【文献】
360 Panorama,iPhone 4S & iOS 5 スタートガイド,日本,株式会社マイナビ,2011年10月29日,p.121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の位置に対応するマップ画像を第1の表示装置及び第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示方法であって、
前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて前記パノラマ画像から切り出された前記部分画像を、前記第2の表示装置に表示させ、
前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、
前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させる
表示方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示されたサービスは、パノラマ画像が表示されると、それまで表示されていた地図が表示されなくなるものである。
一方、本発明は、2つの表示装置を利用して、地図上の所定の位置に関する互いに異なる情報をそれぞれの表示装置に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
複数のユーザに視認されるための第1の表示装置と、
特定のユーザに視認されるための第2の表示装置と、所定の位置に対応するマップ画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を当該第1の表示装置及び当該第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段と、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを有し、前記表示制御手段は、
前記パノラマ画像から前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて切り出された前記部分画像を前記第2の表示装置に表示させるとともに、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、前記姿勢検出手段により検出された前記第2の表示装置の姿勢に応じて、前記第1の表示装置の表示を変化させる表示システムを提供する。
【0006】
また、前記表示制御手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて前記部分画像の表示を変化させ、前記部分画像と異なる条件に応じて前記マップ画像の表示を変化させるようにしてもよい。
また、前記表示制御手段は、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置に表示させる画像を入れ替える入替手段を有するようにしてもよい。
また、前記第2の表示装置は、
前記特定のユーザの操作を受け付ける操作手段を有し、前記操作手段は、前記第2の表示装置に前記マップ画像が表示されている場合と前記部分画像が表示されている場合とで、操作を受け付ける態様が異なるようにしてもよい。
また、前記表示制御手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させるようにしてもよい。
また、前記姿勢検出手段は、前記第2の表示装置に作用する重力の方向を検出し、前記表示制御手段は、前記第2の表示装置に表示する部分画像の上下方向を、前記姿勢検出手段により検出された重力の方向に応じて変化させるようにしてもよい。
また、前記表示制御手段は、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置に画像を表示させるためのデータを生成するデータ生成手段を有するようにしてもよい。
【0007】
また、本発明は、
複数のユーザに視認されるための第1の表示装置と
特定のユーザに視認されるための第2の表示装置の表示を制御する表示制御装置であって、所定の位置に対応するマップ画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段であって、
前記パノラマ画像から前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて切り出された前記部分画像を前記第2の表示装置に表示させるとともに、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、当該検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置の表示を変化させる表示制御手段を有する表示制御装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータを、所定の位置に対応するマップ画像を
、複数のユーザに視認されるための第1の表示装置と
特定のユーザに視認されるための第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段であって、
