特許第5745543号(P5745543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745543
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】掃除機ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   A47L9/04 A
【請求項の数】31
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-547540(P2012-547540)
(86)(22)【出願日】2010年12月2日
(65)【公表番号】特表2013-516261(P2013-516261A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】GB2010052008
(87)【国際公開番号】WO2011083293
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2012年9月6日
(31)【優先権主張番号】1000256.6
(32)【優先日】2010年1月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アイルズ ジャン−ポール マーク
(72)【発明者】
【氏名】アーシー スペンサー ジェイムズ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マグワイア スコット アンドリュー
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−228083(JP,A)
【文献】 特開2007−175137(JP,A)
【文献】 特開2007−289570(JP,A)
【文献】 米国特許第06378161(US,B1)
【文献】 特開平04−332518(JP,A)
【文献】 実開昭52−124570(JP,U)
【文献】 米国特許第01391754(US,A)
【文献】 特表2001−524337(JP,A)
【文献】 特開平03−228721(JP,A)
【文献】 特開平11−056710(JP,A)
【文献】 米国特許第02932844(US,A)
【文献】 米国特許第04835807(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0025775(US,A1)
【文献】 実開昭56−111959(JP,U)
【文献】 実開昭61−061947(JP,U)
【文献】 米国特許第00664135(US,A)
【文献】 特開2007−282769(JP,A)
【文献】 特開平09−010143(JP,A)
【文献】 特開平11−056705(JP,A)
【文献】 国際公開第99/037198(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドであって、
主本体と、
各々が前記主本体に対して回転可能であるとともに、床面を撹拌するための前方攪拌機及び後方攪拌機と、
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段と、
前記前方攪拌機と前記後方攪拌機との間に位置する表面撹拌部材であって、該表面撹拌部材の2つの表面の交差によって形成されるとともに床面を撹拌する表面攪拌縁部を備えた表面撹拌部材と、を備え、
前記前方攪拌機のパイルは、前記表面攪拌縁部を越えて下向きに延びる、
掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記表面攪拌縁部は、角付き縁部である、請求項1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記表面攪拌縁部は、0.5mm未満の曲率半径を有する、請求項1又は請求項2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記主本体は、吸引開口部を含み、前記表面攪拌縁部は、前記吸引開口部にわたって延びる、請求項1〜3の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記主本体は、後方に向けて配置された空気出口と、前記吸引開口部から前記空気出口に延びる吸引チャネルと、を含む、請求項4に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記吸引チャネルは、前方部分及び後方部分を含み、前記表面攪拌縁部は、前記吸引チャネルの前方部分と前記後方部分との間に位置する、請求項5に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
使用時には、前記表面攪拌縁部にわたって前記吸引チャネルの前方部分から前記吸引チャネルの後方部分に空気が流れる、請求項6に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記前方攪拌機は、前記吸引開口部の前縁を形成する、請求項4から請求項7の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
前記主本体は、前記吸引開口部の後縁を形成する、請求項8に記載の掃除機ヘッド。
【請求項10】
前記前方攪拌機は、該前方攪拌機の外面の少なくとも80%を覆うパイルを含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項11】
前記パイルが、金属、炭素繊維、プラスチック、天然及び複合材料のうちの1つから形成されたフィラメントを含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項12】
前記前方攪拌機は、本体を含み、前記フィラメントは、前記本体の周りに位置する可撓性のキャリア部材上に織られる、請求項11に記載の掃除機ヘッド。
【請求項13】
前記キャリア部材は、前記本体の周りに巻かれる、請求項12に記載の掃除機ヘッド。
【請求項14】
前記キャリア部材は、前記本体に接着される、請求項13に記載の掃除機ヘッド。
【請求項15】
前記主本体は、前記表面攪拌縁部を越えて下向きに突出する少なくとも1つの表面係合支持部材を含む、請求項1〜14の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表面係合支持部材は、複数の転動要素を含む、請求項15に記載の掃除機ヘッド。
【請求項17】
前記複数の転動要素のうちの2つは各々、前記表面攪拌縁部のそれぞれの端部に近接して位置する、請求項16に記載の掃除機ヘッド。
【請求項18】
前記各転動要素は、ホイールを含む、請求項16又は請求項17に記載の掃除機ヘッド。
【請求項19】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機が異なるものである、請求項1〜18の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項20】
