(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2のRF電力レベル、前記第1及び第2のバイアス電圧及び前記第1及び第2の期間の少なくとも一つが、所定のプロセス速度及び所定のプロセスプロファイルの少なくとも一つを達成するように選択される、請求項8記載のプラズマ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、添付図面と関連して、好ましい模範的な実施例に基づいて、その更なる利点とともに、以下に詳細に説明される。図面は必ずしも一定の寸法比ではなく、一般に本発明の原理を図解することに重点が置かれている。
【0018】
図1Aは、本発明による電荷中和手段を備えるプラズマ処理システム100の一実施例を示す。これは、本発明による電荷中和手段を備えた、イオン注入、堆積及びエッチング等のプラズマ処理を実行し得る装置の多くの可能な設計の一つにすぎない。特に、本発明のプラズマ処理システムに使用できる多くのプラズマ源があることに留意されたい。
図1に示すプラズマ源は平面RFコイルと螺旋RFコイルの両方を含む。他の実施例は一つの平面コイル又は螺旋コイルを含む。更に他の実施例は容量結合プラズマ源又は電子サイクロトロン共鳴プラズマ源を含む。多くのタイプの等価なプラズマ源があることは当業者に理解されてよう。
【0019】
プラズマ処理システム100は、平面RFコイルと螺旋RFコイルの両方及び導電性トップを有する誘導結合プラズマ源101を含む。同様のRF誘導結合プラズマ源が、2004年12月20日に出願された「RF Plasma Source with Conductive Top Section」というタイトルの米国特許出願第10/905,172号に記載されている。この米国特許出願第10/905,172号の明細書全体は参照することにより本書に組み込まれる。プラズマ処理システム100に示されるプラズマ源101は、極めて均一なイオンフラックスを供給できるため、高度に均一な処理を必要とするプラズマドーピング及び他の精密プラズマ処理応用に適している。更に、プラズマ源101は、二次電子放出により発生される熱を効率よく消散するため、高出力プラズマ処理に有用である。
【0020】
更に具体的に言うと、プラズマ処理システム100は、外部ガス源104により供給されるプロセスガスを含むプラズマチャンバ102を含む。外部ガス源104は比例弁106を介してプラズマチャンバ102に結合され、プロセスガスをチャンバ102に供給する。いくつかの実施例においては、ガスをプラズマ源101内へ分散させるためにガスバッフルが使用される。圧力計108がチャンバ102内の圧力を測定する。チャンバ102の排気ポート110はチャンバ102を排気する真空ポンプ112に結合される。排気弁114は排気ポート110の排気コンダクタンスを制御する。
【0021】
ガス圧力コントローラ116は比例弁106、圧力計108及び排気弁114に電気的に接続される。ガス圧力コントローラ116は、排気コンダクタンス及びプロセスガス流量を圧力計108に応答して帰還制御することによって、プラズマチャンバ102内に所望の圧力を維持する。排気コンダクタンスは排気弁114で制御される。プロセスガス流量は比例弁106で制御される。
【0022】
いくつかの実施例においては、プロセスガスに対する希ガス種の比率制御が主ドーパント種を供給するプロセスガスとインライン結合された質量流量計によって与えられる。また、いくつかの実施例においては、現場調整種のために別個の注入手段が使用される。更に、いくつかの実施例においては、基板横断変化をもたらす中性の化学効果を生じるガスを供給するためにマルチポートガス注入が使用される。
【0023】
チャンバ102は水平方向に延在する誘電体材料からなる第1部分120を含むチャンバトップ118を有する。チャンバトップ118の第2部分122は第1部分120からほぼ垂直方向に高さに亘って延在する誘電体材料からなる。第1及び第2部分は本書では一般に誘電体窓ということもある。チャンバトップ118の多くの変形例があることを理解すべきである。例えば、第1部分120は、全体的に湾曲して延長し、第1及び第2部分が米国特許出願第10/905,172号に記載されているように直交しない誘電体材料で形成することができる。他の実施例においては、チャンバトップ118は平坦表面を有するのみとする。
【0024】
第1及び第2部分120,122の形状及び寸法は所定の性能を達成するように選択することができる。例えば、チャンバトップ118の第1及び第2部分120,122の寸法はプラズマの均一性を高めるように選択することができることは当業者に理解されよう。一実施例においては、第2部分122の垂直方向の高さと第2部分122を水平方向に横切る長さとの比が一層均一なプラズマを達成するように選択される。例えば、一つの特定の実施例においては、第2部分122の垂直方向の高さと第2部分122を水平方向に横切る長さとの比は1.5〜5.5の範囲内にする。
【0025】
第1及び第2部分120,122の誘電体材料はRFアンテナからのRF電力をチャンバ102内のプラズマへ転送する媒体を提供する。一実施例においては、第1及び第2部分120,122の形成に使用する誘電体材料は、プロセスガスに対して化学的に耐性であるとともに良好な熱特性を有する高純度のセラミック材料とする。例えば、いくつかの実施例においては、誘電体材料は99.6%Al
2O
3又はAlNとする。他の実施例においては、誘電体材料はイットリア及びYAGとする。
【0026】
チャンバトップ118の蓋124は第2部分を水平方向に横切る長さに亘って延在する導電材料からなる。多くの実施例においては、蓋24の形成に使用する材料の導電率は、熱負荷を消散するとともに二次電子放出に起因する帯電効果を最小にするのに十分な高さにする。典型的には、蓋24の形成に使用する導電材料はプロセスガスに対して化学的に耐性であるものとする。いくつかの実施例においては、導電材料はアルミニウム又はシリコンとする。
【0027】
