(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に示された従来技術に係る搬送装置では、製造ラインの近傍に、各台車を走行させるための駆動源を常設で配置する必要があるため、駆動源の設置スペースを確保する必要があるとともに、駆動源のコストが必要となっていた。
【0008】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、製造ライン長の変更に容易に対応することが可能でありながら、製造ラインの省スペース化および設備コストの低減を図ることのできる搬送装置および搬送方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、製造ラインにおいてワークを搬送するための部位であり、前記ワークの搬送経路に沿って、複数の台車を連結して形成されるコンベア状の連結体と、該連結体に対して、前記ワークの搬送方向に推進力を付与するための手段である駆動源と、前記連結体から離脱させた前記台車を移送するための手段であるAGVと、を備え、前記連結体に対して前記駆動源により推進力を付与して、前記製造ラインにおいて、前記連結体を前記ワークの搬送経路に沿って、前記ワークの搬送方向に向けて走行させるとともに、前記連結体を形成する前記複数の台車のうち、前記ワークの搬送方向に対して先頭に位置する前記台車である第一の台車を前記連結体から離脱させて、前記第一の台車を、前記AGVによって、前記連結体を構成する前記複数の台車のうち、前記ワークの搬送方向に対して最後尾に位置する前記台車である第二の台車の上流側に移送して、前記第一の台車を前記第二の台車の後部に連結することによって、前記製造ラインの搬送経路上に、前記連結体を配置し続ける構成とした搬送装置であって、前記駆動源を、
前記連結体を形成する前記複数の台車に比して台数が少ない複数の前記AGVにより構成する
とともに、前記駆動源を構成する複数の前記AGVのうちの一部の前記AGVによって、前記連結体に推進力を付与し、前記搬送装置は、さらに制御装置を備え、前記制御装置によって、前記駆動源を構成する前記複数のAGVのうち、前記連結体に推進力を付与する前記一部のAGVと、前記駆動源を構成する前記複数のAGVのうち、前記連結体に推進力を付与する前記一部のAGV以外の前記AGVと、前記第一の台車を移送する前記AGVと、を個別に制御する、ものである。
【0011】
請求項2においては、前記制御装置によって、前記駆動源を構成する前記複数のAGVの走行速度を同期させるものである。
【0012】
請求項3においては、前記複数の台車は、さらに互いに連結し合うための手段である連結手段をそれぞれに備え、前記AGVは、さらに前記連結手段を解除するための手段である解除手段を備え、前記制御装置によって、前記第一の台車に推進力を付与する前記AGVの前記解除手段を作動させることにより、前記第一の台車の前記連結手段を解除して、該第一の台車を前記連結体から離脱させるものである。
【0013】
請求項4においては、前記複数の台車は、さらに前記AGVと係合させるための部位である被係合部をそれぞれに備え、前記AGVは、さらに前記被係合部と係合するための手段である係合手段を備え、前記制御装置によって、前記AGVの前記係合手段を作動させて、前記被係合部を前記係合手段で係合するとともに、前記AGVを前記ワークの搬送方向に走行させることにより、前記AGVによって、前記台車に推進力を付与するものである。
【0014】
請求項5においては、製造ラインにおいてワークを搬送するための部位であり、前記ワークの搬送経路に沿って、複数の台車を連結して形成されるコンベア状の連結体と、該連結体に対して、前記ワークの搬送方向に推進力を付与するための手段である駆動源と、前記連結体から離脱させた前記台車を移送するための手段であるAGVと、を備え、前記連結体に対して前記駆動源により推進力を付与して、前記製造ラインにおいて、前記連結体を前記ワークの搬送経路に沿って、前記ワークの搬送方向に向けて走行させるとともに、前記連結体を形成する前記複数の台車のうち、前記ワークの搬送方向に対して先頭に位置する前記台車である第一の台車を前記連結体から離脱させて、前記第一の台車を、前記AGVによって、前記連結体を構成する前記複数の台車のうち、前記ワークの搬送方向に対して最後尾に位置する前記台車である第二の台車の上流側に移送して、前記第一の台車を前記第二の台車の後部に連結することによって、前記製造ラインの搬送経路上に、前記連結体を配置し続ける構成とした搬送装置による搬送方法であって、前記駆動源を、
