特許第5745546号(P5745546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5745546-尿素の仕上げにおけるアンモニアの除去 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745546
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】尿素の仕上げにおけるアンモニアの除去
(51)【国際特許分類】
   C01C 1/12 20060101AFI20150618BHJP
   C07C 275/02 20060101ALN20150618BHJP
   C07C 273/16 20060101ALN20150618BHJP
   C01B 39/20 20060101ALN20150618BHJP
【FI】
   C01C1/12 A
   !C07C275/02
   !C07C273/16
   !C01B39/20
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-552825(P2012-552825)
(86)(22)【出願日】2010年2月12日
(65)【公表番号】特表2013-519618(P2013-519618A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】NL2010050069
(87)【国際公開番号】WO2011099844
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2013年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリアソン,ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,イルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ホルムストーム,ダーヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ホルテバリ,ペー.クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ハンス テー.
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ウヤラ,フリダ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ティルラート,ヨハン アルベルト アルノ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−001466(JP,A)
【文献】 特表2001−510723(JP,A)
【文献】 特開2006−206410(JP,A)
【文献】 特開2006−335653(JP,A)
【文献】 特表2010−522852(JP,A)
【文献】 特表2008−522798(JP,A)
【文献】 特開平06−329614(JP,A)
【文献】 特表2010−511504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/00 − 1/28
C01B 39/20
C07C 273/16
C07C 275/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する方法であって、
(a)アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤と前記排ガスを接触させること;
(b)アンモニアを吸着した前記固体吸着剤を前記ガスから分離すること
を含む方法。
【請求項2】
(c)抽出液にアンモニアを溶解し、前記液を前記固体吸着剤から分離することにより前記固体吸着剤を再生することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出液は、水である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記吸着剤は活性炭およびゼオライトからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライトは、天然および合成ファージャサイトからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゼオライトは、ゼオライト13Xからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記吸着剤は粒子の形態で前記排ガスに注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アンモニアを吸着した前記固体吸着剤を前記ガスから分離する前記ステップはバグハウスフィルターによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記再生された固体吸着剤は次の処理サイクルの、前記排ガスを固体吸着剤と接触させる前記ステップで再利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記再生された固体吸着剤は化学吸着したアンモニアを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記排ガスからの尿素粉塵の除去にも役立つ、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
