(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745630
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】車両シートとその組み付け方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/225 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
B60N2/225
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-527502(P2013-527502)
(86)(22)【出願日】2011年10月25日
(65)【公表番号】特表2013-536787(P2013-536787A)
(43)【公表日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】EP2011005360
(87)【国際公開番号】WO2012062410
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年3月6日
(31)【優先権主張番号】102010051497.7
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】プルタ、 ウォルフガング
【審査官】
佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/066533(WO,A1)
【文献】
特開2009−137348(JP,A)
【文献】
特表2003−525163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/225 − 2/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(1)であって、
シート部品(3)と、
少なくとも一つの側方部品(4d)とともにバックレスト構造(4a)を支持構造として有するバックレスト(4)と、
前記バックレスト(4)を前記シート部品(3)に接続してこれに対して枢動可能とする少なくとも一つの継手(10)と
を有し、
前記バックレスト構造(4a)は少なくとも一つの輪郭体(4p)を有し、
前記輪郭体(4p)は、一端が前記側方部品(4d)に固定的に接続されかつ他端が前記継手(10)に接続され、軸方向(y)に一定長さだけ延びる輪郭を少なくとも部分的に有し、
前記側方部品(4d)と前記輪郭体(4p)との接続前に前記側方部品(4d)を前記輪郭の前記長さの範囲において任意の軸方向位置に位置決めすることによって、前記継手(10)と前記側方部品(4d)との間の軸方向(y)距離が調整される結果、前記継手(10)と前記側方部品(4d)との間に軸方向(y)の一定距離が画定される車両シート。
【請求項2】
前記輪郭体(4p)が、前記側方部品(4d)の対応する輪郭の受容部に挿入される、請求項1に記載の車両シート。
【請求項3】
前記側方部品(4d)の受容部は前記軸方向(y)に延びて構成される、請求項2に記載の車両シート。
【請求項4】
前記輪郭体(4p)は、少なくとも前記一定の輪郭のセクションにおいて中空構造である、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両シート。
【請求項5】
前記輪郭体(4p)が、前記継手(10)の対応する輪郭のオフセット(11a、12a)に係合し、かつ、前記継手(10)上の突き合わせ接合により位置決めされる、請求項4に記載の車両シート。
【請求項6】
前記バックレスト構造(4a)は、閉じたフレームを形成すべく接続される下横材(4b)、2つの側方部品(4d)、及び上横材(4e)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両シート。
【請求項7】
前記輪郭体(4p)は、前記下横材(4b)と一体的に構成される、請求項6に記載の車両シート。
【請求項8】
前記輪郭の前記長さの範囲において任意の軸方向(y)位置に位置決めすることは、同じ部品を使用しながらも前記シート部品(3)の及び/又は前記バックレスト(4)の幅の変動性を許容する、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両シート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の車両シート(1)を組み付ける方法であって、
