(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部屋のコーナー部を介して隣接する二つの内壁面のそれぞれに窓が設けられ、双方の窓の前にカーテンを吊るす場合があり、隣接する二つの内壁面の前方には、カーテンが常にある状態となっている。隣接する二つの内壁面の双方が視界に入る際は、双方のカーテンも視界に入ることになり、たとえタッセルでカーテンを束ねていたとしても、見る者に、すっきりしない印象を与えてしまう場合がある。このため、二つの内壁面に吊るされたカーテンを、一方の内壁面側にまとめられるようにしたいという要望があった。
【0005】
そこで、特許文献2に記載のような取付金具や幕板等を利用して、隣接する二つの内壁面にわたって設けられるカーテンボックスを形成することが考えられる。ところが、これら取付金具および幕板は、部屋の内壁面から突出して設けられているため、これら取付金具と幕板からなるカーテンボックスの部分だけが内壁面および天井から浮いた存在となり、部屋との一体感が生じにくい場合がある。
このような問題を解決するために、特許文献1に記載のような埋め込み式のカーテンボックスを、隣接する二つの内壁面にわたって設けることが考えられる。しかし、埋め込み式のカーテンボックスを、隣接する二つの内壁面にわたって設けるとなると、例えば、天井の板状の仕上げ材にカーテンボックスを埋め込むための開口を形成したり、カーテンボックスや天井の仕上げ材を取り付けるためにカーテンボックス周囲の構造が複雑化したりする場合がある。そして、このように周囲の構造が複雑化すれば、施工性が低下する場合もあるため、カーテンボックスを、もっと容易に設けることが可能な技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、複数の内壁面の前方に吊るされたカーテンを一方の内壁面側にまとめることを可能とし、かつ、部屋との一体感を生じさせることができるとともに、従来に比して施工性の向上を図ることができるカーテンボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図6に示すように、部屋1のコーナー部2を介して隣接する複数の内壁面3,3にわたって設けられるカーテンボックス10において、
前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と、
前記部屋1の天井4に垂設され、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11のそれぞれと対向し、かつ前記複数の内壁面3,3にわたって連続するようにして配置される複数の垂壁12,12と、
前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と前記複数の垂壁12,12との間に位置するとともに、前記天井4によって構成されるボックス天井部13と、
前記ボックス天井部13の全長にわたって取り付けられるとともに、カーテン15,15が吊るされるカーテンレール14と、を備え
ており、
前記部屋1の上部には、上階まで吹き抜ける吹抜け部20が、前記複数の垂壁12,12のうち少なくとも一つの垂壁12の上方に位置するようにして設けられており、
前記少なくとも一つの垂壁12と、前記吹抜け部20を形成する壁21…のうち少なくとも一つの壁21とが一体的に形成されており、これら、少なくとも一つの垂壁12の部屋中央側面と、吹抜け部20を形成する壁21…のうち少なくとも一つの壁21の表面とが面一となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と前記複数の垂壁12,12との間に位置する前記ボックス天井部13の全長にわたって、前記カーテンレール14が取り付けられているので、前記複数の内壁面3,3の前方に吊るされるカーテン15,15を、前記カーテンレール14に沿って移動させるだけで、前記複数の内壁面3,3のうち一方の内壁面3側にまとめることができ、前記複数の内壁面3,3を見る者に、すっきりとした印象を与えることができる。
また、前記複数の垂壁12,12は前記天井4に垂設されているので、カーテンボックス10を、前記複数の内壁面3,3と前記天井4との取り合い部分に位置するように設けることができる。これによって、カーテンボックス10が、前記複数の内壁面3,3や天井4から浮いた存在とはならないので、カーテンボックス10と前記部屋1との間に一体感を生じさせることができる。
