特許第5745944号(P5745944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745944
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】接続方法、接続体の製造方法、接続体
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/32 20060101AFI20150618BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   H05K3/32 B
   H05K3/36 A
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-126642(P2011-126642)
(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公開番号】特開2012-253282(P2012-253282A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐治
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−298608(JP,A)
【文献】 特開2007−250618(JP,A)
【文献】 特開2009−290231(JP,A)
【文献】 特開2010−16388(JP,A)
【文献】 特開2010−50238(JP,A)
【文献】 特開2000−349427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/32
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させる接続方法。
【請求項2】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させ、
加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、
上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内である接続方法。
【請求項3】
上記加熱押圧ヘッドによる熱加圧を開始した後に、上記光を照射する請求項2記載の接続方法。
【請求項4】
上記光の照射を3段階に行い、
最初の段階で、上記光の総照射量の17%未満の照射量をあてる請求項2又は3記載の接続方法。
【請求項5】
最初の段階は、上記光の総照射時間の20〜40%の照射時間である請求項4記載の接続方法。
【請求項6】
上記光の照射を多段階に行い、
〔最終段階の照射量〕/〔第1段階の照射量〕を4〜10とする請求項2又は3記載の接続方法。
【請求項7】
上記接着剤は、導電性粒子を含有し、上記接続対象物及び上記被接続対象物にそれぞれ設けられた電極同士を電気的に接続する異方性導電接着剤であり、
上記光は、紫外線である請求項〜請求項6のいずれか1項に記載の接続方法。
【請求項8】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させる接続体の製造方法。
【請求項9】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させ、
加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、
上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内である接続体の製造方法。
【請求項10】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させて接続された接続体。
【請求項11】
接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、
上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、
上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させて、
加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、
上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内で接続される接続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化型の接着剤を用いた接続方法、光硬化型の接着剤によって接続された接続体の製造方法、光硬化型の接着剤によって製造された接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板とICチップやフレキシブルフラットケーブル等の電子部品とを接続する接着剤として、紫外線硬化型の接着剤が用いられている。紫外線硬化型の接着剤は、基板と電子部品との間に塗布され、紫外線が照射されることにより硬化することで基板と電子部品との接続を図るものである。この紫外線硬化型の接着剤は、熱硬化型の接着剤と異なり、基板や電子部品を加熱押圧する工程がないため、基板の加熱による反りの発生がなく、近年の薄型化した基板への接続に適している。また、紫外線硬化型の接着剤は、基板や電子部品に対する熱による損傷もない。
