(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745716
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
A61B17/10 310
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-174923(P2010-174923)
(22)【出願日】2010年8月3日
(65)【公開番号】特開2011-36656(P2011-36656A)
(43)【公開日】2011年2月24日
【審査請求日】2013年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/232,826
(32)【優先日】2009年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/796,270
(32)【優先日】2010年6月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー. ゼムロク
(72)【発明者】
【氏名】アダム ジェイ. ロス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル プリバニク
【審査官】
村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−098130(JP,A)
【文献】
特開平05−337119(JP,A)
【文献】
特開2009−090113(JP,A)
【文献】
特開2009−039522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め装置であって、
アクチュエータを有する筐体と、
該筐体から延びる細長い部材と、
該細長い部材の一方の端部に配置されているエンドエフェクタであって、第一の顎部材および第二の顎部材を含むエンドエフェクタと、
該第一の顎部材内に配置されている複数のファスナであって、該外科用ステープル留め装置が発射されると該複数のファスナのうちの少なくとも1つを形成するように該第二の顎部材内に規定されるファスナ形成ポケットに係合可能である複数のファスナと、
該第一の顎部材内に配置されている複数のプッシャ部材であって、該複数のプッシャ部材内の各々のプッシャ部材は、該複数のファスナのうちの少なくとも1つに動作可能に結合されている、複数のプッシャ部材と、
該アクチュエータに動作可能に結合されている作動機構であって、該作動機構は、長手方向に並進可能な駆動部材と、該駆動部材に結合されている作動そりとを含み、該作動そりは、該複数のファスナを該第二の顎部材の該ファスナ形成ポケットに係合するように該複数のプッシャ部材に係合可能である、作動機構と、
該第二の顎部材上に配置されている圧力応答型要素であって、該圧力応答型要素は、信号を該外科用ステープル留め装置に結合されているコントローラに伝達し、該信号は、該複数のファスナが展開され形成されるときに該圧力応答型要素に加えられた圧力を表している、圧力応答型要素と
を備え、
該コントローラは、該信号を監視するように構成されており、該信号内の変則的圧力パターンの検出に応答して、該コントローラは、エラーコードを発することと、警告を発することと、ファスナ展開を停止することとを含む群から選択される少なくとも1つのフィードバック応答を起動するように構成されている、外科用ステープル留め装置。
【請求項2】
前記作動そりと、前記プッシャ部材との間の相互作用は、圧力を前記圧力応答型要素に加える、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項3】
前記圧力応答型要素は、千鳥状の圧力センサを含む、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項4】
前記圧力応答型要素は、回路を含む、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項5】
前記回路は、プリント圧力回路を含む、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項6】
前記回路は、フレキシブル回路を含む、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項7】
前記第二の顎部材は、チャネルを規定し、前記回路は、該チャネル内に配置されている、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項8】
ナイフをさらに備え、前記コントローラは、ナイフ切断防止機能を有する、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項9】
加えられた圧力に対する変則的な構成要素の位置を認識するように構成されているエンコーダをさらに備え、該構成要素は、前記作動機構、前記ナイフ、前記アクチュエータ、前記作動そり、前記プッシャ部材、前記第一の顎部材、および前記第二の顎部材から成る群から選択される、請求項8に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項10】
前記エンコーダは、回転エンコーダである、請求項9に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項11】
前記エンコーダは、直線エンコーダである、請求項9に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項12】
前記回路は、カートリッジ識別機能を含む、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項13】