前記輪郭体(4p)の組み付け中において、前記バックレスト構造(4a)が、前記継手(10)と前記側方部品(4d)との間の軸方向(y)の距離を調整するべく前記側方部品(4d)に対して及び前記継手(10)に対して軸方向(y)に位置決めされた後、前記輪郭体(4p)が前記側方部品(4d)に及び継手(10)に固定的に接続される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有する車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の周知な車両シートの場合、バックレストフレームは2つの側方部品を有する。これらは、対応する横材によって底部及び頂部に接続される。これにより、バックレストフレームのまわり全体を閉じることが保証される。2つの継手がそれぞれ当該側方部品に固定される。バックレストは、当該継手によってシート部品に対して枢動することができる。シート部品又はバックレストの様々な幅に対し、異なる寸法のバックレスト構造が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/64470(A1)号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第2210772(A1)号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の基本的な目的は、最初に述べたタイプの車両シートを改善することにある。本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する車両シートによって達成される。有利な実施例が従属項の主題を形成する。
【0005】
本発明に係る輪郭体は、少なくとも部分的に一定の輪郭ゆえに、他のコンポーネントとの相互作用が当該輪郭体の軸方向位置から独立することを保証するのに適する。この相互作用分離により、輪郭体は、例えばバックレストの又はシート部品の軸方向寸法における公差等の差異を補償するように、軸方向に位置決めすることができる。輪郭体は、できる限り多くの同じ部品を使用しながらも幅の変動性が達成される点で特に好ましい。
【0006】
一定の輪郭とは主に、当該輪郭体の外側輪郭を称する。すなわち、包絡カーブを意味することが意図される。したがって、径方向外側に突出するわけではない輪郭体の孔、押し出しフィーチャ等のフィーチャによっても、本発明に係る意味において輪郭体の輪郭は一定のままである。
【0007】
輪郭体の既知の特性が、側方部品との関係、継手との関係、又は双方との関係で有効となり得る。ここで、輪郭体の外側は好ましくは、関連コンポーネントの対応受容部と相互作用する。前記受容部は、基本材料厚さに対し、例えば引き抜きカラー又は溶接ブッシュの形態で軸方向に延び得るので、当該輪郭体の位置決め中の案内として作用する。
【0008】
図面に示される実施例によって、本発明が以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】バックレストと相対的に幅広なシート部品との接続領域にある部分を示す。
【
図2】バックレストと幅狭なシート部品との接続領域にあるセクションを示す。
【
図3】第1実施例に係るバックレスト構造の図を示す。
【
図4】バックレストと相対的に幅広なシート部品との接続領域における部分斜視図を示す。
【
図5】第2実施例に係るバックレスト構造の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自動車用車両シート1は、シート部品3と、当該シート部品3に対して枢動し得るバックレスト4とを有する。自動車の移動方向及び当該自動車における車両シート1の慣例的配列が、以下で使用される方向を画定する。ここで、当該移動方向に対して直交する水平方向を軸方向yと称する。
【0011】
バックレスト4は、自ずと周知の態様で覆いが張られ、本実施例の場合、周縁フレームとして設計されるバックレスト構造4aを支持構造として有する。バックレスト構造4aは下横材4bを有する。下横材4bは、当該移動方向に対して直交しかつ水平な軸方向yに延びる。側方部品4dが下横材の両端に取り付けられる。上横材4eが下横材4bと平行に延びる。上横材4eは、その2つの端のそれぞれが側方部品の上端に取り付けられる。その2つの下コーナーのそれぞれにおいて、バックレスト構造4aは輪郭体4pを有する。
【0012】
輪郭体4pは、少なくとも部分的に、軸方向yに一定の輪郭を有して延びる。輪郭体4pは好ましくは、少なくとも当該一定の輪郭を有するセクションにおいて中空構成である。本実施例の場合、輪郭体4pは、例えば円輪郭を有する金属管として設計される。しかしながら、例えば他の丸まった又は多角形の輪郭のような他の輪郭も可能である。当該管は、引き抜き又は溶接することができる。代替例として、押し出し輪郭も可能である。(部分的に)中空の構成に対する代替例として、輪郭体4pは、前記輪郭を有する中実のピンとして設計することもできる。輪郭体4pは、関連する側方部品4dに取り付けられる。これを目的として、輪郭体4pは、側方部品4dの受容部の中に、例えばフォークの中に又は開口の中に挿入される。輪郭体4pの外側が、側方部品4dの対応する輪郭の受容部と、好ましくは確実動作的係合によって相互作用する。本実施例の場合、軸方向yにおいて輪郭体4pのための付加的な案内を与える引き抜きカラーの内側と相互作用する。この様に配置された輪郭体4pはその後、好ましくは溶接によって側方部品4dに取り付けられる。
【0013】