【0003】
一方で、紫外線硬化型の接着剤を用いて接続された接続体は、接続信頼性に劣る場合がある。例えば、高温高湿環境に長期に亘って曝された場合などで、基板と電子部品との接続抵抗が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−597378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、光硬化型の接着剤を用いて接続信頼性を確保することができる接続方法、接続体の製造方法、及びこの接続方法によって製造された接続体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る接続方法は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させる。また、本発明に係る接続方法は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させ、加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内である。
【0007】
また、本発明に係る接続体の製造方法は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させる。また、本発明に係る接続体の製造方法は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内である。
【0008】
また、本発明に係る接続体は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させることにより、該光の照射量を漸次上昇させて接続される。さらに、本発明に係る接続体は、接続対象物と、被接続対象物とを、光硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、上記接着剤に光を照射することにより、上記接着剤を硬化させ、上記接続対象物と上記被接続対象物とを接続する工程を有し、上記光の照度を連続的又は段階的に上昇させ、加熱押圧ヘッドによって上記接続対象物を所定の温度及び所定の圧力で熱加圧し、上記所定の温度と上記接着剤が最低溶融粘度を示す温度との差が40℃以内で接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光の照射量を漸次上昇させることにより、光照射の初期ではバインダー樹脂の硬化反応の進行が遅くされ、光照射の後期でバインダー樹脂の硬化反応を急速に進行させる。これは、光照射の初期から強い照度にすると、バインダー樹脂の反応開始点が多くなりすぎてしまい分子鎖の短い耐熱性に劣る硬化物となってしまうためである。本発明では、光照射の初期は比較的弱い照度で照射し、後期で照度を強めるため、耐熱性に優れた硬化物とすることができ、接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる接続方法が適用された実装装置によって、ガラス基板にICチップ及びフレキシブル基板を実装する工程を示す断面図である。
図2】異方性導電フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明が適用された接続方法、接続体の製造方法及び接続体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0012】
以下では、接続対象物及び被接続対象物として、電子部品を接続する場合を例に説明するが、本技術は、電子部品の接続以外にも適用することができる。例えば、液晶表示パネルのガラス基板に液晶駆動用のICチップを実装するいわゆるCOG(chip on glass)実装を行う。この液晶表示パネル10は、図1に示すように、ガラス基板等からなる二枚の透明基板11,12が対向配置され、これら透明基板11,12が枠状のシール13によって互いに貼り合わされている。そして、液晶表示パネル10は、透明基板11,12によって囲繞された空間内に液晶14が封入されることによりパネル表示部15が形成されている。
【0013】
透明基板11,12は、互いに対向する両内側表面に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる縞状の一対の透明電極16,17が、互いに交差するように形成されている。そして、両透明電極16,17は、これら両透明電極16,17の当該交差部位によって液晶表示の最小単位としての画素が構成されるようになっている。
【0014】
両透明基板11,12のうち、一方の透明基板12は、他方の透明基板11よりも平面寸法が大きく形成されており、この大きく形成された透明基板12の縁部12aには、液晶駆動用IC等の電子部品18が実装されるCOG実装部20が設けられ、またCOG実装部20の外側近傍には、液晶駆動回路が形成されたフレキシブル基板21が実装されるFOG実装部22が設けられている。