尿素の製造プロセスであって、尿素を形成する条件下でアンモニアと二酸化炭素とを反応させることと、前記尿素を溶融仕上げステップに供して粒状尿素および排ガスを形成することとを含み、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により前記排ガスからアンモニアを除去される製造プロセス。
【請求項13】
尿素の製造プロセスであって、尿素を形成する条件下でアンモニアと二酸化炭素とを反応させることと、前記尿素を溶融仕上げステップに供して粒状尿素および排ガスを形成することとを含み、請求項11に記載の方法により前記排ガスからアンモニアおよび尿素粉塵を除去される製造プロセス。
【請求項14】
尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する吸着剤としての、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤の使用。
【請求項15】
吸着剤としての、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤の粒子の形態での、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記吸着剤は活性炭およびゼオライトからなる群から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記ゼオライトは天然および合成ファージャサイトからなる群から選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記ゼオライトは、ゼオライト13Xからなる群から選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記吸着剤は、バグハウスフィルターでアンモニアの吸着が起こるステップを含むプロセスで使用される、請求項15〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記吸着剤は、吸着したアンモニアを水に溶解することにより、アンモニアを吸着した吸着剤から再生される、請求項15〜19のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する分野のものである。詳細には、本発明は、そうした尿素プラントの仕上げセクションから起こるアンモニアの持続的排出を抑制することに関する。
【背景技術】
【0002】
尿素は、アンモニアおよび二酸化炭素から製造される。現在の尿素製造には、比較的清浄なプロセス、特に尿素粉塵およびアンモニアの排出が少ないプロセスが必要とされる。しかしながら、尿素の化学合成に加えて、工業規模での尿素の製造では、尿素を好適な固体の粒状形態で提供する必要がある。このため、尿素製造では、一般に粒状化、造粒およびペレット化のいずれか1つを含む、尿素溶融物を所望の粒状形態にする仕上げステップが行われる。
【0003】
以前は、尿素溶融物を粒状化塔に供給し、液滴が落下すると凝固する粒状化が最も一般的な方法であった。しかしながら、最終生成物は、多くの場合、この粒状化技術から得られるものより大きな直径および高い破裂強度を有することが望ましい。これらの欠点から、プロセスが進むと大きさが大きくなる顆粒に尿素溶融物を噴霧する流動層造粒技術が開発された。ケーキングの防止、および最終生成物への強度付与のため、造粒機に注入する前にホルムアルデヒドを加える。
【0004】
仕上げセクションから出る空気は、尿素粉塵およびアンモニアを含む。後者は特に、アンモニアの放出を伴う、仕上げステップの不要な副反応、換言すればビウレットの形成、すなわち尿素の二量体化により生じる。起こり得るもう1つの副反応は、やはりアンモニアの放出を伴う尿素の加水分解である。このため、尿素合成の比較的純粋な性質にもかかわらず、尿素の工業製造には、必ずアンモニアの形成が伴う。このアンモニアは通常、尿素プラントの仕上げセクションの排ガスにより排出される。
【0005】
尿素製造の需要拡大と、アンモニアの排出レベルを低下させるための法的条件および環境条件の増大とにより、特に尿素の仕上げで排出されるアンモニアを阻止または除去することが望まれる。これは、排ガス(主に空気)の量が多いうえ、アンモニアの濃度が低いため特に困難な課題である。気流は通常750000Nm/h程度になる。その中のアンモニアの濃度は通常100mg/Nmである。
【0006】
このようにアンモニアが相対的に低濃度であることは、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスが湿式スクラビングなど従来の技術によるアンモニアの除去に適さないことを意味する。むしろ、この分野の最先端の技術では、酸によってアンモニアを除去する。これによりアンモニアは非常に効率的に除去されるが、副生成物、すなわち対応するアンモニウム塩が生成されるという点で大きな欠点がある。その後アンモニウム塩自体を処分することが必要になる。すなわち排出問題は実質的に化学廃棄物という別の問題に変わっている。
【0007】
したがって、新たな副生成物を形成させることなく、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去できる方法を提供することが求められている。
【0008】