前記コントローラは、位置的限界と、実行モードとを特定の装填またはファスナタイプに対して設定するように構成され得る、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項14】
前記顎部材のうちの少なくとも1つは、非直線形カートリッジを含む、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項15】
前記回路の上のラミネート層をさらに備えている、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項16】
前記ラミネート層の上の潤滑材の被覆をさらに備えている、請求項15に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項17】
前記圧力応答型要素は、前記信号を前記コントローラに対して、電圧、抵抗、インピーダンス、電磁気、無線周波数、電流、インダクタンス、キャパシタンス、赤外線、およびオプティクスを含む群から選択される少なくとも1つの手段を介して伝達する、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項18】
前記コントローラは、エンドユーザフィードバック伝達機能を含む、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項19】
前記エンドユーザフィードバック伝達機能は、フィードバックをエンドユーザに対して、可聴の手段、視覚手段、触覚手段を含む群から選択される少なくとも1つの手段を介して伝達するように構成されている、請求項18に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項20】
前記回路は、前記第二の顎部材の上部表面上に配置されている、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項21】
前記第二の顎部材の前記上部表面上に配置され、かつ、該第二の顎部材内に配置されているみぞに設置されているビームをさらに備える、請求項20に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項22】
前記ビームは、前記みぞに沿って並進するように構成されている、請求項21に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項23】
前記ビームは、I形ビームである、請求項21に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項24】
前記ビームは、E形ビームである、請求項21に記載の外科用ステープル留め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2009年8月11日に出願された米国仮出願第61/232,826号の利益およびこの仮出願に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ファスナの線を組織に適用する一方で、それらのファスナ線の間の組織を切断することが可能な外科用ステープル留め装置に関し、より具体的には、ファスナの展開および形成に関連する改良に関している。
【背景技術】
【0003】
内視鏡的外科用装置および腹腔鏡的外科用装置は、より小さな切開が手術後の回復時間および合併症を低減する傾向があるので、しばしば伝統的なオープン外科用デバイスよりも好まれている。腹腔鏡的および内視鏡的な外科的処置の使用は、比較的普及しており、さらに処置を発展させるための追加的な動機を提供してきた。腹腔鏡的処置においては、手術が小さな切開を通して腹部の内部で行われる。同様に、内視鏡的処置においては、手術が皮膚の小さな入口を通って挿入された細い内視鏡的な管を通して身体の任意の中空の内臓の中で行われる。
【0004】
腹腔鏡的および内視鏡的処置は概して、手術領域がガス注入されることを必要としている。従って、身体の中に挿入された任意の器具類は、切開を通ってガスが身体に入り込んだり、身体から出て行ったりしないことを保証するために密封されなければならない。さらに、腹腔鏡的および内視鏡的処置は、しばしば、外科医に対して切開から遠く離れた器官、組織および/または脈管に処置を行うことを要求する。従って、そのような処置に用いられる装置は一般に、長くて細いが、装置の近位端から機能的に制御可能である。
【0005】
有意な開発が、遠位のエンドエフェクタをトロカールのカニューレを通して所望の手術部位に正確に配置することに適した内視鏡的外科用装置の領域において行われてきた。これらの遠位のエンドエフェクタは、診断または治療の効果を達成するために、多くの方法で組織を係合する(例えば、エンドカッタ、グラスパ、カッタ、ステープラ、クリップアプライア、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療用送達デバイス、および超音波、RF、レーザなどを用いるエネルギーデバイス)。
【0006】
公知の外科用ステープル留め装置は、エンドエフェクタを含み、エンドエフェクタは、長手方向の切開を組織内に作り、その後、切開の両側にファスナの線を適用する。エンドエフェクタは、装置が内視鏡的用途または腹腔鏡的用途に対して意図される場合には、カニューレの通路を通過することが可能な一対の協働する顎部を含む。顎部のうちの1つは、横に間隔を置かれた少なくとも2つのファスナの列を有するファスナカートリッジを受け入れる。他方の顎部は、カートリッジ内のファスナの列と位置合わせされたファスナ形成ポケットを有するアンビルを規定する。装置は、往復運動する複数のくさびまたはカムバーを含み、複数のくさびまたはカムバーは、遠位方向に駆動される場合に、ファスナカートリッジ内の開口部を通過し、アンビルに向かうファスナの発射をもたらすために、ファスナを支持する駆動体と係合する。
