特許第5745691号(P5745691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745691
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】車両用の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20150618BHJP
   F16H 59/66 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   F16H61/02
   F16H59/66
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-514840(P2014-514840)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2014-516149(P2014-516149A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】SE2012050608
(87)【国際公開番号】WO2012169962
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】1150529-4
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】594097848
【氏名又は名称】スカニア シーブイ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥル−ラスール, ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, オスキャル
(72)【発明者】
【氏名】エーグレーン, ミーケル
【審査官】 広瀬 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−280281(JP,A)
【文献】 特開2005−226701(JP,A)
【文献】 特開昭63−064834(JP,A)
【文献】 特開2004−115015(JP,A)
【文献】 特開2000−104578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12,61/16−61/24,61/66−61/70,63/40−63/50
B60W 10/00−50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)を運転する方法であって、前記車両(100)が、少なくとも1つの駆動軸(104、105)に選択的に結合されて、前記車両(100)を推進するために、前記駆動軸(104、105)に駆動力を伝達することができるエンジン(101)を備え、前記車両(100)の走行中に、方法が、
前記車両(100)が下り坂に接近しているかどうかを決定することと、
前記車両(100)が前記下り坂に接近していると決定したとき、前記車両(100)が前記下り坂に到達する前に、前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から前記エンジン(101)を切り離すことと
を含む方法において
記車両が前記下り坂に到達するときに、前記エンジン(101)が前記駆動軸(104、105)から切り離された状態で走行しているとき、前記車両の速度が、前記車両が前記下り坂を通過し終わるまでに前記車両に対して設定される最大許容速度に到達するかどうかを決定することと、
前記車両(100)が前記車両に対して設定される前記最大許容速度に到達すると決定した場合、前記エンジン(101)が前記駆動軸(104、105)に結合されているが、前記エンジン(101)に燃料を供給しない状態で、前記下り坂上を少なくとも部分的に前記車両(100)を走行させることと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記車両の制御システム内に位置する少なくとも1つの制御ユニット(130)によって、前記決定を実行することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離されるべきである第1の位置(A)を決定することを更に含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(100)が前記下り坂に到達するとき、前記車両(100)が含む前記速度の決定に基づいて、および/または前記車両(100)が前記下り坂に到達するまで、前記第1の位置(A)から前記車両(100)が受ける速度減少の決定に基づいて、前記第1の位置(A)を決定することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両(100)に対する最大許容速度減少に基づいて、および/または前記車両(100)が前記下り坂に到達する前に前記車両に対する最低許容速度に基づいて、前記第1の位置(A)を決定することを更に含む、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の位置(A)に対して前記下り坂の開始で、前記車両の期待される速度、および/または期待される速度減少を決定することと、
前記車両(100)が実質的に最大許容速度減少を受ける、および/または前記車両が前記下り坂に到達する前に最低許容速度に実質的に到達することが決定される位置(A)で、前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から前記エンジン(101)を切り離すことと
を更に含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最大許容速度減少、および/または最低許容速度が、前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離されると、速度減少によって引き起こされる時間損失に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項5または請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記最大許容速度減少、および/または最低許容速度が、前記車両(100)が前記下り坂上で受けると期待される速度増加に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