ガスからアンモニアを除去する他の方法も知られている。背景技術の参考文献として、下記が挙げられる。
【0009】
ヘルミネン(Helminen)ら、AIChEジャーナル(AIChE Journal)、2000年8月、第46巻No.8、p.1541−1555には、吸着剤と吸着によるアンモニア分離の等温線モデルとの比較が発表されている。ヘルミネンは、再利用のための吸着によるアンモニア−ガス分離および回収については公知であるが、広く用いられてないことを認めている。これに関連して、吸着剤の選択性、容量および再生性能に関する問題が言及される。吸着剤の大部分の用途は、アンモニアの製造プロセスにおいてガス流からアンモニアを分離することに関連していることが示される。この目的に使用されるものとしてゼオライト、アルミナ、シリカゲルおよび活性炭が挙げられる。ヘルミネンはそのうえで、これらの吸着剤のどれが最もよく作用するかについての研究を発表する。アンモニアは、ある種のゼオライト(13Xおよび4A)に最も強く吸着すると考えられた。しかしながら、ヘルミネンの研究の主眼は、吸着等温線を研究するための最良のモデルを特定することにあり、吸着剤の実際の使用を示してない。
【0010】
国際公開第00/40324号には、アンモニアガスおよび固体吸着剤組成物を分離する方法が開示されている。そこでは、上記のような塩の形成を伴う酸溶液への吸収などの湿式スクラビングと、固体吸着剤層へのガス吸着による吸着剤の再生とを考察しながら、ガス流からのアンモニアの除去に関するいくつかの問題が概説された。後者の場合に指摘された問題は、アンモニアが、ゼオライト、アルミナおよびシリカゲルなど従来の多くの吸着剤に非常に強く吸着し、吸着等温線が脱着に好ましくないものとなり、吸着の再生が難しくなるとされることである。これは、単に減圧だけで再生することができる活性炭の場合には異なるが、活性炭の場合は、アンモニアの選択性および吸着容量が低くなるとされる。解決法として、この文献は、固体銅(I)を含む吸着剤の使用を示している。
【0011】
ベルナル(Bernal)ら、バイオリソーステクノロジー(Bioresource Technology)、43(1993年)、p.27−33は、アンモニアおよびアンモニウムの吸着剤としてのある種のゼオライトに関するものである。この参考文献は、それに関係する吸着等温線に焦点を当てすぎており、アンモニアの脱着、および吸着剤の再生について検討していない。
【0012】
尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスの別の特性は、排ガスがアンモニアだけでなく、尿素粉塵をも含むことである。排ガスからアンモニアのみならず、尿素粉塵をも除去するのに役立つと考えられる方法が提供されれば、望ましいであろう。
【0013】
総合すると、特に尿素製造プラントの仕上げセクションからアンモニアを除去する方法を提供することが求められている。さらに、この方法により、なお別の副生成物が生成されないことも求められている。この方法により排ガスから尿素粉塵を同様に除去できることもさらに求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述の要望の1つまたは複数に対応しやすくするため、一態様では、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する方法であって、
(a)アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤と前記排ガスを接触させることおよび
(b)アンモニアを吸着した固体吸着剤をガスから分離すること
を含む方法を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去するための、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤の使用を提供する。
【0016】
なお別の態様では、本発明は、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアおよび尿素粉塵を除去する方法であって、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤と前記排ガスを接触させること、排ガスを固体−ガス分離ステップに供すること、および吸着したアンモニアを水に溶解して吸着剤を再生することを含む方法に関する。
【0017】
なおさらなる態様では、本発明は、尿素を形成する条件下でアンモニアと二酸化炭素とを反応させることと、尿素を溶融仕上げステップに供して粒状尿素および排ガスを形成することとを含み、アンモニアおよび好ましくは尿素粉塵をも、上記のステップ(a)および(b)を含む方法により排ガスから除去される尿素の製造プロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、下記に例示するプロセスの工程図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般的な考慮事項
本発明は、広い意味で、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去するため、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤を適切に選択することに関する。
【0020】
