(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リンク板は、L形側面の可動プレートおよび固定プレートともに旋回自在に設置し、該リンク板の周囲は、垂直直線状の左側辺、一方の貫通孔と同心の四半円形の左下周辺と、水平直線状の上側辺および下側辺と、垂直直線状の右側辺、他方の貫通孔と同心の四半円形の右下周辺とからなる請求項1記載の制動ヒンジ機構。
リンク板は、可動本体および固定本体に設けた矩形孔内で旋回自在に設置し、該リンク板の周囲は、一方の貫通孔と同心の半円形の左周辺と、水平直線状の上側辺および下側辺と、他方の貫通孔と同心の半円形の右周辺とからなり、可動本体の完全閉鎖状態において、リンク板の左周辺は可動天板の内側壁と接し、該リンク板の下側辺は可動天板の内底壁と近接し、且つ該リンク板の右周辺は固定天板の内側壁と接し、該リンク板の下側辺は固定天板の内底壁と近接する請求項1記載の制動ヒンジ機構。
制動ヒンジ機構は、跳ね上げカウンタにおける天板の左右端縁にそれぞれ取り付け、可動および固定天板の隣接辺上方は、可動天板が固定天板に対して近接旋回できるように面取りする請求項1記載の制動ヒンジ機構。
可動天板および固定天板にそれぞれ取り付けるカバーは、前端が側面円弧状になった角柱体であり、前方部にトルクヒンジ後方部を収容できる中空部とリンク板が摺動可能に入り込む縦スロットとを形成し、後方部に取付ボルト挿入用の盲孔を設けている請求項6記載の制動ヒンジ機構。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る制動ヒンジ機構1は、跳ね上げカウンタ3(
図3)に適用する場合には、可動本体が可動天板5であり、固定本体が固定天板7である。制動ヒンジ機構1は、
図1および
図2に示すように、プレート12を介して可動天板5内に取り付ける第1トルクヒンジ14と、プレート16を介して固定天板7内に取り付ける第2トルクヒンジ18と、第1および第2トルクヒンジ14,18を旋回可能に連結するリンク板20とで構成する。制動ヒンジ機構1は、通常、跳ね上げカウンタ3における天板5,7の左右端縁にそれぞれ取り付けるけれども、可動天板5の大きさによって制動力が不足する場合には、制動ヒンジ機構1を3個以上取り付けてもよい。
【0016】
取付プレート12,16は、単なる平板であっても、
図10と
図11に示すようなL字形部材でもよい。取付プレート12,16は、可動天板5および固定天板7が比較的薄い場合に各天板の側面にボルト止めされる(
図1、
図2参照)。可動天板5と固定天板7が比較的厚い場合には、L字形取付プレート90,92の水平部106,108を各天板にボルト止めすればよい(
図10と
図13参照)
【0017】
本発明で用いるリンク板20,88は、
図6または
図11に示すような平面形状を有する。
図6に示すリンク板20であると、可動天板5および固定天板7に設けた矩形孔21(
図2)内に制動ヒンジ機構1を精確に取り付けることが必要である。一方、
図11に示すリンク板88は、L字形プレート90,92とともに設置し、ヒンジ機構単独で回動変更を制御できるので、可動天板5と固定天板7の素材などでヒンジ機能が左右されることがない。この制動ヒンジ機構を3個以上取り付ける場合には、天板左右端縁以外の内部にも設置することになり、この場合には、
図10に示す制動ヒンジ機構86は比較的容易に設置できる。
【0018】
本発明で用いる第1および第2トルクヒンジ14,18は、可動本体または固定本体に取り付け、ともに同じ回転方向にフリー回動する。この際に、フリー回動とは、制動されることなく、従来のように自由に回動できることを意味する。
図8、
図9および
図12において、図の左側のF方向とB方向は、第トルクヒンジ14における可動天板5の回動方向を意味し、図の右側のF方向とB方向は、第2トルクヒンジ16におけるリンク板20の回動方向を意味する。
【0019】
トルクヒンジ14,18は、