【0015】
なお、液晶駆動用ICや液晶駆動回路は、画素に対して液晶駆動電圧を選択的に印加することにより、液晶の配向を部分的に変化させて所定の液晶表示を行うことができるようになっている。
【0016】
各実装部20,22には、透明電極17の端子部17aが形成されている。端子部17a上には、導電性の接着剤として異方性導電フィルム1を用いて液晶駆動用IC等の電子部品18やフレキシブル基板21が接続される。異方性導電フィルム1は、導電性粒子4を含有しており、電子部品18やフレキシブル基板21の電極と透明基板12の縁部12aに形成された透明電極17の端子部17aとを、導電性粒子4を介して電気的に接続させるものである。この異方性導電フィルム1は、紫外線硬化型及び熱硬化型の接着剤であり、後述する加熱押圧ヘッド30により熱圧着されるとともに紫外線照射器31により紫外線が照射されることにより、導電性粒子4が端子部17aと電子部品やフレキシブル基板21の各電極との間で押し潰された状態で硬化し、透明基板12と電子部品18やフレキシブル基板21とを接続させる。
【0017】
また、両透明電極16,17上には、所定のラビング処理が施された配向膜24が形成されており、この配向膜24によって液晶分子の初期配向が規制されるようになっている。さらに、両透明基板11,12の外側には、一対の偏光板25,26が配設されており、これら両偏光板25,26によってバックライト等の光源(図示せず)からの透過光の振動方向が規制されるようになっている。
【0018】
[異方性導電フィルム]
異方性導電フィルム1は、図2に示すように、通常、基材となる剥離フィルム2上に導電性粒子含有層3が形成されたものである。異方性導電フィルム1は、図1に示すように、液晶表示パネル10の透明基板12に形成された透明電極17と電子部品18やフレキシブル基板21との間に導電性粒子含有層3を介在させることで、液晶表示パネル10と電子部品18あるいはフレキシブル基板21とを接続し、導通させるために用いられる。
【0019】
剥離フィルム2としては、異方性導電フィルム(ACF)において一般に用いられている例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材を使用することができる。
【0020】
導電性粒子含有層3は、バインダ中に導電性粒子4を分散してなるものである。バインダは、膜形成樹脂、硬化性樹脂、硬化剤、シランカップリング剤等を含有するものであり、通常の異方性導電フィルムに用いられるバインダと同様である。
【0021】
膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0022】
硬化性樹脂としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0023】
エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例として、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体例として、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0025】
硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合はカチオン系硬化剤が好ましく、硬化性樹脂がアクリル樹脂の場合はラジカル系硬化剤が好ましい。
【0026】
カチオン系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩等を挙げることができ、これらの中でも、芳香族スルホニウム塩が好ましい。ラジカル系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。
【0027】
シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0028】
導電性粒子4としては、異方性導電フィルムにおいて使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子4としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0029】
[接続方法]
次いで、異方性導電フィルム1を介して電子部品18やフレキシブル基板21を透明基板12の透明電極17上に接続する工程について説明する。先ず、異方性導電フィルム1を透明電極17上に仮圧着する。異方性導電フィルム1を仮圧着する方法は、液晶表示パネル10の透明基板12の透明電極17上に、導電性粒子含有層3が透明電極17側となるように、異方性導電フィルム1を配置する。
【0030】
