特許第5746028号(P5746028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746028
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】金属錯体を備えた電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20150618BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20150618BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20150618BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20150618BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150618BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20150618BHJP
   H01L 31/04 20140101ALI20150618BHJP
   C07F 11/00 20060101ALI20150618BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20150618BHJP
   C07F 9/50 20060101ALI20150618BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20150618BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250F
   H01L29/28 310J
   H05B33/10
   H01L31/10 A
   H01L31/04
   C07F11/00 CCSP
   C07F19/00
   C07F9/50
   C07F11/00 B
   C07F15/00 A
   C07F15/00 D
   C07F15/00 E
   C09K11/06 660
【請求項の数】15
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2011-521449(P2011-521449)
(86)(22)【出願日】2009年7月8日
(65)【公表番号】特表2011-530180(P2011-530180A)
(43)【公表日】2011年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2009004955
(87)【国際公開番号】WO2010015307
(87)【国際公開日】20100211
【審査請求日】2012年7月5日
(31)【優先権主張番号】102008036247.6
(32)【優先日】2008年8月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(74)【代理人】
【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三
(74)【代理人】
【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハイル、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーステン、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】プフルム、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト、アンヤ
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−235076(JP,A)
【文献】 特開2002−241751(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/018067(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/069542(WO,A1)
【文献】 特開2006−063080(JP,A)
【文献】 特表2007−526640(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/003464(WO,A1)
【文献】 特開2000−229240(JP,A)
【文献】 特開昭62−033194(JP,A)
【文献】 特開2006−219474(JP,A)
【文献】 特表2005−508438(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/113704(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C07F 9/50
C07F 11/00
C07F 15/00
C07F 19/00
C09K 11/06
H01L 31/04
H01L 31/10
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 51/40
H05B 33/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの化学式(1)の金属錯体を備えた電子デバイス。
【化1】
ここで、使用される記号及び添え字には、以下が適用される:
Mは、5配位又は6配位のクロム、モリブデン、タングステン、レニウム、オスミウム、ニッケル、銅、銀、及び金からなる群より選択される遷移金属である;
Lは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、金属Mに結合している単座、
2座又は3座配位子であり、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい
;配位子Lは、イソニトリル基のラジカルRに結合していてもよい;
Rは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、1乃至60の炭素原子を有し
た有機置換基であり、1つ又は複数の置換基Rによって置換されていてもよい;複数の
ラジカルRは、互いに結合して、多座配位子を形成していてもよい;加えて、ラジカルR
は、配位子Lに結合していてもよい;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、Cl、Br、
I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R
P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO;1乃至40
の炭素原子を有した直鎖状のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、若しくは
、2乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルケニル基若しくはアルキニル基、若しくは
、3乃至40の炭素原子を有した分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アルコキシ基、若しくはチオアルコキシ基であって、これらの各々は、1つ
若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の、好ま
しくは互いに隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、G
e(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(
)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられてい
てもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、若しくはNO
によって置き換えられていてもよい各基;又は、5乃至60の芳香環原子を有した芳香
族性若しくはへテロ芳香族性の環システムであって、各場合において1つ又は複数のラジ
カルRによって置換されていてもよい各基;又は、10乃至40の芳香環原子を有した
ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、若しくはアリールへテロアリールアミ
ノ基であって、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、
これら系の組み合わせであり;ここで、2つ又は3つ以上の置換基Rは、互いに、単環
若しくは多環の脂肪族、芳香族、及び/又はベンゾ縮環した環システムを形成していもよ
い;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、又は、1乃至
20の炭素原子を有した脂肪族、芳香族及び/又はへテロ芳香族炭化水素ラジカルであっ
て、1つ若しくは複数のH原子がD又はFによって置き換えられていてもよく;2つ又は
3つ以上の置換基Rは、互いに、単環又は多環の脂肪族又は芳香族の環システムを形成
していてもよい;
xは、3、4、5又は6である;
yは、金属上の配位数が5又は6となる条件のもとで、0、1、2又は3である。
【請求項2】
アノードと、カソードと、少なくとも1つの層とを備え、この層は、少なくとも1つの
有機又は有機金属化合物を含み、有機電子デバイスは、有機エレクトロルミネッセントデ
バイス(=有機発光ダイオード、OLEDs、PLEDs)、有機集積回路(O−ICs
)、有機電界効果トランジスタ(O−FETs)、有機薄膜トランジスタ(O−TFTs
)、有機発光トランジスタ(O−LETs)、有機太陽電池(O−SCs)、有機光学検
出器、有機フォトレセプタ、有機電界消光デバイス(O−FQDs)、発光電気化学セル
(LECs)、及び、有機レーザダイオード(O−レーザ)からなる群より選択され、特