前記後方攪拌機が、複数の剛毛を含む、請求項1〜19の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項21】
前記剛毛の少なくともいくつかは、1x10-5から1x1012Ω/sqの範囲の表面抵抗率を有する材料から形成される、請求項20に記載の掃除機ヘッド。
【請求項22】
前記剛毛の少なくともいくつかは、金属、炭素繊維、天然及び複合材料のうちの1つから形成される、請求項20又は請求項21に記載の掃除機ヘッド。
【請求項23】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段は、前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を同じ方向に回転させるように構成される、請求項1〜22の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項24】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段は、第1の速度で前記前方攪拌機を回転させ、前記第1の速度よりも大きい第2の速度で前記後方攪拌機を回転させるように構成される、請求項1〜23の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項25】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段は、前記前方攪拌機の少なくとも2倍の速度で前記後方攪拌機を回転させるように構成される、請求項24に記載の掃除機ヘッド。
【請求項26】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段は、前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機の両方を回転させるためのモータを含む、請求項1〜25の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項27】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機を回転させるための手段は、前記モータを前記後方攪拌機に接続する第1のベルトと、前記後方攪拌機を前記前方攪拌機に接続する第2のベルトとを含む、請求項26に記載の掃除機ヘッド。
【請求項28】
前記モータは、前記後方攪拌機の背後に位置する、請求項26又は請求項27に記載の掃除機ヘッド。
【請求項29】
前記主本体は、上面と、前記前方攪拌機と前記後方攪拌機との間で前記上面から下向きに延びる障壁部材と、を含む、請求項1〜28の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項30】
前記障壁部材は、前記前方攪拌機と係合する、請求項29に記載の掃除機ヘッド。
【請求項31】
前記前方攪拌機及び前記後方攪拌機の各々が、回転可能ブラシバーの形態である、請求項1〜30の何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機は、典型的には、汚れ及び塵埃分離装置を収容する主本体と、主本体に接続されて吸引開口部を有する掃除機ヘッドと、吸引開口部を通って汚れ含有空気を引き込むためのモータ駆動ファンユニットとを含む。吸引開口部は、掃除されることになる床面に面して下向きに向けられる。汚れ含有空気は、空気が大気に排出される前に汚れ及び塵埃を空気から分離することができるように分離装置に搬送される。分離装置は、フィルタ、フィルタバッグ、又は公知のようにサイクロン構成の形態を取ることができる。本発明は、分離装置の性質に関係なく、従って、上記の構成又は別の好適な分離装置の何れかを利用する真空掃除機に適用可能である。
【0003】
通常はブラシバーの形態の駆動式攪拌機は、吸引開口部からわずかな範囲だけ突出するように掃除機ヘッドに支持されている。ブラシバーは、主に真空掃除機を用いてカーペット敷き面を掃除する時に起動される。ブラシバーは、コアから半径方向外向きに延びる剛毛を担持する細長円筒形コアを含む。ブラシバーの回転は、掃除機の主本体から得られる電源によって給電された電気モータにより駆動することができる。ブラシバーの回転は、剛毛が掃除されるカーペットの表面に沿って掃くようにし、汚れ及び塵埃をほぐしてデブリを拾い上げる。真空掃除機のファンユニットによって発生する空気の吸引は、空気を掃除機ヘッドの下で且つブラシバーの周囲に流すようにし、カーペットの表面からの汚れ及び塵埃を持ち上げ、次いで、それを吸引開口部から掃除機ヘッドを通って分離装置に向かって運ぶのに役立つ。
【0004】
掃除機ヘッドが硬い床面を掃除するのに使用されることになる場合、掃除機ヘッドの回転を停止させて、ブラシバーの移動する剛毛によって床面が傷付き又は跡が付くのを防ぐことが望ましい。この目的のために、スイッチが掃除機ヘッド上に設けられ、掃除機ヘッドが硬い床面上に移動する前に、ユーザがブラシバーの回転を駆動させるモータを停止させることができるようにすることができる。代替として、センサは、掃除機ヘッドが位置している床面のタイプを検出するため、及び床面の検出したタイプに応じてモータを停止するために、掃除機ヘッドの底面上に設けることができる。
【0005】
硬い床面にわたる掃除機ヘッドの操縦を容易にするため、及び床面の上に掃除機ヘッドの底面を引き上げるために複数のホイールを掃除機ヘッドの底面上に設けることができ、これにより、床面が掃除機ヘッドの底面との接触により跡が付くのを防ぐようにする。これにより、典型的には掃除機ヘッドの吸引開口部が当該床面と実質的に平行になるように、掃除機ヘッドの吸引開口部が硬い床面の上に引き上げられる。
【0006】
掃除機ヘッドが硬い床面上に移動すると、掃除機ヘッドの吸引開口部内への空気の連続吸引により、デブリが硬い床面から舞い上がり掃除機ヘッド内に引き上げることができるようになる。しかしながら、ブラシバーは回転していないので、硬い床面は、掃除機ヘッドによって攪拌されず、その結果、一部の塵埃及び比較的微細な汚れは、硬い床面上に残る可能性がある。
【0007】
吸引開口部を通る空気の吸引により、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間に圧力差が生じる。硬い床面上の掃除機ヘッドの吸引開口部の上昇は、吸引開口部の周辺と床面との間にシールが形成されないことを意味する。これはまた、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間の圧力差が比較的小さくなることを意味し、硬い床面の隙間に位置する汚れ及び塵埃が、掃除機ヘッドに流入する空気流内に同伴するのが比較的少ない結果となる。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本発明は、
下向きに向けられた吸引開口部及び少なくとも1つの表面係合支持部材を含む主本体と、
各々が主本体に対して回転可能である前方攪拌機及び後方攪拌機と、