図4に例示するように、リンク板20と一体作動する制動円板58,60と、可動天板5または固定天板7つまり軸22と一体作動するワッシャ62,64とを有し、リンク板20に保持リング54,56を設置することにより、該制動円板の外周に保持リング54,56が全面的に配置される。制動円板58,60は耐磨耗性のエンジニアリングプラスチック製であるから、トルクヒンジ14を長期間使用することが可能である。
図4では、リンク板20の両側に制動円板58,60を配置しているけれども、該制動円板を片側だけに配置する構成にしてもよい。軸22に通す皿バネ63は、
図4では1枚であるけれども、2枚または3枚以上使用することもでき、ナット65の代わりにかしめ止めなどで全体を固着してもよい。
【0020】
トルクヒンジ14,18において、制動円板58およびワッシャ62の外径は通常等しく、直径7〜8mm以上であれば製作可能である。制動円板58およびワッシャ62をリンク板20の保持リング16内に嵌装した後に、トルクヒンジ14の全体を締め付けると、制動円板58の側面とワッシャ62の側面とが摩擦面となり、リンク板20を任意の回動位置で静止できる。
【0021】
保持リング54,56は、所望に応じてリンク板20の側面に取り付ける(
図6参照)。この際に、プラスチック製の制動円板58,60は、内側面がリンク板20と接触し、さらに金属の保持リング54およびワッシャ62で完全に取り囲まれ、加圧・加熱を受けても変形または膨張できる余地がない。保持リング54,56は、リング状の金属材をリンク板20にスポット溶接しても、金属切削によってリングを形成すればよい。保持リング54の内径は、制動円板58およびワッシャ62の外径よりもわずかに大きく、該保持リングの厚みは制動円板58の厚みよりも大きい。
【0022】
制動円板58,60は、ワッシャとともに空回りしないように、リンク板のリンク板20において回り止め部材を設けることを要する。その一例として、制動円板に側面突起66,66(
図7)または周面突起(図示しない)を形成し、一方、リンク板20の側面に凹み68(
図6)またはリング内周面に凹みを設ければよい。また、制動円板58,60とリンク板20とを貫通するピンを取り付けたり、制動円板の外周面および保持リングの内周面を楕円や矩形などの非円形平面としてもよく、接着剤で制動円板58とリンク板20とを一体化することも可能である。
【0023】
片方向回転機構69は、
図5に示すように比較的大きいフレーム孔71を有する。片方向回転機構69は所定の厚さを有し、フレーム孔71の内部に少なくとも1組の弾性樹脂体80およびローラ82を収容する。弾性樹脂体80は、通常、角柱状のエラストマであり、この他に小型の板バネや圧縮バネなどを使用してもよい。弾性樹脂体80およびローラ82の組は、一般に円周方向に等間隔に4組分けて配置し(
図5参照)、この組を2組、3組または5組以上配置することも可能である。
【0024】
片方向回転機構69は、
図5において、弾性樹脂体80およびローラ82をフレーム孔71の内周面と軸22の外壁面との間に介在させるため、孔71の内周面と軸22の外壁面との間に長三角形状断面の切込み78を形成する。切込み78を形成するには、
図5のように軸22に切欠きカラー74を挿入・固着しても、軸22が太いならば該軸体自体の外周面に切込みを直接刻設してもよい。また、フレーム孔71の内周面に外向きの切込みを刻設すれば、軸22自体は円形のままでよい。
【0025】
片方向回転機構69では、フレーム孔71の内周面と近接する内壁面を有する切込み78内において、各ローラ82が弾性樹脂体80の弾力に逆らって切込み内周面から離れることにより、プレート12つまり可動天板5はカラー74つまり軸22の回りで空転する。したがって、可動天板5の上向き回動はきわめて容易であり、該可動天板を適宜開いた位置で静止できる。また、可動天板5を下向きへ旋回する際には、切込み78内の各ローラ82が弾性樹脂体80の弾力によって切込みの内周面に食い込み、プレート12をカラー74とともに制動回転する。したがって、可動天板5を下向きに移動する際に急激な下方旋回を制動し、該可動天板を静かに閉じることができる。
