(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746023
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】集光器による電極の遮蔽効果を低減するためのオプトエレクトロニクス装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/054 20140101AFI20150618BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20150618BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
H01L31/04 620
G03B21/14 Z
G02B3/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-515095(P2011-515095)
(86)(22)【出願日】2009年6月25日
(65)【公表番号】特表2011-526419(P2011-526419A)
(43)【公表日】2011年10月6日
(86)【国際出願番号】DE2009000882
(87)【国際公開番号】WO2010000232
(87)【国際公開日】20100107
【審査請求日】2012年6月14日
(31)【優先権主張番号】102008030819.6
(32)【優先日】2008年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ブリック
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス ムシャヴェック
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム フランク
【審査官】
森江 健蔵
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05123968(US,A)
【文献】
特開2004−047753(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/089508(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0185713(US,A1)
【文献】
国際公開第2007/025538(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0012934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/054
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス装置(1)において、
複数の光学素子(4a)を有し、かつ、周期的な構造である光学構造(4)と、反射性の内面を備えた中空体である集光器(5)とを備えた光学装置(3)と、
半導体チップ(2)との電気的な接触接続のための複数のコンタクト素子(6a)を有し、かつ、前記光学構造(4)から垂直方向において間隔を空けて配置されているコンタクト構造(6)を備えた、ビームを放射または受信する半導体チップ(2)とを含み、
前記光学素子(4a)はレンズアレイまたは光学格子を形成し、
前記コンタクト素子(6a)は前記光学構造(4)の平面に前記コンタクト構造(6)を投影する際、複数の光学素子(4a)間の中間空間に配置されており、
前記集光器(5)は前記半導体チップ(2)と対向する側において、前記半導体チップ(2)とは反対側における開口部よりも小さい開口部を有し、
前記光学構造(4)は、前記集光器(5)において前記半導体チップ(2)に対向している側に配置されていることを特徴とする、オプトエレクトロニクス装置。
【請求項2】
オプトエレクトロニクス装置(1)において、
複数の光学素子(4a)を有し、かつ、周期的な構造である光学構造(4)と、中実体である集光器(5)とを備えた光学装置(3)と、
半導体チップ(2)との電気的な接触接続のための複数のコンタクト素子(6a)を有し、かつ、前記光学構造(4)から垂直方向において間隔を空けて配置されているコンタクト構造(6)を備えた、ビームを放射または受信する半導体チップ(2)とを含み、
前記光学素子(4a)はレンズアレイまたは光学格子を形成し、
前記コンタクト素子(6a)は前記光学構造(4)の平面に前記コンタクト構造(6)を投影する際、複数の光学素子(4a)間の中間空間に配置されており、
前記集光器(5)は前記半導体チップ(2)と対向する側において、前記半導体チップ(2)とは反対側における開口部よりも小さい開口部を有し、
前記集光器(5)は、前記半導体チップ(2)と対向する表面において前記光学構造(4)を有することを特徴とする、オプトエレクトロニクス装置。
【請求項3】
