(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明樹脂製下地シートは、前記ハードコート膜が形成される側の面がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂により形成されている請求項1に記載の透明樹脂基板。
前記透明樹脂製下地シートは、30乃至1000μmの厚みを有しており、前記ハードコート膜は、0.5乃至10μmの厚みを有しており、前記低屈折率層は、50乃至200nmの厚みを有している請求項1に記載の透明樹脂基板。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の透明樹脂基板の最もシンプルな層構造は、透光性の熱可塑性樹脂の下地シート1と、ハードコート膜3と、低屈折率層5とからなるものである。
【0012】
<下地シート1>
下地シート1は、透光性を有するものであり、例えば、波長750〜400nmでの全光線透過率が85%以上の熱可塑性樹脂からなる。このような透光性を有する熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等が好適であり、ハードコート膜3が形成される側の面が、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂により形成されていることが好ましく、従って、ポリカーボネート樹脂とアクリル系樹脂との積層体も、下地シート1として好適に使用することができる。また、このような下地シート1は、透光性が損なわれない限りにおいて、油溶性染料等によって着色されたものであってよい。
【0013】
また、かかる下地シート1の表面は、ハードコート膜3との密着性を向上させる目的で、それ自体公知のプライマーで表面処理されていてもよい。
【0014】
さらに、上記の下地シート1は、インサート成形により最終的に成形される成型体の形状や大きさによっても異なるが、一般的には、適度に薄肉であることが好ましく、例えば、30乃至1000μm程度の厚みであることが好ましい。即ち、この厚みが過度に厚すぎると、インサート成形に際して、成形型内に注入する樹脂量が制限されてしまい、目的とする形状の成型体を得ることが困難となるおそれがあり、また、この厚みが薄すぎると、この成型用樹脂基板1の賦形性等が損なわれてしまい、成形型内で加熱下に成形用樹脂基板1を賦形する際に、折れ等の成形不良を生じ易くなってしまう。
【0015】
<ハードコート膜3>
上記の下地シート1の一方の表面に形成されるハードコート膜3は、ウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂成分(A)、シランカップリング成分(B)、
シリカ微粒子(C)及び金属キレート化合物(D)を含有している。
かかるハードコート膜3の厚みは、上記下地シート1の厚みによっても異なるが、一般には、0.5乃至10μm、特に1.0乃至5.0μmの範囲にあるのがよい。即ち、この厚みが薄すぎると、ハードコート膜3の基本的な物性(例えば、硬度や強度)等を確保することが困難となり、また、過度に厚いと、下地シート1との物性差(例えば柔軟性や伸び)が大きくなり、この結果、インサート成形時での割れ等の成形不良を生じ易くなってしまうからである。
以下、このハードコート膜3の各形成成分について説明する。
【0016】
樹脂成分(A);
ウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂成分(A)は、膜を形成するバインダーとしての機能を有するものであるが、かかるウレタンアクリレートとしては、3官能以下のウレタンアクリレート(A1)と4官能以上のウレタンアクリレート(A2)とが併用される。即ち、3官能以下のウレタンアクリレート(A1)は硬化により比較的柔軟性に富んだ部分を形成し、4官能以上のウレタンアクリレート(A2)は硬化により硬質の部分を形成するものであり、両者を併用することにより、適度に緻密で硬度の高い膜を形成することができるのである。
【0017】
尚、ウレタンアクリレートは、多価イソシアネート化合物と複数の水酸基を有するポリオール化合物とを反応して得られる末端イソシアネート化合物に、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるものであり、ウレタンアクリレート中の(メタ)アクリロイル基が官能基であり、例えば(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタンアクリレートは2官能であり、3個有するものは3官能である。
【0018】
従って、3官能以下のウレタンアクリレート(A1)とは、(メタ)アクリロイル基を多くて3個まで有しているものであり、例えば、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートに末端イソシアネート化合物を反応させ、両末端のそれぞれに1個の(メタ)アクリロイル基が導入されているウレタンアクリレートは、2官能のウレタンアクリレート(A1)として使用される。
また、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートとを、末端イソシアネート化合物と反応させ、イソシアネート化合物の一方の末端に1個の(メタ)アクリロイル基を導入し、且つ他方の末端に2個の(メタ)アクリロイル基を導入したものは、3官能のウレタンアクリレート(A1)として使用される。
さらに、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートを、末端イソシアネート化合物と反応させ、イソシアネート化合物の両末端に、それぞれ2個の(メタ)アクリロイル基を導入したものは、4官能のウレタンアクリレート(A1)として使用される。
勿論、上記の例は一例であり、3官能以下である限り、他のウレタンアクリレートも使用することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリル酸のモノエステル、ジエステル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを使用し、所望の数の(メタ)アクリロイル基を導入することにより、3官能以下のウレタンアクリレート(A1)を得ることもできる。
【0019】
4官能以上のウレタンアクリレート(A2)も同様であり、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに、両末端イソシアネート(例えばトリヘキサジエチレンジイソシアネート)を反応させることにより、分子鎖末端のそれぞれに3個の(メタ)アクリロイル基を有する6官能のウレタンアクリレート(A2)を得ることができる。
【0020】
本発明において、上記の3官能以下のウレタンアクリレート(A1)と4官能以上のウレタンアクリレート(A2)とは、2/98乃至70/30、特に10/90乃至60/40の重量比(A1/A2)で使用されていることが好ましい。3官能以下のウレタンアクリレート(A1)の使用量が多すぎると、得られるハードコート膜3の硬度が損なわれ、ハードコート膜3としての基本的な性能が低下するおそれがあり、また、4官能以上のウレタンアクリレート(A2)の使用量が多すぎると、ハードコート膜3と樹脂シート1との密着性が損なわれたり、ハードコート膜3の樹脂シート1に対する追随性が損なわれ、この結果、インサート成形での成形型内での賦形時に割れ等を生じ易くなる。また、後述する無機酸化物微粒子(C)の脱落などが生じ易くなることもある。