蓋24はフルオロカーボンポリマからなるハロゲン耐性のOリング、例えばChemrz及び/又はKalrexからなるOリングで第2部分122に結合することができる。蓋124は、第2部分122への圧力を最小にしつつ蓋124を第2部分に封止するに足る圧力を与える方法で第2部分122の上に装着される。いくつかの動作モードでは、蓋124は
図1に示されるようにRF及びDC接地される。
【0028】
いくつかの実施例においては、チャンバ102は金属汚染を阻止する又は大幅に低減するように配置されたライナ125を含み、このライナはプラズマチャンバ102の内部金属壁に衝突するプラズマ中のイオンによりスパッタされた金属を遮蔽するプラズマチャンバ102の内面の見通し遮蔽(line-of-sight-shielding)を与える。このようなライナは、2007年1月16日に出願された「Plasma Source with Liner for Reducing Metal Contamination」というタイトルの米国特許出願第10/905,172号に記載されており、この特許出願は本出願人に譲渡されている。この米国特許出願の明細書全体は参照することにより本書に組み込まれる。
【0029】
種々の実施例においては、ライナはワンピース又は単一のプラズマチャンバライナ又は分割されたプラズマチャンバライナとする。多くの実施例においては、プラズマチャンバライナ125はアルミニウムのような金属基材からなる。これらの実施例においては、プラズマチャンバライナ125の内部表面125’はプラズマチャンバライナ基材のスパッタリングを防止する硬い皮膜材料を含む。
【0030】
プラズマドーピングプロセスなどのいくつかのプロセス処理は、二次電子放出のためにプラズマ源101の内面に不均一に分布した多量の熱を発生する。いくつかの実施例においては、プラズマチャンバライナ125は温度制御プラズマチャンバライナ125である。更に、いくつかの実施例においては、蓋124は、処理中に発生した熱負荷を消散させるために蓋124及び周囲区域の温度を調整する冷却システムを備える。冷却システムは、蓋124中に冷却通路を含み、冷却剤源からの液体冷却剤を循環させる流体冷却システムとすることができる。
【0031】
RFアンテナは、チャンバトップ118の第1部分120および第2部分122の少なくとも一つに隣接して設けられる。
図1のプラズマ源101は、互いに電気的に絶縁された2つの別個のRFアンテナを有する。しかし、他の実施例においては、この2つの別個のRFアンテナは電気的に接続される。
図1に示す実施例においては、複数ターンを有する平面コイルRFアンテナ126(平面アンテナあるいは水平アンテナということもある)は、チャンバトップ118の第1部分120に隣接して設けられる。さらに、複数ターンを有する螺旋コイルRFアンテナ128(螺旋アンテナあるいは垂直アンテナということもある)は、チャンバトップ118の第2部分122を取り囲む。
【0032】
いくつかの実施例においては、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つは実効アンテナコイル電圧を低減するキャパシタ129で終端される。用語「実効アンテナコイル電圧」は本書ではRFアンテナ126,128の両端間の電圧降下を意味すると定義する。換言すれば、実効コイル電圧は「イオンが見る」電圧であり、プラズマ中のイオンが経験する電圧と等価である。
【0033】
また、いくつかの実施例においては、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つは、Al
2O
3の誘電体窓材料の誘電率に比較してかなり低い誘電率を有する誘電体層134を含む。比較的低い誘電率の誘電体層134は同様に実効アンテナコイル電圧を低減する容量分圧器を実効的に形成する。更に、いくつかの実施例においては、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つは同様に実効アンテナコイル電圧を低減するファラデイシールド136を含む。
【0034】
RF電源のようなRF源130は、平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つに電気的に接続される。多くの実施例においては、RF源130は、RF源130からRFアンテナ126、128に伝達される電力を最大にするために、RF源130の出力インピーダンスをRFアンテナ126、128のインピーダンスに整合させるインピーダンス整合ネットワーク132によりRFアンテナ126、128に結合される。インピーダンス整合ネットワーク132の出力から平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128への破線は、インピーダンス整合ネットワーク132の出力から平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128のいずれか一方又は両方に電気接続し得ることを示す。
【0035】
いくつかの実施例においては、平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つは液体冷却されるように形成される。平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つを冷却することによってRFアンテナ126,128を伝播するRF電力により生じる温度勾配が低減する。
【0036】
いくつかの実施例においては、プラズマ源101はプラズマイグナイタ138を含む。多くのタイプのプラズマイグナイタがプラズマ源101とともに使用できる。一実施例においては、プラズマイグナイタ138は、プラズマの点弧を助ける、アルゴン(Ar)のような高イオン化ガスであるストライクガスの貯槽140を含む。貯槽140は高いコンダクタンスのガス接続でプラズマチャンバ102に結合される。バースト弁142が貯槽140を処理チャンバ102から分離する。別の実施例においては、ストライクガス源が低コンダクタンスガス接続で直接バースト弁142につながれる。いくつかの実施例においては、貯槽140の一部が限定コンダクタンスのオリフィスあるいは計測弁で分離され、安定した流量のストライクガスが最初の高流量バーストの後に供給される。