前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段と、
比較的可撓性のパイルを含む前方攪拌機と、前方攪拌機のパイルから物体を取り除くように配置された比較的剛性のある表面係合手段を含む後方攪拌機と、
を備え、前方攪拌機のパイル及び少なくとも1つの表面係合支持部材が、後方攪拌機の表面係合手段を越えて下向きに延びる、真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドを提供する。
【0009】
本発明は、各々が好ましくは回転可能ブラシバーの形態の2つの回転可能攪拌機を有する掃除機ヘッドを提供する。前方攪拌機は、カーペット、ラグマット、織物又はクロスの隆起した又は綿毛状の面に類似した比較的可撓性のパイルを含み、後方攪拌機は、比較的剛性のある表面係合手段を含む。パイルは、好ましくは、前方攪拌機の本体に接続された複数のフィラメントから形成され、表面係合手段は、後方攪拌機から外向きに延びる少なくとも1つの材料片のような複数の剛毛、フィラメント又は他の攪拌部材を含むことができる。表面係合手段が複数の剛毛を含む場合、これらの剛毛は、好ましくは、剛毛の群又は房の1つ又はそれ以上の列で配置される。
【0010】
掃除機ヘッドの主本体は、少なくとも1つの表面係合支持部材を含み、前方攪拌機のパイル及び少なくとも1つの表面係合支持部材は、後方攪拌機の表面係合手段を越えて下向きに延びる。その結果、掃除機ヘッドが、比較的硬い床面、例えば、タイル張り、層状、木質又はビニル面上に位置するときに、後方攪拌機の表面係合手段は、床面から離間して配置され、前方攪拌機の比較的可撓性のパイルは、床面と係合することができる。これは、後方攪拌機が回転すると、床面が表面係合手段によって跡が付けられないことを意味し、よって後方攪拌機が硬い床面上に位置するときに後方攪拌機の回転を停止する必要はない。更に、主本体に対する前方攪拌機の回転によって、汚れ及び塵埃は、床面から取り除かれ、前方攪拌機のパイルのフィラメントによって掃除機ヘッド内に掃き込むことができる。前方攪拌機のパイルが比較的可撓性であるので、床面が傷付けられ及び跡が付けられるのを抑制することができる。前方攪拌機によって掃除機ヘッド内に掃き込むことができるデブリの最大の大きさは、パイルのフィラメントの長さによって決まり、好ましくは5mmから15mmの範囲にある。
【0011】
後方攪拌機は、後方攪拌機の表面係合手段が前方攪拌機のパイルから物体を取り除くことができるように配置され、これにより、毛髪のようなデブリが前方攪拌機のパイル内で絡まり、パイルが局所的に平坦になることで前方攪拌機の性能を損なうのを防ぐことができる。発明者らはまた、攪拌機が回転しながら掃除機ヘッドがカーペット敷き床面上で操縦されたときに、硬い床面上で掃除機ヘッドの使用中に前方攪拌機のパイル内で絡んだあらゆる物体をこのような床面に容易に移送できることを見出した。例えば、前方攪拌機及び後方攪拌機は、後方攪拌機の表面係合手段が、前方攪拌機のパイルを貫通して、攪拌機の回転中、後方攪拌機の表面係合手段が前方攪拌機のパイルを通過又は「櫛ですくようにかき出し」てパイルから物体を取り除くように配置することができる。後方攪拌機の表面係合手段が前方攪拌機のパイルを貫通する最大距離は、好ましくは、後方攪拌機の表面係合手段が前方攪拌機の回転を不適当に妨げないように、0.5mmから2mmの範囲である。
【0012】
その後、掃除機ヘッドがカーペット敷き床面上に移動すると、前方攪拌機のパイル及び少なくとも1つの表面係合支持部材は、カーペットの繊維の間に沈み込み、後方攪拌機の表面係合手段をカーペット繊維と接触状態にすることができる。その結果、前方攪拌機のパイル及び後方攪拌機の表面係合手段は共に、カーペットの繊維から汚れ及びデブリを取り除く働きをすることができる。
【0013】
パイルは、好ましくは前方攪拌機の外面の少なくとも半分を覆い、より好ましくは外面の少なくとも80%を覆い、更に好ましくは前方攪拌機の外面を実質的に覆い、掃除機ヘッドが床面にわたって操縦されたときに、床面上にどのようなパターンの汚れ又は塵埃も形成されないようにする。掃除機ヘッドは、好ましくは、前方攪拌機のパイルが吸引開口部の前縁を形成するように配置される。パイルが、前方攪拌機の外面を実質的に覆う場合、パイルは、前方攪拌機の回転中に吸引開口部の縁部と床面との間にシールを形成することができる。このことは、真空掃除用電気器具の使用中に、吸引開口部の周辺全体が床面から離間して配置される掃除機ヘッドと比較して、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間の圧力差を増大させることができ、これにより、硬い床面の隙間に位置する汚れ及び塵埃のデブリの掃除機ヘッドに流入する空気流内への同伴が改善される。
【0014】
後方攪拌機の回転軸は、好ましくは吸引開口部の上方に位置し、よって主本体は、好ましくは吸引開口部の後縁を形成する。前方攪拌機のパイル及び少なくとも1つの表面係合支持部材は、好ましくは、吸引開口部の後縁を越えて下向きに延びる。これにより、吸引開口部の後縁が硬い床面から離間して配置され、掃除機ヘッドが床面にわたって操縦されたときに吸引開口部の後縁によって当該床面に跡が付くのを防ぐことができるようにすることができる。
【0015】
パイルは、好ましくは、金属、炭素繊維、プラスチック、天然及び複合材料のうちの1つから形成されたフィラメントを含む。導電性の外面を有する前方攪拌機を提供することにより、掃除される床面にある静電気をパイルと床面との間で接触したときに放電できるようにすることができる。このことによって、そうでなければ床面に引き付けられるはずの微細な塵埃及び粉末を床面から取り除くことができるようになる。
【0016】
パイルの表面抵抗率は、好ましくは、1x10-5から1x1012Ω/sq(オームパースクエア)の範囲である。本明細書で検討した表面抵抗率の値は、試験方法ASTM D257を用いて測定される。この範囲の表面抵抗率を有する材料を選択すると、床面上のあらゆる静電気が前方攪拌機によって効果的に放電されることを保証することができる。例えば、炭素粒子及び炭素繊維を含む材料は、一般的に、1x103Ω/sqから1x106Ω/sqの範囲の表面抵抗率を有するが、金属材料は一般に、これよりもはるかに低く、1Ω/sqよりも小さい表面抵抗率を有する。他の静電気散逸材料は一般に、1x105Ω/sqから1x1012Ω/sqの範囲の表面抵抗率を有する。
【0017】
前方攪拌機は、好ましくは本体を含み、フィラメントは、好ましくは本体の周りに位置する可撓性キャリア部材上に織られる。例えば、キャリア部材は、好ましくはキャリア部材の巻線間に実質的に間隙がないように、本体の周りに巻かれたストリップの形態とすることができる。キャリア部材は、好ましくは接着剤を用いて本体に取り付けられる。
【0018】
後方攪拌機の表面係合手段は、パイルのフィラメントよりも大きい直径又は厚さを有することにより前方攪拌機のパイルよりも大きな剛性を備えることができる。例えば、前方攪拌機のパイルのフィラメントは、好ましくは、100μm未満、より好ましくは50μm未満の直径を有するが、表面係合手段は、少なくとも150μmの直径を有する剛毛から形成することができる。
