特許第5745405号(P5745405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5745405固定軌道上の車両を制御するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745405
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】固定軌道上の車両を制御するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 21/04 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   A63G21/04
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-521151(P2011-521151)
(86)(22)【出願日】2009年6月30日
(65)【公表番号】特表2011-529721(P2011-529721A)
(43)【公表日】2011年12月15日
(86)【国際出願番号】US2009049141
(87)【国際公開番号】WO2010014331
(87)【国際公開日】20100204
【審査請求日】2012年7月2日
(31)【優先権主張番号】12/182,465
(32)【優先日】2008年7月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】キング,スティーヴン・モリス
(72)【発明者】
【氏名】ブラム,スティーヴン・シー
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ジャスティン・マイケル
【審査官】 中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/084330(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0157563(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0106455(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0121957(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0122594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 21/04
G06F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上に配置された複数の車両を単独のオペレータが制御するシステムにおいて、
前記少なくとも1つの車両であって、
該車両の属性を制御するように構成された車載制御装置と
認証信号を受信し、該認証信号が認証されたアクセスに対応するかどうかを決定し、前記認証信号が、認証されたアクセスに対応するように決定されているかどうかに基づいて前記車載制御装置の構成へのアクセスを制御するように構成されたオペレータ認証及び識別装置と、を有する車両と、
オペレータが保持できるように寸法決め及び設計されており、更に、前記オペレータ認証及び識別装置に対して前記認証信号を遠隔で与えるように構成された電子装置とから成るシステム。
【請求項2】
前記車載制御装置が前記車両の発進、減速、停止、ロード、アンロード、座席調整、安全具の調整、車両のメンテナンスのためのアクセスのうちの1つ以上を含む車両の属性を制御するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記車載制御装置が前記車両に配置された車載制御パネルを含み,前記車載制御装置の構成のためのインターフェースを提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記車載制御装置が、RFIDリーダが含まれる前記オペレータ認証及び識別装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電子装置が、オペレータが携帯するワンドに取り付けられるようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電子装置が、オペレータが装着する物品に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記車載制御装置に前記電子装置が接近しない限り、前記車載制御装置の構成へのアクセスがブロックされるようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子装置が車載制御装置の近傍にあるとき、及び前記認証信号が認証されたアクセスに対応すると判定されたとき、前記車載制御装置は当該車載制御装置の構成へのアクセスを促進するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、前記車両の前記車載制御装置と通信する非車載型制御装置を含み,前記車載制御装置がさらに、オペレータ入力を格納し、前記非車載型制御装置に対して前記入力を通信するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
