特許第5745984号(P5745984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745984
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】水切りの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20150618BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   E04B1/64 C
   E04F13/08 W
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-210574(P2011-210574)
(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2013-72191(P2013-72191A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】林 康治
【審査官】 土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3793195(JP,B2)
【文献】 特開2010−095956(JP,A)
【文献】 特開2009−19366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64
E04B 1/76 − 1/80
E04F 13/08
E06B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁と、この外壁に固定されている外装材と、この外装材と前記外壁との間に設けられている外断熱材とを備えた外断熱構造の開口部における水切りの取付構造において、
前記水切りは、前記外壁に固定される固定部と、この固定部より下方に延びる水切り本体とを有し、
前記開口部の上方において、前記外壁と前記外装材間に前記外断熱材が設けられていない空間があり、この空間に面している前記外壁の表面に前記水切りの固定部が固定され、
前記空間に前記水切り本体が面しており、
前記外壁に、前記水切り本体と対向して、前記空間を挟んでふかし材が水平方向に設けられ、
前記開口部の上に設けられている前記水切りの水切り本体の上方に、前記ふかし材が設けられ、このふかし材の上面に前記外断熱材が当接しているとともに、
前記開口部の下方において、前記外壁と前記外装材間に前記外断熱材が設けられていない空間があり、この空間に面している前記外壁の表面に前記水切りの固定部が固定され、
前記開口部の下に設けられている前記水切りの水切り本体の下方に、前記ふかし材が設けられ、このふかし材の下面に前記外断熱材が当接しており、
かつ前記開口部の下に設けられている前記水切りの水切り本体の下方に、外側に傾斜する水勾配を有する桁材が前記空間と面して設けられている
ことを特徴とする水切りの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水切りの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内断熱工法の場合と同じサッシや付属品を利用でき、製造、管理、作業の各種コストを低減できる外断熱式外壁構造を提供することが提案されていた(例えば、特許文献1)。この外断熱式外壁構造においては、開口部における柱の外方にサッシ支持枠が取付けられている。そして、従来と同様に、このサッシ支持枠の外方に外装材がはみ出ないように施工するため、サッシ支持枠の厚みより薄い断熱材を使用している。ところで、従来から使用されている断熱材で外断熱構造を提供したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−166379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から使用している断熱材(グラスウール、ロックウール等)を外断熱材として使用する場合、この外断熱材に厚みがあるため、サッシ等の外部建具の外方に外壁材が位置してしまう。そのため、新たな防水構造を提供しないと、外部建具の周囲から外装材内の断熱材等へ雨漏りすることが想定される。そこで、外断熱構造の開口部において、外部建具の周囲から外装材内の断熱材等へ雨漏りしないようにする新たな防水構造を提供することが望まれる。
【0005】
本発明は、外断熱構造の開口部において水切りを取付けることができる水切りの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、請求項1に記載の水切り30a、31aの取付構造に係る発明は、例えば、図1図4に示すように、
外壁1と、この外壁1に固定されている外装材7と、この外装材7と前記外壁1との間に設けられている外断熱材4とを備えた外断熱構造の開口部における水切り30a、31aの取付構造において、
前記水切り30a、31aは、前記外壁1に固定される固定部30a1、31a1と、この固定部30a1、31a1より下方に延びる水切り本体30a2、31a2とを有し、
前記開口部の上方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43aがあり、この空間43aに面している前記外壁1の表面に前記水切り30a、31aの固定部30a1、31a1が固定され、
前記空間43aに前記水切り本体30a2、31a2が面しており、