前記パノラマ画像から前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて切り出された前記部分画像を前記第2の表示装置に表示させるとともに、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、当該検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置の表示を変化させる表示制御手段として機能させるための情報処理プログラムを提供する。
【0009】
また、本発明は、所定の位置に対応するマップ画像を
、複数のユーザに視認されるための第1の表示装置と
特定のユーザに視認されるための第2の表示装置の一方に表示させるステップと、前記所定の位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させるステップとを有し、
前記第2の表示装置は、前記部分画像を表示するときに、前記パノラマ画像から前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて切り出された前記部分画像を表示し、前記第1の表示装置は、
前記マップ画像を表示するときに、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを表示するとともに、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された当該姿勢に応じて変化させる表示方法を提供する。
また、本発明は、第1の表示装置と、第2の表示装置と、所定の位置に対応するマップ画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を当該第1の表示装置及び当該第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段と、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを有し、前記表示制御手段は、前記パノラマ画像から前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて切り出された前記部分画像を、前記第2の表示装置に表示させ、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させる表示システムを提供する。
また、本発明は、第1の表示装置と第2の表示装置の表示を制御する表示制御装置であって、所定の位置に対応するマップ画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段を有し、前記表示制御手段は、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて前記パノラマ画像から切り出された前記部分画像を、前記第2の表示装置に表示させ、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させる表示制御装置を提供する。
また、本発明は、コンピュータを、所定の位置に対応するマップ画像を第1の表示装置及び第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示制御手段として機能させるための情報処理プログラムであって、前記表示制御手段は、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて前記パノラマ画像から切り出された前記部分画像を、前記第2の表示装置に表示させ、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させる情報処理プログラムを提供する。
また、本発明は、所定の位置に対応するマップ画像を第1の表示装置及び第2の表示装置の一方に表示させ、当該位置のパノラマ画像の一部である部分画像を前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の他方に表示させる表示方法であって、前記第2の表示装置の姿勢を検出する姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて前記パノラマ画像から切り出された前記部分画像を、前記第2の表示装置に表示させ、前記マップ画像と、前記第2の表示装置に表示されている部分画像とを前記第1の表示装置に表示させ、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に応じて、前記第1の表示装置に表示される前記部分画像を傾けて表示させる表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの表示装置を利用して、地図上の所定の位置に関する互いに異なる情報をそれぞれの表示装置に表示することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1:実施例]
図1は、本発明の一実施例である表示システム10の全体構成を示す図である。表示システム10は、地図に関する情報を表示するサービス(以下「マップ表示サービス」という。)を提供するためのシステムである。なお、本実施例において、地図とは、地球上のある位置を表したものであるとする。表示システム10は、表示装置100と、端末装置200と、本体装置300と、サーバ装置500とを備え、本体装置300及びサーバ装置500をインターネットなどのネットワーク400によって接続した構成を有する。