例えば、前記車両の行程の勾配に関するデータといった、前記車両の前方の行程に関するデータに基づいて、ならびに/あるいは前記車両(100)の前方の前記行程の地形、および/または前記車両の位置に関するデータに基づいて、前記車両(100)が下り坂を走行するかどうか、および前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)からいつ切り離されるべきかを決定することを更に含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記車両(100)が前記下り坂に到達するとき、
前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離された状態で、前記下り坂上に前記車両(100)を走行させることを更に含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記車両(100)が前記下り坂の終わりに到達するとき、前記車両が設定速度(VCC)を超えて少なくとも走行する限り、前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離された状態で、前記車両を走行させることを更に含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離されるべき第1の位置(A)を決定することであって、前記第1の位置(A)が、フリーホイーリング中の燃料節約の重量と、フリーホイーリング中の時間損失との費用関数に基づいて、少なくとも部分的に決定されることを更に含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記エンジン(101)が前記少なくとも1つの駆動軸(104、105)から切り離される、少なくとも部分的な時間の間に前記エンジン(101)を切ることを更に含む、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プログラムコードを備え、前記プログラムコードがコンピュータ内で実行されるとき、前記コンピュータに請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法を適用させるコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピュータ可読媒体、および請求項14に記載のコンピュータプログラムを備え、プログラムが前記コンピュータ可読媒体内に含まれる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転する方法およびシステムに関する。特に、本発明は、車両を推進するために必要な力を低減することが優先される状態で、車両を運転する方法およびシステムに関する。本発明は、更に、本発明によって方法を実施する車両、ならびにコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、走行制御は、例えば乗用車、トラックおよびバスなど、自動車両において一般的である。走行制御の目的は、均一な所定の車両速度を達成することであり、走行制御は、一定の車両速度を目的とする従来タイプのものであってよい。このことは、例えば、上り坂のエンジントルクを増加することによって、遅延を回避するためにエンジントルクを適合することによって達成することができる。走行制御の一般的目的は、車両の便利な走行、および、更に運転者にとってより優れた快適性を達成することである。
【0003】
走行制御機能を有する車両の運転者は、走行制御機能が何らかの理由で起動されなくなるまで、運転者が車両に維持するように望む速度として、速度VCCを通常設定する。次いで走行制御は、例えば、エンジン制御ユニットなど、車両のエンジンを制御する車両の制御システムの部分から要求する基準速度Vrefを決定する。
【0004】
走行制御機能が上記のような従来タイプのものである場合、Vrefは設定速度VCCに等しくなり、その場合、車両は運転者によって設定された速度VCCを絶えず維持しようと努力するであろう。したがって、この種の走行制御機能により、車両が上り坂、下り坂または水平な走行面を走行しているかどうかに関わらず、車両は設定速度を維持しようと努めることになる。このことは、車両が丘の頂点上で加速されて、続きの下り坂になって初めて、設定速度を超えることを回避するために即座に制動されるべきであることを意味する。したがって、この方法は、重量車両の場合は特に、車両を運転する経済的な方法であるとは言えない。
【0005】
車両の購買費用とは別に、車両の定常操作のための主な項目には、運転者の賃金、修理および維持管理費用、および車両に動力を与える燃料費が含まれ、燃料費は、車両の所有者、例えば運搬業の会社などにとっての利益に非常に大きな影響を与える場合がある。
【0006】
このような理由から、燃料消費をできる限り低く維持することができるように、前方の道路についての知識に基づいて、車両の運転を修正するよう努力する走行制御機能が存在する。このことは、例えば走行制御機能によって達成可能であり、その場合、車両の行程の知識に基づいて、より燃料を節約する方法で車両を運転するために、基準速度Vrefは運転者によって選択される速度VCCから逸脱することが許容され得る。
【0007】
そのような走行制御の例は、いわゆる「先読み」機能を使用する走行制御である。先読み走行制御(LACC:look−ahead cruise control)は、基準速度Vrefを決定し、次いで、車両が走行する道路の変化によって車両の速度を更に修正するために、前方道路の区域の知識、すなわち車両の前方道路の性質についての知識を使用する走行制御である。
【0008】