輪郭体4pに対しては2つの好ましい実施例が存在する。第1実施例において、輪郭体4pは、連続的な輪郭から所定長さに切断されるのが好ましい別個のコンポーネントとして設計される。側方部品4dはそれぞれ、その下端が輪郭体4pに、及び、他の位置において、下横材4bの一端に接続される。第2実施例において、輪郭体4pは、下横材4bの一体部品、すなわちその端セクションである。側方部品4d間に延びる中心セクションにおいて、下横材4bは、輪郭体4pとは異なる輪郭を有し得る。図面において、例えば、凹部が中心に示される。前記凹部は、バックレスト構造4aの剛性要求にマッチする。
【0014】
バックレスト4は、軸方向yに延びる枢動軸まわりに、シート部品3に対して枢動することができる。その傾斜が様々な使用位置間で調整し得るのが好ましい。バックレスト4の傾斜を調整するには、シート部品3とバックレスト4との移行部にあって軸方向yに配列される駆動シャフト7が、手動で、例えばハンドホイール5によって、又はモータで、例えば電気モータによって回される。車両シート1の両側では、駆動シャフト7が、結合回転するべく継手10に係合する。これによって、バックレスト4はシート部品3に接続され、これと相対的に枢動することができる。2つの同じ又は鏡像の継手10が設けられるのが好ましい。
【0015】
継手10は、少なくとも一つの第1継手部品11及び一つの第2継手部品12を有する。これらは互いに対して回転することができる。2つの継手部品11及び12はそれぞれ、ほぼ円形ディスク形状で記載することができる。双方の継手部品11及び12は好ましくは、少なくともいくつかの領域が、硬化され得る金属、特に鋼からなる。軸方向の力を吸収するべく、すなわち継手部品11及び12を一緒に保持するべく、周縁クランプリング13が設けられる。周縁クランプリングによって与えられる結束性に包含される原理は、例えば米国特許第6,799,806(B2)号明細書に記載されている。周縁クランプリング13は好ましくは、未硬化が好ましい金属、特に鋼からなる。周縁クランプリング13は、実質的に平坦なリング形状を有する。
【0016】
周縁クランプリング13は、2つの継手部品11及び12の一方に固定的に接続される。本実施例の場合、例えば溶接されて又は、代替実施例において、(周方向において少なくとも部分的に)フランジが付けられて、外側リングセグメントにおいて第1継手部品11に接続される。径方向内側を向くリムによって、すなわち本実施例の場合、軸方向に直交する平面に配列される内側リングセグメントによって、周縁クランプリング13は、2つの継手部品11及び12の他方に、その径方向外側エッジ領域において嵌まる。適切な場合には、相対的に可動であって、2つの継手部品11及び12の相対的回転を邪魔することがない別個の側方リングが介在される。さらに、2つの継手部品11及び12の対向する内側表面が、異物及び塵の侵入から並びに損傷から保護される。
【0017】
周縁クランプリング13と、これに固定的に接続された継手部品11又は12とは、これらに対して可動な2つの継手部品11及び12の他方をクランプする。したがって、構造的に見れば、2つの継手部品11及び12は共同でディスク形状ユニットを形成する(周縁クランプリング13とともに)。
【0018】
継手10を取り付けることにより、第1継手部品11がバックレスト構造4aに固定的に接続される。すなわち、例えばバックレストに対して固定される。第2継手部品12がその後、シート部品3の構造物に固定的に接続される。すなわち、シート部品に対して固定される。しかしながら、継手部品11及び12の関係は互換可能でもある。すなわち、第1継手部品11がシート部品に固定され、第2継手部品12がバックレストに対して固定される。継手10は、バックレスト4とシート部品3との間の力伝達経路に配置される。
【0019】
継手10と、シート部品3の及びバックレスト構造4aの構造部品との画定された界面として、軸方向に突出する輪郭が2つの継手部品11及び12に設けられる。本実施例の場合、星形オフセット12aが第2継手部品12に、すなわち第1継手部品11から離れる方を向く側に形成される。星形オフセット12aは、いくつかのアーム(本実施例の場合4本アーム十字)を有する実質的に対称的な星形状を有する。星形オフセット12aは、シート部品3の構造部品、本実施例の場合顧客固有アダプタ3a(
図5)、にある対応開口と確実動作的に相互作用し、溶接によって当該アダプタ3aに固定的に接続される。溶接は、例えば、軸方向yのレーザ溶接又はMAG溶接によってもたらされるのが好ましい。レーザ溶接の場合、溶接は、星形オフセット12aのまわりに延び得るか又は中断され得る。MAG溶接の場合、溶接は、星形オフセット12a上の個別に指定された位置にのみ与えられるのが好ましい。
【0020】
