特許第5745501号(P5745501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745501
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ベンズアニリド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 237/44 20060101AFI20150618BHJP
   C07C 311/06 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20150618BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20150618BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150618BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20150618BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150618BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   C07C237/44CSP
   C07C311/06
   A61K31/167
   A61P7/02
   A61P29/00
   A61P25/04
   A61P43/00 111
   A61P9/00
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-507079(P2012-507079)
(86)(22)【出願日】2011年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2011057316
(87)【国際公開番号】WO2011118759
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2010-69543(P2010-69543)
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】加来田 博貴
(72)【発明者】
【氏名】深井 良祐
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−081359(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/089310(WO,A2)
【文献】 特表2009−532370(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/077901(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/029912(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
A61P
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、R1はアルキルであり、R2は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルから選択され、R3は水素、アシル、メシルから選択される。WはCH、X−YはCO−NHを表す。)
で示されるベンズアニリド誘導体またはその塩。
【請求項2】
1が低級アルキル、R2が低級アルコキシまたはトリフルオロメチル、R3が水素、メシル、アセチルから選択される、請求項1記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
【請求項3】
3が水素である、請求項1または2に記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
【請求項4】
NHR3の位置が5位である、請求項1〜3のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩からなるCOX−1選択的阻害剤。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩を含有する医薬組成物。
【請求項7】
鎮痛剤、血小板凝集阻害剤、解熱剤、血管新生抑制剤から選択される薬剤である請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
鎮痛剤である請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシクロオキシゲナーゼ1(COX−1)阻害活性を主たる生理活性とするアミノベンズアニリド誘導体に関する。
【0002】
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願、特願2010−069543号優先権を請求する。
【背景技術】
【0003】
シクロオキシゲナーゼ1(COX−1)選択的阻害剤の研究は、COX−1阻害がインドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の胃腸障害の原因と考えられていたことから殆ど為されていなかった。しかしながら、この胃腸障害はCOXのサブタイプのうちCOX−1、COX−2の両方を阻害するときに見られるものであり、いずれかのみを阻害する場合においては胃腸障害が見られないことが報告されている。
【0004】
また、COX−1選択的阻害剤は、胃腸障害が低減されており、鎮痛作用や血管新生抑制作用がみられること、また低阻害活性ではあるもののCOX−1阻害作用を有する化合物に、血小板凝集抑制作用、大腸がんの増殖抑制作用がみられることが知られる(非特許文献1)。
【0005】
COX−1選択的阻害剤としては、酸性化合物である3,4-ジアリールイソオキサゾール-5-酢酸(商品名:モフェゾラック)が臨床応用されている(特許文献1参照)。
また、COX−1阻害を主たる阻害活性とする塩基性化合物が、特許文献2に開示されている。しかしながら、特許文献2に開示される化合物は、尿の着色が問題となっている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−59764号公報
【特許文献2】WO2008/029912
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Inhibition of cyclooxygenase-1 lowers proliferation and induces macroautophagy in colon cancer cells. Biochemical and Biophysical Research Communications, Volume 382, Issue 1, 24 April 2009, Pages 79-84
【非特許文献2】Identification of urine metabolites of TFAP, a cyclooxygenase-1 inhibitor, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Volume 20, Issue 6, 15 March 2010, Pages 1840-1843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、着色尿のない新規な塩基性もしくは中性のCOX−1選択的阻害剤を提供することを目的とする。
本発明はまた、胃腸障害が低減されており、かつ高い鎮痛作用を有する化合物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一連のベンズアニリド誘導体がシクロオキシゲナーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は以下の発明を包含する。
1. 一般式I
【化1】

(式中、R1はアルキル、アルケニル、水素、ベンジルおよびフェネチルから選択され、R2は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルから選択され、R3は水素、アシル、メシル(Ms)から選択される。WはCHまたはN、X−YはCO−NHまたはNH−COを表す。)
で示されるベンズアニリド誘導体またはその塩。
2.R1が低級アルキル、R2が低級アルコキシまたはトリフルオロメチル、R3が水素、メシル、アセチルから選択される、前項1記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
3.R3が水素である、前項1または2に記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
4.NHR3の位置が5位である、前項1〜3のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
5.X−YがCO−NHである、前項1〜4のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩。
6.前項1〜5のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩からなるCOX−1選択的阻害剤。
7.前項1〜5のいずれかに記載のベンズアニリド誘導体またはその塩を含有する医薬組成物。
8.鎮痛剤、血小板凝集阻害剤、解熱剤、血管新生抑制剤から選択される薬剤である前項7に記載の医薬組成物。
9.鎮痛剤である前項8に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化合物は、化学的に安定な新規骨格からなるシクロオキシゲナーゼ1(COX−1)選択的阻害剤である。単純構造であるが故、工程数少なく、高収率で大量合成ができる。
また本発明の化合物は、マウスを用いた試験により、高い鎮痛効果を有することが明らかになった。しかも、本発明の化合物には胃腸障害作用および毒性も認められなかった。
さらに本発明の化合物は、構造上、着色尿の問題も解決されている。
本発明の化合物であるベンズアニリド誘導体は、既知のシクロオキシゲナーゼ1選択的阻害剤であるモフェゾラックと異なり、塩基性の化合物であることから、鎮痛剤の選択の幅を広げ、鎮痛治療の発展に寄与するものである。