【0021】
シランカップリング成分(B);
シランカップリング成分(B)は、このハードコート膜3に後述する
シリカ微粒子(C)を脱落することなく安定に分散して保持すると同時に、下地シート1や低屈折率層5との密着性を確保するために使用される成分である。
即ち、この成分(B)は、下記一般式(1);
R
n−Si(OR
1)
4−n (1)
式中、Rは、アルキル基またはアルケニル基であり、
R
1は、アルキル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシ基ま
たはハロゲン原子であり、
nは1または2の数である、
で表される化合物(シランカップリング剤)またはその加水分解物である。
【0022】
前記一般式(1)における基Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基が挙げられ、このアルキル基は、塩素等のハロゲン原子、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、オキシラン環含有基等の官能基で置換されていてもよい。
また、基R
1は、アルキル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシ基またはハロゲン原子であり、ケイ素原子に結合している基OR
1は加水分解性の基となっている。
【0023】
上記のようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−スチリルメチル−β−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等を挙げることができる。
【0024】
このようなシランカップリング剤の加水分解物(B)は、加水分解と同時に重縮合し、Si−O−Si結合によりネットワーク状に連なった重合物を形成する。従って、このようなシランカップリング剤の加水分解物(B)の使用により、ハードコート膜3を緻密なものとすることもできる。
【0025】
本発明において、ハードコート膜3中の上記化合物またはその加水分解物(B)の含有割合は、前述したウレタンアクリレートから形成された樹脂成分100重量部当り、1乃至30重量部、特に10乃至20重量部の範囲に設定される。即ち、この化合物またはその加水分解物(B)の含有量が必要以上に多いと、ハードコート膜3の基本的性能(硬度や耐擦傷性など)が損なわれてしまい、この含有量が少なすぎると、下地シート1や低屈折率層5との密着性が損なわれ、ハードコート膜3の剥がれ等を生じ易くなってしまう。
【0026】
シリカ微粒子(C);
ハードコート膜3中の
シリカ微粒子(C)としては、粒径が5〜500nmで屈折率が1.44〜1.5の範囲にあるものが使用される。即ち、このような酸化物微粒子を使用することにより、ハードコート膜3の全体にわたって硬度等の基本的な特性を均一に付与することができる。また、かかる
シリカ微粒子(C)は、後述する低屈折率層5の形成に使用される中空
シリカ微粒子と異なり、中実の粒子であるが(例えば、その密度は1.9以上)、該中空
シリカ微粒子に近似した粒径及び屈折率を有しているため、中空
シリカ微粒子を用いての低屈折率層5との密着性を高め、且つ低屈折率層5の形成により、インサート成形時のハードコート膜3や低屈折率層5の割れ等を効果的に防止することができ、さらには、低屈折率層5の光学的特性を活かして反射防止膜の形成も可能となるのである。
【0027】
このような
シリカ微粒子(C)は、前述したウレタンアクリレートから形成される樹脂成分(A)100重量部当り、10乃至80重量部、特に30乃至60重量部の量で使用される。かかる
シリカ微粒子(C)が、このような範囲でハードコート膜3中に含まれていることにより、ハードコート膜3の基本特性を維持しつつ、低屈折率層5との密着性を高め、インサート成形時の割れ等を有効に防止することができる。
【0028】
金属キレート化合物(D);
本発明において、金属キレート化合物(D)は、ハードコート膜3中に架橋構造を導入し、ハードコート膜3をより緻密なものとするために使用される。即ち、前述したウレタンアクリレートによる樹脂成分(A)でも架橋構造は形成されているが、柔軟性を付与するために低官能性のウレタンアクリレート(A1)の使用により、その緻密性は低下している。即ち、金属キレート化合物(D)は、ハードコート膜3の柔軟性を損なわずに、その緻密性の低下を補うために、換言すると、膜の緻密性に影響される硬度等の機械的特性を調整するために、使用されるものである。また、このような金属キレート化合物は、低屈折率層5にも含まれているため、金属キレート化合物(D)の使用により、ハードコート膜3と低屈折率層5との密着性がより高められ、インサート成形時の割れ等を有効に防止することができる。
【0029】
このような金属キレート化合物(D)としては、二座配位子を含むチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ニオブ、タンタル或いは鉛の化合物が好適である。
二座配位子とは、配位座数が2、すなわち金属に配位しうる原子数が2であるようなキレート剤であり、一般にO、N、S原子によって、5乃至7員環を形成して、キレート化合物を形成する。これらの二座配位子の例として、アセチルアセトナト、エチルアセトアセタト、ジエチルマロナト、ジベンゾイルメタナト、サリチラト、グリコラト、カテコラト、サリチルアルデヒダト、オキシアセトフェノナト、ビフェノラト、ピロメコナト、オキシナフトキノナト、オキシアントラキノナト、トロポロナト、ビノキチラト、グリシナト、アラニナト、アントロニナト、ピコリナト、アミノフェノラト、エタノールアミナト、メルカプトエチルアミナト、8−オキシキノリナト、サリチルアルジミナト、ベンゾインオキシマト、サリチルアルドキシマト、オキシアゾベンゼナト、フェニルアゾナフトラト、β−ニトロソ−α−ナフトラト、ジアゾアミノベンゼナト、ビウレタト、ジフェニルカルバゾナト、ジフェニルチオカルバゾナト、ビグアニダト、ジメチルグリオキシマトなどを挙げることができる。
【0030】
本発明において、好適に使用される金属キレート化合物(D)は、下記一般式(2):
M(Li)
k(X)
m−k (2)
式中、Mは、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ニオブ、
タンタル或いは鉛であり、
Liは二座配位子であり、
Xは、1価の基、好適には加水分解可能な基であり、
mは、金属Mの原子価であり、
kは、金属Mの原子価を超えない範囲で1以上の数である、
で表される。これらの中でも、金属Mとしては、チタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく、基Xとしては、アルコキシ基が好ましい。
このような金属キレート化合物の具体例としては、以下のTiキレート化合物、Zrキレート化合物及びAlキレート化合物を例示することができる。
【0031】
Tiキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)チタン
ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン
モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)チタン
