(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップa)における式IIIの前記メンチルカルバメートのエピマーが、有機溶媒を用いた選択的結晶化によって回収されることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用される用語「低級アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含む飽和の直鎖、または分岐鎖アルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどである。好ましい低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0011】
本明細書において使用される用語「低級アルキニル」は、2〜7個の炭素原子を含み、そして少なくとも一つの三重結合を含む不飽和の直鎖の、または分岐の炭素鎖である。
【0012】
用語「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を含む飽和の炭素環基を示す。C
3〜C
7シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルであり、好ましくはシクロプロピルである。
【0013】
用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素、および臭素を示す。
【0014】
用語「低級アルコキシ」は、アルキル残基が上で定義されたものであり、そしてそれが酸素原子と結合している基を示す。
【0015】
表現「−(CR’R”)
n−」は、例えば−CH
2−、−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH
2−CH
2−CF
2−、−CH
2−CH
2−CH(OCH
3)−、−CH
2CH(OH)−、または−C(CH
3)
2−CH(OH)−であり得る。
【0016】
用語「医薬として許容される酸付加塩」は、無機および有機酸塩、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの塩を含む。
【0019】
で表される鏡像異性的に純粋な7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オンの入手は、現在までにキラル固定層を有するHPLCを用いて行われた(国際公開第2005/023772号を参照)。しかし、これらの方法は実験室スケールでのみ好適である。
【0020】
したがって、本発明の目的は、高いエナンチオマー過剰率での、および工業的スケールで適用可能である方法での、キラル体の7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オンの入手を提供することである。
【0023】
[式中、
R
1は上記の通りであり、そしてR
2は、場合によりC
3-7シクロアルキルで置換されるC
1-4アルキル、または場合によりC
1-4アルコキシで置換されるベンジルの意味を有する]
で表されるジベンゾ[b,d]アゼピノン誘導体の、キラルなメンチルクロロホルメートを使用する光学分割を含む、本発明の方法を用いて達成され得ることが明らかとなった。
【0024】
式IIのジベンゾ[b,d]アゼピノン誘導体は、例えば、R
1が4−メトキシ−ベンジルであり、そしてR
2が水素である化合物で例示された、下のスキーム中に記載されたように製造され得る。
【0026】
3の合成は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,1955,77,675に従って、上のスキームに記載された2ステップの経路によって行われ得る。第一ステップにおいて、N−クロロアセトアミド
2が
1から形成され、その後
3への閉環が、1,3−ジクロロベンゼン中、塩化アルミニウムの存在下、
2を還流することによって達成される。
【0027】
米国特許第6528505号明細書に記載された通りに、アミノ基の導入、および
6の形成は、ラクタム基を保護して
4を形成し、
4をオキシム
5へと変換し、そして
5をラセミ体のアミン
6へと還元することによってなされ得る。
【0028】
好適なメンチルクロロホルメートは、(−)−メンチルクロロホルメート、または(+)−メンチルクロロホルメートであり、好ましくは(−)−メンチルクロロホルメートである。
【0029】
光学分割は通常、以下のステップ
a)以下の式
【0031】
[式中、
R
1は水素またはハロゲンであり、そしてR
2は、場合によりC
3-7シクロアルキルで置換されるC
1-4アルキル、または場合によりC
1-4アルコキシで置換されるベンジルの意味を有する]
で表されるメンチルカルバメートのエピマーを、以下の式
【0033】
[式中、R
1およびR
2は上記の通りである]
で表されるジベンゾ[b,d]アゼピノン誘導体から、(−)−メンチルクロロホルメートを用いて形成し、そして
b)当該メンチルカルバメートおよび保護基R
2基を、酸の存在下で切断すること
を含む。
【0034】
ステップa)
本発明の方法のための出発化合物として使用される式IIのジベンゾ[b,d]アゼピノン誘導体は通常、上で定義されたようなR
1およびR
2置換基を有する。
【0035】
具体的には、R
1は水素またはフッ素の、より好ましくは水素の意味を有し、そしてR
2はC
1-4アルコキシベンジルの、より好ましくは4−メトキシ−ベンジルの意味を有する。
【0036】
ステップa)における式III のメンチルカルバメートのエピマーの形成は、通常、無機または有機塩基の存在下、有機溶媒中で行われる。
【0037】
好適な無機塩基は、アルカリ炭酸塩、またはアルカリ重炭酸塩から選択され得、好ましくは炭酸ナトリウムが使用される。
【0038】
好適な有機塩基は、トリアルキルアミンから、またはピリジンから選択され得、好ましくはピリジンが使用される。
【0039】