さらに、本発明の化合物は、研究用試薬としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】化合物1a〜1t、2a、2bの合成スキームを示す図である。(実施例1)
図2】化合物3の合成スキームを示す図である。(実施例2)
図3】化合物4の合成スキームを示す図である。(実施例3)
図4】化合物5の合成スキームを示す図である。(実施例4)
図5】化合物6a、6bの合成スキームを示す図である。(実施例5)
図6】化合物1f投与による胃潰瘍形成状態を示す写真図ある。(実験例3)
図7】化合物7の合成スキームを示す図である。(実施例6)
図8】化合物8、9の合成スキームを示す図である。(実施例7)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において用いる各語句の定義は、以下の通りである。
【0014】
本発明において「アルキル」とは、C1〜C20の直鎖状または分枝(鎖)状のアルキルを意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ぺンチル、i−ぺンチル、ネオぺンチル、t−ぺンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。本発明における「アルキル」は、C1〜C6の直鎖状または分枝状の低級アルキルが好ましい。
【0015】
本発明において「アルケニル」とは、上記アルキルに1個またはそれ以上の二重結合を有する直鎖または分枝状のC2〜C20アルケニルを意味し、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,2−ブタジエニル、1−ペンテニル、1,2−ペンタジエニル、2−ヘキセニル、1,2−ヘキサジエニル、3−ヘプテニル、1,5−ヘプタジエニル等が挙げられる。本発明における「アルケニル」はC2〜C6の直鎖状または分枝状の低級アルケニルが好ましい。
【0016】
本発明において「アルコキシ」とは、酸素原子にアルキルが結合した、直鎖または分枝状のC1〜C20のアルコキシを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n―プロポキシ、i―プロポキシ、n―ブトキシ等が挙げられる。本発明における「アルコキシ」は、C1〜C6の直鎖または分枝状の低級アルコキシが好ましい。
【0017】
本発明において「アシル」とは、脂肪族カルボン酸由来のC1〜C9のアシルを意味し、例えば、ホルミル、アセチル(Ac)、プロピオニル、ブチリル、バレリル等が挙げられる。本発明における「アシル」は、アセチルが好ましい。
本発明において「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択される基を意味する。本発明における「ハロゲン」は、フッ素または塩素が好ましい。
【0018】
上記一般式Iにおいて、R1としては低級アルキルが好ましく、エチルが特に好ましい。
また、R2としては、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルから選択されることが好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。
さらに、R3としては、水素が好ましい。
Wは、好ましくはCHである。
X−Yは、好ましくはCO−NHである。
【0019】
本発明の化合物または塩のなかでもCOX−1阻害剤としては、上記の一般式Iにおいて、R1が低級アルキル(より好ましくはエチル)であり、R2がハロゲン、低級アルコキシ、トリフルオロメチルから選択され(より好ましくはトリフルオロメチルであり)、R3が水素であり、X−YがCO−NHであり、WがCHである化合物が好ましい。
また各置換基の位置としては、R2が2位または3位または4位、好ましくは2位または3位であり、NHR3が4位または5位、好ましくは5位である。
【0020】
なお各置換基の位置は、いずれも各ベンゼン環におけるX−Yの結合する炭素の位置(アミド結合の位置)を1位として、次の一般式I'において示すように表す。
【化2】
X−Yの結合する位置に対して、4位の位置はパラ位に相当し、2位と6位の位置はオルト位、3位と5位の位置は、メタ位に相当する。また図1および5において、置換基の前に数字を付している場合、その数字は置換基の位置を示すものである。例えば、図1の化合物1aに関して「R2=4-CF3」との記載は4位にトリフルオロメチルがあることを意味する。
【0021】
最も好ましい化合物は、上記の一般式I中、R3がH(水素)であり、NHRが5位に位置し、R1がエチル、X−YがCO−NH、WがCH、R2がX−Yの結合する位置(アミド結合の位置)からオルト位(好ましくは2位)またはメタ位(好ましくは3位)に位置し、かつアルコキシ基(例えば、後述の表1における化合物1r)もしくはトリフルオロメチル基(後述の表1における化合物1f)である化合物、もしくはその塩である。
【0022】
本発明の一般式Iで表される化合物に包含される全ての化合物がCOX−1選択的阻害作用を有することは本願明細書に開示された実験結果および技術常識に基づき合理的に説明できる。その根拠は以下の通りである。(i) 本発明の化合物に含まれる芳香環(ベンゼン環、ピリジン環等)は立体構造的に類似しており、互換性があることが知られている。 (ii)アミノ基(NHR)を、X−Y(アミド結合)に対し、メタ位、パラ位のいずれかの位置に有する化合物についてCOX−1選択的阻害作用が確認されており、より好ましくはアミノ基がX−Yに対してメタ位に位置する化合物がCOX−1選択的阻害作用を示す。
【0023】
なおin vitroアッセイにおいて、各々の化合物におけるCOX−1阻害作用が確認されたことから、上記一般式で表される化合物はCOX−1に対する分子生物学研究用試薬としても有用と考えられる。
【0024】
本発明の化合物は薬理学的に許容される塩の形態で使用することもできる。薬学的に許容される塩としてはいかなるものであってもよいが、酸付加塩が例示される。酸付加塩としては、たとえば塩酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩や、酢酸塩、クエン酸塩など有機酸塩が挙げられる。
【0025】
本発明に係る化合物またはその塩は、水との水和物や、低級アルコール等との溶媒和物の形態であってよい。本発明に係る化合物またはその塩の範囲内には、それらの水和物または溶媒和物の形態も包含される。さらに、一般式Iで示される本発明化合物は、その全ての立体異性体(ジアステレオマー、エピマー、エナンチオマーなど)又はラセミ体を含む。
【0026】
本発明の化合物は、シクロオキシゲナーゼの阻害作用を有し、特にCOX−1を選択的に阻害する作用を有する。COX−1を選択的に阻害する作用を有するとは、例えば、COX−2に対する阻害作用がCOX−1に対する阻害作用と比較して低い場合が例示される。本発明の化合物は、COX−1選択的阻害剤として用いることができる。また本発明の化合物を、医薬組成物の有効成分として製剤化して用いることもできる。さらに本発明のCOX−1選択的阻害剤は、生物学研究用試薬、好ましくは分子生物学研究用試薬としても利用できる。
【0027】
本発明の化合物を対象、例えばヒト、マウス、ラット、ウシなどの哺乳動物、特にヒトに投与することにより、これらの哺乳動物においてCOX−1を選択的に阻害することができる。従って本発明の化合物を対象に有効量投与することにより、COX−1選択的阻害により治療、予防又は改善され得る疾患又は症状を治療、予防又は改善することができる。COX−1選択的阻害により治療、予防又は改善され得る疾患又は症状としては、がん、疼痛、炎症、血栓発生に起因する心疾患、脳血栓などが挙げられるがこれらには限定されない。あるいは、本発明の化合物は、疾患または症状に限定されることなく、鎮痛剤、血小板凝集阻害剤、解熱剤、および/または血管新生抑制剤といった用途に用いることができる。
【0028】
本発明の化合物を有効成分として含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体又は添加物を共に含むものであり、医薬組成物は哺乳動物に投与され得る。このような担体及び添加物の例としては、水、薬学的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。使用される添加物は、医薬組成物の剤形に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
【0029】
本発明の化合物は、経口経路又は非経口経路のいずれでも投与することができる。
本発明の化合物を経口的に投与する場合、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、シロップ剤などの液体製剤等として製剤化して使用することができる。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位投与剤形とすることができる。液体製剤の場合は、使用する際に再溶解させる乾燥生成物の形態であってもよい。
固形製剤は製剤上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有することができる。また液体製剤は製剤上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有することができる。
【0030】
また非経口的に投与する場合は、注射剤、坐剤、皮膚外用剤などの剤形とすることができる。例えば注射剤は、本発明の化合物を溶液、懸濁液、乳液などに溶解又は懸濁して調製されるものであり、通常単位投与量アンプル又は多投与量容器の形態で提供される。また注射剤は、使用する際に適当な担体、例えば発熱物質不含の滅菌水に再溶解させる粉剤であってもよい。注射手法としては、例えば点滴静脈内注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、皮内注射が挙げられる。これらの非経口投与剤形は、通常それらの組成物中に薬学上一般的に使用される乳化剤、懸濁剤などの添加剤を含有する。
【0031】