さらに、前記複数の垂壁12,12を前記天井4に垂設し、前記ボックス天井部13に前記カーテンレール14を取り付けるだけでカーテンボックス10を容易に形成できるので、従来に比して施工性の向上を図ることができる。
加えて、前記少なくとも一つの垂壁12と、前記吹抜け部20を形成する壁21…のうち少なくとも一つの壁21とが一体的に、かつ表面が面一となっているので、これら少なくとも一つの垂壁12と、少なくとも一つの壁21との連続性を高めることができ、カーテンボックス10と、前記吹抜け部20と、前記部屋1との一体感を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1,
図3に示すように、請求項1に記載のカーテンボックス10において、
前記連続する複数の垂壁12,12の両端部は、これら連続する複数の垂壁12,12のうちの両端側に配置された垂壁12,12のそれぞれが直交する壁面3(5)に対して固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記連続する複数の垂壁12,12の両端部が、これら連続する複数の垂壁12,12のうちの両端側に配置された垂壁12,12のそれぞれが直交する壁面3(5)に対して固定されているので、カーテンボックス10を、一方の壁面3(5)から他方の壁面3(5)まで連続性を持ったものとして形成することができる。これによって、カーテンボックス10が、前記複数の内壁面3,3や天井4から浮いた存在とはならず、前記部屋1との間に生じる一体感を高めることができる。
また、前記一方の壁面3(5)と他方の壁面3(5)によってカーテンボックス10の両端部を閉塞できるので、このカーテンボックス10の端部からカーテンレール14が見えることを防ぐことができ、外観性を向上できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば
図4に示すように、請求項1または2に記載のカーテンボックス10において、
前記連続する複数の垂壁12,12の一端部の下方には、前記内壁面3と対向して配置される遮蔽壁16が、前記連続する複数の垂壁12,12の一端部と一体的に、かつ部屋中央側面が面一となるように設けられており、
前記遮蔽壁16と、この遮蔽壁16と対向する内壁面3との間は、カーテン15,15が収納される収納部17とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記遮蔽壁16と、この遮蔽壁16と対向する内壁面3との間が前記収納部17とされているので、前記カーテン15,15を、前記複数の内壁面3,3のうちの一方の内壁面3側にまとめた際に、このカーテン15,15を、前記収納部17に収納しておくことができる。これによって、前記カーテン15,15をまとめた前記一方の内壁面3側も、見る者に、すっきりとした印象を与えることができる。
また、前記遮蔽壁16は、前記連続する複数の垂壁12,12の一端部と一体的に、かつ部屋中央側面が面一となるように設けられているので、これら遮蔽壁16と前記垂壁12との連続性を高めることができ、カーテンボックス10と、前記収納部17と、前記部屋1との一体感を高めることができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、例えば
図6に示すように、請求項1〜
3のいずれか一項に記載のカーテンボックス10において、
前記垂壁12の内壁面3側面には照明装置18が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項
4に記載の発明によれば、前記垂壁12の内壁面3側面には照明装置18が設けられているので、この照明装置18を間接照明として利用できる。すなわち、前記垂壁12を、カーテンボックス10を形成する構成部材としてだけでなく、前記照明装置18の設置場所としても利用できるので、機能性に優れる。
また、前記照明装置18は、前記垂壁12の内壁面3側面に設けられているので、前記部屋1の中央側から照明装置18が見えにくくなり、外観性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の内壁面の上端部と複数の垂壁との間に位置するボックス天井部の全長にわたって、カーテンレールが取り付けられているので、複数の内壁面の前方に吊るされるカーテンを、カーテンレールに沿って移動させるだけで、複数の内壁面のうち一方の内壁面側にまとめることができ、複数の内壁面を見る者に、すっきりとした印象を与えることができる。