前記連結体を形成する前記複数の台車に比して台数が少ない複数の前記AGVにより構成する
とともに、前記駆動源を構成する複数の前記AGVのうちの一部の前記AGVによって、前記連結体に推進力を付与し、前記搬送装置は、さらに制御装置を備え、前記制御装置によって、前記駆動源を構成する前記複数のAGVのうち、前記連結体に推進力を付与する前記一部のAGVと、前記駆動源を構成する前記複数のAGVのうち、前記連結体に推進力を付与する前記一部のAGV以外の前記AGVと、前記第一の台車を移送する前記AGVと、を個別に制御するものである。
【0015】
請求項6においては、前記制御装置によって、前記駆動源を構成する前記複数のAGVの走行速度を同期させるものである。
【0016】
請求項7においては、前記複数の台車は、さらに互いに連結し合うための手段である連結手段をそれぞれに備え、前記AGVは、さらに前記連結手段を解除するための手段である解除手段を備え、前記制御装置によって、前記第一の台車に推進力を付与する前記AGVの前記解除手段を作動させることにより、前記第一の台車の前記連結手段を解除して、該第一の台車を前記連結体から離脱させるものである。
【0017】
請求項8においては、前記複数の台車は、さらに前記AGVと係合させるための部位である被係合部をそれぞれに備え、前記AGVは、さらに前記被係合部を係合するための手段である係合手段を備え、前記制御装置によって、前記AGVの前記係合手段を作動させて、前記被係合部を前記係合手段で係合するとともに、前記AGVを前記ワークの搬送方向に走行させることにより、前記AGVによって、前記台車に推進力を付与するものである。
【0018】
請求項9においては、前記制御装置によって、前記第一の台車に推進力を付与する前記AGVである第一のAGVの前記解除手段を作動させつつ、前記第一のAGVを前記ワークの搬送経路に沿って走行させて、前記第一の台車を前記連結体から離脱させるときにおいて、前記制御装置によって、前記連結体に対して、前記ワークの搬送方向に対する上流側において後続する前記台車である第三の台車を、前記第三の台車に推進力を付与する前記AGVである第二のAGVを前記ワークの搬送経路に沿って走行させることによって、前記第三の台車を前記第二の台車に連結させて、前記第二のAGVによって、前記連結体に対して推進力を付与できる状態にするとともに、前記制御装置によって、前記第一のAGVよりも前記ワークの搬送方向に対して一つ上流側に位置する前記AGVである第三のAGVを、前記第一の台車よりも前記ワークの搬送方向に対して一つ上流側に位置する第四の台車を係合できる所定の位置まで走行させ、かつ、前記第三のAGVによって、前記第四の台車を係合して、前記第三のAGVによって、前記連結体に対して推進力を付与できる状態にするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
請求項1においては、台車の連結体を走行させるための駆動源を別途備える必要がないため、省スペースかつ低コストに搬送装置を構成
しながら、製造ラインの範囲外におけるワークの搬送を効率的に行うことができる。
【0021】
請求項2においては、台車の連結体を安定して走行させることができる。
【0022】
請求項3においては、台車の離脱を容易かつ確実に行うことができる。
【0023】
請求項4においては、AGVによって、台車に対して容易に推進力を付与することができる。
【0024】
請求項5においては、台車の連結体を走行させるための駆動源を別途備える必要がないため、省スペースかつ低コストに搬送装置を構成
しながら、製造ラインの範囲外におけるワークの搬送を効率的に行うことができる。
【0025】
請求項6においては、台車の連結体を安定して走行させることができる。また、AGVの走行速度を容易に同期させることができる
【0026】
請求項7においては、台車の離脱を容易かつ確実に行うことができる。
【0027】
請求項8においては、AGVによって、台車に対して容易に推進力を付与することができる。
【0028】
請求項9においては、台車の連結体を継続的に安定して走行させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成について、