医薬組成物中における本発明の化合物の量、並びに患者に対する本発明の化合物の投与量は、対象とする疾患又は症状を治療、予防又は改善することができる量であれば特に限定されず、用途、剤形、投与経路などに応じて適宜決定することできる。投与量の一例を挙げれば、例えば、1日につき患者体重1kg当たり1〜50 mgである。
【0032】
本明細書の実施例において、本発明の一般式Iに示される好ましい化合物の製造方法を具体的に説明する。これらの製造方法において用いられた出発原料及び試薬、並びに反応条件などを適宜修飾ないし改変することにより、本発明の範囲に包含される化合物はいずれも製造可能である。本発明の化合物の製造方法は、実施例に具体的に説明されたものに限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)化合物1a〜1t、2a、2bの合成
化合物1a〜1t、2a、2bの合成スキームを図1に示した。
【0035】
(中間体1の合成)
メタノール(50mL)に5−ニトロサリチル酸(3.66g、20mmol)、濃硫酸(1mL)を溶解後、100℃で21時間加熱還流した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、水(100mL)にあけ酢酸エチル(100mL×3)で抽出後、有機層を水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(3.40g)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:3)を行い、白色結晶の中間体1(2.87g、73%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.54 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.33 (1H, dd, J = 9.2, 2
.9 Hz), 7.18 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.91 (3H, s).
【0036】
(中間体2aの合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に中間体1(394mg、2mmol)、炭酸カリウム(552mg、4mmol)、ヨードメタン(374μL、6mmol)を溶解後、アルゴン雰囲気下、60℃で2時間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:4)で反応の終了を確認した後、水(40mL)にあけ酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機層を水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の中間体2a(383mg、91%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.49 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.43 (1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.40 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.98 (3H, s), 3.84 (3H, s).
【0037】
(中間体3aの合成)
中間体2a(383mg、1.81mmol)にメタノール(20mL)、2規定の水酸化ナトリウム(20mL)に溶解後、60℃で20分間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、減圧下にて溶媒留去した。2規定の塩酸で酸性にした後、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機層を水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の中間体3a(350mg、98%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 13.31 (1H, br s), 8.46 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.40 (
1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.37 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.97 (3H, s).
【0038】
(中間体4aの合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に中間体3a(221mg、1.12mmol)、4−アミノベンゾトリフルオリド(139μL、1.12mmol)、1―ヒドロキシベンゾトリアゾール(166mg、1.23mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(258mg、1.34mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で24時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(30mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(200mg)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色結晶の中間体4a(161mg、61%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.68 (1H, s), 8.44-8.40 (2H, m), 7.94 (2H, d, J = 8.6, 3.0 Hz), 7.74 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.42 (1H, d, J = 10.0Hz), 4.02 (3H, s).
【0039】
(化合物1aの合成)
中間体4a(89mg、0.25mmol)を酢酸エチル(5mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、4時間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、白色結晶(72mg、89%)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状結晶の目的の化合物1aを得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.42 (1H, br s), 8.25 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 2.8 Hz), 4.91 (2H, br s), 4.05 (2H, q, J = 6.9 Hz).
Mp 146.0-148.0℃.
【0040】
(中間体2bの合成)
中間体2aと同様にスキームG−1に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.48 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.40 (1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.38 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.27 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.84 (3H, s), 1.37 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0041】
(中間体3bの合成)
中間体3aと同様にスキームG−2に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.11 (1H, br s), 9.06 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.44 (1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.17 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.45 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.64 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0042】
(中間体4bの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.62 (1H, br s), 8.43 (1H, m), 8.40 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.93 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.74 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.40 (1H, d, J = 9.1 Hz), 4.31 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.40 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0043】
(化合物1bの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.42 (1H, br s), 8.25 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 2.8 Hz), 4.91 (2H, br s), 4.05 (2H, q, J = 6.9 Hz).
Mp 183.0-185.0℃.