【0013】
表示装置100は、据置型の表示装置であり、例えばテレビ受像機である。表示装置100は、端末装置200よりも大きな表示画面を有していると望ましく、本実施例においてはこのようなものであるとする。なお、表示装置100は、スクリーンや壁面に画像を投射するプロジェクタであってもよい。
【0014】
端末装置200は、ユーザの操作を受け付けるとともに、画像を表示する装置である。端末装置200は、可搬型あるいは携帯型の表示装置であるともいえる。ユーザは、端末装置200を把持しながら、端末装置200に設けられたボタンを操作したり、端末装置200を傾けたりすることで操作を行い、表示装置100や端末装置200に表示される画像を変化させることができる。なお、端末装置200は、ボタンを押下するボタン操作に加え、画面を指などでタッチするタッチ操作を受け付けることが可能である。
【0015】
本体装置300は、表示装置100及び端末装置200による画像の表示を制御するコンピュータ装置である。本体装置300は、ユーザの操作に応じて、画像の表示に必要なデータをサーバ装置500から受信し、表示装置100及び端末装置200に表示データを供給する。ここにおいて、表示データとは、表示装置100及び端末装置200のそれぞれに画像を表示させるためのデータをいう。
【0016】
サーバ装置500は、地図に関する情報を提供するコンピュータ装置である。サーバ装置500が提供する情報のことを、以下においては「マップデータ」と総称する。マップデータは、説明の便宜上、ここではサーバ装置500の記憶手段に記憶されているものとするが、サーバ装置500が他の記憶装置に記憶されたものを読み出す態様であってもよい。また、サーバ装置500は、複数の装置によって分散処理を行ってもよい。すなわち、サーバ装置500は、表示システム10内に1つ以上あればよく、その数を問わない。
【0017】
なお、マップデータは、与えられた位置に対応するマップ画像を表す画像データとパノラマ画像を表す画像データとを含んでいる。マップ画像とは、所定の地図を表す画像をいう。一方、パノラマ画像とは、マップ画像が表す地図中の特定の位置からみた当該位置の周りの風景を表す画像であって、複数の視点での表示に対応した画像をいう。
【0018】
図2は、端末装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。端末装置200は、制御部210と、記憶部220と、インタフェース部230と、操作部240と、表示部250と、タッチスクリーン部260と、モーションセンサ部270とを備える。
【0019】
制御部210は、端末装置200の各部の動作を制御する手段である。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置とメモリとを備え、プログラムを実行することによって各種の処理を実行する。
記憶部220は、データを記憶する手段である。記憶部220は、フラッシュメモリなどの記憶媒体を備え、制御部210が処理に用いるデータを記憶する。
【0020】
インタフェース部230は、本体装置300とデータを送受信する手段である。インタフェース部230は、アンテナ、モデムなどを備え、所定の通信方式によって本体装置300と通信する。例えば、インタフェース部230は、無線LAN(Local Area Network)によって本体装置300と通信する。
操作部240は、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作部240は、所定の位置に設けられたボタンやアナログスティックを備え、ユーザの操作を示す操作データを制御部210に供給する。
【0021】
表示部250は、画像を表示する手段である。表示部250は、液晶素子や有機EL(electroluminescence)素子により構成される表示パネルとその駆動回路を備え、表示データに応じた画像を表示する。
タッチスクリーン部260は、ユーザによる画面に対する操作を受け付ける手段である。タッチスクリーン部260は、表示部250の表示パネルに対応して設けられたセンサを備え、ユーザによって指示された位置(座標)を示す座標データを制御部210に供給する。ユーザは、自身の指やタッチペン(スタイラスともいう。)によって画面上の任意の位置を指示することができる。
【0022】
モーションセンサ部270は、端末装置200の動きを示す情報を出力する手段である。モーションセンサ部270は、端末装置200に作用する加速度を検出するための加速度センサ(3軸加速度センサ)、端末装置200の角度又は角速度の変化を検出するためのジャイロセンサ、地磁気を検出するための地磁気センサなどを備え、これらのセンサによって出力されたセンサデータを制御部210に供給する。ユーザは、端末装置200を上下左右に傾けたりすることによって、後述するパノラマ画像の表示範囲を変化させる操作が可能である。
【0023】
なお、本実施例において、操作データ、座標データ及びセンサデータは、いずれも、ユーザの操作を示すデータとして用いられる。そこで、以下においては、各々のデータを区別する必要がない場合には、これらを「操作データ」と総称することとする。