【0007】
様々なタイプの小さなビデオスコープ(例えば内視鏡)は、外科用ステープル留め装置の適切な位置決めおよび動作を監視するために頼られている。大いに有効であるが、外科用ステープル留め装置の動作の監視を改善することは、特に、外科用ステープル留め装置によって実行されるファスナの展開および形成の品質をそのような監視が向上させることを可能にする場合には望ましい。各々のカートリッジ装填において複数のファスナを収容するステープル留めデバイスを利用する場合に、どのファスナが適切に展開され、形成されているかを決定することもまた有益であり、形成または前進の問題がどこにあるかを理解することは重要である。なぜならば、適切なファスナの展開および形成に影響し得る様々なクリアランスおよび変形の問題が存在するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、外科用ステープル留めデバイスの機械的完全性および止血の完全性を保証するために、ファスナの展開および形成における圧力を監視する能力を組み込む、改善された外科用ステープル留めおよび切断装置に対する継続的なニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本開示に従った、外科用ステープル留め装置が開示されている。外科用ステープル留め装置は、アクチュエータを有する筐体と、筐体から延びる細長い部材と、細長い部材の一方の端部に配置されているエンドエフェクタであって、第一の顎部および第二の顎部を含むエンドエフェクタと、エンドエフェクタ内に配置されている複数のファスナと、エンドエフェクタ内に配置されている複数のプッシャ部材であって、複数のプッシャ部材の各々のプッシャ部材は、多数のファスナに動作可能に結合されている、複数のプッシャ部材と、アクチュエータに動作可能に結合されている作動機構であって、作動機構は、長手方向に並進可能な駆動部材、およびそれに結合されている作動そりを含み、作動そりは、複数のプッシャ部材を係合するように構成されている、作動機構と、顎部のうちの1つに配置されている圧力応答型要素であって、圧力応答型要素は、信号を外科用ステープル留め装置に結合されているコントローラに伝達し、信号は、圧力応答型要素に加えられた圧力を表している、圧力応答型要素とを有する。
【0010】
一実施形態において、作動そりと、プッシャ部材との間の相互作用が、圧力を圧力応答型要素に加える。圧力応答型要素は、千鳥状の圧力センサを回路内に含む。いくつかの明示において、回路は、顎部のうちの1つに位置決めされたチャネルの表面に配置されているプリント圧力回路またはフレキシブル回路である。
【0011】
別の実施形態において、外科用ステープル留め装置は、顎部のうちの少なくとも1つの外表面上に配置されている回路を含み得る。このバージョンにおいて、ステープル留め装置はまた、ビームを含み、ビームは、顎部のうちの少なくとも1つの外表面上に配置され、顎部のうちの少なくとも1つの内に配置されているみぞに設置され、それによって、ビームが、みぞに沿って並進するように構成され得る。ビームは、I形ビームまたはE形ビームであり得る。
【0012】
回路は、ラミネート層を回路の上に有し得、ラミネート層の上に潤滑材の被覆さえも有し得る。コントローラに伝達される信号は、変則的である場合には、コントローラによってしばしば読み取られる。そのような場合には、コントローラは、エラーコード、警告などのフィードバック応答を起動するか、またはファスナ展開を完全に停止することさえも行い得る。圧力応答型要素は、電圧、抵抗、インピーダンス、電磁気、無線周波数、電流、インダクタンス、キャパシタンス、赤外線、オプティクス(optics)、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを介することによって信号をコントローラに伝達することが想定される。
【0013】
別の実施形態は、組織を切断するために、顎部を通って並進するように構成されているナイフを想定する。しかしながら、特定の所定の変則性においては、それらの変則性が仮にそれらの所定の条件に入る場合には、コントローラは、ナイフが切断することを防止し得る。エンコーダは、加えられた圧力に対する変則的な構成要素の位置を認識し、信号をコントローラに送信するように構成されている。エンコーダは、作動機構、ナイフ、アクチュエータ、作動そり、プッシャ部材、第一の顎部、第二の顎部、またはそれらの様々な組み合わせさえも含む様々な構成要素の変則的位置を認識するように構成され得る。これらのエンコーダは、直線エンコーダまたは回転エンコーダであり得る。
【0014】
特定の実施形態は、カートリッジ識別機能を含む回路を想定する。他の実施形態は、位置的限界と実行モードとを特定の装填またはファスナタイプに対して設定するように構成されているコントローラを有し得る。なおさらに、顎部のうちの1つは、非直線形カートリッジを収納するように構成され、かつそうするような寸法にされ得る。
【0015】
他の実施形態において、コントローラは、エンドユーザフィードバック伝達機能を含む。エンドユーザフィードバック伝達機能は、フィードバックを可聴信号、視覚信号、触覚信号、またはそれらの任意の組み合わせなどの知覚できる信号を介してエンドユーザに伝達するように構成されている。
【0016】
例えば、本開示は、以下を提供する。
(項目1)
外科用ステープル留め装置であって、
アクチュエータを有する筐体と、
該筐体から延びる細長い部材と、
該細長い部材の一方の端部に配置されているエンドエフェクタであって、第一の顎部および第二の顎部を含むエンドエフェクタと、
該エンドエフェクタ内に配置されている複数のファスナと、