そして、導電性粒子含有層3を透明電極17上に配置した後、剥離フィルム2側から導電性粒子含有層3を例えば加熱押圧ヘッド30で加熱及び加圧し、加熱押圧ヘッド30を剥離フィルム2から離し、剥離フィルム2を透明電極17上の導電性粒子含有層3から剥離することによって、導電性粒子含有層3のみが透明電極17上に仮圧着される。加熱押圧ヘッド30による仮圧着は、剥離フィルム2の上面を僅かな圧力(例えば0.1MPa〜2MPa程度)で透明電極17側に押圧しながら加熱する。ただし、加熱温度は、異方性導電フィルム1中のエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が硬化しない程度の温度(例えば70〜100℃程度)とする。
【0031】
次に、透明基板12の透明電極17と電子部品18の電極端子とが導電性粒子含有層3を介して対向するように、電子部品18を配置する。
【0032】
次に、電子部品18の上面を所定の加熱温度に昇温された加熱押圧ヘッド30により、所定の温度及び所定の圧力で熱加熱する。加熱押圧ヘッド30による熱加圧温度は、硬化開始前に導電性粒子含有層3が溶融したときの粘度(最低溶融粘度)を示す所定の温度に対して±10〜20℃の温度(例えば120℃前後)に設定される。これにより、透明基板12の反りを最小に抑え、また電子部品18に熱による損傷を加えることもない。
【0033】
加熱押圧ヘッド30が電子部品18を押圧した後、透明基板12の裏側に設けられた紫外線照射器31によって異方性導電フィルム1に紫外線を照射する。紫外線照射器31より発光された紫外線は、透明基板12を支持するガラス等の透明な支持台及びこの支持台に支持された透明基板12を透過して導電性粒子含有層3へ照射される。この紫外線照射器31としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を用いることができる。
【0034】
この加熱押圧ヘッド30による発熱及び紫外線照射器31による紫外線によって、異方性導電フィルム1は硬化反応を起こし、これにより、異方性導電フィルム1を介して電子部品18が端子部17a上に本圧着される。加熱押圧ヘッド30による熱加圧及び紫外線照射器31による紫外線照射は、同時に又は前後して終了する。
【0035】
本技術では、加熱押圧ヘッド30によって電子部品18を押圧するとともに、紫外線照射器31によって紫外線を照射する。このとき、紫外線照射器31は、段階的に照射量を上昇させる。また、本技術は、加熱押圧ヘッド30によって電子部品18を押圧した後、所定時間が経過した後から紫外線を照射することが好ましい。
【0036】
紫外線照射器31によって、段階的に照射量を上昇させることにより、紫外線照射の初期ではバインダー樹脂の硬化反応の進行が遅くされ、紫外線照射の後期でバインダー樹脂の硬化反応を急速に進行させる。これは、紫外線照射の初期から強い照度にすると、バインダー樹脂の反応開始点が多くなりすぎてしまい分子鎖の短い耐熱性に劣る硬化物となってしまうためである。本技術では、紫外線照射の初期は比較的弱い照度で照射し、後期で照度を強めるため、耐熱性に優れた硬化物とすることができ、実装温度の低温化を図りつつ、接続信頼性を高めることができる。なお、紫外線の照度は、複数の段階に分けて上げられていき、段階数は紫外線の総照射量や照射時間等に応じて適宜設定することができ、好ましくは2〜10段階に設定される。
【0037】
加熱押圧ヘッド30による熱加圧を紫外線照射に先行させることにより、異方性導電フィルム1の導電性粒子含有層3を流動化させ、透明基板12の透明電極17と電子部品18の電極端子との間からバインダー樹脂を流出させ、導電性粒子4を挟持させることができる。熱加圧によってバインダー樹脂を流動化させた状態で、さらに熱加圧を続けると共に紫外線を照射することにより、導電性粒子含有層3を、透明基板12の透明電極17と電子部品18の電極端子とが導電性粒子4を挟持した状態で硬化させることができる。
【0038】
なお、加熱押圧ヘッド30による電子部品の加熱押圧後、所定時間、好ましくは1〜10秒程度経過した後に紫外線を照射する。また、紫外線を照射している間、加熱押圧ヘッド30の押圧を連続又は断続的に行ってもよい。
【0039】
紫外線照射器31による照射時間や、照射段階及び照射量、総照射量は、バインダー樹脂の組成や、加熱押圧ヘッド30による熱加圧温度、圧力及び時間から、最もバインダーの硬化反応が効率よく進行する条件を設定する。
【0040】
例えば、照射量の好ましい範囲は500〜3000mJ/secであり、照射段階の好ましい範囲は2〜10段階に設定される。また、〔最終段階の照射量〕/〔第1段階の照射量〕を4〜10とすることが好ましい。
【0041】
電子部品18を透明基板12の透明電極17上に接続した後、同様にしてフレキシブル基板21が透明基板12の透明電極17上に実装するいわゆるFOG(film on glass)実装が行われる。このときも、紫外線照射器31は、加熱押圧ヘッド30によってフレキシブル基板21を押圧し、所定時間(例えば1〜10秒程度)が経過した後から紫外線を照射する。また、紫外線を照射している間、加熱押圧ヘッド30の押圧を連続又は断続的に行ってもよい。また、紫外線照射器31は、段階的に照射量を上昇させる。
【0042】
これにより、異方性導電フィルム1を介して透明基板12と電子部品18やフレキシブル基板21とが接続された接続体を製造することができる。なお、これらCOG実装とFOG実装は、一度の熱加圧及び紫外線照射によって一括して行ってもよい。