また、複数の垂壁は天井に垂設されているので、カーテンボックスを、複数の内壁
面と天井との取り合い部分に位置するように設けることができる。これによって、カーテンボックスが、複数の内壁面や天井から浮いた存在とはならないので、カーテンボックスと部屋との間に一体感を生じさせることができる。
さらに、複数の垂壁を天井に垂設し、ボックス天井部にカーテンレールを取り付けるだけでカーテンボックスを容易に形成できるので、従来に比して施工性の向上を図ることができる。
加えて、少なくとも一つの垂壁と、吹抜け部を形成する壁のうち少なくとも一つの壁とが一体的に、かつ表面が面一となっているので、これら少なくとも一つの垂壁と、少なくとも一つの壁との連続性を高めることができ、カーテンボックスと、前記吹抜け部と、前記部屋との一体感を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、部屋を示す。本実施の形態の部屋1は、リビングルームとしての機能と、例えばダイニングルームやキッチン等のように、その他の機能を有する部屋とを一室に併存させた状態となっている。また、
図1においては、特に前記リビングルームが設けられた領域が示されている。また、前記部屋1の外部には、バルコニー1aが設けられている。
なお、本実施の形態においては、前記部屋1を、リビングルームとしての機能と、その他の機能を有する部屋とを一室に併存させたものとしたが、これに限られるものではなく、リビングルームとしての機能のみを有する部屋としてもよい。また、前記部屋1はリビングルームとしての機能を有するが、これに限られず、例えば寝室や子供部屋等の機能を有するものでもよく、適宜変更可能である。
【0020】
また、前記部屋1は、住宅等の建物の下階に設けられており、この部屋1が設けられた階の上方には、建物の上階が設けられている。なお、図示はしないが、前記部屋1が設けられた階よりも、さらに下方に階が設けられており、本実施の形態の建物は三階建てとなっている。前記部屋1が設けられた下階は、建物の二階である。
また、
図5に示すように、前記部屋1の上部には、前記上階まで吹き抜ける吹抜け部20が設けられている。さらに、前記部屋1には、この吹抜け部20を利用して螺旋階段22が設けられており、これら吹抜け部20および螺旋階段22によって、建物の下階と上階とが接続されている。
なお、前記吹抜け部20は、
図1に示すように、建物の下階から上階まで至る複数の壁21…で囲まれることによって形成されている。また、前記吹抜け部20は、本実施の形態においては平面視四角形状に形成されている。
【0021】
さらに、前記部屋1は、
図1に示すように、平面視において矩形状に形成されており、複数のコーナー部2,2を介して複数の内壁面3,3,3が隣接された状態となっている。なお、コーナー部2は入隅状に形成されている。
【0022】
また、前記複数の内壁面3,3,3のうち、少なくとも二つの内壁面3,3には、それぞれ窓7,8が設けられている。
前記窓7は、
図1および
図2(a)に示すように、前記内壁面3の中程から上、ほぼ腰の高さから上にある腰窓であり、前記窓8は、
図1および
図5に示すように、外部に人が出入りできる掃き出し窓である。なお、前記窓8は、前記バルコニー1aに面している。
なお、本実施の形態においては、前記窓7が設けられた内壁面3を一方の内壁面3と称し、前記窓8が設けられた内壁面3を他方の内壁面3と称する。
また、前記一方の内壁面3に対して、コーナー部2を介して隣接するとともに、前記他方の内壁面3と対向する内壁面3には、前記部屋1と他の部屋とを行き来するための出入口9が設けられている。
【0023】
また、前記部屋1の天井4は、
図2(a),(b)に示すように、天井4の仕上げ材を野縁4aに取り付け、この野縁4aを、建物の構造材に取り付けられた吊木4bで吊り支えることによって形成されている。
なお、本実施の形態においては、天井4の仕上げ材の下面に、前記複数の内壁面3,3を形成する壁面材の上端部が当接した状態となっている。
【0024】
また、前記部屋1には、
図1および
図3に示すように、前記他方の内壁面3から部屋1の中央側に突出する袖壁5が設けられている。この袖壁5は、前記部屋1の床から前記天井4までの高さに設定されている。
なお、前記部屋1および前記他方の内壁面3は、前記袖壁5によって大まかに区切られており、この袖壁5を境にして前記一方の内壁面3側が前記リビングルームの領域となっている。