【0044】
(中間体2cの合成)
中間体2aと同様にスキームG−1に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.71 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.34 (1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.04 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.12 (2H, t, J = 7.0 Hz), 1.91 (2H, m), 1.10 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0045】
(中間体3cの合成)
中間体3aと同様にスキームG−2に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 9.04 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.43 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 7.17 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.32 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.01 (2H, m), 1.14 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【0046】
(中間体4cの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.65 (1H, br s), 8.42-8.40 (1H, m), 8.38 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.92 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.74 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.41 (1H, d, J = 8.7 Hz), 4.20 (2H, t, J = 6.4 Hz), 1.79 (2H, m), 0.95 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【0047】
(化合物1cの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.43 (1H, br s), 7.91 (2H, d, J =8.6 Hz), 7.71 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.99 (1H, m), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 3.0 Hz), 4.91 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.96 (2H, t, J = 6.2 Hz), 1.75 (2H, m), 0.95 (3H, t, J = 7.4 Hz)
Mp 145.0-147.0℃.
【0048】
(中間体2dの合成)
中間体2aと同様にスキームG−1に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.68 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.32 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 7.04 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.76 (1H, sep, J = 6.1 Hz), 1.44 (6H, d, J = 6.1 Hz).
【0049】
(中間体3dの合成)
中間体3aと同様にスキームG−2に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.55 (1H, br s), 8.43 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.36 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 8.22 (1H, s), 7.86 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.61 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.48-7.45 (1H, m), 7.43 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.94 (1H, sep, J = 5.9 Hz), 1.37 (6H, d, J = 5.9 Hz).
【0050】
(中間体4dの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.55 (1H, br s), 8.43 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.36 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 8.22 (1H, s), 7.86 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.61 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.48-7.45 (1H, m), 7.43 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.94 (1H, sep, J = 5.9 Hz), 1.37 (6H, d, J = 5.9 Hz).
【0051】
(化合物1dの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.46 (1H, br s), 8.26 (1H, s), 7.82 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.9 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 2.9 Hz), 4.96 (2H, br s), 4.46 (1H, sep, J = 6.1 Hz), 1.27 (6H, d, J = 6.1 Hz).
Mp 153.0-155.0℃.
【0052】
(中間体4eの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.65 (1H, br s), 8.44 (1H, s), 8.21 (1H, s), 7.93 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.61 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.43 (2H, m), 4.02 (3H, s).
【0053】
(化合物1eの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.37 (1H, br s), 8.24 (1H, s), 7.92 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.57 (1H, t, J = 8.1 Hz), 7.42 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.94 (1H, d, J = 2.6 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.73 (1H, dd, J = 8.7, 2.6 Hz), 4.94 (2H, br s), 3.79 (3H, s).
Mp 126.0-128.0℃.
【0054】
(中間体4fの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.60 (1H, br s), 8.44 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.39 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 8.22 (1H, s), 7.90 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.62 (1H, t, J = 8.2 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.41 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.31 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.40 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0055】
(化合物1fの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.42 (1H, br s), 8.25 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 2.8 Hz), 4.91 (2H, br s), 4.05 (2H, q, J = 6.9 Hz).
Mp 183.0-185.0℃.
【0056】
(中間体4gの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.61 (1H, br s), 8.42 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.38 (1H, dd, J = 9.0, 2.9 Hz), 8.21 (1H, s), 7.88 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.61 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.47 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.41 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.21 (2H, t, J = 6.3 Hz), 1.79 (2H. m), 0.96 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0057】
(化合物1gの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.40 (1H, s), 8.24 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.42 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.96 (1H, d, J = 2.9 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.6, 2.9 Hz), 4.91 (2H, d, J = 6.8 Hz), 3.95 (2H, t, J = 6.8 Hz), 1.74 (2H, m), 0.94 (3H, t, J = 7.4 Hz).
Mp 154.0-156.0℃.
【0058】
(中間体4hの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.55 (1H, br s), 8.43 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.36 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 8.22 (1H, s), 7.86 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.61 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.48-7.45 (1H, m), 7.43 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.94 (1H, sep, J = 5.9 Hz), 1.37 (6H, d, J = 5.9 Hz).
【0059】
(化合物1hの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.46 (1H, br s), 8.26 (1H, s), 7.82 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.9 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.7, 2.9 Hz), 4.96 (2H, br s), 4.46 (1H, sep, J = 6.1 Hz), 1.27 (6H, d, J = 6.1 Hz).
Mp 153.0-155.0℃.
【0060】
(中間体4iの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ: 9.83 (1H, br s), 9.18 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.1, 3.0 Hz), 7.61 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.35 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.13 (1H, d, J = 9.1 Hz), 4.43 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.72 (3H, t, J = 7.0).
【0061】
(化合物1iの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.30 (1H, br s), 7.62 (2H, dd, J = 7.0, 2.0 Hz), 7.61 (1H, s), 7.31 (2H, dd, J = 7.0, 2.0 Hz), 6.87-6.79 (2H, m), 4.20 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.60 (2H, br s), 1.58 (3H, t, J = 7.0).
Mp 134.1-135.1℃.
【0062】
(中間体4jの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 9.83 (1H, s), 9.18 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.0, 2.9 Hz), 7.78 (1H, t, J = 2.0 Hz), 7.48 (1H, dddd, J = 8.1, 2.0, 1.1, 1.0 Hz), 7.30 (1H, t, J = 8.1 Hz), 7.14 1H, dddd, J = 8.1, 2.0, 1.1, 1.0 Hz), 7.13 (1H, td, J = 9.0 Hz), 4.43 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.72 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0063】
(化合物1jの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.30 (1H, s), 7.96 (1H, t, J = 1.9 Hz), 7.53 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.36 (1H, t, J = 8.1 Hz), 7.13 (1H, dddd, J = 8.1, 2.9, 1.9, 1.0 Hz), 7.02 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.74 (1H, dd, J = 8.8, 1.8 Hz), 5.22 (2H, s), 4.06 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.35 (3H, t, J = 6.9 Hz).
Mp. 187.8-189.4 oC.