【0043】
以上、液晶駆動用ICを直接液晶表示パネルのガラス基板上に実装するCOG実装、及びフレキシブル基板を直接液晶表示パネルの基板上に実装するFOG実装を例に説明したが、本技術は、COG実装、FOG実装以外のその他の各種接続に用いることができる。
【0044】
特に、基板とICチップやフレキシブルフラットケーブル等の電子部品とを接続する場合に、接続信頼性を確保すべく、従来は紫外線硬化及び熱硬化を併用する接続方法もあるが、この場合も、熱加圧による基板の反りや電子部品の損傷を防止する必要がある。
【0045】
例えば、LCDパネルに用いるガラス基板にICチップをCOG実装する場合、ガラス基板外周部の実装領域の狭小化や、ガラス基板の薄型化により、熱加圧によるガラス基板の反りが発生しやすい。ガラス基板に反りが発生すると、COG実装領域周辺の液晶画面に色むらができてしまう。このガラス基板の反りは、ICチップとガラス基板の熱膨張率の差に起因することから、実装温度の低温化が求められるが、接続信頼性の低下も防ぐ必要がある。
【0046】
本技術によれば、光の照射量を単調に上昇させることにより、光照射の初期ではバインダー樹脂の硬化反応の進行が遅くされ、光照射の後期でバインダー樹脂の硬化反応を急速に進行させることで、耐熱性に優れた硬化物とすることができる。すなわち、本技術によれば、熱硬化に要する高温加熱を必要とせずに、異方性導電フィルムの溶融に必要な最低限の加熱のみで実装温度の低温化を図り、これにより基板の反りを防止しつつ、接続信頼性を確保することができる。
【0047】
[その他]
また、本技術は、上述した紫外線硬化型の導電性接着剤を用いる他、例えば赤外光等の他の波長の光線によって硬化する光硬化型の導電性接着剤を用いることもできる。
【0048】
上記では、導電性の接着剤としてフィルム形状を有する異方性導電フィルム1について説明したが、ペースト状であっても問題は無い。本願では、導電性粒子4を含有する異方性導電フィルム1等のフィルム状の導電性接着フィルムまたはペースト状の導電性接着ペーストを「接着剤」と定義する。
【0049】
また、上記では、常温において固相であり、加熱することにより溶融する導電性接着剤を用いたが、常温において流動性を有する導電性接着剤を用いてもよい。この場合、加熱は要件ではなく、COG実装部20やFOG実装部に導電性接着剤を塗布し、電子部品18やフレキシブル基板21を配置した後、適宜所定の圧力で加圧しながら紫外線を照射することにより接続を図る。
【0050】
また、上記では、紫外線の照射量を多段階に変えて紫外線の照射量を上昇させていったが、紫外線照射器31による紫外線の照射量を線形で上昇させてもよい。この場合も、総照射量を考慮して照射時間当たりの照度を設定し、線形に上昇させる。紫外線照射器31としてLEDランプを用いることにより、照射時間と照度を容易に多段階に、あるいは線形に上昇させることができる。
【実施例1】
【0051】
次いで、本技術の実施例について説明する。本実施例は、紫外線の照射条件を異ならせて製造した各サンプルにおけるバインダー樹脂の硬化反応率(%)、初期導通抵抗値(Ω)、高温高湿試験(85℃/85%RH 500hr)後の導通抵抗値(Ω)、及び基板の反り量(μm)を測定した。
【0052】
導電性粒子含有層は、
フェノキシ樹脂(YP−50:新日鐵化学株式会社製);45質量部
エポキシ樹脂(EP−828:三菱化学株式会社製);50質量部
シランカップリング剤(KBM−403:信越化学工業株式会社製);1質量部
硬化剤(SI−60L:三新化学工業株式会社製);4質量部
導電性粒子;(AUL704:積水化学工業株式会社製):50000個/mmで分散
を混合して樹脂組成物を調整し、厚さ20μmのカチオン硬化系電極接着用シートを作成した。
【0053】
評価素子として、
外形;1.8mm×20mm
バンプ高さ;15μm
の評価用ICを用いた。
【0054】
評価用ICが接続される評価基材として、ガラス厚0.5mmのITOコーティングラスを用いた。
【0055】
このITOコーティングラスに導電性粒子含有層を介して評価用ICを熱加圧及び適宜紫外線照射によって接続した接続体サンプルを形成した。紫外線照射器として、UV照射器ZUV−C30H(オムロン株式会社製)を用いた。また、紫外線照射を行う各接続体サンプルにおいては、総照射量は900mJとし、照射時間が3秒の接続体サンプルでは加熱押圧ヘッド30による評価用ICへの熱加圧の開始後1秒後に紫外線照射を開始し、照射時間が4秒の接続体サンプルでは、加熱押圧ヘッド30による評価用ICへの熱加圧の開始と同時に紫外線照射を開始した。また、加熱押圧ヘッドの加熱温度は、比較例1を除き、硬化開始前に導電性粒子含有層が溶融したときの粘度(最低溶融粘度)を示す温度(120℃)に対して±〜40℃の範囲に設定した。
【0056】
実施例1では、加熱押圧ヘッドによる加熱温度を120℃、圧力60MPa、熱加圧時間を4秒とした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度100mJで2秒、第2段階ではUV照度700mJで1秒とした。
【0057】