該エンドエフェクタ内に配置されている複数のプッシャ部材であって、該複数のプッシャ部材内の各々のプッシャ部材は、多数のファスナに動作可能に結合されている、複数のプッシャ部材と、
該アクチュエータに動作可能に結合されている作動機構であって、該作動機構は、長手方向に並進可能な駆動部材と、該駆動部材に結合されている作動そりとを含み、該作動そりは、該複数のプッシャ部材を係合するように構成されている、作動機構と、
該顎部のうちの1つに配置されている圧力応答型要素であって、該圧力応答型要素は、信号を該外科用ステープル留め装置に結合されているコントローラに伝達し、該信号は、該圧力応答型要素に加えられた圧力を表している、圧力応答型要素と
を備えている、外科用ステープル留め装置。
(項目2)
上記作動そりと、上記プッシャ部材との間の相互作用は、圧力を上記圧力応答型要素に加える、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目3)
上記圧力応答型要素は、千鳥状の圧力センサを含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目4)
上記圧力応答型要素は、回路を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目5)
上記回路は、プリント圧力回路を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目6)
上記回路は、フレキシブル回路を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目7)
上記顎部のうちの1つは、チャネルをさらに備え、上記回路は、該チャネル内に配置されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目8)
上記信号は、変則的であり、上記コントローラは、エラーコードを発することと、警告を発することと、ファスナ展開を停止することとから成る群から選択される少なくとも1つのフィードバック応答を起動するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目9)
ナイフをさらに備え、上記コントローラは、ナイフ切断防止機能を有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目10)
加えられた圧力に対する変則的な構成要素の位置を認識するように構成されているエンコーダをさらに備え、該構成要素は、上記作動機構、上記ナイフ、上記アクチュエータ、上記作動そり、上記プッシャ部材、上記第一の顎部、および上記第二の顎部から成る群から選択される、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目11)
上記エンコーダは、回転エンコーダである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目12)
上記エンコーダは、直線エンコーダである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目13)
上記回路は、カートリッジ識別機能を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目14)
上記コントローラは、位置的限界と、実行モードとを特定の装填またはファスナタイプに対して設定するように構成され得る、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目15)
上記顎部のうちの少なくとも1つは、非直線形カートリッジを含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目16)
上記回路の上のラミネート層をさらに備えている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目17)
上記ラミネート層の上の潤滑材の被覆をさらに備えている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目18)
上記圧力応答型要素は、上記信号を上記コントローラに対して、電圧、抵抗、インピーダンス、電磁気、無線周波数、電流、インダクタンス、キャパシタンス、赤外線、およびオプティクスから成る群から選択される少なくとも1つの手段を介して伝達する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目19)
上記コントローラは、エンドユーザフィードバック伝達機能を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目20)
上記エンドユーザフィードバック伝達機能は、フィードバックをエンドユーザに対して、可聴の手段、視覚手段、触覚手段から成る群から選択される少なくとも1つの手段を介して伝達するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目21)
上記回路は、上記顎部のうちの少なくとも1つの外表面上に配置されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目22)
ビームをさらに備え、該ビームは、上記顎部のうちの少なくとも1つの上記外表面上に配置され、かつ、該顎部のうちの少なくとも1つに配置されているみぞに設置されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目23)
上記ビームは、上記みぞに沿って並進するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目24)
