(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガスタービン燃料の燃焼ガスを用いて駆動するガスタービン(3)と、前記ガスタービン(3)からの排熱によって蒸気を発生する排熱回収ボイラ(4)と、前記排熱回収ボイラ(4)からの蒸気で駆動する蒸気タービン(5)と、前記蒸気タービン(5)からの蒸気を冷却して給水を生成する復水器(7)と、前記復水器(7)に貯留する前記給水を前記排熱回収ボイラ(4)へ圧送する給水ポンプとを備えた太陽熱コンバインドサイクル発電プラントであって、
第1の集熱器(1)にて蓄熱媒体を加熱し、熱交換器(9)で前記蓄熱媒体と前記給水ポンプ(8)からの給水の一部とを熱交換して温水を生成する太陽熱利用温水生成ユニット(30)と、
前記太陽熱利用温水生成ユニット(30)で生成した前記温水を、吸気噴霧水ポンプ(13)で加圧し、その加圧した温水を吸気噴霧装置(20)により前記ガスタービン(3)の吸気空気に噴霧する太陽熱利用吸気噴霧ユニット(31)と
前記太陽熱利用温水生成ユニット(30)で生成した前記温水を、第2の集熱器(2)にて蒸発させて蒸気を生成し、その蒸気を前記蒸気タービン(5)に供給する太陽熱利用蒸気生成ユニット(32)と、
を備えた
ことを特徴とする太陽熱コンバインドサイクル発電プラント。
ガスタービン燃料の燃焼ガスを用いて駆動するガスタービン(3)と、前記ガスタービン(3)からの排熱によって蒸気を発生する排熱回収ボイラ(4)と、前記排熱回収ボイラ(4)からの蒸気で駆動する蒸気タービン(5)と、前記蒸気タービン(5)からの蒸気を冷却して給水を生成する復水器(7)と、前記復水器(7)に貯留する前記給水を前記排熱回収ボイラ(4)へ圧送する給水ポンプとを備えた太陽熱コンバインドサイクル発電プラントであって、
太陽の熱エネルギによって蓄熱媒体を加熱する第1の集熱器(1)と、前記加熱された蓄熱媒体と前記給水ポンプ(8)からの給水の一部とを熱交換して温水を生成する熱交換器(9)と、前記熱交換器(9)で熱交換した後の前記蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク(10)と、前記蓄熱タンク(10)から前記蓄熱媒体を前記第1の集熱器(1)へ圧送する循環ポンプ(11)と、前記熱交換器(9)の出口から分岐して前記温水を吸気噴霧装置(20)へ供給する第1温水供給配管(21)と、前記第1温水供給配管(21)に設けられ、前記温水を加圧する吸気噴霧水ポンプ(13)と、前記吸気噴霧水ポンプ(13)にて加圧した温水を前記ガスタービン(3)の吸気空気に噴霧する吸気噴霧装置(20)と、前記第1温水供給配管(21)の前記吸気噴霧装置(20)の上流側に設けられ、噴霧する温水の流量を制御する調整弁(14)とを備えた
ことを特徴とする太陽熱コンバインドサイクル発電プラント。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態を示すシステム構成図である。
図1はガスタービン3、排熱回収ボイラ4、蒸気タービン5、発電機6、復水器7、吸気噴霧装置20、第1の集熱器1、第2の集熱器2、熱交換器9及び蓄熱タンク10を有する太陽熱コンバインドサイクル発電プラントのシステムフローを示している。
【0019】
図1において、ガスタービン3は、圧縮機3a、タービン3b、燃焼器3c、及び駆動軸15から構成されている。圧縮機3aは空気を吸気・加圧し、燃焼用空気として燃焼器3cに供給する。燃焼器3cは、前記燃焼用空気を燃料と混合・燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生する。前記燃焼ガスはタービン3bを駆動し、駆動軸15を通して圧縮機3b、蒸気タービン5及び発電機6を駆動する。
【0020】
排熱回収ボイラ4は、ガスタービン3からの排気ガスによって蒸気を発生し、この蒸気を蒸気タービン5へ供給する。排熱回収ボイラ4へ供給する給水は復水器7の下部に貯留されており、給水ポンプ8にて排熱回収ボイラ4へ圧送される。
【0021】
蒸気タービン5は、駆動軸15によりガスタービン3に接続された高圧蒸気タービン5aと中圧蒸気タービン5bとで構成され、排熱回収ボイラ4にて発生した高圧蒸気を用いて高圧蒸気タービン5aを駆動する。高圧蒸気タービン5aにて仕事をした後の蒸気は、再度排熱回収ボイラ4へ戻され、排熱回収ボイラ4内の図示しない熱交換器にて再加熱される。再加熱された蒸気を用いて中圧蒸気タービン5bを駆動する。
【0022】
本実施の形態における太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50は、このような従来のコンバインドサイクルプラントと同様な構成に加えて、更に、太陽熱で温水を生成・貯蓄する太陽熱利用温水生成ユニット30と、温水を圧縮機3aの入口に噴霧する太陽熱利用吸気噴霧ユニット31と、太陽熱で温水から蒸気を生成し蒸気タービンへ供給する太陽熱利用蒸気生成ユニット32とを備えている。