【0026】
本発明に係る制動ヒンジ機構1は、コンビニエンスストア、業務用ダイニングキッチンやスナックバーなどにおいて、
図3に示す跳ね上げ式カウンタ3の可動天板5および固定天板7に取り付けるのが一般的な使用であるけれども、このような使用に限定されることはない。例えば、素材強度や寸法などを変更すれば、地下収納庫の蓋またはマンホールの蓋などに適用することも可能である。
【実施例1】
【0027】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1に示す制動ヒンジ機構1は、長寸のカウンタ2(
図3)に配置した跳ね上げカウンタ3の左右端縁内に1対で取り付け、該跳ね上げカウンタでは可動天板5を固定天板7に対して約180度開放可能に回動可能である(
図8(5)参照)。1対の制動ヒンジ機構1は、
図1においてそれぞれカバー8,10内に収納されている。
図3において、天板5,7の隣接辺上方11は、可動天板5が固定天板7に対して近接旋回できるように側面円弧状に丸めたり、面取りしている(
図8、
図9参照)。
【0028】
カバー内の制動ヒンジ機構1は、
図1および
図2に示すように、プレート12を介して可動天板5内に取り付ける第1トルクヒンジ14と、プレート16を介して固定天板7内に取り付ける第2トルクヒンジ18と、第1および第2トルクヒンジ14,18を旋回可能に連結するリンク板20とで構成する。第1および第2トルクヒンジ14,18は、通常、片方向回転機構69を含めて同一の構造であり、同じ一回転方向のみにフリー回動し、その反対方向には制動回転する。
【0029】
横長のリンク板20は、
図6に示すように、天板5,7の端縁内に対称に設けた矩形孔21内に密に配置する。リンク板20には、第1トルクヒンジ14の軸22を嵌入する貫通孔24と、第2トルクヒンジ18の軸26を嵌入する貫通孔28とを形成し、両貫通孔の水平間隔は天板表面から貫通孔中心までの垂直距離の約2倍である。リンク板20の周囲は、貫通孔24と同心の半円形の左周辺30と、直線状の上側辺32および下側辺34と、貫通孔28と同心の半円形の右周辺36とからなる。可動天板5の完全閉鎖状態において、リンク板20の左周辺30は可動天板5の内側壁38と接し、該リンク板の下側辺34は可動天板5の内底壁40および固定天板7の内底壁44と近接し、且つ該リンク板の右周辺36は固定天板7の内側壁42と接する。
【0030】
第1および第2トルクヒンジ14,18は、ともに同一の構造であるので、
図4では第1トルクヒンジ14について説明する。トルクヒンジ14では、軸22(または26)の下方部を可動天板5のプレート12の貫通孔45に回転自在に嵌合し、止めリング46で脱落を防止し、さらに該軸はプレート12に対して直角に配置する。軸22には、前方部に雄ねじ山48を刻設する。軸22は、軸方向に沿って周面の両側を平行に切削した非円形軸である(
図6参照)。軸22には、まずPTFE製の滑り円板50およびワッシャ52を挿通する。
【0031】
トルクヒンジ14に関して、リンク板20の両面には、それぞれ保持リング54,56を貫通孔24と同心状に配置して固着する(
図6参照)。制動円板58,60は、それぞれ保持リング54,56内に嵌装し、各制動円板と接触するワッシャ62,64はリング54,56の内径よりも小さい外径を有する。ワッシャ64の上方には、さらに少なくとも1枚(通常は3枚)の皿バネ63を軸22に通し、該軸をナット65で締め付ける。滑り円板50およびワッシャ52,62,64には、軸22の非円形断面に対応する非円形貫通孔を設ける。また、制動円板58,60には、軸22と挿通可能な円形の中心孔61を設け、該中心孔はリンク板20の貫通孔24と同径である。
【0032】