上記ビームは、I形ビームである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
(項目25)
上記ビームは、E形ビームである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の外科用ステープル留め装置。
【0017】
(摘要)
外科用ステープル留め装置は、筐体を有し、筐体は、アクチュエータと、筐体から延びる細長い部材とを有する。エンドエフェクタは、細長い部材の一方の端部に配置されている。エンドエフェクタは、複数のプッシャ部材に動作可能に結合される複数のファスナを収納する。作動機構は、アクチュエータに動作可能に結合され、作動機構は、長手方向に並進可能な駆動部材と作動そりとを含む。作動そりは、複数のプッシャ部材を係合するように構成されている。圧力応答型要素がまた、顎部のうちの1つに配置されている。圧力応答型要素は、信号をコントローラに伝達する。信号は、圧力応答型要素に加えられた圧力を表している。コントローラは、フィードバック応答を起動するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の上記および他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と共に理解されるときに、以下の詳細な説明を考慮することによってさらに明らかになる。
【
図1A】
図1Aは、動力式外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、手動式外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、外科用ステープル留め装置のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【
図1D】
図1Dは、ファスナ適用動作の間のエンドエフェクタの斜視図であり、くさびがカートリッジを通って並進することにより、ファスナをカートリッジから連続的に排出し、ファスナを顎部のうちの1つに向かって駆動することによって、ファスナが形成される場合を示している。
【
図2】
図2は、本開示に従った、外科用ステープル留めシステムの概略図である。
【
図3B】
図3Bは、
図1Aおよび
図1Bの外科用ステープル留め装置のエンドエフェクタの一部分の側面断面図であり、明瞭さのためにカートリッジ壁が取り外された状態を示している。
【
図4A】
図4Aは、
図1Bの外科用ステープル留め装置の、作動機構を例示するために筐体が断面で表された状態の側面立面図であり、アクチュエータが1つの作動ストロークを介して操作されることにより、ファスナの一部分をカートリッジから組織に適用する場合を示している。
【
図4B】
図4Bは、本開示に従った、
図4Aの外科用ステープル留め装置の部分断面斜視図である。
【
図5】
図5は、ステープルを形成するために加えられた圧力対時間のプロットである。
【
図6】
図6は、カートリッジの内部チャネルの斜視図であり、その内に配置されたプリント圧力回路と共に示している。
【
図7】
図7は、
図1Aおよび
図1Bの取り外し可能なエンドエフェクタの斜視図であり、顎部のうちの1つのナイフスロットを例示している。
【
図8A】
図8Aは、
図7のエンドエフェクタの斜視図であり、圧力回路を明瞭に示すためにアンビルカバーが取り外された状態を示している。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に従った、エンドユーザフィードバック伝達機能の概略図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に従った、カートリッジ識別機能の概略図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に従った、エンコーダ機能の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここに開示されている外科用ステープル留め装置の実施形態が、ここで図面を参照して詳細に記載され、図面では、同様な参照番号が、いくつかの図の各々における同一の要素または対応する要素を示している。
【0020】
物体の相対的な位置を表す場合には、図面に示され、以下の説明にわたって記載されているように、および慣習的であるように、用語「近位」が、ユーザにより近い装置の端部を表し、用語「遠位」が、ユーザからより遠い装置の端部を表している。以下の説明において、周知の機能または構造は、不必要な詳細が本開示を不明瞭にすることを避けるために詳細に記載されない。
【0021】
図1Aは、概して参照番号100として示されている動力式外科用ステープル留め装置を例示している。
図1Bは、概して参照番号200として示されている手動式外科用ステープル留め装置を例示している。簡潔には、外科用ステープル留め装置100、200は、アクチュエータ136を有する筐体102と、筐体102から延びる細長い部材104と、細長い部材104の一方の端部に配置されているエンドエフェクタ106とを含む。
図1C〜
図1Dから、エンドエフェクタ106は、第一の顎部108および第二の顎部110と、エンドエフェクタ106内に配置されている複数のファスナ114と、エンドエフェクタ106内に配置されている複数のプッシャ部材130とを含む。複数のプッシャ部材130の各々のプッシャ部材130は、多数のファスナ114に動作可能に結合されている。
図3A〜
図4Bに見られるように、外科用ステープル留め装置100、200は、アクチュエータ136に動作可能に結合されている作動機構138を含む。作動機構138は、長手方向に並進可能な駆動部材140と、それに結合されている作動そり132とを含む。作動そり132は、複数のプッシャ部材130を係合するように構成されている。
【0022】
図2は、本開示の一実施形態に従った、外科用ステープル留め装置100、200を有する外科用ステープル留めシステムを図示しており、外科用ステープル留め装置100、200は、圧力応答型要素150と、コントローラ120とを有する。圧力応答型要素は、顎部108、110のうちの1つに配置されることが想定される(
図3A〜
図3Bおよび
図8A〜
図8B)。圧力応答型要素150は、圧力信号152(図示されていない)を、外科用ステープル留め装置100、200に結合されているコントローラ120に伝達し得る。コントローラ120は、制御、位置決め、ステータス、およびファスナ114品質のフィードバックを可能にするマイクロコントローラまたはアナログ回路である。圧力信号152は、圧力応答型要素150に加えられた圧力を表している。本実施形態は、ナイフ164を含むかまたはナイフ無しであり、ナイフ164は、ナイフスロット174を通って摺動可能に並進可能であり得ることが想定される(
図1C)。
【0023】
図5を参照すると、加えられた圧力は、時間対加えられた圧力グラフに見られるように、波形の脈動という形で測定され得る。例えば、通常のサンプルは、時間0〜t1の期間をカバーするグラフに従って読み取られ得る。波形脈動が特定のサンプリングの間、低い圧力(t2〜t3)または高い圧力(tl〜t2)を示す場合には、このことは、ファスナ114の適切な展開または形成に必要な圧力分布が不適切に加えられたことに起因して、ファスナ114が適切に展開されていないかまたは形成されていないことを示し得る。あるいは、波形が、成功裡の試験波形(t3〜t4)と相関する形状ではない場合には、エラーコードまたはフィードバックが、展開または形成の進行を停止するために、コントローラ120によって開始される。このことは、進行するかまたは取り止める前に、作業の変則性を適切に理解する能力をエンドユーザに与える。
【0024】
図3A〜
図3Bに見られるように、第一の顎部108は、カートリッジ112を受け入れるカートリッジチャネル128を含む。カートリッジ112は、その内に配置されている複数のファスナ114を含む。一般に、ファスナ114は、複数の外科用ステープルという形態である。カートリッジ112は、ファスナ114を複数の直線の列で収納し、ファスナ114は、プッシャ部材130に動作可能に結合されている。
【0025】
ここで
図6を参照すると、1つの明示されている圧力応答型要素150は、少なくとも1つのリード154が、少なくとも1つの圧力センサ126を接続する回路124を含む。複数の圧力センサ126が外科用ステープル留め装置100、200に配置されることもまた想定される。1つの例においては、リード154が、長手方向の軸に沿って直線状に進む複数の圧力センサ126をわたって延び、そこでは、少なくとも1つの圧力センサ126が、各々のファスナ114またはプッシャ部材130に対応する。ファスナ114および/またはプッシャ部材130の各々の直線の列は、直線の列に沿って延び、かつ回路124の長手方向の軸に沿って延びる少なくとも1つのリード154によって接続されている。回路124は、フレキシブル回路またはプリント圧力回路124である。
【0026】
本実施形態において、回路124は、カートリッジチャネル128の上部(作動)表面に付着され、それによって、回路124が、カートリッジチャネル128を通って並進する作動そり132と相互作用し得る。換言すると、回路124は、作動そり132がカートリッジチャネル128を通って並進する場合に、作動そり132と対になるように係合するために、カートリッジチャネル128内に配置される(
図3A〜
図3B)。
【0027】
図7〜
図8Bは、外科用ステープル留め装置100、200の別の実施形態を示している。
図8A〜
図8Bに見られるように、外科用ステープル留め装置100、200は、圧力応答型要素150を含み、圧力応答型要素150は、回路124を含み、かつ顎部108、110のうちの少なくとも1つの外表面上に配置されている。好ましくは、回路124は、第二の顎部110の外表面上に配置されている。本実施形態は、ビーム162を含む。ビーム162は、顎部108、110のうちの少なくとも1つの外表面上に配置されている。好ましくは、ビーム162は、第二の顎部110の外表面上に配置されている。ビーム162は、顎部108、110のうちの少なくとも1つに配置されているみぞ116内に摺動可能に設置され、作動そり132に接続されていることがまた想定される(
図8Aおよび
図8B)。ビーム162は、第二の顎部110に配置されているみぞ116内に摺動可能に設置されている。ビーム162は、みぞ116に沿って並進するように構成されている。ビームは、I形ビームまたはE形ビームである。この回路112は、外科用ステープル留め装置100、200に対して非常に薄くされており、カートリッジ112全体の大きさまたは機能を損なわないような、あるいは大きな影響を与えないような十分に薄い幾何学的寸法を少なくとも有することが想定される。
【0028】
いくつかの明示において、圧力センサ126は千鳥状にされる(
図3B、
図6、
図8A、
図8B)。1つの配列における回路124が、千鳥状にされ、かつ最適化され、その結果として、各々のファスナ114、または関連づけられたプッシャ部材130によって形成されるファスナ114の群に対する詳細情報が取得され得る。外科用ステープル留め装置100、200内のファスナ114に対して、近位の位置から遠位の位置まで千鳥状にされている圧力センサ126を有することにより、外科用ステープル留め装置100、200は、各々のファスナ114の展開のタイミングおよび終了を決定するように構成され得る。このことは、外科用ステープル留め装置100、200をコントローラ120によって制御することに役立って、各々の特定のカートリッジ112のクランプ位置、遠位の停止位置、またはホーム位置に対する限界を検証する。コントローラ120は、アナログ回路または超小型電子回路を有し得る。
【0029】
ファスナ114が前進し展開する場合に、圧力応答型要素150は、圧力信号152をコントローラ120に対して、電圧、抵抗、インピーダンス、電磁気、無線周波数、電流、インダクタンス、キャパシタンス、赤外線、およびオプティクスから成る群から選択される少なくとも1つの伝達手段を介して伝達する。動作において、圧力応答型要素150は、ファスナ114が漸次展開され、形成されるときに加えられた圧力を追跡する(
図5)。場合によっては、加えられた圧力は、波形脈動という形で追跡され得る。コントローラ120が、圧力応答型要素150から伝達された圧力信号152によって表される変則的圧力パターンを認識する場合には、コントローラ120は、対応してエラーを記録したり、エラーコードを発したり、警告を発したり、ファスナ114形成を停止したり、ファスナ114展開の停止さえもしたりするように構成され得る。
【0030】
圧力応答型要素150はまた、直線形カートリッジ112構成と非直線形カートリッジ112構成との両方に対して構成され得る。顎部108、110のうちの少なくとも1つ、好ましくは第一の顎部108は、直線形カートリッジを含むことが想定される。換言すると、圧力応答型要素150は、ファスナ品質または進行ステータスを評価するために必要とされる、直線形カートリッジ112の外科用ステープル留め装置100、200、あるいは湾曲形、円形または任意の他の幾何学的形状のカートリッジ112を含む非直線形カートリッジ112の外科用ステープル留め装置100、200に対して用いられ得る。
【0031】
しばしば、外科用ステープル留め装置100、200は、ナイフ164を含み得る。本開示の1つの明示において、外科用ステープル留め装置100、200は、ナイフ164が切断することをコントローラ120が防止するように構成され、かつそうするような寸法にされている。換言すると、コントローラ120は、エンコーダ166、すなわちナイフ切断防止機能を含む。
図11に見られるように、1つの構成として、エンコーダ166が、外科用ステープル留め機構100、200の変則的な挙動を認識するように構成されていることが想定される。場合によって、エンコーダ166は、加えられた圧力に対する構成要素の位置を認識するように構成され、かつそうするような寸法にされている。その構成要素は、作動機構138、ナイフ164、アクチュエータ136、作動そり132、プッシャ部材130、第一の顎部108、および第二の顎部110、あるいはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されている。エンコーダ166は、回転エンコーダ、または直線エンコーダでさえもあり得る。
【0032】
図9を参照すると、いくつかの明示において、コントローラ120は、エンドユーザフィードバック伝達機能170を含む。エンドユーザフィードバック伝達機能170は、信号152、191を受信し、解読した後、少なくとも1つの手段を介してフィードバックをエンドユーザに伝達するように構成されており、少なくとも1つの手段とは、可聴の手段(ベル、言語、ブザー、ビープなど)、視覚手段(光と、色、テキストおよび/または記号を変えるLED、LCDまたはエレクトロルミネセントのスクリーンと)、触覚手段(振動)から成る群から選択される。例えば、フィードバックは、タスクの成功終了または不成功終了を示すように構成され得、そのタスクとは、ファスナ展開前進の開始、ファスナ展開および形成の終了、個々のファスナ展開、個々のファスナ形成、または当業者によって認識される他の同様なタスクなどである。
【0033】
回路124を引き裂きおよび磨耗から保護し、正確で反復可能なフィードバックを達成するために、Kapton(登録商標)ポリイミド薄膜、あるいはチタンまたはスチール合金の箔、またはフラッシュ被覆型ニッケル、クロムまたは窒化物被覆などの薄く、硬い表面材料が、回路124の上部層の上にラミネートされ得、ラミネート158を規定する。さらに、潤滑材被覆160がまた、ラミネート層に適用され得る。160潤滑材被覆は、任意の低摩擦プラスチック、グリース、PTFE混合材料、または任意の他の同等の潤滑材である。潤滑材160は、圧力信号152出力の品質を達成し、作動する構成要素の丈夫さを向上させるために有益である。
【0034】
図10に見られるように、外科用ステープル留め装置100、200は、カートリッジ識別機能168を含む回路124を有し得る。特に、圧力応答型要素150は少なくとも1つの回路124を含み、各々の回路124は、コントローラ120によって読み取られ得る抵抗、インダクタンス、またはインピーダンスの特定の電気的範囲または値を有することにより、装填されたカートリッジ112またはエンドエフェクタ106の正確なタイプを識別のために決定する。この機能に関し、外科用ステープル留め装置100、200は、カートリッジ112またはファスナ114特有の位置的限界および/または実行モードを設定するように構成されているコントローラ120を含む。
【0035】
動作において、エンドユーザ(図示されていない)がアクチュエータ136を作動させる場合に、作動機構138は、作動そり132をプッシャ部材130と相互作用させる(
図4A)。特定の変形例において、アクチュエータ136は、作動そり132と、第一の顎部108および第二の顎部110とを作動させる別個の作動機能を含む。例えば、作動そりアクチュエータ136aが、作動そり132を遠隔から作動させるために用いられ、顎部アクチュエータ136bが、第一の顎部108および第二の顎部110を作動させるために用いられる。あるいは、単一のアクチュエータ136が、作動そり132と顎部108、110との両方を作動させるために用いられる。別の例において、別個のアクチュエータ136が、個々の第一の顎部108および第二の顎部110に接続される。
