(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ユニット式建物の構造]
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には本実施形態に係るユニット式建物1の全体斜視図が示されている。
図1に示すように、本実施形態のユニット式建物1は、基礎2と基礎2の上に設けられた下階部3と、下階部3の上に設けられた上階部4と、上階部4の上に設けられた屋根部5とを備えて構成されている。
【0016】
下階部3および上階部4はそれぞれ、2個の建物ユニット10と、これら建物ユニット10を離間して連結する離し置き部6とで構成されている。さらに、ユニット式建物1は、下階部3および上階部4に水平方向で隣り合う直交建物ユニット20が連結されて構成されている。直交建物ユニット20は、下階部3および上階部4の建物ユニット10の高さより低く形成され、その長辺が建物ユニット10の長辺と直交するように配置されている。このとき、直交建物ユニット20は、建物ユニット10の内の一方の建物ユニット10Aを跨って配置され、他方の建物ユニット10Bを跨がずに配置されている。
そして、下階部3および上階部4において、建物ユニット10A,10Bは、その長辺同士を対向させて離して配置されている。このようにして離し置きされることによって、離し置き部6が形成されている。
【0017】
図2には、ユニット式建物1の下階部3または上階部4の連結状態を示す分解斜視図が示されている。なお、
図2は、説明の都合上、下階部3および最下層の直交建物ユニット20の下部を切り欠いて示す。
離し置きされた建物ユニット10A,10B同士を連結するために、離し置き部6には、建物ユニット10A,10Bに渡って連結梁30が架け渡されている。
また、建物ユニット10A,10Bと直交建物ユニット20とを連結する部位には、平面略L字形のシアプレート71および平面略矩形のシアプレート72と、連結部材8,9が取り付けられている。
【0018】
建物ユニット10A,10Bは、四隅に立設される4本の柱11と、これらの柱11の上端間同士を仕口14を介して結合する各4本の天井梁12と、これらの柱11の下端間同士を仕口14を介して結合する各4本の床梁13とで構成される直方体状の骨組を備えている。建物ユニット10A,10Bの仕口14が、本発明における建物ユニット10A,10Bの角部を構成する。天井梁12は、各2本ずつの長辺天井梁12A、短辺天井梁12Bで形成され、床梁13は、各2本ずつの長辺床梁13A、短辺床梁13Bで形成されている。
【0019】
ここで、対向する長辺天井梁12Aの間には、中間梁15が架け渡されている。さらに、天井梁12と中間梁15とで区画される部分には、ブレース16が対角線状に架け渡されている。
なお、
図2では、説明の都合上、下階部3を構成する建物ユニット10A,10Bにおいて、天井梁12、中間梁15およびブレース16の記載は省略した。
さらに、上階部4を構成する建物ユニット10A,10Bには、対向する長辺天井梁12Aの間に、天井を形成する図示しない天井面材を支持するために、図示しない複数の天井小梁が架け渡されている。また、下階部3を構成する建物ユニット10A,10Bには、対向する長辺床梁13Aの間に、床を形成する図示しない床面材を支持するために、図示しない複数の根太が架け渡されている。また、壁を設ける場所には、室内側に図示しない内壁パネルが取り付けられ、室外側に図示しない外壁パネルが取り付けられる。
【0020】
離し置き部6は、前記したように、建物ユニット10A,10Bの長辺同士を対向させて離して配置されることで形成されている。
離し置き部6を介して対向して配置される建物ユニット10A,10B同士は連結梁30で連結されている。具体的には建物ユニット10A,10Bの仕口14に対して、連結梁30の端部31が連結材33を介してボルト接合されている。
また、建物ユニット10A,10Bの中間梁15が架け渡されている部位に対応させて、離し置き部6にも中間連結梁32が架け渡されている。このとき、一方の建物ユニット10Aの中間梁15と、離し置き部6の中間連結梁32と、他方の建物ユニット10Bの中間梁15とが略同一直線状になるように架け渡されている。
さらに、連結梁30と中間連結梁32とで区画される部分には、ブレース34が対角線状に架け渡されている。
【0021】
