特許第5745820号(P5745820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745820
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ランフラット用中子組立体
(51)【国際特許分類】
   B60C 17/04 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   B60C17/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-251852(P2010-251852)
(22)【出願日】2010年11月10日
(65)【公開番号】特開2012-101681(P2012-101681A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年10月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110251
【氏名又は名称】トピー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】大沼 敏男
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/037052(WO,A1)
【文献】 特開2008−068857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 17/00、17/04 − 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧形状をなす複数の中子を周方向に並べて互いに連結することにより、円環状をな
してホイールのリムに装着されるランフラット用中子組立体において、
上記中子の各々は、タイヤのトレッド部と対向する剛性の高い中子本体と、この中子本
体の内周側に配置され該中子本体より剛性が低く形成された変形予定部とを備え、過大な衝撃荷重が付与された時に、上記変形予定部を塑性変形させるようになっており、
上記中子本体のホイール周方向の両端から連結部が周方向に突出して設けられ、隣接する中子の連結部同士をホイール軸方向に対向させた状態で連結手段により連結し、この連結手段は、
ア.上記一対の連結部にそれぞれ形成され、ホイール軸方向に延びる貫通穴と、
イ.上記一対の連結部の貫通穴を貫通するボルトと、
ウ.上記ボルトに螺合し、上記ボルトと協働して上記一対の連結部を締め付けるナットと、
エ.上記一対の連結部の一方と上記ボルトの頭部との間、および他方の連結部とナットとの間の、少なくともいずれか一方に介在されたワッシャと、
を備え、
少なくとも一方の連結部の貫通穴が上記ボルトの径より大であり、上記ワッシャは、当該一方の連結部の貫通穴内周に係止されて当該ワッシャと当該一方の連結部の相対変位を禁じる係止部を有し、この係止部が衝撃荷重により変形または破壊された時に、隣接する中子の連結部同士の相対変位を許容し、ひいては隣接する中子同士の相対変位を許容することを特徴とするランフラット用中子組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイールに装着され、タイヤがパンクした時でも車両の走行を可能にするランフラット用中子組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ランフラット用中子組立体は、車両ホイールのリム外周に円環状をなして装着される。通常の車両走行時にはタイヤのトレッド部と中子組立体は離れているが、タイヤがパンクした時には中子組立体がタイヤのトレッド部を支持し、車両走行を可能にしている。
【0003】
特許文献1,2に記載されているように、通常の中子組立体は、円弧形状をなす複数の金属製中子を連結することにより構成されている。これら中子は、タイヤのトレッド部に当たって車両重量を支持するとともに路面からの振動や衝撃に耐えるため、十分な剛性を有している。
【0004】
ところで、上記のようにタイヤがパンクした状態で走行している時に、タイヤに過大な衝撃荷重が付与されることがある。例えば、タイヤが等間隔に配置された道路鋲に乗り上げるようにして走行し、しかも車両のバネが共振を起こすような車速で走行した時に、道路鋲からタイヤに過大かつ局所的な衝撃荷重が付与される。特にこの衝撃荷重は、車両重量が大であるほど大となり、トラックのように積載重量も加わる場合にはより一層大となる。
【0005】
さらに、タイヤのトレッド部が金属製の剛性の高い中子組立体と道路鋲に挟まれた状態で、上記のような過大かつ局所的な衝撃荷重を受けると、亀裂が生じる等して走行不能なほどに破損することも考えられる。
なお、上記の衝撃荷重によるタイヤのトレッド部の破損は、タイヤがパンクしていない状態であっても、タイヤの空気が大幅に低下して、タイヤのトレッド部と中子とが僅かな間隙を残した状態で走行している場合にも生じる可能性がある。
【0006】
このような問題を解決すべく、特許文献3に記載される中子組立体では、各中子が金属製のピース本体の外周にゴム製の緩衝層を設けることにより構成されている。この緩衝層により、タイヤのトレッド部に加わる衝撃荷重を吸収しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−231305号公報
【特許文献2】特開2006−347369号公報