このため、本発明は広義にはそのような吸着に関するものであるが、経済的に実行可能な好ましいプロセスは、吸着ステップにとどまらず、吸着剤、場合によっては除去されたアンモニアの再生および再利用もさらに可能にすることが理解されよう。
【0021】
このため固体吸着剤を選択するにあたり、本発明は特に、吸着によるアンモニアの除去と吸着剤の再生性能との最適なバランスは、物理的な吸着(物理吸着とも呼ばれる)に基づき達成し得るという認識を利用する。
【0022】
これは、特にゼオライトなどの大容量の吸着剤の場合に、アンモニアがより強力に、すなわち化学的な吸着(化学吸着、実際には化学結合)によりさらに吸着しないことを意味するものではない。しかしながら、一態様では、本発明は、物理吸着により吸着されるアンモニアの量は化学吸着される量よりかなり多いという認識に基づく。これは、当該技術分野における通常の考えとかなり異なっており、本発明者らは、物理吸着したアンモニアを脱着できれば、吸着剤の十分な部分が実際に再生されると仮定するに至った。
【0023】
前述の認識に基づき、本発明は、別の態様では、脱着のステップで好ましくない吸着等温線を回避する。当該技術分野において、脱着は、減圧および/または高温処理、および/または蒸気(この場合、蒸気は特に脱着を起こすと考えられる熱蒸気、すなわち、やはり温度および圧力条件によって決まるプロセスである)により試みられる。本発明では、アンモニアの水溶解性に基づき脱着を行う。驚くべきことに、この脱着がより強く結合した化学吸着したアンモニアを除去し得ないことは、吸着剤の再生性能を妨げるものではない。これに伴い本発明は、直感に反して、本来ならば吸着容量か再生性能かの難しい選択を迫られることがない。
【0024】
したがって本発明は、好ましい実施形態では、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する方法であって、
(a)アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤と前記排ガスを接触させること;
(b)アンモニアを吸着した固体吸着剤をガスから分離すること;および
(c)抽出液、好ましくは水にアンモニアを溶解し、液を固体吸着剤から分離することにより固体吸着剤を再生すること
を含む方法を提供する。
【0025】
吸着剤
本発明では、アンモニアを物理的に吸着できる吸着剤を使用する。これは、本発明が対応する要望の1つが、追加の副生成物の形成を回避することで、アンモニアの化学反応による生成物の形成を防止するという意味から重要である。
【0026】
アンモニアを物理的に吸着できる吸着剤は当該技術分野において公知であり、当業者に十分入手可能である。好適な吸着剤として、ゼオライト、アルミナ、シリカゲルおよび活性炭があるが、これに限定されるものではない。
【0027】
アンモニアのような小分子の吸着は、吸着剤の細孔のサイズが同じである場合に最もよく達成される。細孔サイズ分布の点から、アンモニアの吸着にはゼオライトおよび活性炭が好ましい。
【0028】
本発明のプロセスでは、吸着したアンモニアを水に溶解することにより吸着剤を再生する。活性炭の場合、こうした再生のためには、非添着炭を利用することが好ましい。
【0029】
ゼオライトの場合、孔の大きさが、水の量および細孔内のカチオンの種類によって3〜8Åである。ゼオライトの吸着能は、様々なプロセスにより改変することができるが、イオン交換および脱アルミニウムが最も一般的である。細孔サイズは、好ましくは所望の吸着質、すなわちアンモニアの分子直径に合わせて改変する。これは、構造内に取り込まれたカチオンを異なる大きさのイオンと交換するイオン交換により行うのが最もよい。例として、ゼオライトNaA(ナトリウムイオンを含むA型ゼオライト)の使用がある。この場合、ナトリウムイオンを、孔の大きさを大きくするためカルシウムイオンと交換するか、または孔の大きさを小さくするためカリウムイオンと交換する。当業者は、所望の吸着質に合わせて個々のゼオライトの細孔サイズを調整するこれらおよび他のやり方をよく分かっている。
【0030】
孔の大きさが規則的で比較的小さいと、アンモニア吸着に対してゼオライトを調整しやすくなる。また、高アルミナのA型およびX型ゼオライトは、その静電的相互作用、およびアンモニアの大きな双極子モーメントによりアンモニア除去に好適である。ゼオライト中の水が細孔を封鎖し得るため、水がカチオン部位に影響を与える可能性があることを考慮して、ゼオライトは、好ましくは吸着の前に脱水する。A型およびX型ゼオライトは、温度25〜120℃でアンモニア吸着に最適のゼオライトとなる。アンモニアの吸着は、ゼオライトの酸前処理により増強することができる。それによりアンモニアがアンモニウム吸着の前にプロトン化され得、表面へのアンモニア吸着が増強されると考えられるためである。
【0031】
上記のように、吸着剤が、アンモニアを物理的に吸着できるだけでなく、化学的な吸着によりアンモニアに結合する場合、それを排除するものではない(望ましくないものでもない)。本発明では、吸着剤は物理的に吸着したアンモニアの除去により再生され、したがって化学吸着した任意のアンモニアがなお存在するかどうかとは関係なく再利用されるため、このことより、不要な副生成物は生じない。
【0032】
これは特に、アンモニアに強く結合することができ、表面とアンモニアとの間で活性炭の場合より強い相互作用を示すゼオライトに適用できる。したがって、本発明によればゼオライトは好ましい。一層好ましくは、ゼオライトは、4Aゼオライトおよび13Xゼオライトからなる群から選択され、後者が最も好ましい。
