【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置は、排気通路に配置された卑金属触媒を担持する第一NO
X還元触媒装置と、前記排気通路の前記第一NO
X還元触媒装置の下流側に配置されたアンモニア吸蔵能力を有する第二NO
X還元触媒装置と、前記第一NO
X還元触媒装置の上流側に配置された炭化水素吸蔵装置と、前記炭化水素吸蔵装置をバイパスするバイパス通路とを具備し、前記第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリッチであるときには、前記第一NO
X還元触媒装置によって排気ガス中のNO
Xを還元してアンモニアを生成すると共に、生成された前記アンモニアを前記第二NO
X還元触媒装置に吸蔵し、前記第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときには、前記第二NO
X還元触媒装置によって排気ガス中のNO
Xを前記NO
X還元触媒装置に吸蔵された前記アンモニアを使用して還元する内燃機関の排気浄化装置において、内燃機関の燃焼空燃比がリッチにされているときに前記炭化水素吸蔵装置に吸蔵された炭化水素が内燃機関の燃焼空燃比を前記リーンから前記リッチにする直前に放出されるように、排気ガスを前記バイパス通路及び前記炭化水素吸蔵装置のいずれを通過させるかと、内燃機関の燃焼空燃比とが制御されることを特徴とする。
【0008】
本発明による請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、内燃機関の燃焼空燃比が理論空燃比よりリッチにされているときに、排気ガス温度が設定温度未満ならば排気ガスが前記炭化水素吸蔵装置を通過するようにし、排気ガス温度が前記設定温度以上ならば排気ガスが前記バイパス通路を通過するようにし、内燃機関の燃焼空燃比が理論空燃比よりリーンにされているときには、排気ガスが前記バイパス通路を通過するようにし、内燃機関の燃焼空燃比を前記リーンから前記リッチとするときには、排気ガス温度が前記設定温度未満ならば排気ガスが前記バイパス通路を通過するようにして内燃機関の燃焼空燃比を前記リッチにし、排気ガス温度が前記設定温度以上ならば排気ガスが前記炭化水素吸蔵装置を通過するようにし、前記炭化水素吸蔵装置から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリーンとなったときに内燃機関の燃焼空燃比を前記リッチにするように、排気ガスを前記バイパス通路及び前記炭化水素吸蔵装置のいずれを通過させるかと、内燃機関の燃焼空燃比とが制御されることを特徴とする。
【0009】
本発明による請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気通路の前記第二NO
X還元触媒装置の下流側に配置された酸化触媒装置と、前記排気通路の前記第二NO
X還元触媒装置と前記酸化触媒装置との間に二次空気を供給する二次空気供給装置と、前記排気通路の前記第二NO
X還元触媒装置と前記酸化触媒装置との間に配置された第一NO
Xセンサと、前記排気通路の前記酸化触媒装置の下流側に配置された第二NO
Xセンサとを具備し、内燃機関の燃焼空燃比を前記リッチにすると共に前記二次空気供給装置により二次空気を供給し、前記第二NO
XセンサによりNO
Xが検出されたときには、少なくとも第一NO
XセンサによりNO
Xが検出されるまで内燃機関の燃焼空燃比を前記リーンにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気通路に配置された卑金属触媒を担持する第一NO
X還元触媒装置と、排気通路の第一NO
X還元触媒装置の下流側に配置されたアンモニア吸蔵能力を有する第二NO
X還元触媒装置と、第一NO
X還元触媒装置の上流側に配置された炭化水素吸蔵装置と、炭化水素吸蔵装置をバイパスするバイパス通路とを具備し、第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリッチであるときには、還元能力が低くても第一NO
X還元触媒装置によって排気ガス中のNO
Xを還元することができ、一部のNO
Xからはアンモニアが生成される。こうして生成されたアンモニアは第二NO
X還元触媒装置に吸蔵される。一方、第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリーンであるときには、第二NO
X還元触媒装置によって排気ガス中のNO
Xを第二NO
X還元触媒装置に吸蔵されたアンモニアを使用して還元するようになっている。こうして、第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリーンであるときにも排気ガス中のNO
Xを良好に還元することができる。それにより、内燃機関においてNO
Xの還元のために燃焼空燃比を常に理論空燃比よりリッチにする場合に比較して、燃料消費の悪化を改善することができる。
【0011】
また、第一NO
X還元触媒装置の上流側には炭化水素吸蔵装置が配置されており、内燃機関の燃焼空燃比がリッチにされているときに炭化水素吸蔵装置に吸蔵された炭化水素が内燃機関の燃焼空燃比をリーンからリッチにする直前に放出されるように、排気ガスをバイパス通路及び炭化水素吸蔵装置のいずれを通過させるかと、内燃機関の燃焼空燃比とが制御されるようになっている。それにより、内燃機関の燃焼空燃比がリーンとされていて第二NO