スチールローラコースターまたは丸太ウォーターシュートを含み、前記車両が前記スチールローラコースターまたは丸太ウォーターシュートの構成物であり、前記車載制御装置がアクティブモードRFIDリーダを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
先頭車両及び一台以上の後続の車両を含み、前記先頭車両が前記車載制御装置を含む唯一の車両であり、前記車載制御装置が前記先頭車両及び前記一台以上の後続車両を制御するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
軌道上に配置された複数の車両を単独のオペレータが制御するシステムにおいて、
車両の車載制御装置の構成への非認証アクセスを阻止するステップと、
オペレータ認証及び識別装置を介して、前記車載制御装置にアクセスすることを認証されたオペレータが装着した電子装置から送信される認証信号を受信するステップと、
前記認証信号に基づいて前記オペレータのID又はクラスを判定するステップと、
前記オペレータのID又はクラスに基づいて前記車載制御装置を介してオペレータ認証を確認するステップと、
前記確認された認証に基づいて前記車載制御装置へのアクセスするID特定またはクラス特定構成を与えるステップ、とを備えた方法。
【請求項13】
前記車載制御装置より、発進、減速、停止、ロード、アンロード、座席調整、安全具の調整、車両のメンテナンス、見せ物要素、性能管理のうちの1つ以上を制御するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記認証を行うステップには、無線周波数識別タグからの認証信号を受信するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記車載制御装置を介してオペレータ入力を格納するステップと、前記車載制御装置を介して非車載制御装置への前記入力を通信するステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ID特定またはクラス特定構成アクセスが車載制御パネルを介して前記車載制御装置に提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記オペレータに前記車載制御装置へアクセスを与えて、前記車両の検査状態を更新し、固定軌道の車両に対して指示をするステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
軌道上に配置された複数の車両を単独のオペレータが制御するシステムにおいて、
非車載制御装置と、
該非車載制御装置からの通信に応答するように構成された少なくとも1つの車両であって、車載制御装置と、認証信号を受信し、該受信信号が認証されたアクセスに対応しているかどうかを判定し、前記認証信号が、認証されたアクセスに対応すると判定されたとき、前記車載制御装置が、前記非車載制御装置によってアクションを開始させるようにするように構成された、オペレータ認証及び識別装置と、
オペレータが保持できるように寸法決め及び設計されており、更に、前記オペレータ認証及び識別装置に対して前記認証信号を遠隔で与えるように構成された電子装置とから成るシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定軌道上に存在する車両に関する。本発明は、特に、固定軌道上に存在する車両を制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀初頭より、列車、工場内の貨物車両、遊園地の乗り物車両など、所定の軌道上に存在する車両の制御は、産業の成長と顧客満足度に大きく影響してきた。遊園地の場合、ゲストは、大型で進歩した、精巧な乗り物車両を求めているだけでなく、乗り物車両に乗るまでの待ち時間がどんどん短縮されていくことを含めて、園内で快適な時間を過ごすことを期待し、必要としている。このため、遊園地の管理においては、顧客満足度と安全という2つの重要な懸案事項を両立させる必要がある。
【0003】
ジェットコースタから丸太下りに至る多数の乗り物の車両用の統合制御システムは周知である。これまでは、人間のオペレータが、乗り物の軌道に沿って制動機構を制御して、車両の間隔を維持していた。最近は、軌道上に設置したセンサを用いて車両の制動を行うと共に車両の間隔を制御している。また、車輪又は各車両の平盤(platen)に接続しているその他の軌道上の駆動要素から成る、平盤に取り付けられた複数の駆動装置を用いて、軌道上の全ての地点において乗り物車両の運転制御と速度制御を行っているアトラクションもある。この制御システムは、基本的に、乗り場にあるオペレータ用の制御盤で行う乗り物車両の制御に限られている。オペレータが制御盤で行える制御は、制動に加え、発進、帰還、その他の微調整である。
【0004】
最近、バクスター(Baxter)らによる欧州特許第0667798B1号において、車載制御システムが開示された。ここでは、ステアリング、速度、乗客支承構造に関連する動作ベースの関節のいずれかの形式で特定車両の動作の制御を行う車載制御システムが開示されている。この制御は、プログラム可能な動作パターンに基づいて行われる。この動作パターンは、乗り物車両プログラムの命令シーケンスに定められており、この動作パターンによって、設定寸法を含めた相互の位置関係が決まる。