【0033】
吸着剤は、好ましくは粒子、特にガス流中の自由流動性が良好であるという利点を有する粉砕粒子の形態で導入される。当業者であれば、好適な粒度はプラント設備およびプロセス設計ごとに異なることが理解されるであろう。好ましい粒度は、1μm〜100μmの範囲である。この範囲は、バグハウスの濾布上に均一な濾過ケークを形成し、固体が確実にガス流中で自由に流動し/分散するような所望の小さな粒子と、固体が脱水ユニットを通過せずに最終的に液体流にとどまり脱水できるような大きな粒子とのバランスをうまくとるのに役立つ。
【0034】
接触ステップ
本発明の方法は、上記の排ガスを固体吸着剤と接触させることを含む。このステップは、様々なやり方で行うことができる。
【0035】
また、たとえば、ガス流を固定または流動性の吸着剤床に導くなど従来の吸着技術を用いることも可能である。好ましくは、吸着剤は粒子の形態でガス流に導入する。
【0036】
吸着剤を粒子の形態でガス流に導入することは、あまり見られないやり方である。しかしながら、尿素プラントの仕上げセクションの排ガスという特定の場合には、適切な選択となる。通常、ばらばらの粒子を精製される予定のガス流に導入することは、あまり検討されない。本発明者らは、尿素の場合、ガス流は、いずれにしても固体を、すなわち尿素粉塵を含んでいると考えた。これは、固体−ガス分離ステップを必要とすることを意味するため、もう1つの固体を導入しても、全体的なプロセスの簡便性および経済性にマイナスとはならない。
【0037】
むしろ、ばらばらの粒子であれば、バグハウスフィルターまたはサイクロンなど、尿素粉塵の除去にも役立つ分離技術を利用できるという利点がある。さらに、特にバグハウスフィルターと組み合わせて粒子の形態で吸着剤を導入すれば、類似の吸着容量に基づき、分厚い吸着剤床を回避することができるという点で別の利点もある。
【0038】
したがって、本発明のプロセスでは、好ましい手順は、尿素製造プラントの仕上げセクションの気流に粉砕吸着剤を注入すること、およびアンモニアを吸着することを含む。こうした吸着剤の気流への注入は、たとえば、大型の貯蔵サイロ、続いて吸着剤をサイロから注入地点に運ぶフィーダーを使用して行うことができる。
【0039】
活性炭を使用する場合、活性炭によるアンモニアの吸着は低温度が有利であるため、好ましくは気流を冷却して吸着を促進する。これは、水を加えて温度を低下させることにより達成することができる。冷却水は、注入した吸着剤から蒸発させる。
【0040】
吸着剤としてゼオライトを使用する場合、吸着容量がより大きな温度範囲にわたり一定であるため、空冷の必要はない。
【0041】
固体−ガス分離ステップ
本発明の方法は、吸着剤を導入したガスからアンモニアを吸着した固体吸着剤を分離することを含む。
【0042】
固体をガスから分離する方法および機器は、当業者に公知である。本発明に使用するのに特に好適な科学技術として、バグハウスフィルターおよびサイクロンが挙げられる。
【0043】
ガスがアンモニアおよび尿素粉塵の両方を本質的に含む、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去する特定のプロセスでは、固体吸着剤の使用と、その後の固体−ガス分離とには、吸着剤だけでなく、尿素粉塵も除去されるという利点がある。これには、粉塵除去のため余剰な湿式スクラバーなどの追加機器が利用されるため、プロセスの簡便性の観点と、プロセスの経済性および設備投資の観点とから明らかに利点となる。
【0044】
サイクロンの使用は、固体−ガス分離を行うのに比較的安価な方法であるが、本発明による好ましい方法は、1つまたは複数のバグハウスフィルターの使用を含む。こうしたフィルターは、当該技術分野において公知であり、気流から粉末または粉塵粒子の除去に使用される。フィルターは、さらに説明しなくても当業者に容易に入手できるものである。バグハウスフィルターを使用する場合、吸着剤の除去および再生における利点だけでなく、実際の吸着は、バグ上の吸着剤の濾過ケークで終了するため、ガス流中の吸着剤粒子と、吸着剤の固定床の機能との利点が組み合わされると考えられる。
【0045】
一般に、バグハウスフィルターでは、事前設定した時間、あるいは形成された濾過ケークが厚くなるために起こる圧力低下が一定のレベルに達するまで、粒子を含む気流をフィルターに吹き込む。当業者であれば、たとえば、フィルターを通して空気を吹き込むかまたは吸引するかどうかなど適切な設計パラメーターを選択することができるであろう。フィルターの設計に関して言えば、バグが相互に擦れて破損しないようにバグ間に十分なスペースがあることが重要である。もう1つのパラメーターは、気流の大きさと布面積との比率である。比率が大きすぎると、粒子が布を貫通し、圧力低下が増大する。また、こうした粒子は非常に硬質であるか、または洗い流すことができない。濾過面積は、バグの数のほか、バグの直径および長さにより決定される。この場合、バグの大きさが大きくなると、洗浄がより難しくなることを認識することが重要である。
【0046】
バグの繊維の選択も、当業者であれば適切に選択できるもう1つのパラメーターである。プロセスに適切な透過性および厚さを持つバグを使用することが好ましい。バグは天然材料でできていても、または合成材料でできていてもよく、様々な表面処理により改良してもよい。特に耐用年数の長いバグを得ようとする場合、好適な材料は、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0047】
