたが、複数列やジグザグ状、散点状などの適宜配置にしてもよい。
第2排熱孔形成部12は、容器組立後に適宜に全部又は一部を切り抜いたり折り曲げて開口してもよいが、開口せずにそのままとしておいてもよい。
あらかじめ開口しておかない場合には、容器の内部がある一定以上の過加熱状態になると第2排熱孔形成部12が(PETの収縮や原紙の反りに起因する)容器の反り、第2排熱孔形成部12の部位の収縮に伴い、変形して自動的に開口し、放熱することができる。
【0018】
[一方の立面形成部]
一方の立面形成部4は幅狭な長方形状で、図示例では天面形成部3に対して長手方向の両端が短く設定されて、第1の折曲線L1を介して前記天面形成部3と連設されている。
ここで第1の折曲線L1は、点線状の切目(全切り線又は半切り線)からなっているが、切目でなくても折り曲げのガイドとなるものであればよい。
図示例で立面形成部4は、組立時の高さ方向の中間位置に前記第1の折曲線L1と平行に厚み調整折り線G2が設けられている。
厚み調整折り線G2は1本設けられているが、複数本を平行に設けて、適宜に折り曲げ用のガイド線を選択し折曲げ高さを調整しうるようにしてもよい。
【0019】
[底面形成部]
底面形成部5は、一方の縁部が第2の折曲線L2を介して前記立面形成部4と連設されており、他方の縁部が第3の折曲線L3を介して他方の立面形成部6と連設されている。
底面形成部5は、前記天面形成部3と対峙するように天面形成部3と同じ略矩形状からなっている。
ここで、底面形成部5の長手方向の長さは天板形成部3と同じであるが、短手方向の長さは、天面形成部3の第1の折曲線L1から掛止用のスリット32までの長さに対応している。
【0020】
[脚部形成片]
そして、前記第2の折曲線L2と接するように脚部形成片8が複数(図示例では4つ)形成され、同様に第3の折曲線L3と接するように脚部形成片8が複数(図示例では4つ)形成されている。
即ち、底面形成部5の左右の縁部側には脚部形成片8を囲むように略円弧状の切抜線9が形成されており、該切抜線9は中央側に向かって塞がり両端が開放されている。
【0021】
そして、切抜線9の開放された端部間には第2又は第3の折曲線L2、L3は形成されず、その外側に形成される。
上記構成は前記第1排熱孔形成部7の切抜線と同様である。
脚部形成片8は突片であればよくその形状は特に限定されないが、脚部18となった際に電子レンジの室内で起立しうるよう脚部18の先端が同一面上に揃うように形成されていればよい。
また、脚部形成片8は平面形状に限らず、折り曲げてもよい。
【0022】
前記底面形成部5に形成された左右一対の脚部形成片8は、折曲線L2、L3を介さず立面形成部4、6と一連となっている。
これにより、前記折曲線L2、L3に沿って立面形成部4、6と底面形成部5とを折り曲げると、脚部形成片8は底面形成部5と共に折れ曲がらずに立面形成部4、6の延長上に延びて容器の底面に対して直角となる一対の脚部18となる(
図2(b)参照)。
【0023】
そして、該脚部形成片8が抜けた個所は底面15に形成される穴10'となる。
前記底面形成部5には、前記穴10'とは別に複数の穴10(10個)が縦横に略等間隔に配置されている(
図2(b)参照)。
本実施例では、穴10は予め穿設されているが、穴の配置に沿って穴の形状に沿った点線状の切抜線を形成しておき、必要な個所の切抜線を切り取って穴10を開口するようにしてよい(図示せず)。
【0024】
[他方の立面形成部]
他方の立面形成部6は一方の立面形成部4と同じ形状で、第3の折曲線L3を介して前記底面形成部5と連設されている。
ここで第3の折曲線L3は、点線状の切目からなっているが、切目でなくても折り曲げのガイドとなるものであればよい。
上記他方の立面形成部6は、前記一方の立面形成部4と同様に、組立時の高さ方向の中間位置に前記第3の折曲線L3と平行に、1又は複数本(図示例では1本)の厚み調整折り線G3が設けられている。