【0005】
上述のような制御システムでは、多くの場合、車両の発進に2人のオペレータが必要なので、まだ不十分である。例えば、ジェットコースタの場合、1人のオペレータが、ショルダーバーやシートベルトなど、客車の安全機能を点検し、もう1人のオペレータが、オペレータ制御盤を担当しなければならない。従って、乗り物車両ごとの労務費は、事実上2倍になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,583,844A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、現時点では、固定軌道上の車両を制御するシステム又は方法として最適なものが存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、固定軌道上の車両を制御するオペレータの認証を行うシステム及び方法を開示する。
【0009】
本発明の一実施形態において、固定軌道上の車両を制御する乗り物車両のオペレータの認証を行うシステムを開示する。このシステムは、オペレータの認証後、そのオペレータによる制御を許可するように設定された車載制御システムを備えた1台以上の乗り物車両と;オペレータが保持できるように寸法決め及び設計されており、車載制御システムのオペレータ制御の認証を遠隔でも行えるように設定された電子装置とから成る。
【0010】
他の実施形態において、遊園地の乗り物車両を制御する乗り物車両のオペレータの認証を行う方法を開示する。この方法には、車載車両制御システムによりオペレータの認証を行うステップが含まれる。車両制御システムに、この車両システムと通信する電子装置が接近すると、この車両制御システムのオペレータ制御が許可される。
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るその他の特徴や利点について更に詳しく説明する。
【0012】
添付図面それぞれについての簡単な説明を次に記載する。
【0013】
添付図面においては、共通の要素には共通の参照符号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に基づき、無線電子装置によりオペレータのアクセス権限を確認する車載制御システムを備えた、軌道上の或る位置に配置された一車両を示す図である。
図2】本発明の実施形態にかかる電子装置を備えた、認証グローブを示す図である。
図3図2の電子装置の模式図である。
図4】軌道の或る位置に配置された複数の乗り物車両と、図2の認証グローブを装着したオペレータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態には、遊園地の乗り物車両の制御と、乗り物車両の目的地要求の少なくともいずれかを行う乗り物車両のオペレータを認証するシステムが含まれる。このシステムは、オペレータの認証後、車載制御システムのオペレータ制御を許可するように設定された車載制御システムを備えた1台以上の乗り物車両と;オペレータが保持できるように寸法決め及び設計された電子装置とから成る。この電子装置は、この車載制御システムのオペレータ制御の認証を遠隔でも行えるように設定されている。本発明の具体的な利点としては、例えば、オペレータが車載システムと直接交信できるようになるので、車両の制御を行う権限を2人以上に付与する必要がなくなることが挙げられる。
【0016】
これより、図面を参照しながら具体的な構成や配置を例示して本発明を説明するが、これはあくまでも説明目的において示されたもので、当業者に想起可能なその他の構成や配置で本発明にかかる実施、利用、又は販売を行っても、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0017】
本明細書において、「一」又は「1つ」の後に単数形で記載されている要素又は機能は、特に明記しない限り、その要素又は機能が複数存在する可能性がある。また、本発明の特許請求の範囲にかかる「一実施形態」という表現は、記載の特徴が同様に組み込まれたその他の実施形態が存在する可能性を排除するものではない。
【0018】
本発明にかかる様々な実施形態の個々の特徴は、あくまでも説明の便宜上、図面によっては記載されていないことがある。ある図面に記載の1つ又は複数の特徴を、その他の図面のいずれの特徴と組み合わせても、本発明にかかるものとする。なお、ここに開示する実施形態は、本発明の唯一の実施形態ではなく、これらの改変形態その他も添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0019】
本願において、「接近する」という用語には、接触していること、又は、例えば約12インチ以内のような近接領域に存在することが含まれる。本明細書において「固定軌道」という用語は、その移動又は目的地が、線路などの外的な力を用いて制御される様々な車両に対して用いられる。
【0020】