直交建物ユニット20は、四隅に立設される4本の柱21と、これらの柱21の上端間同士を仕口24を介して結合する各4本の天井梁22と、これらの柱21の下端間同士を仕口24を介して結合する各4本の床梁23とで構成される直方体状の骨組を備えている。直交建物ユニット20の仕口24が、本発明における直交建物ユニット20の角部を構成する。天井梁22は、各2本ずつの長辺天井梁22A、短辺天井梁22Bで形成され、床梁23は、各2本ずつの長辺床梁23A、短辺床梁23Bで形成されている。
前記したように、直交建物ユニット20は、高さ寸法が建物ユニット10A,10Bの高さ寸法より低く形成されている。そして、直交建物ユニット20は、その長辺が建物ユニット10A,10Bの長辺と直交し、一方の建物ユニット10Aと離し置き部6とに跨って配置されている。すなわち、直交建物ユニット20は、長辺天井梁22Aおよび長辺床梁23Aは、当該一方の建物ユニット10Aの短辺と離し置き部6に跨ることが可能な長さに形成されている。
さらに、直交建物ユニット20は、鉛直方向に3層に積層する状態で連結され、この3層で積層する高さ寸法が、鉛直方向に2層で積層する建物ユニット10A,10Bの高さ寸法と同一に形成されている。
【0022】
また、直交建物ユニット20には、対向する長辺天井梁22Aの間に、中間梁25が架け渡されている。この中間梁25と建物ユニット10Aの長辺天井梁12Aとは、略同一直線状になるように架け渡されている。
さらに、天井梁22と中間梁25とで区画される部分には、ブレース26が対角線状に架け渡されている。
【0023】
直交建物ユニット20の仕口24の内、離し置き部6に隣接する仕口24は、他方の建物ユニット10Bの仕口14と雁行する位置に配置されている。この仕口24とは長辺天井梁22Aを挟んで反対側の位置にある仕口24は、建物ユニット10Aの仕口14に対向する位置に配置されている。
すなわち、下階部3の建物ユニット10A,10Bの下部の仕口14と、最下層の直交建物ユニット20Aの下部の仕口24とは水平方向で対向するとともに、上階部4の建物ユニット10A,10Bの上部の仕口14と、最上層の直交建物ユニット20Cの上部の仕口24とは水平方向で対向する。そして、下階部3の建物ユニット10A,10Bの上部の仕口14および上階部4の建物ユニット10A,10Bの下部の仕口14と、最下層の直交建物ユニット20Aの上部の仕口24、中間層の直交建物ユニット20Bの仕口24および最上層の直交建物ユニット20Cの下部の仕口24とは水平方向では対向せず、雁行する位置関係となっている。
そして、高さが異なる直交建物ユニット20と建物ユニット10とは、シアプレート71,72と連結部材8,9とにより連結されている。
【0024】
図3には、直交建物ユニット20と、建物ユニット10Bとをシアプレート71で連結する部位を拡大した平面図が示されている。
前記したように、建物ユニット10Bの仕口14と直交建物ユニット20Cの仕口24とが雁行する位置に配置されている。そして、この雁行配置された仕口24に対して、連結梁30の端部31が連結材33を介してボルト接合されている。
建物ユニット10Bの仕口14と、この仕口14に対して雁行する位置にある直交建物ユニット20Cの仕口24とは、シアプレート71を介して連結される。
シアプレート71は、これらの仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31に渡って取り付け可能なように平面略L字形に形成されている。
【0025】
次に、シアプレート71を用いた連結態様について詳細に説明する。
シアプレート71が取り付けられる建物ユニット10Bの柱頭側の仕口14の上面には、2つの位置決めピン17と、図示しない1つの挿通孔とが設けられている。
また、シアプレート71が取り付けられる連結梁30の端部31の上面には、2つの位置決めピン35と、図示しない1つの挿通孔が設けられている。
さらに、シアプレート71が取り付けられる直交建物ユニット20の柱頭側の仕口24の上面には2つの位置決めピン27と、図示しない1つの挿通孔が設けられている。
【0026】
シアプレート71には、6つの位置決め孔73と図示しない3つの挿通孔とが設けられている。これらの位置決め孔73は、前記したように仕口14と仕口24とが雁行配置された際の位置決めピン17,27,35に対応する位置に設けられている。
さらに、これらの3つの挿通孔は、仕口14、仕口24および連結梁30の端部31にそれぞれ1つずつ設けられた挿通孔に対応する位置に設けられている。