この発明では、厚み調整折り線G2、G3はいずれも設けなくてもよいし、設ける場合もいずれか一方だけでもよい。また、厚み調整折り線G2、G3は、スリットでも、押し罫でも、ミシン目でもよい。
【0025】
[掛止片部]
他方の立面形成部6には、ブランク2の折り曲げ姿勢を拘束する掛止手段の他方、本実施例では掛止片部40が前記他方の立面形成部6の端縁部に一体に連接して外方へ延びている。
該掛止片部40は、図示例の場合、先端41が幅広で基端42となる他方の立面形成部6の端縁部側が幅狭となる略梯形状からなっている。
【0026】
本実施例では、掛止片部40は掛止受部30に対応して左右に2つ設けられている。
これにより、底面形成部5の両端の第2折曲線L2及び第3折曲線L3に沿って、それぞれ立面形成部4及び6を直角に折り曲げて直立させ、更に第1折曲線L1に沿って天面形成部3を直角に折り曲げて水平にし、直立した掛止片部40を水平の掛止受部40内で円弧状に辺33に向かって押し込み、力を解放すると掛止片部40が平面状に復帰すると共に、その左右の幅狭な基部42がスリット32に嵌合し、交差した状態で掛け止められてロックされ、容器1が箱形姿勢に組み立てられる。
【0027】
[発熱体]
発熱体11は、マイクロ波によって発熱する別体の発熱シートを、ブランク2の内面の一部又は全部に貼り付ける構成、またはブランク2の内面の一部又は全部にマイクロ波によって発熱する発熱層を積層形成するものでもよい。
例えばブランク2の上下に対向する面(天面形成部3と底面形成部5と)に発熱体11を設ける構成や、ブランク2の内面全域に形成するなど適宜に形成することができる。立面14、16に発熱体11を設けることによって、食品の側面(特に皮面)もカリッと焼くことができる。
【0028】
図5に一例を示す発熱体11は、ブランク2の原紙2a上に積層された構造を示す。
図5(a)では、原紙2aの上にアルミ蒸着層11aが積層され、その上にPET層11bが積層され、マイクロ波を透過させて発熱させる構造からなっている。
図5(b)では、原紙2aの上に過加熱を防ぐセグメント状のアルミ箔層11cを配置し、その上にPET層11bが積層されて、加熱を抑制しながら加熱する構造からなっている(特開2006−75617号参照)。
図5(c)では、原紙2aの上にセグメント状のアルミ箔層11cを配置し、その上にアルミ蒸着層11aとPET層11bとを積層して、発熱と均一加熱を同時に実現する構成からなっている。基層は、原紙に限定されず、樹脂でもよい。
この発明では発熱体11の構造については上記実施例に限定されず、公知の発熱体を用いることができる。
【0029】
[組立方法]
図2に示すように、ブランク2の天面形成部3と底面形成部5とが上下に平行となる天面13と底面15となり、一対の立面形成部4,6が略垂直に立ち上がって立面14、16となるように、折曲線L1〜L3を折り曲げて、角筒形状とする。
この折り曲げに伴って、底面15に形成された脚部形成片8が脚部18となって底面15を中空に保持する。
同様に、天板13に形成された第1排熱孔形成部7が突片となって起立し、切り抜かれた開口が排熱孔7aとなる。
【0030】
また、前述のように天面13の掛止受部30に、立面16の掛止片部40を嵌め込むと交差状に掛止められて、容器1を箱形姿勢にロックすることができる。
これにより掛止手段の掛止片部40と掛止受部30とが二重に重なり合うことがないので、過加熱を防止することができる。
また、食材の厚みに応じて、立面14、16の厚み調整折り線G2、G3を外向きに折り曲げることで、容器1の高さを低く設定することができる。
【0031】
また、一方の立面のガイド線だけを折り曲げれば、天面13が傾斜面となり、厚い部分と薄い部分とからなる食材であってもほぼ均等に加熱することができる(
図8参照)。