【0024】
図3は、本体装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。本体装置300は、制御部310と、記憶部320と、インタフェース部330と、通信部340とを備える。
【0025】
制御部310は、本体装置300の各部の動作を制御する手段であり、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置とメモリとを備える。
記憶部320は、データを記憶する手段であり、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶媒体を備える。なお、記憶部320は、メモリカードや光ディスクといった、着脱可能な記憶媒体にデータを読み書きする手段を含んでもよい。
【0026】
インタフェース部330は、表示装置100及び端末装置200とデータを送受信する手段である。インタフェース部330は、本実施例においては、端末装置200とは無線で通信し、表示装置100とは有線で通信するが、他の方法で通信を実現してもよい。
通信部340は、ネットワーク400を介してサーバ装置500とデータを送受信する手段である。
【0027】
図4は、表示システム10(特に本体装置300)の機能的構成を示すブロック図である。本体装置300は、表示制御手段301、データ生成手段302、入替手段303及び姿勢検出手段304に相当する機能を実現することにより、本発明に係る表示制御装置として機能する。これらの機能は、制御部310が所定のプログラムを実行することによって実現される。また、端末装置200は、操作手段201に相当する機能を実現する。操作手段201は、操作を受け付ける手段であり、操作部240、タッチスクリーン部260及びモーションセンサ部270により実現される。
【0028】
表示制御手段301は、マップデータに応じた画像を表示装置100及び端末装置200に表示させる手段である。ここにおいて、マップデータに応じた画像とは、マップ画像又はパノラマ画像を少なくとも含む画像をいう。マップデータには、例えば、HTML(HyperText Markup Language)によって記述されたデータと、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの所定のファイルフォーマットの画像データとが含まれる。ただし、マップデータは必ずしもこのようなデータである必要はない。また、表示制御手段301が実現する機能は、より詳細には、データ生成手段302及び入替手段303に相当する機能を含む。
【0029】
データ生成手段302は、マップデータに基づいて表示データを生成する手段である。データ生成手段302は、レンダリング、ラスタライズなどの画像処理を実行することにより、マップデータから表示装置100及び端末装置200での表示に適したデータである表示データを生成する。なお、データ生成手段302は、端末装置200に送信する表示データに圧縮処理を実行し、データ容量を少なくしてもよい。この場合、端末装置200は、画像を表示する前に、表示データを伸張する処理を実行する。表示データの圧縮方式は、例えばH.264である。
【0030】
入替手段303は、表示装置100に表示させる画像と端末装置200に表示させる画像とを入れ替える手段である。すなわち、入替手段303は、所定のタイミングで、それまで表示装置100に表示されていた画像を端末装置200に表示させるとともに、それまで端末装置200に表示されていた画像を表示装置100に表示させる。入替手段303は、例えば、ユーザの操作に応じて表示画像の切り替えを行うが、他のタイミングで表示画像の切り替えを行ってもよい。例えば、入替手段303は、あらかじめ決められた画像が表示されるタイミングで表示画像の切り替えを行うことも可能である。
【0031】
姿勢検出手段304は、端末装置200の姿勢を検出する手段である。姿勢検出手段304は、上述したセンサデータの少なくともいずれかを用いて、端末装置200がどのような姿勢であるかを検出する。また、姿勢検出手段304は、端末装置200の姿勢をいったん検出したら、直前に検出したセンサデータとの差分に基づいて次の姿勢を検出することも可能である。
【0032】
図5は、マップ画像の一部を例示する図である。マップ画像には、道路に相当する部分とそれ以外の部分とがある。
図5においては、説明の便宜上、道路以外の部分がハッチングによって示されている。なお、道路以外の部分には、建造物や施設を表す画像が存在していてもよい。また、マップ画像中の各位置は、緯度・経度などの所定の座標系の座標によって一意的に特定可能であるとする。
【0033】
図6は、マップ画像に対応する位置データを例示する図である。ここにおいて、位置データとは、パノラマ画像の位置を示すデータをいう。位置データは、例えば、緯度・経度によって表される。
図6の例では、位置データは、道路に沿って、P1〜P20で示される20箇所にパノラマ画像が存在することを示している。なお、位置データが示す位置は、その間隔が特に決められている必要はなく、等間隔である必要もない。また、位置データが示す位置、すなわちパノラマ画像が存在する位置は、実際には図示したよりも多く(すなわち密に)あると望ましい。
【0034】