【0023】
太陽熱利用温水生成ユニット30は、太陽光に含まれる赤外線Bを熱源として供給される蓄熱媒体を加熱する第1の集熱器1と、第1の集熱器1で高温となった蓄熱媒体と給水ポンプ8から分岐供給される給水とを熱交換して温水を供給可能とする熱交換器9と、熱交換器9で給水を加温した後の蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク10と、蓄熱タンク10から第1の集熱器1へ蓄熱媒体を圧送する油循環ポンプ11とを備えている。第1の集熱器1と熱交換器9、熱交換器9と蓄熱タンク10、及び蓄熱タンク10と第1の集熱器1、のそれぞれの間は配管により連結されている。蓄熱媒体は、油循環ポンプ11によりこれら配管と各構成機器との間を循環する。本実施の形態においては、第1の集熱器1としてトラフ型の太陽光集熱器を使用し、蓄熱媒体には引火点の高い油を使用している。
【0024】
太陽熱利用吸気噴霧ユニット31は、熱交換器9の出口から分岐して温水を吸気噴霧装置20へ供給する第1温水供給配管21と、第1温水供給配管21に設けられ、温水を加圧する吸気噴霧水ポンプ13と、圧縮機3aの入口の吸気側に加圧した温水を噴霧する吸気噴霧装置20と、吸気噴霧装置20の上流側に設けられ、噴霧する温水の流量を制御する吸気噴霧ノズル入口弁14とを備えている。吸気噴霧装置20にて噴霧された高圧の温水は、圧縮機3aの入口及び圧縮機3aの内部にて減圧沸騰して吸気空気を冷却する。さらに、吸気空気に対して湿分を添加して吸気空気の質量流量を増大する。吸気空気の冷却は圧縮機3aの動力の低減をもたらす。また吸気空気の質量流量の増大は燃焼用空気の増大、すなわちタービン3bの出力の増加をもたらし、ガスタービン3全体としての出力の増加に寄与する。
【0025】
太陽熱利用蒸気生成ユニット32は、熱交換器9の出口から分岐して温水を第2の集熱器2へ供給する第2温水供給配管22と、太陽光に含まれる赤外線Bを熱源として供給された温水を蒸発させて過熱蒸気を生成する第2の集熱器2と、第2の集熱器2で生成した過熱蒸気を排熱回収ボイラ4の発生蒸気と混合させて、中圧蒸気タービン5bの入口に供給する蒸気供給配管23と、蒸気供給配管23に設けられ、中圧蒸気タービン5bへ供給する第2の集熱器2で生成した過熱蒸気の流量を制御する太陽熱蒸気加減弁12と、夜間など第2の集熱器2において充分に太陽熱が得られない場合に第2の集熱器2で生成した蒸気を復水器7へ戻す蒸気戻し配管24と、蒸気戻し配管24に設けられ、復水器7へ戻す蒸気の流量を制御する太陽熱蒸気バイパス弁16とを備えている。
【0026】
なお、蒸気供給配管23を中圧蒸気タービン5bの入口に接続したのは、排熱回収ボイラ4の改造を必要とせずに中圧蒸気タービン5bの出力増加というメリットが得られるためである。例えば、高圧蒸気タービン5aの入口又は出口に蒸気供給配管23を接続すると、高圧蒸気タービン5aの出力増加というメリットは得られるが、排熱回収ボイラ4を構成する過熱器や再熱器の容量を増加させる改造の発生というデメリットが生じる。
【0027】
また、本発明の太陽熱コンバインド発電プラントの一実施の形態は、詳細を後述する制御システムを備えていて、温水の温度、吸気噴霧水の圧力、第2の集熱器2の出口における蒸気温度・圧力、並びに蓄熱媒体の温度等を検出して後述する制御装置に入力している。温水の温度は、熱交換器9の出口側に設けた温水温度検出器17aにより検出され、吸気噴霧水の圧力は、第1温水供給配管21の吸気噴霧水ポンプ13の出口側に設けた吸気噴霧水圧力検出器17bにより検出されている。第2の集熱器2の出口における蒸気温度・圧力は、蒸気供給配管23の太陽熱蒸気加減弁12の上流側に設けた蒸気温度検出器18aと蒸気圧力検出器18bにより検出されている。また、蓄熱媒体の温度は、蓄熱タンク10に設けた油温度検出器19により検出されている。
【0028】
本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の一実施の形態の特徴としては、以下の3点が挙げられる。
(1)太陽熱利用温水生成ユニット30における第1の集熱器1にて蓄熱媒体を加熱し、熱交換器9で蓄熱媒体と給水を熱交換して温水を生成する。その温水を基に太陽熱利用蒸気生成ユニット32における第2の集熱器2にて温水を蒸発させて過熱蒸気を生成し、その過熱蒸気を蒸気タービン5に供給する。
(2)太陽熱利用温水生成ユニット30で生成した温水を、太陽熱利用吸気噴霧ユニット31における吸気噴霧水ポンプ13で加圧し、その加圧した温水を吸気噴霧装置20によりガスタービン3の圧縮機3aの入口の吸気側に噴霧する。