テトラキス(アセチルアセトナト)チタン
トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)チタン
ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)チタン
モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)チタン
テトラキス(エチルアセトアセタト)チタン
モノ(アセチルアセトナト)トリス(エチルアセトアセタト)チタン
ビス(アセチルアセトナト)ビス(エチルアセトアセタト)チタン
トリス(アセチルアセトナト)モノ(エチルアセトアセタト)チタン
【0032】
Zrキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウ
ム
モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
テトラキス(エチルアセトアセタト)ジルコニウム
モノ(アセチルアセトナト)トリス(エチルアセトアセタト)ジルコニ
ウム
ビス(アセチルアセトナト)ビス(エチルアセトアセタト)ジルコニウ
ム
トリス(アセチルアセトナト)モノ(エチルアセトアセタト)ジルコニ
ウム
【0033】
Alキレート化合物;
ジエトキシ・モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム
モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム
ジ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム
モノ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム
モノ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセタト)アルミニウム
モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセタト)アルミニウム
ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセタト)アルミニウム
ジ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセタト)アルミニウム
【0034】
上述した金属キレート化合物(D)は、ウレタンアクリレートから形成される樹脂成分(A)100重量部当り、0.1乃至30重量部、特に0.5乃至15重量部の量で使用される。この範囲内で金属キレート化合物(D)が使用されることにより、このハードコート膜3上に形成される低屈折率層5との間の密着性を向上することができる。
【0035】
<低屈折率層5>
上述したハードコート膜3上に形成される低屈折率層5は、中空
シリカ微粒子(a)と、シランカップリング剤またはその加水分解物(b)と、金属キレート化合物(c)とから形成されるものであり、このような低屈折率層5を形成することにより、インサート成形時の成形不良を有効に防止することが可能となる。
このような成分を用いて形成される低屈折率層5の厚みは、ハードコート膜3の厚みにも影響されるが、一般的には、50乃至200nmの範囲にあるのがよい。即ち、この厚みが薄すぎると、強度等の特性が損なわれ、インサート成形時に破断等を生じ易くなり、過度に厚いと、その柔軟性等が大きく低下してしまい、例えば下地シート1との物性差が大きくなり、インサート成形時での割れ等の成形不良が生じ易くなる傾向があるからである。さらに、低屈折率層5の厚みが上記範囲内にあるときには、この低屈折率層5を可視光等に対する反射防止膜として利用することもできる。
以下、この低屈折率層5を形成する各成分について説明する。
【0036】
中空
シリカ微粒子(a);
この中空
シリカ微粒子(a)は、ハードコート層3との物性調整のために使用されるものであり、その粒径は10〜150nmであり、屈折率は1.44以下の範囲にあり、前述したハードコート膜3の形成に使用される
シリカ微粒子(C)に近似した粒径及び屈折率を有していることが理解されよう。しかるに、この低屈折率層5の形成に使用される
シリカ微粒子(a)は、内部が空洞の粒子であるため、
シリカ微粒子(C)に比して、その密度は低く、例えば1.5以下である。
【0037】
即ち、この中空
シリカ微粒子(a)は、前述した
シリカ微粒子(C)と同様、屈折率の低い微細な粒子であり、下地シート1の透光性を損なうことなしに、一定の強度及び硬度を確保し、耐傷付性等の特性を付与するために使用されるものである。
【0038】
尚、上記のような中空
シリカ微粒子(a)は、それ自体公知であり、例えばテンプレートとなる界面活性剤の存在下でシリカを合成し、最後に焼成を行って界面活性剤を分解除去することにより製造され、イソプロパノールやメチルイソブチルケトンなどの有機溶媒に分散させたゾルの形で市販されている。
【0039】
上記の中空
シリカ微粒子(a)は、中空
シリカ微粒子(a)とシランカップリング剤またはその加水分解物(b)と金属キレート化合物(c)との3成分基準で、低屈折率層5中に10乃至50重量%の割合で含まれていればよい。即ち、残量の90乃至50重量%が、後述するシランカップリング剤またはその加水分解物(b)と金属キレート化合物(c)との合計割合となる。
【0040】
シランカップリング剤またはその加水分解物(b)及び金属キレート化合物(c);
本発明において、低屈折率層5の形成に用いるシランカップリング剤またはその加水分解物(b)は、ハードコート膜3の形成に用いる一般式(1)の化合物(シランカップリング剤)またはその加水分解物(B)と全く同じである。前述したハードコート膜3では、特定のウレタンアクリレートから形成される樹脂成分(A)とシランカップリング剤またはその加水分解物(B)とがバインダーとなって微細なシリカ粒子(
シリカ微粒子(C))を保持しているが、この低屈折率層5では、シランカップリング剤またはその加水分解物がバインダーとなって微細なシリカ粒子(中空
シリカ微粒子(a))を保持しているわけである。
【0041】
即ち、本発明においては、ハードコート膜3の形成にも使用されているシランカップリング剤またはその加水分解物を用いて低屈折率層5が形成されているため、ハードコート膜3との間に高い密着性が確保され、成形不良を有効に防止することができる。
【0042】
このようなシランカップリング剤またはその加水分解物(b)の具体例としては、前述した一般式(1)の化合物またはその加水分解物、即ち、ハードコート膜3の形成に使用されるシランカップリング剤またはその加水分解物(B)で例示したものと同じものを挙げることができる。
【0043】
低屈折率層5の形成に使用される金属キレート化合物(c)は、架橋構造を導入することにより、低屈折率層5を緻密なものとし、ハードコート膜3との密着性を高めるというものである。即ち、このような金属キレート化合物を使用せずに低屈折率層5を形成すると、この低屈折率層5の緻密性が低下するため、硬度等の特性低下により、耐傷付き性などが低下するばかりか、ハードコート膜3との密着性が低下し、剥離等が生じ易くなることもある。
【0044】
従って、このような金属キレート化合物(c)としても、ハードコート膜3の形成に使用されている金属キレート化合物(D)で例示されているものと同様のものが使用され、例えば、前述したTiキレート化合物、Zrキレート化合物、Alキレート化合物が好適であり、最も好ましくは、ハードコート膜3の形成に使用する金属キレート化合物と全く同じものが使用される。