【0019】
後方攪拌機の表面係合手段及び前方攪拌機のパイルは、同じ材料から形成することができる。代替的に、後方攪拌機の表面係合手段は、前方攪拌機のパイルの材料とは異なる材料から形成することができる。後方攪拌機が剛毛の房を含む場合、各房は、複数のタイプの剛毛から形成することができる。例えば、各房は、ナイロン又は同様のプラスチック材料から形成された剛毛と、前方攪拌機のパイルから静電気を消失させるために比較的高い導電性を有する金属又は複合材料から形成された剛毛とを含むことができる。
【0020】
掃除機ヘッドは、好ましくは、複数の表面係合支持部材を含む。吸引開口部を通る空気の吸引により、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間に圧力差が生じると、掃除される表面に向かって掃除機ヘッドに対して下向きに力が作用する。掃除機ヘッドの主本体に作用する力を複数の支持部材に伝達することによって、床面にわたる掃除機ヘッドの移動に対する抵抗を比較的小さくすることができる。支持部材は、掃除機ヘッドが床面にわたって移動するときに発生する抵抗を最小限にするような形状にすることができる。上記又は各支持部材は、好ましくは、掃除される表面と係合する移動可能部材を含む。各移動可能部材は、好ましくは、掃除される表面に沿って転動する転動要素を含み、好ましくは、ホイール、例えば、キャスタホイールの形態である。代替的に、転動要素は、球形、円筒形、又はバレル形の転動要素の形態にすることができる。これら移動可能部材を設けることにより、硬い床面にわたる支持部材の移動に対する抵抗を最小限にすることができる。転動要素は、掃除機ヘッドがこのような床面にわたって操縦されたときに、比較的繊細な硬い床面の何らかの傷付けを防止するためにフェルト又は他の織物材料の外側カバーを含むことができる。
【0021】
前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、好ましくは、第1の速度で前方攪拌機を回転させ、第1の速度よりも大きい第2の速度で後方攪拌機を回転させるように配置される。前方攪拌機の回転の速度に比べて後方攪拌機の回転の速度を増大させることにより、前方攪拌機の回転数当たりの後方攪拌機の表面係合手段と前方攪拌機のパイルとの間の相互作用の程度を増大させることができる。好ましくは、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、νrpmの速度で前方攪拌機を回転させ、Xνrpmの速度で後方攪拌機を回転させるように配置され、ここでX≧2である。例えば、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、1000rpmから2000rpmの範囲の速度で前方攪拌機を回転させ、2000rpmから5000rpmの範囲の速度で後方攪拌機を回転させるように配置することができる。攪拌機の相対的サイズ及び後方攪拌機の表面係合手段の配置に応じて、後方攪拌機の表面係合手段が前方攪拌機のパイルと相互に作用する場所が、前方攪拌機の各回転と共に変化し、これにより攪拌機の回転中に後方攪拌機の表面係合手段が通過する前方攪拌機のパイルの容積を増大させるように、数Xが整数でないのが好ましいとすることができる。
【0022】
前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、好ましくは、前方攪拌機及び後方攪拌機を同じ方向に回転させるように配置される。前方及び後方攪拌機の回転速度のあらゆる所与の大きさに対して、攪拌機を同じ方向に回転させることにより、攪拌機が反対方向に回転する配置と比べて、これらの相互作用点において後方攪拌機の表面係合手段と前方攪拌機のパイルとの間の相対速度を増大させることができる。デブリが前方攪拌機のパイルから取り除かれる可能性が増大することに加えて、この配置により、例えば、過度の速度で後方攪拌機を回転させる必要もなく前方攪拌機の各回転数に対して後方攪拌機の剛毛のクランプが前方攪拌機のパイルを通過する回数を増加させることができる。
【0023】
第1の攪拌機及び第2の攪拌機を回転させるための手段は、それぞれの攪拌機を各々が回転させる複数のモータを含むことができる。例えば、各攪拌機が回転可能なブラシバーの形態である場合、各モータは、そのそれぞれのブラシバー内に配置することができる。代替的に、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、前方攪拌機及び後方攪拌機の両方を回転させるためのモータを含むことができる。このモータは、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための専用モータとすることができ、又は、真空掃除用電気器具に動力を供給する真空モータとすることができる。前者の場合、モータは、ギア構成によって又は複数のベルトによって攪拌機に接続することができる。例えば、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、モータを後方攪拌機に接続する第1のベルトと、後方攪拌機を前方攪拌機に接続する第2のベルトとを含むことができる。モータは、好ましくは、掃除機ヘッドの高さを最小にするように後方攪拌機の背後に配置される。攪拌機が真空モータによって駆動される場合、攪拌機を回転させるための手段は更に、真空モータと後方攪拌機との間に配置されるクラッチを含むことができる。攪拌機を駆動させるためのモータの代替として、前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段は、掃除機ヘッドに出入りする空気流によって駆動されるタービンを含むことができる。
【0024】
好ましくは、主本体は、上面と、前方攪拌機と後方攪拌機との間で上面から下向きに延びる障壁部材とを含む。この障壁部材は、前方攪拌機によって掃除される表面から掃き出された汚れ及びデブリが掃除機ヘッドの前方から放出されるのを防ぐことができる。障壁部材は、好ましくは、前方攪拌機のパイルと係合する。障壁部材は、好ましくは、前方攪拌機の回転軸に対して実質的に平行に配置され、好ましくは、実質的に前方攪拌機の全長を延びる。障壁部材は、前方攪拌機のパイルからあらゆる静電気を消失させるために金属材料から形成することができる。
【0025】
掃除機ヘッドへは、好ましくは、前方攪拌機と後方攪拌機との間に位置する表面攪拌縁部を含む。このような攪拌縁部は、カーペット敷き床面上の掃除機ヘッドの性能を改善することができ、カーペット敷き床面とのその係合により、前方攪拌機がこのような床面の繊維内に過度に深く埋め込まれるのを阻止することができ、これは、そうでなければこのような床面にわたる掃除機ヘッドの操縦に対する抵抗が増大するはずである。従って、第2の態様では、本発明は、
主本体と、
各々が主本体に対して回転可能である前方攪拌機及び後方攪拌機と、