【0037】
プラテン144が、プロセスチャンバ102内に、プラズマ源101のトップ118より下に配置される。プラテン144は基板146をプラズマ処理のために保持する。多くの実施例では、基板146はプラテン144に電気的に接続される。
図1に示す実施例においては、プラテン144はプラズマ源101に平行である。しかし、本発明の一実施例においては、プラテン144は種々のプロセス目標を達成するためにプラズマ源101に対して傾けられる。
【0038】
プラテン144は基板146又は他の加工片を処理のために支持するのに用いられる。いくつかの実施例においては、プラテン144は基板146を少なくとも一方向に並進、走査、あるいは振動させる可動ステージに機械的に結合される。一実施例においては、可動ステージは、基板146をディザあるいは振動させるディザ生成器あるいはオシレータである。並進、ディザ、および/または振動運動はシャドー効果を低減あるいは除去し、基板146の表面を衝撃するイオンビームフラックスの均一性を向上することができる。
【0039】
バイアス電圧源148がプラテン144に電気的に接続される。バイアス電圧源148は、プラズマ中のイオンがプラズマから抽出され基板146を衝撃するようにプラテン144をバイアスするのに使用される。種々の実施例においては、イオンはプラズマドーピング用のドーパントイオンとすることができ、またエッチング及び堆積用の不活性又は反応性イオンとすることができる。種々の実施例においては、バイアス電圧源148はDC電源、パルス電源又はRF電源である。本発明によるプラズマ処理装置の一実施例においては、バイアス電圧源148は平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つを給電するRF源130の波形と独立の出力波形を有する。本発明によるプラズマ処理装置の別の実施例においては、バイアス電圧源148は平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つを給電するRF源130の波形と同期する出力波形を有する。バイアス電圧源148及びRF源130は、物理的に、2つの異なる出力を有する同一の電源又は別個の電源にすることができる。
【0040】
本発明によれば、コントローラ152は、プラズマを発生するように且つプラズマ処理中に電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するように基板146をバイアスするように、RF電源130及びバイアス電圧源148を制御するのに使用される。コントローラ152は電源130,148の一部分とすることができ、また電源130,148の制御入力端子に電気的に接続された別個のコントローラとすることができる。コントローラ152は、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の何れか一方又は両方に少なくとも2つの異なる振幅を有するパルスが供給されるようにRF電源130を制御する。更に、本発明によれば、コントローラ152は、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つ及び基板146にも、プラズマ処理中に電荷蓄積を少なくとも部分的に中和する相対的時間でパルスが供給されるように、RF電源130及びバイアス電圧源148を制御する。
【0041】
当業者は、本発明の特徴とともに使用できるプラズマ源101の多くの種々の可能な変形を理解されよう。例えば、「Tilted plasma doping」というタイトルで2005年4月25日に出願された米国特許出願第10/908,009号に記載されたプラズマ源の説明を参照されたい。また、「Conformal Doping Apparatus and Method」というタイトルで2005年10月13日に出願された米国特許出願第11/163,303号に記載されたプラズマ源の説明を参照されたい。また、「Conformal Doping Apparatus and method」というタイトルで2005年10月13日に出願された米国特許出願第11/163,307に記載されたプラズマ源の説明を参照されたい。さらに、「Plasma Doping with Electronically controllable Implant Angle」というタイトルで2006年12月4日に出願された米国特許出願第11/566,418号に記載されたプラズマ源の説明を参照のこと。米国特許出願第10/908,009号、第11/163,303号、第11/163,307号、第11/566,418号の明細書全体は参照することにより本書に組み込まれる。
【0042】
動作中、コントローラ152は、RFアンテナ126、128の少なくとも一つにRF電流を生成するようにRF源130に命令する。つまり、平面コイルRFアンテナ126および螺旋コイルRFアンテナ128の少なくとも一つをアクティブアンテナにする。「アクティブアンテナ」という用語は、ここでは電源により直接駆動されるアンテナと定義される。本発明のプラズマ処理装置の多くの実施例では、RF源130はパルスモードで動作する。しかし、RF源130は連続モードで動作してもよい。
【0043】
いくつかの実施例においては、平面コイルアンテナ126および螺旋コイルアンテナ128の一つは寄生アンテナである。「寄生アンテナ」という用語は、ここではアクティブアンテナと電磁通信を行うが、電源に直接接続されていないアンテナを意味するものと定義される。つまり、寄生アンテナは、直接電源により励起されるのではなく、むしろ近接するアクティブアンテナにより励起され、