好適な有機溶媒は、環状エーテル、例えばテトラヒドロフランから、ハロゲン化溶媒、例えば塩化メチレンから、またはN−メチルピロリジン、またはN,N’−ジメチルホルムアミドから選択され得る。
【0040】
原則として当該変換は、0℃〜100℃の温度で、好ましくは室温で行われる。
【0041】
式IIIのメンチルカルバメートの好ましいエピマーの回収は、好適な溶媒を用いた選択的結晶化によって達成され得る。
【0042】
選択的結晶化のための好適な溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル、トルエン、tert−ブチルメチルエーテルであり、好ましくはヘプタン、または酢酸エチルである。
【0043】
所望のエピマーは、99%以上のジアステレオマー過剰率で得られる。
【0044】
通常、メンチルカルバメートの所望ではないエピマーは、母液に残存する。式IIIのメンチルカルバメートの所望のエピマーへの部分的な異性化は、母液から回収された当該物質を、リチウムジイソプロピルアミドを用いて、約−75℃で、好適な有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で処理し、その後クロロトリエチルシランを−75℃〜50℃で用いて処理することによって達成され得る。所望の異性体は、室温〜50℃での加水分解の後、当該反応混合物から、例えば酢酸エチルを用いて抽出することによって最終的に回収され得る。
【0045】
本発明のさらなる実施形態は、以下の式
【0047】
[式中、
R
1は水素またはハロゲンであり、そしてR
2は、場合によりC
3-7シクロアルキルで置換されるC
1-4アルキル、または場合によりC
1-4アルコキシで置換されるベンジルの意味を有する]
で表されるメチルカルバメート、その光学異性体、およびその混合物である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態は、以下の式
【0050】
[式中、
R
1は水素またはハロゲンであり、そしてR
2は、場合によりC
3-7シクロアルキルで置換されるC
1-4アルキル、または場合によりC
1-4アルコキシで置換されるベンジルの意味を有する]
で表されるメチルカルバメートのエピマーである。
【0051】
特にR
1は、水素またはフッ素の、より好ましくは水素の意味を有し、そしてR
2はC
1-4アルコキシベンジルの、より好ましくは4−メトキシ−ベンジルの意味を有する。
【0052】
ステップb)
ステップb)における式IIIのメンチルカルバメートのカルバメート基の切断、および保護基R
2の切断は、酸の存在下で行われる。
【0053】
好適な酸は、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、または硫酸、あるいはそれらの混合物から選択され得る。好ましくはトリフルオロ酢酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸が使用される。
【0054】
当該反応は通常、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、またはN−メチルピロリドンから選択され得る有機溶媒の存在下で行われる。
【0055】
式Iの所望の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オンの回収は、当業者に既知の方法に従って行われ得る。
【0056】
上で言及したように、本発明の方法は、以下の式
【0058】
[式中、R
1〜R
5は上記の通りである]
で表されるマロンアミド化合物の合成において特に有用である。
【0059】
(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オンの、式IVのマロンアミド誘導体への変換は、国際公開第2005/023772号に開示されている。
【0060】
以下の実施例は、本発明を限定することなしに説明するものとする。
【実施例】
【0061】
実施例1
7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
a)N−ビフェニル−2−イル−2−クロロ−アセトアミド
2−アミノビフェニル(41.4g)のジクロロメタン(248mL)溶液へ、トリエチルアミン(26.7g)を室温で加えた。得られた溶液を−18℃へ冷却し、そしてクロロアセチルクロリド(28.8g)をゆっくりと加えた。得られる懸濁液を0℃で1時間、そして室温で15時間さらに撹拌した。ジクロロメタン(150mL)、氷水(500mL)、水(500mL)および飽和NaHCO
3水溶液(150mL)を加えた。撹拌後、相を分離し、有機相を半飽和NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、そして水相をジクロロメタン(250mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO
4)し、そして約100gの重さまで真空下濃縮した。室温で40分撹拌後、沈殿物をろ過し、ジクロロメタン(80mL)で洗浄し、そして高真空下で乾燥してN−ビフェニル2−イル−2−クロロ−アセトアミド(8.6g、14.5%)を白色結晶として得た。ろ液を約115gの重さまで減圧下さらに濃縮し、そしてヘキサン(100mL)を一滴ずつ加えた。室温で1時間撹拌後、沈殿物をろ過し、ヘキサン/ジクロロメタン4:1(22mL)で3回洗浄し、そして高真空下乾燥してN−ビフェニル2−イル−2−クロロ−アセトアミド(31.2g、53.0%)を灰色粉末として得た。ろ液を減圧下約90gの重さまで濃縮し、そして室温で1時間撹拌した。沈殿物をろ過し、ヘキサン/ジクロロメタン4:1(17mL)で2回洗浄し、そして高真空下乾燥し、N−ビフェニル2−イル−2−クロロ−アセトアミド(10.8g、18.3%)を灰色粉末として得た。
MS(ISP):m/e=508(2M+NH
4+,25),262(M+NH
4+,78),246(M+H
+,100).