(3)太陽熱利用温水生成ユニット30は、第1の集熱器1と、熱交換器9と、蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク10と、各構成機器の間に蓄熱媒体を循環させる油循環ポンプ11とを備え、第1の集熱器1で加温した熱媒体を蓄熱タンク10で貯留することができる。
【0029】
本実施の形態によれば、蓄熱媒体及び蓄熱タンク10に蓄積した熱エネルギにより熱交換器9で給水を温水とすることにより、充分な日射量が得られない夕刻や、日没後においてもタービン3bの出力増大と効率の向上が図れる。また、雲量の増加などにより一時的に太陽光が遮蔽された場合においても、蓄熱タンク10に蓄積した熱エネルギをもって温水の温度を一定範囲に維持することが可能であり、気象変動に対して安定した発電出力が得られる。
【0030】
次に、本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の運転特性について
図2乃至
図5を用いて説明する。
図2は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態における負荷要求指令の一例を示す特性図、
図3は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態を構成する蓄熱タンクの保有熱量の時間変化を示す特性図、
図4は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態を構成する第2の集熱器の集熱量の時間変化を示す特性図、
図5は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態における発電出力の時間変化を示す特性図である。
【0031】
図2において、縦軸は負荷要求指令MWD、横軸は時刻Tを示し、例えば、中央給電指令所より太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50に対して送出される発電指令(負荷要求指令MWD)の午前0時より翌日午前0時までの24時間における変化特性の一例を示す。図中Aの特性線によれば、負荷要求指令MWDは6時から7時にかけて増加を開始し、14時頃にピークを迎え、18時頃から減少を開始している。これは、社会活動によるエネルギ消費が6時から7時にかけて増加を開始し、工場が操業を停止する18時頃に低下する特性を反映したものである。
【0032】
次に、このような負荷要求指令MWDが送出される地域における太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の集熱特性等について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3において、縦軸は本実施の形態における蓄熱タンク10に貯留された蓄熱媒体の保有熱量QM、横軸は時刻Tを示し、午前0時より翌日午前0時までの24時間における変化特性の一例を示す。図中のTw0は、ガスタービン3への温水噴霧の開始を可能とする熱交換器9の出口における温水の設定温度であり、図中の破線は、この設定温度に相当する保有熱量を示している。
図3に示すように、蓄熱タンク10に貯留された蓄熱媒体の保有熱量は、第1の集熱器1にて得られた熱エネルギによって太陽が昇る6時頃より上昇を開始し、日没となる18時頃から低下を開始する特性となる。また、日没後は放熱により徐々に保有熱量が低下している。
【0033】
図3において、H1で示す時刻9時より23時の時間帯は、温水の温度をガスタービン3の吸気空気へ噴霧可能な温度へ加温可能な時間帯である。本発実施の形態においては、この時間帯においてガスタービン3の吸気に温水を噴霧し、ガスタービン3の出力の増大が可能となる。
【0034】
図4において、縦軸は本実施の形態における第2の集熱器2にて得られた集熱量Q、横軸は時刻Tを示し、午前0時より翌日午前0時までの24時間における変化特性の一例を示す。図中のTs0は、蒸気タービン5への蒸気供給の開始を可能とする第2の集熱器2の出口における蒸気の設定温度であり、図中の破線は、この設定温度に相当する集熱量を示している。
図4に示すように、第2の集熱器における集熱量は、太陽高度とともに急激に増加し、トラフ型集熱器の仰角を太陽高度に追従可能な時間帯(例えば、H2で示す時刻9時より15時の時間帯)において温水を蒸気とするに充分な熱エネルギが得られる。この時間帯においては、蒸気タービン5に蒸気を供給することで蒸気タービン5の出力増大が図れ、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50全体の出力増加が可能となる。また、時刻8時から9時の間、及び時刻15時から16時の間において集熱量が大幅に変動している。これは、太陽高度の低い時刻8時以前、及び時刻16時以降において、トラフ型集熱器の仰角が追従せず、集熱量が不足したことによる。
【0035】
なお、