図1Aに示される装置ではRF源130により給電される平面コイルアンテナ126及び螺旋コイルアンテナ128の何れかである。本発明のいくつかの実施例においては、寄生アンテナの一端はアンテナチューニング能力を与えるために接地電位に電気的に接続される。本実施例においては、寄生アンテナは、寄生アンテナコイルの有効巻き数を変更するのに使用されるコイル調節器150を含む。短絡メタルなどの様々な異なる種類のコイル調節器を使用しうる。
【0044】
RFアンテナ126,128を流れる電流はチャンバ102内に電流を誘導する。チャンバ102内のRF電流はプロセスガスを励起し、イオン化してチャンバ102内にプラズマを生成する。プラズマチャンバライナ125はプラズマ中のイオンによりスパッタされた金属が基板146に到達しないように遮蔽する。
【0045】
コントローラ152は、更に、プラズマ中のイオンを基板に向け引き付ける負電圧パルスで基板146をバイアスするようにバイアス電圧源148に命令する。負電圧パルスの間、プラズマシース内の電界はプラズマ処理のためにイオンを基板146に向け加速する。例えば、プラズマシース内の電界は、イオンを基板146の表面に注入するために、基板146の表面をエッチングするために、エッチングもしくは堆積のために基板146の表面上で化学反応を生じさせるために、又は基板146の表面上に薄膜を成長させるために、イオンを基板146に向け加速することができる。いくつかの実施例においては、イオンのエネルギーを高めるためにプラズマ中のイオンを基板に向け抽出するためにグリッドが使用される。
【0046】
RF源130及びバイアス電圧源148がある処理条件の下で、例えば比較的高いデューティサイクルで、パルスモードで動作される場合、電荷が基板146に蓄積し得る。基板146上の電荷蓄積はプラズマ処理中の基板146に比較的高い電圧を発生し、処理の不均一性、アーク放電及びデバイス損傷を生じ得る。基板上の電荷蓄積は、本発明に従ってRF源130で複数レベルのRF波形を発生させるとともに基板146をバイアスすることによって大きく低減することができる。更に、本発明に従ってRF源130で複数レベルのRF波形を発生させるとともに基板146をバイアスすることによって、プロセス速度及びプロセスプロファイルなどの所定の目標を達成することができる。
【0047】
図1Bは本発明による電荷中和手段を具えたプロセス処理システム170の別の実施例を示す。プラズマ処理システム170は容量RF放電システムである。容量RF放電プラズマ処理システムは当業界において良く知られている。プラズマ処理システム170はプロセスガス入り口174を有するプロセスチャンバ172を含み、質量流コントローラから供給ガスを受け入れプラズマ領域を経て流す。プラズマチャンバ172は真空ポンプに結合された排気ポート175も含み、排ガスを排出する。典型的には、チャンバ172内の圧力を制御するために、真空ポンプに結合された排気ポート175内にスロットル弁が設けられる。
【0048】
プラズマ処理システム170はしばしば平行平板電極176と呼ばれる2つの平面電極を含む。平行平板電極176はRF源178により駆動される。平行平板電極176は2−10cmの範囲の空隙で分離されている。阻止キャパシタ180がRF源178の出力と平行平板電極176との間に電気的に接続される。阻止キャパシタ180は駆動信号から直流及び低周波数信号を除去するために使用される。RF駆動信号は典型的には100−1000Vの範囲である。平行平板電極176は典型的には13.5MHzの信号で駆動されるが、他の周波数も適切である。
【0049】
従来の容量RF放電プラズマ処理システムにおいては、基板は直接下部平行平板上に置かれる。しかし、プラズマ処理システム170は下部平板と基板184との間に設置された絶縁体182を含む。絶縁体182は基板184をRF源178により駆動される平行平板電極176と無関係にバイアスすることを可能にする。別個の基板バイアス電圧源186が基板184をバイアスするために使用される。基板バイアス電圧源186の出力は絶縁体182上に位置する基板184に電気的に接続される。
【0050】
本発明によれば、コントローラ188は、プラズマを発生するように且つプラズマ処理中に電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するように基板146をバイアスするように、RF電源
178及びバイアス電圧源186を制御するのに使用される。コントローラ188は電源178,186の一部分にすることができ、また電源178,186の制御入力端子に電気的に接続された別個のコントローラとすることができる。コントローラ188は、平行平板電極176に少なくとも2つの異なる振幅を有するマルチレベルパルスが供給されるようにRF電源178を制御する。更に、本発明によれば、コントローラ188は、プラズマ処理中に電荷蓄積を少なくとも部分的に中和する相対的時間でRFパルスが平行平板電極176に供給されるように、RF電源178及びバイアス電圧源186を制御する。
【0051】
プラズマ処理システム170の動作はプラズマ処理システム100の動作に類似する。コントローラ188は、平行平板電極176の間で供給ガスからプラズマを生成するために、平行平板電極176間を伝播するRF電流を発生するようにRF源178に命令する。コントローラ188は、更に、プラズマ中のイオンを基板184の方へ引き付けるように負電圧パルスで基板184をバイアスするようにバイアス電圧源186に命令する。負電圧パルスの間、プラズマシース中の電界がプラズマ処理のためにイオンを基板184に向け加速する。例えば、プラズマシース中の電界はイオンを基板184に向け加速して、イオンを基板184の表面に注入する、又は基板184の表面をエッチングする、又はエッチング又は堆積のために基板184の表面上で化学的反応を発生する、又は基板184の表面上に薄膜を成長することができる。
【0052】