には有機エレクトロルミネッセントデバイスである請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記化学式(1)の化合物が荷電していないこと、即ち電気的に中性であることを特徴
とする請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
1つ又は複数のイソニトリル配位子は単座配位子であり、置換基Rは、出現する毎に同
一であっても異なっていてもよく、1乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルキル、ア
ルコキシ若しくはチオアルコキシ基、若しくは、2乃至40の炭素原子を有した直鎖状の
アルケニル基若しくはアルキニル基、若しくは、3乃至40の炭素原子を有した分岐鎖状
若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、若しくはチオ
アルコキシ基であって、これらの各々は、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換
されていてもよく、1つ若しくは複数の、好ましくは互いに隣接していないCH基は、
C=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられていてもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、若しくはNOによって置き換えられていてもよい各基;又は、5乃至60の芳香環原子を有した芳香族性若しくはへテロ芳香族性の環システムであって、各場合において1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又はこれらシステムの組み合わせを表す請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
置換基Rは、鎖状、分岐鎖状、単環又は多環の、脂肪族、芳香族及び/又はベンゾ縮環
構造を、互いに及び/又は配位子Lとともに形成し、これにより多座又は多脚の性質を有
している請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記金属錯体は、化学式(2)又は化学式(3)の構造を有した1つ又は複数のイソニ
トリル配位子を含んでいる請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子デバイス。
【化2】
ここで、R及びLは、請求項1で述べたのと同様の意味を有しており、他の記号及び
添字には、以下が適用される:
Yは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、単結合、O、S、N(R
、C=O;1乃至6の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン基、若しくは、3乃至6の炭
素原子を有する分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基であって、これらの各々は、1つ若
しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の隣接して
いないCH基は、RC=CR、NR、Si(R、O、若しくはSによって
置き換えられていてもよく、1つ若しくは複数のH原子はD、F、Cl、Br、I、CN
若しくはNOによって置き換えられていてもよい各基;5乃至20の芳香環原子を有す
るアリーレン若しくはヘテロアリーレン基であって、1つ若しくは複数のラジカルR
よって置換されていてもよい各基;又は、これらシステムの組み合わせである;
Vは、B、B(R、CR、CO、CN(R、SiR、N、NO、N(R、P、P(R、PO、PS、As、As(R、AsO、S、Se、又は、化学式(4)、(5)、(6)若しくは(7)のユニットである:
【化3】
ここで、破線の結合は、それぞれ、Yへの結合を示す;
Zは、BR、B(R、C(R、C(=O)、Si(R、NR、PR、P(R、PO(R)、PS(R)、AsR、AsO(R)、AsS、O、S、Se、又は、化学式(8)乃至(17)のユニットである:
【化4】
ここで、破線の結合は、それぞれ、Yへの結合を示す;
nは、1、2又は3であり、好ましくは2又は3である。
mは、1又は2であり、好ましくは2である。
【請求項7】
2つの置換基Y、及び、置換基V又はZ中におけるイソニトリル基間又はイソニトリル
基と配位子基Lとの間の直接的な結合を表す原子数は、6乃至12原子の範囲内にあり、
好ましくは7乃至10原子の範囲内にあり、特に好ましくは7乃至9原子の範囲内にある
請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記配位子が化学式(18)乃至(28)の配位子から選択されることを特徴とし、これら
の各々は1つ又は複数のラジカルR1によって置換されていてもよい請求項6又は7に記
載の電子デバイス。
【化5】
【請求項9】
前記配位子Lは、一酸化炭素;一酸化窒素;アミン;ホスフィン;ホスファイト;アルシン;スチビン;含窒素複素環;カルベン;ヒドリド;デューテリド(deuteride);ハライドF、Cl、Br、I;アルキルアセチリド;アリールアセチリド;シアニド;アジド;シアネート;イソシアネート;チオシアネート;イソチオシアネート;脂肪族又は芳香族アルコレート;脂肪族又は芳香族チオアルコレート;アミド;カルボキシレート;アリール基;アニオン性含窒素複素環;O2−;S2−;R−C≡Mの形での配位をもたらすカーバイド、及び、R−N=Mの形での配位をもたらすニトレンであって、Rは一般に置換基を表すカーバイド及びニトレン;N3−;ジアミン;イミン;ジイミン;2つの窒素原子を含んだ複素環;ジホスフィン;1,3−ジケトンから導かれる1,3−ジケトネート;3−ケトエステルから導かれる3−ケトネート;アミノカルボン酸から導かれるカルボキシレート;サリチルイミンから導かれるサリチルイミネート;ジアルコールから導かれるジアルコレート;ジチオールから導かれるジチオレート;含窒素複素環のボレート;若しくは、η−シクロペンタジエニル、η−ペンタメチルシクロペンタジエニル、η−ベンゼン、若しくはη−シクロヘプタトリエニルであって、これらの各々は1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよいものから選択されるか、又は、前記配位子Lは、少なくとも1つの金属−炭素結合を含んだシクロメタレート型の5若しくは6員環を金属と共に形成する2座の1価配位子、特には、化学式(29)乃至(56)により表される2つの基の組み合わせであって、1つの基は、中性の窒素原子若しくはカルベン原子を介して結合されており、他の基は負に荷電した炭素原子若しくは負に荷電した窒素原子を介して結合されており、配位子Lは、化学式(29)乃至(56)の基から、これら基が各場合において#で示す位置で互いに結合しており、これら基が金属に配位する位置は、*により示されており、
【化6】
【化7】
ここで、使用されている記号は、請求項1におけるのと同じ意味を有しており、Xは、
出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、各基において、Nを表すXが最大で3
つであるという条件のもと、CR又はNを意味しているか、
又は、前記配位子Lは、特には化学式(57)の1,3,5−cis−シクロヘキサン
誘導体、特には化学式(58)の1,1,1−トリ(メチレン)メタン誘導体、及び、特
には化学式(59)及び(60)の1,1,1−3置換メタンであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子デバイス。
【化8】
ここで、各式において、金属Mへの配位が示されており、Rは請求項1で示した意味
を有しており、Aは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、O、S、C
OO、P(R、又はN(Rを表す。
【請求項10】
カソードと、アノードと、1つ又は複数の発光層と、各場合において任意に、1つ又は
複数の、ホール注入層、ホール輸送層、ホール遮断層、電子輸送層、電子注入層、エキシ
トン遮断層、電荷発生層、及び/又は、有機若しくは無機p/n接合とを備え、発光層に
おける発光性材料として化学式(1)の化合物が用いられていることを特徴とする請求項
1乃至10の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項11】
化学式(1)の化合物は、特にはCBP(N,N−ビスカルバゾイルビフェニル)、カ
ルバゾール誘導体、アザカルバゾール、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、ス
ルホン、オリゴフェニレン、芳香族アミン、双極性マトリクス材料、シラン、9,9−ジ
アリールフルオレン誘導体、アザボロール、及びボロン酸エステルから選択される1つ又
は複数のマトリクス材料と組み合わせて、発光層において用いられることを特徴とする請
求項1乃至10の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項12】
1つ又は複数の層が昇華プロセスによって適用されるか、及び/又は、1つ又は複数の
層がOVPD(有機気相蒸着)プロセスによって、又は、キャリアガス昇華を用いて、又
はOVJP(有機蒸気ジェット印刷)によって適用されるか、及び/又は、1つ又は複数
の層が溶液から又は印刷プロセスによって製造されることを特徴とする請求項1乃至11
の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項13】
化学式(1’)の化合物。
【化9】
ここで、使用される記号及び添え字には、以下が適用される:
Mは、5配位又は6配位のクロム、モリブデン、タングステン、レニウム、オスミウム、ニッケル、銅、銀、及び金からなる群より選択される遷移金属である;