実施例2では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度50mJで2秒、第2段階ではUV照度800mJで1秒とした。
【0058】
実施例3では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度100mJで1秒、第2段階ではUV照度400mJで2秒とした。
【0059】
実施例4では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を3段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度100mJで1秒、第2段階ではUV照度300mJで1秒、第3段階ではUV照度500mJで1秒とした。
【0060】
実施例5では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度50mJで1秒、第2段階ではUV照度425mJで2秒とした。
【0061】
実施例6では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を3段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度50mJで1秒、第2段階ではUV照度300mJで1秒、第3段階ではUV照度550mJで1秒とした。
【0062】
実施例7では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を3段階に分けて4秒間行い、第1段階ではUV照度50mJで1秒、第2段階ではUV照度200mJで2秒、第3段階ではUV照度450mJで1秒とした。
【0063】
実施例8では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を3段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度100mJで1秒、第2段階ではUV照度200mJで1秒、第3段階ではUV照度600mJで1秒とした。
【0064】
実施例9では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件をバインダー樹脂の最低溶融粘度を示す温度(120℃)から−40℃である80℃に設定し、その他の条件は実施例8と同じとした。
【0065】
実施例10では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件をバインダー樹脂の最低溶融粘度を示す温度(120℃)から−30℃である90℃に設定し、その他の条件は実施例8と同じとした。
【0066】
実施例11では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件をバインダー樹脂の最低溶融粘度を示す温度(120℃)から+20℃である140℃に設定し、その他の条件は実施例8と同じとした。
【0067】
実施例12では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件をバインダー樹脂の最低溶融粘度を示す温度(120℃)から+30℃である150℃に設定し、その他の条件は実施例8と同じとした。
【0068】
比較例1では、加熱押圧ヘッドによる加熱温度を170℃、圧力60MPa、熱加圧時間を4秒とした。また、紫外線照射は行わなかった。
【0069】
比較例2では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射は行わなかった。
【0070】
比較例3では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射条件として、UV照度300mJで3秒とした。
【0071】
比較例4では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度200mJで2秒、第2段階ではUV照度500mJで1秒とした。
【0072】
比較例5では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度150mJで2秒、第2段階ではUV照度600mJで1秒とした。
【0073】
比較例6では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度200mJで1秒、第2段階ではUV照度350mJで2秒とした。
【0074】
比較例7では、加熱押圧ヘッドによる加熱条件を実施例1と同じとした。また、紫外線照射を2段階に分けて3秒間行い、第1段階ではUV照度150mJで1秒、第2段階ではUV照度375mJで2秒とした。
【0075】
以上の実施例及び比較例の各接続体サンプルについて、導電性粒子含有層におけるエポキシ環の減少を測定することにより、導電性粒子含有層の反応率(%)を測定した。また、各接続体サンプルについて、デジタルマルチメータを用いて4端子法にて電流2mAを流した際の接続抵抗を測定した。また、各接続体サンプルについて、触針式表面粗度計(SE−3H:株式会社小阪研究所製)を用いて評価基材のITOコーティングラス下面からスキャンし、評価用ICの接続後のITOコーティングラスのガラス基板面の反り量(μm)を測定した。測定結果を表1、表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