前記外壁1に、前記水切り本体30a2、31a2と対向して、前記空間43aを挟んでふかし材2bが水平方向に設けられ、
前記開口部の上に設けられている前記水切り30a、31aの水切り本体30a2、31a2の上方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの上面に前記外断熱材4が当接しているとともに、
前記開口部の下方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43bがあり、この空間43bに面している前記外壁1の表面に前記水切り30b、31bの固定部30b1、31b1が固定され、
前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの下面に前記外断熱材4が当接しており、
かつ前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、外側に傾斜する水勾配31を有する桁材2cが前記空間43bと面して設けられている
ことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記開口部の上方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43aがあり、この空間43aに面している前記外壁1の表面に前記水切り30a、31aの固定部30a1、31a1が固定されているので、外断熱構造の前記開口部の上方において水切りの取付が可能になる。つまり、外断熱材4が存在しない前記空間43aに外壁1の表面が面しているので、当該表面に水切り30a、31aの固定部30a1、31a1を容易に固定でき、よって水切りの取り付けが可能となる。
【0009】
また、前記外壁1に、前記水切り本体30a2、31a2と対向して、前記空間43aを挟んでふかし材2bが水平方向に設けられているので、開口部の上方において外装材7の取り付け位置を外壁1より少なくともふかし材2bの幅分外方に設定でき、よって、外断熱材4を設けるスペースを確保できる。
【0011】
しかも、前記開口部の上に設けられている前記水切り30a、31aの水切り本体30a2、31a2の上方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの上面に前記外断熱材4が当接しているので、このふかし材2bの上面で前記外断熱材4を押さえて、前記ふかし材2bの下方に外断熱材4が飛び出さないようにできる。
【0013】
さらに、前記開口部の上方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43bがあり、この空間43bに面している前記外壁1の表面に前記水切り30b、31bの固定部30b1、31b1が固定されているので、外断熱構造の前記開口部の上方において水切りの取付が可能になる。つまり、外断熱材4が存在しない前記空間43bに外壁1の表面が面しているので、当該表面に水切り30b、31bの固定部30b1、31b1を容易に固定でき、よって水切りの取り付けが可能となる。また、前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの下面に前記外断熱材4が当接しているので、このふかし材2bの下面で前記外断熱材4を押さえて、前記ふかし材2bの上方に外断熱材4が飛び出さないようにできる。
【0015】
加えて、前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、外側に傾斜する水勾配31を有する桁材2cが前記空間43bと面して設けられているので、開口部の下方において水が滞留するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外断熱構造の開口部において水切りを取付けることができる水切りの取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る水切りの取付構造の一例を示す図であり、腰窓サッシを取付けた開口部の断面図である。
図2】同、掃き出しサッシを取付けた開口部の断面図である。
図3】同、腰窓サッシとブラインドシャッターを取付けた開口部の断面図である。
図4】本発明に係る外断熱構造の一例を示す図であり、(a)は外断熱構造を説明するための図であり、(b)はふかし材の一例を示す図であり、(c)は図4(a)のI−I断面図である。
図5】同、壁パネルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<実施の形態>
始めに、図4および図5を参照して、本発明に係る水切りの取り付け構造が適用される外断熱構造について説明する。
図4は住宅等の建物の外断熱構造を示し、図5図4の外壁1を構成する壁パネル1Aの構造を示す。なお、本実施の形態において、外壁1は、壁パネル1Aと、開口部の上方に用いられる壁パネル1A1と、開口部の下方に用いられる壁パネル1A2とから構成される。図4(a)および図4(b)において符号10は建物の基礎を示す。この基礎10の上に換気台輪11が設けられ、換気台輪11の上に床パネル12と半土台13が設けられ、これら床パネル12と半土台13の上に壁パネル1Aが設けられている。ここで、床パネル12と半土台13とは接着剤等で接合されている。