X還元触媒装置により吸蔵アンモニアを使用するNO
Xの還元ができなくなっても、炭化水素が放出されている間は、第一NO
X還元触媒装置においてNO
Xの還元が可能となり、内燃機関の燃焼空燃比をリッチにする期間を短縮することができるために、燃料消費の悪化をさらに改善することができる。
【0012】
また、本発明による請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、内燃機関の燃焼空燃比が理論空燃比よりリッチにされているときに、排気ガス温度が設定温度未満ならば排気ガスが炭化水素吸蔵装置を通過するようにして、炭化水素吸蔵装置に排気ガス中の炭化水素を吸蔵する。しかしながら、排気ガス温度が設定温度以上ならば排気ガスが炭化水素吸蔵装置を通過するようにすると、吸蔵した炭化水素が放出されてしまうために、排気ガスはバイパス通路を通過するようにする。内燃機関の燃焼空燃比が理論空燃比よりリーンにされているときには、排気ガス中に炭化水素は殆ど含まれていないために、排気ガスがバイパス通路を通過するようにする。
【0013】
内燃機関の燃焼空燃比をリーンからリッチとするときには、排気ガス温度が設定温度未満ならば炭化水素吸蔵装置から炭化水素を放出させることができないために排気ガスがバイパス通路を通過するようにして内燃機関の燃焼空燃比をリッチにするが、排気ガス温度が設定温度以上ならば排気ガスが前記炭化水素吸蔵装置を通過するようにして、炭化水素吸蔵装置から吸蔵した炭化水素を放出させ、第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比よりリッチにし、吸蔵炭化水素が殆ど放出されて炭化水素吸蔵装置から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリーンとなったときに内燃機関の燃焼空燃比をリッチにする。このように、排気ガスをバイパス通路及び炭化水素吸蔵装置のいずれを通過させるかと、内燃機関の燃焼空燃比とが制御されることにより、炭化水素吸蔵装置に炭化水素を良好に吸蔵することができると共に、炭化水素吸蔵装置から効果的に吸蔵炭化水素を放出させることができ、内燃機関の燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチとする前のリーンとされているときに、第一NO
X還元触媒装置へ流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比よりリッチにしてNO
Xの還元が可能となり、内燃機関の燃焼空燃比をリッチとする期間を短くして燃料消費の悪化をさらに改善することができる。
【0014】
また、本発明による請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置において、排気通路の第二NO
X還元触媒装置の下流側に配置された酸化触媒装置と、排気通路の第二NO
X還元触媒装置と酸化触媒装置との間に二次空気を供給する二次空気供給装置と、排気通路の第二NO
X還元触媒装置と酸化触媒装置との間に配置された第一NO
Xセンサと、排気通路の酸化触媒装置の下流側に配置された第二NO
Xセンサとを具備し、内燃機関の燃焼空燃比をリッチにすると共に二次空気供給装置により二次空気を供給する。それにより、第一NO
X還元触媒装置のNO
Xの還元能力が低くても、第一NO
X還元触媒装置において良好にNO
Xを還元することができ、第一NO
X還元触媒装置から流出するHC及びCOは、下流側の酸化触媒装置において二次空気中の酸素を使用して酸化することができる。
【0015】
第一NO
X還元触媒装置でのNO
Xの還元によって生成されたアンモニアは、第一NO
X還元触媒装置の下流側に配置されたアンモニア吸蔵能力を有する第二NO
X還元触媒装置に吸蔵され、第二NO
X還元触媒装置のアンモニア吸蔵能力が飽和すると、第二NO
X還元触媒装置からアンモニアが流出し、第二NO
X還元触媒装置の下流側に配置された酸化触媒装置に流入して二次空気中の酸素を使用して酸化され、NO
Xが生成される。それにより、第二NO
XセンサによりNO
Xが検出されたときには、第二NO
X還元触媒装置には飽和量のアンモニアが吸蔵されていることとなり、内燃機関の燃焼空燃比を理論空燃比よりリーンにする。
【0016】
それにより、排気ガス中のNO
Xは第一NO
X還元触媒装置において還元されないが、第二NO
X還元触媒装置において吸蔵されたアンモニアによって良好に還元され、殆ど大気中へ放出されることはない。第二NO
X還元触媒装置において吸蔵されたアンモニアの全てがNO
Xの還元に使用されると、第二NO
X還元触媒装置からNO
Xが流出して第一NO
XセンサによりNO
Xが検出される。少なくともこのときにまでは、内燃機関の燃焼空燃比はリーンにされる。その後は、第二NO
X還元触媒装置ではNO
Xを還元することができないために、燃焼空燃比をリーンとしたまま炭化水素吸蔵装置から放出される炭化水素を利用して第一NO
X還元触媒装置によりNO
Xを還元するか、又は、燃焼空燃比をリッチとして第一NO
X還元触媒装置によりNO
Xを還元することとなる。こうして、内燃機関において燃焼空燃比を常に理論空燃比よりリッチにする場合に比較して、燃料消費の悪化を改善することができる。