【0045】
本発明において、上記のシランカップリング剤またはその加水分解物(b)と金属キレート化合物(c)とは、硬度等の特性を必要以上に増大させず、適度な緻密性を得ることができるという点で、60/99乃至40/1の重量比(b/c)で使用される。この化合物またはその加水分解物(b)(即ち、バインダー)の使用量が少ないと、中空
シリカ微粒子(a)を安定に保持することが困難となり、成形時等において該
シリカ微粒子(a)の脱落等が生じ易くなるばかりか、ハードコート膜3との密着性も損なわれ、低屈折率層5の剥離等を生じ易くなってしまうし、この化合物またはその加水分解物(b)の使用量が多すぎると、金属キレート化合物(c)の使用量が少なくなる結果、低屈折率層5の緻密性が損なわれ、ハードコート膜3との密着性が低下し、低屈折率層5の剥離等を生じ易くなってしまうからである。
【0046】
<他の層構造>
このように、本発明の透明樹脂基板では、
図1に示されているように、透明な下地シート1の上に特定の組成のハードコート膜3が形成され、さらに、ハードコート膜3の上に、上述した低屈折率層5を形成することにより、インサート成形時の成形不良を有効に防止することが可能となるのであるが、その層構造は、
図1に示す態様に限定されるものではない。即ち、ハードコート膜3の上に形成する反射防止膜の一部の層として、この低屈折率層5を設けることもできるのである。
【0047】
例えば、
図2に示されているように、前述した下地シート1の上に形成されているハードコート膜3の上に、多層構造の反射防止膜10を形成することができ、この反射防止膜10の内の一つの層が、上述した低屈折率層5となっている。
即ち、
図2の例では、反射防止膜10の最上層が、前述した中空
シリカ微粒子(a)により屈折率が1.44以下に調整された低屈折率層5となっており、その下に、屈折率が1.6以上の高屈折率層7が形成され、高屈折率層7とハードコート膜3との間には、屈折率が低屈折率層5と高屈折率層7との中間に調整された中屈折率層9が形成されており、これら3層によって反射防止がなされるようになっている。
【0048】
上記のような反射防止膜10において、低屈折率層5は前述したとおりの組成及び厚みを有するものであるが、屈折率が1.6以上の高屈折率層7及び中間の屈折率(通常、1.50〜1.7)を有する中屈折率層9も、低屈折率層3と
同程度の厚み、具体的には50乃至200nmの厚みを有するものである。
【0049】
また、高屈折率層7及び中屈折率層9は、所定の屈折率(即ち、低屈折率層5よりも高い屈折率)を確保するために、コロイド状金属酸化物(金属酸化物ゾル)を含有しており、さらに、金属酸化物微粒子を結着固定するバインダー成分として、シランカップリング剤またはその加水分解物や金属酸化物を形成する金属アルコキシド、ハードコート膜や低屈折率層の形成に使用されている金属キレート化合物を配合することができる。
【0050】
上記のコロイド状金属酸化物(金属酸化物ゾル)としては、酸化チタンゾル、アルミナゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化アンチモンゾル等が挙げられるが、屈折率の調整の点や有機溶媒への分散性、コーティング液の安定性、更にはプラスチック基板への密着性を考慮すると、ルチル型の酸化チタン(チタニア)ゾル、酸化ジルコニウムゾルが好ましい。
【0051】
また、シランカップリング剤またはその加水分解物としては、前述した式(1)のシランカップリング剤またはその加水分解物を挙げることができ、特に、他の層に対する密着性や耐溶剤性に優れているという観点から、下記式(2):
Ep−CH−CH
2−O−R−Si(OR
1)
3 (2)
式中、Epは、エポキシ基であり、
Rは、アルキレン基であり、
R
1は、アルキル基またはアルコキシアルキル基である、
で表されるエポキシシラン系カップリング剤またはその加水分解物、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の化合物またはその加水分解物が好適である。
【0052】
上記の金属アルコキシドとしては、下記式(3):
M(OR)m (3)
式中、Mは、3価又は4価の金属を表し、
Rは、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、
mは、金属Mの原子価(3又は4)を表す、
で表されるものが好ましく、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズのアルコキシドが好適である。
具体的には、チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンn−ブトキサイド、チタンイソブトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムプトキシド、アルミニウムt−プトキサイド、スズt−プトキサイド、ジルコニウムエトキサイド、ジルコニウムn−プロポキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイド、ジルコニウムn−ブトキサイド等が挙げられる。
【0053】
また、金属キレート化合物としては、ハードコート膜3や低屈折率層5の形成に使用されているものと同種のものを用いることが好適である。
さらに、上記の高屈折率層7及び中屈折率層9(特に高屈折率層9)には、屈折率を高めるために、金属ハライドを含有させることもできる。
この金属ハライドとしては、金属塩化物、金属臭化物が使用され、一層具体的には、三塩化アンチモン、四塩化ジルコニウム、三塩化ビスマス、四臭化チタン、四塩化ゲルマニウム、三臭化アンチモン、五塩化タンタル等が挙げられるが、高屈折率化の点や有機溶媒への分散性、コーティング液の安定性を考慮すると、三塩化アンチモン、三塩化ビスマス、三臭化アンチモンが好ましい。
【0054】
さらにまた、上記の高屈折率層7及び中屈折率層9には、バインダーとして熱硬化性樹脂を適宜含有させることができる。このような熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
【0055】
本発明において、高屈折率層7及び中屈折率層9の各成分の含有割合は、所定の屈折率を確保できるように設定されるが、その代表的な例を示すと以下のとおりである。
(尚、上記の中屈折率層9は、場合によっては省略されることもある。)
高屈折率層7の組成;
金属酸化物ゾル:30〜90重量%
シランカップリング剤の加水分解物:10〜50重量%
金属アルコキシド或いは金属キレート化合物:1〜15重量%
熱硬化性樹脂:20重量%以下
中屈折率層9の組成;
金属酸化物ゾル:10〜60重量%
シランカップリング剤の加水分解物:10〜50重量%
金属アルコキシド或いは金属キレート化合物:0.5〜10重量%
熱硬化性樹脂:40重量%以下
【0056】
<透明樹脂基板の製造>
本発明において、上述した構造の透明樹脂基板は、始めに、押出成形等の手段により、所定厚みの下地シート1を作製し、この上に、順次、ハードコート膜3及び低屈折率層5(或いは反射防止膜10)を形成することにより製造される。
ハードコート膜3や低屈折率層5(或いは反射防止膜10)の形成は、前述した組成割合となるように、各成分を所定の溶媒に混合してコーティング液を形成し、このコーティング液を所定厚みで塗布し、硬化せしめることにより行うことができる。