Lは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、金属Mに結合している単座、
2座又は3座配位子であり、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい
;配位子Lは、イソニトリル基のラジカルRに結合していてもよい;
Rは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、1乃至60の炭素原子を有し
た有機置換基であり、1つ又は複数の置換基Rによって置換されていてもよい;複数の
ラジカルRは、互いに結合して、多座配位子を形成していてもよい;加えて、ラジカルR
は、配位子Lに結合していてもよい;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、Cl、Br、
I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R
P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO;1乃至40
の炭素原子を有した直鎖状のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、若しくは
、2乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルケニル基若しくはアルキニル基、若しくは
、3乃至40の炭素原子を有した分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アルコキシ基、若しくはチオアルコキシ基であって、これらの各々は、1つ
若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の、好ま
しくは互いに隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、G
e(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(
)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられてい
てもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、若しくはNO
によって置き換えられていてもよい各基;又は、5乃至60の芳香環原子を有した芳香
族性若しくはへテロ芳香族性の環システムであって、各場合において1つ又は複数のラジ
カルRによって置換されていてもよい各基;又は、10乃至40の芳香環原子を有した
ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、若しくはアリールへテロアリールアミ
ノ基であって、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、
これら系の組み合わせであり;ここで、2つ又は3つ以上の置換基Rは、互いに、単環
若しくは多環の脂肪族、芳香族、及び/又はベンゾ縮環した環システムを形成していもよ
い;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、又は、1乃至20の炭素原子を有した脂肪族、芳香族及び/又はへテロ芳香族炭化水素ラジカルであって、1つ若しくは複数のH原子がD又はFによって置き換えられていてもよく;2つ又は
3つ以上の置換基Rは、互いに、単環又は多環の脂肪族又は芳香族の環システムを形成
していてもよい;
xは、3、4、5又は6である;
yは、金属上の配位数が5又は6となる条件のもとで、0、1、2又は3であり、イソニトリル配位子の少なくとも1つは、化学式(27)及び(28)から選択され、これらの各々は、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい。
【化10】
【請求項14】
化学式(27)又は(28)の化合物であって、これらの各々は1つ又は複数のラジカ
ルRによって置換されていてもよく、
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、Cl、Br、
I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R
P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO;1乃至40
の炭素原子を有した直鎖状のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、若しくは
、2乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルケニル基若しくはアルキニル基、若しくは
、3乃至40の炭素原子を有した分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アルコキシ基、若しくはチオアルコキシ基であって、これらの各々は、1つ
若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の、好ま
しくは互いに隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、G
e(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(
)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられてい
てもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、若しくはNO
によって置き換えられていてもよい各基;又は、5乃至60の芳香環原子を有した芳香
族性若しくはへテロ芳香族性の環システムであって、各場合において1つ又は複数のラジ
カルRによって置換されていてもよい各基;又は、10乃至40の芳香環原子を有した
ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、若しくはアリールへテロアリールアミ
ノ基であって、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、
これら系の組み合わせであり;ここで、2つ又は3つ以上の置換基Rは、互いに、単環
若しくは多環の脂肪族、芳香族、及び/又はベンゾ縮環した環システムを形成していもよ
い;化合物。
【化11】
【請求項15】
請求項13記載の化学式(1’)の少なくとも1つの化合物と、好ましくは芳香族有機溶剤のクラスから選択されるなくとも1つの有機溶剤とを備えた溶液又は配合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
有機伝導体が機能性材料として用いられている有機エレクトロルミネッセントデバイス(OLEDs)の構造は、例えば、US4539507、US5151629、EP0676461、及びWO98/27136に記載されている。近年では、採用される発光材料が、蛍光の代わりに燐光を示す有機金属錯体であることが増えてきている(M.A.Baldoら、Appl.Phys.Lett.1999、75、4−6)。量子力学的な理由により、燐光発光体としての有機金属化合物を用いると、エネルギー及びパワー効率において、最大で4倍の増大が可能である。しかしながら、一般的に、三重項発光を示すOLEDsの発展については、更なるニーズが未だに存在している。それゆえ、燐光性OLEDsの物理的性質は、金属錯体の安定性、効率、駆動電圧、及び寿命の面で、更に改善されるべきである。有機エレクトロルミネッセントデバイスに使用される他の化合物、例えば、マトリクス材料及び電荷輸送材料に関しても、更なる改善が望まれている。
【0002】
従来技術によると、燐光性OLEDsに採用される三重項発光体は、通常は、イリジウム錯体又は白金錯体である。これらOLEDsでは、多脚配位子又はクリプレートを有した金属錯体を採用することにより、錯体の熱安定性が向上し、OLEDsの寿命がより長くなるという改善が為されている(WO04/081017、WO05/113563、WO06/008069)。しかしながら、特にはこれら錯体を含んでいるエレクトロルミネッセントデバイスの効率及び寿命に関する改善を達成するために、錯体における更なる改善が未だに必要である。
【0003】
OLEDsにおけるタングステン錯体の使用も、文献に記載されている(JP2006/303315)。しかしながら、この文献中には、ビピリジン及びターピリジンなどのピリジン配位子を有したタングステン錯体、並びに、ホスフィン配位子を有したタングステン錯体のみが、明示的に開示されている。
【0004】
従来技術にしたがって採用される燐光性金属錯体の特性は、蛍光性化合物と比較して非常に長い発光寿命である。例えば、イリジウム錯体の室温における燐光寿命は、通常は0.5乃至5μsのオーダーであり、白金錯体のそれは3乃至30μsのオーダーである。特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスのパッシブマトリクス駆動の場合には、必要とされる高い発光が励起状態の飽和の原因となり、これは高い発光において効率がかなり低下することを意味しているため、問題となるかもしれない。よって、この分野には、更なる改善が必要である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、赤色、オレンジ色、黄色、緑色又は青色の燐光を示す発光体としての金属錯体を含んだ新規な電子デバイスであって、これらの点における改善をもたらすものを提供することにある。
【0006】
驚くべきことに、以下でより詳細に記述されるイソニトリル配位子を含んだ金属錯体を備えた有機エレクトロルミネッセントデバイスは、この目的を達成し、有機エレクトロルミネッセントデバイスにおける重要な改善、特には、動作寿命及び高発光時における効率の点での改善をもたらすことが見出された。それゆえ、本発明は、これら錯体を備えた有機エレクトロルミネッセントデバイスに関する。
【0007】