図3における第1の集熱器1の集熱面積は、
図4における第2の集熱器2の集熱面積に比べて小さくすることが可能である。これは、第1の集熱器1による熱量が、水を常温から、ガスタービン3への温水噴霧の開始を可能とする温度へ加温するのに必要な熱量であるのに対して、第2の集熱器2による熱量は、蒸気タービン5に供給可能な過熱蒸気を生成するのに必要な熱量であり、第2の集熱器2による熱量の方が、第1の集熱器1による熱量よりも大きいことによる。また、
図4では、過熱蒸気の生成に必要な集熱量が時刻により大きく変化するが、これは、第2の集熱器2の集熱面積が大きく、太陽からの集熱量の変化を直接大きく受けることによる。
【0036】
次に、本実施の形態における第1の集熱器1及び第2の集熱器2によって得られた温水あるいは蒸気を用いて、太陽熱コンバインドサイクル発電プラントを運用した場合の発電出力特性について
図5を用いて説明する。
図5において、縦軸は発電出力P、横軸は時刻Tを示し、本実施の形態における太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの発電出力の午前0時より翌日午前0時までの24時間における変化特性の一例を示す。図中Aの特性線は、
図2に示す中央給電指令所からの負荷要求指令MWDに一致するように太陽熱コンバインドサイクル発電プラントを制御した場合の発電出力を示す。特性線Aにおいて、A1で示す部分は、ガスタービン3への吸気噴霧による出力増加分であり、A2で示す部分は、蒸気タービン3への加熱蒸気の供給による出力増加分である。図中A0の特性線は、太陽熱エネルギによる出力増加分を除くガスタービン3と蒸気タービン5による発電出力を示している。
【0037】
特性線A0によれば、日中におけるガスタービン3及び蒸気タービン5のみの発電出力分は低く抑えられている。このため、本実施の形態によれば、従来のコンバインドサイクル発電プラントに比べて、日中の化石燃料消費量及びCO
2排出量の低減が図れる。また、従来の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントと異なり、太陽からの熱エネルギが充分に得られない夕刻から夜間においても出力増加が図れている。
【0038】
また、集熱器を2段階とし、第1の集熱器1で給水を予熱し温水するとともに、第2の集熱器2で温水を過熱蒸気とする構成としたことから、雲量の増加などによって一時的に太陽光が遮蔽された場合の蒸気温度の変動幅を、集熱器を1段階とする構成に比べて抑えることができる。
【0039】
次に、本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態を構成する制御システム及び制御方法について、
図6乃至
図9を用いて説明する。
図6は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態を構成する制御システムを示す概略構成図、
図7は
図6に示す制御システムを構成する太陽熱発電制御システムを示す制御ブロック図、
図8は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態における運転モードを示す表図、
図9は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態における運転モード切替えの処理内容を示すフローチャート図である。
図6乃至
図9において、
図1乃至
図5に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図6において、制御システムは、タービン制御装置102、排熱回収ボイラ制御装置101及び太陽熱発電制御装置100を備え、それぞれが、ガスタービン3、排熱回収ボイラ4及び太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50と計測値(温度・圧力等)、操作量(弁開度・ポンプ回転数・集熱器仰角等)、及び操作指令等を授受することで、プラント全体を制御している。
【0041】
ここで、タービン制御装置102は、発電出力、ガスタービン回転数、タービン排気温度、燃料と燃焼空気との比率(燃空比)等を制御する。また、排熱回収ボイラ制御装置101は、給水ポンプ8の回転数、排熱回収ボイラ4のドラム水位、蒸気タービン5へ供給される蒸気をバイパスする図示しないタービンバイパス弁の開閉動作を制御する。さらに太陽熱発電制御装置100は第1の集熱器1及び第2の集熱器2における集熱量と、ガスタービン3への吸気噴霧量、蒸気タービン5への蒸気供給量等を制御する。なお、これらの制御装置は、同一の制御用計算機上に実装しても良いし、それぞれを異なる制御用計算機に実装し、各計算機が相互に同期しつつプラントを制御しても良い。
【0042】