なお、位置データの各々には、パノラマ画像が存在する位置を一意的に特定するためのIDを割り当ててもよい。以下においては、このようなIDを「パノラマID」という。パノラマIDとしては、ここでは説明の便宜上、
図6に示した符号P1〜P20を用いることとする。
【0035】
図7は、パノラマ画像のデータ構造を例示する図である。この例において、パノラマ画像は、縦軸(ピッチ)を90°(真上)〜−90°(真下)とし、横軸(ヨー)を0°(北)〜360°(北)に設定した長方形の画像であり、位置データによって示される位置において全方位を撮影することによって得られる画像である。なお、この角度は、位置データによって示される位置から見た場合のユーザの視点の方向に対応している。例えば、この座標軸における原点付近の画像は、ユーザがこのパノラマ画像を撮影した位置にいると仮定した場合に、当該ユーザが真北の真正面を向いたときに視認することができる風景と一致する。
【0036】
なお、パノラマ画像は、その全部が画面内に表示されるのではなく、一部のみが表示される。パノラマ画像は、ユーザの操作に応じた部分が表示装置100又は端末装置200に表示され、端末装置200の姿勢を変化させる操作によってその表示範囲が変化するようになっている。以下においては、このようなパノラマ画像の一部の画像のことを「部分画像」という。
【0037】
表示システム10の構成は、以上のとおりである。ユーザは、このような構成の表示システム10を利用して、マップ画像とパノラマ画像を閲覧することができる。ユーザは、マップ画像を閲覧しているときに、マップ画像中の所定の位置を指定することによって、指定した位置のパノラマ画像を閲覧することができる。
【0038】
本実施例において、ユーザは、表示装置100と端末装置200の2画面によって、マップ画像とパノラマ画像とを別々に閲覧することが可能である。また、ユーザは、端末装置200の姿勢を変化させることによって、表示されるパノラマ画像の視点を変化させることが可能である。
【0039】
図8は、表示装置100及び端末装置200における表示例を示す図である。
図8に示す例は、表示装置100にパノラマ画像を表示し、端末装置200にマップ画像を表示する場合のものである。ユーザが指やタッチペンでマップ画像の道路上の所定の位置を指示すると、表示装置100には当該位置のパノラマ画像が表示される。
【0040】
例えば、ユーザが指やタッチペンでマップ画像上の道路をなぞっていくと、表示装置100は、その軌跡に沿って存在するパノラマ画像のうちの進行方向に相当する部分画像を順次表示していく。このようにすることで、ユーザは、自身がなぞった場所にあたかも実際にいるような感覚を得ることができる。
【0041】
また、
図9は、表示装置100及び端末装置200における別の表示例を示す図である。
図9に示す例は、表示装置100にマップ画像を表示し、端末装置200にパノラマ画像を表示する場合のものである。ユーザは、ボタン押下などの所定の操作を行うことによって、画面の表示状態を
図8の状態から
図9の状態に切り替えることが可能である。なお、この例において、端末装置200は、表示装置100において星印が示す位置、すなわち
図6に示した位置データP3が示す位置から西側(表示装置100における左側)をみた場合のパノラマ画像を表示しているものとする。また、このとき端末装置200は、星印が示す位置からの視線の方向(この場合西側)を示す矢印などの画像を表示してもよい。
【0042】
図9の表示状態において、本体装置300は、操作を受け付ける態様の少なくとも一部が
図8の表示状態のときと異なる。具体的には、ユーザは、端末装置200を傾けるなどして姿勢を変化させることにより、端末装置200に表示されるパノラマ画像の視点の位置を変え、これによって視線の方向を変えることができる。例えば、ユーザが端末装置200を上方に移動させ、端末装置200の上部を手前側へ、下部を奥側へと相対的に移動させることによって端末装置200を傾けると、端末装置200は、視線の方向を上方に移動させた部分画像を表示する。ユーザは、上下左右のいずれの方向にも視線の方向を移動させることが可能である。なお、このとき表示装置100は、マップ画像の表示を変化させずに、同じ位置のマップ画像を表示し続ける。マップ画像の表示を変化させる条件は、部分画像の表示を変化させる条件とは異なっている。
【0043】
図10は、画像を表示するときの表示システム10の各装置における処理を示すシーケンスチャートである。マップ画像及びパノラマ画像を表示させるときには、まず、本体装置300がサーバ装置500にデータの取得要求を送信する(ステップS11)。本体装置300は、ユーザの操作などに基づいて取得要求を送信する。
【0044】
取得要求は、マップ画像及びパノラマ画像(の一部)を表示するために必要な情報を含んでいる。取得要求は、パノラマ画像を表示する位置の緯度・経度(又はパノラマID)と、視点の位置を示す情報とを含んでいる。視点の位置を示す情報は、
図7に示したヨー(yaw)とピッチ(pitch)によって表される。なお、パノラマ画像を表示する倍率をユーザが設定できる場合、取得要求には倍率を示す情報が含まれてもよい。
【0045】