技術水準は、イソニトリル配位子を有した4配位の金属錯体を備えた有機エレクトロルミネッセントデバイスである(WO08/003464)。しかしながら、これら錯体が特に優れた効率及び短い発光寿命を示すことは、この開示からは明らかではない。特には、これら4配位の平面錯体では、全く異なった発光メカニズムが観察されている。即ち、これら錯体では、発光は、隣り合った錯体間での金属−金属相互作用に基づいている。それゆえ、金属錯体の高い濃度が必要である。このことは、特に貴金属の希少性の観点から、望ましくない。
【0008】
単座配位のイソニトリル配位子を有したヘキサイソニトリルタングステン錯体の合成は、Y.Yamamotoら,J.Organomet.Chem.,1985,282,191−200; M.O.Albersら,J.Chem.Edu.,1986,63(5),444−447;及び、N.J.Coville,1982,65,L7−L8に記載されている。この錯体の応用、特には電子デバイスへの応用は、開示されていない。
【0009】
多座配位のイソニトリル配位子を有した6配位の金属錯体もまた、文献から知られている(例えば、F.E.Hahnら,J.Organomet.Chem.1994,467,103−111;F.E.Hahnら,J.Organomet.Chem.1991,410,C9−C12;F.E.Hahnら,Angew.Chem.1992,104,1218−1221;F.E.Hahnら,Angew.Chem.1991,103,213−215)。しかしながら、これら錯体については、一般的な構造化学の研究しか為されていない。有機エレクトロルミネッセントデバイスにおけるこのような錯体の使用は、開示されていない。
【0010】
本発明は、したがって、化学式(1)の金属錯体を少なくとも1つ備えた電子デバイスに関する。
【化1】
【0011】
ここで、使用される記号及び添え字には、以下が適用される:
Mは、5配位又は6配位の遷移金属である;
Lは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、金属Mに結合している単座、2座又は3座配位子であり、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい;配位子Lは、イソニトリル基のラジカルRに結合していてもよい;
Rは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、1乃至60の炭素原子を有した有機置換基であり、1つ又は複数の置換基Rによって置換されていてもよい;複数のラジカルRは、互いに結合して、多座配位子を形成していてもよい;加えて、ラジカルRは、配位子Lに結合していてもよい;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO;1乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、若しくは、2乃至40の炭素原子を有した直鎖状のアルケニル基若しくはアルキニル基、若しくは、3乃至40の炭素原子を有した分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、若しくはチオアルコキシ基であって、これらの各々は、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の、好ましくは互いに隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられていてもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、若しくはNOによって置き換えられていてもよい各基;又は、5乃至60の芳香環原子を有した芳香族性若しくはへテロ芳香族性の環システムであって、各場合において1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、10乃至40の芳香環原子を有したジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、若しくはアリールへテロアリールアミノ基であって、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、これら系の組み合わせであり;ここで、2つ又は3つ以上の置換基Rは、互いに、単環若しくは多環の脂肪族、芳香族、及び/又はベンゾ縮環した環システムを形成していもよい;
は、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、H、D、F、又は、1乃至20の炭素原子を有した脂肪族、芳香族及び/又はへテロ芳香族炭化水素ラジカルであって、1つ若しくは複数のH原子がD又はFによって置き換えられていてもよく;2つ又は3つ以上の置換基Rは、互いに、単環又は多環の脂肪族又は芳香族の環システムを形成していてもよい;
xは、3、4、5又は6である;
yは、金属上の配位数が5又は6となる条件のもとで、0、1、2又は3である。
【0012】
添字x及びyは、金属M上の配位数が、金属に応じて合計で5又は6となるように選択される。金属配位化合物は、選択される金属原子及びその金属原子の酸化状態に依存して、異なった配位数を有すること、即ち、異なった数の配位子に結合することは、一般的に知られている。異なった酸化状態における金属又は金属イオンの好ましい配位数は、有機金属化学又は配位化学の分野における当業者の一般的な専門知識の一部であり、金属及びその酸化状態に応じて、及び、配位子Lの正確な構造に応じて、適切な数の配位子を使用すること、そして添字x及びyを適切に選択することは、当業者にとって容易である。
【0013】
電子デバイスとは、アノードと、カソードと、少なくとも1つの層とを備え、この層が少なくとも1つの有機又は有機金属化合物を含んでいるデバイスを意味している。本発明に係る電子デバイスは、それゆえ、アノードと、カソードと、少なくとも1つの上記化学式(1)の化合物を含んだ少なくとも1つの層とを備えている。好ましい電子デバイスは、少なくとも1つの層に、少なくとも1つの上記化学式(1)の化合物が含まれている、有機エレクトロルミネッセントデバイス(=有機発光ダイオード、OLEDs、PLEDs)、有機集積回路(O−ICs)、有機電界効果トランジスタ(O−FETs)、有機薄膜トランジスタ(O−TFTs)、有機発光トランジスタ(O−LETs)、有機太陽電池(O−SCs)、有機光学検出器、有機フォトレセプタ、有機電界消光デバイス(O−FQDs)、発光電気化学セル(LECs)、及び、有機レーザダイオード(O−レーザ)からなる群より選択される。特に好ましいのは、有機エレクトロルミネッセントデバイスである。
【0014】
C≡N−Rのタイプの配位子は、イソニトリル(=イソシアニド)であり、炭素原子を介して、金属に配位する。この配位子は、Rが1価の基を表す場合には単座であり、Rが2価の基を表し、2つのイソニトリル基を結合させるか又は1つのイソニトリル基と配位子Lとを互いに結合させる場合には2座であり、Rが3価の基を表し、イソニトリル基と任意に配位子Lとを互いに結合させる場合には3座である。Lが、既に、例えば2座又は3座配位子を表している場合には、多座配位子も同様に可能である。
【0015】
本発明の目的に対しては、アリール基は6乃至40の炭素原子を含んでおり;本発明の目的に対しては、ヘテロアリール基は、炭素原子の数とヘテロ原子の数との和が5以上であるという条件のもとで、2乃至40の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子とを含んでいる。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/又はSから選択される。ここでのアリール基又はへテロアリール基は、ベンゼンなどの単純芳香環、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなどの単純ヘテロ芳香環、又は、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、キノリン、イソキノリンなどの縮環したアリール若しくはヘテロアリール基を意味している。本発明の目的に対しては、環状カルベンは、中性の炭素原子を介して金属に結合する環状の基である。この環状の基は、飽和であっても不飽和であってもよい。好ましくは、Arduengoカルベン、即ち、カルベンの炭素原子に2つの窒素原子が結合したカルベンである。5員環のArduengoカルベン環、又は、他の不飽和5員環カルベン環も、同様に、本発明の目的に対するアリール基とみなされる。
【0016】
本発明の目的に対しては、芳香環システムは、環システム中に、6乃至60の炭素原子を含んでいる。本発明の目的に対しては、ヘテロ複素環システムは、炭素原子の数とヘテロ原子の数との和が5以上であるという条件のもとで、環システム中に、2乃至60の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子とを含んでいる。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/又はSから選択される。本発明の目的に対しては、芳香族又はへテロ芳香族環システムは、アリール又はへテロアリール基のみを含んでいる必要はなく、更に、複数のアリール又はへテロアリール基が非芳香族ユニット(好ましくは、H以外の元素の10%未満)、例えば、sp又はsp混成のC、N若しくはO原子、又はカルボニル基によって隔てられていてもよい。したがって、例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベンなどのシステムも、本発明の目的に対して、芳香族環システムを意味すると意図され、2つ又は3つ以上のアリール基が、例えば、鎖状若しくは環状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、又はシリル基によって隔てられた同様のシステムも、本発明の目的に対して、芳香族環システムを意味すると意図される。
【0017】
本発明の目的に対しては、環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、又はチオアルコキシ基は、単環、2環、又は多環の基を意味している。
【0018】
本発明の目的に対しては、個々のH原子又はCH基が上述した基によって置換されていてもよいCからC40のアルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、tert−ペンチル、2−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、tert−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、又はオクチニルの各ラジカルを意味している。CからC40のアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロピロキシ、i−プロピロキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、又は2−メチルブトキシを意味している。各場合において上記ラジカルRによって置換されていてもよく、任意の位置を介して芳香環又はへテロ芳香環に結合されていてもよい5乃至60の芳香環原子を有する芳香族又はへテロ芳香族環システムは、特には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンゾフルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナンスレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis−若しくはtrans−インデノフルオレン、cis−若しくはtrans−モノベンゾインデノフルオレン、cis−若しくはtrans−ジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザピレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、及び、ベンゾチアジアゾールに由来する基を意味している。
【0019】
以下に、電子デバイスにおいて好ましく使用される化学式(1)の化合物の態様を述べる。
【0020】
化学式(1)の化合物は、好ましくは、荷電していないこと、即ち、電気的に中性であることを特徴としている。これは、配位子L及びイソニトリル配位子のラジカルRの電荷を錯形成された金属原子Mの電荷を補償するように選択するという単純な方法で達成される。
【0021】
化学式(1)の化合物は、更に好ましくは、金属原子の周りの価電子数の和が、5配位錯体では16であり、6配位錯体では18であることを特徴としている。この好ましさは、これら金属錯体の特別な安定性に基づいている(例えば、Elschenbroich,Salzer「Organometallchemie」,Teubner Studienbucher,Stuttgart 1993 を参照)。
【0022】
化学式(1)の化合物では、Mが5配位又は6配位の遷移金属であることが好ましい。Mは、特に好ましくは、クロム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、銅、銀、及び金からなる群より選択され、特には、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、白金、及び金からなる群より選択される。これら金属は、様々な酸化状態で有り得る。上記金属は、好ましくは、Cr(0)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(VI)、Mo(0)、Mo(II)、Mo(III)、Mo(IV)、W(0)、W(II)、W(III)、W(IV)、Re(I)、Re(II)、Re(III)、Re(IV)、Ru(II)、Ru(III)、Os(II)、Os(III)、Os(IV)、Rh(I)、Rh(III)、Ir(I)、Ir(III)、Ir(IV)、Ni(0)、Ni(II)、Ni(IV)、Pt(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Ag(II)、Au(III)及びAu(V)の酸化状態にあり;特に好ましくは、Mo(0)、W(0)、Re(I)、Ru(II)、Os(II)、Rh(III)、Ir(III)及びPt(IV)の酸化状態にある。
【0023】
本発明の好ましい態様では、Mは5配位金属であり、添字xは3又は5を表す。本発明の特に好ましい態様では、Mは6配位金属であり、添字xは3,4又は6を表す。
【0024】
本発明の一態様では、1つ又は複数のイソニトリル配位子は、単座配位子である。この場合、置換基Rは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、1乃至20の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、若しくは、3乃至20の炭素原子を有する分岐鎖状若しくは環状アルキル基であって、これらの各々は、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の互いに隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、若しくはCONRによって置き換えられてもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOによって置き換えられていてもよい各基、又は、5乃至40の芳香環原子を有する1価の芳香族又はへテロ芳香族環システムであって、各場合において、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよいシステム、又は、これらシステムの組み合わせを表している。イソニトリル配位子が単座配位子である場合、置換基Rは、特に好ましくは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、1乃至10の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、若しくは、3乃至10の炭素原子を有する分岐鎖状若しくは環状アルキル基であって、これらの各々は、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の互いに隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、C=S、若しくはOによって置き換えられてもよく、1つ若しくは複数のH原子は、D、F、若しくはCNによって置き換えられていてもよい各基、又は、5乃至20の芳香環原子を有する1価の芳香族又はへテロ芳香族環システムであって、各場合において、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよいシステム、若しくは、これらシステムの組み合わせを表している。本発明の極めて特に好ましい態様では、置換基Rは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、5乃至20の芳香環原子を有する1価の芳香族又はへテロ芳香族環システムであって、各場合において、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよいシステムである。
【0025】
1価のイソニトリル配位子の例は、メチルイソニトリル、トリフルオロメチルイソニトリル、イソプロピルイソニトリル、t−ブチルイソニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、及びアダマンチルイソニトリルなどの脂肪族イソニトリル、又は、フェニルイソニトリル、メシチルイソニトリル、2,6−ジメチルフェニルイソニトリル、2,6−ジイソプロピルフェニルイソニトリル、及び2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソニトリルなどの芳香族イソニトリルである。好ましくは、芳香族イソニトリルである。Rが芳香族又はへテロ芳香族環システムをあらわす場合には、これは、H以外の置換基R、特にはアルキル基によって、イソニトリル基におけるオルト位の少なくとも一方において、特に好ましくは、イソニトリル基におけるオルト位の両方において、置換されていることが好ましい。
【0026】
イソニトリル基におけるラジカルRは、互いに結合して、金属Mと共に、環システムを形成していてもよい。このように、2つのラジカルRは、互いに結合して、2座のイソニトリル配位子を形成していてもよい。同様に、3つのラジカルRが互いに結合して、3座のイソニトリル配位子を形成していてもよい。全く同様に、4座、5座、及び6座の配位子も可能である。配位子Lは、同様に、イソニトリル配位子上のラジカルRに結合して、金属Mと共に環システムを形成していてもよい。これにより、イソニトリル基と更なる基とを介して配位する2座の配位子が得られる。全く同様に、配位子L上のラジカルR及びイソニトリル上のラジカルRから、3座、4座、5座、及び6座の配位子も可能である。
【0027】
本発明の好ましい態様では、置換基Rは、鎖状、分岐鎖状、単環又は多環の、脂肪族、芳香族及び/又はベンゾ縮環構造を、互いに及び/又は配位子Lとともに形成し、これにより多座又は多脚な性質を有している。
【0028】
化学式(1)の錯体において使用され得る好ましい多座イソニトリル配位子は、化学式(2)又は化学式(3)の構造を有している。
【化2】
【0029】
ここで、R及びLは、先に述べたのと同様の意味を有しており、他の記号及び添字には、以下が適用される:
Yは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、単結合、O、S、N(R)、C=O;1乃至6の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン基、若しくは、3乃至6の炭素原子を有する分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基であって、これらの各々は、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよく、1つ若しくは複数の隣接していないCH基は、RC=CR、NR、Si(R、O、若しくはSによって置き換えられていてもよく、1つ若しくは複数のH原子はD、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOによって置き換えられていてもよい各基;5乃至20の芳香環原子を有するアリーレン若しくはヘテロアリーレン基であって、1つ若しくは複数のラジカルRによって置換されていてもよい各基;又は、これらシステムの組み合わせである;
Vは、B、B(R、CR、CO、CN(R、SiR、N、NO、N(R、P、P(R、PO、PS、As、As(R、AsO、S、Se、又は、化学式(4)乃至(7)のユニットである:
【化3】
【0030】
ここで、破線の結合は、それぞれ、Yへの結合を示す;
Zは、BR、B(R、C(R、C(=O)、Si(R、NR、PR、P(R、PO(R)、PS(R)、AsR、AsO(R)、AsS、O、S、Se、又は、化学式(8)乃至(17)のユニットである:
【化4】
【0031】
ここで、破線の結合は、それぞれ、Yへの結合を示す;
nは、1、2又は3であり、好ましくは2又は3である。
【0032】
mは、1又は2であり、好ましくは2である。
【0033】
化学式(2)及び(3)における配位子の架橋長は、好ましくは、6乃至12原子の範囲内である。ここで、架橋長とは、イソニトリル基間又はイソニトリル基と配位子基Lとの間の直接的な結合を表す、2つの置換基Y、及び、置換基V又はZ中における原子数を意味している。この架橋長は、特に好ましくは7乃至10原子の範囲内にあり、極めて特に好ましくは7乃至9原子の範囲内にある。
【0034】
適切な置換基の例は、F.E.Hahnら,J.Organomet.Chem.1994,467,103−111,F.E.Hahnら,J.Organomet.Chem.1991,410,C9−C12,F.E.Hahnら,Angew.Chem.1992,104,1218−1221,F.E.Hahnら,Angew.Chem.1991,103,213−215,F.E.Hahnら,Organometallics,1994,13,3002−3008、及び、F.E.Hahnら,Organometallics,1992,11,84−90に開示されている多座イソニトリル配位子である。
【0035】
化学式(2)及び(3)の特に好ましい配位子の例は、以下に示す化学式(18)乃至(28)の配位子であり、これらの各々は、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい。
【化5】
【0036】
本発明の好ましい態様では、金属Mは5配位であり、化学式(1)の化合物は、化学式(2)の3座配位子と、化学式(3)の2座配位子とを含んでいる。
【0037】
本発明の更に好ましい態様では、金属Mは6配位であり、化学式(1)の化合物は、化学式(2)の3座配位子を2つ含んでいるか、又は、化学式(3)の2座配位子を3つ含んでいる。
【0038】
化学式(1)における好ましい配位子Lを以下に示す。化学式(2)及び(3)の配位子における配位子基Lも選択可能であり、この場合、それらは置換基Yに結合している。
【0039】
配位子Lは、好ましくは、中性、1価、2価、又は3価の配位子であり、特に好ましくは、中性又は1価の配位子である。これらは、単座であってもよいが、好ましくは、2座又は3座である。即ち、これらは、好ましくは、2つ又は3つの配位サイトを有している。配位子Lは、ラジカルRに結合していてもよい。好ましい態様は、上記化学式(2)及び(3)の配位子である。化学式(2)及び(3)の配位子において、Lは、好ましくは、単座又は2座の配位子である。
【0040】
好ましい中性の単座配位子Lは、一酸化炭素;一酸化窒素;トリエチルアミン、トリエチルアミン及びモルフォリンなどのアミン;ホスフィン、特には、トリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンなどのハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、又はアルキルアリールホスフィン;トリメチルホスファイト及びトリエチルホスファイトなどのホスファイト;トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンなどのアルシン;トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンなどのスチビン;ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジンのトリアジンなどの含窒素複素環;並びに、特にはArduengoカルベンなどのカルベンから選択される。
【0041】
好ましい1価の単座配位子Lは、ヒドリド;デューテリド(deuteride);ハライドF、Cl、Br、I;メチル−C≡C及びtert−ブチル−C≡Cなどのアルキルアセチリド;フェニル−C≡Cなどのアリールアセチリド;シアニド;アジド;シアネート;イソシアネート;チオシアネート;イソチオシアネート;メタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソプロパノレート、tert−ブチレート及びフェノレートなどの脂肪族又は芳香族アルコレート;メタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、イソプロパンチオレート、tert−チオブチレート、及びチオフェノレートなどの脂肪族又は芳香族チオアルコレート;ジメチルアミド、ジエチルアミド、ジイソプロピルアミド、及びモルフォリドなどのアミド;アセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、及びベンゾエートなどのカルボキシレート;フェニル及びナフチルなどのアリール基;並びに、ピロリド、イミダゾリド及びピラゾリドなどのアニオン性含窒素複素環から選択される。これら基におけるアルキル基は、好ましくはC乃至C20アルキル基であり、特に好ましくはC乃至C10アルキル基であり、極めて特に好ましくはC乃至Cアルキル基である。アリール基は、ヘテロアリール基をも意味している。これら基は、上で定義した通りである。
【0042】
好ましい2価又は3価の配位子は、O2−;S2−;R−C≡Mの形での配位をもたらすカーバイド;及び、R−N=Mの形での配位をもたらすニトレン;又はN3−であり、ここでRは、一般に置換基を表す。
【0043】
好ましい中性の又は1価若しくは2価の2座又は3座配位子Lは、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、cis若しくはtrans−ジアミノシクロヘキサン、及び、cis若しくはtrans−N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノシクロヘキサンなどのジアミン;2−[1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(メチルイミノ)エチル]−ピリジン、2−[1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(イソプロピルアミノ)エチル]ピリジン、及び2−[1−(tert−ブチルイミノ)エチル]ピリジンなどのイミン;1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(イソプロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(イソプロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)ブタン、及び2,3−ビス(2,6−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタンなどのジイミン;2,2’−ビピリジン及びo−フェナントロリンなどの2つの窒素原子を含んだ複素環;ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)ブタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパン、及びビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ブタンなどのジホスフィン;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5−ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン及びビス(1,1,1−トリフルオロアセチル)メタンなどの1,3−ジケトンから導かれる1,3−ジケトネート;エチルアセトアセテートなどの3−ケトエステルから導かれる3−ケトネート;ピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸、グリシン、N,N−ジメチルグリシン、アラニン、及びN,N−ジメチルアミノアラニンなどのアミノカルボン酸から導かれるカルボキシレート;メチルサリチルイミン、エチルサリチルイミン、及びフェニルサリチルイミンなどのサリチルイミンから導かれるサリチルイミネート;エチレングリコール及び1,3−プロピレングリコールなどのジアルコールから導かれるジアルコレート;並びに、1,2−エチレンジチオール及び1,3−プロピレンジチオールなどのジチオールから導かれるジチオレートから選択される。
【0044】
好ましい3座配位子は、含窒素複素環のボレートであり、例えば、テトラキス(1−イミダゾリル)ボレート及びテトラキス(1−ピラゾイル)ボレートである。
【0045】