【0057】
尚、各コーティング液の調製に使用される有機溶媒としては、金属酸化物ゲルやバインダー等との相溶性があるものが使用され、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸イソブチル等のエステル類、トルエン等の芳香族炭化水素類が使用される。特に、シリカゾルやチタン酸化物ゾルは、アルコール系溶媒に分散させた形態で市販され、使用されるため、特にアルコール系溶媒が好適である。これらの溶剤を用いて調製される各コーティング液の固形分濃度は、塗布性等の観点から、通常、0.1〜50重量%である。
【0058】
また、各コーティング液には、樹脂成分等の硬化のために、ラジカル重合開始剤、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタノール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等の有機過酸化物が配合される。また、下地シート1の熱変形を防止するために、光重合により硬化を行うこともでき、この場合には、光重合開始剤を配合することができる。このような光重合開始剤の例としては、これに限定されるものではないが、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等を例示することができる。
さらに、各コーティング液には、例えばシランカップリング剤や金属アルコキシドの加水分解を促進するために、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸の水溶液を添加することもできる。
上記のようなラジカル重合開始剤及び酸水溶液は、それ自体公知の量で各種コーティング液に配合することができる。
【0059】
上記の各コーティング液の塗布方法としては、薄膜形成の容易なディッピング法が好適に使用できる。塗布されたコーティング液の薄膜は、一般に70〜140℃程度の温度で熱処理して、さらに、適宜光照射して硬化させることにより、順次、ハードコート膜3、低屈折率層5或いは反射防止膜10(中屈折率層
9、高屈折率層
7及び低屈折率層5)が形成される。
【0060】
このようにして形成された透明樹脂基板は、例えば所定の成形型内に配置され、加熱しながら型面に合わせて賦形し、次いで、所定の樹脂を注入し、硬化することにより、表面にハードコート膜(及び反射防止膜)を備えた所定の形状の成形体を得ることができる。
尚、注入する樹脂は、下地シート1に対して良好な熱融着性を有する透明な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂である。
【0061】
本発明の透明樹脂基板においては、インサート成形に際してハードコート膜や反射防止膜の割れ等が有効に防止され、成形不良による歩留まりの低下を回避し、高い生産性を確保することができる。
このインサート成形用透明樹脂基板は、例えばCRT、LCD、プラズマデイスプレイなどの光表示面の全面パネル等の成形に適用することができる。
【実施例】
【0062】
本発明の優れた効果を次の実験例により説明する。
尚、以下の実験例における測定は、次の方法により行った。
【0063】
(1)全光線透過率
日本分光(株)社製V−550+積分球を使用して、走査速度1000nm/minで、波長780〜380nmの範囲における最高透過率値を測定し、全光線透過率値とした。
(2)反射率
全光線透過率と同じ試験機を用い、同様の条件下で、最下点(基板表面)における反射率を測定した。
【0064】
(3)伸び率
0.5mm基材の片面に反射防止膜(ハードコート膜を含む)を塗布し、基材軟化温度で約30秒熱を加え、R付き90°曲げ治具で曲げを行った。クラックが入らない場合のR値から伸び率を計算した。
【0065】
(4)硬度
吉光精機製硬度計C−2210を用い、鉛筆(三菱鉛筆株式会社製Uni)で硬度を測定した。硬度は、鉛筆硬度で表される。この硬度が硬いほど、耐擦傷性が良好である。
【0066】
(5)耐擦傷性
スチールウール(日本スチールウール(株)製BONSTER No.0000)を500g/cm
2の圧力で試験体表面上を20往復したときの傷の発生の有無を目視で判定することにより、耐擦傷性を評価した。判定基準は、次の通りである。尚、本試験において、透過光は透明樹脂基板を透過した光を意味し、反射光は、透明樹脂基板表面で反射した光を意味する。
◎:透過・反射光、どちらを観察してもキズは確認されなかった
○:透過光を観察するとキズが数本確認されたが、反射光では確認さ
れなかった
△:透過・反射光、どちらを観察しても数本のキズが確認された
×:透過・反射光、どちらを観察しても十本以上のキズが確認された
【0067】
(6)熱付形性
成形前に115℃で60秒加熱することによって熱付形を行う時のクラックの発生の有無を観察した。
○:クラックレスで熱付形可能
×:クラックが発生
【0068】
(7)落球試験
各実施例又は比較例で得られた透明樹脂基板を100mm角に切断し、100mm角のセンターにφ50、深さ10mmの穴が空いている支持台の上に乗せ、該基板の中心に130gの鉄球を200mm高さから落とし基板が割れるかどうかの評価を行った。
○:基板割れ無し
×:基板割れ発生
【0069】
<実施例1>
下地シートとして、ポリカーボネート/ポリメチルメタクリレート積層シートを用意した。この下地シートの仕様は、次の通りであった。
下地シート;
厚み:500μm(PC:440μm、PMMA:60μm)
ハードコート膜形成側面:ポリメチルメタクリレート
全光線透過率:91%
【0070】
下記処方によりハードコート膜用コーティング液を調製した(表1参照)。括弧内に、ウレタンアクリレート(A)100重量部当りの組成を示した。
尚、有機溶媒としてはメチルイソブチルケトンとイソプロパノールを用い、下記処方中の有機溶媒量には、シリカゾルに使用されている分散媒のイソプロパノールの量が含まれていた。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1)脂肪族有機イソシアネート系2官能アクリレート
(以下、AfOI2FA) 7.5g(5重量部)
(A2)脂肪族有機イソシアネート系4官能アクリレート
(以下、AfOI4FA) 42.5g(95重量部)
(
B)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(以下、GPTMS) 30.0g(20重量部)
(C)粒径10nm中実
シリカ微粒子
(以下、10nmSSS) (屈折率1.48)
60.0g(40重量部)
(D)ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)
(以下、ZDBB(EAA)) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
【0071】
上記のハードコート液を上記下地シート1の表面に塗布し、加熱及び紫外線照射により、厚みが2μmのハードコート膜を形成した。
【0072】
次に、下記処方により、低屈折率層用コーティング液を調製した(表1参照)。括弧内に、この低屈折率層の組成を示した。
尚、シリカゾル等のゾルの配合量は、全て固形分量(即ち、溶媒を除いた量)で示している。
また、有機溶媒としてはメチルイソブチルケトンを用い、下記処方中の有機溶媒量には、シリカゾルに使用されている分散媒のイソプロパノールの量が含まれている。