ワッシャ62,64は硬質金属製であり、一方、制動円板58,60は、炭素含有のポリアセタール樹脂のような耐磨耗性エンジニアリングプラスチックの射出成形品である。また、保持リング54,56は通常同一形状であり、リンク板20の両面において貫通孔24と同心状にそれぞれ配置し、スポット溶接などでリンク板20に固着すればよい。保持リング54の内径は、制動円板58,60の外径よりも僅かに大きい。また、保持リング54の厚みは、制動円板58,60の厚みよりも大きい。
【0033】
制動円板58,60は通常同一形状であり、両側面が平坦なドーナツ状のディスクである。制動円板58の中心孔61には、軸22を回動自在に嵌入できる。制動円板58を保持リング54に嵌めると、中心孔61はリンク板20の貫通孔24と合致する。制動円板58には、リンク板20とともに確実に回動・停止できるように、リンク板20側の側面に1対の回り止め用の突起66,66(
図7)を形成し、一方、リンク板20の対応側面に凹み68,68(
図6)を設ける。トルクヒンジ14の全体を締め付けると、突起66,66はそれぞれ凹み68,68の中に嵌り込む。
【0034】
ワッシャ62,64は通常同一形状であり、両側面が平坦なほぼドーナツ状のディスクである。ワッシャ62の中心孔は非円形貫通孔であり、ワッシャ62を軸22に嵌めると、該軸とともに回動・停止する。ワッシャ62は、制動円板58とほぼ同じ外径を有し、保持リング54に嵌めることができる。
【0035】
トルクヒンジ14を組み立ててナット65で締め付けると、皿バネ63によって制動円板58,60は弾性的にワッシャ62,64で押圧され、ともに保持リング54または56の中に入り込む。この際に、制動円板58,60の突起66,66がリンク板20の凹み68,68の中に嵌り込み、該制動円板はリンク板のリンク板20とともに回動する。一方、ワッシャ62,64は、非円形貫通孔を有することにより、軸22つまり可動天板5の固定プレート8とともに静止している。
【0036】
トルクヒンジ14は、全必要部材を加算しても厚みが10mm前後であり、プラスチック製の制動円板58,60をワッシャ62,64と面接触させて機構全体を締め付けることにより、回動する制動円板58の表面と、静止するワッシャ62の側面とが摩擦面となり、可動天板5を任意の回動位置で静止できる。トルクヒンジ14は、リンク板20を回動する際に作用する荷重を両制動円板の側面と両ワッシャの側面で受ける。プラスチック製の制動円板58,60は、その外周画が保持リング54または56で密に取り囲まれているため、継続的な押圧力や熱が加わっても外方へ変形または破損しない。
【0037】
片方向回転機構69は、
図5に示すような円形のフレーム孔71を有する構造であればよく、該回転機構をプレート12,16に固着する。片方向回転機構69には、PTFE製の滑り円板68を介して円形カバー70を取り付ける。円形カバー70は、小ボルト72で軸22の端面にネジ止めするから、該円形カバーは軸22とともに回転する。
【0038】
片方向回転機構69において、部分的に円形外周のカラー74の中心孔76はプレート12の貫通孔45を通過して延長した軸22と嵌合する。軸22の横断面は、図示のように非円形断面であるから、カラー74は軸22と一体的に回転する。カラー74の外周面には、円周方向で等間隔に4個の長三角形状断面の切込み78を刻設し、各切込みは弾性樹脂体80が接触する比較的深い凹みから円周方向の一方に向かって徐々に狭くなる。各切込み78には、弾性樹脂体80とローラ82の組をそれぞれ収納し、弾性樹脂体80によって各ローラ82を切込み78のより狭い内壁面の方へ付勢する。
【0039】
可動天板5の回動により、プレート12が
図5の時計方向に回転すると、各切込み78内のローラ82も時計方向に回転し、該ローラが弾性樹脂体80の弾力に逆らって狭い内壁面から離れることにより、プレート12はカラー74の周囲で空転し、フリー回動で可動天板5の上方開放は容易である。また、可動天板5を閉じるために下方へ旋回すると、プレート12が