本実施の形態における制御システムでは、タービン制御装置102において、中央給電指令所より負荷要求指令MWDを受け取り、負荷要求指令MWDに基づいてガスタービン3の出力を制御する。また、太陽熱発電制御装置100においては、負荷要求指令MWDと、例えば、大気温度及び太陽高度の検出信号からなる気象情報CC、運転員が節水モードスイッチ25を操作することにより指定される節水モードの有無選択信号SW、及び太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の各種計測値を入力し、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の各構成機器を制御する。また、太陽熱発電制御装置100は、排熱回収ボイラ制御装置101に対し給水流量指令補正値GSADを送出する。排熱回収ボイラ制御装置101は、給水流量指令補正値GSAD及び排熱回収ボイラ4の各種計測値に基づき排熱回収ボイラ4を制御する。
【0043】
次に、太陽熱発電制御装置100及び排熱回収ボイラ制御装置101の処理内容を
図7を用いて説明する。
図7において、太陽熱発電制御装置100は、各計測値が入力される入力部と、入力部からの入力値を基に各構成機器への指令値を演算する演算部と、演算部で算出された指令値を各構成機器へ出力する出力部とを備えている。
【0044】
入力部には、中央給電指令所からの負荷要求指令MWD、蒸気温度検出器18aからの第2の集熱器2の出口における蒸気温度TSA、蒸気圧力検出器18bからの第2の集熱器2の出口における蒸気圧力PSA、温水温度検出器17aからの吸気噴霧水温度TWA、吸気噴霧水圧力検出器17bからの吸気噴霧水圧力PWA、油温度検出器19からの蓄熱媒体である油の温度TOIL、及び大気温度及び太陽高度の計測値からなる気象情報CCが入力されている。
【0045】
出力部からは、太陽熱蒸気加減弁12へ開度指令CSADが、太陽熱蒸気バイパス弁16へ開度指令CSABが、第2の集熱器2へ仰角指令A2Dが、吸気噴霧ノズル入口弁14へ開度指令CWDが、吸気噴霧水ポンプ13へ回転数指令NWDが、油循環ポンプ11へ回転数指令NOILDが、第1の集熱器1へ仰角指令A1が、排熱回収ボイラ制御装置101へ給水流量指令GSADがそれぞれ出力されている。
【0046】
演算部は、蒸気圧力PSA等を基に太陽熱蒸気加減弁12,太陽熱蒸気バイパス弁16,吸気噴霧ノズル入口弁14の各開度指令CSAD、CSAB及びCWDを算出する蒸気圧力演算部100aと、蒸気温度TSA等を基に第2の集熱器2の仰角指令A2Dを算出する蒸気温度演算部100bと、吸気噴霧水圧力PWA等を基に吸気噴霧水ポンプ13の回転数指令NWDを算出する温水圧力演算部100cと、吸気噴霧水温度TWA等を基に、油循環ポンプ11の回転数指令NOILD及び第1の集熱器1の仰角指令A1を算出する温水温度演算部100dとを備えている。
【0047】
蒸気圧力演算部100aは、出力制御手段203と、蒸気圧力制御手段204と、吸気噴霧流量制御手段205と、吸気噴霧ノズル入口弁開度制御手段206と加算器214とを備えている。
【0048】
出力制御手段203は、蒸気圧力PSAを入力し、この蒸気圧力PSAが予め設定された目標圧力に一致するように太陽熱蒸気加減弁12の開度指令CSAD及び太陽熱蒸気バイパス弁16の開度指令CSABを算出する。蒸気圧力PSAが、目標圧力に一致するように制御することで、太陽の熱エネルギの変化に伴う蒸気タービン3の出力変動を抑制している。
【0049】
蒸気圧力制御手段204は、蒸気圧力PSAを入力し、この蒸気圧力PSAに基づき第2の集熱器2における給水流量指令GSAD1を算出する。算出した給水流量指令GSAD1は、加算器214と蒸気圧力演算部100bの蒸気温度制御手段207へ出力されている。
【0050】
吸気噴霧流量制御手段205は、負荷要求指令MWDを入力し、この負荷要求指令MWDに基づき吸気噴霧流量指令GWDを算出する。本実施の形態においては、給水ポンプ8の出口の給水を排熱回収ボイラ4と、熱交換器9を介して第2の集熱器2と、吸気噴霧装置20とに分岐供給している。吸気噴霧流量制御手段205は、吸気噴霧装置20へ供給する給水の流量を算出する。
【0051】
吸気噴霧ノズル入口弁開度制御手段206は、吸気噴霧流量指令GWDを入力し、この吸気噴霧流量指令GWDに基づき吸気噴霧ノズル入口弁14の開度指令CWDを算出する。
【0052】
加算器214は、蒸気圧力制御手段204からの第2の集熱器2における給水流量指令GSAD1と吸気噴霧流量制御手段205からの吸気噴霧流量指令GWDとを入力し、加算演算し、給水流量指令補正値GSADを算出する。給水流量指令補正値GSADは、排熱回収ボイラ制御装置101へ出力される。排熱回収ボイラ制御装置101の演算については後述する。
【0053】
蒸気温度演算部100bは、蒸気温度制御手段207と第2集熱器制御手段208とを備えている。