図5に示すように、前記壁パネル1Aは、縦框材21,21と横框材22,22とが矩形状に組み立てられるとともに、この矩形枠の内部に補強芯材23が縦横に組まれて枠体が形成され、さらにこの枠体内にグラスウール等の断熱材(図示せず)が充填された状態で枠体の表裏面に合板等の面材25,25が貼設されたものである。
基礎10には、アンカーボルト(図示せず)がその上端部を基礎10から突出させて埋め込まれ、このアンカーボルトが換気台輪11と、床パネル12と半土台13の接合部と、壁パネル1A下部の横框材22を挿通し、ナット(図示せず)と螺合され、ナットがアンカーボルトに締め付けられることにより、壁パネル1Aが基礎10に固定されている。壁パネル1Aの縦框材21、横框材22、補強芯材23は壁パネル1Aを構成する構造材である。
【0020】
ここで、前記外断熱構造では、複数の壁パネル1Aを横方向に接合してなる外壁1と、この外壁1に固定されている外装材7と、この外装材7と前記外壁1との間に設けられている外断熱材4とを備えた構造において、前記外壁1の表面および半土台13の表面にふかし材2a、2bが前記壁パネル1Aの縦框材21および半土台13に沿って配置されているとともに、この縦框材21および半土台13に前記ふかし材2a、2bが固定用ビス8aで固定されている。図4(a)に示す例では、壁パネル1Aが4枚示されている。立面視において、これら4枚の壁パネル1Aうちの一番右側の壁パネル1Aの右の縦框材21にふかし材1aが固定されている。右から2番目と3番目の壁パネル1Aについては、右と左の縦框材21にふかし材1aが固定されている。一番左の壁パネル1Aについては、左の縦框材21にふかし材1aが固定されている。これは、押え材の長さが壁パネル2枚分の長さ(例えば、1820mm)であるため、これに合わせて、ふかし材の取り付け枚数が決められている。
【0021】
ふかし材2a,2bは長尺な帯板材で形成されており、図4(c)に示すように、ふかし材2a、2bに予め所定間隔でビス孔8cが複数設けられている。そのため、現場で、ふかし材2a、2bを縦框材21に取付ける際の作業効率が向上する。具体的には、前記ふかし材2a、2bは、長手方向において、互いに向かい合う広い面と、互いに向かい合う狭い面を有し、前記狭い面間にビスが挿通されるビス孔8cが予め設けられ、このビス孔8cに一方の前記狭い面から他方の前記狭い面へ前記固定用ビス8aが挿通され、この固定用ビス8aが前記壁パネル1Aおよび半土台13に挿入されることにより、前記壁パネル1Aおよび半土台13に前記ふかし材2a、2bが接合されている。ここで、ふかし材2a、2bの壁からの幅を大きく(広い面の短手を長く)することにより、厚い外断熱材4を使用することが可能になる。
【0022】
図4に示す例では、木口隠し9が半土台13に取付けられた後、前記壁パネル1Aの下部の半土台13にふかし材2bが横方向に固定用ビス8aで取付けられている。このふかし材2bの両端にふかし材2aが縦方向に設けられ、前記壁パネル1Aの縦框材21にふかし材2aが縦方向に固定用ビス8aで取付けられている。
【0023】
前記壁パネル1Aの表面に前記外断熱材4が前記ふかし材2a、2bに当接している状態で設けられている。この外断熱材4は、前記ふかし材2aに固定された押え材3a、3bによって、前記壁パネル1Aの表面および半土台13の表面に押え付けられている。また、外断熱材としては、グラスウール、ロックウール等の軟質断熱材を使用することができる。この押え材3a、3bは、固定用ビス8bで前記ふかし材2aに固定されている。押え材3a、3b上に外壁防水透湿シート5が外断熱材4の全面を覆うように施工される。
【0024】
次に、この外壁防水透湿シート5を介して前記押え材3a、3bに胴縁6が固定され、この胴縁6に前記外装材7が固定されている。具体的には、前記ふかし材2aは縦方向に延設して横方向に所定間隔で設けられ、前記押え材3a、3bは横方向に延設して設けられ、前記胴縁6は縦方向に延設して設けられている。また、前記押え材3a、3bは、その幅が縦方向に広い押え材3a、3bと、その幅が縦方向に狭い押え材3a、3bとが交互に縦方向に離間し設けられ、前記広い押え材3a、3bに前記胴縁6が固定されている。
【0025】
(腰窓サッシにおける水切りの取り付け構造)
次に、図1を参照して、本発明に係る水切りの取り付け構造の一例について説明する。まず、外壁1と、この外壁1に固定されている外装材7と、この外装材7と前記外壁1との間に設けられている外断熱材4とを備えた外断熱構造の開口部における水切り30a、30bの取付構造について説明する。この開口部を形成する上下の壁パネル1A1、1A2の横框材22に、固定用ビス8bによりサッシ支持枠50が取付けられている。このサッシ支持枠50は、腰窓用のサッシ支持枠であり、外壁1の外方に突出して取付けられ、サッシ51を支持している。水切り30a、30bがサッシ支持枠50の上下にそれぞれ設けられている。なお、壁パネル1A1、1A2は、壁パネル1Aと基本構造は同じであり、壁パネル1Aと縦方向および横方向の長さが異なっている。
【0026】
前記水切り30aは、前記外壁1に固定用ビス8bにより固定される固定部30a1と、この固定部30a1の下端より下方に延びる水切り本体30a2とを有している。前記水切り30bは、前記外壁1に固定用ビス8bにより固定される固定部30b1と、この固定部30b1の上端より下方に延びる水切り本体30b2とを有している。また、前記開口部の上方および下方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43a、43bがあり、この空間43a、43bに面している前記外壁1の表面に前記水切り30a、30bの固定部30a1、30b1が固定されている。