【0064】
(中間体4kの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.12 (1H, s), 9.21 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.61 (1H, dd, J = 8.3, 1.5 Hz), 8.38 (1H, dd, J = 9.2, 2.9 Hz), 7.41 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.35 (1H, td, J = 7.9, 1.5 Hz), 7.16 1H, d, J = 9.2 Hz), 7.11 (1H, td, J = 7.9, 1.5 Hz), 4.46 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.65 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0065】
(化合物1kの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.50 (1H, s), 8.44 (1H, dd, J = 8.6, 1.5 Hz), 7.54 (1H, dd, J = 8.4, 1.3 Hz), 7.40-7.36 (2H, m), 7.15 (1H, td, J = 7.4, 1.5 Hz), 7.01 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.80 (1H, d, J = 8.4 Hz), 5.12 (2H, s), 4.24 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.40 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0066】
(中間体4lの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.25 (1H, br s), 8.44 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.1, 3.0 Hz), 7.71 (2H, dd, J = 7.6, 1.0 Hz), 7.39 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.37 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.12 (1H, tt, J = 7.6, 1.0 Hz), 4.31 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.43 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0067】
(化合物1lの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.20 (1H, br s), 7.70 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.34 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.08 (1H, m), 7.07 (1H, d, J = 3.0 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.71 (1H, dd, J = 8.7, 3.0 Hz), 4.91 (2H, br s), 4.07 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.38 (3H, t, J = 6.9 Hz).
Mp 147.0-149.0℃.
【0068】
(中間体4mの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.18 (1H, s), 8.43 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.1, 3.0 Hz), 7.60 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.39 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.3 Hz), 4.31 (2H, q, J = 6.8 Hz), 2.29 (3H, s), 1.42 (3H, t, J = 6.8 Hz).
【0069】
(化合物1mの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.12 (1H, s), 7.58 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.14 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.07 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.90 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.70 (1H, dd, J = 8.7, 2.8 Hz), 4.91 (2H, s), 4.06 (2H, q, J = 6.9 Hz), 2.27 (3H, s), 1.37 (3H, t, J = 6.9 Hz).
Mp 161.2-162.7℃.
【0070】
(中間体4nの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.18 (1H, s), 8.43 (1H, d, J = 2.5 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.0, 2.5 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.39 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.31 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.33 (2H, q, J = 9.0 Hz), 1.42 (3H, t, J = 7.0 Hz), 1.18 (3H, t, J = 8.0 Hz).
【0071】
(化合物1nの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.13 (1H, s), 7.59 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.07 (1H, d, J = 3.0 Hz), 6.90 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.70 (1H, dd, J = 8.7, 3.0 Hz), 4.90 (2H, s), 4.07 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.33 (2H, q, J = 7.5 Hz) 1.38 (3H, t, J = 7.0 Hz), 1.17 (3H, t, J = 7.5 Hz).
Mp 105.2-107.4℃.
【0072】
(中間体4oの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.19 (1H, br s), 8.43 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.1, 3.0 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.39 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.31 (2H, q, J = 7.1 Hz), 2.87 (1H, sep, J = 6.9 Hz), 1.42 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.20 (6H, d, J = 6.9 Hz).
【0073】
(化合物1oの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.12 (1H, br s), 7.59 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.07 (1H, d, J = 3.0 Hz), 6.90 (1H, d, J = 9.0 Hz), 6.70 (1H, dd, J = 8.5, 3.0 Hz), 4.90 (2H, s), 4.07 (2H, q, J = 6.8 Hz), 2.84 (1H, sep, J = 6.9 Hz), 1.37 (3H, t, J = 6.8 Hz) , 1.19 (6H, d, J = 6.9 Hz).
Mp 146.0-147.5℃.
【0074】
(中間体4pの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ: 10.92 (1H, s), 8.46 (1H, d, J = 2.9 Hz), 8.43-8.39 (3H, m), 7.84 (1H, s), 7.42 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.31 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.39 (3H, t, J = 6.9).
【0075】
(化合物1pの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.98 (1H, s), 9.23 (1H, s), 7.47 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.12 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.73 (3H, dd, J = 8.7, 2.8 Hz), 5.41 (2H, s), 4.07 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.38 (3H, t, J = 6.9 Hz).
Mp 169.7-170.8℃.
【0076】
(中間体4qの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.13 (1H, br s), 8.44 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.37 (1H, dd, J = 9.2, 3.0 Hz), 7.63 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.39 (1H, d, J = 9.2 Hz), 6.94 (2H, d, J = 9.1 Hz), 4.31 (2H, q, J = 7.1 Hz), 3.75 (3H, s), 1.42 (3H, t, J = 7.1 Hz).
【0077】
(化合物1qの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.06 (1H, br s), 7.61 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.06 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.92 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.89 (1H, d, J = 8.9 Hz), 6.69 (1H, dd, J = 8.9, 2.8 Hz), 4.90 (2H, s), 4.06 (2H, q, J = 6.9 Hz), 3.74 (3H, s), 1.37 (3H, t, J = 6.9 Hz).
Mp 131.0-132.5℃.
【0078】
(中間体4rの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 9.38 (1H, s), 9.21 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.36 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.07 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.28 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.24 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.15 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.12 (1H, dd, J = 7.5, 1.0 Hz), 4.45 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.36 (3H, s), 1.63 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0079】
(化合物1rの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 9.84 (1H, s), 8.12 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.67 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.27 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.23 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.07 (1H, td, J = 7.5, 1.0 Hz), 6.88 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 8.5, 3.0 Hz), 4.23 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.35 (3H, s), 1.50 (3H, t, J = 7.0 Hz).
Mp. 152.1-153.9℃.
【0080】
(中間体4sの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.32 (1H, br s), 8.43 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.38 (1H, dd, J = 9.1, 3.0 Hz), 7.76-7.71 (2H, m), 7.40 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.24-7.19 (2H, m), 4.31 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.41 (3H, t, J = 6.9 Hz).
【0081】
(化合物1sの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.20 (1H, br s), 7.75-7.69 (2H, m), 7.21-7.15 (2H, m), 7.03 (1H, d, J = 3.0 Hz), 6.89 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.70 (1H, dd, J = 8.7, 3.0 Hz), 4.90 (2H, br s), 4.06 (2H, q, J = 6.9 Hz), 1.36 (3H, t, J = 7.0 Hz).
Mp 153.5-155.0℃.