本発明の利点を持つバグハウスフィルターの特徴は、アンモニアを特に水に溶解することにより吸着剤の再生を行い、これをバグから除去した濾過ケークの洗浄ステップという形で実施できることと関連している。バグハウスフィルターには一般に複数のセクションがあるため、ある時点に1つのセクションで濾過を停止して濾過ケークを除去することができ、したがって濾過プロセス自体は確実に継続的に行われる。
【0048】
上記のフィルターへの空気の吹き込み、および濾過ケークの除去の時間の終了後、通常、空気をフィルターに反対方向にパルス的に吹き込むことでフィルターを洗浄する。また、洗浄はある時点に1つのセクションで行うことが好ましいことが理解されるであろう。
【0049】
好ましい実施形態では、毎回必ずしもすべての濾過ケークを除去するわけではなく、圧力低下を抑え、濾過ケークの除去部分から吸着剤の再生が可能になるだけで十分である。また、これにより、各洗浄サイクルの初期の濾過が、濾過ケークが存在しない場合より効率的なものになる。
【0050】
再生ステップ
上記のように、本発明の方法は、好ましくは、アンモニアを抽出液に溶解し、固体吸着剤から液体を分離することにより固体吸着剤を再生するステップをさらに含む。。
【0051】
好適な抽出液は一般に、イオン性液体、塩溶液、塩水溶液、酸性塩溶液、酸性化水および水である。好ましくは、抽出は水で行う。このため、アンモニアおよび尿素の両方を溶解することができる。好ましくは、アンモニアおよび尿素はそれぞれ反応物、生成物として同様に再利用される。必要な技術は当業者によく知られており、たとえば蒸気ストリッピングによりアンモニアを除去し、複数の蒸発ステップで濃縮して尿素を除去する
【0052】
また、抽出に使用した水は、残りのアンモニア/尿素溶液をさらに濃縮して後(少なくとも大部分を)再利用してもよい。
【0053】
脱着は、好ましくはよく混合したタンクで吸着剤を溶媒と混合することにより行う。その後アンモニアは遊離し、溶媒と混合する。脱着方法は、どの吸着剤を使用するかによる、吸着剤に対するアンモニアの結合の強度に応じて異なってもよい。たとえば、ゼオライトからアンモニアを脱着する場合、たとえば蒸気の形で水を用いて熱を加えると好ましいことがあるのに対し、活性炭の場合は、より冷たい水を用いて脱着してもよい。
【0054】
水を抽出液として使用する場合、気流から除去される粒状尿素も溶解する。
【0055】
脱着後、混合物は、吸着剤と、溶解したアンモニアおよび尿素を含む溶媒とのスラリーからなる。
【0056】
混合タンクで生成されたスラリーから吸着剤を除去するには、固体−液体ユニット分離を適用する。固体粒子を液体から抽出するには、当業者に公知のいくつかの方法が利用できる。本発明による好ましい方法は、連続式真空フィルター、遠心濾過および遠心沈降の使用を含む。
【0057】
フィルターの好ましい種類は、ドラムフィルターおよびロータリーディスクフィルターであり、遠心機は一般に2種類、すなわち濾過法を使用するもの、および垂直または平行ボウル型遠心機など沈降原理に基づくものが利用されており、どちらも本発明に使用するのに好適である。本発明に使用できるフィルターおよび遠心機は、当業者によく知られた機器である。
【0058】
吸着剤の再利用
こうした吸着剤の再生は、再生される吸着剤が他の用途に除去されることを排除するものではないが、本発明では再生される吸着剤を本発明のプロセスに実際に再導入することが好ましいは明らかであろう。このため、アンモニアおよび尿素を除去し、上述の固体−液体分離ステップに供された吸着剤は、気流に再注入される、すなわち次の処理サイクルの、排ガスを固体吸着剤と接触させるステップで再利用される。
【0059】
これを踏まえれば、尿素の製造は連続的なプロセスであり、したがって仕上げセクションからのガスの排出も連続的なプロセスであるのが一般的である。「次の」という用語は、初期導入してから再生の前のある時点を意味し、「処理サイクル」という用語は、吸着剤の導入、接触ステップ、固体−ガス分離ステップおよび再生ステップのサイクルをいうことが理解されよう。また、このサイクルは、吸着剤サイクルということもある。
【0060】
固体−液体分離後に水を抽出液として使用する場合、本発明のプロセスでは、再生した吸着剤を湿潤状態で再導入することも十分あり得るが、一般に、水の少なくとも一部を、たとえば濾過により除去することが推奨される。一方、吸着剤が依然として水を含む場合、本発明のプロセスには、吸着剤を熱いガス流、すなわち尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスに再導入するという点に利点がある。本質的に利用可能なガス流の熱により、吸着剤からさらに水分が確実に蒸発することになる。結果として、吸着剤はアンモニアの新たな吸着に使用可能な乾燥状態で(すなわち好ましくはバグハウスフィルター内の)固体−ガス分離の段階に達する。
【0061】
熱いガス流に導入する場合の吸着剤の含水量は好ましくは、吸着剤から実質的にすべての水を蒸発させる前にガスを水で飽和させるほど多くしてはならないことが理解されよう。当業者であれば、吸着剤の種類、ガス流の温度およびガス流の最初の含水量などの環境に応じて、吸着剤をガス流に再導入する前に吸着剤の最適な含水量、したがって所望の乾燥程度を決定することができるであろう。一般に、ガス流に導入する際の吸着剤の含水量は50重量%未満、好ましくは30重量%未満である。
【0062】