本実施例の場合、例えば材料が第1継手部品11の打ち出し中に押し出されることに起因して、円環オフセット11aが第1継手部品11上、すなわち第2継手部品12から離れる方向を向く側に形成される。円環オフセット11aが中空輪郭体4pに係合しかつその内側と確実動作的に相互作用する。この点で、第1継手部品11と輪郭体4pとが相互作用する。この様にして、突き合わせ接合が画定される。好ましくは円環オフセット11aのまわりに延びる溶接によって、第1継手部品11及び輪郭体4pは互いに、固定的に接続される。溶接は、例えばレーザ溶接によって又はMAG溶接によって、軸方向yに直交して(すなわち径方向に)もたらされる。
【0021】
輪郭体4pの輪郭は軸方向yにおいて少なくとも部分的に一定であり、幅は可変である。この点で、異なる幅のすなわち継手10間の異なる軸方向y距離のシート部品3を、画定された幅のすなわち側方部品4d間の画定された軸方向y距離のバックレスト4に、同一の部品を使用して接続することができる。車両シート1の組み付け中における特定時点で、バックレスト構造4aの側方部品4dと、継手10に取り付けられた又は取り付け予定の輪郭体4pとが、互いに対して軸方向yで位置決めされる。こうして、車両シートの両側において、画定された距離すなわち継手10と関連側方部品4dとの間の距離が、ひいては継手10間の距離及び側方部品4d間の距離が得られ、その場合にのみ互いが固定的に接続される。
【0022】
別個の輪郭体4pに係る第1実施例において、バックレスト構造4aは好ましくは、前記時点において2つの横材4b及び4e及び側方部品4dによってフレームを形成するべくすでに閉じられている。その結果、側方部品4d間の距離はすでに設定されている。輪郭体4pはその後、軸方向y外側を向く側が継手10と関連側方部品4dとの間の所望距離(ひいては継手10間の距離)を確立するように、側方部品4dの受容部に挿入される。この配列において、バックレスト構造4aのコンポーネントすべては同じ部品である。
【0023】
輪郭体4pを下横材4bの一体コンポーネントとして有する第2実施例において、前記時点は、フレームを閉じている間に生じる。下横材4bの軸方向寸法が、シート部品3の幅とすなわち継手10間の所望距離とマッチする。バックレスト構造4aの他のコンポーネントは同じ部品である。側方部品4bの受容部の設計に応じて、側方部品4dは下横材4bに押圧又は配置される。この場合、2つの側方部品4dがすでに上横材4eに接続され得るようになっている。
【0024】
本発明に係る輪郭体4pはまた、画定された幅のシート部品3と組み合わせられ得るバックレスト4の幅を変えることもできる。上横材4eは、バックレスト4の所望幅とマッチする。バックレスト構造4aの他のコンポーネントは同じ部品である。本発明に係る輪郭体4pはまた、公差を補償するべく使用することができる。
【0025】
継手10は、第1継手部品11及び第2継手部品12が、調整及び固定を目的とする歯車によって、詳しくは偏心遊星歯車、本実施例の場合は自己ロック式のもの、によって、互いに接続される歯車付き継手として設計される。これは、例えば独国特許出願公開第4436101(A1)号明細書又は独国実用新案第202009017811(U1)号明細書に記載されている。これらの関連する開示は明示的に参照として組み入れられる。
【0026】
歯車を構築するべく、外歯付きギアホイール16が第2継手部品12に形成され、内歯付きギアリング17が第1継手部品11に形成される。当該ギアホイールとギアリングとは互いに噛合する。ギアホイール16の外歯の歯先円直径は、ギアリング17の内歯の歯元円直径よりも少なくとも一歯たけ分小さい。ギアホイール16とギアリング17との少なくとも一歯分の歯数の適切な差異により、ギアリング17のギアホイール16上での転がり接触する動きが可能となる。ギアホイール16及びギアリング17は好ましくは、継手部品11及び12を開始材料から同時に打ち出す単数回の押し出し/スタンピング操作によって形成される。代替例として、類似する幾何学的形状及び同じ機能を有する継手部品11及び12は、鍛造成形(好ましくは冷間押出成形又は熱間押出成形)によって製造することもできる。本実施例の場合、ギアホイール16は、第2継手部品12の径方向外側エッジを形成する。すなわち、第2継手部品12が、その径方向外側においてギアホイール16に終端する。
【0027】
2つの継手部品11及び12の一方はカラー19を有する。これは、第2継手部品12上にあって、本実施例の場合、ギアホイール16と同心である。カラー19は、前記継手部品に引き抜きカラーとして形成(すなわち一体的に形成)することができるか又は別個のスリーブとして前記継手部品に取り付けることができる。駆動体21は、ハブ22によってカラー19に回転可能に取り付けられる。駆動体21は好ましくはプラスチックからなる。駆動体21のハブ22には、駆動シャフト7を受け入れるためのボア23が中心に設けられる。ボア23の輪郭は、駆動シャフト7の輪郭、本実施例の場合スプラインシャフトの輪郭に対応する設計とされる。駆動体21は、そのハブ22に隣接してカバーディスク25を有する。カバーディスク25は、ハブ22と一体的に形成され、直径がハブ22よりも大きい。
【0028】