【0082】
(中間体4tの合成)
中間体4aと同様にスキームG−3に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.36 (1H, s), 9.18 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.44 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.39 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.19 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.14 (1H, d, J = 3.0 Hz), 4.44 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.72 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0083】
(化合物1tの合成)
化合物1aと同様にスキームG−4に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.81 (1H, s), 8.43 (1H, dd, J = 9.0, 4.0 Hz), 8.17 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.60 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.48-7.42 (1H, m), 6.88 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 8.5, 3.0 Hz), 4.21 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.60 (2H, s), 1.59 (3H, t, J = 7.0 Hz).
Mp 156.2-158.4℃.
【0084】
(化合物2aの合成)
無水ピリジン(3mL)に、中間体としての化合物1s(50mg、0.18mmol)、メシルクロライド(28μL、0.36mmol)を溶解後、2時間室温撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=2:1)により反応の終了を確認後、2規定の塩酸で酸性にし、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(61mg、95%)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状結晶の目的の化合物2aを得た。
【0085】
(化合物2bの合成)
テトラヒドロフラン(1mL)に、中間体としての化合物1s(50mg、0.18mmol)、無水酢酸(19μL、0.20mmol)を溶解後、30分間室温撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)により反応の終了を確認後、水にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(55mg、96%)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、桃色針状結晶の目的の化合物2bを得た。
【0086】
(実施例2)化合物3の合成
化合物3の合成スキームを図2に示した。
【0087】
(中間体5の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(6mL)に中間体3b(211mg、1.0mmol)、3−アミノフェノール(109mg、1.0mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(149mg、1.1mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(211mg、1.1mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で24時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(30mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、淡黄色結晶の粗生成物(643mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)を行い、白色結晶の中間体5(205mg、68%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.13 (1H, s), 9.46 (1H, s), 8.42 (1H, d, J = 3.0 Hz
), 8.36 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.38 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.31 (1H, t, J = 2.
0 Hz), 7.12 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.05 (1H, td, J = 8.0, 1,0 Hz), 6.52-6.50 (1H,
m), 4.30 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.42 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0088】
(中間体6の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に中間体5(205mg、0.68mmol)、炭酸カリウム(141mg、1.02mmol)、ヨードメタン(63μL、1.02mmol)を溶解後、アルゴン雰囲気下、60℃で24時間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、水(40mL)にあけ酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機層を水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、黄色結晶の粗生成物(113mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:2)を行い、白色結晶の中間体6(54mg、25%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 9.81 (1H, s), 9.19 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.35 (1H, dd, J = 9.0, 1.5 Hz), 7.51 (1H, s), 7.26 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.12 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.05 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 8.0, 2.5 Hz), 4.41 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.85 (3H, s), 1.71 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0089】
(化合物3の合成)
中間体6(54mg、0.17mmol)を酢酸エチル(10mL)、メタノール(10mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、2時間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(39mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)を行い、白色結晶(26mg、53%)を得た。結晶酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、淡黄色針状晶の目的の化合物3を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 10.27 (1H, s), 7.62 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.53 (1H, t, J = 2.5 Hz), 7.23 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.85 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.80 (1H, dd, J = 8.5, 3.0 Hz), 6.67 (1H, dd, J = 8.5, 2.5 Hz), 4.19 (2H, q, J = 7.0 Hz), 3.84 (3H, s), 1.58 (3H, t, J = 7.0 Hz).
Mp 145.5-146.8℃.
【0090】
(実施例3)化合物4の合成
化合物4の合成スキームを図3に示した。
【0091】
(中間体7の合成)
中間体3b(422mg、2.0mmol)にトルエン(3mL)を加え、塩化チオニル(160μL、2.2mmol)、無水N,N-ジメチルホルムアミド(一滴)を加え、アルゴン置換後、100℃で10分加熱攪拌した。反応液をメタノールに入れ、TLCプレート(メタノール:ジクロロメタン=1:10)により反応の終了を確認後、トルエンと共沸した。濃アンモニア水(2mL)を入れ、6時間室温撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)により反応の終了を確認後、酢酸エチル(30mL・3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(283mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=4:1)を行い、白色結晶の中間体7(299mg、71%)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 9.12 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.35 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.66 (1H, s), 7.09 (1H, d, J = 9.0 Hz), 6.11 (1H, s), 4.35 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.60 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0092】
(中間体8の合成)
2−アミノベンゾトリフルオリド(248μL、2.0mmol)を濃塩酸(4.0mL)に攪拌しながら混合し、0〜5℃まで温度を下げ、そこへ亜硝酸ナトリウム(172mg、2.5mmol)を水(4.0mL)に溶かした水溶液を5℃以上に昇温しないようにしながら滴下し、15分攪拌した。ヨウ化カリウム(664mg、4.0mmol)を水(4mL)に溶かし、0〜5℃で滴下した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:4)により反応の終了を確認後、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、茶色オイル状の残渣(901mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン)を行い、紫色オイル状の中間体8(442mg、81%)を得た。
1H NMR (500MHz, CDCl3): 8.03 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.66 (1H, ddd, J = 8.0, 1.0, 0.5 Hz), 7,44 (1H, td, J = 8.0, 0.5 Hz), 7.20 (1H, td, J = 8.0, 1.0 Hz).
【0093】
(中間体9の合成)
中間体7(210mg、1.0mmol)、中間体8(323mg、1.19mmol)を無水ジオキサン(10mL)に溶解後、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(23mg、0.04mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(9mg、0.01mmol)、炭酸セシウム(358mg、1.1mmol)を加え20時間加熱還流した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:2)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下にて溶媒留去し、水(30mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、黄色結晶の粗生成物(373mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:3)を行い、白色結晶の中間体9(193mg、54%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 9.97 (1H, s), 9.21 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.38 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.36 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.67 (1H, d, J = 8.0 Hz) 7.63 (1H, t, J = 8.0 Hz) , 7.29 (1H, t, J = 8.0 Hz) 7.16 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.50 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.56 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0094】
(化合物4の合成)
中間体9(120mg、0.34mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、90分間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、白色結晶(88mg、80%)を得た。結晶酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状晶の目的の化合物4を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 10.30 (1H, s), 8.34 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.69 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.63 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.57 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.22 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.92 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 6.88 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.27 (2H, q, J = 7.0 Hz), 1.43 (3H, t, J = 7.0 Hz).