ある種の吸着剤を使用する場合、その作用としてアンモニアの化学的な吸着があり、化学吸着したアンモニアの少なくとも一部も吸着剤の再利用前に除去するのに役立つ1つまたは複数のステップを含めることが技術的に可能である。たとえばゼオライトの場合、追加の蒸気を使用してもよい。しかしながら、上記のように、本発明によれば、化学吸着したアンモニアの除去を積極的に試みない方が好ましい。その利点として、関連する追加ステップの省略によるプロセスの簡便性のみならず、追加のエネルギー投入を回避することでプロセスの経済的な実行可能性が高まることも挙げられる。
【0063】
このため、ゼオライトを使用する場合、本発明のプロセスは開始時に吸着剤として未使用のゼオライトを必要とするが、実際の吸着剤のリサイクル後は、化学吸着したアンモニアを含むゼオライトとなる。したがって化学的な吸着に利用可能な部位には、尿素製造プロセスに無害な化学物質(すなわちアンモニア)が結合しているものの、十分な物理吸着能が残っており、実際、化学吸着したアンモニアを吸着した使用済みのゼオライトは、尿素製造プラントの仕上げセクションからアンモニアを除去するプロセスにおいて吸着剤の物理吸着および再生を達成するのに非常に効率的な吸着剤である。
【0064】
本発明のさらなる態様
本発明は、別の態様では、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去するための、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤の使用を提供する。こうしたアンモニアの吸着剤は知られているが、当該技術分野において、存在するアンモニアが低濃度であるため困難な、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去するという特定の問題を解決するために、固体吸着剤の特定の物理吸着を使用することは認められていない。
【0065】
本発明による使用の好ましい実施形態は、ゼオライト、一層好ましくはゼオライト13Xの使用である。
【0066】
一実施形態では、特に本発明は、物理的に吸着したアンモニアを液体抽出により、好ましくは水に溶解することにより除去することで固体吸着剤を再生する方法における、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアを除去するための、アンモニアを物理的に吸着できる固体吸着剤の使用を提供する。再生した吸着剤の使用の好ましい実施形態は、化学吸着したアンモニアを含むゼオライト、一層好ましくはゼオライト13Xの使用である。
【0067】
本発明による吸着剤の使用は一般に、前文に記載のプロセスの各ステップにより行われることが理解されよう。
【0068】
上記のプロセスに関する記載を参照すれば、本発明が、別の態様で、尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスからアンモニアおよび尿素粉塵の両方を除去する方法としてどのように行われるかも理解されよう。
【0069】
本発明はまた、尿素の製造プロセスであって、尿素および水を形成する条件下でアンモニアと二酸化炭素とを反応させることと、粒状尿素および排ガスを形成するように尿素を溶融仕上げステップに供することとを含み、本明細書に前述した実施形態の1つまたは複数による方法で排ガスからアンモニアおよび好ましくは尿素粉塵をも除去するプロセスに関する。尿素自体を製造するステップ、および前述した溶融仕上げ(粒状化、造粒、ペレット化)は、当業者によく知られおり、ここで説明する必要はない。たとえば、ヨーロピアン・ケミカル・ニュース(European Chemical News)、ウレアサプリメント(Urea Supplement)、1969年1月17日、p.17−20に記載されているようなプロセスを参照されたい。アンモニアおよび好ましくは尿素粉塵をも除去するステップがこれにかなり記載されている。
【0070】
本発明は、本明細書に前述した実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。また、特許請求の範囲の「を含む(comprising)」という語は、他の要素またはステップを排除するものではないことも理解されよう。単数の名詞を言及する際に不定冠詞または定冠詞、たとえば「a」または「an」、「the」を使用する場合、特に他の記載がない限り、その名詞の複数形も含む。
【0071】
以下の非限定的な例および添付の非限定的な図を参照しながら、本発明について説明する。
【0072】
図1は、下記に例示するプロセスの工程図を示す。尿素製造プラントの仕上げセクションの排ガスであるガス流(1)に、大型の貯蔵タンク(A)から固体吸着剤を注入(10)して前記排ガスおよび前記固体吸着剤を含むガス流(2)にし、吸着剤を含むガス流(2)をバグハウスフィルター(B)に導入する。バグハウスフィルターから、固体吸着剤および尿素粉塵を除去したガス(空気)であるガス流(3)を排出させる。バグハウスフィルターから固体(吸着剤および尿素粉塵)を濾過ケークの形で除去し(4)、サイロ(C)に回収する。次いで固体を溶解タンク(D)に送り(5)、そこに淡水(6)を導入して吸着したアンモニア、および回収した尿素粉塵を溶解する。溶解したアンモニアおよび尿素ならびに吸着剤と水とのスラリーである、得られた液体流(7)を溶解タンクから(ドラム/ディスク)フィルター(E)に送る。アンモニアおよび尿素の濃縮水溶液である液体流(8)を前記フィルターから回収し、残った水を含む吸着剤である流れ(9)を回収し、これを上記の大型の貯蔵タンク(A)に送る。吸着剤をガス流(1)に導入する前に乾燥させるオプションは示していない。