すなわち、シアプレート71が仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31に渡って取り付けられた際に、シアプレート71の挿通孔の1つずつが、仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31の挿通孔それぞれに対して、
図3における紙面の垂直方向にボルト74が挿通可能に配置されている。例えば、シアプレート71の1つの挿通孔は、仕口14の挿通孔に対応して配置されている。
【0027】
そして、建物ユニット10Bの位置決めピン17と、連結梁30の端部31の位置決めピン35と、直交建物ユニット20Cの仕口24の位置決めピン27とが、シアプレート71の位置決め孔73に挿通され、シアプレート71が仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31に渡って取り付けられている。シアプレート71が取り付けられたことによって、直交建物ユニット20Cと建物ユニット10Bとの位置が決定されている。
さらに、シアプレート71の挿通孔、並びに、仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31の挿通孔に対してボルト74が挿通され、このボルト74に図示しないナットが螺合されて固定されることにより、グラウンドレベルからの高さが一致する直交建物ユニット20の上端と建物ユニット10Bの上端と連結梁30とが、シアプレート71により連結される。
【0028】
図4には、直交建物ユニット20Cと、建物ユニット10Aとをシアプレート72で連結する部位を拡大した平面図が示されている。
建物ユニット10Aの仕口14と、直交建物ユニット20Cの長辺天井梁22Aとは、シアプレート72を介して連結される。
シアプレート72は、この仕口14、長辺天井梁22A、および連結梁30の端部31に渡って取り付け可能なように平面略矩形に形成されている。
【0029】
次に、シアプレート72を用いた連結態様について詳細に説明する。
シアプレート72が取り付けられる建物ユニット10Aの柱頭側の仕口14の上面には、2つの位置決めピン17と、図示しない1つの挿通孔とが設けられている。
また、シアプレート72が取り付けられる連結梁30の端部31の上面には、2つの位置決めピン35と、図示しない1つの挿通孔が設けられている。
さらに、シアプレート72が取り付けられる直交建物ユニット20Cの長辺天井梁22Aの上面には図示しない2つの挿通孔が設けられている。
【0030】
シアプレート72には、4つの位置決め孔73と図示しない4つの挿通孔とが設けられている。これらの位置決め孔73は、仕口14と連結梁30の端部31とが接合された際の位置決めピン17,35に対応する位置に設けられている。
さらに、これらの4つの挿通孔は、仕口14および連結梁30の端部31にそれぞれ1つずつ設けられた挿通孔、並びに長辺天井梁22Aに2つ設けられた挿通孔に対応する位置に設けられている。
すなわち、シアプレート72が仕口14、長辺天井梁22A、および連結梁30の端部31に渡って取り付けられた際に、シアプレート72の挿通孔の一つずつが、仕口14、連結梁30の端部31および長辺天井梁22Aの挿通孔それぞれに対して、
図4における紙面の垂直方向にボルト74が挿通可能に配置されている。例えば、シアプレート72の一つの挿通孔は、長辺天井梁22Aの一方の挿通孔に対応して配置されている。
【0031】
そして、建物ユニット10Aの位置決めピン17と、連結梁30の端部31の位置決めピン35とが、シアプレート72の位置決め孔73に挿通され、シアプレート72が仕口14、仕口24、および連結梁30の端部31に渡って取り付けられている。シアプレート72が取り付けられたことによって、直交建物ユニット20Cと建物ユニット10Aとの位置が決定されている。
さらに、シアプレート72の挿通孔、並びに、仕口14、連結梁30の端部31、および長辺天井梁22Aの挿通孔に対してボルト74が挿通され、このボルト74に図示しないナットが螺合されて固定されることにより、グラウンドレベルからの高さが一致する直交建物ユニット20Cと建物ユニット10Aと連結梁30とが連結される。
【0032】
図5には、直交建物ユニット20A,20Bと、建物ユニット10Aとを連結部材8で連結する部位を拡大した分解斜視図が示されている。
図6には、直交建物ユニット20A,20Bと、建物ユニット10Aとを連結部材8で連結する部位を拡大した正面図が示されている。
図7には、直交建物ユニット20A,20Bと、建物ユニット10Aとを連結部材8で連結する部位を拡大した平面断面図が示されている。