Mp 149.8-150.5℃.
【0095】
(実施例4)化合物5の合成
化合物5の合成スキームを図4に示した。
【0096】
(中間体10の合成)
水素化ナトリウムをn−ヘキサンで処理後、N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)に懸濁し、N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶かした2−ヒドロキシ−4−ニトロサリチル酸(366mg、2.0mmol)、硫酸ジメチル(474μL、5.0mmol)、炭酸カリウム(触媒量)を加え、60℃で20分間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:3)で反応の終了を確認した後、水(30mL)にあけ酢酸エチル(30mL×3)で抽出後、有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、黄色結晶の中間体10(513g、q.y.)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.92-7.82 (3H, m), 4.01 (3H, s), 3.94 (3H, s).
【0097】
(中間体11の合成)
中間体10(422mg、2.14mmol)にメタノール(20mL)、2規定の水酸化ナトリウム(20mL)に溶解後、60℃で15分間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:3)で反応の終了を確認した後、減圧下にて溶媒留去した。2規定の塩酸で酸性にした後、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機層を水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の中間体11(347mg、88%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 13.34 (1H, s), 7.86 (1H, d, J = 1.9 Hz), 7.84 (1H, dd, J = 1.9 Hz), 7.83 (1H, s), 3.95 (3H, s).
【0098】
(中間体12の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に中間体11(347mg、1.8mmol)、4−アミノベンゾトリフルオリド(223μL、1.8mmol)、1―ヒドロキシベンゾトリアゾール(338mg、2.5mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(479mg、2.5mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(30mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(700mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:3)を行い、白色結晶の中間体12(390mg、63%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.75 (1H, br s), 7.95-7.91 (4H, m), 7.80 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.73 (2H, d, J = 8.6 Hz), 3.99 (3H, s).
【0099】
(化合物5の合成)
中間体5(170mg、0.50mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、60分間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、白色結晶(140mg、90%)を得た。結晶酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、淡黄色針状晶の目的の化合物5を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.03 (1H, br s), 7.94 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.66 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.63 (1H, dd, J = 8.4 Hz), 6.30 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.25 (1H, dd, J = 8.4, 1.9 Hz), 5.94 (2H, br s), 3.92 (3H, s).
Mp 172.4-173.0℃.
【0100】
(実施例5)化合物6a、6bの合成
化合物6a、6bの合成スキームを図5に示した。
【0101】
(中間体13aの合成)
無水ジクロロメタン(5mL)に2−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(183mg、1.0mmol)、4−アミノベンゾトリフルオリド(161mg、1.0mmol)、1―ヒドロキシベンゾトリアゾール(135mg、1.0mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(191mg、1.0mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で24時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(30mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:3)を行い、白色結晶の中間体13a(81mg、27%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 11.77 (1H, br s), 10.81 (1H, s), 7.97-7.91 (3H, m), 7.78-7.72 (4H, m).
【0102】
(化合物6aの合成)
中間体13a(170mg、0.23mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、12時間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(70mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)を行い、白色結晶(45mg、66%)を得た。結晶酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状晶の目的化合物6aを得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 12.11 (1H, br s), 10.23 (1H, br s), 7.90 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.74 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.69 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.15 (1H, dd, J = 8.7, 2.2 Hz), 6.03 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.96 (2H, br s).
Mp 230.0-232.0℃
【0103】
(中間体13bの合成)
中間体13aと同様にスキームG−5に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.75 (1H, br s), 7.95-7.91 (4H, m), 7.80 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.73 (2H, d, J = 8.6 Hz), 3.99 (3H, s).
【0104】
(化合物6bの合成)
化合物6aと同様にスキームG−6に従い、合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.67 (1H, br s), 7.92 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.71 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.42 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.77-6.72 (2H, m), 4.75 (2H, br s).
Mp 259.2-259.9℃
【0105】
(実験例1)In vitro試験
Cayman社製シクロオキシゲナーゼ阻害剤スクリーニングアッセイキット(760111)を用いて、シクロオキシゲナーゼ1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)に対する阻害活性値IC50を算出した。
【0106】
化合物群のCOX―2に対するIC50は>100μM(COX−2)であった。なおインドメタシンの各COXに対するIC50は、0.10μM(COX−1)、11μM(COX−2)であった(下記表1)。
【0107】
【表1】
【0108】
(実験例2)In vivo試験(酢酸ライジング法)
鎮痛試験には、一般的な試験法であるマウスを用いた酢酸ライジング試験を用いた。マウス一群8−9匹に対し、経口投与により化合物を10mg/kg投与し、その55分後に痛み刺激を与える物質として0.7%酢酸溶液を腹腔内投与した(0.1mL/10g)。酢酸溶液を投与後、5分後から15分間に渡りマウス特有のライジング行動の回数をカウントした。なおこれは、マウスに酢酸溶液のような刺激物質を投与すると、独特な苦悶症状であるライジング行動が発現することを利用した試験である。
【0109】
その結果、ライジング回数は、化合物を非投与の場合、平均22.6回であったのに対し、化合物1fを投与の場合に平均3.0回、化合物1rを投与の場合に平均12.6回であった(下記表2)。すなわち、化合物1f、化合物1rの投与によりライジング回数は有意に抑制されたことから、これら化合物の鎮痛効果が示された。
【0110】
【表2】
【0111】
(実験例3)In vivo試験(胃腸障害)
ラットを用いた胃腸障害の試験を行った。ラットに対し、絶食下化合物1fを100mg/kg、イントメタシンを10mg/kg経口投与し、5h後にジエチルエーテル処死したラットを解剖し、胃および十二指腸を摘出した。生理食塩水で洗浄後、胃潰瘍・十二指腸潰瘍を確認した。
【0112】
その結果、インドメタシン投与した場合、顕著な胃潰瘍・十二指腸潰瘍が確認された。それに対し、化合物1f投与した場合に胃潰瘍・十二指腸潰瘍は認められなかった。これにより、化合物1fが胃腸障害を起こさないことが示された(図6参照)。
【0113】
(実施例6)化合物7の合成
化合物7の合成スキームを図7に示した。
テトラヒドロフラン(2mL)に5-amino-2-ethoxy-N-(3-trifluoromethylphenyl)benzamide(150mg、0.46mmol)、無水酢酸(57μL、0.60mmol)を加え、室温で90分撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で反応の終了を確認した後、反応液を水(10mL)にあけ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(146mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=2:1)を行い、白色結晶の目的化合物(121mg、72%)を得た。酢酸エチル/n−ヘキサンで再結晶を行い、白色針状晶の目的の化合物7(08RF4−4)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.35 (1H, s), 8.20 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.01 (1H, s), 7.96 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.80 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.53 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.40 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.03 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.30 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.16 (3H, s), 1.68 (3H, t, 7.0 Hz).