蒸気温度制御手段207は、蒸気温度TSAと気象情報CCと蒸気圧力制御手段204からの第2の集熱器2における給水流量指令GSAD1とを入力し、蒸気温度TSAを予め設定された目標温度に一致するように、第2の集熱器2の集熱量指令QSDを算出する。
【0054】
第2集熱器制御手段208は、第2の集熱器2の集熱量指令QSDを入力し、集熱量がこの集熱量指令QSDに追従するための第2の集熱器2の仰角指令A2Dを算出する。
【0055】
温水圧力演算部100cは、吸気噴霧水ポンプ制御手段209を備えている。本実施の形態においては、熱交換器9の出口で分流した高温の給水を、吸気噴霧水ポンプ13にて加圧したのち吸気噴霧装置20より圧縮機3aの入口に向けて噴霧する。圧縮機3aの入口あるいは内部にて給水を確実に減圧沸騰させるためには、給水温度を高温かつ高圧に維持する必要がある。吸気噴霧装置20における吸気噴霧水圧力PWAの制御を温水圧力演算部100cが行い、吸気噴霧水温度TWAの制御を温水温度演算部100dが行う。
【0056】
吸気噴霧水ポンプ制御手段209は、吸気噴霧水圧力PWAと吸気噴霧流量制御手段205からの吸気噴霧流量指令GWDとを入力し、吸気噴霧水圧力PWAを予め設定された目標圧力に一致するように、吸気噴霧水ポンプ13の回転数指令NWDを算出する。
【0057】
温水温度演算部100dは、吸気噴霧水温度制御手段210と、油循環ポンプ制御手段211と、油温度制御手段212と、第1集熱器制御手段213とを備えている。
【0058】
吸気噴霧水温度制御手段210は、吸気噴霧水温度TWAと吸気噴霧流量制御手段205からの吸気噴霧流量指令GWDとを入力し、吸気噴霧水温度TWAを予め設定された目標温度とするための油流量指令GOILDを算出する。
【0059】
油循環ポンプ制御手段211は、油流量指令GOILDを入力し、蓄熱媒体の流量が油流量指令GOILDに一致するように、油循環ポンプ11の回転数指令NOILDを算出する。
【0060】
油温度制御手段212は、油温度TOILと気象情報CCと吸気噴霧水温度制御手段210からの油流量指令GOILDとを入力し、油温度TOILを予め設定された目標温度に一致するように、第1の集熱器1の集熱量指令QOILDを算出する。本実施の形態における蓄熱媒体である油の温度は、熱エネルギを蓄積するという目的において引火点に達しない温度に維持することが望まれる。目標温度はこの観点から設定されている。
【0061】
第1集熱器制御手段213は、第1の集熱器1の集熱量指令QOILDを入力し、集熱量がこの集熱量指令QOILDに追従するための第1の集熱器1の仰角指令A1Dを算出する。
【0062】
次に、排熱回収ボイラ制御装置101の演算について説明する。排熱回収ボイラ制御装置101は、加算器201と給水ポンプ制御手段202とを備えている。
【0063】
加算器201は、例えば他の演算部で算出された給水ポンプ8への給水流量指令FWDと加算器214からの給水流量指令補正値GSADとを入力し、加算演算し、給水流量補正指令FWD1を算出する。
【0064】
給水ポンプ制御手段202は、給水流量補正指令FWD1を入力し、給水ポンプ8の出口の給水流量が、給水流量補正指令FWD1に一致するように、給水ポンプ8の回転数指令NFWPを算出する。このような給水流量補正指令FWD1により、給水ポンプ8の給水流量を制御するので、本実施の形態のような給水を各構成機器へ分岐供給する場合であっても、適切なプラント制御が可能となる。
【0065】
次に、本発明の太陽熱コンバインサイクル発電プラントの一実施の形態の運用方法について説明する。
上述したように、本発明の太陽熱コンバインサイクル発電プラントの一実施の形態においては、
図1に示す太陽熱利用温水生成ユニット30において生成した温水を基に、太陽熱利用蒸気生成ユニット32における第2の集熱器2にて温水を蒸発させて過熱蒸気を生成し、太陽蒸気加減弁12によりその過熱蒸気を蒸気タービン5に供給することで蒸気タービン5の出力を増加させる運用と、太陽熱利用温水生成ユニット30で生成した温水を、太陽熱利用吸気噴霧ユニット31における吸気噴霧水ポンプ13で加圧し、吸気噴霧ノズル入口弁14によりその加圧した温水をガスタービン3の圧縮機3aの入口の吸気側に噴霧することでガスタービン3の出力を増加させる運用とを備えている。
【0066】
したがって、これらの運用のいずれか一方を使用する場合、両方を使用する場合、及びいずれも使用しない場合により運転モードが決定され、これらは、太陽蒸気加減弁12と吸気噴霧ノズル入口弁14の開閉状態で定まる。太陽蒸気加減弁12の開度は、
図7に示すように太陽熱発電制御装置100の開度指令CSADにより開度制御されるので、この開度指令CSADが0%以下であれば閉止、0%を超えれば開状態であると判断できる。同様に、吸気噴霧ノズル入口弁14の開度は、太陽熱発電制御装置100の開度指令CWDにより開度制御されるので、この開度指令CWDが0%以下であれば閉止、0%を超えれば開状態であると判断できる。