図6の反時計方向に回転し、各切込み78内のローラ82も反時計方向に回転する。この結果、各ローラ82が弾性樹脂体80の弾力によって切込み78の狭い内壁面に食い込み、カラー74つまり軸22をプレート12とともに回転させ、該軸の回動を制動円板58,60によって抑制するため、可動天板5の急激な下方旋回を制動し、該可動天板を静かに閉鎖できる。
【0040】
制動ヒンジ機構1について、可動天板5の全開閉作動を
図8によって説明する。
図8において、可動天板5は、第1トルクヒンジ14について、
図8左側のように時計回りのF方向にフリー回動し、反時計回りのB方向に制動回動する。一方、リンク板20は、第2トルクヒンジ16について、
図8右側のように反時計回りのF方向にフリー回動し、時計回りのB方向に制動回動する。
【0041】
可動天板5を
図8(2)のように開いていくと、該可動天板は、
図8(3)に示す90度開放位置つまり直立位置までフリー回動し、該可動天板を軽く開くことができる。このフリー回動の際に、可動天板5から手を離しても、該可動天板はその位置で静止する。
図8(3)に示す90度開放位置に達すると、可動天板5の内側壁38がリンク板20の上側辺32と当接し(
図6の二点鎖線参照)、可動天板5とともに第1トルクヒンジ14の回動が止まり、該可動天板は90度開放位置で静止する。
【0042】
可動天板5を
図8(4)のように開放を続けると、リンク板20が、第2トルクヒンジ16について
図8の時計回りのB方向に制動回動する。このため、可動天板5を
図8(4)の位置で手を離したり、固定天板7の方へ急に押しても、該可動天板は緩やかに回動するので指詰め事故などが起こらない。可動天板5が180度旋回し、
図8(5)の完全開放位置に達すると、該可動天板は停止する。
【0043】
一方、可動天板5を
図8(5)の完全開放位置から閉じていくと、
図8(4)を経て
図8(3)の直立位置まで、リンク板20が、第2トルクヒンジ16について
図8の反時計回りのF方向にフリー回動し、該可動天板を軽く開くことができる。このフリー回動の際に、可動天板5から手を離しても、該可動天板はその位置で静止する。
図8(3)に示す直立位置に達すると、リンク板20の下側辺34が固定天板7の内底壁44と当接し、該リンク板つまり可動天板5の回動が止まり、該可動天板は直立位置で静止する。
【0044】
可動天板5を
図8(2)を経て
図8(1)の位置まで閉鎖を続けると、リンク板20は静止したままで、可動天板5が第1トルクヒンジ14について
図8の反時計回りのB方向に制動回動する。このため、可動天板5を
図8(4)の位置で手を離したり、固定天板7の方へ急に押しても、該可動天板は緩やかに回動するので指詰め事故などが起こらない。可動天板5が180度旋回し、
図8(5)の完全開放位置に達すると、該可動天板は停止する。
【実施例2】
【0045】
若干動きが異なる制動ヒンジ機構84について、可動天板5の全開閉作動を
図9で説明する。
図9において、可動天板5は、第1トルクヒンジ14について、
図9左側のように反時計回りのF方向にフリー回動し、時計回りのB方向に制動回動する。一方、リンク板20は、第2トルクヒンジ16について、
図9右側ののように時計回りのF方向にフリー回動し、反時計回りのB方向に制動回動する。
【0046】
可動天板5を
図9(2)のように開いていくと、該可動天板は、リンク板20とともに、第2トルクヒンジ16について
図9の時計回りのF方向にフリー回動し、
図9(3)に示す90度開放位置つまり直立位置までフリー回動する。このフリー回動の際に、可動天板5から手を離しても、該可動天板はその位置で静止する。
図9(3)に示す90度開放位置に達すると、リンク板20の上側辺32が固定天板の内側壁42と当接し(
図6の一点鎖線参照)、リンク板20および可動天板5は90度開放位置で静止する。
【0047】
可動天板5を
図9(4)のようにさらに開放を続けると、リンク板20は静止したままで、可動天板5が第1トルクヒンジ14について
図9の時計回りのB方向に制動回動する。このため、可動天板5を