低屈折率層用コーティング液処方;
(a)粒径60nm中空
シリカ微粒子
(以下、60nmHSS) (屈折率1.25)
14.0g(50重量部)
(b)GPTMS 8.4g(30重量部)
(c)ZDBB(EAA) 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0073】
上記の低屈折率層用コーティング液を上記ハードコート膜上に塗布し、加熱により、低屈折率層を形成し、インサート成形用透明樹脂基板を得た。該低屈折率層の厚みは100nmであり、屈折率は1.38であった。
【0074】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、全光線透過率、反射率、伸び率、硬度、耐擦傷性及び熱付形性を前述した方法で評価し、その結果を表3に示した。
【0075】
<実施例2>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.4であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 105.0g(70重量部)
(A2) AfOI4FA 45.0g(30重量部)
(B) 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(以下、APTMS) 30.0g(20重量部)
(C) 粒径12nm中実
シリカ微粒子
(以下、12nmSSS) (屈折率1.48)
60.0g(40重量部)
(D) アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
(以下、AAAADI) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 粒径50nm中空
シリカ微粒子
(以下、50nmHSS) (屈折率1.3)
14.0g(50重量部)
(b) APTMS 8.4g(30重量部)
(c) AAAADI 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0076】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0077】
<実施例3>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.5であり、低屈折率層の屈折率は1.38であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2) AfOI4FA 105.0g(70重量部)
(B) GPTMS 37.5g(25重量部)
(C) 10nmSSS 1.5g(1重量部)
(D) アルミニウムトリスアセチルアセトネート
(以下、ATAA) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 796.0g
酢酸水溶液 8.6g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) GPTMS 13.86g(49.5重量部)
(c) ATAA 0.14g(0.5重量部)
有機溶媒 968.8g
酢酸水溶液 3.2g
【0078】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0079】
<実施例4>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.4であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1)脂環族有機イソシアネート系3官能アクリレート
(以下、AcOI3FA) 45.0g(30重量部)
(A2)脂環族有機イソシアネート系4官能アクリレート
(以下、AcOI4FA) 105.0g(70重量部)
(B) GPTMS 1.5g(1重量部)
(C) 10nmSSS 67.5g(45重量部)
(D) ジルコニウムテトラアセチルアセトネート
(以下、ZTAA) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 774.2g
酢酸水溶液 0.4g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 50nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) GPTMS 13.86g(49.5重量部)
(c) ZTAA 0.14g(0.5重量部)
有機溶媒 968.8g
酢酸水溶液 3.2g
【0080】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0081】
<実施例5>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.38であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AcOI3FA 45.0g(30重量部)
(A2) AcOI4FA 105.0g(70重量部)
(B) GPTMS 37.5g(25重量部)
(C) 10nmSSS 67.5g(45重量部)
(D) ZTAA 1.5g(1重量部)
有機溶媒 730.0g
酢酸水溶液 8.6g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) GPTMS 13.86g(49.5重量部)
(c) ZTAA 0.14g(0.5重量部)
有機溶媒 968.8g
酢酸水溶液 3.2g
【0082】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
<実施例6>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は、1.46であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2)脂肪族有機イソシアネート系6官能アクリレート
(以下、AfOI6FA) 105.0g(70重量部)
(B) 2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン
(以下、(ECH)ETMS) 30.0g(20重量部)
(C) 10nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) ZDBB(EAA) 0.15g(0.1重量部)
有機溶媒 748.05g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 2.8g(10重量部)
(b) (ECH)ETMS 15.4g(55重量部)
(c) ZDBB(EAA) 9.8g(35重量部)
有機溶媒 968.5g
酢酸水溶液 3.5g
【0083】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を
表3に示した。
【0084】
<実施例7>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.47であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2) AfOI6FA 105.0g(70重量部)
(B) GPTMS 30.0g(20重量部)