また、前記袖壁5は、前記他方の内壁面3に対して交差するようにして設けられているため、これら袖壁5と他方の内壁面3との間には、入隅状に形成されたコーナー部2aが設けられることになる。つまり、前記袖壁5の側面と前記他方の内壁面3とは、前記コーナー部2aを介して隣接した状態となっている。
【0025】
前記袖壁5は、上下に長尺な複数の縦芯材5a,5aと、複数の横芯材5b,5bとを縦横に組み立てることによって形成された矩形枠と、この矩形枠の両側面および袖壁突端面に取り付けられる石膏ボード等の複数の側板5c,5c,5cとを備える。
前記複数の縦芯材5a,5aのうち一方は、前記他方の内壁面3に固定され、他方は、前記袖壁5の突端に配置されている。なお、これら複数の縦芯材5a,5aは互いに平行に配置されている。また、前記複数の横芯材5b,5bは、前記複数の縦芯材5a,5a間に架設されている。
なお、前記複数の側板5c,5c,5cの表面には壁紙等の表面化粧材(図示せず)が設けられているものとする。
【0026】
また、前記袖壁5の突端側には、
図1および
図5に示すように、前記螺旋階段22の脇に配置される手摺壁6が、前記袖壁5から更に突出するようにして一体的に形成されている。この手摺壁6は、いわゆる腰壁程度の高さに設定されている。
【0027】
そして、前記部屋1には、前記コーナー部2を介して隣接する複数の内壁面3,3にわたって、カーテンボックス10が設けられている。
前記カーテンボックス10は、
図1〜
図6に示すように、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と、複数の垂壁12,12と、ボックス天井部13と、カーテンレール14と、を備える。
【0028】
前記複数の内壁面3,3の上端部11,11は、前記複数の内壁面3,3の上端部のうち、特に、前記複数の垂壁12,12に対向する部位を指している。
また、上述のように、前記複数の内壁面3,3には窓7,8が形成されるため、これら窓7,8の上端部が、前記複数の垂壁12,12に対向する場合は、これら窓7,8の上端部も、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11として含む場合もある。
なお、本実施の形態においては、前記窓7の上端部は、
図2(a)に示すように、前記一方の内壁面3の上端部11には含まれておらず、前記窓8の上端部は、
図5に示すように、前記他方の内壁面3の上端部11に含まれている。すなわち、
図5においては、前記窓8の上窓枠が見えない状態となっている。
【0029】
前記複数の垂壁12,12は、
図2および
図6に示すように、前記天井4に垂設されている。
また、これら複数の垂壁12,12は、
図1および
図2に示すように、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11のそれぞれと対向している。すなわち、前記複数の垂壁12,12のうちの一方は、前記一方の内壁面3の上端部11に対向するとともに、他方は、前記他方の内壁面3の上端部11に対向している。
【0030】
また、前記複数の垂壁12,12は、前記複数の内壁面3,3にわたって連続するようにして配置されている。
すなわち、前記一方の垂壁12は、前記一方の内壁面3の幅方向に沿って長尺に形成されるとともに、前記他方の垂壁12は、前記他方の内壁面3の幅方向に沿って長尺に形成されている。
さらに、前記連続する複数の垂壁12,12の両端部は、これら連続する複数の垂壁12,12のうちの両端側に配置された垂壁12,12のそれぞれが直交する壁面3,5に対して固定されている。つまり、前記連続する複数の垂壁12,12のうち、前記一方の垂壁12の一端部は、前記出入口9が形成された内壁面3に対して固定されており、前記他方の垂壁12の一端部は、前記袖壁5の側面に対して固定されている。
さらに、前記一方の垂壁12の他端部と前記他方の垂壁12の他端部とは、前記一方の内壁面3と前記他方の内壁面3との間に形成された部屋1のコーナー部2付近で交差するようにして接続されている。
【0031】
なお、本実施の形態において、前記複数の垂壁12,12は、窓(前記窓7,8)が設けられた内壁面3が二面であるため、これに合わせて二つ用いられており、平面視において略L字状に連続している。窓が設けられる内壁面3が三面以上である場合には、これに対応した数の垂壁12が、例えば平面視略コ字状に連続するように組み合わせられるなどして用いられる。