【0062】
b)5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
AlCl
3(12.1g)をN−ビフェニル−2−イル−2−クロロ−アセトアミド(9.9g)の1,3−ジクロロベンゼン(99mL)溶液中へ加えた。反応混合物を170℃で24時間撹拌し、0℃へ冷却し、そして氷水(1500mL)へと注いだ。得られた懸濁液をろ過し、沈殿物を水(250mL)、ヘキサン/ジクロロメタン4:1(25mL)で2回、水(125mL)で2回、およびヘキサン(25mL)で2回洗浄し、5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(6.9g,82.5%)を灰色がかった白色粉末として得た。
MS(ISP):m/e=232(M+Na
+,14),210(M+H
+,100).
【0063】
c)5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(5.63g)のTHF(112.5mL)懸濁液へ、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.82g)、水酸化カリウム(1.7g)およびp−メトキシ−ベンジルクロリド(4.3g)をこの順で加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、ジクロロメタン(250mL)、および半飽和NaCl水溶液(1500mL)を加えた。相を分離し、有機相を半飽和NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、そして水層をジクロロメタン(150mL)で3回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、減圧下濃縮し、そして高真空下で乾燥し、5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(9.5g、quant.)を茶色油として得、それをさらなる精製をせずに次のステップに使用した。
MS(ISP):m/e=659(2M+H
+,60),352(M+Na
+,14),330(M+H
+,100),242(52),222(87).
【0064】
d)5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6,7−ジオン7−オキシム
カリウムtert−ブチレート(7.6g)を、0℃に冷却された5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(14.6g)のTHF(146mL)溶液へゆっくりと加えた。0℃で10分間撹拌後、亜硝酸イソペンチル(10.6g)をゆっくりと加え、そして反応混合物を0℃で105分間さらに撹拌した。反応混合物を0℃に冷却された半飽和NaCl水溶液(1200mL)へ注ぎ、そしてジクロロメタン(500mL)を加えた。相を分離し、有機相を半飽和NaCl水溶液(1200mL)で洗浄し、そして水層をジクロロメタン(250mL)で2回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、減圧下濃縮し、そして高真空下で乾燥し、5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6,7−ジオン7−オキシム(18.4g、quant.)を黄色泡状物質として得、そしてそれをさらなる精製なしで次のステップに使用した。
MS(ISP):m/e=739(2M+Na
+,20),717(2M+H
+,79),381(M+Na
+,47),359(M+H
+,100),251(28).
【0065】
e)7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン塩酸塩
2N塩酸水溶液(20.8mL)を、5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6,7−ジオン7−オキシム(8.3g)のメタノール(83.0mL)溶液へ加えた。Pd/C(10重量%、540mg)を反応混合物へ加え、そして系を10barH
2下、50℃で2日間撹拌した。H
2をArに置換後、反応混合物をろ過し、減圧下濃縮し、そして高真空下乾燥し、7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン塩酸塩(8.7g、quant.)を淡黄色粉末として得た。この粉末をアセトニトリル(43mL)に懸濁し、そして室温で2時間撹拌した。沈殿物をろ過し、アセトニトリルで洗浄し、そして減圧下乾燥し、7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン塩酸塩(8.3g、96%)を灰色がかった白色粉末として得た。
MS(ISP):m/e=367(M+Na
+,13),345(M+H
+,100).
【0066】
f)7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
3NHCl水溶液(18.0mL)を、5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6,7−ジオン7−オキシム(10.9g)のメタノール(150.0mL)溶液へ加えた。Pd/C(10重量%、1.08g)を反応混合物へ加え、そして系を10barH
2下、50℃で18時間撹拌した。H
2をArに置換後、反応混合物をろ過し、水(150mL)を加え、そしてメタノールを減圧下除去した。水層をEtOAc(50.0mL)で抽出し、有機層を水(50mL)で洗浄し、そして当該水層をEtOAc(30.0mL)で、同じ回数にて別途抽出した。合わせた水層へジクロロメタン(100.0mL)を加え、そして0.9MNaOH水溶液(65.5mL)をゆっくりと加え、水層をpH=約7へと持っていった。10分間撹拌後、相を分離した;水相をジクロロメタン(50.0mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO
4)、そして減圧下濃縮し、7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(9.7g、91%)を黄色油として得た。
MS(ISP):m/e=367(M+Na
+,50),345(M+H
+,100),208(34).