【0067】
図8は本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態における運転モードを表している。
図8において、モード1は、太陽蒸気加減弁12と吸気噴霧ノズル入口弁14の両方を開状態とした場合であって、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50は、ガスタービン3への吸気噴霧と、蒸気タービン3への蒸気供給とが行われる。このことにより、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50の発電出力とプラント効率とは、最大になる。
【0068】
モード2は、吸気噴霧ノズル入口弁14を閉止し、太陽蒸気加減弁12を開状態とした場合であって、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50は、ガスタービン3への吸気噴霧を停止するが、蒸気タービン3への蒸気供給が行われることから、ガスタービン3から大気へと放出される水分を抑制できる。このことにより、プラント水使用量を減少させることができる。
【0069】
モード3は、太陽蒸気加減弁12を閉止し、吸気噴霧ノズル入口弁14を開状態とした場合であって、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50は、蒸気タービン3への蒸気供給を停止するが、ガスタービン5への吸気噴霧が行われることから、プラント出力を高めながら運転することができる。太陽からの熱エネルギが十分に得られない曇天時、あるいは夕刻時における増出力運転が可能になる。
【0070】
モード4は、太陽蒸気加減弁12と吸気噴霧ノズル入口弁14の両方を閉止した場合であって、太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50は、ガスタービン3への吸気噴霧と、蒸気タービン3への蒸気供給との両方を停止した運転となる。コンバインドサイクル発電プラントとしての運転、あるいは、夜間の運転が可能になる。
【0071】
次に、上述した4種類の運転モードを切り替える太陽熱発電制御装置100の処理内容について
図9を用いて説明する。
まず、太陽熱発電制御装置100は、蒸気温度検出器18aからの第2の集熱器2の出口における蒸気温度TSAが、蒸気タービン5への蒸気供給の開始を可能とする蒸気の設定温度Ts0以上か否かの判断を行う(ステップS1)。
図4に示すように、蒸気温度TSAが予め定めた設定温度Ts0以上の場合には、蒸気タービン5への蒸気供給が可能となり、蒸気タービン5によるプラントの増出力が可能となる。蒸気温度TSAが設定温度Ts0以上の場合には、(ステップS2)に進み、それ以外の場合には、(ステップS6)へ進む。
【0072】
太陽熱発電制御装置100は、運転員が操作指定する節水モードの有無選択信号SWが1(有効)か0(無効)かの判断を行う(ステップS2)。節水モードを有効とした場合には、プラントの給水を節水する目的でガスタービン3の圧縮機3aの入口の吸気側への温水噴霧を制限し、無効とした場合には、この制限を除外する。節水モードの有無選択信号SWが、0(無効)の場合には(ステップS3)に進み、1(有効)の場合には(ステップS5)に進む。
【0073】
太陽熱発電制御装置100は、温水温度検出器17aからの吸気噴霧水温度TWAが、ガスタービン3への温水噴霧の開始を可能とする温水の設定温度以上か否かの判断を行う(ステップS3)。
図3に示すように、吸気噴霧水温度TWAが予め定めた設定温度Tw0以上の場合には、ガスタービン3への温水噴霧の開始が可能となり、ガスタービン3によるプラントの増出力が可能となる。吸気噴霧水温度TWAが設定温度Tw0以上の場合には、(ステップS4)に進み、それ以外の場合には(ステップS5)に進む。
【0074】
太陽熱発電制御装置100は、プラントをモード1として運用する(ステップS4)。具体的には、太陽蒸気加減弁12の開度指令CSADと吸気噴霧ノズル入口弁14の開度指令CWDをいずれも0%超過として、各弁を開状態として、ガスタービン3によるプラントの増出力と蒸気タービン5によるプラントの増出力とを図る。
【0075】
一方、(ステップS2)において節水モードの有無選択信号SWが1(有効)の場合、又は(ステップS3)において吸気噴霧水温度TWAが設定温度Tw0未満の場合には、太陽熱発電制御装置100は、プラントをモード2として運用する(ステップS5)。具体的には、太陽蒸気加減弁12の開度指令CSADを0%超過として太陽蒸気加減弁12を開状態とし、吸気噴霧ノズル入口弁14の開度指令CWDを0%以下として吸気噴霧ノズル入口弁14を閉止する。このことにより、蒸気タービン5によるプラントの増出力とプラントの節水とを図る。