前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段と、
前方攪拌機と後方攪拌機との間に位置する表面攪拌縁部と、
を含む真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドを提供する。
【0026】
表面攪拌縁部は、好ましくは、2つの表面、例えば前面と後面との間の交差によって形成される角付き縁部である。これらの表面は、吸引開口部にわたって延びるストリップ上に位置することができ、これらは、吸引開口部の両側部に取り付けることができる。前面の少なくとも一部は、好ましくは、掃除機ヘッドがカーペット敷き床面にわたって操縦されたときに、その真下のカーペット敷き床面の繊維を案内するように掃除機ヘッドの底面に対して前方に傾斜している。前面及び後面は、好ましくは鋭角で交差し、よって後面はまた、掃除機ヘッドの底面に対して前方に傾斜させることができる。代替的に、後面は、掃除機ヘッドの底面に対して実質的に直角にすることができる。攪拌を改善するために、攪拌縁部は、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満の曲率半径を有するのが好ましい。
【0027】
表面攪拌縁部は、好ましくは、掃除機ヘッドの吸引開口部にわたって延びる。掃除機ヘッドの高さを最小にするために、主本体は、好ましくは、その後方に向けて配置される空気出口と、吸引開口部から空気出口に延びる吸引チャネルとを含む。吸引チャネルは、好ましくは、前方部分及び後方部分を含み、表面攪拌縁部は、吸引チャネルの前方部分と後方部分との間に位置する。これにより薄い輪郭を有する掃除機ヘッドを提供することができる。使用時には、空気は、好ましくは、表面攪拌縁部にわたって吸引チャネルの前方部分から吸引チャネルの後方部分に流れる。
【0028】
前方攪拌機のパイルは、好ましくは、表面攪拌縁部を越えて下向きに延びる。表面攪拌縁部は比較的鋭利とすることができるので、少なくとも1つの表面係合支持部材はまた、好ましくは表面攪拌縁部を越えて下向きに突出し、掃除機ヘッドがこのような床面にわたって操縦されたときに、縁部が硬い床面から離間して配置されようにする。掃除機ヘッドがカーペット敷き床面上に移動すると、攪拌機のパイル及び少なくとも1つの表面係合支持部材は、床面の繊維内に沈み込み、攪拌縁部をこれらの繊維と接触状態にする。少なくとも1つの表面係合支持部材が複数の転動要素を含む場合、好ましくは、転動要素のうちの2つは各々、攪拌縁部が硬い床面から確実に離間して配置されるように、表面攪拌縁部のそれぞれの端部に近接して配置される。これらの2つの転動要素は、表面攪拌縁部の相対する端部にて又はこれらに向かって位置することができ、及び/又はこれらは、縁部の前方又は後方に位置することができる。
【0029】
好ましくは、主本体は、前方攪拌機の回転軸の上方に位置する前縁を含み、前方攪拌機のパイルは、主本体の前縁を越えて前方に延びる。前方攪拌機の前部を露出することによって、前方攪拌機の露出された前部のパイルは、掃除機ヘッドの比較的柔軟で可撓性の前部バンパとして機能することができる。その上、掃除機ヘッドは、前方攪拌機のパイルが、その物体に隣接する床面の一部から汚れ及びデブリを掃き出すことができるように、家具又は他の直立する物体の壁材に対して押し上げることができる。従って、第3の態様において、本発明は、
主本体と、
各々が主本体に対して回転可能である前方攪拌機及び後方攪拌機と、
前方攪拌機及び後方攪拌機を回転させるための手段と、
を含む、真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドを提供し、
主本体は、前方攪拌機の回転軸の上に位置する前縁を含み、前方攪拌機は、主本体の前縁を越えて前方に延びるパイルを含む。
【0030】
好ましくは前縁の少なくとも一部、より好ましくは前縁の実質的に全ては、前方攪拌機の回転軸に対して実質的に平行である。
【0031】
掃除機ヘッドは、直立真空掃除用電気器具又は円筒形(キャニスタ又はバレルとも呼ばれる)真空掃除用電気器具の何れにも用いることができる。
【0032】
本発明の第1の態様と共に上述した特徴は、本発明の第2及び第3の態様の何れかにも等しく適用可能であり、逆もまた同じである。
【0033】
本発明の他の好ましい実施形態は、添付の請求項に記載されている。
【0034】
ここで、添付図面を参照しながら本発明の1つの実施形態を単に例証として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッドの上から見た正面斜視図である。
図2図1の掃除機ヘッドの正面図である。
図3図1の掃除機ヘッドの底面図である。
図4図1の掃除機ヘッドの左側面図である。
図5】主本体の一部が取り外された状態の、図1の掃除機ヘッドの右側面図である。
図6図1の掃除機ヘッドの平面図である。
図7】掃除機ヘッドが比較的硬い床面上に位置する状態の、図6の線A−Aに沿った側断面図である。
図8図7と同じであるが、掃除機ヘッドがカーペット敷き床面上に位置する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図4及び図6は、真空掃除用電気器具用の掃除機ヘッド10の実施形態を示す。この実施形態では、掃除機ヘッド10は、円筒形真空掃除用電気器具のワンド又はホースに接続可能であるように配置される。掃除機ヘッド10は、主本体12及び主本体12に接続された導管14を含む。主本体12は、上側部分16と、サイドプレート18、20と、下側部分22とを含む。上側部分16は、下側部分22と一体化することができ、サイドプレート18、20は、主本体12の上側部分16及び下側部分22に接続される。主本体12の上側部分16は、隆起した前縁24を有する。主本体12の下側部分22の後部26は、主本体12の上側部分16を越えて後方に突出する。
【0037】
主本体12の下側部分22は、使用時に掃除される床面に面する底面28を含み、以下でより詳細に説明するように、カーペット敷き床面の表面と係合する。底面28は、ほぼ平面であり、後方部分30及び側部分32を含む。下側部分22の後面33は、後方部分30の後部から上向き及び後方に湾曲している。
【0038】
主本体12は、汚れ含有空気流が掃除機ヘッド10通過して入る下向き吸引開口部34を含む。吸引開口部34は、ほぼ矩形の形状であり、比較的短い側壁36、38及び比較的長い後壁40によって部分的に境界付けられる。底面28の側部分32は側壁36を含み、主本体のサイドプレート18は側壁38を含み、底面28の後方部分30は後壁40を含む。図7に示すように、吸引開口部34の後壁40は、底面28に対して前方に湾曲又は傾斜しており、掃除機ヘッド10が床面にわたって操縦されたときに、底面28の後方部分30の真下のラグマット又は深いパイル織りのカーペット敷き床面の繊維を掃くようにする。底面28に対する後壁40の傾斜角度は、好ましくは40°から50°の範囲である。吸引開口部34の後縁42は、後壁40と底面28の後方部分30との間の交差位置に配置され、側壁36、38間を実質的に連続して延びる。側壁36、38は、底面28に対してほぼ直角である。