グラウンドレベルからの高さが異なる建物ユニット10Aの仕口14と、直交建物ユニット20A,20Bの仕口24とにおける外面に望む仕口14と仕口24とは、連結部材8を介して連結される。
【0033】
連結部材8は、仕口14,24を含む領域に亘って取り付け可能なように平面略矩形に形成されている。
具体的には、連結部材8は、平面略矩形に形成された挟持板部81と、連結対象の直交建物ユニット20A,20Bおよび建物ユニット10Aの仕口14,24の近傍の柱11,21にそれぞれ取り付けられる複数の取付部85と、挟持板部81を取付部85に取り付ける連結部86と、により構成されている。
【0034】
挟持板部81は、例えば鋼板などにて形成されている。この挟持板部81は、建物ユニット10Aの仕口14と直交建物ユニット20A,20Bの仕口24とを含む領域に対応した平面略矩形の平板部81Aと、この平板部81Aの長手方向の両側に同方向に折曲された支持壁部81B,81Cとを備え、断面C字状に形成されている。なお、一方の支持壁部81Bの高さ寸法は、他方の支持壁部81Cの高さ寸法と平板部81Aの厚さ寸法とを合算した寸法と同寸法に形成されている。
そして、平板部81Aには、連結部86が取り付けられる貫通孔81Dが対をなして複数設けられている。なお、
図2,5は、説明の都合上、挟持板部81を板状に示す。
【0035】
取付部85は、例えば鋼板などにて形成されている。この取付部85は、直交建物ユニット20A,20Bの柱21あるいは建物ユニット10Aの柱11にそれぞれ取り付けられる固定部85Aと、この固定部85Aに略垂直に折曲された取付板部85Bとを有し、断面L字状に形成されている。また、取付板部85Bには、挟持板部81の貫通孔81Dに対応する取付孔85Cが一対設けられている。
そして、取付部85は、挟持板部81が取り付けられる平面X(
図7参照)に沿って取付板部85Bが位置もしくは取付板部85Bが平面Xから若干突出するように、固定部85Aが柱11,21に溶接やボルト止めなどにより取り付けられ、柱11,21に一体に取り付けられる。
【0036】
連結部86は、挟持板部81の貫通孔81Dおよび取付部85の取付孔85Cを貫通するボルト86Aと、このボルト86Aに螺着され挟持板部81を取付部85の取付板部85Bにねじ止めするナット86Bとにより構成されている。
そして、挟持板部81が取付部85に連結部86により取り付け固定されることで、グラウンドレベルからの高さが異なる直交建物ユニット20A,20Bと建物ユニット10Aとが連結される。
【0037】
図8には、仕口14,24が雁行する位置関係の直交建物ユニット20A,20Bと、建物ユニット10Bとを連結部材9で連結する部位を拡大した側面断面図が示されている。
図9には、直交建物ユニット20A,20Bと、建物ユニット10Bとを連結部材9で連結する部位を拡大した平面断面図が示されている。
グラウンドレベルからの高さが異なる建物ユニット10Bの仕口14と、直交建物ユニット20A,20Bの仕口24とは、連結部材9を介して連結される。
【0038】
連結部材9は、仕口14,24を含む領域に亘って取り付け可能なように平面略矩形に形成されている。
具体的には、連結部材9は、平面略矩形に形成された挟持板部91と、連結部材8の取付部85および連結部86と、により構成されている。
挟持板部91は、一対の挟持板部81が一方の挟持板部81の支持壁部81Bの内側に他方の挟持板部81の支持壁部81Cが位置するように支持壁部81B,81Cの折曲方向で対向して重ね合わされて構成されている。
なお、一対の挟持板部81の厚さ寸法は、直交建物ユニット20A,20Bと建物ユニット10Bとの距離と同寸法となるように形成されている。具体的には、挟持板部81の支持壁部81Bの高さ寸法と平板部81Aの厚さ寸法との合算した寸法が直交建物ユニット20A,20Bと建物ユニット10Bとの距離となるように、挟持板部81が形成されている。また、一対の挟持板部81の貫通孔81Dは、重ね合わされた状態でそれぞれ連結部86のボルト86Aが貫通可能に同軸上に位置して設けられている。また、一対の挟持板部81は、溶接などにより一体的に連結された構成に限らず、それぞれ別体として、施工時に対向配置させて取付部85に取り付けてもよい。
そして、挟持板部91が柱11,21にそれぞれ取り付けられた取付部85に連結部86により取り付け固定されることで、グラウンドレベルからの高さが異なる直交建物ユニット20A,20Bと建物ユニット10Bとが連結される。
