特許第5745420号(P5745420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許5745420-ステント部材 図000002
  • 特許5745420-ステント部材 図000003
  • 特許5745420-ステント部材 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745420
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ステント部材
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20150618BHJP
【FI】
   A61F2/82
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-535559(P2011-535559)
(86)(22)【出願日】2009年11月6日
(65)【公表番号】特表2012-507387(P2012-507387A)
(43)【公表日】2012年3月29日
(86)【国際出願番号】US2009005997
(87)【国際公開番号】WO2010053563
(87)【国際公開日】20100514
【審査請求日】2012年10月29日
(31)【優先権主張番号】0820360.6
(32)【優先日】2008年11月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン, キム, モエジェルヴァン
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−43315(JP,A)
【文献】 特表2000−500046(JP,A)
【文献】 米国特許第6709453(US,B2)
【文献】 国際公開第00/28922(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0808614(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0186551(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/030928(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0182480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の伸長部を有するステント移植片(10;30)であって、長手方向で隔置され互いに平行に並ぶ複数のステント(16)を備え、全てのステントの端部はステント移植片の長手方向の伸長部と直角であり、互いに隣接したステント間のスペースが前記ステント移植片の一端から他端の方向で単調に増加している、ステント移植片
【請求項2】
実質的に軸対称である、請求項1に記載のステント移植片(10;30)。
【請求項3】
前記ステント(16)は実質的に同一である、請求項1又は2に記載のステント移植片(10;30)。
【請求項4】
前記互いに隣接しているステント(16)間のスペース(D)は、実質的に、前記ステント移植片の一端付近で一定であり、前記ステント移植片の中央部位から他端までは単調に増加する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のステント移植片
【請求項5】
前記互いに隣接しているステント(16)の間のスペース(D)自体の増加が規則的に増加する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のステント移植片(10;30)。
【請求項6】
前記ステントを連結する移植片材料(20)を有する、上記請求項1乃至5の何れか一項に記載のステント移植片(10;30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステント移植片などのステント部材であって、該ステント部材の長さに沿って隔置された、ステントセクションとも呼ばれる複数のステントを有するステント部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ステント移植片は、該移植片に沿って均等に隔置された複数のステントセクションを備えている。ステントセクション間のスペースは、ステント移植片が身体脈管に挿入されると湾曲できるようにし、さらに、流体を流動させるために脈管を開いたままにしておくのに十分な支持を提供する。
【0003】
米国特許出願2005/0182480には、ステント部材であって、該ステント部材の長さに沿って隔置された波状の帯模様を有するステント部材が開示されており、該帯は長手方向の支柱によって相互に連結されている。ステント部材の一端又は両端における各帯間のスペースは、ステント部材の中央における各帯間のスペースと異なっていてもよい。
【0004】
WO2008/051543には、湾曲した身体脈管に適合するように設計されたステント部材であって、その中に平行に並んだステントが該ステント部材の長さに沿って配置されているステント部材が開示されている。ステント部材の一方の側面は、配備されたとき拡張できるようにするために座屈部分を備えている。これは、ステント部材が最終配置へと拡張する前に、正しい回転位置に向けられることを必要とする。
【0005】
米国特許6,709,453及び米国特許6,723,119には、交互に配置された、異なるループパターンの周方向の帯を有するステント部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願2005/0182480
【特許文献2】米国特許6,709,453
【特許文献3】米国特許6,723,119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は改良されたステント部材を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、長手方向の伸長部を有するステント部材を提供するものであり、このステント部材は、その伸張部に沿って隔置され互いに平行に並ぶ複数のステントを備え、全てのステントの端部はステント部材の長手方向の伸長部と直角であり、互いに隣接したステント間のスペースがステント部材の一端から他端の方向において単調に増加するようになっている。
【0009】
好ましくは、ステント部材は実質的に軸対称である。
【0010】
ステント、即ち一端又は両端のステントを除いた少なくとも全てのステントは実質的に同一である。
【0011】
好ましい実施形態では、互いに隣接しているステントの間のスペースはステント部材の一端から他端に向かって増加している。
【0012】
他の好ましい実施形態では、互いに隣接しているステントの間のスペースは、実質的に、ステント部材の一端付近で一定であり、ステント部材の中央部位から他端までは増加している。
【0013】
好ましい実施形態では、ステントは、相互に連結している支柱を有しておらず、移植材料によって連結されるだけである。
【0014】
本発明の好ましい実施形態を、これより以下の添付図面を参照して単に一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態による、拘束されていない状態でのステント部材を示す。
図2】湾曲した形態の図1のステント部材を示す。
図3】本発明の第2の実施形態による、患者の胸大動脈弓及び下行大動脈に配備されたステント部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図を参照すると、ステント移植片10は導入システムに装着して送達できるまっすぐな形態で示されている。ステント移植片10はルーメン22を画定し、第1の端部12及び第2の端部14を有する管状の生体適合性移植片材料20を備えている。別個のステント16が移植片材料20の長さに沿って設けられている。該ステントは、図に、単に概略的に示されていて、ステンレスかニチノールなどの形状記憶材料で作られた自己拡張型z−ステントであってもよい。
【0017】
隣接しているステント16の間のスペースは、該移植片の端部12から徐々に増加するので、以下の不等式が適用される。