図1に、固定軌道の或る位置にある車両を参照符号100で概略的に示す。車両100は、制御パネル104、車体116、及び車輪120を有する。図示されている車両100は1台であるが、明らかなように、車両が複数台あってもよく、着座する1人以上のゲスト108を支承できるように各車両の大きさを適宜設定できる。車両は、梁114で支持された固定軌道110のような軌道上に配置される。車輪120上に、ディスクブレーキ122が図示されている。本明細書において「車両」という用語は、例えば、1人以上のゲストを支承する遊園地の様々な乗り物車両や装置を含めた、固定軌道上にある車両を指すが、その他の車両の意味も含むものとする。
【0021】
図面では、制御パネル104が車両の後部に設置されている。しかし、実施形態によっては、乗り物車両の構造に対するゲスト又はオペレータの位置に応じて、車両のフードやその他の部分に制御パネル104を配置するほうがよい場合もある。この実施例の車両は、ジェットコースタや運転シミュレータの一部を構成する車両であるが、明らかなように、丸太ウォーターシュート、観覧車、スクランブラタイプの乗り物車両、フリーフォール式/メガドロップ式の乗り物車両といった乗り物車両にも本発明を適用できる。
【0022】
本発明の一実施形態において、制御パネル104へのオペレータ入力に、タッチスクリーンを用いる。このスクリーンは、機械式のもの、すなわち、従来のようにボタンやレバーを有するものであってもよい。制御パネル内に搭載されたプロセッサを介して、無線信号、例えば、無線ICタグ、磁気通信その他オペレータ入力用の無線通信を制御パネルに取り込むことができる。制御パネル104は、車載制御システム105へのインターフェースとなる。車載制御システム105は、プロセッサ(図示せず)を介して、発進、走行速度、停止、ロード、アンロード、座席調整、安全具の調整、オペレータの識別、メンテナンス状態(例えば、検査完了など)、目的地要求などの乗り物車両の属性を制御することができる。このように、車載制御システム105のプロセッサを、車輪120と互いに接続された速度センサ(図示せず)、ブレーキ122用のブレーキ制御装置(図示せず)、複数の車載センサ124、固定軌道制御装置(図示せず)、オペレータ識別部106に接続することができる。
【0023】
配線128で車載制御システム105に電気接続されたセンサ124により、着座状態の大腿部押さえ位置や、例えば、2番目の車両が1番目の車両に近付き過ぎた状態である姉妹車両の接近など、安全性能が適正に機能していることを検出できる。また、このセンサにより、車載制御システム105に信号を送ることができる。この場合、車載制御システム105から、例えば、ブレーキ制御装置に信号を送り、ブレーキ120を適用/ロックすることができる。また、座席の隙間126に車載センサを設置し、自動で座席調整できるようにして、ゲスト108を確実により快適な状態にさせる。任意構成として、座席の隙間のセンサにより、車載制御システム105に座席調整情報を送り、その情報を、車載制御システム105によって制御パネル104に表示することができる。これにより、オペレータが、ゲストの好みに合わせて座席を調整できるようになる。
【0024】
この車載システムは、更に、非車載型の固定軌道制御装置(図示せず)と通信することができる。この特定の実施形態において、オペレータは、車載システムを利用して、車両の軌道指定コマンドを入力することができる。車載システムは、非車載の固定軌道制御装置と通信しており、固定軌道の要素の制御と切り替えを行うことで、オペレータにより所望の目的地に車両を軌道案内できるようになっている。例えば、オペレータが車両の車載システムに「退去」コマンドを入力すると、車載プロセッサを介して、前記車載システムが非車載の固定軌道制御装置と通信し、固定軌道を切り替えて、車両が所定の場所で退去できるようになる。
【0025】
オペレータ認証識別装置(「オペレータ識別部」としても周知である)106について、図2図3、及び図4を参照しながら詳細に説明する。この認証識別装置106には、ICリーダや、光学式文字認識装置、音声認識装置、スマートカード装置、生体認証装置などの自動認識/データ取得(AIDC)装置が含まれる。識別部106を、配線130を介して、車載制御システム105に接続してもよい。また、オペレータ識別部106を、例えばRFIDリーダのような独立した装置と連係動作させることもできる。このRFIDリーダを、例えば、RFIDタグと組み合わせて機能させることができる。RFIDタグは、例えば、認証されたオペレータが所持、又は、認証されたオペレータが装着する衣料品に組み込まれた状態で携帯される。
【0026】
次に、図2を参照すると、車載制御システムの使用認証を遠隔で行うように設定された電子装置を含むグローブが、概略的に200として示されている。この実施例において、電子装置は、無線ICトランスポンダ(以下、「RFID」と記す)タグ202であってよく、このタグ202を、図1を参照して説明したような乗り物車両に搭載されるRFIDリーダと通信するように設定することができる。一実施例において、車載制御システムは、認証されていない人物が制御パネルのインターフェースにアクセスすることがないように、常にロック/使用不可能状態のままである。一方、認証されたオペレータ、すなわちRFIDタグ202を備えたグローブ201を装着した遊園地従業員がRFIDリーダに接近した場合、このシステムは、ロック解除/使用可能状態になり、認証されたオペレータがシステムを制御できるようになる。逆に言えば、RFIDリーダとRFIDタグが互いに近くにない場合、制御システムをロック/使用不可能状態のままにしておくことができる。これにより、ゲスト、又は、認証されていないオペレータが、自身又は他のゲストの乗り物車両の制御ができなくなるので、このシステムの安全性と効果を確保することができる。