サーバ装置500は、本体装置300から取得要求を受信すると、受信した取得要求に応じたマップデータを読み出す(ステップS12)。サーバ装置500は、取得要求に基づき、表示対象となっているパノラマ画像を特定し、特定したパノラマ画像から、視線の方向に応じた部分画像を切り出す。そして、サーバ装置500は、マップ画像と部分画像を少なくとも含むマップデータを本体装置300に送信する(ステップS13)。
【0046】
なお、位置データの配置、すなわちパノラマ画像の配置によっては、ユーザが指定した位置にパノラマ画像が存在しない場合もある。このような場合には、サーバ装置500は、ユーザが指定した位置から最も近くにあるパノラマ画像を特定し、このパノラマ画像について上述した処理を実行してもよい。あるいは、サーバ装置500は、パノラマ画像を表示できない旨を本体装置300に通知してもよいし、パノラマ画像の代替となる別の画像を表示させるようにしてもよい。
【0047】
マップデータを受信した本体装置300は、これに基づいて表示データを生成する(ステップS14)。本体装置300は、所定の画像処理を実行し、表示装置100に送信する表示データと端末装置200に送信する表示データとを生成する。そして、サーバ装置500は、それぞれの表示データを表示装置100と端末装置200とに送信する(ステップS15、S16)。そして、表示装置100及び端末装置200は、受信した表示データに応じた画像を表示する(ステップS17、S18)。表示装置100はマップ画像及び部分画像の一方を表示し、端末装置200はマップ画像及び部分画像の他方を表示する。
【0048】
図11は、マップ画像及びパノラマ画像(部分画像)が表示された後、ユーザが端末装置200の姿勢を変化させたときの処理を示すシーケンスチャートである。以下においては、
図11に示す一連の処理のことを「部分画像表示処理」という。なお、ここでは、端末装置200に表示されている画像は部分画像であるとする。このとき、端末装置200は、端末装置200の姿勢を示す操作データを本体装置300に送信する(ステップS21)。本体装置300は、操作データを受信すると、これに基づいて端末装置200の姿勢を検出し、視線の方向(すなわち視点の位置)を特定する(ステップS22)。本体装置300は、端末装置200の姿勢の変化を検出することにより、視線の方向がそのとき表示されている方向からどの程度変化したのかを特定することができる。
【0049】
本体装置300は、ステップS22において特定した視線の方向に応じた取得要求をサーバ装置500に送信する(ステップS23)。なお、ステップS23〜S28の処理は、
図10に示したステップS11〜S15、S17の処理と同様のものである。本体装置300は、端末装置200の姿勢が変化し、当該変化を示す操作データを受信する毎に、
図11に示す部分画像表示処理を実行する。なお、本体装置300は、同一のパノラマ画像から部分画像を切り出す限りにおいては、表示装置100の表示を変化させなくてもよいが、ヨー方向の視点の変化に応じてマップ画像の上下左右(東西南北)を変えて表示させてもよい。
【0050】
以上のとおり、表示システム10によれば、表示装置100と端末装置200の2画面を利用して、地図上の所定の位置に関する互いに異なる情報(マップ画像及びパノラマ画像)をそれぞれに表示させることが可能である。例えば、表示システム10においては、
図8に示したように、表示装置100にパノラマ画像を表示させ、端末装置200にマップ画像を表示させることが可能である。このようにすることで、例えば、家族や友人などが集まり、皆で表示装置100のパノラマ画像を見るような場合において、(端末装置200を把持する)特定のユーザのみがマップ画像を確認し、どの位置のパノラマ画像を表示させるか(あるいは表示しているか)といったことを他の者に知られることなく操作を行うことが可能である。また、表示システム10によれば、マップ画像とパノラマ画像とを別々の画面に表示させることで、マップ画像とパノラマ画像とを一画面に表示させる場合に比べ、一方が他方の表示の妨げになって見にくくなったり、操作性が悪くなったりするといった不都合を解決することができる。
【0051】
また、本体装置300は、表示装置100に表示させる画像と端末装置200に表示させる画像とを入れ替えることが可能である。これにより、ユーザが手元でより詳細に確認できる画像を切り替えることが可能になる。また、端末装置200にマップ画像が表示されているときとパノラマ画像が表示されているときとで受け付ける操作の態様を異ならせることにより、それぞれの画像が表示されている場合に応じた操作をユーザに提供することが可能である。
【0052】
特に、本実施例においては、端末装置200にパノラマ画像が表示されている場合に端末装置200を傾け、その姿勢を変化させることによって、姿勢の変化に応じた部分画像を端末装置200に表示させることが可能である。このようにすることで、ユーザは、あたかもパノラマ画像が撮影された場所に自身がいて、端末装置200の画面越しにその風景を見ているかのような感覚を得ることができる。
【0053】
[2:変形例]
上述した実施例は、本発明の実施の一態様である。本発明は、この実施例に限定されることなく、以下の変形例に示す態様で実施することも可能である。なお、以下の変形例は、必要に応じて、各々を組み合わせて適用することも可能である。
【0054】
(変形例1)