【0114】
(実施例7)化合物8および9の合成
化合物8および9の合成スキームを図8に示した。
【0115】
(中間体14の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に5−ニトロサリチル酸(916mg、5.0mmol)、ベンジルブロミド(1.78mL、15.0mmol)、炭酸カリウム(2.07g、15.0mmol)、ヨウ化カリウム(8.3mg、0.05mmol)を加え、120℃で1時間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(10mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、淡黄色結晶の粗生成物(2.53g)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:8→1:1)を行い、白色結晶の中間体14(1.70g、94%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.73 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.31 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.44-7.32 (10H, m), 7.09 (1H, d, J = 9.0 Hz), 5.36 (2H, s), 5.27 (2H, s).
【0116】
(中間体15の合成)
中間体14(1.70g、4.68mmol)にメタノール(40mL)、2規定の水酸化ナトリウム(20mL)、テトラヒドロフラン(20mL)に溶解後、60℃で1時間加熱撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:2)で反応の終了を確認した後、減圧下にて溶媒留去した。2規定の塩酸で酸性にした後、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の中間体15(1.45g、q.y.)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ: 13.32 (1H, br s), 8.48 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.39 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.53-7.31 (5H, m), 5.39 (2H, s).
【0117】
(中間体16の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に中間体15(1.05g、3.84mmol)、3−アミノベンゾトリフルオリド(476μL、3.84mmol)、1―ヒドロキシベンゾトリアゾール(570mg、4.22mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(808mg、4.22mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で22時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸(20mL)にあけ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、黄色結晶の粗生成物(1.60g)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:2→1:1→3:1)を行い、白色結晶の中間体16(1.14g、71%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 9.88 (1H, s), 9.25 (1H, d, J = 3.0 Hz), 8.45 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.72 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.73-7.53 (5H, m), 7.41-7.23 (3H, m), 7.15 (1H, s), 5.36 (2H, s).
【0118】
(中間体17の合成)
無水ジクロロメタン(7mL)に中間体16(1.14g、2.74mmol)、ジメチルスルフィド(801μL、10.96mmol)、塩化アルミニウム(1.10mg、8.22mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で反応の終了を確認した後、水(50mL)にあけ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機層を水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、黄色結晶の粗生成物(1.44g)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)を行い、淡黄色結晶の中間体17(841mg、94%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 12.81 (1H, s), 8.68 (1H, d, J = 2.5 Hz), 8.43 (1H, s), 8.37 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 8.02 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.59 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.54 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.17 (1H, d, J = 9.0 Hz).
【0119】
(化合物8の合成)
中間体17(150mg、0.46mmnol)を酢酸エチル(4mL)に溶解後、10%パラジウム活性化炭素(触媒量)を加え、5時間水素雰囲気下で室温攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=1:1)で反応終了を確認後、セライト濾過を行った。減圧下で溶媒留去し、茶結晶の粗生成物(140mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:2→1:1)を行い、茶色結晶(118mg、87%)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状結晶の目的の化合物8(08RF4−51)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.65 (1H, s), 8.25 (1H, s), 7.91 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.61 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.47 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.14 (1H, dd, J = 2.0, 1.0 Hz), 6.78 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.73 (1H, dd, J = 9.0, 2.0 Hz), 4.86 (2H, br s).
【0120】
(中間体18の合成)
メタノール(4mL)に化合物8(95mg、0.32mmnol)、炭酸カリウム(56mg、0.40mmol)、無水酢酸(79μL、0.80mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n‐ヘキサン=2:1)で反応の終了を確認した後、減圧下にて溶媒留去した。水(20mL)にあけ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、油状の茶色粗生成物(109g)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)を行い、透明な油状化合物の中間体18(109mg、90%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.73 (1H, s), 10.23 (1H, s), 8.17 (1H, s), 7.93 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.89 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 9.0, 2.5 Hz), 7.61 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.47 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.22 (1H, d, J = 9.0 Hz), 2.18 (3H, s), 2.08 (3H, s).
【0121】
(化合物9の合成)
中間体18(55mg、0.14mmol)にメタノール(2mL)、2規定の水酸化ナトリウム(2mL)に溶解後、室温で5分撹拌した。TLCプレート(酢酸エチル:n-ヘキサン=5:1)で反応の終了を確認した後、2規定の塩酸で酸性にし、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。得た有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にて溶媒留去し、白色結晶の粗生成物(80mg)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)を行い、白色結晶(29mg、61%)を得た。酢酸エチル/n‐ヘキサンで再結晶を行い、白色針状結晶の目的の化合物9(08RF4−55)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 11.09 (1H, s), 10.66 (1H, s), 9.91 (1H, s), 8.25 (1H, s), 8.01 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.93 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.63 (1H, dd, J = 9.0, 2.5 Hz), 7.62 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.96 (1H, d, J = 9.0 Hz), 2.02 (3H, s).
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明化合物は、鎮痛作用に優れており、かつ胃腸障害等の副作用が軽減されているので、様々な原因による痛みを治療する上で、極めて有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図8
図6