【0027】
このシステムにより、更に、特定の集団に属する遊園地従業員の職務のセキュリティレベルを規定することもできる。各従業員が固有の識別装置を所持することができるので、特定の職務を実行することが認められている従業員のみが、その特定の職務を実行することができる。例えば、メンテナンス要員が、車両の検査状態の更新、ならびに固定軌道の車両の追加/撤去を行うことができる唯一の従業員であってよい。この車載システムを、これらの職務を実行することが許可されたメンテナンス要員を除く全ての人物をブロックするように設定して、セキュリティレベルを更に向上させることもできる。
【0028】
このシステムにより、更に、他の遊園地の要素(例えば、見せ物要素、ゲスト参加型要素、品質管理要素)を制御することもできる。例えば、放水砲などの車載機器を操作するには、オペレータが制御パネルにコマンドを入力して、機能パラメータを送信する。また、オペレータは、走行中の特定のポイントで写真を撮影するコマンドを制御パネルに入力することもできる。更に、制御パネルにより、例えば、車両が規定通りに動作していないこと、車両を清掃する必要があること、車両のメンテナンスが必要であることなどをオペレータに警告することによって、総合的な性能管理が可能になる。この一例では、単一又は一連の車両を清掃する必要があることをオペレータが車載システムにデータ入力すると、このシステムにより、適切な清掃場所に、その単一又は一連の車両を案内することができる。
【0029】
図2を参照して更に説明すると、グローブは、図示したように、ゴルフ用又はバッティング用のグローブであってよい。オペレータが快適であるように、グローブのライン204に、指部などの着脱可能な指部を含めてもよい。更なる実施形態として、電子認証装置を、リストバンド又はカフスに埋め込んだり、取り付けたりもできる。その代わりに、この装置を、オペレータの制服に収容してもよい。この認証装置には、磁気ワンドも含まれる。また、RFIDは、乗り物車両の環境に応じて、アクティブ型、パッシブ型、半パッシブ型のいずれであってもよい。例えば、鋼鉄製ジェットコースタや丸太ウォーターシュートでは、コンダクタンスの関係で、アクティブ型RFIDを利用する方式をとると信頼性が高くなり、木製のジェットコースタや小型の乗り物車両には、パッシブ型のRFIDが適している。
【0030】
次に、図3を参照しながら、制御パネルの背後でシールド334の下に設置されたオペレータ認証識別装置304を含む車載制御パネルの実施例について説明する。更に、無線通信部342を介してオペレータ認証識別装置304と通信するように設定された電子装置302も図示されている。
【0031】
この実施例において、制御パネルは、キー322を有するキーパッド330と、機械式レバー324を有している。パネルのケースの中、又は、ケースの下には、オペレータ認証識別装置として機能するRFIDリーダ304を設置することができる。このリーダには、エナージャイザ326と、復調器328と、復号回路330とが含まれている。同調アンテナコンデンサ回路332は、低周波電波場を放出し、タグ302への電力供給に用いられる。当該技術分野で周知のように、上述のリーダでは、復調器328によりタグ302から送られた信号を復調することができる。この情報は、次に、車載マイクロコントローラ305で復号され、図1の車載制御システム105などの車載制御システムのプロセッサに送られる。次に、プロセッサは、送られてきたデータと、予め保存されているオペレータタグデータとを照合し、合致した場合は、そのタグ302を保持している特定のオペレータが乗り物車両制御パネル320を操作できるようになる。
【0032】
オペレータ認証識別装置と通信するように設定された電子装置は、図面において、オペレータが装着できるグローブ340に取り付けられたRFIDタグ302である。タグ302には、トランスポンダ306、アンテナコイル308が含まれる。タグがリーダに接近すると、タグが起動し、無線周波342を用いてデータが無線で送信される。送信が成功すると、その後、車両の制御システムのプロセッサでオペレータの認証が行われ、ここでも認証が成功した場合、制御パネル320をオペレータが使用できるようになる。
【0033】
遊園地の環境では、乗り物車両の最も近くにいるオペレータのみが認証されるので、低周波RFID、中間周波RFID、極超短波RFIDのいずれであっても利用できるが、例えば、125/134KHzの低周波が最も有利である。また、各オペレータに自分自身のRFIDタグを所持させることができるので、プロセッサに予め組み込まれているデータを用いて、特定の時間に、認証されているどのオペレータが乗り物車両を制御したのかを把握することができる。こうすることで、テーマパークの管理において、それぞれの乗り物車両が、いつ、どのオペレータによって操作されているのかを監視できるという更なる利点が得られる。
【0034】