【0027】
ここで、固定部30a1は、外壁1に固定される固定部分30a11と、この固定部分30a11の下端から外方に延びる水平部分30a12と、この水平部分30a12の外方の端部から下方に外壁1の下端位置近傍まで延設する延設部分30a13とから構成されている。
一方、前記空間43aに面する壁パネル1A1の下端部表面には、サッシ支持枠50の上端部が前記延設部分30a13の内側に配置されて固定されている。これによって、サッシ支持枠50の上端部と固定部30a1とが干渉するのを防止している。
また、固定部30b1は、外壁1に固定される固定部分30b11と、この固定部分30b11の上端から外方に延びる水平部分30b12と、この水平部分30b12の外方の端部から上方に外壁1の上端位置近傍まで延設する延設部分30b13とから構成されている。
一方、前記空間43bに面する壁パネル1A2の上端部表面には、サッシ支持枠50の下端部が前記延設部分30b13の内側に配置されて固定されている。これによって、サッシ支持枠50の下端部と固定部30b1とが干渉するのを防止している。
【0028】
水切り本体30a2、30b2は、固定部30a1、30b1の延設部分30a13、30b13の端部から外壁1の外方へ延設されている部分である。水切り本体30a2の先端近傍において、水切り本体30a2の上面と外装材7の下端の間が、バックアップ材42およびシーリング材41によって防水処理されている。また、水切り本体30b2の先端近傍において、水切り本体30b2下面と外装材7の下端の間が、バックアップ材42及びシーリング材41によって防水処理されている。
【0029】
万一、外装材7の内側(空間43a)に水が浸入した場合、水切り本体30aの上面を左右に流れて水切り本体30aの両端部から水が流下し、外壁防水透湿シート5の表面を下方へと流れ、基礎水切りで外部に排出される。
【0030】
また、前記空間43a、43bに前記水切り本体30a2、30b2が面しており、前記外壁1に、前記水切り本体30a2、30b2と対向して、前記空間43a、43bを挟んでふかし材2bが水平方向に設けられている。また、前記開口部の上に設けられている前記水切り30aの水切り本体30a2の上方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの上面に前記外断熱材4が当接している。また、前記開口部の下に設けられている前記水切り30bの水切り本体30b2の下方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの下面に前記外断熱材4が当接している。
【0031】
ここで、前述したように、ふかし材2bは、外断熱材4を取り付けるために設けられている。これに加えて、開口部において、ふかし材2bは、外断熱材4を設けるスペースと水切り30a、30bを取り付けるスペースを区切る役割をしている。
【0032】
ここで、水切り30aの取り付け手順について説明する。始めに、外壁1にふかし材2bを取付ける。次に、このふかし材2bに押え材3aを固定用ビス8bで固定する。ここで、防水ライン40が示すように、押え材3a、外断熱材4、ふかし材2b、外壁1の表面を覆うように、外壁防水透湿シート5を施工する。この外壁防水透湿シート5を介して壁パネル1A1に水切り30aの固定部30a1を固定する。このように、防水ライン40を確保するため、水切り30bを取付ける前に、外壁1にふかし材2aを取付ける必要がある。なお、開口部上部の胴縁として、押え材3aに下耳付き胴縁6aが固定されている。
【0033】
また、前記開口部の下に設けられている前記水切り30bの水切り本体30b2の下方に、前記空間43bと面している水勾配31を有する桁材2cが設けられている。この桁材2cは、ふかし材2bの上面に設けられている。桁材2cの幅は、ふかし材2bの幅より大きく、ふかし材2bに押え材3aが取付けられたときの幅と略等しく設定されている。
【0034】
ここで、水切り30bの取り付け手順について説明する。ふかし材2b及び桁材2cを外壁1に取付ける。次に、このふかし材2bに押え材3aを固定用ビス8bで固定する。ここで、防水ライン40が示すように、外壁1、桁材2c、押え材3a、ふかし材2b、外断熱材4の表面を覆うように、外壁防水透湿シート5を施工する。この外壁防水透湿シート5を介して壁パネル1A2に水切り30bの固定部30b1を固定する。このように、防水ライン40を確保するため、水切り30bを取付ける前に、外壁1にふかし材2bを取付ける必要がある。
【0035】
(掃き出しサッシにおける水切りの取り付け構造)
次に、図2を参照して、外壁1と、この外壁1に固定されている外装材7と、この外装材7と前記外壁1との間に設けられている外断熱材4とを備えた外断熱構造の開口部における水切り30a、30cの取付構造について説明する。この開口部を形成する上の壁パネル1A1の横框材22に、固定用ビス8bによりサッシ支持枠50aが取付けられ、前記開口部を形成する下の床パネル12の端部および半土台13に、固定用ビス8bによりサッシ支持枠50aが取付けられている。このサッシ支持枠50aは、掃き出し用のサッシ支持枠であり、外壁1の外方に突出して取付けられ、サッシ51aを支持している。水切り30a、30cがサッシ支持枠50aの上下にそれぞれ設けられている。ここで、開口部上方の水切り30aの取り付け構造は、図1で説明した取り付け構造と同じであるため、同じ部材には同じ符号を付して、説明を省略する。