RF源178及びバイアス電圧源186がある処理条件の下で動作する場合、電荷が基板184に蓄積し得る。基板184上の電荷蓄積はプラズマ処理中の基板184に比較的高い電圧を発生し、処理の不均一性、アーク放電及びデバイス損傷を生じ得る。基板184上の電荷蓄積は、本発明に従ってRF源178で複数レベルのRF波形を発生させるとともに基板146をバイアスすることによって大きく低減することができる。更に、本発明に従ってRF源178で複数レベルのRF波形を発生させるとともに基板184をバイアスすることによって、プロセス速度及びプロセスプロファイルなどの所定の目標を達成することができる。
【0053】
本発明の方法及び装置は多くの他のタイプのプラズマ処理システムに適用することができる。例えば、本発明の方法及び装置は、ECRプラズマ処理システム、ヘリコンプラズマ処理システム及びヘリコン共鳴プラズマ処理システムに適用することができる。これらのシステムの各々においては、RF源が少なくとも2つのRF電力レベルを有するマルチ振幅パルスRF波形を発生する。更に、多くの実施例では、基板はバイアス電圧波形を発生するバイアス電圧源によりバイアスされ、このバイアス電圧波形はプラズマ源を駆動するRF波形とコントローラで同期させることができる。
【0054】
図2Aは、ある条件の下で基板146(
図1)に電荷蓄積を生じ得る、RF源130により発生される単一振幅を有する従来の波形200を示す。波形200は電力レベルP
RF202を有するパルスでプラズマが発生するまで接地電位にある。電力レベルP
RF202はプラズマドーピング及び多くのプラズマエッチング及びプラズマ堆積処理に適するように選択されている。パルスはパルス期間T
P204後に終了し、接地電位に戻る。波形は周期的に繰り返す。
【0055】
図2Bはプラズマ中のイオンを引き付けるためプラズマ処理中に基板146(
図1)に負電圧252を供給する、バイアス電圧源148により発生される従来の波形を示す。負電圧252は、RF源130により発生される波形200が電力レベルP
RF202に等しい電力を有する期間T
1254の間供給される。波形
250は、プラズマ処理が終了する期間T
2256の間接地電位にある。比較的高いデューティサイクル(即ち約25%より大きい、場合によっては2%より大きい)においては、RF源130により発生される波形
200が電力レベルP
RF202に等しい電力を有する期間T
1254の間に基板146に電荷が蓄積する傾向がある。
【0056】
本発明の方法及び装置は、電荷蓄積により生じる損傷の可能性を低減することによってプラズマドーピング、プラズマエッチング及びプラズマ堆積などのプラズマ処理を高いデューティサイクルで実行可能にする。プラズマ源101を給電するとともに処理中の基板を基板146上の電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するようにバイアスする本発明による多くの方法がある。
【0057】
図3Aは、本発明によるRF源130(
図1)により発生される、基板146(
図1)上の電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するための複数の振幅を有するRF電力波形300を示す。波形300はパルス状であって、それぞれP
RF1及びP
RF2で示される第1の電力レベル302及び第2の電力レベル304を有する。しかし、本発明の方法では基板146上の電荷蓄積を中和するために3つ以上の振幅を有する波形を用いることもできる。また、これらの波形は離散振幅を有するものであってもなくてもよいことも理解すべきである。例えば、これらの波形は連続的に変化させることができる。即ち、いくつかの実施例においては、これらの波形は正又は負の勾配で傾斜するものとすることができる。また、これらの波形は線形又は非線形レートで傾斜するものとすることもできる。
【0058】
第1の電力レベルP
RF1302は、基板146がプラズマ処理のためにバイアスされていないとき、基盤146上の電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するのに十分なRF電力を供給するように選択する。第2の電力レベルP
RF2304は、プラズマドーピング、プラズマエッチング及びプラズマ堆積などのプラズマ処理に適するように選択する。種々の実施例においては、RF源130により発生される第1及び第2の電力レベルP
RF1302及びP
RF2304を有する波形300を平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128(
図1)の一方又は両方に供給する。一つの特定の実施例においては、RF源130により発生される波形300を、それが第1の電力レベルP
RF1302であるとき、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の一方に供給し、それが第2の電力レベルP
RF2304であるとき、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の他方に供給する。別の特定の実施例においては、
図5A−5Cと関連して説明するように、RF源130により発生される波形300を、それが第1の周波数であるとき、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の一方に供給し、それが第1の周波数と異なる第2の周波数であるとき、平面コイルRFアンテナ126及び螺旋コイルRFアンテナ128の他方に供給する。
【0059】
図3Aに示す波形300は、第1の電力レベルP
RF1302が第2の電力レベルP
RF2304より大きいことを示している。しかし、他の実施例においては、第1の電力レベルP
RF1302は第2の電力レベルP
RF2より小さよい。また、いくつかの実施例においては、波形300は、
図6と関連して説明するように、基板146がプラズマ処理のためにバイアスされない場合にゼロもしくは比較的低い電力レベルの第3の電力レベルを含む。
【0060】
波形300は、第1のパルス期間T
P1は波形300が第1の電力レベルP