少なくとも1つの金属−炭素結合を含んだシクロメタレート型の5又は6員環、特には5員環を金属と共に形成する2座の1価配位子Lが更に好ましい。これらは、特には、有機エレクトロルミネッセントデバイスのための燐光性金属錯体において一般的に使用されているような配位子、即ち、フェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、及びフェニルイソキノリンなどのタイプの配位子であり、これらの各々は、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい。このような配位子の多重性(multiplicity)は、エレクトロルミネッセントデバイスの分野における当業者に知られており、この当業者は、容易に、化学式(1)の化合物の配位子Lとして、このタイプの配位子を更に選択することができる。この目的のためには、下記化学式(29)乃至(56)により表される2つの基の組み合わせが特に適切である。これら組み合わせにおいては、1つの基は、中性の窒素原子又はカルベン原子を介して結合されており、他の基は負に荷電した炭素原子又は負に荷電した窒素原子を介して結合されている。配位子Lは、化学式(29)乃至(56)の基から、これら基が各場合において#で示す位置で互いに結合することにより、形成され得る。これら基が金属に配位する位置は、*により示されている。化学式(2)又は(3)の配位子においては、各々の基は、配位子Lとして、その配位子の基Yに結合していてもよい。
【化6】
【化7】
【0046】
使用されている記号は、上述したのと同じ意味を有している。Xは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、CR又はNを意味している。但し、各基において、Nを表すXは、最大で3つである。各基において、Nを表すXは、好ましくは2つ以下であり、特に好ましくは1つ以下であり、極めて特に好ましくは、全てのXがCRを表す。
【0047】
同様に好ましい配位子Lは、η−シクロペンタジエニル、η−ペンタメチルシクロペンタジエニル、η−ベンゼン、又はη−シクロヘプタトリエニルであり、これらの各々は、1つ又は複数ののラジカルRによって置換されていてもよい。
【0048】
同様に好ましい配位子Lは、特には化学式(57)の1,3,5−cis−シクロヘキサン誘導体、特には化学式(58)の1,1,1−トリ(メチレン)メタン誘導体、及び、特には化学式(59)及び(60)の1,1,1−3置換メタンである:
【化8】
【0049】
ここで、各式において、金属Mへの配位が示されており、Rは上述した意味を有しており、Aは、出現する毎に同一であっても異なっていてもよく、O、S、COO、P(R、又はN(Rを表す。
【0050】
イソニトリル錯体は、例えば、置換反応によって調製することができ、この反応では、金属錯体が、任意に触媒の存在下で、イソニトリル配位子と反応し、所望のイソニトリル錯体を与える。このようにして、例えば、モリブデン若しくはタングステンヘキサカルボニル、オレフィンモリブデン、又はタングステンカルボニル錯体を出発原料として、トリ−、テトラ−、ペンタ−及びヘキサイソニトリルモリブデン又はタングステン錯体が利用可能である。このタイプの反応は、単座のイソニトリル配位子の反応にも多座のイソニトリル配位子の反応にも適している。パラジウム(II)錯体を触媒として添加することもできる(Albersら,J.Chem.Edu.1986,63(5),444;Covilleら,Inorg.Chim.Acta1982,65,L7−L8;Yamamotoら,J.Organomet.Chem.1985,282,191;Hahnら,Organometallics,1994,13,3002;F.Hahnら,Organometallics,1992,11,84)。
【化9】
【0051】
加えて、金属塩をイソニトリル配位子と反応させて、イソニトリル金属ハライドを形成し、引き続いて、ハライド配位子を他の単座又は多座配位子と交換させることも可能である。
【化10】
【0052】
ここで、イソニトリル配位子及び配位子Lの双方は、単座配位子であってもよく、多座配位子であってもよい。
【0053】
好ましい化学式(1)の化合物の例は、下記(1)乃至(98)の構造である。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0054】
上記化学式(1)の錯体及び上述した好ましい態様は、電子デバイスにおける活性成分として使用される。活性成分は、一般的に、アノードとカソードとの間に導入されている有機又は無機材料であり、例えば、電荷注入、電荷輸送又は電荷遮断材料であるが、特には、発光材料及びマトリクス材料である。本発明に係る化合物は、これらの機能について、特には、有機エレクトルミネッセントデバイスにおける発光材料として、特に優れた性能を示す。それゆえ、有機エレクトロルミネッセントデバイスは、本発明の好ましい態様である。
【0055】
有機エレクトロルミネッセントデバイスは、カソードと、アノードと、少なくとも1つの発光層とを備えている。これらの層とは別に、それは、各場合において、1つ又は複数の、ホール注入層、ホール輸送層、ホール遮断層、電子輸送層、電子注入層、エキシトン遮断層、電荷発生層、及び/又は、有機若しくは無機p/n接合などの更なる層を含んでいてもよい。例えばエキシトン遮断機能及び/又はエレクトロルミネッセントデバイスにおける電荷バランスの制御を有している中間層もまた、同様に、2つの発光層の間に導入されていてもよい。しかしながら、これら層の各々が必ず存在しなければならないわけではないことは、指摘されるべきである。有機エレクトロルミネッセントデバイスは、1つの発光層を備えていてもよく、2つ以上の発光層を備えていてもよい。2つ以上の発光層が存在している場合には、これらは、380nmから750nmの間に合計で2つ以上の発光最大値を有し、全体で白色発光すること、即ち、種々の蛍光又は燐光性の発光性化合物が発光層に使用されていることが好ましい。特に好ましくは、各々が青色、緑色、及びオレンジ色又は赤色の発光を示す3層系(基本的な構造については、例えば、WO05/011013参照)、又は、4つ以上の発光層を有する系である。
【0056】
本発明の好ましい態様では、有機電子デバイスは、1つ又は複数の発光層における発光性化合物として、化学式(1)の化合物、又は、上述した好ましい態様を備えている。
【0057】
化学式(1)の化合物が発光層における発光性化合物として採用される場合、1つ又は複数のマトリクス材料との組み合わせで用いられることが好ましい。化学式(1)の化合物とマトリクス材料との混合物は、発光体及びマトリクス材料を備えた混合物の全量を基準として、1乃至99体積%の範囲内、好ましくは2乃至90体積%の範囲内、特に好ましくは3乃至40体積%の範囲内、特には5乃至15体積%の範囲内の化学式(1)の化合物を備えている。これに対応して、その混合物は、発光体及びマトリクス材料を備えた混合物の全量を基準として、99乃至1体積%の範囲内、好ましくは98乃至10体積%の範囲内、特に好ましくは97乃至60体積%の範囲内、特には95乃至85体積%の範囲内のマトリクス材料を備えている。
【0058】
好ましいマトリクス材料は、CBP(N,N−ビスカルバゾイルビフェニル)、カルバゾール誘導体(例えば、WO05/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、又はWO08/086851に従う)、アザカルバゾール(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160に従う)、ケトン(例えば、WO04/093207、又は、未公開出願DE102008033943.1に従う)、ホスフィンオキシド、スルホキシド及びスルホン(例えば、WO05/003253に従う)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(例えば、US2005/0069729に従う)、双極性マトリクス材料(例えば、WO07/137725に従う)、シラン(例えば、WO05/111172に従う)、9,9−ジアリールフルオレン誘導体(例えば、未公開出願DE102008017591.9に従う)、アザボロール、ボロン酸エステル(例えば、WO06/117052に従う)、インドロカルバゾール(WO07/063754、WO08/056746)、トリアジン誘導体(WO07/063754又は未公開出願DE102008036982.9)、亜鉛錯体(EP652273又は未公開出願DE102007053771.0)である。
【0059】
更には、1つ又は複数の層が昇華プロセスによって適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセントデバイスも好ましい。この場合、材料は、真空昇華ユニットにおける真空堆積によって、10−5mbar未満の初期圧力で、好ましくは10−6mbar未満の初期圧力で適用される。
【0060】
同様に、1つ又は複数の層が、OVPD(有機気相蒸着)プロセスによって、又は、キャリアガス昇華を用いて適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセントデバイスも好ましい。この場合、材料は、10−5bar乃至1barの範囲内の圧力で適用される。このプロセスの特別なケースは、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、このプロセスでは、材料がノズルを通じて直接に適用され、このようにして構造化される(例えば、M.S.Arnoldら、Appl.Phys.Lett.2008,92,053301)。
【0061】
更には、1つ又は複数の層が溶液から製造されていること、例えば、スピンコーティングによって、又は、スクリーン印刷、フレキソグラフィック印刷若しくはオフセット印刷などの、特に好ましくはLITI(光誘起サーマルイメージング)若しくはインクジェット印刷などの任意の所望の印刷プロセスによって製造されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセントデバイスも好ましい。例えば適切な置換反応により得られる可溶性の化合物が、この目的のためには必要である。
【0062】