前記コンタクト構造(6)は、前記半導体チップ(2)において前記光学装置(3)に対向しているビーム通過面(2a)上に被着されている、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項4】
前記光学構造(4)はガラスを含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項5】
前記コンタクト構造(6)は周期的な構造であり、該構造の周期性は前記光学構造(4)の周期性と一致する、請求項4記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項6】
前記コンタクト構造(6)は網状に配置されているコンタクト素子(6a)を有する、請求項5記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項7】
前記コンタクト構造(6)はコンタクトウェブを有する、請求項6記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項8】
前記集光器(5)はパラボラ集光器である、請求項1から7までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項9】
前記半導体チップ(2)はビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーンを有し、該ゾーンは前記コンタクト構造(6)によって覆われている複数の領域において機能する、請求項1から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項10】
前記光学構造(4)と前記半導体チップ(2)との間の中間空間(8)は、前記光学構造(4)とは異なる屈折率を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項11】
前記中間空間(8)内には空気またはシリコーンが存在する、請求項10記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項12】
ビームを放射する前記半導体チップ(2)は発光ダイオードである、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項13】
ビームを受信する前記半導体チップ(2)はビーム検出器または太陽電池である、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【請求項14】
前記集光器(5)の前記小さい開口部の面積は前記光学構造(4)の輪郭が成す面積と等しい、請求項1から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殊に検出システム、エネルギ生成システム、例えば太陽電池、またはプロジェクタ、例えばLCDプロジェクタに適しているオプトエレクトロニクス装置に関する。
【0002】
本願は、DE 10 2008 030 819.6の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願に取り入れられる。
【0003】
刊行物DE 10 2005 033 005 A1には、複数のビーム放射領域に分割されている活性ゾーンと、ビーム放射領域よりも大きい横方向の拡張部を有し、かつ、凸状に湾曲されている複数の部分領域とを備えたオプトエレクトロニクスチップが開示されている。ビーム放射領域と凸状に湾曲されている部分領域のこの関係によって、これらの領域から放射されたビームが、全反射の限界角度を下回る角度で部分領域に入射することにより、ビームの出力結合効率の向上が達成されるものとなっている。
【0004】
本発明が解決すべき課題は、損失の少ないオプトエレクトロニクス装置を提供することである。
【0005】
有利な実施形態によれば、オプトエレクトロニクス装置は、複数の光学素子を有する光学構造を備えた光学装置と、半導体チップとの電気的な接触接続のための複数のコンタクト素子を有し、かつ、光学構造から垂直方向において間隔を空けて配置されているコンタクト構造を備えた、ビームを放射または受信する半導体チップとを含み、コンタクト素子は光学構造の平面にコンタクト構造を投影する際に、複数の光学素子間の中間空間に配置されている。
【0006】
垂直方向に間隔を空けて配置することによって所望の光学的な作用を達成することができる。すなわち、ビームを受信する半導体チップのビーム入射面において、コンタクト構造によって相互に隔てられている領域へのビームの集束、または、これらの領域から放出され光学構造を通過するビームの並列方向を達成することができる。
【0007】
有利な実施形態によれば、コンタクト構造は、半導体チップにおいて光学装置と対向しているビーム通過面上に被着されている。ビームを放射する半導体チップの場合、ビーム通過面はビーム放出面に相当し、ビームを受信する半導体チップの場合、ビーム通過面はビーム入射面を表す。
【0008】