図9(4)の位置で手を離しても、該可動天板は緩やかに下方へ回動する。可動天板5が180度旋回し、
図9(5)の完全開放位置に達すると、該可動天板は停止する。
【0048】
一方、可動天板5を
図9(5)の完全開放位置から閉じていくと、
図9(4)を経て
図9(3)の直立位置まで、第1トルクヒンジ14について
図9の反時計回りのF方向にフリー回動し、該可動天板を軽く開くことができる。
図9(3)に示す直立位置に達すると、可動天板5の内底壁40がリンク板20の下側辺34と当接し、可動天板5の回動が第1トルクヒンジ14について止まり、該可動天板は直立位置で静止する。
【0049】
可動天板5を
図9(2)を経て
図9(1)の位置まで閉鎖を続けると、リンク板20が第2トルクヒンジ16について
図9の反時計回りのB方向に制動回動し、可動天板5はリンク板20とともに旋回する。このため、可動天板5は緩やかに回動するので指詰め事故などが起こらない。可動天板5が180度旋回し、
図9(5)の完全開放位置に達すると、リンク板20および可動天板5は停止する。
【0050】
制動ヒンジ機構84は、機能的には実施例1の制動ヒンジ機構1と同一であるが、可動天板5を90度開いた際に、同じ長さの可動天板でも静止位置が異なることにより、開き幅が若干大きい。このため、比較的短い可動天板である場合には、制動ヒンジ機構84の方が使い勝手が良い。
【実施例3】
【0051】
図10は本発明の別の変形例を示し、制動ヒンジ機構86は、実施例1の制動ヒンジ機構1と基本的に同一であっても、少なくともリンク板88および両プレート90,92の形状が実施例1のそれと異なっている。制動ヒンジ機構86は、可動天板および固定天板の内壁を利用してフリー回動と制動回動の変更を制御することなく、ヒンジ機構単独で回動変更を制御している。このため、制動ヒンジ機構86は、取り付けるべき可動天板と固定天板の素材でヒンジ機能が左右されることがなく、両天板への取付の際に要求される精確さの度合いも比較的小さい。
【0052】
制動ヒンジ機構86において、リンク板88の裏側は
図11に示すような平面形状であり、実施例1のリンク板20と異なっている。リンク板88の周囲は、
図11において、垂直直線状の右側辺94、貫通孔24と同心の四半円形の右下周辺96と、水平直線状の上側辺98および下側辺100と、垂直直線状の左側辺102、貫通孔28と同心の四半円形の左下周辺104とからなる。また、リンク板88には、前記の保持リング54を固着または形成していない。
【0053】
両プレート90,92は、前記のプレート12,16に相当するけれども、プレート12,16のような平板ではなく、
図10および
図11から明らかなようにL字形部材であり、水平のプレート折曲部106,108を有する。このため、可動プレート90が90度旋回すると、プレート折曲部106がリンク板88の右側辺94と当接し(
図12(3)参照)、可動プレート90が180度旋回すると、リンク板88の左側辺102がプレート折曲部108と当接する(
図12(5)参照)。
【0054】
制動ヒンジ機構86について、可動プレート90の全開閉作動を
図12によって説明し、
図12ではリンク板88および両プレート90,92は裏側を示している。
図12において、可動プレート90は、第1トルクヒンジ14について
図12右側のように反時計回りのF方向にフリー回動し、時計回りのB方向に制動回動する。一方、リンク板88は、第2トルクヒンジ18について、
図12左側のように時計回りのF方向にフリー回動し、反時計回りのB方向に制動回動する。
【0055】
可動プレート90を
図12(2)のように開いていくと、該可動プレートは、
図12(3)に示す90度開放位置つまり直立位置までフリー回動し、該可動プレートを軽く開くことができる。このフリー回動の際に、可動プレート90から手を離しても、該可動プレートはその位置で静止する。
図12(3)に示す90度開放位置に達すると、可動プレート90の折曲部106がリンク板88の右側辺94と当接し、可動プレート90すなわち第1トルクヒンジ14の回動が止まり、該可動プレートは90度開放位置で静止する。