(C) 12nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) ZDBB(EAA) 4.5g(3重量部)
有機溶媒 743.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 50nmHSS 2.8g(10重量部)
(b) GPTMS 24.92g(89重量部)
(c) ZDBB(EAA) 0.28g(1重量部)
有機溶媒 966.3g
酢酸水溶液 5.7g
【0085】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0086】
<実施例8>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.38であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 15.0g(10重量部)
(A2) AfOI4FA 135.0g(90重量部)
(B) GPTMS 30.0g(20重量部)
(C) 10nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) ZDBB(EAA) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) GPTMS 8.4g(30重量部)
(c) ZDBB(EAA) 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0087】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0088】
<実施例9>
ハードコート膜用コーティング液の処方及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表1参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であり、低屈折率層の屈折率は1.4であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 90.0g(60重量部)
(A2) AfOI4FA 60.0g(40重量部)
(B) APTMS 30.0g(20重量部)
(C) 12nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) AAAADI 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 50nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) APTMS 8.4g(30重量部)
(c) AAAADI 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0089】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0090】
<比較例1>
ハードコート膜用コーティング液調整時に、AfOI2FA(A1)を用いず、AfOI4FA(A2)のみ150g用いた他は、実施例1と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。即ち、このハードコート膜の配合組成において、A1/A2は0/100であった。尚、形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例1と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0092】
<比較例
2>
ハードコート膜用コーティング液調整時に、GPTMS(B)を用いなかったことの他は、実施例4と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例4と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0093】
<比較例
3>
ハードコート膜用コーティング液調整時に、GPTMS(B)を60g(即ち、40重量部)使用した他は、実施例4と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例4と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0094】
<比較例
4>
ハードコート膜用コーティング液調整時に、10nmSSS(C)を用いなかったことの他は、実施例3と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.5であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例3と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0095】
<比較例
5>
ハードコート膜用コーティング液調整時に、10nmSSS(C)を82.5g(即ち、55重量部)用いた他は、実施例3と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例3と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0096】
<比較例
6>
ハードコート膜用コーティング液調整の際に、ZDBB(EAA)(D)を用いなかったことの他は、実施例6と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。形成されたハードコート膜の屈折率は1.49であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例6と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0097】
<比較例8>
低屈折率層の処方において50nmHSS(a)を15.4g、APTMS(b)を7g配合した以外は、実施例2と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。即ち、この低屈折率層の配合組成において、低屈折率中空
シリカ微粒子(a)は55重量部、シランカップリング剤の加水分解(b)は25重量部であった。形成された低屈折率層の屈折率は1.39であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例2と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0098】
<比較例9>
低屈折率層の処方において50nmHSS(a)を1.4g、APTMS(b)を26.6g配合し、AAAADI(c)を配合しなかった以外は、実施例2と同様にして、インサート成形用透明樹脂基板を作製した(表2参照)。即ち、この低屈折率層の配合組成において、低屈折率中空
シリカ微粒子(a)は5重量部、シランカップリング剤の加水分解物(b)は95重量部であった。形成された低屈折率層の屈折率は1.47であった。インサート成形用透明樹脂基板について、実施例2と同様、各種特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0099】
<実施例10>
下記処方によりハードコート膜用コーティング液を調製した(表4参照)。括弧内に、ウレタンアクリレート(A)100重量部当りの組成を示した。