有利には、コンタクト構造は半導体チップのビーム通過面の部分領域のみを覆う。すなわち、コンタクト構造によって、ビーム通過面の全体が覆われることはない。したがって、コンタクト構造におけるビームの吸収に起因するビーム損失は、本発明による貫通部が設けられているコンタクト構造によって低減されている。
【0009】
さらに有利には、光学構造は、光学装置においてコンタクト構造に対向するビーム通過面に配置されている。ビームを放射する半導体チップの場合、光学装置のビーム通過面は光学装置のビーム入射面に相当し、これに対し、ビームを受信する半導体チップの場合、ビーム通過面は光学装置のビーム入射面を表す。
【0010】
ビームを受信する半導体チップの場合には、光学構造によって、放射されるビームは放射通過面の横方向において相互に隔てられている領域に集束され、領域間のビーム強度は比較的大きく低下する。有利には、ビーム強度の比較的低いこの中間領域内にコンタクト構造が配置されている。殊に、ビーム強度の低い中間領域は光学構造の複数の光学素子間の中間空間に対応する。コンタクト構造は主ビーム路の外にあるので、コンタクト構造による遮蔽は実質的に阻止される。これによってビーム損失を大幅に低減することができる。
【0011】
有利には、ビームを放射する半導体チップの場合には、光学構造がコンタクト構造の「フェードアウト」を実現するので、半導体チップから見て光学装置の後段に配置されている面は均一に照明され、コンタクト構造によって遮断されていない。コンタクト構造によって、相互に隔てられた照明領域が形成され、これらの照明領域は光学装置ないし光学構造によって均一に照明される1つの面に統合される。
【0012】
コンタクト構造を、導電性の材料、殊に金属を含有する、構造化されたコーティング部の形態で、半導体チップのビーム通過面上に被着させることができる。
【0013】
光学構造をビーム透過性の材料から形成することができる。適切な材料は例えばガラスである。この材料は、短波長のビーム、殊に紫外線のビームに対して、比較的良好な劣化安定性を有する。
【0014】
有利には、光学構造は周期的な構造を有する。すなわち、光学構造の複数の光学素子は規則的に配置されている。
【0015】
有利な実施形態によれば、複数の光学素子がレンズアレイまたは光学格子を形成する。例えば、レンズアレイは規則的に配置されている複数のレンズを含み、これらのレンズは半導体チップに対向する側において凸状に湾曲した表面を有する。殊に、半導体チップのビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーンを、レンズの焦点によって張られる平面内、または平面の近傍に設けることができる。したがって、光学構造によって、半導体チップに入射するビームはビームを受信するゾーンに集束され、これに対し、半導体チップから放射されるビームは光学構造によって平行に配向される。
【0016】
光学構造に応じて、コンタクト構造も周期的な構造を有することができる。殊に、コンタクト構造の周期性は光学構造の周期性と一致する。すなわち、コンタクト素子は光学素子と同じ規則性で配置されている。
【0017】
有利な実施形態によれば、コンタクト構造は網状に配置されている複数のコンタクト素子から形成されている。それらのコンタクト素子は殊にコンタクトウェブであってもよい。有利には、光学構造はコンタクト構造の中間空間の位置において光学素子、例えばレンズを有する。
【0018】
有利な実施形態において、光学装置は集光器を含む。半導体チップと対向する側において、集光器は第1の開口部を有し、この第1の開口部は殊に、集光器の半導体チップ側とは反対側に配置されている第2の開口部よりも小さい。集光器によって、チップの大きさを十分なビーム強度で比較的小さく維持することができ、これによって材料コストは低下する。有利には第2の開口部は、第1の開口部または有利にはこの第1の開口部に相当する半導体チップのビーム通下面よりも10倍〜1000倍大きい。集光器の長さは第2の開口部ないし第1の開口部、また集光器の開口角によって規定されている。
【0019】
光学装置の有利な構成はパラボラ集光器である。パラボラ集光器はその断面が部分的に放物線に等しく、また対称軸に対して所定の角度で入射するビームを境界面において集束させるか、この面から放射されるビームを限界角度領域内で放射する特性を有する。有利には、光学構造は焦点の近傍において第1の開口部の領域内に配置されている。
【0020】
有利な実施形態によれば集光器は中実体であり、半導体チップと対向する表面において光学構造を有する。集光器と光学構造が組み合わされたものをワンピースで構成することができ、この場合には2つの構成要素が有利には同一の材料、例えばガラスを含有する。ビームは集光器内で主に外壁において全反射されて案内される。
【0021】