【0039】
特に図3及び図7を参照すると、表面攪拌部材44は、吸引開口部34の後縁42に対してほぼ平行に吸引開口部34にわたって延びる。表面攪拌部材44は、吸引開口部34の側壁36、38に接続される。表面攪拌部材44は、前面46及び後面48を含み、該前面46及び後面48各々が、実質的に表面攪拌部材44の全長に延びて、表面攪拌縁部50を定めるように交差する。
【0040】
カーペット敷き面にわたる掃除機ヘッド10の操縦に対する抵抗を低減するために、表面攪拌部材44の前面46の下部はまた、底面28に対して前方に傾斜しており、掃除機ヘッド10が床面にわたって操縦されたときに、表面攪拌縁部50の真下のラグマット又は深いパイル織りのカーペット敷き床面の繊維を掃くようにする。前面46と後面48との間の交差位置にある底面28に対する表面攪拌部材44の前面46の傾斜角度は、好ましくは10°から30°の範囲である。表面攪拌縁部50において前面46と後面48との間に範囲が定められる角度は、好ましくは50°から80°の範囲である。表面攪拌縁部50は、好ましくは比較的鋭利であり、好ましくは0.5mm未満の曲率半径を有する。
【0041】
掃除機ヘッド10がこのような表面にわたって操縦されたときに、表面攪拌縁部50が硬い床面を傷付け又は跡が付くのを防ぐために、主本体12は、このような表面から表面攪拌縁部50を離間して配置する働きをする少なくとも1つの表面係合支持部材を含む。この実施形態では、掃除機ヘッド10は、各々が転動要素の形態である複数の表面係合支持部材を含む。2つの比較的広い転動要素52は各々、主本体12の下側部分22の後部26に形成されたそれぞれの開口54内に回転可能に装着され、2つの比較的狭い転動要素56は各々、表面攪拌部材44に回転可能に接続されて、表面攪拌縁部50がこれらの間に位置するように表面攪拌部材44のそれぞれの端部に向かって配置される。図7に示すように、転動要素52、56は、主本体の下側部分22の底面28及び表面攪拌縁部50の両方を越えて下向きに突出し、掃除機ヘッド10がその表面と係合する転動要素52、56と硬い床面H上に位置するときに、主本体12の底面28及び表面攪拌縁部50が当該床面から離間して配置されるようにする。
【0042】
図3を参照すると、ラグマット又は深いパイル織りのカーペット敷き床面にわたって掃除機ヘッド10の移動を案内するための複数のラグマットストリップ58が、吸引開口部38の一部にわたって延びている。ラグマットストリップ58は、表面攪拌部材44に接続され、好ましくはこれと一体化されて、表面攪拌部材44からラグマットストリップ58が接続された吸引開口部38の後壁40まで延びる。ラグマットストリップ58は、吸引開口部34の側壁36、38に対して実質的に平行である。
【0043】
掃除機ヘッド10は、床面上に位置する汚れ及び塵埃を攪拌するために、前方攪拌機60と、前方攪拌機60の背後に位置付けられた後方攪拌機62とを含む。この実施形態では、攪拌機60、62の各々は、回転軸の周りで主本体12に対して回転可能であるブラシバーを含む。攪拌機60、62の回転軸A、Bは、実質的に平行であり、また、主本体12の前縁24、吸引開口部34の後縁42及び表面攪拌縁部50に対しても実質的に平行である。
【0044】
前方攪拌機60及び後方攪拌機62は類似のものではない。図3及び図7を再度参照すると、前方攪拌機60は、その長手方向軸線の周りで回転する略円筒体64を含む。本体64は、比較的可撓性のフィラメントから形成されたパイル66を含む外面を有する。この実施例では、パイル66は、カーペット、ラグマット又はクロスの隆起した又は綿毛状の面に類似し、例えば、接着剤を用いて本体64に取り付けられた織物キャリア部材(図示せず)上に織られたフィラメントを含む。パイル66のフィラメントの長さは、好ましくは5mmから15mmの範囲である。織物キャリア部材は、パイル66が、実質的に連続して本体64の外面を実質的に覆うように、本体64上に巻かれたストリップの形態とすることができる。代替的に、キャリア部材は、本体64が挿入される円筒スリーブの形態とすることができる。
【0045】
前方攪拌機60のフィラメントの長さは、主本体12の底面28及び表面攪拌縁部50を越えて、少なくとも転動要素52、56の所まで下向きに突出するように選択される。その結果、図7に示すように、掃除機ヘッド10が、硬い床面H上に位置するときには、パイル66は硬い床面Hと係合して、主本体12に対する前方攪拌機60の回転により汚れ及びデブリを硬い床面Hから掃くことができるようになる。前方攪拌機60の本体64を実質的に覆うパイル66によって、パイル66は、前方攪拌機60の回転中に硬い床面Hと係合してシールを形成することができる。従って、パイル66は、掃除機ヘッド10の吸引開口部34の前縁68を形成する。前縁68は、掃除機ヘッド10が床面にわたって操縦されるときに床面との接触を保持し、その結果、使用時に、掃除機ヘッド10を通過する空気と外部環境との間に確立される圧力差が、吸引開口部の周辺全体が床面から離間して配置される掃除機ヘッド10において確立される圧力差よりも大きいようになり、これによって、硬い床面Hの隙間に位置する汚れ及び塵埃のデブリが掃除機ヘッド10に流入する空気流内への同伴を改善することができる。
【0046】
上述のように、主本体12の上側部分16は、隆起した前縁24を有する。前方攪拌機60は、前方攪拌機60の回転軸Aが前縁24の背後で且つ真下に位置するように配置される。前方攪拌機60のパイル66のフィラメントの長さは、パイル66が主本体12の前縁24を越えて前方に延びるように選択される。これは、図4及び図5において最も明確に分かる。結果として、前方攪拌機60のパイル66は、掃除機ヘッド10の前方先端を提供する。従って、パイル66は、掃除機ヘッド10に対して比較的柔軟で可撓性の前部バンパとして機能することができ、このことは、掃除機ヘッド10の前部が、これらの物体に跡を付けることなく床面から直立する壁、家具又は他のこのような物体と係合できることを意味する。その上、パイル66が主本体12の前縁24から前方に突出する距離に応じて、掃除機ヘッド10は、直立している物体に対して前方に押し付けることができ、前縁24が直立している物体と接触状態になる前に、パイル66が、直立する物体に隣接した床面の部分から汚れ及びデブリを掃くことができるようになる。
【0047】
前方攪拌機60のフィラメントは、プラスチック材料又は天然材料のうちの1つから形成することができる。代替的に、前方攪拌機60のフィラメントの少なくとも一部は、炭素繊維材料、金属材料、又は他の複合材料から形成することができる。その結果、この後者の場合、パイル66のフィラメントの表面抵抗率は、1x10-5〜1x1012Ω/sqの範囲にすることができる。可撓性の導電性外面を有する前方攪拌機60を提供することにより、掃除される床面にある静電気が、前方攪拌機60と床面との間の接触時に放電できるようにすることができる。その結果、これにより、他の場合には床面に引き付けられることになる微細な塵埃及び粉末を前方攪拌機60によって床面から取り除くことができるようにすることができる。