表示装置100に表示される画像と端末装置200に表示される画像とが同じ画像である場合があってもよい。表示システム10は、表示装置100と端末装置200とに同じ画像(マップ画像又はパノラマ画像)を表示するモードと、表示装置100と端末装置200とに別の画像(一方にマップ画像、他方にパノラマ画像)を表示するモードとを有し、これらのモードをユーザの操作によって切り替えられるように構成されていてもよい。このようなモード切り替えをユーザ(操作者)が瞬時に行えるようにすると、他のユーザが表示装置100の画像を見ている場合に、操作者の操作を当該他のユーザに意識させないようにすることができる。
【0055】
(変形例2)
本体装置300は、端末装置200に表示されている画像を表示装置100にも表示させるようにしてもよい。例えば、本体装置300は、端末装置200にパノラマ画像(親画面)を表示している場合に、このパノラマ画像(子画面)を表示装置100の一部に表示させてもよい。表示装置100においては、パノラマ画像がマップ画像の一部の領域に重なるように表示されてもよいし、パノラマ画像とマップ画像とがそれぞれ別の領域に表示されてもよい。
【0056】
図12は、本変形例の表示の一例を示す図である。ここにおいて、表示装置100に表示されている画像IM1は、親画面に対する子画面に相当する画像であり、端末装置200に表示されている部分画像と同じ画像である。また、
図13は、画像IM1を端末装置200の姿勢の変化に応じて傾けて表示させる例を示す図である。このような表示を実現するためには、本体装置300は、端末装置200のヨー方向、ピッチ方向だけでなく、ロール(roll)方向の姿勢変化をも検出するようにすればよい。
【0057】
また、本体装置300は、
図12、13に示した例とは逆に、表示装置100に表示されている画像を子画面として端末装置200に表示させるようにしてもよい。この場合、本体装置300は、ユーザが子画面に対してタッチ操作を行うことで、親画面と子画面を入れ替えたり、あるいは変形例1におけるモード切り替えを行ったりできるようにしてもよい。
【0058】
(変形例3)
本体装置300は、端末装置200に作用する重力の方向を検出するとともに、端末装置200に表示するパノラマ画像の上下方向(天地方向)をこの重力の方向に応じて変化させるようにしてもよい。なお、重力の方向は、3軸加速度センサによって検出可能である。
【0059】
図14は、本変形例の表示の一例を示す図である。本体装置300は、このように、端末装置200のロール方向の傾きに応じて、パノラマ画像の下方向が重力の方向と常に一致するように部分画像を切り出して表示させてもよい。なお、本体装置300は、ロール方向の傾きが所定の角度以上変化した場合に部分画像の向きを変えるようにしてもよい。このようにすれば、ロール方向の傾きの変化が僅かである場合(所定の角度未満である場合)に部分画像の表示を変えないようにすることが可能である。
【0060】
(変形例4)
図4に示した姿勢検出手段304は、本体装置300ではなく端末装置200に備わっていてもよい。この場合、端末装置200は、操作データに代えて、姿勢の検出結果を示すデータ(上述したヨー、ピッチなど)を本体装置300に送信する。
【0061】
(変形例5)
本発明における地図は、必ずしも地上のものである必要はない。例えば、本発明は、海中ないし海底に適当な経路を設定し、その経路に沿って海中の景色を閲覧できるようなサービスに適用してもよい。あるいは、本発明における地図は、月などの地球以外の天体を表すものであってもよい。
【0062】
また、本発明における地図とは、必ずしも実在する場所の地図でなくてもよい。本発明における地図は、いわゆる仮想空間、すなわち実在しない架空の空間の地図であってもよい。この場合、パノラマ画像は、実在する場所を撮影した画像に代えて、3次元コンピュータグラフィックスなどによって作成された画像とすればよい。
【0063】
(変形例6)
上述した実施例の表示システム10は、大半の処理を本体装置300で実行する、いわゆるシンクライアントのような構成であり、本発明に係る表示制御装置を本体装置300によって実現する構成である。しかしながら、本発明に係る表示制御装置は、本体装置300にではなく、端末装置200に備わっていてもよい。この場合、本体装置300に相当する構成は省略可能であり、端末装置200がマップデータの受信や表示装置100の表示制御も行うようにしてもよい。また、端末装置200は、いわゆるタブレット端末、携帯用のゲーム機、スマートフォンなどによって実現されてもよい。さらに、本体装置300は、家庭用の据置型のゲーム機やパーソナルコンピュータによって実現されてもよい。
【0064】
また、本発明は、
図4に示した本体装置300の機能的機能をハードウェアとソフトウェアのいずれによって実現してもよい。本体装置300の機能的機能をソフトウェアによって実現する場合には、単一のプログラムではなく、複数のプログラムの協働によって実現されてもよい。また、これらのプログラムは、同一の装置において実行される必要はなく、別個の装置において実行されてもよい。なお、このようなプログラムは、光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体に記録された形態での提供や、インターネットなどのネットワークを介して情報処理装置にダウンロードさせる形態での提供も可能である。