RF1302に等しい電力を有する期間に対応し、第2のパルス期間T
P2は波形300が第2の電力レベルP
RF2302に等しい電力を有する期間に対応することを示している。波形300の総マルチ振幅パルス期間T
Total310は第1のパルス期間T
P1306と第2のパルス期間T
P2308の和である。例えば、一実施例においては、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308はともに30−50μsであり、総パルス期間T
Total310は60μs−1msである。他の実施例においては、総パルス期間T
Total310は1ms程度もしくはそれより大きくすることができる。
【0061】
図3Aは、第1のパルス期間T
P1306中の波形300の周波数は第2のパルス期間T
P2308中の波形300の周波数と同一であることを示している。しかし、種々の実施例においては、第1のパルス期間T
P1306中の波形300の周波数は、
図5A−5Cと関連して説明するように第2のパルス期間T
P2308中の波形300の周波数と相違させることができる。更に、波形300の周波数は第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308の少なくとも一つ期間内で変化させることもできる。
【0062】
このように、いくつかの実施例においては、波形300は、プラズマ処理中の電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するように選択された複数の周波数及び複数の振幅の両方を含む。更に、いくつかの実施例においては、波形300は、プラズマドーピングのための残留ドーズのようなプロセスパラメータを高めるように選択された複数の周波数及び複数の振幅の両方を含む。更に、いくつかの実施例においては、波形300は、所定のプロセス目標の達成を助けるように選択された複数の周波数及び複数の振幅の両方を含む。例えば、波形300は、プロセス制御を高めプロセスレートを増大するために複数の周波数及び複数の振幅の両方を含むことができる。
【0063】
更に、波形300は、ノックオンイオン注入を達成してレトログレードドーピングプロファイルを形成するために複数の周波数及び複数の振幅の両方を含むことができる。また、波形300は、所定のエッチングプロファイル及びエッチングプロセス目標、例えば高いアスペクト比のエッチングプロファイルを達成するために複数の周波数及び複数の振幅の両方を含むこともできる。更に、波形300は、所定の堆積プロファイル及びプロセス目標、例えば高いアスペクト比構造への材料堆積、コンフォーマル又は略コンフォーマルコーティングの堆積及びトレンチ及び他のデバイス構造内のギャップ充填を達成するために複数の周波数及び複数の振幅の両方を含むこともできる。
【0064】
図3Bは、プラズマ処理中にイオンを引き付けるために基板146に負電圧352を供給する、本発明によるバイアス電圧源148(
図1)により発生されるバイアス電圧波形350を示す。バイアス電圧波形350はRF電力波形300と同期化される。しかし、バイアス電圧波形350のパルスはRF電力波形300のパルスと必ずしも整列する必要はないことを理解されたい。負電圧352は、RF源130により発生される波形300が第2の電力レベルP
RF2304に等しい電力を有する第2のパルス期間T
P2の間供給される。波形350は、波形300が第1の電力レベルP
RF1302に等しい電力を有しプラズマ処理が終了する第1のパルス期間T
P1306の間接地電位にある。
【0065】
バイアス電圧源148(
図1)により発生される波形350が接地電位にある期間T
P1の間第1の電力レベルP
RF1302がRF源130により供給されるようにプラズマ源101(
図1)に2つの異なる電力レベルを有する波形を供給することは、基板146(
図1)に蓄積された電荷の中和を助ける。対応するプラズマ中の電子が基板146に蓄積された電荷の少なくとも一部分を中和する。
【0066】
図3Cは、プラズマ処理中イオンを引き付けるために基板に負電圧を供給し、プラズマ処理の終了後に基板146上の電荷の中和を支援するために基板146に正電圧364を供給する本発明によるバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形360を示す。負電圧362は、RF源130により発生される波形300が第2の電力レベルP
RF2304に等しい電力を有する第2のパルス期間T
P2の間供給される。波形360は、RF源130により発生される波形300が第1の電力レベルP
RF1に等しい電力を有する第1のパルス期間T
P1の間正電位364にある。
【0067】
バイアス電圧源148(
図1)により発生される波形360が正電位364にある第1の期間T
P1の間第1の電力レベルP
RF1302がRF源130により供給されるようにプラズマ源101(
図1)に2つの異なる電力レベルを有する波形を供給することは、基板146(
図1)に蓄積された電荷の中和を助ける。対応するプラズマ中の電子が基板146に蓄積された電荷の少なくとも一部分を中和する。更に、基板146に供給される正電圧364も基板146に蓄積された電荷の少なくとも一部分を中和する。
【0068】
図4A−4Cは、
図3A−3Cと関連して説明した波形300,350及び360に類似するが、第1及び第2の電力レベルP
RF1302,P
RF2304の両方でプラズマ処理を実行するように波形300,350及び360に対して時間的に変位された、本発明によるRF源130により発生されるRF電力波形400及びバイアス電圧源148(
図1)により発生されるバイアス電圧波形402,404を示す。この実施例においては、RF電力波形400及びバイアス波形402,404は同期するが、RF電力波形400内のパルスはバイアス電圧波形402及び404内のパルスと整列しない。
【0069】