【0048】
後方攪拌機62はまた、その長手方向軸線の周りで回転する略円筒体70を含む。本体70の周りに位置するフィラメントから形成された比較的可撓性のパイルの代わりに、後方攪拌機62は、比較的剛性の表面係合要素を含み、この実施形態では、本体70から半径方向外向きに突出する比較的剛性のある剛毛72の形態である。図3に示すように、剛毛72は、本体70に沿って規則的な間隔で螺旋構成に配置された複数の群で配置される。
【0049】
後方攪拌機62は、その回転軸Bの周りで後方攪拌機62の回転中に、剛毛72が主本体12の吸引開口部34を通ってラグマットストリップ58の間に表面攪拌縁部50を越えて下向きに突出するように配置される。しかしながら、図7に示すように、後方攪拌機62はまた、剛毛72が、転動要素52、56又は前方攪拌機60のパイル66を越えて下向きに突出することはない。その結果、掃除機ヘッドが比較的硬い床面H上に位置するときに、後方攪拌機の剛毛72は、床面Hから離間して配置される。これは、床面が後方攪拌機62の剛毛72によって傷付けられるか又は跡を付けられることなく、掃除機ヘッド10の位置する床面の性質に関係なく後方攪拌機62が前方攪拌機60と同時に回転できることを意味する。これにより、以下でより詳細に説明するように、前方攪拌機60及び後方攪拌機62の両方を回転させるのに比較的簡単な駆動機構を使用できるようにすることができる。
【0050】
同様に図7に示すように、後方攪拌機62は、剛毛72が、掃除機ヘッド10の使用中に前方攪拌機60のパイルと係合してこれを通って移動するように配置される。これにより、後方攪拌機62の剛毛72が前方攪拌機60のパイル66のフィラメント間又はその周りで捕捉又は絡まる可能性のある物体を取り除くことができるようにすることができる。前方攪拌機60の露出した前部が比較的清浄な外観を維持できるようにすることに加えて、前方攪拌機60のパイル66から汚れ又はデブリを除去することにより、例えば吸引開口部34の前縁68と床面との間に形成されたシールを保持することで掃除機ヘッド10が比較的均一な清浄性能を維持できるようにすることができる。
【0051】
後方攪拌機62の剛毛72は、好ましくは、ナイロンのような電気絶縁プラスチック材料から形成され、よって、1x1012から1x1016Ω/sqの範囲の表面抵抗率を有することができる。代替的に、剛毛72の少なくとも一部は、金属又は複合材料から形成することができ、よって前述の範囲内の表面抵抗率を有し、カーペット敷き床面上にある、及び/又はパイル66が前方攪拌機60のパイル66上に自然又は電気絶縁材料から形成される場合には、前方攪拌機60のパイル66上にあるあらゆる静電気を放電することができる。
【0052】
任意選択的に、窓74は、主本体12の上側部分16に位置付けられ、ユーザが掃除機ヘッド10の使用中に後方攪拌機62を見て、後方攪拌機62が、主本体12に対してその回転を損なうような毛髪又は他の繊維の絡みがないことをチェックできるようにする。図6に示すように、窓74は、主本体12の上面16の中心に位置する比較的小さな窓とすることができる。代替的に、窓74の大きさは、ユーザが掃除機ヘッド10の使用中に後方攪拌機62のより多くの部分を見ることができるように大きくすることができる。
【0053】
図5は、主本体12に対して前方攪拌機60及び後方攪拌機62を回転させるための駆動機構80を示す。駆動機構80は、主本体12の上側部分16に形成されたモータハウジング84内に位置するモータ82を含み、該モータハウジング84は、後方攪拌機62の背後に位置する。モータ82には、導管14を通過して該導管14の空気出口に隣接して位置する端子にて終端するリード線(図示せず)により電力が供給される。これらの端子は、直立真空掃除用電気器具の場合には真空掃除用電気器具の主本体内に配置され、或いは、円筒形真空掃除用電気器具の場合には電気器具の主本体にホースによって接続されたワンドの端部に配置される電力リード線に接続することができる。
【0054】
駆動機構80は更に、第1の駆動シャフト88上に装着された好ましくはプーリーの形態の第1の駆動部材86を含む。第1の駆動シャフト88は、モータ80に接続される。第1の駆動部材86は、好ましくはまたプーリーの形態で第1の駆動ベルト90によって第1の駆動部材92に接続される。第1の駆動部材92は、第1の駆動シャフト88の回転軸に対して実質的に平行である軸の周りで回転するために第2の駆動シャフト94上に装着される。第1の駆動部材92及び第2の駆動シャフト94のうちの1つは、その回転軸Bの周りで後方攪拌機62を回転させるように、後方攪拌機62の本体70の一方の端部に接続される。後方攪拌機62の本体70の他方の端部は、主本体12のサイドプレート18上に配置された構成によって回転可能に支持される。
【0055】
駆動機構80はまた、第1の駆動部材92で回転するために第2の駆動シャフト94上に装着された好ましくはプーリーの形態の第2の駆動部材96を含む。第2の駆動部材96は、第1の駆動部材92よりも小さい半径を有する。第2の駆動部材96は、同様に好ましくはプーリーの形態で第2の駆動ベルト98により第2の駆動部材100に接続される。第2の駆動部材100は、第2の駆動部材96よりも大きい半径を有する。第2の駆動部材100は、第1の駆動シャフト88の回転軸に対して実質的に平行である軸の周りで回転するように第3の駆動シャフト102上に装着される。第2の駆動部材100及び第3の駆動シャフト102のうちの1つは、その回転軸Aの周りで前方攪拌機60を回転させるように前方攪拌機60の本体64の一方の端部に接続される。後方攪拌機62と同様に、前方攪拌機60の本体64の他方の端部は、主本体12のサイドプレート18上に配置された構成によって回転可能に支持される。
【0056】
駆動機構80の配置は、モータ80が起動したときに、前方攪拌機60及び後方攪拌機62が、床面上の汚れ及びデブリを導管14に向かって後方に掃くように同じ方向で回転するようにする。駆動機構80の配置はまた、前方攪拌機60及び後方攪拌機62が異なる速度で回転するようにする。前方攪拌機60は第1の速度で回転し、後方攪拌機62は第1の速度よりも大きい第2の速度で回転する。この実施形態では、前方攪拌機60は、約1,500rpmの速度で回転し、後方攪拌機62は約3,700rpmの速度で回転する。しかしながら、前方攪拌機60及び後方攪拌機62の回転速度は、これらの値に限定されず、後方攪拌機62の回転速度は、前方攪拌機60の回転速度の少なくとも2倍であるのが好ましく、前方攪拌機60の回転速度の3倍又は4倍であってもよい。
【0057】
図7に戻ると、主本体12は、汚れ含有空気流を導管14に搬送するために主本体12の後方に向けて配置される空気出口108を含む。掃除機ヘッド10の高さを最小にするために、空気出口108は、好ましくは後方攪拌機62の背後に位置する。主本体12はまた、吸引開口部34から空気出口108に延びる吸引チャネルを含む。吸引チャネルは、前方部分110と後方部分112に分割されると考えることができ、表面攪拌縁部50は、吸引チャネルの前方部分110と後方部分112との間に位置する。使用時には、汚れ含有空気流は、表面攪拌縁部50にわたって吸引チャネルの前方部分110から後方部分112に移動する。