2つのウェッジセグメント27は、これらの内側曲面によってカラー19上に支持され、これらの外側曲面によって、2つの継手部品11及び12の他方、本実施例の場合第1継手部品11を支承する。これを目的として、前記継手部品の受容部が滑り軸受ブッシュ28により裏打ちされる。滑り軸受ブッシュ28は好ましくは相対回転に対する固定を目的として押圧され、ウェッジセグメント27の外側表面がこれの上に載置される。用語「支持」及び「支承」は、継手10を通る力のフローの特定方向に限定されることを意図しない。この方向は、継手10の取り付けに左右されるからである。
【0029】
ハブ22から所定の径方向距離に、駆動体21は駆動体セグメント29を有する。駆動体セグメント29は、間隙をもってウェッジセグメント27の狭い側面間に到達し、カバーディスク25と及びハブ22と一体的に形成される。ウェッジセグメント27は、その広い側面が対向してそれぞれ、例えば対応する開口によって又は当該材料の突出部品が画定する対応する抜き部によって、Ω字形状のばね35の折れ曲がった端部フィンガ35aを収容する。ばね35は、ウェッジセグメント27に対して周方向に作用し、特に前記ウェッジセグメントを押して分離する。ウェッジセグメント27の広い側面は、動作中に互いに接触しかつ作用し合うことができる。
【0030】
駆動体21は、カラー19を有する継手部品の外側に保持リング43によって軸方向に固定される。これは好ましくはスナップ嵌めされる。保持リング43がハブ22の部品に沿って軸方向に延びる結果、ハブ22は、カラー19の内側に直接載置はされないが、カラー19において保持リング43を介して支持される(その結果、駆動体21は第2継手部品12上に支持される)。滑り軸受ブッシュ28を有する継手部品(本実施例の場合第1継手部品11)の外側において、例えばゴム又は軟質プラスチック製である封止リング44が、前記継手部品の径方向外側エッジとカバーディスク25との間に設けられ、カバーディスク25に接続、特にスナップ嵌めされる。封止リング44はまた、金属製として第1継手部品11に固定的に接続、例えば溶接することができる。この場合、カバーディスク25は、封止リング44に対して可動とされる。オプションとして分離リング45が、搭載空間内にある2つの継手部品11及び12間に内部シールとして設けられる。前記分離リングは、例えばプラスチックからなる。
【0031】
ウェッジセグメント27(及びばね35)が偏心器を画定する。当該偏心器は、偏心方向の延長部として、係合点においてギアホイール16をギアリング17に圧入する。(複数回転を実行する)駆動シャフト7が駆動を実行している場合、トルクが最初に駆動体21に伝達され、次に駆動体セグメント29によって、このように画定された偏心器に伝達される。当該偏心器は、滑り軸受ブッシュ28に沿って滑り、偏心方向が変位し、ひいてはギアホイール16のギアリング17との係合点が変位する。これはタンブリング転がり接触動、すなわちタンブリング動が重畳された相対回転の態様をとる。このようにして、複数の使用位置間におけるバックレスト4の傾斜を連続的に調整することができる。
【0032】
動的な動作挙動を改善するべく、例えば独国特許第19548809(C1)号明細書に開示されているような阻止ばね51がさらに、阻止要素として設けられるのが好ましい。本実施例の場合、阻止ばね51は、第1継手部品11上に追加ギアリングとして形成される歯55と相互作用する。滑り軸受ブッシュ28の軸方向突出長さ部分に可動に取り付けられるのが好ましい阻止ばね51は、いずれの場合も、ウェッジセグメント27を非駆動状態に阻止し(阻止ばね51が端部フィンガ35aに載置されることによってばね35を阻止するゆえ)、駆動体21によって解放される。
【0033】
代替例として、継手10はラチェット継手として設計することもできる。駆動シャフト7は、ばねの付勢に対抗するわずかな回転によって、継手10の中に包含されるロック要素を引き戻す。これは、例えば独国特許出願公告第102006015560(B3)号明細書に記載されている。その関連する開示は明示的に参照として組み入れられる。バックレスト4は、例えば2ドア又は3ドア自動車シートの場合、シートの後部列へのアクセスを容易にするべく自由に枢動することができる。継手10はその場合、付加的なロック機構を有することができる。当該ロック機構は、例えば米国特許第7,571,962(B2)号明細書に記載されるような自由揺動ユニットの形態である。その関連する開示は明示的に参照として組み入れられる。
【符号の説明】
【0034】
1 車両シート
3 シート部品
3a アダプタ
4 バックレスト
4a バックレスト構造
4b 下横材
4d 側方部品
4e 上横材
4p 輪郭体
5 ハンドホイール
7 駆動シャフト
10 継手
11 第1継手部品
11a 円環オフセット
12 第2継手部品
12a 星形オフセット
13 周縁クランプリング
16 ギアホイール
17 ギアリング
19 カラー
21 駆動体
22 ハブ
23 ボア
25 カバーディスク
27 ウェッジセグメント
28 滑り軸受ブッシュ
29 駆動体セグメント
35 ばね
35a 端部フィンガ
43 保持リング
44 封止リング
45 分離リング
51 阻止ばね
55 歯
y 軸方向