図1〜
図6を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係る搬送装置1は、製品の組立に必要な各種の部品や組立が完了した製品等(以下、総じてワークと呼ぶ)を、予め設定した搬送経路Rに沿って搬送するための装置であり、複数の台車2・2・・・、複数のAGV3・3・・・・等を備えている。
また、搬送装置1は、各AGV3・3・・・の動作を制御するための制御装置4を備えている。
【0031】
搬送装置1においては、略長円状の搬送経路Rを設定している。本実施形態における搬送経路Rは、所望する経路に沿って、磁気テープを敷設することによって、設定されている。
そして、搬送装置1では、製造ライン10、搬出ライン20、部品供給ライン30等の各ライン(工程)の配置に沿って、搬送経路Rを設定しており、搬送経路Rに沿って、AGV3を走行させることによって、AGV3に係合させた台車2を搬送経路Rに沿って走行させる構成としている。
このような構成により、搬送装置1では、台車2上に載置したワークを、各ライン10・20・30を通過させつつ搬送することができる構成としている。
【0032】
部品供給ライン30は、製造ライン10において製品を製造するために必要となる各種のワークを各台車2・2・・・に積み込むためのラインであり、製造ライン10は、部品供給ライン30から供給される各種のワークから製品を組み立てる作業が行われるラインである。また搬出ライン20は、製造ライン10において組み立てられたワークを台車2上から下ろして搬出するためのラインである。
【0033】
また、搬送装置1では、製造ライン10においては、複数の台車2・2・・・を直線状に連結させることによって、コンベア状の搬送部8を形成する構成としており、複数のAGVにより推進させて、搬送部8を一体的に走行させる構成としている。
さらに、搬送装置1では、製造ライン10以外の各ライン20・30においては、単独のAGV3により推進させて、各台車2・2・・・を単独で走行させる構成としている。
【0034】
尚、本実施形態に示す各ライン10・20・30は例示であり、本発明に係る搬送装置は、種々のライン(工程)を連係するための用途に適用することが使用できる。
また、本発明の一実施形態に係る搬送装置1における搬送経路Rの形状は長円状としているが、本発明に係る搬送装置における搬送経路の形状をこれに限定するものではなく、全体としてループする態様であればよく、例えば、途中でスイッチバックを行うような枝部が設けられる態様であってもよい。
【0035】
図2(a)(b)に示す如く、台車2は、台部2a、フレーム2b、車輪2c・2c・・・等を備えており、外部から推進力が付与されることによって、車輪2c・2cの回転方向に沿って走行するものであり、該台車2を走行させることによって、台部2aの上に載置したワークを搬送することができる。
そして、台車2は、外部から推進力が付与される部位である被係合部2dを備えている。
【0036】
また、台車2は、連結軸2hおよび連結機構5を備えており、台車2の走行方向に複数の台車2・2・・・を連結して、搬送部8(
図1参照)を形成することができる構成としている。
【0037】
図2(a)(b)および
図3(a)(b)に示す如く、連結機構5は、第一リンク部材6および第二リンク部材7を備えている。
【0038】
第一リンク部材6は、前端部6a、後端部6b、軸部6cを備えており、台車2に付設される支持部2mにおいて支持される軸部6cによって、台車2の走行方向に平行な鉛直平面内で回動可能な状態で支持されている。
また、第二リンク部材7は、前端部7a、後端部7b、軸部7cを備えており、台車2に付設される支持部2nにおいて支持される軸部7cによって、台車2の走行方向に平行な鉛直平面内で回動可能な状態で支持されている。
【0039】
そして、第二リンク部材7の後端部7bには、台車2の前方部に備えられる連結軸2hを係止するための下方に向けて開放する凹部であるフック7dが形成されている。
フック7dは台車2の後端面よりもさらに後方に突出した位置に配置されており、各台車2・2・・・を連結したときに、後続の台車2に形成される連結軸2hを係止できる位置に配置される構成としている。
【0040】
各リンク部材6・7は、第一リンク部材6の後端部6bの下部が、第二リンク部材7の前端部7aの上部と当接するように配置されている。