【特許文献3】特開2002−59720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3の中子組立体では、上述したような道路鋲からの過大かつ局所的な衝撃荷重を受けた時に、ゴム製の緩衝層の局所的な弾性変形では衝撃エネルギーを十分に吸収できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、円弧形状をなす複数の中子を周方向に並べて互いに連結することにより、円環状をなしてホイールのリムに装着されるランフラット用中子組立体において、上記中子の各々は、タイヤのトレッド部と対向する剛性の高い中子本体と、この中子本体の内周側に配置され該中子本体より剛性が低く形成された変形予定部とを備え、過大な衝撃荷重が付与された時に、上記変形予定部を塑性変形させることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、タイヤパンク状態またはタイヤの空気圧が大幅に低下した状態で車両走行中に、タイヤに過大かつ局所的な衝撃荷重が加わった時に、この衝撃荷重が中子本体を介して変形予定部に伝わり、この変形予定部が塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する。その結果、タイヤトレッド部の亀裂等の破損を確実に回避でき、車両走行を継続することができる。
【0011】
好ましくは、上記変形予定部のホイール径方向寸法が上記中子本体より小さい。
これによれば、中子組立体の外接円径を大きく減少させずに済み、車両走行を安定して継続できる。
【0012】
好ましくは、上記変形予定部が中空をなし、ホイール軸方向に対向する一対の側壁を有している。
これによれば、変形予定部の一対の側壁の塑性変形により、衝撃エネルギーを吸収することができる、
【0013】
好ましくは、上記変形予定部と上記中子本体が別体をなし、上記変形予定部は上記中子本体に対して着脱可能であり、かつホイール周方向、ホイール軸方向に相対移動不能である。
これによれば、変形予定部が塑性変形した場合に、変形予定部のみを交換することができる。
【0014】
好ましくは、上記中子本体のホイール周方向の両端から連結部が突出して設けられ、隣接する中子の連結部同士を連結する連結手段は、過大な衝撃荷重を受けた時に上記連結部同士の相対変位を許容し、ひいては中子同士の相対変位を許容する。
これによれば、中子同士の相対変位により、上記変形予定部の塑性変形を確実に行うことができる。
【0015】
好ましくは、上記連結手段は、上記連結部にホイール軸方向に沿って形成された貫通穴と、少なくとも一つのワッシャと、このワッシャを貫通するととともに上記連結部の貫通穴を貫通するボルトと、このボルトに螺合するナットとを有し、
少なくとも一方の連結部の貫通穴が上記ボルトの径より大であり、上記ワッシャは、当該一方の連結部の貫通穴内周に係止されて当該ワッシャと当該一方の連結部の相対変位を禁じる係止部を有し、この係止部が衝撃荷重により変形または破壊された時に、隣接する中子の連結部同士の相対変位を許容する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、タイヤパンク状態またはタイヤの空気圧が大幅に低下した状態で車両走行中に、タイヤに過大かつ局所的な衝撃荷重が加わった時でも、タイヤの破壊を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係わるランフラット中子組立体を装着した車両用ホイールの正断面図である。
図2】同ランフラット中子組立体の構成要素である中子の正面図である。
図3図2中III−III線に沿う中子の拡大断面図である。
図4図1中IV―IV線に沿う中子連結手段の拡大断面図である。
図5】同連結手段で用いられるワッシャの変形例を示す断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係わる中子の正面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係わる中子の拡大断面図である。
図8図7の要部をさらに拡大して示す断面図である。
図9】本発明の第4実施形態に係わる中子の正面図である。
図10図9中X-X線に沿う中子の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態に係わるランフラット用中子組立体について図1図4を参照しながら説明する。
図1には、横装填式と称される小型トラックの車両ホイールが示されている。この車両ホイールは、ホイール本体1と、このホイール本体1に対して軸方向に横移動させて装填されるタイヤ2とを備えている。
【0019】
上記ホイール本体1のリム1aにおいて、ホイール軸方向中央部は円環形状のランフラット用中子組立体4(以下、単に中子組立体と称す)の装着部として提供され、その外周には、ゴムまたは樹脂製の環状の緩衝パッド3を介して、中子組立体4が装着されている。
【0020】
上記中子組立体4は、等しい周長を有する複数の中子、例えば3つの円弧形状の中子10を互いに連結することにより構成されている。
上記中子10は図2図3に最も良く示されているように、円弧形状の中子本体11と、この中子本体11の内周側に配置された円弧形状の変形予定部12とを備えている。
【0021】