プラズマ処理中にRF源130により発生される電力を変化させることによってユーザはプロセス処理中に基板146に蓄積する電荷の量を一層精密に制御し、所定のプロセス目標及び効果を達成することが可能になる。例えば、第2のパルス期間T
P2308の終了近くの電力を増大することによって基板146に蓄積された電荷の中和が高まる。
【0070】
図5A−5Cは、本発明の別の実施例による、可変周波数を有するRF源130(
図1)により発生されるRF電力波形及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される対応するバイアス電圧波形502,504を示す。波形500は
図3及び
図4と関連して説明した波形300,400に類似する。しかし、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308におけるRF電力は同じであり、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308における周波数が相違する。波形500の周波数を変化させると、イオン/電子密度が変化し、その結果電荷の中和効率が変化する。
【0071】
従って、一つの実施例においては、第1のパルス期間T
P1306における波形300の周波数は第2のパルス期間T
P2における波形500の周波数と相違し、これらの周波数はプラズマ処理中の電荷蓄積を少なくとも部分的に中和するように選択される。波形502,504は
図3に関連して説明した波形350,360に類似する。他の実施例においては、波形502,504は、
図4と関連して説明した波形402,404の変位と同様に、波形500に対して時間的に変位される。
【0072】
更に、本発明の一つの態様においては、RF源130により発生される複数の電力レベル、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308における波形500の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する波形500の相対的タイミングなどのパラメータが、所定のプロセス目標を達成するように選択される。例えば、RF源130が複数の電力レベルを発生し、バイアス電圧が接地電位にあるとき一つの電力レベルがRF源130により発生されると、バイアス電圧が接地電位にあるときいくらかのプラズマ処理が起こるため、ユーザはプラズマ処理中の使用電力を少なくすること及び/又はプロセス時間を短縮することが可能になる。
【0073】
また、本発明の一実施例においては、RF源130(
図1)により発生される複数の電力レベルの少なくとも一つ、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308の少なくとも一つにおける波形500の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する波形500の相対的タイミングが、プラズマドーピング実行中の基板146(
図1)上の残留ドーズを高めるように選択される。例えば、プラズマ処理中に少ない電力を使用すると堆積が少なくなるため、基板内の残留ドーズが一層高くなる。この方法で残留ドーズを更に高めるためには動作温度、ガス流量、希釈ガスのタイプ及びプラズマ源の電力を選択することもできる。
【0074】
本発明の別に実施例においては、RF源130(
図1)により発生される複数の電力レベルの少なくとも一つ、第1及び第2のパルス期間T
P1306,T
P2308の少なくとも一つにおける波形500の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する波形500の相対的タイミングが、プラズマ処理中の側壁カバレッジを向上させるように選択される。ここでは、「側壁カバレッジを向上させる」は、側壁上の材料の堆積速度とイオンフラックスに垂直の基板表面上の材料の堆積速度との比に関連する。良好な側壁カバレッジの達成はコンフォーマルドーピング及びコンフォーマル堆積応用などの多くの応用に重要である。例えば、多くの3次元及び他の最先端デバイスはコンフォーマルドーピング及びコンフォーマル堆積を必要としている。
【0075】
また、本発明の別の実施例においては、RF源130(
図1)によって所定の複数の電力レベル、所定の複数の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する所定の相対的タイミングを有する波形が、プラズマドーピングのためのノックオンイオン注入を生成するために発生される。ここでは、「ノックオンイオン注入」は、イオンを基板146の表面層を通して注入してドーパント材料を基板146内に押し込むリコイルイオン注入と定義される。
【0076】
ノックオンイオン注入のために使用するイオンはHe,Ne,Ar,Kr及びXeなどの不活性イオン種とすることができ、これらは不活性供給ガスから形成することができる。いくつかの実施例においては、ノックオンイオンの質量は所望のドーパントイオンの質量に同等に選択する。RF源130(
図1)は、ノックオンイオンを十分なエネルギーで基板146(
図1)に向け供給し、衝突時に堆積されているドーパント材料を基板146(
図1)のプレーナ及び非プレーナフィーチャ内に物理的に叩き込むのに十分なRF電力を発生する。また、チャンバ圧力、ガス流量、プラズマ源電力、ガス希釈度及びパルスバイアス電圧源のデューティサイクルなどの動作パラメータを、ノックオンイオン注入を高めるように選択することもできる。
【0077】
ノックオンイオン注入はレトログレードドーピングプロファイルを形成するために使用することができる。RF源130(
図1)によって、所定の複数の電力レベル、所定の複数の周波数及びバイアス電圧源148により発生される波形に対する所定の相対的タイミングを有する波形が、レトログレードプロファイル、例えばレトログレードドーピングプロファイル又はレトログレード堆積膜プロファイルを生成するように発生される。ここでは、「レトログレードプロファイル」は、プロファイルのピーク濃度が基板の表面下にあるものと定義される。例えば、本出願人に譲渡されている、「A Method of Forming a Retrograde Material Profile Using Ion Implantation」というタイトルの米国特許出願第12/044,619号参照。この米国特許出願の明細書全体は参照することによりここに含まれる。