そして、
図3(a)に示すように、連結機構5が定常状態である場合において、第二リンク部材7の後端部7bは、フック7dによって連結軸2hを係止できる角度に保持される。
これにより、
図4に示すように、ある台車2の後部に対して、その他の台車2の前部が接するように配置する(衝突させる)ことによって、各台車2・2を連結することができる。
【0041】
また、
図3(b)に示すように、第一リンク部材6の前端部6aが、上方に移動するように第一リンク部材6が回動された状態(以下、解除状態と呼ぶ)では、第一リンク部材6の後端部6bによって、第二リンク部材7の前端部7aを下方に押圧され、第二リンク部材7の後端部7bが上方に移動するように回動される。
このとき、第二リンク部材7の後端部7bは、フック7dによって連結軸2hを係止することができない角度となるように回動されるため、連結状態にあった各台車2・2を切り離すことができる。
【0042】
さらに、
図2および
図4に示す如く、台車2は、連結状態において、各台車2・2・・・が走行方向に対する左右方向にズレることを防止するための部位であるズレ防止凹部2eおよびズレ防止凸部2fや、連結時に各台車2・2・・・に作用する衝撃を吸収するための弾性部材たるダンパー2g・2gを備えている。
【0043】
図4に示す如く、各台車2・2を連結するときには、各台部2a・2a同士が衝突する前に、ダンパー2g・2gをフレーム2b・2bに衝突させて、各台部2a・2a同士の衝突による衝撃を吸収する構成としている。
また、各台部2a・2a同士が接するときには、前側の台車2が備えるズレ防止凹部2eに後側の台車2が備えるズレ防止凸部2fが嵌り込むため、前後の各台車2・2が、連結したときに、各台車2・2が走行方向に対する左右方向にズレることを防止することができる。
【0044】
図5に示す如く、AGV3は、台車2に対して推進力を付与するための装置(即ち、駆動源)として機能するものであり、本体部3aおよび車輪3b・3b・・・を備え、また、台車2の被係合部2dを押圧するための部位である第一ピン3cを備えている。
そして、AGV3は、少なくとも1台の台車2を押圧方向に推進させることが可能な推進力(駆動力)を備える構成としている。
【0045】
また、AGV3は、連結機構5によって連結されている各台車2・2の連結状態を解除するための機能を併せ持つ構成としており、台車2の連結状態を解除するための部位である第二ピン3dを備えている。
【0046】
第一ピン3cおよび第二ピン3dは、所定のストロークで、上下方向に伸縮可能に構成されており、各ピン3c・3dを縮小した状態においては、本体部3aに内蔵され、AGV3の高さを、台車2の下部を通過できる(くぐれる)寸法に抑える構成としている。
そして、第一ピン3cは、伸長した状態において、台車2の被係合部2dを係合させることができる構成としており、また第二ピン3dは、伸長した状態において、連結機構5の第一リンク部材6の前端部6aを上方に押圧することができる構成としている。
【0047】
さらに、AGV3は、受信機3fを備えており、該受信機3fによって、制御装置4から無線送信される制御信号を受信する構成としている。
そして、AGV3は、制御装置4から送信される受信信号に従って、車輪3b・3b・・・を駆動するモータ(図示せず)の回転数を変更し、走行速度を制御する構成としている。
【0048】
図1および
図6(a)に示す如く、制御装置4は、AGV3の走行状態や、AGV3が備える各部(例えば、第一ピン3cや第二ピン3d等)の作動状態を制御するための装置である。そして、制御装置4には、各AGV3・3・・・の走行条件が予め記憶されており、また、各工程の進捗状況に関する情報がリアルタイムで入力される構成としている。
【0049】
そして、制御装置4が利用可能なこれらの情報に基づいて、各AGV3・3・・・の走行状態(即ち、各台車2・2・・・の走行状態)を決定し、各AGV3・3・・・に指令信号を送信する構成としている。
【0050】
そして、制御装置4は、
図6(b)に示すように、製造ライン10に配置された搬送部8に推進力を付与する一群のAGV3・3・・・の走行状態を一括して制御したり、あるいは、搬出ライン20や部品供給ライン30において、それぞれ単独の状態で走行する台車2に推進力を付与するAGV3の走行状態を個別に制御したりすることができる。
【0051】