上記中子本体11と変形予定部12は、例えばアルミ合金(金属)を鋳造することにより別々に形成されており、ともに中空をなし矩形断面を有している。
【0022】
図3に最も良く示すように、上記中子本体11と変形予定部12は、ホイール軸方向寸法(すなわち幅)Wが等しい。変形予定部12のホイール径方向寸法(即ち高さ)H2は、中子本体11の寸法H1より小さい。
【0023】
上記中子本体11は厚肉をなし剛性が高い。これに対して、変形予定部12は上記中子本体11よりも薄肉をなし、かつ中子本体11より剛性が低い。そのため、後述する過大な衝撃荷重に対して、中子本体11がその形状を維持するのに対して、変形予定部12が塑性変形するようになっている。
【0024】
上記変形予定部12は、溶接により、中子本体11に対して周方向、幅方向(ホイール軸方向)に相対的な位置ずれが生じないように取り付けられている。本実施形態では、図2に示すように、周方向に間隔をおいて複数個所溶接(図2において溶接箇所を符号19で示す)することにより取り付けられており、この溶接を破壊にすることによって変形予定部12は交換可能となっている。
【0025】
図2に最も良く示すように、上記中子本体11は、ホイール周方向の両端に第1、第2の連結部13,14を有している。これら連結部13,14のホイール軸方向位置は異なっており、第1連結部13は図2において紙面より手前側に位置し、第2連結部14は紙面から遠ざかる側に位置している。これら連結部13、14には、ホイール軸方向に沿って貫通穴13a,14aが形成されている。
【0026】
上記中子本体11の貫通穴13a、14aの中心間の角度は120°をなしている。
上記変形予定部12の周長は中子本体11より短く、中子本体11から連結部13,14を除いた部分の周長とほぼ等しい。
【0027】
次に、図1図4を参照しながら、隣接する中子10の連結部13,14を連結する連結手段20について説明する。この連結手段20は、連結部13,14の貫通穴13a,14aと、これら貫通穴13a,14aを挿通するボルト21と,このボルト21に螺合されるナット22と、一対のワッシャ23とを有している。
【0028】
上記連結部13,14の貫通穴13a,14aの内径はボルト21の外径より大きく、ボルト21は、貫通穴13a,14aに環状の隙間を介して挿通している。
【0029】
上記ワッシャ23は、上記ボルト21のヘッド部と一方の連結部(例えば第1連結部13)との間および上記ナット22と他方の連結部(例えば第2連結部14)との間に介在されている。
【0030】
上記ワッシャ23は摩擦係数の小さい樹脂で形成したり、金属の表面に低い摩擦材をコーティングしてなり、その中央部に貫通穴23xを形成してなる円盤形状のベース部23aと、このベース部23aの一方の面に設けられた環状の鍔部23b(係止部)とを有している。この鍔部23bは、貫通穴23xと同軸をなしてベース部23aと直交する方向に突出している。
【0031】
上記ワッシャ23の貫通穴23xは、ボルト21と略同径をなしている。
上記ワッシャ23の鍔部23bの外径は、上記取付部13,14の貫通穴13a,14aと等しく、その内径は、上記貫通穴23xおよびボルト21の径より大きい。
【0032】
上記一対のワッシャ23のベース部23aが上記連結部13,14の外面に当接し、ワッシャ23の鍔部23bが連結部13,14の貫通穴13a,14aに嵌った状態で、ワッシャ23の貫通穴23xおよび連結部13,14の貫通穴13a,14aを貫通するボルト21とナット22とで締め付けることにより、連結部13,14が連結され、ひいては隣接する中子10が連結される。
【0033】
上記構成をなす車両ホイールにおいて、タイヤ2に十分な空気圧が充填されている状態で走行している時には、タイヤ2のトレッド部2aは円筒面をなす中子組立体4の外周に当たらず、通常の安定した走行が行える。
【0034】
タイヤ2がパンクした時には、タイヤ2のトレッド部2aが中子組立体4に支持された状態で、車両走行を継続することができる。この走行時に中子組立体4には車両重量および積載重量に起因した荷重が加わるが、上記中子本体11は勿論のこと、変形予定部12もこの荷重に十分耐えることができ、その形状を維持できる。また、路面からの衝撃があっても所定レベル未満であれば、変形予定部12はその形状を維持することができ、通常のランフラット中子を用いた場合と同様に、安定した車両走行を継続することができる。
【0035】
また、タイヤ2のトレッド部2aが中子組立体4に支持された状態で車両走行している時に、連結手段20にも荷重が加わるが、ワッシャ23の鍔部23bはこの荷重に耐えることができ、そのため、隣接する中子10の連結部13,14は相対変位せず、連結部13、14の貫通穴13a,14は同軸をなす正常連結状態を維持できる。その結果、中子組立体4の外周はホイール軸と同軸をなす真円に維持され、タイヤ2のトレッド部2aが中子組立体4に安定して支持される。
【0036】
前述したように、タイヤ2が等間隔に配置された道路鋲に乗り上げながら、車両のバネが共振を起こすような車速で走行した際は、道路鋲からタイヤ2に過大かつ局所的な衝撃荷重が付与されることがある。このような場合には、剛性の高い中子本体11から衝撃荷重を伝達された薄肉の変形予定部12が塑性変形する。具体的には一対の側壁で主たる塑性変形が生じる。この変形予定部12の塑性変形により、上記衝撃エネルギーが吸収されるため、タイヤ2のトレッド部2aへの衝撃が緩和され、その破壊を防止される。
【0037】