【0058】
前方攪拌機60の回転軸Aの上に隆起した主本体12の前縁24によって、汚れ及びデブリが、後方攪拌機62の剛毛72によって取り除かれずに掃除機ヘッド10を通過する空気流内に吸い込まれる場合、前方攪拌機60によって床面から掃き出された汚れ及びデブリが掃除機ヘッド10の前部から前方に放出される危険がある。この観点にて、主本体12の上側部分16は、上側部分16から吸引開口部34に向かって下向きに突出する障壁部材116を含む。障壁部材116は、図7及び図8に示されている。障壁部材116は、前方攪拌機60と後方攪拌機62との間に位置し、好ましくは、実質的に前方攪拌機60の全長を延びる。図示のように、障壁部材116は、前方攪拌機60のパイル66内に延びて、パイル66のフィラメントの間からデブリ及び汚れを取り除き、空気流内に同伴させる。
【0059】
図1及び図6に戻ると、導管14は、前方部分120及び後方部分122を含む。床面にわたる掃除機ヘッド10の操縦を容易にするために、前方部分120は、掃除機ヘッドの主本体12に枢動可能に接続され、前方攪拌機60及び後方攪拌機62の回転軸A、Bに対して実質的に平行である第1の枢動軸の周りで主本体に対して移動するようにする。導管14の後方部分122は、導管14の前方部分120のネック126に接続され、第1の枢動軸に対して角度が付けられた第2の枢動軸の周りでネック部に対して枢動運動するようにする。
【0060】
前方部分120は、主本体12に枢動可能に接続されたヘッド124と、ヘッド124から導管14の後方部分122まで延びるネック126とを含む。ヘッド124は、主本体12の上側部分16の中心に位置する凹部内に位置決めされる。ヘッド124は、吸引チャネルの後方部分112から空気流を受け入れるためにその各端部において開放した実質的に円筒形の外面を有し、該ヘッド124は、その長手方向軸線の周りで自由に回転できるように上側部分16に接続される。主本体12の上側部分16内の凹部の底部は、ヘッド124を支持するための湾曲支持面128によって範囲が定められる。支持面128は、好ましくは、ヘッド124の外面の曲率半径と実質的に同じである曲率半径を有する。ヘッド124を支持するのに加えて、支持面128はまた、吸引チャネルの後方部分112からヘッド124内に流体を案内する働きをする。
【0061】
ネック126は、ヘッド124の開放端部間の実質的に中間のヘッド124に接続され、この実施形態ではヘッド124と一体化されている。ネック126は、ヘッド124の長手方向軸線に対して実質的に直角である方向にヘッド124から離れて延びる。その結果、空気がヘッド124を通過してネック126内に流入すると、空気は約90°方向を変える。ヘッド124内の乱流を低減するために、ヘッド124は、各々が開放端部のそれぞれを通ってヘッド124に流入する流体をネック126に向けて案内するための2つのガイド面(図示せず)を含む。ガイド面は、好ましくは、ヘッド124の内面と一体化され、各ガイド面がネック126に向かってヘッド124の内面から離れて湾曲し、ヘッド124のボアにわたって延びる頂点130において他のガイド面と接触するように配置される。
【0062】
導管14の前方部分120と後方部分122との間の接続は、後方部分122の空気入口134に前方部分120のネック126の空気出口132を接続することによって達成される。ネック126の空気出口132は、実質的に円筒形であり、掃除される床面に向かって下向きに角度が付けられている(図7に示すように)。後方部分122の空気入口134はまた、実質的に円筒形であり、床面から離れて上向きに角度が付けられている(同様に図7に示すように)。
【0063】
導管14の後方部分122は、掃除機ヘッド10の主本体12内に汚れ含有空気を吸い込むために汚れ及び塵埃分離装置及びモータ駆動ファンユニットを備えた、円筒形真空掃除用電気器具のワンド、ホース又は他のこのようなダクトに接続可能な空気出口136を含む。真空掃除用電気器具の使用中、空気流は、吸引開口部34を通って掃除機ヘッド10に吸い込まれる。空気流は、吸引チャネルを通って主本体12の空気出口108に移動する。次いで、空気流は、導管14を通過し、例えば、掃除用電気器具のワンドに流入する。駆動機構80のモータ82は、前方攪拌機60及び後方攪拌機62を同時に回転させるように作動する。
【0064】
図7に示すように、掃除機ヘッド10が、比較的硬い床面H上に位置するときに、掃除機ヘッド10を通過する空気と外部環境との間に圧力差が発生する。この圧力差は、床面に向かって掃除機ヘッド10の主本体12に対して下向きに作用する力を発生させる。転動要素52、56及び前方攪拌機60のパイル66が、表面攪拌縁部50及び後方攪拌機の剛毛72を越えて下向きに突出すると、転動要素52、56及び前方攪拌機60のパイル66だけが硬い床面Hと係合する。主本体12の底面28は、硬い床面Hから離間して配置されるので、硬い床面H上に位置するデブリは、掃除用電気器具によって発生する空気流内で同伴することができ、その結果、汚れ含有空気流は、自由に主本体12の底面28の真下に流れて吸引開口部34を通って吸引チャネル内に流入することができる。主本体12に対する前方攪拌機60の回転によって、前方攪拌機60のパイル66は、汚れ及びデブリを硬い床面Hから吸引チャネルの前方部分110内に掃き出すことができる。このデブリは、前方攪拌機60のパイル66によって後方に放出され、吸引チャネルを通って空気出口108に通過する空気流内に同伴することができる。あらゆるデブリが、パイル66のフィラメント間で捕らえられ又は捕捉された場合、このデブリは、後方攪拌機62の回転剛毛72又は障壁部材116によってフィラメントから取り除くことができる。
【0065】
図8に示すように、掃除機ヘッド10がカーペット敷き床面C上に位置するときに、転動要素52、56及び前方攪拌機60のパイル66は、掃除機ヘッド10の重量及び主本体12に下向きに作用する力を受けてカーペット敷き床面Cの繊維内に押し込まれる。支持部材52、56がカーペット内に沈むと、主本体12の底面28は、カーペット敷き床面Cと接触状態になる。表面攪拌縁部50及び後方攪拌機62の剛毛72が、主本体12の底面28を越えて下向きに突出すると、カーペット敷き床面Cの繊維内の汚れ及び塵埃は、表面攪拌縁部50及び後方攪拌機62によって攪拌することができ、吸引チャネル内に吸い込まれた空気流内に同伴することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 掃除機ヘッド
12 主本体
14 導管
16 上側部分
18、20 サイドプレート
24 前縁
26 後部
33 後面
52 転動要素
54 開口
60 前方攪拌機
66 パイル
74 窓
84 モータハウジング
120 前方部分
122 後方部分
124 ヘッド
126 ネック
136 空気出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8