次に、図4を参照すると、軌道の或る部分に配置された複数の乗り物車両と、図2の認証グローブを装着したオペレータとが、概略的に400として示されている。概略的に示した乗り物車両は、各連結棒420で連結された複数の乗り物車両416から成る、固定軌道422に配置されたジェットコースタタイプの乗り物車両である。各乗り物車両416は、車載制御システム405に接続された車載制御パネル404を有する。車載制御システム405を、更に、オペレータ認証識別装置406とセンサ424に接続することができる。ただし、後続の車両を制御できる先頭車両を設けた代替の実施形態では、先頭の乗り物車両が、車載パネル404と、システム405と、認証装置406とを有する唯一の乗り物車両であってよい。
【0035】
図4を参照して更に説明すると、オペレータ410が認証グローブ412を装着し、この認証グローブ412には、認証装置406と通信するように設定された電子装置が取り付けられている。この場合、車載システム405は、予め格納されているデータと、認証グローブから受け取ったデータとを比較し、これらが適合した場合、オペレータ410が車載パネル404にアクセスして操作することができるようになる。オペレータは、その後、発進、走行速度、停止、ロード、アンロード、座席調整、安全具の調整、車両のメンテナンス、見せ物要素などの乗り物車両の状態を制御することができる。
【0036】
例えば乗り物車両に設置されたRFIDリーダなどの電子認証装置と、この電子認証装置と通信するように設定された、例えばオペレータのグローブ、ベルト、指輪、もしくは衣料品の他の局部、又はワンドに取り付けられたRFIDタグなどの装置を組み合わせて用いることによって、オペレータは、乗り場のプラットフォーム424のまわりを自由に移動することができる。本発明のこの態様により、ゲストとの対話が増え、効率が向上するだけでなく、通常は1箇所にオペレータが常駐している必要がある非車載型の制御盤が不要になる。また、本発明の側面である機動性により、必要に応じて、乗り場のプラットフォームに第2のオペレータを要することなく、1人のオペレータで安全手順を実施し、乗り物車両の特性を制御することが可能になる。
【0037】
本発明の他の実施形態において、遊園地の乗り物車両を制御する方法を開示する。この方法は、車載車両制御システムによりオペレータの認証を行うステップを含み、車両システムと通信するように設定された電子装置が車両システムに接近すると、オペレータがこのシステムを制御できるようになる。
【0038】
この特定の実施形態では、遊園地の乗り物車両の制御が、1台以上の乗り物車両に搭載された車載制御システムで行われる。車載制御システムは、車載センサ、オペレータ認証識別装置、車載制御パネルに接続されたプロセッサを介して、発進、走行速度、停止、ロード、アンロード、座席調整、安全具の調整、車両のメンテナンスを制御するように設定されている。制御パネルとしては、タッチスクリーン、機械式のボタン及びレバー、又は、これらを組み合わせたものが含まれる。
【0039】
本発明の安全性と効率を確実にするために、この方法に、乗り物車両のオペレータの電子認証ステップを設けてもよい。ゲストが制御パネルの近くにいる可能性があるので、この保護ステップは、ゲスト自身による制御パネルの操作を確実に阻止するのに役立つ。電子認証としては、例えば、乗り物車両のオペレータの衣類に取り付けられたRFIDタグの利用が含まれる。また、乗り物車両のオペレータが、RFIDタグが取り付けられたグローブを装着していてもよい。乗り物車両に設置されたRFIDリーダにRFIDタグが接近すると、このシステムは使用可能な状態になり、適当なタグを装着しているオペレータのみが制御パネルを使用できるようになる。
【0040】
この方法により、更に、特定の集団に属する遊園地従業員の職務のセキュリティレベルを規定することができる。このシステムにより、更に、特定の集団に属する遊園地従業員の職務のセキュリティレベルを規定することもできる。各従業員が固有の識別装置を所持することができるので、特定の職務を実行することが認められている従業員のみが、その特定の職務を実行することができる。例えば、メンテナンス要員が、車両の検査状態の更新、ならびに固定軌道の車両の追加及び撤去を行うことが許可された唯一の従業員であってよい。この車載システムを、これらの職務を実行することが許可されたメンテナンス要員を除く全ての人物をブロックするように設定して、セキュリティレベルを更に向上させることもできる。
【0041】
この方法により、更に、遊園地のその他の要素(例えば、見せ物要素、ゲスト参加型要素、及び品質管理要素)を制御することもできる。例えば、オペレータが放水砲を操作するコマンドを制御パネルに入力して、コメディショーの演者に向かってショーの最中の特定の時点で水を噴射するようにできる。また、オペレータは、制御パネルに、走行中の特定のポイントで写真を撮影するコマンドを入力することができる。制御パネルにより、例えば、車両が規定通りに動作していないこと、車両を清掃又はメンテナンスする必要があることなどをオペレータに警告することで、更に総合的な性能管理が可能になる。
【0042】
様々な実施形態を挙げて本発明の特徴を例示してきた。これらの特徴は、説明の便宜上、図面によって記載されている場合とそうでない場合がある。図面に示した本発明による特徴はそれぞれ、記載されている図面を問わず、その他の特徴と如何様に組み合わせてもよい。「有する」「含む」「備える」などの文言は、物理的に接続されているという意味だけでなく、包括するという意味で広義において用いられている。本発明の実施形態は、本明細書に記載のものに限らず、これらの改変形態その他も本発明によるものとする。
図1
図2
図3
図4