なお、挟持板部91は、一対の挟持板部81を重ね合わせた構成で、当接する支持壁部81B,81Cの近傍に貫通孔81Dが設けられているので、支持壁部81B,81Cがスペーサーとして機能する。このため、連結部86のナット86Bを締め付けても、支持壁部81B,81Cにより、一対の挟持板部81が互いに近接する状態に撓むことを防止して、確実に挟持板部91が取付固定される。
【0039】
[実施形態の作用効果]
以上のような実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)鉛直方向で隣り合う建物ユニット10の仕口14、および、これら建物ユニット10の水平方向で隣り合う高さが異なる直交建物ユニット20の仕口24を含む平面Xに沿って、これら仕口14,24を含む矩形状の挟持板部81,91を配置する。各建物ユニット10の仕口14および直交建物ユニット20の仕口24にそれぞれ連続する柱11,21にそれぞれ取付部85を取り付ける。連結部86により挟持板部81,91を取付部85に取り付けることで、挟持板部81,91が高さの異なる各建物ユニット10の仕口14および直交建物ユニット20の仕口24に跨って取り付けられる。
このことにより、平面矩形状の簡単な形状の挟持板部81,91を用いて高さが異なる隣り合う建物ユニット10および直交建物ユニット20の連結状態が得られ、建物ユニット10および直交建物ユニット20に対して隣り合う方向となる水平方向に応力が作用しても挟持板部81,91で応力に抗する状態となる。すなわち、建物ユニット10と直交建物ユニット20との間の水平力の伝達を確実にすることができる。このため、離し置き部6を設けた構造や離し置き間隔を広げた場合でも、ねじれなどを抑制することができ、ユニット式建物1全体の剛性を確保できる。さらに、高さが異なる各建物ユニット10および直交建物ユニット20の仕口14,24を含む領域の矩形状の挟持板部81,91を柱11,21に取り付けた取付部85に連結部86にて取り付ける簡単な構成で、異なる高さの建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結でき、施工性を向上できる。
【0040】
(2)挟持板部91における連結部86が貫通する位置の近傍、すなわち対向する挟持板部81における互いに当接しスペーサーとして機能する支持壁部81B,81Cを折曲形成している。
このため、仮にユニット式建物1の構造や設計上の都合により隣り合う建物ユニット10および直交建物ユニット20間に隙間が生じる場合でも、支持壁部81B,81Cが隙間を吸収して、建物ユニット10と直交建物ユニット20とをがたつきなく連結でき、ユニット式建物1全体の剛性を確保できる。
また、支持壁部81B,81Cにより、挟持板部81の強度を向上でき強度が向上する分を肉薄に形成できるとともに、別体のスペーサーを用いる必要がなく、ユニット式建物1のコストを低減できる。
【0041】
(3)連結部86として、挟持板部81,91を貫通して取付部85に取り付けるボルト86Aを備えることで、例えばナット86Bを用いて挟持板部81,91を隣り合う建物ユニット10および直交建物ユニット20に強固に取り付けできる。
このため、ボルト86Aを用いる簡単な構造で、ユニット式建物1全体の剛性を確保できる。
【0042】
(4)取付部85として、建物ユニット10および直交建物ユニット20の柱11,21に取り付けられる固定部85Aの一縁に、挟持板部81,91が取り付けられる取付板部85Bを折曲形成して構成している。
このため、断面L字状の簡単な構造で、隣り合う建物ユニット10および直交建物ユニット20の仕口14,24が含まれる平面Xに、挟持板部81,91を容易に取り付けできる。
【0043】
(5)高さが異なる建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結するための連結部材8,9として、連結部材8の挟持板部81と連結部材9の挟持板部91を構成する挟持板部81と同一形状としている。
すなわち、挟持板部81として、平板部81Aと、この平板部81Aの長手方向の両側に同方向に折曲された支持壁部81B,81Cとを備え、断面C字状に形成する。そして、支持壁部81Bの高さ寸法は、他方の支持壁部81Cの高さ寸法と平板部81Aの厚さ寸法とを合算した寸法と同寸法に形成し、互いに対向させることで挟持板部91を構成可能としている。
このことにより、一平面X側で建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結する場合には、1つのみ使用する連結部材8を用い、建物ユニット10と直交建物ユニット20との間に位置して連結する場合には、挟持板部81を一対対向させて用いる連結部材9とすればよく、材料の共用により建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結するコストを低減できる。
【0044】
(6)建物ユニット10および直交建物ユニット20の連結に際して、高さが同じとなる位置では、平板状のシアプレート71,72を用いて連結し、高さが異なる箇所では連結部材8,9を用いる。
このため、ユニット式建物1の施工が容易で各建物ユニット10および直交建物ユニット20を確実に強固に連結できる。
【0045】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、建物ユニット10と直交建物ユニット20を併用するユニット式建物1を例示したが、高さ寸法が異なる建物ユニットを適宜組み合わせて構成され、シアプレート71,72では連結できない構成であれば、いずれのユニット式建物1にも適用できる。例えば、前記実施形態では、直交建物ユニット20を1列分設けた構成としたが、複数列設けた構成、さらには建物ユニット10と直交建物ユニット20とが鉛直方向で隣り合う構成としてもよい。さらに、ユニット式建物1としては、離し置き部6を用いない構成も対象とすることができる。
【0046】
そして、高さ寸法が同一となる箇所にはシアプレート71,72を用いる構成を例示したが、これらを用いず、連結部材8,9を用いて連結してもよい。
また、連結部材8を平面Xが外面に望む箇所に用いて説明したが、連結部材8に代えて連結部材9を用いてもよい。すなわち、例えば
図10に示すように、挟持板部81を対向させて一対用いて連結してもよい。
この構成により、一対の挟持板部81を用いることにより、専用の部材を設けることなく挟持板部91として強度を向上でき、ユニット式建物1全体の剛性をさらに向上できる。
【0047】
さらに、上記実施形態では、連結部材9を高さが異なる仕口14,24が雁行する位置関係の建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結する構成を例示したが、例えば
図11に示すように4つの建物ユニット10および直交建物ユニット20を連結したり、3つを連結したりする箇所にも利用できる。なお、
図11は、説明の都合上、取付部85の位置で段差状に断面として示す。
この
図11に示すように、水平方向で隣り合う各建物ユニット10同士あるいは建物ユニット10および直交建物ユニット20に、これら建物ユニット10や直交建物ユニット20の仕口14,24を含む平面Xを介して水平方向で隣り合う建物ユニット10や直交建物ユニット20との間に挟持板部91を配置する。挟持板部91を介して隣り合う建物ユニット10,20の対向する柱11,21における対向位置に、取付部85をそれぞれ対をなして取り付ける。対をなす取付部85に挟持板部91を貫通した連結部86を取り付ける。挟持板部91が、平面Xを介して互いに水平方向で隣り合う建物ユニット10や直交建物ユニット20間に挟まれる状態で各建物ユニット10や直交建物ユニット20に取り付けられる。
このため、
図11に示す構成では、平面Xを介して水平方向で隣り合う建物ユニット10,20も1つの挟持板部91で連結され、平面Xにそれぞれ挟持板部91を取り付ける必要がなく、連結作業を低減できる。
【0048】
そして、連結部材9として、同一の挟持板部81を対向配置して構成したが、この限りではない。
例えば、
図12に示すように、例えば一方の挟持板部81には一対の支持壁部81Bを設け、他方の挟持板部81には一対の支持壁部81Cを設け、一方の挟持板部81の内側に他方の挟持板部81が位置するようにしてもよい。
【0049】
さらに、一対の挟持板部81の対向配置として、支持壁部81Bの内側に支持壁部81Cが重なるように配置させたが、例えば
図13に示すように、離間させて対向配置してもよい。
すなわち、連結部86を貫通させる位置の両側で、支持壁部81B,81Cが位置するように対向配置させてもよい。この構成では、支持壁部81Cに近接する位置では貫通孔81Dを設けなくてよい。
この
図13に示すように、連結部86の両側に支持壁部81B,81Cが位置するので、連結部86の取付による平板部81Aの変形を防止できる。また、対向する挟持板部81を幅方向でずらすことで、隣り合う建物ユニット20および直交建物ユニット20間の間隙が異なる場合でも対応でき、汎用性をより向上できる。
【0050】
また、連結部材9として、対向する一対の挟持板部91の支持壁部81B,81Cをスペーサーとして機能させたが、例えば
図14に示すように、別体のスペーサー93を用いてもよい。このスペーサー93は、例えば断面C字状の鋼材93Aを互いに対向配置させ、連結部86が挿通される図示しない挿通孔を有している。
この
図14に示す別体のスペーサー93を用いることで、平面Xを介して対向する建物ユニット10および直交建物ユニット20間の間隙が異なる場合でも、高さの異なるスペーサー93を適宜変更して用いるのみでよく、汎用性をより向上できる。
なお、スペーサー93としては、断面C字状の鋼材93Aを互いに対向配置させた中空構成に限らず、例えば中実のもの、円柱形状に形成したものなど、連結部86をがたつきなく取り付け固定可能ないずれの形状とすることができる。また、材質についても、例えばセラミックスや木材など、金属製のものに限らず、がたつきなく取り付け固定できるいずれの材料を適用できる。
【0051】
さらに、連結部材8,9として、長方形状で長手方向の両側が折曲した断面C字状の挟持板部81を用いた構成を例示したが、この形状に限らず、矩形状の各種形状のものが利用できる。
例えば、
図15に示す連結部材95は、長方形平板状の挟持板部95Aにおける連結部86が貫通する箇所にスペーサー93を設けている。これらスペーサー93は、挟持板部95Aに一体あるいは別体のいずれの構成としてもよい。また、連結部材8に対応して挟持板部95Aの片面側のみにスペーサー93を設けた構成としてもよい。
この
図15に示すような構成により、挟持板部95Aの構造が板状の簡単な構成で、連結部材8,9に比してコストの低減が図れる。特に、連結対象である隣り合う建物ユニット10および直交建物ユニット20の間の隙間が狭い場合には、スペーサー93を片面のみ、あるいは全く用いずに挟持板部95Aを直接取り付ければよく、隙間が狭い場合に特に有効である。
なお、挟持板部95Aとして、例えば連結部材9のように、一対の挟持板部81を対向配置させた挟持板部91を用いる構成してもよい。
【0052】
さらに、例えば
図16に示す連結部材96や、例えば
図17に示す連結部材97としてもよい。
すなわち、
図16に示す連結部材96は、長方形の鋼板を幅方向の中間で断面S字状に折曲形成した挟持板部96Aにスペーサー93を設けたものである。また、
図17に示す連結部材97は、長方形の鋼板を幅方向の中間で断面S字状に折曲形成するとともに、長手方向の両側を反対方向に折曲して断面S字状に形成した挟持板部97Aにスペーサー93を設けたものである。
これら
図16に示す連結部材96や、例えば
図17に示す連結部材97でも、高さの異なる建物ユニット10および直交建物ユニット20を強固に連結できる。そして、これら実施形態では、スペーサー93分の厚さ寸法で挟持板部96A,97Aを折曲しているので、建物ユニット10および直交建物ユニット20間の隙間が広めでスペーサー93を用いる必要がある場合でも、水平方向に加わる応力に対してねじれが生じ難く、ユニット式建物1全体の剛性を向上できる。
【0053】
また、挟持板部81と取付部85とを別体として説明したが、例えば一体構成としてもよい。このような構成では、例えば溶接にて一体に連結する構成では溶接部分が連結部86として機能する。このような取付部85が一体に取り付けられた構成では、挟持板部81を連結する箇所に位置させるとともに、取付部85を柱11,21に当接させ、取り付けてもよい。
逆に、柱11,21と取付部85とをあらかじめ一体に取り付けて建物ユニット10や直交建物ユニット20を構成しておき、現場施工にて挟持板部81,91を連結部86にて取り付けてもよい。
さらに、上記各実施形態では、スペーサー93を設けなくてもよい。
【0054】
そして、建物ユニット10と直交建物ユニット20と連結梁30とが、シアプレート71,72およびボルト接合の併用によって連結されてもよい。併用した場合、お互いをさらに強固に連結することができ、建物全体の剛性をさらに向上させた構造とすることができる。
また、建物ユニット10Bの仕口14と直交建物ユニット20の仕口24とが雁行配置されず、対向する位置に配置される場合であっても、仕口14と仕口24と連結梁30の端部31とが、平面略L字形のシアプレート71で連結されてもよいし、平面略矩形のシアプレート72で連結されてもよい。そのため、雁行配置とならない場合であっても、直交建物ユニット20と、建物ユニット10Bとをより強固に連結することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成に変更するなどしてもよい。