【実施例】
【0042】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
以下の実施例及び比較例では、以下に示す手順に沿って各種物性等を測定した。
【0044】
(1)酸化マグネシウム中のフッ素含量
試料を塩酸で溶解して調製した溶液中のフッ素量をイオン電極法(装置名:イオン計D−53S、HORIBA製)により測定した。
【0045】
(2)体積基準の累積50%粒子径(D
50)
レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(装置名:MT3300、日機装社製)により、体積基準の累積50%粒子径(D
50)を測定した。
【0046】
(3)フォトルミネッセンスの測定法
真空チャンバーに、146nmの励起光を発する
エキシマランプと、計測波長範囲が200〜1000nmの分光検出器を具備するフォトルミネッセンス測定装置を使用した。試料を充填した試料セルを、真空チャンバー内の所定位置に設置した後、真空チャンバー内の圧力が1.0×10
−1Pa以下になるまで減圧した。次いで、試料セルを計測位置に移動させ、励起光を1000ms照射することで、試料から放射された発光の発光スペクトルを測定した。
【0047】
測定された発光スペクトルから、紫外線領域200〜300nmにあるピークトップの強度を読み取った。ピークトップの強度を、波長980nm
近傍のピークが示す強度で除し、強度比を求めた。
【0048】
(4)酸化マグネシウム前駆体及び酸化マグネシウムの純度測定法
酸化マグネシウム前駆体及び酸化マグネシウムの純度は、添加したフッ素を除き、以下の方法により測定した不純物量の合計を100質量%から差し引いた値として算出した。
【0049】
(5)不純物元素の質量測定法
測定対象となる不純物元素(Ag、Al、B、Ba、Bi、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、K、Li、Mn、Mo、Na、Ni、P、Pb、S、Si、Sr、Tl、V、Zn、Ti及びZr)について、試料を酸に溶解した後、ICP発光分析装置(装置名:SPS−5100、セイコーインスツルメンツ製)を使用して、質量を測定した。Cl量は、試料を酸に溶解した後、分光光度計(装置名:UV−2550、島津製作所製)を使用して、質量を測定した。
【0050】
以下に各実施例及び比較例での焼成品の製造手順について説明する。
【0051】
(実施例1)
純度99.95質量%の水酸化マグネシウムに、マグネシウムに対してフッ素が0.105mol%となるように純度99.9質量%のフッ化マグネシウム(試薬:高純度化学研究所製)を添加し、これを坩堝に入れて蓋をした。
【0052】
次いで、電気炉において、大気雰囲気中、昇温速度3℃/minで昇温し、焼成温度1100℃で5時間、一次焼成を行った。
【0053】
次いで、自然冷却で常温まで冷却した。
【0054】
さらに、電気炉において、大気雰囲気中、昇温速度3℃/minで昇温し、焼成温度1400℃で1時間、二次焼成を行った。
【0055】
(実施例2)
二次焼成をガス炉において行い、二次焼成の焼成温度を1200℃、焼成時間を3時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0056】
(実施例3)
一次焼成の焼成温度を1200℃、焼成時間を1時間とし、また、二次焼成をガス炉において行い、二次焼成の焼成温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0057】
(実施例4)
一次焼成の焼成温度を1200℃、焼成時間を1時間とし、また、二次焼成をガス炉において実施した以外は、実施例1と同様に行った。
【0058】
(実施例5)
一次焼成をガス炉において行い、一次焼成の焼成温度を1200℃、焼成時間を1時間とし、また、二次焼成をガス炉において実施した以外は、実施例1と同様に行った。
【0059】
(実施例6)
フッ素の添加量を、マグネシウムに対して1.052mol%とし、また、二次焼成の焼成温度を1200℃とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0060】
(実施例7)
フッ素の添加量を、マグネシウムに対して1.052mol%とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0061】
(実施例8)
添加したフッ素源を、純度99質量%のフッ化ナトリウム(試薬:高純度化学研究所製)とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0062】
(実施例9)
添加したフッ素源を、純度99質量%のフッ化カリウム(試薬:高純度化学研究所製)とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0063】
(実施例10)
酸化マグネシウム前駆体を、純度99.9質量%の塩基性炭酸マグネシウム(試薬:高純度化学研究所製)とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0064】
(実施例11)
酸化マグネシウム前駆体を、純度99.9質量%の酢酸マグネシウム(試薬:高純度化学研究所製)とした以外は、実施例5と同様に行った。
【0065】
(実施例12)
最終生成物であるフッ素含有酸化マグネシウム粉末に、マグネシウムに対してアルミニウムが100ppm程度含まれるように、純度99.9質量%の塩化アルミニウム六水塩(試薬:高純度化学研究所製)を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に溶解させたものを使用し、水酸化マグネシウムを作製した。この水酸化マグネシウムを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
【0066】
(実施例13)
最終生成物であるフッ素含有酸化マグネシウム粉末に、マグネシウムに対してカルシウムが60ppm程度含まれるように、純度99質量%の塩化カルシウム二水塩(試薬:高純度化学研究所製)を塩化マグネシウム(MgCl2)水溶液に溶解させたものを使用し、水酸化マグネシウムを作製した。この水酸化マグネシウムを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
【0067】
(比較例1)
純度99.95質量%の水酸化マグネシウムに、マグネシウムに対してフッ素が0.031mol%となるように純度99.9質量%のフッ化マグネシウム(試薬:高純度化学研究所製)を添加し、これを坩堝に入れて蓋をした。
【0068】
電気炉において、大気雰囲気中、昇温速度3℃/minで昇温し、焼成温度1200℃で1時間焼成した。
【0069】
(比較例2)
フッ素の添加量を、マグネシウムに対して0.063mol%とし、また、焼成時間を5時間とした以外は、比較例1と同様に行った。
【0070】
(比較例3)
焼成温度を1500℃とした以外は、比較例1と同様に行った。
【0071】
(比較例4)
フッ素の添加量を、マグネシウムに対して0.105mol%とし、また、焼成をガス炉において実施した以外は、比較例1と同様に行った。
【0072】
(比較例5)
焼成時間を3時間とした以外は、比較例4と同様に行った。
【0073】
(比較例6)
焼成温度を1400℃とした以外は、比較例4と同様に行った。
【0074】
(比較例7)
フッ素の添加量を、マグネシウムに対して1.052mol%とし、また、焼成温度を1500℃とした以外は、比較例4と同様に行った。
【0075】
(比較例8)
酸化マグネシウム前駆体である水酸化マグネシウムの代わりに、純度99.95質量%の酸化マグネシウムを使用した以外は、比較例1と同様に行った。
【0076】
(比較例9)
酸化マグネシウム前駆体である水酸化マグネシウムの代わりに、純度99.95質量%の酸化マグネシウムを使用し、フッ素の添加量をマグネシウムに対して0.316mol%とした以外は、比較例1と同様に行った。
【0077】
以上で得られたフッ素含有酸化マグネシウムの各分析結果を以下の表1に示す。
【0078】
【表1】
表1より、2段階の焼成により得られたフッ素含有酸化マグネシウム(実施例1〜13)は、フッ素含量が100ppm未満と低いものでありながら、発光ピーク強度比が20以上と、極めて強く紫外光を放出することが分かる。一方、1段階の焼成により得られたフッ素含有酸化マグネシウム(比較例1〜9)は、フッ素含量を100ppm未満と低くした場合には、発光ピーク強度比が20未満と紫外光の放出が十分でなく、また、逆に発光ピーク強度比が20以上の場合には、フッ素含量が100ppm以上であるため、PDPの放電開始電圧の上昇を抑制することができないと考えられる。