また、前記部屋1の前記コーナー部2は、入隅状に形成されたものとしているが、これに限られるものではなく、出隅状に形成されていてもよい。また、平面視において円弧状に形成されていてもよいものとする。したがって、前記複数の垂壁12,12も、本実施の形態のように入隅状のコーナー部2に対応するように連続させたり、図示はしないが、出隅状のコーナー部に対応するように連続させたり、平面視円弧状に形成された補助の垂壁を使用したりしてもよい。
【0032】
そして、前記連続する複数の垂壁12,12の両端部のそれぞれが、前記出入口9が形成された内壁面3と、前記袖壁5の側面とに対して固定されているので、前記カーテンボックス10を、前記出入口9が形成された内壁面3から、前記袖壁5の側面まで連続性を持ったものとして形成することができる。これによって、前記カーテンボックス10が、前記複数の内壁面3,3や天井4から浮いた存在とはならず、前記部屋1との間に生じる一体感を高めることができる。
また、前記出入口9が形成された内壁面3と、前記袖壁5の側面とによって前記カーテンボックス10の両端部を閉塞できるので、このカーテンボックス10の端部からボックス内部のカーテンレール14が見えることを防ぐことができ、外観性を向上できる。
【0033】
前記垂壁12は、
図2,
図3,
図6に示すように、複数の縦芯材12a…と、前記内壁面3の幅方向に沿って長尺な複数の横芯材12b…とを縦横に組み立てることによって形成された矩形枠と、この矩形枠の両側面に取り付けられる合板等の複数の側板12c…と、前記矩形枠の底面に取り付けられる複数の底板12d…とを備える。
前記連続する複数の垂壁12,12のうち、前記一方の垂壁12の一端部に位置する縦芯材12aは、前記出入口9が形成された内壁面3に対して固定されており、前記他方の垂壁12の一端部に位置する縦芯材12aは、前記袖壁5の側面に対して固定されている。また、前記コーナー部2付近で交差する前記一方の垂壁12の他端部と前記他方の垂壁12の他端部に位置する縦芯材12a,12a同士は、
図1に示すように、互いに固定されている。なお、これら複数の縦芯材12a…は互いに平行に配置されている。
また、前記複数の横芯材12b…は、前記天井4に対して固定されている。なお、これら複数の横芯材12b…は互いに平行に配置されるとともに、前記複数の縦芯材12a…間に架設されている。
なお、前記複数の側板12c…および前記複数の底板12d…の表面には壁紙等の表面化粧材(図示せず)が設けられているものとする。
【0034】
また、
図1および
図5に示すように、前記複数の垂壁12,12のうち、前記他方の垂壁12の上方に位置するようにして、前記吹抜け部20が設けられている。
そして、前記他方の垂壁12と、前記吹抜け部20を形成する壁21…のうち少なくとも一つの壁21とが一体的に形成されており、これら他方の垂壁12の部屋中央側面と、吹抜け部20を形成する壁21の表面とが面一となっている。すなわち、前記他方の垂壁12と前記壁21とが上下方向に隣接して配置されている。
これによって、前記他方の垂壁12と、前記壁21との連続性を高めることができるので、前記カーテンボックス10と、前記吹抜け部20と、前記部屋1との一体感を高めることができる。
なお、前記吹抜け部20は、本実施の形態では前記他方の垂壁12の上方に位置するものとしたが、これに限られるものではなく、前記一方の垂壁12の上方に位置する場合も、前記コーナー部2付近において前記一方の垂壁12と前記他方の垂壁12の双方の上方に位置する場合もある。
【0035】
また、前記他方の垂壁12と前記壁21との二つだけではなく、
図3に示すように、前記袖壁5の突端面も、これら他方の垂壁12の部屋中央側面と壁21の表面と面一となっている。なお、前記袖壁5の突端面の下部には前記手摺壁6が設けられているため、ここでは、前記袖壁5の突端面の上部が、前記他方の垂壁12の部屋中央側面および前記壁21の表面と面一となっているものとする。
また、前記他方の垂壁12と、前記壁21と、前記袖壁5の突端面との間には、継目が見えないように表面化粧がなされており、前記部屋1の中央から前記他方の垂壁12と前記壁21と前記袖壁5とを見た際に、恰も一つの壁が連続して設けられているかのような印象を与えている。
【0036】
前記ボックス天井部13は、
図1,
図2,
図6に示すように、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と前記複数の垂壁12,12との間に位置するとともに、前記天井4によって構成されている。