重量車両は、自動的にギヤボックスを作動してきたことが多く、したがって、ギヤ変換は、例えば、ギヤボックス制御システムなど、適切な搭載制御システムによって制御される。車両のLACCシステム補助は、一般的に、1つまたは複数の車両の制御システムによってもまた制御されて、その結果、下り坂では車両が走行方向に重力によって提供される正の力成分を受けることになり、したがって所望の速度に再び加速することになるので、例えば、下り坂がその後に続く、上り坂の終わりに車両の速度を幾分減少させることによって、車両はできる限り経済的に走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】スウェーデン特許第1150527−8号
【特許文献2】スウェーデン特許第1050809−1号
【特許文献3】スウェーデン特許第1000716号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に下り坂走行で燃焼機関によって動力を供給される車両の燃料消費を更に減少させることができるような車両を運転する方法を提案することである。この目的は、請求項1による方法で達成される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば、少なくとも1つの駆動軸に選択的に結合されて、車両を推進するために、前記駆動軸に駆動力を伝達することができる内燃機関などのエンジンを備える車両を運転する方法に関する。前記車両の走行中に、その方法は、
車両が下り坂に接近しているかどうかを決定することと、
車両が前記下り坂に接近しているとき、車両が前記下り坂に到達する前に、前記少なくとも1つの駆動軸から前記エンジンを切り離すことと
を含む。
【0012】
このことは、本発明によって、少なくとも部分的にパワートレインを開くこと(いわゆるフリーホイーリング)によって下り坂の前に速度減少を達成することができるという利点を提供する。このことによって、下り坂の前に燃料を節約する方法で車両の速度が減少することが可能になり、車両を再び所望の速度に加速するために、続きの下り坂を利用することができる。単にエンジンへの燃料供給を遮断するのではなく、パワートレインを開くことによって、速度減少およびその結果としての燃料消費の削減が、以前に可能であったよりも早い段階で開始することができるという点から、燃料節約をもたらす。
【0013】
本発明の別の特徴および利点は、以下に述べる実施形態の例の詳細な説明および添付の図面によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明を使用することができる、車両内のパワートレインの図である。
図1B】車両制御システム内の制御ユニットの図である。
図2】本発明を適用することができる、下り坂の実施例の図である。
図3A】車両がフリーホイーリング時、およびドラッギング時の両方で加速するような勾配角度を有する下り坂上の車両の図である。
図3B図3Aに示す下り坂でフリーホイーリング時、およびドラッギング時の車両の各速度を概略的に示す図である。
図3C】フリーホイーリング時、およびドラッギング時の図3Aに示す車両の各燃料消費を概略的に示す図である。
図4】本発明による方法の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aは、本発明の実施形態による、車両100内のパワートレインの概略図である。パワートレインは、従来の方法では、エンジンの出力軸、通常はフライホイール102を介して、クラッチ106を介してギヤボックス103の入力軸109に結合されている燃焼機関101を備える。クラッチは、例えば自動制御クラッチの形態を取ることができ、制御ユニット110を介して車両の制御システムによって制御され得る。制御ユニット110は、ギヤボックス103も制御する。車両100は、車両の牽引輪113、114に結合され、ギヤボックス103から出力軸107によって、例えば、従来の差動装置など、車軸歯車108を介して駆動される駆動軸104、105を更に備える。
【0016】
車両100は、例えば、従来の常用ブレーキシステムなど、様々な異なるブレーキシステムを更に備えることができ、例えば、各車輪に隣接して配置される付属するブレーキライニング(図示せず)を有するブレーキディスクを備えることができる。常用ブレーキシステムは、ブレーキ制御ユニット111によって車両の制御システムによって制御される。ブレーキ制御ユニット111は、従来の方法で、例えば、常用ブレーキシステムの中の制動力を調節する1つまたは複数の調節装置に信号を送信する。
【0017】
ブレーキ制御ユニット111は、常用ブレーキシステムばかりでなく、車両に搭載された他のブレーキシステムを制御するようにも適合されてもよい。重量車両は、例えば、従来の形態のリターダ112、ならびに/あるいは様々なタイプの排気ブレーキシステム、圧縮ブレーキシステム、電磁ブレーキシステムおよびエンジンブレーキなど、他の補助ブレーキシステムなど、追加のブレーキシステムを備えることが多い。車両の運転者、および/または他の制御ユニットによって起動された命令に基づいて、制御ユニット111(または他の適切な制御ユニット)は、適切なシステムモジュールに制御信号を送信して、所望のブレーキシステムから所望の制動力を要求する。補助ブレーキシステムもまた、例えば、ボタンまたはペダルを介して運転者によって直接に制御されることも可能であり、その場合、ペダルまたはレバーは、例えば、リターダ制御ユニットに情報を送信する別の制御ユニットに直接結合され得る。
【0018】
現代の車両の制御システムは、一般的に、多くの電子制御ユニット(ECUs)、または制御装置、および車両搭載の様々な構成要素を一体に結合するために、1つまたは複数の通信バスからなる通信バスシステムを備える。そのような制御システムは、非常に多くの制御ユニットを備えることができ、特定の機能に対する責任が2つ以上の制御ユニット間で分担されることが可能である。したがって、本明細書で関係するこのタイプの車両は、当業者が確かに理解するように、図1Aに示す制御ユニットよりも極めて多くの制御ユニットを備えることが多い。
【0019】
図示の実施形態では、本発明は、制御ユニット130内で実施されるが、既に車両に搭載の1つまたは複数の他の制御ユニット、または本発明に専用の制御ユニット内で全体的に、または部分的に実施されてもよい。図1Aに示す車両は、制御ユニット130を更に備え、制御ユニット130では、例えば、上記のいわゆる「先読み」走行制御(LACC)を使用するための先読み機能が実施される。