【0073】
装置(A)−(B)−(C)−(D)−(E)を経て連続する流れ(10)、(2)、(4)、(5)。(7)、(9)および再び(10)が一緒になって吸着剤サイクルを形成しており、本発明による吸着剤の使用および再生を示す。
【0074】
図に、任意の流れ(11)を示す。これは、フィルター(E)から回収した溶液の一部を溶解タンク(D)に戻してリサイクルする可能性を表す。
【実施例】
【0075】
図1に示すスキームに関連して例示したプロセスは、空気圧式粉塵トランスミッターを備えたバグハウスフィルター、スクリューフィーダーを備えた粉塵容器、混合タンク、回転真空フィルター、および大型の貯蔵タンクを備えたフィーダーを利用する。
【0076】
尿素製造プラントの造粒機からの排ガスを、水を含む吸着剤と混合する。気流から吸着剤を分離するには、バグハウスフィルターを使用する。ここで、粒状尿素はガス状アンモニアの大部分と共にすべて除去される。前者は濾過により除去され、後者は吸着剤に吸着する。
【0077】
アンモニアの吸着は、バグ上の吸着剤の濾過ケークにより達成される。ガスを濾過ケークに通過させると、アンモニアは、固定床を用いたプロセスと同様に吸着する。設計目標は、アンモニアを90%より多く、粒状尿素を99.95%より多く除去することである。尿素粉塵はバグハウスフィルターで除去されるため、現在使用されているスクラバーを除外してもよい。
【0078】
濾過ケークが蓄積すると、圧力低下が増大する。各サイクルで加圧ジェットパルスにより濾過ケークの一部を除去し、圧力低下を3500〜4000Paに制御する。パルスの大きさは、各サイクルでバグの狭い面積のみが洗浄されるように調整する。短サイクルであれば固体を連続的に取り除き、アンモニア排出のばらつきが非常に小さくなるため、短サイクルが好ましい。また、尿素の加水分解反応を防止するため、短い保持時間が求められることも念頭に置くことが重要である。
【0079】
除去された固体は、バグハウスフィルターの底の円錐状のホッパーに落下し、重力により空気コンベヤーに落ちる。コンベヤーを断続的に作動させて、固体の緩衝器として使用するサイロに固体を運ぶ。適切な量の固体を混合タンクにスクリューフィードし、そこに水を加えて尿素およびアンモニアを溶解する。
【0080】
尿素およびアンモニアの濃縮水溶液を除去する回転真空フィルターに混合タンクのスラリーを供給する。各々が全流量の100%を処理することができる2つの平行真空フィルターが推奨され、その一方を常時使用する。そうすれば、プロセス全体を停止させることなくフィルターの一方の清掃または修理を行うことができる。再生した溶液は、尿素プラントに戻してリサイクルする。また、1つの可能性として、溶液の一部を溶解タンクでリサイクルして必要とされる淡水の量を少なくすることもあり得る。吸着剤の気流への注入は、吸着剤を大型の貯蔵庫から気流に運ぶフィーダーにより行う。
【0081】
ディスク/ドラムフィルターを除くユニットは、コストの安さおよびかなり高い耐久性のためすべて炭素鋼製である。ディスク/ドラムフィルターは、ステンレス鋼製である。
【0082】
バグハウスフィルターの設計パラメーターを下記表に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
濾過ケーク初速度2cm/sに基づく計算から、バグハウスフィルターの必要とされる面積が、活性炭の場合、13400mであるのに対し、ゼオライトは14300mを必要とする。バグハウスフィルターはポリマー/塗料ライナーを有し、バグはポリアミド製である。選択した材料は、ユニットの寿命を延ばす。
【0085】
サイロは、常にバグハウス系の吸着剤をすべて処理できるように設計される。そうすると、バグハウスフィルターに73.8トンが入るため、総容量は活性炭の場合、200mになる。バグハウス系のゼオライトの量は常時91.1トンである。このためサイロは230mになる。
【0086】
溶解タンクは、同量の水および吸着剤を収容できなければならない。サイロがバグハウスフィルター内の吸着剤をすべて収容するように設計されているため、溶解タンクは、同じ量を収容する必要はない。混合タンクでは、循環される活性炭の10%を処理することから常時16トンの量となるため、算出容量は約60mになる。したがって、混合タンクの空間時間は6分である。これを踏まえ、ゼオライトからアンモニアを脱着するのはより難しいことから、溶解タンクの空間時間は30分に設定する。この結果、容量は約30mになる。このタンクには、スラリーをよく混合された状態に保つため撹拌機が必要とされる。10kWとなるように所用電力を選択する。ディスクフィルターの表面積は120mである。ゼオライトの場合に必要なドラムフィルターは6.6mである。
【0087】
注入ユニットの計算は、スクリューフィーダーを備えた容器からなる系に基づく。この容器は、循環される吸着剤の総量を収容できるようにする。すなわち、活性炭の場合370m、ゼオライトの場合、60mである。
【0088】
ゼオライトを吸着剤として使用すると、アンモニアの除去効率は90%を大きく上回り、ほぼ95%が除去される。これに加えて、バグハウスフィルターで尿素の少なくとも99%も除去され、尿素プラントでリサイクルできることから、現在のプラントで使用されるスクラバーは不要になる。
【0089】
記載した技術は水、尿素およびアンモニアしか取り扱わないため、汚染流が生成されない。
図1