すなわち、このボックス天井部13は、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と前記複数の垂壁12,12の延在方向に沿って形成されており、本実施の形態においては平面視略L字状に形成されることになる。さらに、このボックス天井部13は、前記複数の垂壁12,12によって前記天井4の表面を区切ることによって形成されている。
【0037】
前記カーテンレール14は、
図1および
図2に示すように、前記ボックス天井部13の全長にわたって取り付けられるとともに、カーテン15,15が吊るされている。本実施の形態のカーテンレール14は、平面視において略L字状となるように形成されている。
また、前記カーテンレール14は、前記カーテン15,15を吊るすとともに、このカーテンレール14に沿って走行可能なランナーを備える。
【0038】
なお、前記カーテンレール14のうち、前記一方の内壁面3と前記他方の内壁面3との間に形成された部屋1のコーナー部2に位置する部位は、平面視において円弧状に形成されている。これによって、前記ランナーを、前記カーテンレール14に沿って走行させやすくなる。
また、前記カーテン15,15は、
図2(a),(b)に示すように、前記窓7が設けられた前記一方の内壁面3の前方と、前記窓8が設けられた前記他方の内壁面3の前方にある状態となっている。
【0039】
以上のようにして前記カーテンボックス10が構成されている。
一方、前記連続する複数の垂壁12,12の一端部の下方には、
図4(a),(b)に示すように、前記内壁面3と対向して配置される遮蔽壁16が、前記連続する複数の垂壁12,12の一端部と一体的に、かつ部屋中央側面が面一となるように設けられている。すなわち、前記遮蔽壁16は、前記複数の内壁面3,3のうち前記一方の内壁面3に対向して配置されており、前記連続する複数の垂壁12,12のうち前記一方の垂壁12の一端部と上下方向に隣接して配置されている。また、前記遮蔽壁16は、前記部屋1の床から前記一方の垂壁12の下面までの高さに設定されている。
そして、前記遮蔽壁16と、この遮蔽壁16と対向する内壁面3との間は、前記カーテン15,15が収納される収納部17とされている。この収納部17は、前記部屋1の床から前記天井4までの高さに設定されている。
【0040】
前記遮蔽壁16は、上下に長尺な複数の縦芯材16a,16aと、複数の横芯材16b,16bとを縦横に組み立てることによって形成された矩形枠と、この矩形枠の部屋中央側面と内壁面側面と幅方向側端面に取り付けられる合板等の複数の側板16c,16c,16cとを備える。
前記複数の縦芯材16a,16aのうち一方は、前記出入口9が形成された内壁面3に固定されている。なお、前記複数の縦芯材16a,16aは互いに平行に配置されている。また、前記複数の横芯材16b,16bは、前記複数の縦芯材16a,16a間に架設されている。
なお、前記複数の側板16c,16c,16cの表面には壁紙等の表面化粧材(図示せず)が設けられているものとする。
【0041】
そして、このように前記遮蔽壁16と、この遮蔽壁16と対向する前記一方の内壁面3との間が前記収納部17とされているので、前記カーテン15,15を、前記複数の内壁面3,3のうちの一方の内壁面3側にまとめた際に、このカーテン15,15を、前記収納部17に収納しておくことができる。これによって、前記カーテン15,15をまとめた前記一方の内壁面3側も、見る者に、すっきりとした印象を与えることができる。
また、前記遮蔽壁16は、前記一方の垂壁12の一端部と一体的に、かつ部屋中央側面が面一となるように設けられているので、これら遮蔽壁16と前記一方の垂壁12との連続性を高めることができ、前記カーテンボックス10と、前記収納部17と、前記部屋1との一体感を高めることができる。
【0042】
なお、前記垂壁12の内壁面3側面には、
図6に示すように、照明装置18を設けるようにしてもよい。前記照明装置18を取り付ける際は、前記複数の垂壁12,12のうち、いずれの垂壁12に取り付けてもよく、特に限定されるものではない。ただし、前記カーテンレール14やカーテン15,15に対して干渉しないように取り付けることが望ましい。
前記照明装置18は、この照明装置18を固定するための固定部18aを備えており、この固定部18aを、前記垂壁12の内壁面3側面に当接させつつ、前記天井4に対して固定することによって、前記垂壁12の内壁面3側面に設けられている。