【0056】
可動プレート90を
図12(4)のように開放を続けると、リンク板88が、第2トルクヒンジ18について反時計回りのB方向に制動回動する。このため、可動プレート90を
図12(4)の位置で手を離したり、固定プレート92の方へ急に押しても、該可動プレートは緩やかに回動するので指詰め事故などが起こらない。可動プレート90が180度旋回し、
図12(5)の完全開放位置に達すると、リンク板88の左側辺102が固定プレート92の折曲部108と当接し、該可動プレートは停止する。
【0057】
一方、可動プレート90を
図12(5)の完全開放位置から閉じていくと、
図12(4)を経て
図12(3)の直立位置まで、リンク板88が、第2トルクヒンジ18について時計回りのF方向にフリー回動し、該可動プレートを軽く開くことができる。このフリー回動の際に、可動プレート90から手を離しても、該可動プレートはその位置で静止する。
図12(3)に示す直立位置に達すると、リンク板88の下側辺34が固定プレート92の折曲部108と当接し、リンク板88つまり可動プレート90の回動が止まり、該可動プレートは直立位置で静止する。
【0058】
可動プレート90を
図12(2)を経て
図12(1)の位置までさらに閉鎖を続けると、リンク板88は静止したままで、該可動プレートを第1トルクヒンジについて時計回りのB方向に制動回動する。このため、可動プレート90を
図12(4)の位置で手を離したり、固定プレート92の方へ急に押しても、該可動プレートは緩やかに回動するので指詰め事故などが起こらない。可動プレート90が、
図12(1)の完全閉鎖位置に達すると、該可動プレートの折曲部106がリンク板88の下側辺100と当接し、該可動プレートは停止する。
【実施例4】
【0059】
図13および
図14は、可動天板5および固定天板7にそれぞれ取り付けるカバー110をより具体的に示し、
図13では可動天板5だけに取り付けている。
図13の制動ヒンジ機構112は、実施例3の制動ヒンジ機構86とほぼ同じ構造であり、可動天板5および固定天板7に設けた横長の矩形孔114内に密に収納する。矩形孔114は、可動プレート90の折曲部106および固定プレート92の折曲部108の平面に相当する平面形状であり、制動ヒンジ機構112の高さに等しい深さを有する。
【0060】
制動ヒンジ機構112は、複数本の穴付き頭ボルト116によって、可動プレート90の折曲部106および固定プレート92の折曲部108を矩形孔114の底壁に固着する。この固着により、可動プレート90および固定プレート92は、その上辺が可動天板5および固定天板7の表面と一致し、且つその側面が可動天板5および固定天板7の側縁とほぼ一致する。
【0061】
カバー110は、
図14に示すように、前端118が側面円弧状になった角柱体であり、その平面形状は可動プレート90の折曲部の平面とほぼ一致する。図示しないけれども、固定プレート92用のカバーは、可動プレート90用のカバー110と対称形である。カバー110には、前方部にトルクヒンジ後方部を収容できる横向き中空部120と、リンク板88が摺動可能に入り込む縦スロット122とを形成する。カバー110の後方部には、取付ボルトである2個の穴付き頭ボルト116の挿入用盲孔124,124を垂直に設けている。
【0062】
カバー110を可動天板5または固定天板7について矩形孔114内に嵌め込むと、盲孔124,124がボルト116、116と密に嵌合し、中空部120内にトルクヒンジ後方部が位置し、縦スロット122はリンク板88の位置と合致する。盲孔124,124内にボルト116、116が入り込むと、そこでカバー110は固定され、該カバー表面は可動天板5または固定天板7の表面と一致し、この際に、側面円弧状の前端118は他方のカバー前端と隣接する。カバー110をより確実に固定するには、カバー底面や盲孔124,124内に接着剤を塗布してもよい。