【0036】
作動において、作動そり132が、プッシャ部材130を上向きにくさび作用で進め、ファスナ114を対向する第二の顎部110表面の中、特に、ファスナ形成ポケット156(
図1D)の中に押し上げる。
図1Dから、その初期の形状において、ファスナ114は、実質的にU字形の形状に形づくられる。その完全に形成された形状において、ファスナ114は、実質的にB字形の形状に形づくられる。ファスナ114を第一の形状から第二の形状に変形させるプロセスにおいて、第二の顎部110は、アンビルとして作用し、ファスナ先端部114a、114bがファスナ形成ポケット156と係合する場合に、対応して、ファスナ114をその第二の形状B字形へと圧縮する。従って、この結果もたらされる、圧力応答型要素150に加えられた圧力は、作動そり132とプッシャ部材130との間の相互作用の結果である。
【0037】
圧力応答型要素150がカートリッジチャネル128内に配置されている回路112を含む実施形態においては、ファスナ114を上向きに駆動する、プッシャ部材130と作動そり132との組み合わせへの第二の顎部110の下向きの力は、結果として、対向する下向きの方向に、ファスナ114、プッシャ部材130、および作動そり132の組み合わせを通り、回路112および任意の圧力センサ126の上への反作用の力を引き起こし、回路112および任意の圧力センサ126は、対応して、加えられた圧力を記録する。圧力応答型要素150は次いで、圧力信号152をコントローラ120に伝達し、圧力信号152は、圧力応答型要素152に加えられた圧力を表す。コントローラ120は、圧力信号152を受信し、圧力信号152に基づいて応答またはフィードバックを選択的に発する。
【0038】
圧力応答型要素150が顎部108、110のうちの1つの外表面上に配置されている回路112を含む実施形態において、例えば、回路112が第二の顎部110の外表面上に配置されている場合には、加えられた圧力は、ビーム162と作動そり132との両方が第一の顎部108および第二の顎部110に沿って長手方向に並進するので、作動そり132に接続されているビーム162から回路112の上に移る。換言すると、作動そり132が並進し、プッシャ部材130を係合するので、プッシャ部材130が、ファスナ114を第二の顎部110と、ファスナ形成ポケット156との中に上方に駆動する。その結果として、このことは、ファスナ114とプッシャ部材130とを通り、作動そり132へのファスナ形成ポケット156からの結果の下向きの反作用の力からビーム162を作動そり132が引き下ろすので、下向きの反作用の力をビーム162に移し、回路112の上へ移す。圧力センサ126は対応して、加えられた圧力を記録する。圧力応答型要素150は次いで、圧力信号152をコントローラ120に伝達し、圧力信号152は、圧力応答型要素152に加えられた圧力を表す。コントローラ120は、圧力信号152を受信し、圧力信号152に基づいて応答またはフィードバックを選択的に発する。
【0039】
エンコーダ166を含む実施形態において、エンコーダ166は、外科用ステープル留め装置100、200の構成要素の変則的挙動を認識するように構成され、その構成要素は、作動機構138、ナイフ164、アクチュエータ136、作動そり132、プッシャ部材130、第一の顎部108、および第二の顎部110から成る群から選択され得る。エンコーダ166がナイフ164の位置を監視するように構成され、エンコーダ166がナイフ164の変則的位置を認識する1つの例において、エンコーダ166は、通常の信号191aまたは変則的信号191bのいずれかのエンコーダ信号191を介して、コントローラ120に変則性を伝達する。変則的信号191bを受信すると、コントローラ120は、エラーコードを記録し、場合によっては、ファスナ留めをすることなく切断を防止するように構成されている。
【0040】
エンコーダ166は、エンコーダ信号191をコントローラ120に対して、電圧、抵抗、インピーダンス、電磁気、無線周波数、電流、インダクタンス、キャパシタンス、赤外線、およびオプティクスから成る群から選択される少なくとも1つの手段を介して伝達する。コントローラ120が、圧力応答型要素150からエンコーダ信号191を受信し、ファスナ114の展開および形成の相違を構成要素の挙動(例えば、ナイフ164の変則的位置決め)に対して決定するように構成され、かつそうするような寸法にされていることもまた想定される。コントローラ120はまた、エラーコードを開始するかまたはファスナ114展開の設定を修正するように構成され、かつそうするような寸法にされている。
【0041】
本開示のいくつかの例示的な実施形態が図面中に示されてきたが、本開示は、当該分野が許容するような広い範囲であり、本明細書は、同じように読み取られることが意図されているので、本開示がそれらの実施形態に限定されることは意図されていない。従って、上記の説明は、限定としてではなく単に好適な実施形態の例示として解釈されるべきである。従って、実施形態の範囲は、与えられた例によってではなく、添付の特許請求の範囲と、それらの正当な均等物によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
100 動力式外科用ステープル留め装置
102 筐体
104 細長い部材
106 エンドエフェクタ
108 第一の顎部
110 第二の顎部
114 複数のファスナ
120 コントローラ
130 複数のプッシャ部材
132 作動そり
136 アクチュエータ
138 作動機構
140 駆動部材
150 圧力応答型要素
152 圧力信号
200 手動式外科用ステープル留め装置