有機エレクトロルミネッセントデバイスは、1つ又は複数の層を溶液から塗布することと、1つ又は複数の他の層を気相堆積させることとにより、ハイブリッド系として製造されてもよい。化学式(1)の化合物は、一般的に有機溶剤に高い溶解度を有しているため、これら化合物は、溶液から良好にプロセスされることができる。それゆえ、例えば、化学式(1)の化合物とマトリクス材料とを含んだ発光層を溶液から塗布すると共に、ホール遮断層及び/又は電子輸送層を上に真空気相堆積により形成することができる。
【0063】
これらプロセスは、当業者に一般的に知られており、化学式(1)の化合物を含んだ有機エレクトロルミネッセントデバイス又は上述した好ましい態様に対して、問題なく適用することができる。
【0064】
上記化学式(27)及び/又は(28)を含んだ金属錯体は新規であり、それゆえ、同様に本発明の対象となる。
【0065】
本発明は、それゆえ、更に、化学式(1’)の金属錯体に関する。
【化22】
【0066】
ここで、使用されている記号及び添字は、上述したのと同様の意味を有しており、イソニトリル配位子の少なくとも1つは、化学式(27)及び(28)から選択され、これらの各々は、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい:
【化23】
【0067】
金属及び他の存在する配位子の選択については、化学式(1’)の錯体についても、先に記載したのと同様のものが好ましい。
【0068】
溶液からの塗布のためには、化学式(1’)の溶液が必要である。本発明は、それゆえ、更に、化学式(1’)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの有機溶剤とを備えた溶液に関する。有機溶剤は、好ましくは、芳香族有機溶剤のクラスから選択され、例えば、ジメチルアニソールである。
【0069】
本発明は、更に、上述した化学式(27)及び(28)の配位子に関し、これらの各々は、1つ又は複数のラジカルRによって置換されていてもよい。
【0070】
本発明に係る電子デバイス、特には有機エレクトロルミネッセントデバイスは、以下の驚くべき利点により、先行技術に対して際立っている:
1.化学式(1)の化合物を発光性材料として備えた有機エレクトロルミネッセントデバイスは、素晴らしい寿命を有している。
【0071】
2.化学式(1)の化合物を発光性材料として備えた有機エレクトロルミネッセントデバイスは、素晴らしい効率を有している。
【0072】
3.化学式(1)の多くの化合物の室温における発光寿命は、100ns未満の領域にあり、有機エレクトロルミネッセントデバイスにおける従来技術にしたがって採用されるイリジウム錯体又は白金錯体の発光寿命より1オーダーを超えるほど短い。化学式(1)の化合物は、それゆえ、パッシブマトリクス駆動を有した有機エレクトロルミネッセントデバイスでの使用にも、特に適している。
【0073】
本発明は、以下の例によって更に詳細に説明されるが、これによって本発明を制限する趣旨ではない。当業者であれば、本記載に基づいて、本発明に係る更なる電子デバイスを、進歩性なしに製造することができるであろう。
【0074】
例:
例1〜9:金属錯体の合成
以下の合成は、他に示されていない限り、乾燥させた溶媒中、保護ガス雰囲気下で実行された。溶媒及び試薬は、ALDRICH又はABCRから購入することができる。
【0075】
ヘキサキス(フェニルイソニトリル)モリブデン(0)(例1)、ヘキサキス(フェニルイソニトリル)タングステン(0)(例2)、及びヘキサキス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルイソニトリル)タングステン(0)(例3)は、Albersら,J.Chem.Edu.1986,63(5),444,Covilleら,Inorg.Chim.Acta 1982,65,L7−L8、又は、Yamamotoら,J.Organomet.Chem.1985,282,191の方法により調製することができる。これら化合物は、トルエン/エタノール(1:2〜1:1)から、繰り返し再結晶された。このようにして達成された純度は、典型的には、H−NMRに基づいて、>99.8%である。
【0076】
例4:トリスフェニルイソニトリル[cis,cis−1,3,5−シクロヘキサントリイルトリス[ジフェニルホスフィン]−P,P’,P’’]モリブデン(0)
【化24】
【0077】
3.6g(35mmol)のフェニルイソニトリルと、50mgの酸化パラジウム(II)とが、100mLのトルエンに8.2g[10mmol]のトリカルボニルイソニトリル[cis,cis−1,3,5−シクロヘキサントリイルトリス[ジフェニルホスフィン]−P,P’,P’’]モリブデン(0)[156999−20−1]を加えた懸濁液に添加され、次いで、混合物が、還流下60時間に亘って攪拌された。冷却後、酸化パラジウム(II)がシリカゲルを通して濾別され、得られた赤い溶液が真空下約10mlまで濃縮され、その後、50mlのエタノールが添加された。混合物が12時間に亘って攪拌された後、固体が吸引濾過され、トルエン/エタノールから、2回再結晶された。収率:4.3g(4.1mmol)、41.3%;H−NMRによる純度:約99.7%。
【0078】
下記表に示されている錯体が、対応する前駆体から、例4と同様の方法によって調製された。
【表1】
【0079】
例8:
【化25】
【0080】
1,3,5−トリス(1−イソシアノフェン−2−イル)ベンゼンが、1,3,5−トリス(1−アミノフェン−2−イル)ベンゼン[923027−14−9]から、F.E.Hahnら、J.Organomet.Chem.467,130,1994の方法によって調製された。
【0081】
8.0g(21mmol)の1,3,5−トリス(1−アミノフェン−2−イル)ベンゼンと、50mgの酸化パラジウム(II)とが、100mLのトルエンに2.6g(10mmol)のモリブデンヘキサカルボニルを加えた溶液に添加され、次いで、混合物が、還流下60時間に亘って攪拌された。冷却後、酸化パラジウム(II)がシリカゲルを通して濾別され、得られた赤い溶液が真空下約10mlまで濃縮され、その後、50mlのエタノールが添加された。混合物が12時間に亘って攪拌された後、固体が吸引濾過され、酸化アルミニウム、中性、活性グレード4で、ジクロロメタン−ジエチルエーテル1:5でクロマトグラフされた。収率:6.1g(7.1mmol)、71.0%;H−NMRによる純度:約99.9%。
【0082】
例9:
【化26】
【0083】
4.2g(11mmol)の1,3,5−トリス(1−イソシアノフェン−2−イル)ベンゼンが、100mlのトルエンに3.6g(10mmol)のシクロヘプタトリエニルタングステントリカルボニルを加えた溶液に添加され、次いで、混合物が、還流下5時間に亘って攪拌された。冷却後、混合物が真空下約10mlまで濃縮され、その後、50mlのヘプタンが添加され、沈殿した固体が吸引濾過され、50mlのヘプタンで3回洗浄され、クロロベンゼンから2回再結晶された。収率:4.8g(7.4mmol)、73.9%;H−NMRによる純度:約99.9%。
【0084】
例10:錯体の発光寿命
イソニトリル錯体は、室温において、以下の発光寿命を有している(K.Mannら,J.Am.Chem.Soc.1977,99(1),306の方法による)。
【0085】
ヘキサキス(フェニルイソニトリル)モリブデン(0)(例1)=43ns;
ヘキサキス(フェニルイソニトリル)タングステン(0)(例2)=83ns。
【0086】
このことから、イソニトリル配位子を有した化学式(1)の金属錯体が、従来技術におけるOLEDsで通常使用されているイリジウム又は白金錯体と比較して、際立って短い発光寿命を有していることは明らかである。これら錯体は、それゆえ、マッシブマトリクス駆動を有した有機エレクトロルミネッセントデバイスでの使用にも、特に適している。
【0087】
例11:有機エレクトロルミネッセントデバイスの製造及び評価
LEDsは、以下に概略を示す一般的なプロセスで製造された。これは、当然ながら、個別のケースを特別の状況に適応させる必要がある(例えば、最適な効率又は色を達成するための膜厚の変化)。
【0088】
OLEDsの生産のための一般的なプロセス
このタイプの成分は、文献で既に多数回記載されている高分子発光ダイオード(例えば、WO2004/037887A2)の製造に従って製造される。今回のケースでは、本発明に係る化合物は、トルエン又はクロロベンゼンに、上述したマトリクス材料又はマトリクス材料の組み合わせと共に溶解される。このような溶液の典型的な固形分量は、スピンコーティングによって達成されるデバイスに典型的な層の厚みが、ここでそうであるように80nmであれば、10乃至25g/lである。
【0089】
以下の化合物が、マトリクス材料として使用される。
【化27】
【0090】
以下の構成を有したOLEDsが、上述した一般的なプロセスと類似の方法により製造された:
PEDOT:20nm(水からスピンコートされた;PEDOTはBAYER AGより購入;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン])
マトリクス+発光体:80nm、5質量%の発光体濃度(トルエン又はクロロベンゼンからスピンコート)
Ba/Ag:10nmのBa/150nmのAg、カソードとして。
【0091】
構造化されたITO基材、及び、いわゆるバッファ層のための材料(PEDOT、実際にはPEDOT:PSS)は、市販されている(ITOは、Technoprint他から、PEDOT:PSSは、H.C.StarckからClevios Baytron Pの水性分散剤として)。発光層は、不活性ガス雰囲気、本ケースではアルゴン雰囲気下で、スピンコートされ、120℃で10分間に亘って加熱することにより乾燥される。最終的に、バリウムとアルミニウムとを備えたカソードが、真空気相堆積により適用される。溶液プロセスのデバイスは、標準的な方法により評価され、上記OLEDの例は、最適化されていない。
【0092】
効率、500cd/mでの電圧、及び色が、下記表に示されている。
【表2】