【0020】
したがって、制御ユニット110によって、ギヤボックス103全体に実施される制御は、例えば、エンジン制御ユニット119に依存するばかりでなく、制御ユニット130から受信する情報にも依存することになるであろう。
【0021】
ここで関係するタイプの制御ユニットは、通常、車両の様々な部品からセンサ信号を受信するように適合され、例えば、制御ユニット110は、ギヤボックス103からのセンサ信号、ならびに、例えば、ブレーキ制御ユニット111、エンジン制御ユニット119、および制御ユニット130からの信号を受信することができる。本明細書で関係するタイプの制御ユニットは、通常、様々な車両の部品および構成要素に制御信号を伝送するようにも更に適合されている。本発明の実施例では、制御ユニット130が制御ユニット110に信号を伝送し、制御ユニット110自体が、様々な制御装置に信号を伝送して、ギヤボックス103内の所望のギヤ比率、およびクラッチ106の開/閉を要求する。
【0022】
制御は、典型的にはコンピュータプログラムの形態であるプログラムされた命令によって決定されることが多く、コンピュータまたは制御ユニット内で実施される場合、そのコンピュータプログラムによって、コンピュータ/制御ユニットに所望の形態の制御行動、例えば、本発明による方法ステップが実施される。コンピュータプログラムは、通常、コンピュータプログラム製品129の形態を取り、コンピュータプログラム製品129は、例えば、ROM(読み取り専用メモリ)、PROM(プログラマブル読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的に消去可能PROM)、ハードディスクユニットなど、制御ユニット内または制御ユニットに接続されているデジタル記憶媒体121(図1B参照)に記憶されており、制御ユニットによって実行される。したがって、特定の状態での車両の動作は、コンピュータプログラムの命令を変更することによって修正される。
【0023】
制御ユニット(制御ユニット130)の実施例は、図1Bに概略的に示され、計算ユニット128を備えてもよい。計算ユニット128は、例えば、デジタル信号処理のための回路(デジタル・シグナル・プロセッサ(Digital Signal Processor)、DSP)、または所定の特定の機能を有する回路(特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit)、ASIC)など、例えば、ある適切なタイプのプロセッサまたはマイクロプロセッサの形態を取ることが可能である。計算ユニット128は、記憶装置121に接続されており、記憶装置121は、計算ユニットが計算を実施することができるために必要な、例えば、記憶されたプログラムコード129、および/または記憶されたデータを備える。計算ユニット128は、部分的、または最終的な計算結果を記憶装置121内に記憶させるようにも配置されている。
【0024】
制御ユニットは、入力信号を受信し、および出力信号を送信するための各装置122、123、124、125を更に備える。これらの入力信号および出力信号は、入力信号受信装置122、125が情報として検出することができ、計算ユニット128が処理することができる信号に変換され得る波形、振動または他の特性を備えることができる。したがって、これらの信号は計算ユニット128に送信される。出力信号送信装置123、124は、例えば、調節することによって、信号が意図する、車両の制御システムの他の部品、および/または1つの構成要素/複数の構成要素に伝送され得る出力信号を生成する目的で、計算ユニット128から受信した信号を変換するように配置されている。入力信号を受信し、および出力信号を送信するための各装置への各接続は、ケーブル、例えば、CAN(Controller Area Network)バス、MOST(Media Oriented Systems Transport)バスなどのデータバス、または何らかの他のバス構成、または無線接続の中から1つまたは複数の形態を取ることができる。
【0025】
前述のように、車両の燃料の経済的側面は、LACC(先読み走行制御)機能を使用することによって改善されて、上り坂の終わり、または下り坂の前にある道路の水平な区域に沿って車両の速度を減少させることができる。その目的は、駆動力に対する要求が消極的であることが多い続きの下り坂で、駆動力への要求が減少することから利益を得るためであり、すなわち、エンジンに燃料を供給する必要なしに、車両が重力からプラスの働きによって加速されることが可能になるためである。
【0026】
しかし、本発明によって、図3A図3Bおよび図4に示す方法400を参照して説明するように、速度減少を下り坂の前に実施することによって、燃料消費を更に削減することができる。方法400は、車両が下り坂に接近しているかどうかを決定するステップ401で開始する。この決定は、例えば一定の秒の間などの例えば一定の時間以内に、または一定の距離、例えば、100m、200m、300mなどの例えば一定のメートル以内に車両が下り坂に到達するということが決定されるまで、この決定は連続的に実施される。
【0027】
この決定は先読み機能によって行われ、したがって、先読み機能は図1Aの制御ユニット130の中で実施されるが、任意の他の車載制御ユニットの中で実施される場合もある。前述のように、LACCは、車両の前方の行程の知識を利用して、現行の状況にしたがって車両の速度を修正する。前方の道路区域の知識には、例えば、現行の地形、道路湾曲、交通状況、道路状態、および前方区域に対する速度制限、ならびに道路に隣接する交通標識もまた含まれることが可能である。
【0028】
テレビシステム、および/または例えば、GPS(全地球測位システム)などの衛星測位システムなど、適切な位置決定、および/またはナビゲーションシステムからの情報の形態で、例えば、得ることができるこの情報、および車両位置情報に基づいて、LACC機能が、下り坂に来る前にどれくらいの時間、および/または距離が残っているかを決定することができる。例えば、強い追い風/向かい風が、車両の推進力のために要求される駆動力に影響を及ぼす可能性がある場合、本発明によって以下に説明する計算の中で、天気計量器からの天気報告/天気データもまた使用され得る。
【0029】