【0067】
実施例2
(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
a)[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(lR,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル
水(40mL)を、7−アミノ−5−(4−メトキシ−ベンジル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(7.45g)の、THF(40mL)の黄色溶液へ室温で加え、淡黄色懸濁液を形成した。この懸濁液へ、K
2CO
3(5.53g)を一度に加え、そして15分撹拌後、(−)−(lR)−メンチルクロロホルメート(4.96g)を30分以内で加えた。滴下漏斗をTHFで洗浄した。エマルションを室温で105分間撹拌した。ヘプタン(486mL)を40分以内で加え、そして60分間撹拌後、沈殿物をろ過し、ヘプタン、水およびヘプタンで,この順にて洗浄し、そして55℃で真空下乾燥し、[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル(4.75g、45%)を、d.e=99.8:0.2(HPLC)で、白色粉末として得た。
MS(ISP):m/e=549(M+Na
+,20),527(M+H
+,100),389(35),345(43).
【0068】
ろ液の相を分離した。有機層を食塩水:水 1:1(400mL)で洗浄し、そして水層をヘプタン(150mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、減圧下濃縮し、そして50℃にて高真空下乾燥し、泡状物質(6.66g、63%)をd.e.=4.4:95.6(HPLC)で得た。
MS(ISP):m/e=549(M+Na
+,22),527(M+H
+,100),389(29),345(45).
【0069】
b)(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン
0℃に冷却した[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(lR,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル(7.79g)のCH
2Cl
2(195mL)溶液へ、トリフルオロ酢酸(34.4g)を15分間かけて加え、その後トリフルオロメタンスルホン酸(11.3g)を15分以内で加えた。得られる紫色溶液を室温で16時間撹拌し、そして40℃で減圧下濃縮し、暗赤色油を得、そしてそれをCH
2Cl
2と半飽和NaHCO
3水溶液とで分配した。相を分離し、そして水層をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、そして真空下濃縮し、94.0gの黄色溶液を得た。当該溶液をMeOH(66mL)で希釈し、そして2NHCl水溶液を一滴ずつ室温で加えた。30分間撹拌後、当該溶液を減圧下濃縮した。固体残渣をCH
2Cl
2中で室温にて16時間粉砕し、ろ過し、CH
2Cl
2で洗浄し、そして75℃で高真空下乾燥し、mp>225℃である、(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン(3.64g、94%)を白色〜淡桃色粉末として得た。
MS(ISP):m/e=225(M+H
+,100).
【0070】
c)[(R)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル−カルバミン酸(lR,25,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルのラセミ化、および[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル5−メチル−シクロヘキシルの単離
−75℃に冷却された[(R)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル(5.58g)のTHF(20mL)溶液へ、リチウムジイソプロピルアミド(2M THF溶液、15mL)を60分以内で加えた。反応混合物を−75℃で5時間撹拌し、クロロトリメチルシラン(4.6mL)を35分以内で加え、そして反応混合物を室温で15時間撹拌した。氷−水混合物(50mL)を加え、そして2.5時間撹拌後、EtOAc(200mL)、および食塩水:水 1:1(400mL)を加えた。相を分離し、有機層を食塩水:水 1:1(300mL)で2回洗浄し、そして水層をEtOAc(100mL)で2回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、そして15.8gの重さになるまで減圧下濃縮した。得られた懸濁液をろ過し、そして沈殿物を室温で真空下乾燥し、[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル5−メチル−シクロヘキシル(1.75g、31.5%)をd.e.=99.2:0.8(HPLC)で、白色粉末として得た。
【0071】
ヘプタン(132mL)をろ液へ加え、そして室温で2日後、沈殿物をろ過し、[(R)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル5−メチル−シクロヘキシルと、[(S)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル5−メチル−シクロヘキシルとの約1:1混合物を得た。ろ液を減圧下濃縮し、そして高真空下乾燥し、[(R)−5−(4−メトキシ−ベンジル)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−カルバミン酸(1R,2S,5R)−2−イソプロピル5−メチル−シクロヘキシル(3.5g、64%HPLC ISTD、40%)をd.e.=96.9:3.1で、黄色油として得た。