なお、前記天井4の仕上げ材の上面には予め下地合板4cが設けられており、前記固定部18aは、ネジ18a等によって前記下地合板4cに固定されている。
【0043】
そして、このように前記垂壁12の内壁面3側面には照明装置18が設けられているので、この照明装置18を間接照明として利用できる。すなわち、前記垂壁12を、カーテンボックス10を形成する構成部材としてだけでなく、前記照明装置18の設置場所としても利用できるので、機能性に優れる。
また、前記照明装置18は、前記垂壁12の内壁面3側面に設けられているので、前記部屋1の中央側から照明装置18が見えにくくなり、外観性を向上できる。
【0044】
次に、前記カーテンボックス10の施工方法について説明する。
まず、前記部屋1を施工する。本実施の形態においては、前記袖壁5の施工も、前記カーテンボックス10の施工よりも先に行う。
そして、前記カーテンボックス10の施工を始める際は、まず、前記垂壁12を構成する前記複数の縦芯材12a…と前記複数の横芯材12b…とを縦横に組み立てることによって前記矩形枠を形成する。
なお、このような矩形枠を形成する作業は、予め工場等で行ってもよいものとする。
【0045】
続いて、前記矩形枠を、前記複数の垂壁12,12が固定される所定の位置に固定する。すなわち、前記一方の垂壁12の一端部に位置する縦芯材12aを、前記出入口9が形成された内壁面3に固定するとともに、前記他方の垂壁12の一端部に位置する前記袖壁5の側面に固定する。
また、上方に位置する横芯材12bを前記天井4に固定する。
さらに、前記一方の垂壁12の他端部に位置する縦芯材12aと、前記他方の垂壁12の他端部に位置する縦芯材12aとを接続する。
【0046】
その後、前記複数の側板12c…と前記複数の底板12d…とを、前記矩形枠に対してそれぞれ取り付けて、前記連続する複数の垂壁12,12を、前記部屋1の天井4に垂設する。
なお、前記ボックス天井部13は、前記複数の垂壁12,12を前記天井4に垂設した時点で形成される。
【0047】
続いて、前記カーテンレール14を、前記ボックス天井部13の全長にわたって取り付け、さらに、このカーテンレール14に前記カーテン15,15を吊るす。
以上のようにして前記カーテンボックス10を前記部屋1に設けることができる。このようなカーテンボックス10の施工方法によれば、前記複数の垂壁12,12を前記天井4に垂設し、前記ボックス天井部13にカーテンレール14を取り付けるだけで前記カーテンボックス10を容易に形成できることになる。
また、前記カーテンボックス10は、前記部屋1の施工後でも形成できることになる。すなわち、後付けが可能となり、例えば前記部屋1のリフォーム時にも、前記カーテンボックス10を取り付けることができる。
前記カーテンボックス10を形成した後は、前記遮蔽壁16や前記照明装置18を適宜設置して、前記カーテンボックス10の施工を完了させる。
【0048】
なお、上述のようなカーテンボックス10の施工方法において、各芯材12a,12bや側板12c、底板12d等の固定は、図示はしないが、例えばビス等の止着材や接着剤によって行われているものとする。
また、前記矩形枠に対して、予め工場等で、前記側板12cや底板12dを極力取り付けておき、現場での作業を低減させるようにしてもよい。
【0049】
本実施の形態によれば、前記複数の内壁面3,3の上端部11,11と前記複数の垂壁12,12との間に位置する前記ボックス天井部13の全長にわたって、前記カーテンレール14が取り付けられているので、前記複数の内壁面3,3の前方に吊るされるカーテン15,15を、前記カーテンレール14に沿って移動させるだけで、前記複数の内壁面3,3のうち一方の内壁面3側にまとめることができ、前記複数の内壁面3,3を見る者に、すっきりとした印象を与えることができる。
また、前記複数の垂壁12,12は前記天井4に垂設されているので、カーテンボックス10を、前記複数の内壁面3,3と前記天井4との取り合い部分に位置するように設けることができる。これによって、カーテンボックス10が、前記複数の内壁面3,3や天井4から浮いた存在とはならないので、カーテンボックス10と前記部屋1との間に一体感を生じさせることができる。
さらに、前記複数の垂壁12,12を前記天井4に垂設し、前記ボックス天井部13に前記カーテンレール14を取り付けるだけでカーテンボックス10を容易に形成できるので、従来に比して施工性の向上を図ることができる。