図3Aは、例示的な車両100がフリーホイーリング時に少なくとも加速するような以下の勾配角度αを有する下り坂301を示す。例えば図3Aの位置Aであってよい下り坂に車両が接近していることをステップ401が決定するとき、すなわち車両がやはり上り坂上にあるときに早くも、方法はステップ402に移行する。
【0030】
本発明によって、下り坂の前に速度減少が、フリーホイールによって少なくとも部分的に実施される。
【0031】
歴史的に、速度減少は、正のエンジントルク(すなわち、エンジンが牽引輪を介して走行方向に推進力を伝達する)への要求を減少させることによって、またはドラッギングによって実施されてきた。ドラッギングは、パワートレインが閉鎖された状態、すなわち、エンジンが牽引輪に結合されているが、エンジンに燃料の供給がない状態で、車両を運転することを意味する。この種の方法の利点は、燃料供給が遮断されているので、エンジンの燃料消費もまたゼロであるということである。しかし、それは、エンジンがパワートレインを介して牽引輪によって駆動されることを意味しており、エンジンの内部損失が制動力を起こす、すなわち車両にエンジンブレーキがかかっている、「ドラッギング」として周知の状況であることを意味する。
【0032】
本発明は、その代りに、車両のエンジン101が牽引輪113、114から切り離され、すなわち、パワートレインが開いていることを意味するフリーホイーリングを採用する。パワートレインを開くことによるこの切り離しは、例えば、ギヤボックス103をニュートラルに入れる、またはクラッチ106を開くことによって達成可能である。車両が走行中に牽引輪からエンジンを切り離すことは、以下にフリーホイーリングと呼ばれる。フリーホイーリングによって、燃料消費の削減をもたらすことになり、この理由は、本発明と同じ出願日、発明者および出願人の「Method and system pertaining to vahicles I」と題する、対応するスウェーデン特許第1150527−8号に詳細に記載されている。
【0033】
したがって、ステップ402は、パワートレインが既に開かれ、それによって、下り坂が始まる前に、所望の速度減少を達成するために、位置Aで車両がフリーホイーリングにさせるべきかどうか、または、更に一定の期間、正の駆動トルクへの要求によって依然としてパワートレインが閉じた状態であるべきかどうかを決定する。
【0034】
この決定は、LACC機能、および例えばエンジン制御ユニット119からの現行のエンジン負荷データなど、車両制御システムからの適切なデータによってなされることが可能である。現行のエンジン負荷および上記のLACCデータに基づいて、車両の重量が推定可能であり、パワートレインを開くとき、どれくらい速度が変化するかを推定することも可能である。
【0035】
パワートレインを開かない場合、方法はステップ403に移行し、タイマーtが、例えば1秒または1秒以下または1秒以上の時間であってよい時間Tに到達するまで、ステップ403に留まる。例えば、期間もまた車両の現行速度によって制御されてもよい。タイマーtが時間Tに到達するとき、方法はステップ402に戻り、パワートレインを開くべきかどうかの追加の決定をする。
【0036】
この実施形態により、したがって、車両は、ステップ402での決定の間の時間Tに相当する距離を走行するであろう。そのような連続する決定は、図3Aの位置A、Aなどに対するものである。
【0037】
ステップ402での決定は、いくつかの異なる方法で、異なる基準に基づいて行われてもよい。エンジンが位置A(または、上記のようにタイマーtが時間Tに到達するとき、1つまたは複数の場合に車両が到達した位置のすべて、すなわち、A、Aなどに)で牽引輪から切り離される場合、例えば、ステップ402は、車両の速度が下り坂の開始点でどのくらいの距離まで、および/またはどの水準まで低下するのかを決定することができる。
【0038】
エンジンが切り離され、したがって正の駆動力が牽引輪にもはや伝達されないとき、下り坂の開始点、すなわち、図3Aの位置Bまでの残りの距離に応じて、および上り坂上で車両がそのときにある位置に応じて、車両の速度がより大きな程度まで、またはより小さい程度まで減少することになろう。
【0039】
車両の速度は、図3Bに示されている。速度Vccは、例えば、車両の運転者によって設定された速度であってよく、その速度は、車両が上り坂および下り坂の両方で設定速度が維持されることを保証するように努める従来の走行制御を備える場合、車両が維持しようとする速度でもある。その速度は、車両が位置Aまで(少なくとも)維持する速度でもある。エンジンが、位置Aで切り離される場合、車両の速度は低下し始め、少なくとも下り坂が始まる位置Bまで速度減少が進むであろう。ステップ402は、例えば、車両の速度が速度Vmin未満に低下すると推定されるかどうかを決定することができ、パワートレインは、推定の結果により、車両速度がVmin未満である間は、パワートレインを開くことはない。
【0040】
速度Vminは、例えば、車両の運転者にとって、不快であることを避けるために適切であると考えられる最も低い速度であることができる。速度Vminが、低すぎる値に設定される場合、車両が燃料消費の低減を助けるためのそのようなシステムの恩恵を受けない、同じ道路利用者からストレスを運転者が経験する場合もある。車両の速度が著しく減少することが許容される場合、このことは運転者によって不利であるとみなされる場合がある。速度Vminは、時間に関しても設定可能である。車両の速度がVccから著しく逸脱することが可能である場合、その行程全体の時間は悪影響を受け、その結果、運転者の給与などの点からより高いコストがかかる。したがって、速度Vminは、費用関数によって選択可能であり、例えば、スウェーデン特許第1050809−1号に言及する方法による方策が採用可能である。速度Vminは、車両が下り坂で経験すると期待される速度増加に基づいて、少なくとも部分的に決定されることも可能である。
【0041】
到達する予定の速度に基づいて、パワートレインを開くべきかどうかを決定するのではなく、その代り、各ステップでの決定が費用関数に基づいてもよい。上記のスウェーデン特許第1000716号を参照するのみならず、パワートレインを開く位置を決定するタイプの費用関数を使用することが可能である。
【数1】

cstAiは位置Aでパワートレインを開く費用を示し、その費用は異なる位置Aに対して比較可能であり、パワートレインがどの位置Aにおいても開くことが可能になり、最も低い費用をもたらすことができる。fuelAiは、パワートレインが位置Aで開く場合の累積燃料消費であり、fuelVccは、車両が速度Vccで走行を続ける場合の累積燃料消費である。同様に、timeAiは、パワートレインが位置Aで開く場合、車両を駆動するためにかかる時間であり、一方timeVccは速度Vccで車両を駆動するためにかかる時間である。c、cは、より長い行程時間に対して、より少ない燃料の節約の有意性を調節する各重み付け定数である。定数c、cの総計は、例えば1に等しくてもよい。したがって、異なる位置でパワートレインを開く費用を決定することによって、上記の数式によって最低の総費用をもたらすような、いずれの位置でもパワートレインを開くことが可能になる。
【0042】
費用関数によって決定を下すことは、特定の二次的状態の影響を受ける場合もあり、例えば、車両の速度がVmin未満になるような決定は拒絶される可能性がある。
【0043】
フリーホイーリングに対する費用関数を対応するドラッギングに対する費用関数に比較し、それによって、適用可能な二次的状態の影響を受ける最少の費用が最適な制御をもたらすことも考え得る。
【0044】
本実施例では、上記の速度決定に基づいて、パワートレインが位置Aで開かれるならば、車両速度が、図3Bの位置Aから位置Bの破線Vによって示すようにVmin未満に低下するであろう。したがって、上記のように方法は、位置Aで決定した後、ステップ403に移行し、別の決定が行われる前に時間Tの間そこに留まる。この期間中に、車両は上記のように位置Aまで移動しているであろう。位置Aでは、やはり車両の速度が破線VA1によって低すぎる水準に低下することが発見され、その結果、方法は別の決定のためにステップ403で再び期間Tの間待機することになり、そのとき車両はわずかに更に移動してしまっている。本実施例では位置Aで発生するような、車両の速度がVmin未満に低下することはないことがステップ402で発見されるまで、このことが繰り返される。したがって、この状況では、ステップ402はパワートレインを開くべきであると決定し、その結果、方法はステップ404に移行し、ステップ404では車両が既に位置Aにあるので、例えばクラッチ106を開くことによって、またはギヤボックスをニュートラルに入れることによってパワートレインを即座に開く。
【0045】
パワートレインが開いたとき、上記のように、車両の速度が減少し始め、位置BでVmin(または、例えばシステムの遅延など、パワートレインの開放が実際に起きる場合に応じて、少なくともVminに近い速度)に到達し、その結果、下り坂の開始によって車両が上記のように、重力からのプラスの働きによって再び加速されることになる。
【0046】
したがって、車両のパワートレインを開くための時間の決定は、車両が決定の間に移動する態様によって上記のように説明される。しかし、別の実施形態によれば、パワートレインが開くための時間/位置の決定が、車両が位置Aに到達するとき、既に行われている。この場合、図4のステップ402〜403によって説明される方法に類似する方法を使用することを含むが、ステップ403の位置Aで(第1の決定では、A=A)、タイマーが即座に距離sによって進められるという点で異なっており、距離sは、例えば、1メートル、5メートル、10メートル、20メートル、または他の適切な距離であってよい。距離は、例えば、一定の時間、例えば上記のタイマーtによって決定される時間に、車両が現行の速度でどれだけの距離を移動するかによって決定されることも可能である。
【0047】
このことは、ステップ402で、パワートレインを位置Aで開く場合、車両が位置Bで有する速度を決定することに続くが、その意味は、本実施形態では、車両が位置Aに到達する前に、実際には推定が既に行われるということである。このことは、例えば、車両の速度、加えられるトルク、およびパワートレインが位置Aで開く場合にどのように車両が動作するかを推定するLACCデータなどについての現行のデータを使用することによって達成される。パワートレインが位置Aで開く場合に、車両の速度が低すぎると決定される場合、方法は、追加の距離増加(A=A+s)のためにステップ403に戻り、追加の決定がステップ402で生じる。速度状態が満たされている位置Aが決定されてしまうまで、このことが繰り返される。
【0048】
したがって、この実施形態の大きな違いは、位置Aに到達して初めてというのではなく、実質的に位置Aで複数の位置Aに対して、位置Bでの車両の速度が既に推定されているということである(もちろん車両は、推定にかかる時間の長さに応じて、決定が完成する前に位置Aを離れてしまっている)。この実施形態によって、ステップ402で、パワートレインを開くための位置が決定されたとき、車両は、実際に、決定された位置Aに到着していると予期され、パワートレインをステップ404で開くことができる。
【0049】
したがって、エンジンがステップ404で牽引輪から切り離されてしまい、それによって、車両がフリーホイーリングしている場合、方法はステップ405に移行し、ステップ405は、車両が位置Bに到達するとき、すなわち下り坂が開始するとき、車両がどのように走行すべきかを決定する。
【0050】
下り坂の燃料消費を削減するために、様々な方策を採用することができる。そのような方策の1つは、車両をドラッギングで運転することである。しかし、これは上記のように、制動作用、すなわち車両にエンジンブレーキがかかることにつながる。
【0051】
エンジンの内部損失は通常その速度に関係し、内部損失はエンジン速度が増加するにつれて増加し、それによって、エンジン制動力もまた増加するので、その結果、ドラッギングは、通常、ギヤボックス内に係合されている、できる限り高速のギヤで(すなわち、できる限り低いギヤ比率で)実施されて、ドラッギング中にエンジンの速度を減少させ、したがってその損失もまた減少させる。
【0052】
このために、その代りに、下り坂で車両をフリーホイーリングさせることが有利である可能性がある。
【0053】
しかし、フリーホイーリングの場合、牽引輪はエンジンブレーキの効果を何ら受けることはなく、それは車両が下り坂でより簡単に回転することを意味し、したがってドラッギングと比較すると、下り坂の終わりでより速い速度に到達するという意味もある(車両はドラッギング時よりも、より速い速度まで加速でき、または速度減少がより少ない)。しかし、フリーホイーリングによる速度増加は、アイドリング速度でエンジンを作動させ続けることに必要とされる燃料消費を犠牲にして達成される。
【0054】
勾配角度αの大きさに依存して、車両は、それぞれドラッギング時およびフリーホイーリング時に、異なる態様で動作することになる。図2は、勾配角度αを有する下り坂の実施例を示す。角度αの大きさに依存して、車両は、走行方向により大きなまたはより小さい正の力を受け、すなわち、重力からのプラスの働きが車両を推進することに役立ち、その結果、エンジンからの駆動力に対する必要が減少し、または完全になくなる。図2の角度αが角度αよりも小さい場合、車両はドラッギング時およびフリーホイーリング時の両方で速度が減少する(フリーホイーリング時にはドラッギング時ほどは速度が減少しないが)。角度α=角度αの場合、ドラッギング時に車両はやはり速度が減少するが、しかし、フリーホイーリング中の加速はゼロとなり、すなわち、この角度(α)が一定の勾配であると仮定すると、フリーホイーリング中に車両は下り坂の開始で有した速度を維持するであろう。角度が実質的にα>αまで増加する場合、車両は、エンジンが切り離された状態で、下り坂で加速し、したがって、下り坂の終わりには、下り坂の始まりで有した速度を超える速度に到達するであろう。角度αの増加により、パワートレインが切り離される場合、より大きな加速がもたらされるが、一方、ドラッギング中の速度減少もまた、増々小さくなる。角度αが、αよりも大きい角度であるαに達する場合、ドラッギング中の車両の加速はゼロになり、すなわち、ドラッギング時でも車両はその速度を維持するであろう。最後に、角度αがαよりも大きい場合、車両はドラッギング時およびフリーホイーリング時の両方で加速するであろう。
【0055】
従来では、エンジンが牽引輪から切り離され、したがって車両がフリーホイーリングする状態だけが、α<αという条件を満たす状態であった。すなわち、加速がフリーホイーリング時に可能であるが、エンジンドラッギングでは可能ではなかったような下り坂だけに限られていた。ドラッギングは、角度αがαを超える場合に採用された。角度α>角αでドラッギングもまた加速を発生させる点からこのことを理解できるが、一方、同時にフリーホイーリングの場合とは異なり、燃料消費がゼロである。
【0056】
対照的に、本発明と同じ出願日、発明者および出願人の前述の「Method and system pertaining to vahicles I」と題する対応するスウェーデン特許第1150527−8号が、車両がα>αという状態、すなわちドラッギング時に車両が加速されるような状態でも、車両がフリーホイーリングできる方法およびシステムを説明している。本明細書ではその方法も採用可能である。
【0057】
ステップ405は、車両が位置Bに到着するとき、パワートレインを閉じるべきかどうかを決定する。上記と同様に、この決定は、車両が位置Bに到達する場合にのみ起こるように調整可能であり、ステップ405の前に、車両が位置Bに到着するまで方法が停止している、待機するステップがあってもよい。しかし、一実施形態によれば、パワートレインの開放に関して上記に説明するように、車両が位置Bに到達する前に、決定が既に開始している。ステップ405での決定は、前述のようにLACC機能、および車両の制御システムからのデータによって行われてもよい。
【0058】
本明細書で関係するこのタイプの車両は、Vccよりも速いが、超過することはない上限速度VKFBを有することが多い。これは、例えば、政府の規制、または車両の製造者が最大速度を決めることによるものである。速度VKFBを車両の運転者が設定することも可能である。この速度に到達する場合、通常、車両は自動的に最大速度を超過しないことを保証するために、補助ブレーキシステムの使用を開始する。
【0059】
このような理由から、したがって、ステップ405は、車両が位置Bに到達した後、車両が続きの下り坂によって前記設定速度VKFBを超過する速度まで加速される危険性があるかどうかを決定する。
【0060】
そうでない場合には、すなわち、車両が下り坂全体、すなわち位置Cまでを速度VKFBに到達せずに走行することができると決定される場合、車両は、エンジンがパワートレインから切り離された状態で下り坂全体を走行し、最後まで加速することが可能になる。従来技術は、車両がドラッギング時でさえも加速されたような下り坂で、フリーホイーリングを採用してこなかった。対照的に、本発明は、そのような状況下でさえも、少なくとも速度VKFBに到達しない限りはフリーホイーリングを採用する。このことは、位置Cで車両が速度Vccよりも速く走行していることになり、その結果、車両はその速度がVccに低下するまで、位置Cを越えてフリーホイーリングを続けることができることを意味する。これは、図4でステップ406によって示されており、方法は、車両の速度がVccに低下するまでステップ406に留まり、その場合、パワートレインは、車両の通常の推進のためにステップ407で閉じられる。次いで、方法は、別の下り坂までにステップ401に戻る。
【0061】
反対に、ステップ405が、下り坂で速度VKFBに到達するであろうと決定する場合、1つまたは複数の車両のブレーキシステムを起動させて、VKFBを超える速度増加を防止し、方法は、ステップ408に移行する。
【0062】
車両が、制動された後に初めて、フリーホイーリングによって最初に加速される場合は、フリーホイーリングがエンジンをアイドリング速度で作動させ続けるためには燃料消費を含むので望ましくない。そうでない場合は、その状態は少なくとも部分的に回避され得るであろう。したがって、ステップ408は、車両がパワートレインの閉鎖された状態で、燃料供給なしに走行する場合、すなわちドラッギング時でさえも、速度VKFBに到達するかどうかを決定する。ドラッギング時でさえも速度VKFBに到達するならば、方法はステップ409に移行し、ステップ409では、ドラッギングによって、フリーホイーリングよりも、速度VKFBに到達する位置までの燃料消費がより少なくて済むので、車両が位置Bに到達するとき、パワートレインが閉じられている。そのような状態が、図3Bの位置Bからの破線によって示される。
【0063】
次いで、方法はステップ410に移行し、ステップ410は、車両が位置Cに到達したかどうかを決定する。方法は、車両が位置Cに到着し、したがって、下り坂を通過し終わるまでステップ410に留まる。次いで、方法はステップ411に移行し、ステップ411では、エンジンが再び牽引輪から切り離されて、フリーホイーリングを再び続ける。
【0064】
この場合、車両の速度がVccよりも速く、車両はその速度が再びVccに低下するまで、フリーホイーリングをすることができる。したがって、方法は、ステップ411から上記のステップ406に進む。
【0065】
車両が下り坂全体でパワートレインが閉じた状態で走行する場合に、速度VKFBに到達しないが、ステップ405のようにフリーホイーリング時には速度VKFBに到達するとステップ408が決定するならば、方法はステップ412に移行し、ステップ412は、車両が位置Bを通過した後、時間T(または距離S)でドラッギングが開始するならば、速度VKFBに到達するかどうかを決定する。時間T/距離Sは、上記のように任意の適切な時間/距離であってよく、例えば、定数であってもよく、または下り坂の現行の勾配角度に依存してもよい。その時点でドラッギングに切り替えるならば、車両が速度VKFBに到達するかどうかを決定する一定の時間または距離の間、車両がフリーホイーリングすることが可能であるということを意味する。そうでない場合には、タイマーt/距離sは、ステップ413で追加の間隔T/Sによって増加され、ステップ412で別の決定が下される。
【0066】
したがって、この決定は、ステップ402〜ステップ403に関連して上記に説明する任意の方法によっても実行可能であり、すなわち、車両がその時点でいる場所に対して実行可能であり、その場合、速度VKFBに到達すると決定されるまで反復が継続するが、その場合、フリーホイーリングによってVKFBに到達すると分かるとき、ステップ414でパワートレインが閉じられる。別法として、車両が位置Bに到達する前に、既に決定が行われてもよく、パワートレインを閉じるための位置の決定によって、車両がこの特定の位置に到達するとき、パワートレインをステップ414で閉じることが可能になる。
【0067】
パワートレインがステップ414で閉じてしまったとき、それによって車両は、速度VKFBに到達することを回避する目的で、エンジンブレーキを使用するためにドラッギングを行うであろう。その時、方法は、ステップ415に移行して、パワートレインを再び開くべきかどうかを決定する。車両がVKFBに近い速度まで加速された場合、例えば、車両が下り坂の終わりに到達した、または勾配角度が減少したという理由で、車両の速度が減少し始めるということを例えば発見することができる。したがって、フリーホイーリングによって速度VKFBに到達せずに加速することを可能にするために、パワートレインを再び開くことができる前に、より短い期間だけドラッギングを行う必要があるという可能性がある。上記のように、この状況では、車両の速度がVccに低下するまでフリーホイーリングをするために、パワートレインを開くことが有利である。したがって、ステップ415で、パワートレインを開くべきであると決定する場合、ステップ416でこのことが実行され、次いで方法は上記のようにステップ406に進む。
【0068】
方法は上記にも説明したように、フリーホイーリング時であるが、ドラッギング時ではない場合、車両は最初にフリーホイーリングし、その後、速度VKFBに到達するならば、ドラッギングを行う。しかし、方法はその逆になることも可能であって、パワートレインは位置Bと位置Cとの間の位置Eで開く前に、位置Bで閉じており、位置Eに対して、パワートレインを開く場合、速度VKFBに到達しないであろうと決定される。
【0069】
方法には、勾配の長さ、および/または勾配角度の変化に応じて、下り坂の間に1度以上パワートレインが開き、閉じるということも含まれる。
【0070】
上記の説明は、エンジンがフリーホイーリング中にアイドリング速度で走行し、その結果、燃料の節約をもたらすという方法によるフリーホイーリングを記載している。一実施形態では、エンジンがフリーホイーリング時に切られ、それによって、エンジンが駆動軸から単に切り離される状態、および車両がドラッギングする状態と比較すると、燃料消費が更に低減されるという結果をもたらす。車両がフリーホイーリングしている期間の全体に亘って、またはその期間の1つまたは複数の区分の間、エンジンを切ることができる。
【0071】
一実施形態によれば、エンジンを切ることが有利であると決定される状態でのみ、エンジンが切られる。例えば、再始動する必要がある前に、最初の一定期間エンジンを切ることが可能かどうかを決定することができる。この決定は、例えば、上記の先読み機能によって行うことができる。例えば、その期間は、例えば、前記エンジンをオフに切り替えることによって達成される燃料節約に基づくことができ、かつ例えば、始動モータによって前記エンジンを再始動することから生じる、低減された燃料消費に相当する燃料消費の低減を少なくとも得られる期間であることができる。本発明と同じ出願日、発明者および出願人の「Method and system pertaining to vahicles III」と題する対応するスウェーデン特許は、スイッチ切りが少なくとも最初の期間に可能である場合、車両のエンジンがフリーホイーリング中に切られる方法およびシステムを記載している。その方法もまた本明細書に適用可能である。
【0072】
本発明は、前述の本発明の実施形態に限定されないが、添付の独立した特許請求の範囲の保護範囲にあるすべての実施形態に関連し、すべての実施形態を含む。上記に参照する実施例では、下り坂の開始まで、全体の速度減少に対してフリーホイーリングが採用される。しかし、一実施形態によれば、フリーホイーリングを開始時に採用することができるが、その場合、速度減少はドラッギングと共に終了することができる。この実施形態の利点は、例えば、速度減少期間が長いために車両の運転者にとって不快さを招く状態で、速度減少が一定期間以上かかると発見されるならば、速度減少を迅速に終了することができることである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4