しかしながら、集光器を反射性の内面を備えた中空体として構成し、半導体チップと対向する側において、この集光器の後段に光学構造を配置することもできる。2つの構成要素は有利には、同一の材料からは形成されていない2つの別個の構成要素である。中空体を例えばプラスチック材料から製造することができ、また内面に反射性のコーティング部、殊に金属を含有するコーティング部を有することができる。光学構造をガラスから形成することができる。
【0022】
有利な実施形態によれば、半導体チップはビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーンを有し、このゾーンはコンタクト構造によって覆われていない複数の領域において機能する。有利には、ビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーンは、コンタクト構造によって覆われている領域においても機能する。すなわち、そのような機能を有する領域の大きさは、ビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーンの全体の面積の合計に対応する。
【0023】
有利には、垂直方向において光学構造と半導体チップとを相互に隔てる中間空間は光学構造とは異なる屈折率を有する。例えば、中間空間に空気(屈折率n=1)またはシリコーン(屈折率、例えばn=1.4)を充填することができる。光学構造をガラス(屈折率、例えばn=1.5)から形成することができる。
【0024】
有利な実施形態によれば、ビームを放射する半導体チップは発光ダイオードである。別の有利な実施形態によれば、ビームを受信する半導体チップはビーム検出器または太陽電池である。半導体チップは、ビームを形成または受信するpn接合部を備えた、ビームを放射するゾーンまたはビームを受信するゾーン」を含む。このpn接合部を最も簡単な場合には、相互に直接的に接するp導電型の半導体層とn導電型の半導体層とによって形成することができる。有利には、p導電型の層とn導電型の層との間に本来のビームを生成または受信する層が形成されている。殊に、ビームを放射する半導体チップの場合には、本来のビームを生成する層を、ドープされた量子層またはドープされていない量子層の形態で構成することができる。量子層を単一量子井戸構造(SQW, Single Quantum Well)または多重量子井戸構造(MQW, Multiple Quantum Well)または量子線または量子点構造として形成することができる。
【0025】
ビーム検出器として構成されている半導体チップを殊に、ビームを受信するゾーンを1つ以上有することができる。ビームを受信するゾーンを相互に重ねて配置し、種々の波長のビームを吸収することができる。
【0026】
例えば半導体チップに適した材料は、III−V族半導体、殊に、材料組成Al
nGa
mIn
1-n-mAs,Al
nGa
mIn
1-n-mPまたはAl
nGa
mln
1-n-mN(ただし0≦n≦1,0≦m≦1かつn+m≦1)を有する、ヒ化物化合物半導体またはリン化物化合物半導体または窒化物化合物半導体である。その際、この材料は必ずしも上述の式にしたがった数学的に正確な組成を有していなくてもよい。むしろこの材料は、その物理特性を実質的には変化させない付加的な成分ならびに1つまたは複数のドーパントを有することができる。しかしながら分かり易くするために、僅かな量の他の材料によって部分的に置換されている可能性があるにしても、上述の式には結晶格子(Al,Ga,In,P)の主要な成分のみが含まれている。
【0027】
さらに半導体チップはケイ素またはII−VI族化合物半導体のような元素半導体を含有することができる。このことは太陽電池の場合には殊に適している。さらに、ビーム検出器の場合にはビームを受信する第1の領域にゲルマニウムを使用することができ、ビームを受信する第2の領域をIII−V属半導体から形成することができる。
【0028】
ここで、本願明細書において「垂直」とは半導体チップの後段において光学構造が配置される方向を意図している。また「横方向」とはこの垂直方向に直交する方向を意図している。
【0029】
以下では、上述のオプトエレクトロニクス装置を
図1から
図7に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】光学装置の作用を説明するためのオプトエレクトロニクス装置の概略的な断面図を示す。
【
図2】半導体チップ、光学構造および集光器を備えたオプトエレクトロニクス装置の概略的な断面図を示す。
【
図3】光学構造と半導体チップとの間のビーム路を説明するための、半導体チップおよび光学構造の概略的な断面図を示す。
【
図4】半導体チップのビーム通過面における強度分布を示す。
【
図5】半導体チップの照明領域に閉じ込められたエネルギを表したグラフを示す。
【
図7】ビームを放射または受信する半導体チップの概略的な断面図を示す。
【0031】
同一また同様に作用する構成要素には図面において同一の参照番号が付されている。
【0032】
図1にはオプトエレクトロニクス装置1が示されている。オプトエレクトロニクス装置1は、ビームを放射または受信する半導体チップ2および光学装置3を有している。