【0076】
また、(ステップS1)において、蒸気温度TSAが設定温度Ts0未満の場合には、太陽熱発電制御装置100は、温水温度検出器17aからの吸気噴霧水温度TWAが、ガスタービン3への温水噴霧の開始を可能とする温水の設定温度以上か否かの判断を行う(ステップS6)。吸気噴霧水温度TWAが設定温度Tw0以上の場合には、(ステップS7)に進み、それ以外の場合には(ステップS9)に進む。
【0077】
太陽熱発電制御装置100は、運転員が操作指定する節水モードの有無選択信号SWが1(有効)か0(無効)かの判断を行う(ステップS7)。節水モードを有効とした場合には、プラントの給水を節水する目的でガスタービン3の圧縮機3aの入口の吸気側への温水噴霧を制限し、無効とした場合には、この制限を除外する。節水モードの有無選択信号SWが、0(無効)の場合には(ステップS8)に進み、1(有効)の場合には(ステップS9)に進む。
【0078】
太陽熱発電制御装置100は、プラントをモード3として運用する(ステップS8)。具体的には、太陽蒸気加減弁12の開度指令CSADを0%以下として太陽蒸気加減弁12を閉止し、吸気噴霧ノズル入口弁14の開度指令CWDを0%超過として吸気噴霧ノズル入口弁14を開状態とする。このことにより、ガスタービン3によるプラントの増出力を図る。
【0079】
一方、(ステップS7)において節水モードの有無選択信号SWが1(有効)の場合、又は(ステップS6)において吸気噴霧水温度TWAが設定温度Tw0未満の場合には、太陽熱発電制御装置100は、プラントをモード4として運用する(ステップS9)。具体的には、太陽蒸気加減弁12の開度指令CSADと吸気噴霧ノズル入口弁14の開度指令CWDをいずれも0%以下として、各弁を閉止して、太陽熱エネルギを除外した通常のコンバインドサイクル発電プラントとして運用する。
【0080】
上述した本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態によれば、吸気噴霧装置20と、太陽からの熱エネルギを蓄熱媒体を介して蓄熱する蓄熱タンク10とを備え、この熱エネルギで得られた高圧の温水を圧縮機3aの入口に噴霧し、空気中及び圧縮機3aの内部で減圧沸騰させるので、大気温度が高い条件においてもガスタービン3の発電効率及び発電出力の低下を抑制できる。また、充分な日射量が得られない時間帯(たとえば夕刻)や、日没後においてもガスタービン3の出力増大と効率の向上が図れる。この結果、日照状態が変動してもプラント全体としてさらなる効率向上及び増出力が可能な太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50を提供することができる。
【0081】
また、上述した本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態によれば、雲量の増加などにより一時的に太陽光が遮蔽された場合においても安定して温水の温度を維持できるので、プラント全体としてさらなる効率向上及び増出力が可能な太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50を提供することができる。
【0082】
更に、上述した本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態によれば、温水の温度変動を最小にできるので、ガスタービン3の出力変動及びガスタービン3の吸気部における温水の凝集(ドレン)を抑制できる。このことにより、ガスタービン3の圧縮機3aの動翼及び静翼へのドレン付着にともなう翼表面へのスケール発生が防止できる、この結果、ガスタービン3の圧縮機3aの安全性を維持しつつ高効率運転を可能とする太陽熱コンバインドサイクル発電プラント50を提供することができる。
【0083】
また、上述した本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態によれば、第1の集熱器1にて得られた温水を、第2の集熱器2にて得られた太陽からの熱エネルギで蒸気として、この蒸気を蒸気タービン5へ供給するので、晴天時にはガスタービン3の出力の増大に加えて蒸気タービン5においても出力増大の効果を得ることができる。この結果、CO
2排出量を抑えたプラント効率向上の効果を得ることができる。
【0084】
また、本発明の太陽熱コンバインドサイクル発電プラントの一実施の形態は、既存のコンバインドサイクル発電プラント設備に第1の集熱器1、第2の集熱器2、熱交換器9、蓄熱タンク10、油循環ポンプ11、太陽熱加減弁12、吸気噴霧水ポンプ13、吸気噴霧ノズル入口弁14、吸気噴霧装置20等の設備を追設することで実現することが可能になり、例えば、乾燥高温の地域等において、高効率運転を可能とする太陽熱コンバインドサイクル発電プラントを提供することができる。