尚、有機溶媒としてはメチルイソブチルケトンを用い、下記処方中の有機溶媒量には、シリカゾルに使用されている分散媒のイソプロパノールの量が含まれている。
該ハードコート液を、実施例1と同じ下地シート1の表面に塗布し、加熱及び紫外線照射により、厚みが2μmのハードコート膜を形成した。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2) AfOI6FA 105.0g(70重量部)
(B) GPTMS 30.0g(20重量部)
(C) 10nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) ZDBB(EAA) 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
【0100】
下記処方により、中屈折率層用コーティング液を調製した(表4参照)。括弧内に、この中屈折率層の組成を示した。
尚、有機溶媒としてはメチルイソブチルケトンを用い、下記処方中の有機溶媒量には、ジルコニアゾルに使用されている分散媒のイソプロパノールの量が含まれている。
該コーティング液を上記ハードコート膜上に塗布し、加熱により、厚みが85nmであり、屈折率が1.62である中屈折率層を形成した。
ジルコニアゾル(金属酸化物ゾル)
(屈折率1.9) 15.0g(30重量部)
GPTMS(シランカップリング剤)の加水分解物
33.5g(67重量部)
ZDBB(EAA)(金属キレート化合物)
1.5g(3重量部)
有機溶媒 942.4g
酢酸水溶液 7.6g
【0101】
次に、下記処方により、高屈折率層用コーティング液を調製した(表4参照)。括弧内に、この高屈折率層の組成を示した。
尚、有機溶媒としてはイソプロパノールを用い、下記処方中の有機溶媒量には、酸化チタンゾルに使用されている分散媒のメチルイソブチルケトンの量が含まれていた。
該コーティング液を上記中屈折率層上に塗布し、加熱により、厚みが80nmであり、屈折率が1.73である高屈折率層を形成した。
酸化チタンゾル(金属酸化物ゾル)
(屈折率1.98) 28.9g(85重量部)
GPTMS(シランカップリング剤)の加水分解物
5.1g(15重量部)
ZDBB(EAA)(金属キレート化合物)
1.02g(3重量部)
有機溶媒 963.78g
酢酸水溶液 1.2g
【0102】
次いで、下記処方により、低屈折率層用コーティング液を調製した(表4参照)。括弧内に、この低屈折率層の組成を示した。
尚、下記処方中の有機溶媒量には、シリカゾルに使用されている分散媒のイソプロパノールの量が含まれていた。
該コーティング液を上記ハードコート膜上に塗布し、加熱により、厚みが100nmであり、屈折率が1.38である低屈折率層を形成し、インサート成形用透明樹脂基板を得た。
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) GPTMS 8.4g(30重量部)
(c) ZDBB(EAA) 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0103】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、耐擦傷性試験以外は、実施例1と同様にして各種特性を評価し、その結果を表5に示した。
尚、耐擦傷性試験は、スチールウールの往復回数を150回にして行った。
【0104】
<実施例11>
ハードコート膜用コーティング液、中屈折率層用コーティング液、高屈折率層用コーティング液及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例10と同様にしてインサート成型用透明樹脂基板を作製した。ハードコート膜の屈折率は1.49、中屈折率層の屈折率は1.62、高屈折率層の屈折率は1.65、低屈折率層の屈折率は1.38であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2) AfOI6FA 105.0g(70重量部)
(B) APTMS 30.0g(20重量部)
(C) 12nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) AAAADI 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
中屈折率層用コーティング液処方;
ジルコニアゾル(金属酸化物ゾル)
15.0g(30重量部)
APTMS(シランカップリング剤)の加水分解物
33.5g(67重量部)
AAAADI(金属キレート化合物)
1.5g(3重量部)
有機溶媒 942.4g
酢酸水溶液 7.6g
高屈折率層用コーティング液処方;
ジルコニアゾル(金属酸化物ゾル)
(屈折率1.9) 18.7g(55重量部)
APTMS(シランカップリング剤)の加水分解物
15.3g(45重量部)
AAAADI(金属キレート化合物)
1.02g(3重量部)
有機溶媒 961.38g
酢酸水溶液 3.6g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) APTMS 8.4g(30重量部)
(c) AAAADI 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0105】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例10と同様にして各種特性を評価し、その結果を表5に示した。
【0106】
<実施例12>
ハードコート膜用コーティング液、中屈折率層用コーティング液、高屈折率層用コーティング液及び低屈折率層用コーティング液の処方を変更した以外は、実施例10と同様にしてインサート成型用透明樹脂基板を作製した。ハードコート膜の屈折率は1.49、中屈折率層の屈折率は1.64、高屈折率層の屈折率は1.73、低屈折率層の屈折率は1.38であった。
ハードコート膜用コーティング液処方;
(A1) AfOI2FA 45.0g(30重量部)
(A2) AfOI6FA 105.0g(70重量部)
(B) (ECH)ETMS 30.0g(20重量部)
(C) 12nmSSS 60.0g(40重量部)
(D) ATAA 1.5g(1重量部)
有機溶媒 746.7g
酢酸水溶液 6.9g
光重合開始剤 4.9g
中屈折率層用コーティング液処方;
酸化チタンゾル(金属酸化物ゾル) 15.0g(30重量部)
(ECH)ETMS
(シランカップリング剤)の加水分解物
33.5g(67重量部)
ATAA(金属キレート化合物) 1.5g(3重量部)
有機溶媒 942.4g
酢酸水溶液 7.6g
高屈折率層用コーティング液処方;
酸化チタンゾル(金属酸化物ゾル) 28.9g(85重量部)
(ECH)ETMS(シランカップリング剤)
5.1g(15重量部)
ATAA(金属キレート化合物) 1.02g(3重量部)
有機溶媒 963.78g
酢酸水溶液 1.2g
低屈折率層用コーティング液処方;
(a) 60nmHSS 14.0g(50重量部)
(b) (ECH)ETMS 8.4g(30重量部)
(c) ATAA 5.6g(20重量部)
有機溶媒 970.1g
酢酸水溶液 1.9g
【0107】
上記のインサート成形用透明樹脂基板について、実施例10と同様にして各種特性を評価し、その結果を表5に示した。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】