上記衝撃荷重により上記変形予定部12が塑性変形すると同時にまたは相前後して、少なくとも1つの連結手段20において、ワッシャ23の鍔部23bが変形または破壊される。その結果、連結部13,14の相対変位が生じ、ひいては隣接する中子本体11同士の相対変位が生じる。これにより、上記変形予定部12の塑性変形が支障なく行われる。
【0038】
上記変形予定部12の塑性変形が生じても、中子本体11は剛性が高くその形状を維持できる。そのため、略円弧をなす外周面でタイヤ2のトレッド部2bを支持することができ、トレッド部2bを傷つけることなく走行を継続することができる。
上記変形予定部12の塑性変形による衝撃エネルギーの吸収効果は、タイヤパンク時のみならず、タイヤ空気圧が大幅に低下した状態で車両走行している時の過大かつ局所的な衝撃荷重に対しても同様に発揮される。
【0039】
図5は連結手段20で使用するワッシャ23の変形例を示す。このワッシャ23の鍔部23bの基端部(ベース部23a側)は、その外周が切り欠かれていて薄肉部23yとなっており、上記変形予定部12の塑性変形時に、破断し易くなっている。
【0040】
上述した第1実施形態において、中子10の変形予定部12の一対の側壁に複数の穴を周方向に間隔をおいて形成することにより、塑性変形し易くしてもよい。この場合、変形予定部12の厚さを中子本体11と同程度にしてもよいし、第1実施形態と同様に中子本体11より薄くしてもよい。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態について図6図10を参照しながら説明する。これら実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0042】
図6は、第2実施形態に係わる中子10を示す。この中子10の変形予定部12の一対の側壁の原断面形状が折れ曲がって形成されており、塑性変形し易くなっている。なお、図示の例では一対の側壁が内側に折れ曲がっているが、一対の側壁が外側に折れ曲がっていてもよいし、一方の側壁が内側に折れ曲がり他方の側壁が外側に折れ曲がっていてもよい。
【0043】
図7図8に示す第3実施形態では、変形予定部12が中子本体11に対して溶接されず、第1実施形態より中子本体10に対する着脱性を高めており、変形予定部12が塑性変形した時に、容易に交換できるようになっている。
【0044】
図7に示すように、変形予定部12は、一対の側壁からホイール径方向、外方向に突出した平板形状の鍔部12cを有しており、この鍔部12cが中子本体11の両側面に当たることにより、幅方向(ホイール軸方向)の位置ずれが防止される。
【0045】
図8に示すように、上記鍔部12cには周方向に間隔をおいて複数の穴12xが形成されており、この穴12xが中子本体11の両側面に周方向に間隔をおいて形成された円錐形状の凸部11xに嵌ることにより、変形予定部12の周方向の位置ずれも防止される。
また、上記穴12xと凸部11xの係合により、変形予定部12は中子本体11と一体をなしてホイール1に装着することができる。
【0046】
図9図10は、本発明の第4実施形態に係わる中子10を示す。この中子10では、中子本体11と変形予定部12が別部材からなり連結されていない。中子本体11の内周と変形予定部の外周が当接されているだけである。
上記変形予定部12は、一対の側壁からホイール径方向、外方向に突出した凸部12dを有しており、この凸部12dが中子本体11の両側面に当たることにより、幅方向(ホイール軸方向)の位置ずれが防止される。
また、変形予定部12は、その周方向両端にもホイール径方向、外方向に突出した凸部12eを有しており、この凸部12eが中子本体11の周方向両端面において連結部13,14が形成されていない箇所に当たるにより、周方向の位置ずれが防止される。
【0047】
本発明は、上記実施例に制約されず、種々の態様を採用することができる。中子本体11と変形予定部12の剛性を違えるための手段は、第1実施形態の肉厚の相違、第2、第3実施形態の形状の相違の他、材料の相違であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
連結手段20のワッシャ23は鍔部23bを持たなくてもよい。この場合、ボルト21とナット22の締め付け力で取付部13,14を基準連結状態に維持し、衝撃荷重が付与された時には、ボルト21と取付部13,14の貫通穴13a,14aとの間隙の分だけ、取付部13,14の相対変位を許容する。
中子本体と変形予定部は一体鋳造してもよい。この場合、第1実施形態を例にとれば、中子本体の底壁(内周側の壁)と変形予定部の天井壁(外周側の壁)は1つの壁で兼用される。
中子の数は、上記実施例のような3のみならず、2つまたは4〜6であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、タイヤパンク時に車両を走行可能とするランフラットホイールに適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ホイール
2 タイヤ
2a トレッド部
4 ランフラット用中子組立体
10 中子
11 中子本体
12 変形予定部
13,14 連結部
13a,14a 貫通穴
20 連結手段
21 ボルト
22 ナット
23 ワッシャ
23b 鍔部(係止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10