【0078】
プラズマドーピングにおいては、イオン注入層の深さを精密に制御することが多くの理由で困難であるため、時にはレトログレードイオン注入ドーパントプロファイルを形成するのが望ましい。例えば、プラズマドーピング中に、物理的スパッタリング及び化学的エッチングに起因する基板表面の意図しないエッチングが起こり得る。更に、多数のイオン種の存在、イオン間の衝突、プラズマシース内の不均一性、二次電子放出の存在、寄生インピーダンスにより形成される変位電流及び非理想的バイアスパルスの印加などの多くの要因により大きなイオン注入エネルギー分布が生じ得る。
【0079】
更に、堆積された又は注入された材料の最大ピーク濃度の大部分が基板表面又はその近くに位置するために表面ピークドーパントプロフィルがポスト堆積又はポスト注入に極めて敏感であるために、時にはレトログレードイオン注入ドーパントプロファイルを形成するのが望ましい。特に、典型的には注入後に実行されるフォトレジストストリッププロセスは表面近くのドーパント材料のかなりの量を除去し得る。
【0080】
他の実施例においては、RF源130(
図1)によって所定の複数の電力レベル、所定の複数の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する所定の相対的タイミングを有する波形が、所定のプロセス目標又はエッチングプロファイルのようなプロセスプロファイルを達成するために発生される。例えば、複数の電力レベル、複数の周波数及びバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対する相対的タイミングを高いアスペクト比のエッチングプロファイル又は所定のタイプの堆積プロファイルを達成するように選択することができる。
【0081】
当業者は、本発明によるRF源130(
図1)により発生される波形は複数の振幅及び複数の周波数の両方を有することができるとともにバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対して種々の相対的タイミングを有することができることを十分よく理解されよう。実際上、電荷を少なくとも部分的に中和し得る及び/又はここに記載されたプロセス目標を達成し得る、RF源130(
図1)により発生し得る複数の電力レベル及び複数の周波数並びにバイアス電圧源148(
図1)により発生される波形に対して相対的タイミングを有する波形が無限に存在する。
【0082】
図6は、本発明の一実施例において測定されたマルチセットポイントRF電力及び制御信号波形を示す。波形600は時刻t
0で始まる時間の関数としてのRF電力及び制御信号波形を含む。波形600はイオン注入期間602、電荷中和期間604及びパワーオフ期間660を示す。
【0083】
図1及び6を参照すると、時刻t
0において、コントローラ152(
図1)は、プラズマ中のイオンを基板146(
図1)の方へ引き付ける負電圧パルスで基板146をバイアするようにバイアス電圧源148(
図1)に命令する注入パルス608を発生する。注入パルス
608の立ち上がり時間は約30マイクロ秒である。更に、時刻t
0において、コントローラ152は、第1の電力レベルを有するRF電力波形610を開始するRFパルス制御信号を発生する。イオン注入期間602において、コントローラ152は、RF電流をRFアンテナ126及び128(
図1)の少なくとも一つに流れさせる第1のRFパルス制御信号612を発生する。第1のRFパルス制御信号612の立ち上がり時間は約30マイクロ秒である。
【0084】
第1のRFパルス制御信号612及び注入パルス信号608が両方とも零に戻るとき、電荷中和期間604が開始する。第1のRFパルス制御信号および注入制御信号の立ち下がり時間は約20マイクロ秒である。電荷中和期間604において、コントローラ152は、RF電力波形610を第2の電力レベルに上昇させる第2のRFパルス制御信号を発生する。多くの実施例においては、第2の電力レベルは
図6に示すように第1の電力レベルより大きい。しかし、他の実施例においては、第2の電力レベルは第1の電力レベルより低い電力レベルを含む任意の電力レベルにすることができる。第2のRFパルス信号の立ち上がり時間は約30マイクロ秒である。電荷中和期間60において、基板146上の電荷の少なくとも一部分がプラズマ中の電子により効率よく中和される。この部分的又は完全な電荷の中和は基板への望ましくない帯電効果を低減する。
【0085】
第2のRFパルス制御信号614が零にもどるとき、パワーオフ期間606が開始する。第2のパルス制御信号614の立ち下がり時間は約20マイクロ秒である。パワーオフ期間606において、RF電力は消失し、プラズマは終了する。本発明による強化された電荷中和ステップを備えるプラズマ処理の方法は多くの異なるマルチセットポイントRF電力及び制御信号波形600で使用することができる。
【0086】
本発明による電荷中和方法は多数の他のタイプのプラズマ処理装置とともに使用できる。例えば、本電荷中和方法は誘導結合プラズマ(ICP)源、ヘリコン共鳴プラズマ源、マイクロ波プラズマ源、ECRパルス源及び容量結合プラズマ源とともに使用できる。実際には、本発明の方法を実行するためにパルスモードで動作し得る任意のタイプのプラズマ源を使用することができる。
【0087】
等価例
本発明の教えを種々の実施例及び用例と関連して記載したが、本発明の教えはこれらの実施例に限定されるものではない。それどころか、本発明の教えは、当業者によく理解されるように、本発明の精神及び範囲から離れることなく成し得る種々の代替例、変更例及び等価例も含むものである。