【0036】
開口部下方の水切り30cの取り付け構造について説明する、防腐処理された半土台13にサッシ支持枠50aの下部が固定用ビス8bにより固定されている。ここで、防水ライン40が示すように、サッシ支持枠50aの下部から半土台13の表面に外壁防水透湿シート5が施工されている。この外壁防水透湿シート5を介して半土台13にアルミ基礎水切り30cの固定部30c1が固定用ビス8で固定されている。ここで、アルミ基礎水切り30cは、固定部30c1と、この固定部30c1より下方に延びる水切り本体30c2とから構成されている。そして、半土台13の外方にサッシ支持枠50aの取り付け部50a1、外壁防水透湿シート5、固定部30c1の取り付け部を隠すように掃き出し用下目板32が設けられている。サッシ支持枠50aの下部と掃き出し用下目板32の隙間はシーリング材41で防水処理されている。
【0037】
(ブラインドシャッターにおける水切りの取り付け構造)
次に、図3を参照して、外壁1と、この外壁1に固定されている外装材7と、この外装材7と前記外壁1との間に設けられている外断熱材4とを備えた外断熱構造の開口部における水切り31a、31bの取付構造について説明する。この開口部を形成する上の壁パネル1A1の横框材22に、固定用ビス8bによりサッシ支持枠50が取付けられ、前記開口部を形成する下の壁パネル1A2の横框材22に、固定用ビス8bによりサッシ支持枠50が取付けられている。このサッシ支持枠50は、腰窓用のサッシ支持枠であり、外壁1の外方に突出して取付けられ、サッシ51を支持している。水切り31a、31bがサッシ支持枠50の上下にそれぞれ設けられている。ここで、図1に示す水切り30bと比べて、水切り31bの固定部31b1および水切り本体31b2の形状が異なっている。その他、開口部下方の水切り31bの取り付け構造は、図1で説明した取り付け構造と同じであるため、同じ部材には同じ符号を付して、説明を省略する。なお、水切り31bは、ブラインドシャッター60と別体または一体として設けることができる。
【0038】
前記水切り31aは、前記外壁1に固定用ビス8bにより固定される固定部31a1と、この固定部31a1より下方に延びる水切り本体31a2とを有している。また、前記開口部の上方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43aがあり、この空間43aに面している前記外壁1の表面に前記水切り31aの固定部31a1が固定されている。
【0039】
ここで、水切り本体31a2の中央部において、水切り本体31a2の上面と外装材7の下端の間が、バックアップ材42およびシーリング材41によって防水処理されている。ここで、水切り31aは、ブラインドシャッター60と別体または一体として設けることができる。その他、水切りの取り付け構造は、上述した腰窓サッシにおける水切りの取り付け構造と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施の形態によれば、前記開口部の上方および下方において、前記外壁1と前記外装材7間に前記外断熱材4が設けられていない空間43a、43bがあり、この空間43a、43bに面している前記外壁1の表面に前記水切り30a、30b、31a、31bの固定部30a1、30b1、31a1、31b1が固定されていることにより、外断熱構造の前記開口部の上方および下方において前記空間43a、43bを設けることができるため、外断熱構造の開口部における水切りの取付が可能になる。
【0041】
また、前記外壁1に、前記水切り本体30a2、30b2、31a2、31b2と対向して、前記空間43a、43bを挟んでふかし材2bが水平方向に設けられていることにより、開口部の上方および下方において外装材7の取り付け位置を外壁1より少なくともふかし材2bの幅分外方に設定できるため、外断熱材4を設けるスペースを確保できる。
【0042】
また、前記開口部の上に設けられている前記水切り30a、31aの水切り本体30a2、31a2の上方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの上面に前記外断熱材4が当接していることにより、このふかし材2bの上面で前記外断熱材4を押さえることができるため、前記ふかし材2bの下方に外断熱材4が飛び出さないようにできる。
【0043】
また、前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、前記ふかし材2bが設けられ、このふかし材2bの下面に前記外断熱材4が当接していることにより、このふかし材2bの下面で前記外断熱材4を押さえることができるため、前記ふかし材2bの上方に外断熱材4が飛び出さないようにできる。
【0044】
また、前記開口部の下に設けられている前記水切り30b、31bの水切り本体30b2、31b2の下方に、前記空間43bと面している水勾配31を有する桁材2cが設けられていることにより、水を押え材3a側に誘導できるため、開口部の下方において適切な防水処理をすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 外壁
2a、2b ふかし材
2c 桁材
4 外断熱材
7 外装材
30a、30b、31a、31b 水切り
31 水勾配
43a、43b 空間
図1
図2
図3
図4
図5