【0033】
図1から見て取れるように、光学装置3は半導体チップ2と対向する側に第1の開口部A
1を有し、この第1の開口部A
1は半導体チップ2とは反対側に配置されている第2の開口部A
2よりも小さい。チップの大きさは有利には第1の開口部A
1の大きさに適合されており、また殊に、横方向の寸法は第1の開口部A
1と同一である。
【0034】
半導体チップ2は矩形、殊に正方形の輪郭を有し、この輪郭が成す面積は0.0001cm
2(100μm×100μm)〜10cm
2の値を取ることができる。この面積の下限はコンタクト構造の製造可能性ないし有効性によって決定される。この面積の上限は光学装置の実現可能性によって決定される。
【0035】
第2の開口部A
2の適切な大きさは例えば100cm
2である。この場合、有利には、半導体チップ2の面積は1cm
2である。
【0036】
角度αによってビーム円錐の開口角が表されている。このビーム円錐は第2の開口部A
2を通過して光学装置3から放射されるか、第2の開口部A
2を通過して光学装置3に入射する。ビーム源として太陽のような遙か遠くに位置するビーム源が使用される場合、角度αは比較的小さく、約1°(±0.5°)である。光学装置3においてビーム円錐の角度αは角度βに低減され、例えば約0.7°(±0.35°)になる。第1の開口部A
1は第2の開口部A
2よりも小さいので、光学装置3におけるエタンデュ(etendue)の維持に基づき、第1の開口部A
1において生じる角度δは、第2の開口部A
2において生じる角度βよりも小さくなる。この場合、角度δは7°(±3.5°)である。立体角係数は100である。
【0037】
半導体チップ2がビーム受信器である場合には、1000W/m
2の放射照度を有する太陽光が、上述のように100cm
2の面積を有することができる第2の開口部A
2を通過して入射することができるので、半導体チップ2の1cm
2の大きさのビーム通過面において10Wの放射出力が達成される。
【0038】
半導体チップがビーム源である場合、光学装置3を介して、発散の比較的少ないビームを放射することができる。これによって、オプトエレクトロニクス装置1はプロジェクタへの使用に殊に適している。
【0039】
図2は、光学装置3の考えられる構成を示す。光学装置3はパラボラ集光器5を有することができる。このパラボラ集光器5によって入射したビームは可能な限り僅かな損失で集光器ボディを通過する。
【0040】
集光器5を例えば中実体とすることができる。ビームは集光器5の外壁において全反射され、それによって集光器5内に保持される。択一的に、集光器5は鏡面化された内面を備えた中空体であってもよい。
【0041】
さらに、光学装置3は半導体ボディ2に対向する側において光学構造4を有する。光学構造4は、有利には集光器5と機械的に接続されている別個の構成要素であってもよい。択一的に、光学構造4を集光器5と一体的に形成することができる。すなわち、光学構造4および集光器5は1つの作業工程において有利には同一の材料から製造される。集光器5が中実体である場合には後者が有利である。
【0042】
光学構造4は有利には周期的な構造を有する。図示されているように、光学構造4は規則的に配置されている複数の光学素子4aを有する。殊に、光学素子4aは凸状の表面を有するレンズである。
【0043】
有利には、光学構造4の輪郭は半導体チップ2の輪郭に対応する。この輪郭が成す面積が1cm
2である場合、光学構造4は例えば1mm
2毎に1つの光学素子4aを有することができる。すなわち、個々の光学素子4aの直径は約1mmである。
【0044】
ガラスはビーム透過性を有することから、この材料を有利には光学構造4に使用することができる。
【0045】
図3は、
図1および
図2に示したようなオプトエレクトロニクス装置の拡大図を示す。
【0046】
光学構造4は複数の光学素子4aを有し、これらの光学素子4aは殊にレンズとして構成されている。光学素子4aについては、
図2に関連させて既に詳細に説明した。
【0047】
図3からも見て取れるように、それぞれの光学素子4aによって形成されるビーム束の直線で示されている光ビームは収束されるか、ビームを放射する半導体チップの場合には光ビームを発散する。半導体チップ2に入射する複数のビーム束の間、または、半導体チップ2から放射されるビーム束の間には比較的強度の低い領域Bが存在する。これらの領域Bにおいては半導体チップ2がコンタクト素子(図示せず)を有しており、それらのコンタクト素子は一緒に1つのコンタクト構造を形成する。有利には、コンタクト構造は半導体チップ2のビーム通過面2a上に配置されている。
【0048】
半導体チップ2ないしビーム受信/放射ゾーンは、光学素子4aの焦点によって張られる平面内に直接配置されてはならない。半導体チップ2をこの平面の近傍で、垂直方向において光学構造4に対して比較的小さい間隔Dを空けて配置することができる。殊に、光学構造4と半導体チップ2の間隔Dは、コンタクト構造による遮蔽の危険が生じることなく、コンタクト構造を十分に大きく構成できる程度の大きさに選定されている。さらには、チップ面積を最適に利用するために領域Bの大きさが十分であるように間隔Dは小さく選定されている。