次に、AGV3による台車2に対する推進力の付与方法およびAGV3による各台車2・2・・・の連結状態の解除方法について、
図7および
図8を用いて説明をする。
図7(a)(b)および
図8(a)に示す如く、台車2は、AGV3の第一ピン3cによって、被係合部2dを係合するとともに、AGV3が走行することによって、第一ピン3cで被係合部2dを押圧することによって、推進力が付与される構成としている。
【0052】
具体的には、制御装置4からの指令信号に基づきAGV3の第一ピン3cを伸長させつつAGV3を走行させるとき、台車2とAGV3の相対位置が、
図7(a)および
図8(a)に示す所定位置になると、第一ピン3cによって、被係合部2dを押圧することができる。
【0053】
複数の台車2・2・・・を連結し、搬送部8を形成している状態では、搬送部8の総重量および転がり抵抗等の情報から、搬送部8を走行させるために必要な推進力を算出することができる。そして、必要な推進力の算出結果に基づいて、搬送部8を走行させるために必要なAGV3の台数を算出する構成としている。
【0054】
即ち、搬送部8が、例えば、30台の台車2・2・・・によって形成される場合において、推進力を確保するために必要なAGV3の台数が、例えば、10台と計算されるときには、搬送部8を構成する台車2・2・・・の台数に比して少ない台数のAGV3・3・・・によって、搬送部8を走行させることができる。
【0055】
このように、本発明の一実施形態に係る搬送装置1では、製造ライン10における搬送部8の推進力を、全てAGV3・3・・・で担っており、AGV3以外の駆動源を別途製造ライン10に備えなくてもよい構成としているため、駆動源削減によるコスト削減や省スペースを図ることができる。
【0056】
尚、本発明の実施形態では、平面視において後側に開放部を有する略V字溝状の形態を有する被係合部2dに対して、その溝部に、略円柱状の第一ピン3cを後方から沿わせて両部を係合させる構成としているが、本発明に係る搬送装置において、被係合部および第一ピンの形状をこれに限定するものではなく、例えば、平面視において輪状の被係合部に対して、第一ピンを貫通させて係合させる構成とし、AGVによって、台車を牽引するような態様等も採用し得る。
【0057】
次に、台車2・2の連結状態を解除する方法について、説明をする。
図8(b)に示す如く、台車2とAGV3と係合した状態では、台車2とAGV3の相対位置が、
図8(b)に示すような所定位置となっており、台車2の被係合部2dとAGV3の第一ピン3cが接触している状態となっている。
【0058】
そして、この状態において、制御装置4からの指令信号に基づきAGV3の第二ピン3dを伸長させることによって、第二ピン3dによって、連結機構5における第一リンク部材6の前端部6aを押圧することができる。
これにより、当該AGV3に対応する台車2のフック7dによる、当該台車2の後続する台車2の連結軸2hの係止状態を解除して、各台車2・2の連結状態を解除する構成としている。
【0059】
次に、本発明の一実施形態に係る搬送装置1によるワークの搬送方法について、
図9を用いて説明をする。
尚、本実施形態では、ワーク9を搬送するための搬送部8を構成する台車2の台数が7台であって、このような搬送部8を推進させるために必要なAGV3の台数が4台である場合を例示して説明を行うが、本発明に係る搬送装置における搬送部を形成するための台車の台数、および搬送部を推進させるために用いるAGVの台数をこれに限定するものではない。
【0060】
搬送装置1によるワーク9の搬送方法では、搬送部8が、台車2の1台分の長さだけ走行する度に、該搬送部8(即ち、搬送部8に推進力を付与する各AGV3・3・・・)を停止させるようにしている。
【0061】
そして、
図9に示す如く、搬送装置1によるワーク9の搬送方法では、まず初めに、合計7台の台車2・2・・・によって構成される搬送部8に対して、4台のAGV3・3・・・によって推進力を付与して、該搬送部8を走行させる((STEP−1)および(STEP−2))。
【0062】
即ち、本発明の一実施形態に係る搬送装置1において、搬送部8の駆動源を構成する複数のAGV3・3・・・は、搬送部8を形成する複数の台車2・2・・・に比して台数が少ないものである。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法において、搬送部8には、該搬送部8を形成する複数の台車2・2・・・に比して少ない台数の複数のAGV3・3・・・によって推進力を付与するものである。
このような構成により、より低コストに搬送装置1を構成することができる。
【0064】
次に、搬送装置1によるワーク9の搬送方法では、台車2の1台分の長さだけ搬送部8が前進したとき(即ち、先頭の台車2が製造ライン10の範囲外となったとき)、搬送部8を停止させる(即ち、搬送部8に推進力を付与する各AGV3・3・・・を同期させつつ停止させる)(STEP−3)。
即ち、(STEP−1)〜(STEP−3)の間において、搬送部8に対して推進力を付与している各AGV3・3・・・の走行速度は、制御装置4(図示せず)によって同期されており、搬送部8がスムーズに走行するように構成している。
【0065】
即ち、本発明の一実施形態に係る搬送装置1において、搬送部8の駆動源を構成する複数のAGV3・3・・・は、走行速度を同期させるものである。
このような構成により、搬送部8を安定して走行させることができる。
【0066】
また、本発明の一実施形態に係る搬送装置1は、さらに制御装置4を備え、制御装置4によって、搬送部8の駆動源を構成する複数のAGV3・3・・・の走行速度を同期させるものである。
さらに、本発明の一実施形態に係る搬送方法は、さらに制御装置4を備える搬送装置1によるものであって、制御装置4によって、駆動源を構成する複数のAGV3・3・・・の走行速度を同期させるものである。
このような構成により、搬送部8を安定して走行させることができる。また、搬送部8の駆動源を構成する各AGV3・3・・・の走行速度を容易に同期させることができる
【0067】
またこのとき、製造ライン10の範囲外の各工程(本実施形態では、搬出ライン20および部品供給ライン30)を巡回してきた台車2(およびAGV3)を、搬送部8の上流側において、ワーク9を載置した状態で少なくとも1台待機させておく。
【0068】
次に、搬送部8が停止している状態で、搬送部8を構成する各台車2・2・・・のうち先頭に位置する台車2(以下、第一の台車2Pと呼ぶ)を、当該第一の台車2Pと係合しているAGV3(以下、第一のAGV3Xと呼ぶ)によって切り離す。
【0069】
即ち、制御装置4(図示せず)の指令信号に基づき、第一の台車2Pと係合している第一のAGV3Xの第二ピン3dを伸長させて、第一の台車2Pの連結機構5によって、後続する台車2の連結軸2hを係止していた状態を解除する。
そして、その切り離した第一の台車2Pを、第一のAGV3Xによって推進させて、後工程に向けて走行させる(STEP−4)。
このとき、第一のAGV3Xは、制御装置4(図示せず)によって、搬送部8と係合している各AGV3・3・・・とは異なる走行速度で走行され、各運転および停止等のタイミングも異なって制御される。
【0070】
即ち、本発明の一実施形態に係る搬送装置1において、制御装置4は、搬送部8に推進力を付与する複数のAGV3・3・・・と、第一の台車2Pを移送するAGV3と、を個別に制御するものである。
【0071】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法は、制御装置4によって、搬送部8に推進力を付与する複数のAGV3・3・・・と、第一の台車2Pを移送するAGV3と、を個別に制御するものである。
このような構成により、製造ライン10の範囲外におけるワーク9の搬送を効率的に行うことができる。
【0072】
また、本発明の一実施形態に係る搬送装置1において、複数の台車2・2・・・は、さらに互いに連結し合うための手段である連結手段たる連結機構5をそれぞれに備え、AGV3は、さらに連結機構5を解除するための手段である解除手段たる第二ピン3dを備え、制御装置4によって、第一の台車2Pに推進力を付与するAGV3の第二ピン3dを作動させることにより、第一の台車2Pの連結機構5を解除して、第一の台車2Pを搬送部8から離脱させるものである。
【0073】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法において、複数の台車2・2・・・は、さらに互いに連結し合うための手段である連結手段たる連結機構5をそれぞれに備え、AGV3は、さらに連結機構5を解除するための手段である解除手段たる第二ピン3dを備え、制御装置4によって、第一の台車2Pに推進力を付与するAGV3の第二ピン3dを作動させることにより、第一の台車2Pの連結機構5を解除して、該第一の台車2Pを搬送部8から離脱させるものである。
このような構成により、台車2の離脱を容易かつ確実に行うことができる。
【0074】
また、これと略同時に、搬送部8が停止している状態で、搬送部8を構成する各台車2・2・・・のうち、最後尾に位置する台車2(以下、第二の台車2Qと呼ぶ)に対して、製造ラインの上流側で待機させておいた台車2(以下、第三の台車2Rと呼ぶ)を1台追加で連結させる(同じく(STEP−4))。
【0075】
即ち、制御装置4の指令信号に基づき、第三の台車2Rと係合しているAGV3(以下、第二のAGV3Yと呼ぶ)によって、第三の台車2Rを推進して、該第三の台車2Rを第二の台車2Qの後部に衝突させる。そして、第二の台車2Qの連結機構5によって、第三の台車2Rの連結軸2hを係止させて、各台車2Q・2Rを連結する。
これにより、搬送部8に対して、第二のAGV3Yにより、推進力を付与できる状態としておく。
【0076】
さらに、これと略同時に、搬送部8が停止している状態で、残された搬送部8と係合している各AGV3・3・・・のうち、最も製造ライン10の下流側に位置するAGV3(以下、第三のAGV3Zと呼ぶ)を、そのとき係合していた台車2から切り離す(同じく(STEP−4))。
即ち、制御装置4(図示せず)の指令信号に基づき、第三のAGV3Zの第一ピン3cを短縮させて、第三のAGV3Zと台車2(搬送部8)の係合状態を解除する。
【0077】
そして、制御装置4(図示せず)の指令信号に基づき、第三のAGV3Zを各台車2・2・・・の下部を通過させつつ、第一の台車2Pに比して、ワーク9の搬送方向に対して一つ上流側に位置する台車2(以下、第四の台車2Sと呼ぶ)と係合可能な位置まで走行させるとともに、第三のAGV3Zを第四の台車2Sと係合させる(STEP−5)。
【0078】
即ち、制御装置4の指令信号に基づき、第四の台車2Sと係合可能な位置において、第三のAGV3Zの第一ピン3cを伸長させることにより、第三のAGV3Zと第四の台車2Sを係合させて、搬送部8に対して、第三のAGV3Zにより、推進力を付与できる状態としておく。
【0079】
即ち、本発明の一実施形態に係る搬送装置1において、複数の台車2・2・・・は、さらにAGV3により係合させるための部位である被係合部2dをそれぞれに備え、AGV3は、さらに被係合部2dを係合するための手段である係合手段たる第一ピン3cを備え、制御装置4によって、AGV3の第一ピン3cを作動させて、被係合部2dを第一ピン3cで係合することにより、AGV3によって、台車2に推進力を付与するものである。
【0080】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法において、複数の台車2・2・・・は、さらにAGV3により係合させるための部位である被係合部2dをそれぞれに備え、AGV3は、さらに被係合部2dを係合するための手段である係合手段たる第一ピン3cを備え、制御装置4によって、AGV3の第一ピン3cを作動させて、被係合部2dを第一ピン3cで係合することにより、AGV3によって、台車2に推進力を付与するものである。
このような構成により、AGV3によって、台車2に対して容易に推進力を付与することができる。
【0081】
そして、(STEP−5)が完了することによって、(STEP−1)の状態(即ち、合計7台の台車2・2・・・によって形成される搬送部8を、合計4台のAGV3・3・・・によって推進させる状態)が復元される。
搬送装置1によるワーク9の搬送方法では、このようにして、(STEP−1)〜(STEP−5)の各ステップを繰り返すことによって、製造ライン10の範囲内に搬送部8を配置し続けて、製造ライン10において、搬送部8によるワーク9の搬送が継続的に行なわれるようにしている。
【0082】
即ち、本発明の一実施形態に係る搬送装置1は、製造ライン10においてワーク9を搬送するための部位であり、ワーク9の搬送経路Rに沿って、複数の台車2・2・・・を連結して形成されるコンベア状の連結体たる搬送部8と、該搬送部8に対して、ワーク9の搬送方向に推進力を付与するための手段である駆動源と、搬送部8から離脱させた台車2を移送するための手段であるAGV3と、を備え、搬送部8に対して前記駆動源により推進力を付与して、製造ライン10において、搬送部8をワーク9の搬送経路Rに沿って、ワーク9の搬送方向に向けて走行させるとともに、搬送部8を形成する複数の台車2・2・・・のうち、ワーク9の搬送方向に対して先頭に位置する台車2である第一の台車2Pを搬送部8から離脱させて、第一の台車2Pを、AGV3によって、搬送部8を構成する複数の台車2・2・・・のうち、ワーク9の搬送方向に対して最後尾に位置する台車である第二の台車2Qの上流側に移送して、第一の台車2Pを第二の台車2Qの上流側に連結することによって、製造ライン10の搬送経路R上に、搬送部8を配置し続ける構成としたものであって、前記駆動源を、複数のAGV3・3・・・により構成するものである。
【0083】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法は、製造ライン10においてワーク9を搬送するための部位であり、ワーク9の搬送経路Rに沿って、複数の台車2・2・・・を連結して形成されるコンベア状の連結体たる搬送部8と、該搬送部8に対して、ワーク9の搬送方向に推進力を付与するための手段である駆動源と、搬送部8から離脱させた台車2を移送するための手段であるAGV3と、を備え、搬送部8に対して前記駆動源により推進力を付与して、製造ライン10において、搬送部8をワーク9の搬送経路Rに沿って、ワーク9の搬送方向に向けて走行させるとともに、搬送部8を形成する複数の台車2・2・・・のうち、ワーク9の搬送方向に対して先頭に位置する台車2である第一の台車2Pを搬送部8から離脱させて、第一の台車2Pを、AGV3によって、搬送部8を構成する複数の台車2・2・・・のうち、ワーク9の搬送方向に対して最後尾に位置する台車2である第二の台車2Qの上流側に移送して、第一の台車2Pを第二の台車2Qの上流側に連結することによって、製造ライン10の搬送経路R上に、搬送部8を配置し続ける構成とした搬送装置1による搬送方法であって、前記駆動源を複数のAGV3・3・・・により構成し、複数のAGV3・3・・・によって、搬送部8に推進力を付与するものである。
このような構成により、搬送部8を走行させるための駆動源を別途備える必要がないため、省スペースかつ低コストに搬送装置1を構成することができる。
【0084】
また、本発明の一実施形態に係る搬送方法は、制御装置4によって、第一の台車2Pに推進力を付与するAGV3である第一のAGV3Xの第二ピン3dを作動させつつ、第一のAGV3Xをワーク9の搬送経路Rに沿って走行させて、第一の台車2Pを搬送部8から離脱させるときにおいて、
制御装置4によって、搬送部8に対して、ワーク9の搬送方向に対する上流側において後続する台車2である第三の台車2Rを、該第三の台車2Rに推進力を付与するAGV3である第二のAGV3Yをワーク9の搬送経路Rに沿って走行させることによって、第三の台車2Rを第二の台車2Qに連結させて、第二のAGV3Yによって、搬送部8に対して推進力を付与できる状態にするとともに、
制御装置4によって、第一のAGV3Xよりもワーク9の搬送方向に対して一つ上流側に位置するAGV3である第三のAGV3Zを、第一の台車2Pよりもワーク9の搬送方向に対して一つ上流側に位置する第四の台車2Sと係合できる所定の位置まで走行させ、かつ、第三のAGV3Zによって、第四の台車2Sを係合して、第三のAGV3Zによって、搬送部8に対して推進力を付与できる状態にするものである。
このような構成により、搬送部8を継続的に安定して走行させることができる。
【0085】
尚、本実施形態では、搬送部8が起動および停止を繰り返す態様を例示して説明をしたが、例えば、搬送部8を走行させるのに必要なAGV3の台数に対して、搬送部8に対して配置するAGV3の台数に余裕を持たせておくことによって、搬送部8を常時走行させた状態としながら、走行中に余裕分のAGV3の配置を入れ替えるようにすれば、搬送部8を連続的に搬送できる構成とすることも可能である。
【0086】
尚、本実施形態では、搬送部8に推進力を付与する各AGV3・3・・・(本実施形態では4台)を配置する台車2を、先頭の台車2と最後部における3台の各台車2・2・2とする場合を例示したが、先頭の台車2に配置するAGV3以外(即ち、本実施形態において搬送部8の最後部に配置されている3台の各AGV3・3・3)の配置は、搬送部8のワーク9の搬送方向に対して略均等になるように配置してもよく、搬送経路Rの状況等に応じて、適宜設定することが可能である。