<D<D<D<D
【0018】
これは、該移植片が必要とする全体の支持を該ステントが提供する一方、端部14に隣接した移植片部分のより大きな湾曲を可能にする利点がある。
【0019】
使用中に、移植片20は湾曲した身体脈管に配備されており、その場合、図2に示す形態になるように拘束される。該移植片は、該脈管の最大湾曲の部位に、端部14に隣接する(より容易に湾曲する)部分を使用して配置される。移植片の端部12に隣接する部分は、より小さい湾曲を有する部位に配置される。
【0020】
従って、異なる程度に湾曲できる部分を有し、十分なステント保護をさらに提供しているステント移植片が提供される。端部14の改良された柔軟性は、湾曲した身体脈管の中で該ステント移植片がずれることを回避する。前述の構成には、いくつかの利点がある。該ステント移植片は長手方向軸線の周りで軸対象であるので、その配備は特に容易である。即ち、あらゆる方向に等しく湾曲できるので、大動脈に沿って一旦所望の位置に達すると、該ステント移植片を正しく方向付けるのに全く問題は無い。ステント16は同一であるので、加工する装置はより安く且つより簡単であり、どのステントでも移植片に沿うあらゆる位置に取り付けることができる。必要に応じて、ステント移植片のサイズとステントのスペースを選択できるので、該移植片を特定用途のためにカスタマイズすることができる。
【0021】
1つの好ましい構成としては、隣接しているステント間の距離は一様に増加するので、以下のような式が成り立つ。

=D+d=D+2d=D+3d=D+4d

ここで、dは固定された距離である。
【0022】
従って、直径が22mmのステント部材においては、Dは4mm及びdは1mmであり得、その結果、Dは8mmであり得る。直径が46mmのステント部材に関しては、Dは8mm及びdは1.75mmであり得、その結果、Dは15mmであり得る。他の構成では、関係式D<D<D<D<Dが維持される条件で、隣接しているステント間の距離は不規則に増加してもよい。
【0023】
単調に増加する代わりに、端部12に近づく程、増加分はより小さくなってもよく、さらに以下の式のように、増加分は零であってもよい。

=D=D
【0024】
ここで、上記のように、DはD+dと等しくてもよく、DはD+2dと等しくてもよい。また、ここで、dは固定された距離である。他の構成では、D−Dに対応する距離はD−Dに対応する距離より長くすることができる。
【0025】
図3は、患者の胸大動脈弓及び下行大動脈32に配備されたステント移植片30を示している。該胸大動脈弓は変化しやすい湾曲部を有し、端部14に隣接したステント移植片の一部分は最大に湾曲した部位に位置している。端部12に隣接した移植片の他の部分は僅かに湾曲しているだけであり、実質的には真っ直ぐであってもよい。
【0026】
各ステントの間のスペースは、ステント移植片の直径、並びに、ステント16及び移植片材料20の材料などの様々な要因に依存する。好ましくは、移植片の直径は22から46mmの間である。Dは3から9mmの範囲にあり、好ましくは、4から8mmの間にある。Dは6から18mmの範囲にあり、好ましくは、8から15mmの間にある。スペースdは0.5から2.5mmの範囲にあり、好ましくは、1.0から1.75mmの間にある。
【0027】
ステント移植片は、大動脈弓以外の脈管や不規則な湾曲を有している脈管に適用してもよい。
【0028】
ステント移植片は、一端又は各端部に、他のステントの特有のパターンには該当しない追加のステントを有することができる。そのような追加のステントは、身体脈管壁への取り付けのために棘要素を設けることができる。加えて、追加のステントは他のステントより短くすることができる。
【0029】
必要であれば、ステントの幾つか又は全てが支柱によって相互に連結することができる。
【0030】
ステントは、自己展開型である代わりに、バルーン拡張可能型であってもよい。ステント移植片は、主身体脈管から延在する副脈管との連通を可能にするために1つ以上の開窓部を設けることができる。
【0031】
前述の様々な実施形態の特徴及びその変更は、必要に応じて、相互に置き換えるか、相互に組み合わせることができる。また、本明細書に添付された従属請求の範囲の様々な特徴は、それらの請求の範囲のあらゆる所望の組み合わせにおいて相互に使用することができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0032】
10、30 ステント移植片、ステント部材
12 第1の端部
14 第2の端部
16 ステント
20 移植片材料
22 ルーメン
32 湾曲した脈管
図1
図2
図3