表1、表2に示すように、反応率は、比較例2を除き、全ての接続体サンプルにおいて95%以上となった。これは、実施例1〜12、比較例3〜7においては、反応率が90%以上となるように熱加圧条件(80℃〜150℃、60MPa、4秒)や紫外線照射条件(900mJ、3秒又は4秒)を設定したことによるものであり、比較例1においては、熱加圧のみで反応率が90%以上となるように熱加圧条件(170℃、60MPa、4秒)を設定したことによる。
【0079】
一方、比較例2では、紫外線照射の併用を前提に設定した実施例1〜8と同じ熱加圧条件でありながら、紫外線照射を行わなかったことから、反応率が41%と低くなった。このため、比較例2では、初期導通抵抗値が1.8(Ω)と高く、高温高湿試験後の導通抵抗値では100(Ω)を超えてしまった。
【0080】
実施例1〜12と比較例1とを比べると、いずれも導電性粒子含有層が91%以上の反応率を示し、初期導通抵抗値が0.2(Ω)、高温高湿試験後の導通抵抗値が9.6(Ω)以下と低かった。一方で、実施例1〜12では、紫外線照射を併用することで加熱押圧ヘッドによる熱加圧温度を80℃〜150℃に低く抑えることができ、ガラス基板の反りを12.4(μm)以下に抑えることができた。比較例1では、紫外線照射を併用することなく導電性粒子含有層の高い反応率(%)を出すために加熱押圧ヘッドの熱加圧温度を170℃と高く設定したため、ガラス基板の反りが16.2(μm)と大きくなってしまった。
【0081】
実施例1〜12と比較例3とを比べると、比較例3では、紫外線照射を段階的に行わず、全照射時間(3秒)に亘って高い照度(300mJ/sec)で紫外線照射を行った。かかる比較例3では、高温高湿試験後の導通抵抗値が20.2(Ω)と上昇し、接続信頼性に劣る。一方、実施例1〜12は、紫外線照射を段階的にUV照度が上昇するように行ったため、高温高湿試験後の導通抵抗値も9.6(Ω)以下であった。これより、比較例3では耐熱性に劣る硬化物となってしまったことが分かる。これは紫外線照射の初期から強いUV照度で照射したため、バインダー樹脂の反応開始点が多くなりすぎてしまい分子鎖の短い耐熱性に劣る硬化物となってしまったためと思われる。
【0082】
実施例1〜12と比較例4〜比較例7とを比べると、比較例4〜比較例7においても、紫外線照射の初期から強いUV照度(200mJ/sec、150mJ/sec)で照射したため、分子鎖の短い耐熱性に劣る硬化物となってしまい、高温高湿試験後の導通抵抗値が13.5(Ω)と上昇し、実施例1〜12に比して接続信頼性に劣ることが分かる。一方、実施例1〜12は、高温高湿試験後の導通抵抗値も9.6(Ω)以下に抑えることができた。これは、紫外線照射の初期において150mJ/secより低いUV照度で照射しているため、耐熱性に優れた導電性粒子含有層の硬化物となったためと思われる。
【0083】
これより、UV照射の最初の段階におけるUV照度は、所定の紫外線照射条件(本実施例では900mJ、3秒又は4秒)において、総照射量(900mJ)の約17%未満(約150mJ/sec未満)の照度で照射することが好ましいことが分かる。
【0084】
また、UV照射の最初の段階におけるUV照度による照射時間は、所定の紫外線照射条件(本実施例では900mJ、3秒又は4秒)において、総照射時間(3秒又は4秒)の約20〜40%程度(約1秒〜2秒)とすることが好ましいことが分かる。
【0085】
加熱押圧ヘッドによる加熱条件について、実施例8〜実施例12を比べると、実施例9では、加熱温度が、バインダー樹脂が最低溶融粘度を示す温度(120℃)に対して−40℃と低めであったため、他の実施例に比して樹脂の流動性が悪く、端子間からバインダー樹脂が十分に排除できなかったため、高温高湿試験後の導通抵抗値が9.6(Ω)と比較的高くなった。
【0086】
また、実施例11、実施例12より、加熱温度がバインダー樹脂が最低溶融粘度を示す温度(120℃)に対して高くしていくと、他の実施例に比して基板の反りが大きくなっていくことが分かる。
【0087】
以上より、加熱押圧ヘッドによる加熱条件としては、バインダー樹脂が最低溶融粘度を示す温度(120℃)に対して−40℃〜+30℃の範囲(80℃〜150℃)で使用可能であるが、バインダー樹脂が最低溶融粘度を示す温度(120℃)に対して−30℃程度までの範囲(90℃〜120℃付近)で使用することが好ましいことが分かる。
【符号の説明】
【0088】
1 異方性導電フィルム、2 剥離フィルム、3 導電性粒子含有層、4 導電性粒子、10 液晶表示パネル、11 透明基板、12 透明基板、13 シール、14 液晶、15 パネル表示部、16 透明電極、17 透明電極、17a 端子部、18 電子部品、20 COG実装部、21 フレキシブル基板、22 FOG実装部、23 異方性導電フィルム、24 配向膜、25 偏光板、26 偏光板、30 加熱押圧ヘッド、31 紫外線照射器
図1
図2