【0049】
図4には、
図1から
図3によるビームを受信する半導体チップ2のビーム通過面2aにおいて生じる、シミュレートされた強度分布が示されている。
【0050】
ビーム通過面2aは1cm×1cmの大きさを有する。ビームは相互に隔てられた領域Lに集束され、これらの領域Lの総数は複数の光学素子4a(
図3を参照されたい)の数に対応する。すなわち、ビーム通過面2a上には10×10個の領域Lが生じる。ビーム束によって照明領域Lはビーム通過面2a上に均等に分散しており、比較的強度の低い領域Bによって相互に隔てられている。
【0051】
図5からは、照明領域Lの広がりが明らかになる。縦軸には、領域L内に閉じ込められるエネルギの割合Eが、この領域Lの重心からの半径Rと共に示されている。横軸は半径Rを示す。種々の曲線は、種々の角度、殊に±3.5°の角度で領域Lに入射する種々のビームに関する値を表す。
図5から見て取れるように、ビームが±3.5°の角度領域内で入射する場合には、半径R=250μを有する領域L内ではエネルギの95%以上(E=1)が閉じ込められている。すなわち、領域Lの平均直径は約500μmとすることができる。
【0052】
領域Lの重心間の間隔はここでは約1mmである。したがって、領域L間の幅Bを500μmまでとすることができる。したがって、領域B内にはコンタクト素子にとって十分なスペースが存在する。
【0053】
図6は、
図4に示したビーム通過面2aを示す。このビーム通過面2aには比較的強度の弱い領域Bにおいて、コンタクト構造6を形成するコンタクト素子6aが設けられている。コンタクト構造6は周期的な構造を有し、コンタクト素子6aの周期性は照明領域Lの周期性と一致する。照明領域Lを、
図3に示した光学構造4の光学素子4aに1対1で対応付けることができる。したがって、コンタクト構造6の周期性は光学構造4の周期性とも一致する。
【0054】
コンタクト構造6は、網状に配置されている、コンタクトウェブの形態のコンタクト素子6aから形成されている。これらのコンタクト素子は有利には金属または金属化合物を含有している。コンタクトウェブの幅は領域Bの幅に適合されている。領域Bの幅が約500μmの幅を有する場合には、コンタクトウェブは約300μmの幅を有することができる。しかしながら、10μmまでの比較的小さい構造も同様に考えられる。
【0055】
図7は、例えば
図2に示したようなオプトエレクトロニクス装置の拡大図を示す。オプトエレクトロニクス装置は半導体チップ2および光学構造4を含む。半導体チップ2として、発光ダイオード、ビーム検出器または太陽電池が考えられる。また、光学構造4は光学素子4aを有している。
【0056】
半導体チップ2のビーム通過面2a上には、コンタクトウェブの形態のコンタクト素子6aを備えたコンタクト構造6が配置されている。コンタクト構造6は光学構造4から垂直方向において距離を置いて配置されている。殊に、光学構造4と半導体チップ2との間に中間空間8が存在する。有利には、中間空間8は光学構造4とは異なる屈折率を有し、殊に光学構造4よりも小さい屈折率を有する。例えば、中間空間8を空気またはシリコーンで充填することができる。
【0057】
半導体チップ2の裏面には裏面コンタクト7を有し、この裏面コンタクト7は半導体チップ2の表面全体を覆うことができる。
【0058】
光学構造4の平面にコンタクト構造6を投影する場合、コンタクト素子6aは光学素子4aの間において中間空間内に配置されている。殊に、光学素子4aは投影の際にコンタクト素子6aによってフレーム状に包囲される。
【0059】
コンタクト構造6に相対的な光学構造4の配置は、ビームを受信する半導体チップ2の場合、コンタクト構造6は自身による遮蔽を生じさせないように作用する。
【0060】
ビームを受信する半導体チップ2の場合には、上述の配置構成によって、より多くのビームを集光器(図示せず)ないし後段に配置されている投影光学系(図示せず)に入力結合させることができるか、投影光学系を比較的小さいエタンデュのために構成することができる。何故ならば、光学構造4によって、コンタクト素子6a間のビームのみが処理されるからである。すなわち、照明される面はビーム通過面2aの大きさに対応するのではなく、コンタクト素子の大きさに低減されている。すなわちエタンデュ(照明される面積と立体角との積)はより小さくなる。すなわち、この種のオプトエレクトロニクス装置によって、照明密度が高められた、エタンデュが制限されたシステムを達成することができる。その種の装置は殊にプロジェクタに適している。
【0061】
本発明は実施例に基づいた説明に制限されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしてもあてはまる。