特許第5746071号(P5746071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746071情報再生装置および早送り/早戻し再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746071
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】情報再生装置および早送り/早戻し再生方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 27/10 20060101AFI20150618BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20150618BHJP
   G11B 27/00 20060101ALI20150618BHJP
   H04N 5/76 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   G11B27/10 A
   G11B20/10 321Z
   G11B27/00 D
   H04N5/76 A
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-40050(P2012-40050)
(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-175259(P2013-175259A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100095326
【弁理士】
【氏名又は名称】畑中 芳実
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信範
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−098460(JP,A)
【文献】 特開2007−323704(JP,A)
【文献】 特開平11−168695(JP,A)
【文献】 特開2001−309302(JP,A)
【文献】 特開2003−029794(JP,A)
【文献】 国際公開第01/011626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 27/10
G11B 20/10
G11B 27/00
H04N 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体の記憶領域に記録された再生対象情報を再生する情報再生装置であって、
前記記憶媒体は、前記記憶領域に前記再生対象情報が複数の分割領域ごとの分割情報として分割された状態で記録されるとともに、前記再生対象情報に前記分割情報の情報量および記録位置を含む付加情報が付加されたものであり、
情報再生装置本体は、
前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分の再生対象領域が有する情報の再生と前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分のスキップ対象領域が有する情報のスキップとを交互に繰り返すことによって、前記再生対象情報の早送りまたは早戻し再生を行う早送り/早戻し再生手段と、
この早送り/早戻し再生手段による前記早送り/早戻し再生の際に、前記付加情報に基づいて、現在再生中の情報を有する現在の前記再生対象領域の次に再生されるべき情報を有する次の前記再生対象領域を検索する検索手段と、
この検索手段による検索の際に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域が複数の分割領域に分割されているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域を構成する前記複数の分割領域の中から、前記付加情報に示される前記情報量が最大となる情報を有する前記分割領域を支配的な情報を有する分割領域決定する決定手段と、
前記判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記決定手段によって決定された前記支配的な情報を有する分割領域に限定した検索ならびに当該情報の再生を行うように前記検索手段ならびに前記再生手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中に、前記情報量が最大となる情報を有する分割領域が複数存在する場合には、当該複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記現在の再生対象領域からの前記記憶領域上における距離が最短の前記分割領域を、前記支配的な情報を有する分割領域と決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記距離が最短の分割領域からの前記記憶領域上における距離が閾値以内の他の分割領域についても、前記距離が最短の分割領域とともに前記支配的な情報を有する分割領域と決定すること
を特徴とする請求項2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記検索手段ならびに前記再生手段は、前記次の再生対象領域の全体を対象とした通常の検索ならびに早送り/早戻し再生を行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記再生対象情報は、論理上における配置順序に物理上における配置順序が整合するように前記記憶領域の先頭側から順番に分割記録されたもの、または、順不同に分割記録されたものであること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項6】
前記記憶媒体は、光ディスクであり、
前記再生対象情報は、UDF形式で記録されたオーディオファイルまたはビデオファイルであること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項7】
記憶媒体の記憶領域に記録された再生対象情報を早送りまたは早戻し再生するための早送り/早戻し再生方法であって、
前記記憶媒体は、前記記憶領域に前記再生対象情報が複数の分割領域ごとの分割情報として分割された状態で記録されるとともに、前記再生対象情報に前記分割情報の情報量および記録位置を含む付加情報が付加されたものであり、
前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分の再生対象領域が有する情報の再生と前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分のスキップ対象領域が有する情報のスキップとを交互に繰り返すことによって、前記再生対象情報の早送りまたは早戻し再生を行う第1のステップと、
この第1のステップにおける前記早送り/早戻し再生の際に、前記付加情報に基づいて、現在再生中の情報を有する現在の前記再生対象領域の次に再生されるべき情報を有する次の前記再生対象領域を検索する第2のステップと、
この第2のステップにおける検索の際に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域が複数の分割領域に分割されているか否かを判定する第3のステップと、
この第3のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域を構成する前記複数の分割領域の中から、前記付加情報に示される前記情報量が最大となる情報を有する前記分割領域を支配的な情報を有する分割領域決定する第4のステップと
を含み、
前記第2のステップは、前記第3のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記第4のステップにおいて決定された前記支配的な情報を有する分割領域に限定した検索を行うステップであり、
前記第1のステップは、当該限定した検索によって検出された分割領域が有する前記支配的な情報に限定した再生を行うステップであること
を特徴とする早送り/早戻し再生方法。
【請求項8】
前記第4のステップは、前記次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中に、前記情報量が最大となる情報を有する分割領域が複数存在する場合には、当該複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記現在の再生対象領域からの前記記憶領域上における距離が最短の前記分割領域を、前記支配的な情報を有する分割領域と決定するステップであること
を特徴とする請求項7に記載の早送り/早戻し再生方法。
【請求項9】
前記第4のステップは、前記複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記距離が最短の分割領域からの前記記憶領域上における距離が閾値以内の他の分割領域についても、前記距離が最短の分割領域とともに前記支配的な情報を有する分割領域と決定するステップであること
を特徴とする請求項8に記載の早送り/早戻し再生方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、前記第3のステップにおいて否定的な判定結果が得られた場合に、前記次の再生対象領域の全体を対象とした通常の検索を行うステップであり、
前記第1のステップは、前記第3のステップにおいて否定的な判定結果が得られた場合に、前記通常の検索によって検出された前記次の再生対象領域の全体が有する情報を対象とした通常の早送り/早戻し再生を行うステップであること
を特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の早送り/早戻し再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報再生装置および早送り/早戻し再生方法に係り、特に、記憶媒体に記録された再生対象情報の早送りまたは早戻し再生に好適な情報再生装置および早送り/早戻し再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、CD−RやCD−RW等の光ディスクへのデータの記録(書き込み)は、ISO9660 File Systemのフォーマットで行われるのが一般的であった。
【0003】
このISO9660 File Systemにおいては、光ディスク上に1つのファイル(例えば、オーディオファイル、ビデオファイル)が連続したデータとして記録されるため、記録されたファイルを再生装置によって通常再生する場合に、再生装置が通常再生中に次の再生箇所を探すサーチ(検索)動作を行う必要はない。
【0004】
一方、最近では、Windows(登録商標) Vistaをはじめとして、UDF(Universal Disk Format) File Systemによるフォーマットでの記録が標準で行われるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。このUDF File Systemにおいては、図5に示すように、光ディスクD上に、1つのファイルFが、幾つかの分割データd(iは、データ分割数を最大値とした自然数、以下同様)に分割された状態で記録される場合があった。より具体的には、図5(b)に示すように、各分割データdは、光ディスクD上のボリューム(記憶領域)における物理的に分離された複数の分割領域Aごとに分割された状態で記録されている。ただし、図5(c)に示すように、各分割データdは、論理的には連続した1つのファイルFとして再生装置側で認識されるようになっている。このような分割された状態で記録されたファイルFの先頭には、図5(b)、(c)において符号FEで示すように、ファイルFの分割状態が記述されたFE(File Entry)情報が付加されるようになっている。このFE情報には、ファイルFの分割数や、各分割データd(換言すれば、エクステント)のアドレス、レングス(データ長)等が含まれている。
【0005】
ここで、このようなUDF File Systemにおける分割記録が行われる場合の一例について説明する。
【0006】
すなわち、Windows Vistaが搭載されたPCにおいて、オーディオCDやビデオCDを作成する場合には、まず、ドライブにブランクディスクを挿入すると、光ディスク(CD)へのファイルの書き込みを選択可能なメニュー画面が開かれる。次に、この画面において光ディスクへのファイルの書き込みをユーザが選択すると、デフォルトでUDF File Systemによるディスクフォーマットが開始される。そして、フォーマット終了後は、ディスクドライブのフォルダが表示され、このフォルダ上にPCのハードディスク等で管理されているファイル(オーディオファイル、ビデオファイル)をドラッグ&ドロップすることが可能となる。次に、このようにして表示されたデイスクドライブのフォルダ上に、所望のファイルをドラッグ&ドロップすると、書き込みタスクが起動し、実際の光ディスク上へのファイルの書き込みが開始される。このとき、1つのファイルを書き込んでいる最中に、更に他のファイルをデイスクドライブのフォルダ上にドラッグ&ドロップすると、このファイルに対応する書き込みタスクが更に起動される。そして、このようにして、複数のファイルにそれぞれ対応する複数の書き込みタスク(マルチタスク)が同時期に起動された場合には、図6に示すように、各ファイルは、それぞれ各タスクA、Bごとの複数の分割データdAi、dBiに分割された状態で書き込まれるようになっていた。
【0007】
なお、これ以外にも、分割記録が行われるケースとしては、例えば、RWメディア等において、消去や追加が頻繁に行われた場合が挙げられる。
【0008】
そして、このようなUDF File Systemによる分割記録が行われたファイルを再生装置によって通常再生する場合には、再生装置側にファイルを一度にキャッシュできる膨大なメモリがあるといった例外を除いては、FE情報に基づいて、通常再生中にサーチ動作を行わなければならなかった。なお、設置スペースに一定の制約が課された車載用の再生装置等においては、そのような膨大なメモリを備えることは実情に見合わない。
【0009】
ここで、図7は、UDF File Systemによる分割記録が行われたファイルを通常再生する場合におけるサーチ動作を模式的に示したものである。具体的には、図7(a)は、1つのファイルFが、論理上におけるデータの配置順序に物理上(記憶領域上)におけるデータの配置順序が整合するようにボリュームの先頭側から末尾側に向かう順番にしたがって分割記録(シーケンシャルライト)された光ディスクを通常再生する場合におけるサーチ順序を、ボリューム上において物理的に示したものである。一方、図7(b)は、1つのファイルFがボリューム上にランダムに分割記録(ランダムライト)されたディスクを通常再生する場合におけるサーチ順序を、ボリューム上において物理的に示したものである。
【0010】
図7(a)、(b)のいずれの場合においても、サーチ動作は、FE情報に基づいて、現在再生中の分割データから物理的に分離されている次に再生すべき分割データの所在(例えば、先頭アドレス等)を把握して行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2002/023898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、従来から、一般的な再生装置においては、光ディスクに記録されたファイルを、通常再生以外にも、早送り(FWD)再生および早戻し(BWD)再生することが可能であった。
【0013】
ここで、早送り再生および早戻し再生は、若干の再生とジャンプとを繰り返すことによって実現されている。例えば、図8は、ISO9660 File Systemによって記録されたファイルFの早送り再生の概要を示したものである。この早送り再生では、図8に示すように、ファイルFのうち、ボリューム(記憶領域)における予め設定された所定データ長(再生時間)分の再生対象領域Pが有するデータを再生し、次いで、該データの直後の予め設定された所定データ長分のスキップ対象領域Sが有するデータをスキップ(再生とばし)して次の再生対象領域Pにジャンプするといった動作を交互に繰り返すようになっている。そして、この過程で、再生装置は、通常再生の場合とは異なり、次の再生対象領域P(再生箇所)をサーチする必要があった。
【0014】
そして、このような早送り/早戻し再生は、UDF File Systemによって分割記録されたファイルについても可能であったが、このファイルは、前述のように、通常再生の場合においてもサーチ動作を要するため、早送り/早戻し再生を行う場合におけるサーチ動作の頻度は、ISO9660 File Systemの場合よりも顕著なものであった。
【0015】
例えば、図9(a)は、UDF File Systemによってディスクのボリューム上に分割記録(シーケンシャルライト)された複数の分割データdを示したものである。この図9(a)に示すように、或る1つの再生対象領域Pが、物理的に複数の分割領域A(同図においては、領域の一部)、Ak+1(同図においては、領域の全部)、Ak+2(同図においては、領域の一部)(但し、k∈i)に跨がって分割(分離)配置されている場合には、当該再生対象領域Pの次の再生対象領域Pをサーチする以前に、当該再生対象領域P内のデータDa(D、Dk+1、Dk+2)の再生自体に、次の分割領域Ak+1、Ak+2のサーチ動作を要することになる。
【0016】
しかし、そうであるからと言って、同一の再生対象領域P内におけるサーチ動作を行う場合には、次のような問題が生じていた。
【0017】
すなわち、サーチ期間中は、当然のことながらデータの読み取りができないため、再生装置のバッファに貯められたデータをデコードして再生することになるのであるが、サーチ回数が増加すれば、バッファアンダーラン(バッファに貯められたデータの欠乏)を起こして音切れ・映像途切れ(再生対象領域P内のデータについての音切れ・映像途切れ)に繋がり易く、非常にぎこちない早送り/早戻し再生となってしまっていた。
【0018】
また、ファイルが分割記録されているか否かについては、基本的にユーザは認識できないため、音切れや映像途切れが何故発生しているのか分からずに、再生装置の再生品位が悪いとみなしてクレームに繋がる可能性もあった。
【0019】
さらに、サーチ動作が頻発すれば、スレッド(光ピックアップユニット)の動作が頻繁に行われるため、製品寿命を縮め、消費電力も余分にかかってしまっていた。
【0020】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、分割記録された再生対象情報の早送り/早戻し再生の再生品位を向上させることができるとともに、消費電力の削減および製品寿命の向上を図ることができる情報再生装置および早送り/早戻し再生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述した目的を達成するため、本発明に係る情報再生装置は、記憶媒体の記憶領域に記録された再生対象情報を再生する情報再生装置であって、前記記憶媒体は、前記記憶領域に前記再生対象情報が複数の分割領域ごとの分割情報として分割された状態で記録されるとともに、前記再生対象情報に前記分割情報の情報量および記録位置を含む付加情報が付加されたものであり、情報再生装置本体は、前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分の再生対象領域が有する情報の再生と前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分のスキップ対象領域が有する情報のスキップとを交互に繰り返すことによって、前記再生対象情報の早送りまたは早戻し再生を行う早送り/早戻し再生手段と、この早送り/早戻し再生手段による前記早送り/早戻し再生の際に、前記付加情報に基づいて、現在再生中の情報を有する現在の前記再生対象領域の次に再生されるべき情報を有する次の前記再生対象領域を検索する検索手段と、この検索手段による検索の際に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域が複数の分割領域に分割されているか否かを判定する判定手段と、この判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域を構成する前記複数の分割領域の中から、前記付加情報に示される前記情報量が最大となる情報を有する前記分割領域を支配的な情報を有する分割領域決定する決定手段と、前記判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記決定手段によって決定された前記支配的な情報を有する分割領域に限定した検索ならびに当該情報の再生を行うように前記検索手段ならびに前記再生手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る早送り/早戻し再生方法は、 記憶媒体の記憶領域に記録された再生対象情報を早送りまたは早戻し再生するための早送り/早戻し再生方法であって、前記記憶媒体は、前記記憶領域に前記再生対象情報が複数の分割領域ごとの分割情報として分割された状態で記録されるとともに、前記再生対象情報に前記分割情報の情報量および記録位置を含む付加情報が付加されたものであり、前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分の再生対象領域が有する情報の再生と前記再生対象情報のうちの前記記憶領域における所定情報量分のスキップ対象領域が有する情報のスキップとを交互に繰り返すことによって、前記再生対象情報の早送りまたは早戻し再生を行う第1のステップと、この第1のステップにおける前記早送り/早戻し再生の際に、前記付加情報に基づいて、現在再生中の情報を有する現在の前記再生対象領域の次に再生されるべき情報を有する次の前記再生対象領域を検索する第2のステップと、この第2のステップにおける検索の際に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域が複数の分割領域に分割されているか否かを判定する第3のステップと、この第3のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記付加情報に基づいて、前記次の再生対象領域を構成する前記複数の分割領域の中から、前記付加情報に示される前記情報量が最大となる情報を有する前記分割領域を支配的な情報を有する分割領域決定する第4のステップとを含み、前記第2のステップは、前記第3のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記第4のステップにおいて決定された前記支配的な情報を有する分割領域に限定した検索を行うステップであり、前記第1のステップは、当該限定した検索によって検出された分割領域が有する前記支配的な情報に限定した再生を行うステップであることを特徴している。
【0023】
そして、このような本発明によれば、早送り/早戻し再生の際に、次の再生対象領域が複数の分割領域に分割されている場合には、そのような次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうちの支配的な情報を有する分割領域に限定した検索ならびに当該情報の再生を行うことができるため、分割記録された再生対象情報を早送り/早戻し再生する際における検索の頻度を確実に低減することができる。これにより、分割記録された再生対象情報の早送り/早戻し再生の再生品位を向上させることができるとともに、消費電力の削減および製品寿命の向上を図ることができる。更に、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうち、再生時間が最も長い情報を有する分割領域を支配的な情報を有する分割領域として検索対象に決定することができるので、早送り/早戻し再生の再生品位をさらに向上させることができる。
【0026】
さらにまた、本発明の情報再生装置において、前記決定手段は、前記次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中に、前記情報量が最大となる情報を有する分割領域が複数存在する場合には、当該複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記現在の再生対象領域からの前記記憶領域上における距離が最短の前記分割領域を、前記支配的な情報を有する分割領域と決定してもよい。同様に、本発明の早送り/早戻し再生方法において、前記第4のステップは、前記次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中に、前記情報量が最大となる情報を有する分割領域が複数存在する場合には、当該複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記現在の再生対象領域からの前記記憶領域上における距離が最短の前記分割領域を、前記支配的な情報を有する分割領域と決定するステップであってもよい。
【0027】
そして、このような本発明によれば、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうち、複数の分割領域が有する情報の再生時間が最長となる場合には、これら再生時間が最長となる情報を有する複数の分割領域のうちの現在の再生対象領域からの検索所要時間が最短となる分割領域を検索対象に決定することができるので、さらに高品位な早送り/早戻し再生を実現することができる。
【0028】
また、本発明の情報再生装置において、前記決定手段は、前記複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記距離が最短の分割領域からの前記記憶領域上における距離が閾値以内の他の分割領域についても、前記距離が最短の分割領域とともに前記支配的な情報を有する分割領域と決定してもよい。同様に、本発明の早送り/早戻し再生方法において、前記第4のステップは、前記複数の情報量が最大となる情報を有する分割領域のうち、前記距離が最短の分割領域からの前記記憶領域上における距離が閾値以内の他の分割領域についても、前記距離が最短の分割領域とともに前記支配的な情報を有する分割領域と決定するステップであってもよい。
【0029】
そして、このような本発明によれば、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうち、複数の分割領域が有する情報の再生時間が最長となる場合に、現在の再生対象領域からの検索所要時間が最短となる情報に加えて、当該最短となる情報からの検索所要時間が十分に短い分割領域についても検索対象に含めることができるので、より良好な早送り/早戻し再生の再生品位を実現することができる。
【0030】
さらに、本発明の情報再生装置において、前記判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記検索手段ならびに前記再生手段は、前記次の再生対象領域の全体を対象とした通常の検索ならびに早送り/早戻し再生を行ってもよい。同様に、本発明の早送り/巻き戻し再生方法において、前記第2のステップは、前記第3のステップにおいて否定的な判定結果が得られた場合に、前記次の再生対象領域の全体を対象とした通常の検索を行うステップであり、前記第1のステップは、前記第3のステップにおいて否定的な判定結果が得られた場合に、前記通常の検索によって検出された前記次の再生対象領域の全体が有する情報を対象とした通常の早送り/早戻し再生を行うステップであってもよい。
【0031】
そして、このような本発明によれば、次の再生対象領域が単一の分割領域内に配置されている場合には、次の再生対象領域全体を検索対象とすることができるので、次の再生対象領域の配置状態に応じたより最適な検索を実現することができる。
【0032】
さらにまた、本発明の情報再生装置において、前記再生対象情報は、論理上における配置順序に物理上における配置順序が整合するように前記記憶領域の先頭側から順番に分割記録されたもの、または、順不同に分割記録されたものであってもよい。
【0033】
そして、このような構成によれば、シーケンシャルライトおよびランダムライトのいずれの分割記録ファイルにも対応した汎用性が高い早送り/早戻し再生を実現することができる。
【0034】
また、本発明の情報再生装置において、前記記憶媒体は、光ディスクであり、前記再生対象情報は、UDF形式で記録されたオーディオファイルまたはビデオファイルであってもよい。
【0035】
そして、このような構成によれば、分割記録されたUDFファイルの早送り/早戻し再生の再生品位を確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、分割記録された再生対象情報の早送り/早戻し再生の再生品位を向上させることができるとともに、消費電力の削減および製品寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係る情報再生装置の実施形態を示すブロック図
図2】本発明に係る情報再生装置の実施形態において、分割記録されたUDFファイルの論理構造を示す模式図
図3】本発明に係る情報再生装置の実施形態において、早送り/早戻し再生の際におけるサーチ動作を示す概要図
図4】本発明に係る早戻し/早送り再生方法の実施形態を示すフローチャート
図5】UDF File Systemによる分割記録を示す概要図
図6】分割記録が行われる実際のケースを説明するための説明図
図7】分割記録が行われたUDFファイルのサーチ動作を示す概要図
図8】ISO9660 File Systemによって記録されたファイルの早送り/早戻し再生を示す概要図
図9】従来の問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0038】
(情報再生装置の実施形態)
以下、本発明に係る情報再生装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0039】
なお、従来と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0040】
図1に示すように、本実施形態における情報再生装置1は、再生対象情報としてのUDF形式のファイル(以下、UDFファイルと称する)が記録された記憶媒体としての光ディスク2が搭載可能とされており、この搭載された光ディスク2のUDFファイルを再生可能とされている。なお、光ディスク2としては、前述したCD−RやCD−RW等を採用してもよい。また、UDFファイルは、オーディオファイルおよびビデオファイルのいずれであってもよいが、本実施形態における情報再生装置1は、図5に示したように、複数の分割データdとして分割記録されたUDFファイルに対して好適に適用されるものである。
【0041】
図1に示すように、情報再生装置1は、光ディスクドライブ3を有しており、この光ディスクドライブ3は、搭載された光ディスク2を回転駆動しながら、光ディスク2に記録されているUDFファイルを読み取るようになっている。図1に示すように、光ディスクドライブ3は、光ピックアップ部3aを有している。この光ピックアップ部3aは、光ディスク2に対して径方向に移動しながら、光ディスク2の所定のトラック上の指定された位置(アドレス)に存在するUDFファイルのデータを光学的に読み取り、これを電気信号に変換して出力するようになっている。そして、出力されたUDFファイルのデータは、図1に示すバッファ4に取得されるようになっている。なお、光ピックアップ部3は、レーザ発振器や光センサ等のデバイス、対物レンズ、ビームスプリッタおよび波長板等の光学系、トラッキング/フォーカシング用のアクチュエータ等によって構成してもよい。
【0042】
また、図1に示すように、情報再生装置1は、早送り/早戻し再生手段および検索手段としての機能を持つ再生/サーチ処理部5を有している。この再生/サーチ処理部5は、操作部7の操作やデフォルトによって設定された再生モードにしたがって、UDFファイルの再生処理を行うようになっている。再生モードとしては、前述した通常再生モード、早送り再生モードおよび早戻し再生モードを設定可能とされている。また、再生/サーチ処理部5は、再生処理の際には、次再生対象領域のサーチ動作を行うようになっている。なお、再生/サーチ処理部5は、これの機能を実現するためのプログラムが格納されたROM、このROM内のプログラムを実行するCPU等の演算処理装置、および、当該演算処理装置の処理結果の一時的な保存等に用いるRAM等によって構成してもよい。また、操作部7としては、リモコンやタッチパネル等の種々の入力インターフェースを用いてもよい。
【0043】
ここで、図2(a)は、光ディスク2に分割記録されたUDFファイルFを示したものである。図5に示したように、分割記録されたUDFファイルは、物理的には、ボリューム(記憶領域)における複数の分割領域Aに、各領域Aごとの分割データdとして分割(分離)されて配置されているが、図2(a)に示すように、再生処理部5側では、論理的に連続した1つのファイルFとして認識される。このような認識には、UDFファイルFにヘッダ情報として付加された付加情報としてのFE情報が用いられる。図2(b)に示すように、FE情報には、各分割データdにそれぞれ対応するように、分割データdの分割番号(先頭の分割データd側から末尾の分割データd側に向かって昇順となる番号)、分割データdのデータ量(データ長)を示すレングス〔Byte〕および分割データdの記録位置としてのアドレス〔Sector〕が記述されている。なお、FE情報におけるアドレスの配置は、分割データがシーケンシャルライトされたものであれば、対応する分割番号の順序にしたがってボリュームの先頭側から末尾側に向かう順番となり、分割データがランダムライトされたものであれば、分割番号順にしたがった規則性は有しない(ランダムとなる)。
【0044】
再生/サーチ処理部5は、このようなFE情報を、光ディスクドライブ3によって光ディスク2から読み取らせた後に、バッファ4を介して取得するようになっている。なお、このようなFE情報の取得は、ディスクローディング直後のデイスク解析のフェーズにおいて予め(再生処理前に)行うようにしてもよい。
【0045】
そして、再生/サーチ処理部5は、分割記録されたUDFファイルFを通常再生する場合には、光ディスクドライブ3に対してアドレス指定に相当する通電制御を行うことにより、光ディスクドライブ3に、各分割データdを、FE情報に示される分割番号の先頭側から順次読み取らせてバッファ4に取得させるようになっている。このようにしてバッファ4に取得された分割データdは、デコーダ8によってデコードされた上で、出力部10によって音声出力または映像表示されるようになっている。出力部10は、スピーカやディスプレイ等によって構成してもよい。そして、このような再生処理の過程で、再生/サーチ処理部5は、FE情報に基づいて、光ディスクドライブ3に対してアドレス指定に相当する通電制御を行うことにより、現在再生中(バッファ4に取得済み)の分割データdを有する再生対象領域(通常再生の場合には、分割領域Aと同義)の次の再生対象領域(分割領域Ak+1)をサーチ対象としたサーチ動作を行うようになっている。これにより、次の再生対象領域が有する分割データdk+1の再生が可能となる。なお、現在再生中の分割データdは、既に光ピックアップ部3aによる読み取りが完了してバッファ4に貯められたものであるため、再生/サーチ処理部5は、この分割データdの再生中に、光ピックアップ部3aによる次の分割データdk+1のサーチ動作を行うことができる。
【0046】
一方、再生/サーチ処理部5は、分割記録されたUDFファイルFを早送り/早戻し再生する場合には、通常再生の場合のように分割データdの全てを再生するのではなく、図9に示したように、予め設定されたサイズの再生対象領域P内のデータDaの再生と、予め設定されたサイズのスキップ対象領域S内のデータのスキップとを交互に繰り返すようになっている。また、再生/サーチ処理部5は、現在再生中(バッファ4に取得済み)のデータDaを有する現在の再生対象領域Pの次の再生対象領域P内のデータの再生に移行するために、当該次の再生対象領域Pを対象としたサーチ動作を行うようになっている。
【0047】
ただし、本実施形態においては、従来の分割記録されたUDFファイルの早送り/早戻し再生の場合(図9参照)とは異なり、同一の再生対象領域P内における頻繁なサーチ動作が行われないようにするための手段が講じられている。
【0048】
すなわち、図1に示すように、情報再生装置1は、判定手段としての次再生対象領域判定部11を有している。この次再生対象領域判定部11は、早送り/早戻し再生時の再生/サーチ処理部5によるサーチ動作の際に、FE情報に基づいて、次の再生対象領域Pが複数の分割領域Aに分割されて配置されているか否かを判定するようになっている。
【0049】
今、図3(b)に示すように、次の再生対象領域が同図のPであると仮定すると、このPは、論理的には連続した範囲として認識されるが、図3(a)に示すように、物理的には、互いに異なる複数の分割領域A、Ak+1、Ak+2ごとに分割(分離)された状態で配置されている。したがって、次の再生対象領域がPとなったときは、次再生対象領域判定部11の判定結果は肯定的なものとなる。ただし、図3(a)に示すように、次の再生対象領域Pを構成する複数の分割領域の中には、UDF File Systemによる分割記録の際に割り振られた分割領域Aの一部のみを占めるもの(同図においては、A、Ak+2のそれぞれの一部)もあるし、全部を占めるもの(同図においては、Ak+1の全部)もある。
【0050】
なお、次再生対象領域判定部11は、これの機能を実現するためのプログラムが格納された前記ROM、前記演算処理装置および前記RAM等によって構成してもよい。また、次再生対象領域判定部11の判定結果は、これに応じた値のフラグをセットすること等によって保持してもよい。
【0051】
また、図1に戻って、情報再生装置1は、決定手段としての支配的データ保有領域決定部12を有している。この支配的データ保有領域決定部12は、次再生対象領域判定部11の判定結果が肯定的であることを検知すると、FE情報に基づいて、次の再生対象領域Pを構成する複数の分割領域の中から支配的なデータを有する分割領域を決定するようになっている。ここで、本実施形態において、支配的データ保有領域決定部12は、次の再生対象領域Pを構成する複数の分割領域のうち、FE情報のレングスに示されるデータ量(データ長)が最大のデータを有する分割領域を、支配的なデータを有する分割領域と決定するようになっている。
【0052】
図3(a)の例で言えば、次の再生対象領域Pを構成する3つの分割領域A(領域Aの一部)、Ak+1(領域Ak+1の全部)、Ak+2(領域Ak+2の一部)のうち、Ak+1が有するデータDk+1のデータ量が最大であるため、このAk+1が支配的なデータ(すなわち、Dk+1)を有する分割領域に決定される。
【0053】
なお、支配的データ保有領域決定部12は、これの機能を実現するためのプログラムが格納された前記ROM、前記演算処理装置および前記RAM等によって構成してもよい。
【0054】
さらに、図1に戻って、情報再生装置1は、制御手段としてのサーチ制御部14を有している。このサーチ制御部14は、支配的データ保有領域決定部12の決定結果をその旨のデータの入力等によって検知すると、この決定結果に示される支配的なデータを有する分割領域に限定したサーチ動作ならびに当該支配的なデータの再生を行うように、再生/サーチ処理部5に指令(制御信号)を出力するようになっている。そして、再生/サーチ処理部5は、このサーチ制御部14の指令に応じて、支配的データ保有領域決定部12が決定した支配的なデータを有する分割領域のみを対象としたサーチ動作ならびに当該支配的なデータの限定再生を行うようになっている。なお、サーチ制御部14は、これの機能を実現するためのプログラムが格納された前記ROM、前記演算処理装置および前記RAM等によって構成してもよい。
【0055】
このような構成によれば、早送り/早戻し再生の際に、次の再生対象領域が複数の分割領域に跨がる場合には、そのような次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうちの再生時間が最長のデータを有する分割領域に限定したサーチ動作ならびに再生を行うことができるため、分割記録されたUDFファイルを早送り/早戻し再生する際におけるサーチ動作の頻度(回数)を確実に低減することができる。
【0056】
具体的には、図3(a)の場合における次の再生対象領域Pの配置状態は、図9(a)に示したものと同様に、複数の分割領域A、Ak+1、Ak+2ごとに分割されたものであるが、図3(a)の場合においては、図9(a)の場合のようなAからAk+1へのサーチ動作およびAk+1からAk+2へのサーチ動作は行われないため、サーチ動作の回数を低減することができる。
【0057】
この結果、バッファアンダーランを抑制して早送り/早戻し再生の再生品位を向上させることができる。また、光ピックアップ部3aの頻繁なサーチ動作を抑制することができるので、消費電力の削減および製品寿命の向上を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうちの再生時間が最長のデータを有する分割領域をサーチ対象とするため、サーチ動作が間引かれることにともなって次の再生対象領域内のデータの再生時間が著しく短くなるといった弊害を抑制することができ、さらなる再生品位の向上を図ることができる。
【0059】
なお、次再生対象領域判定部11の判定結果が否定的な場合、すなわち、次の再生対象領域が単一の分割領域Aに属している場合には、再生/サーチ処理部5は、当該次の再生対象領域のすべてを対象としたサーチ動作ならびに再生を行えばよい。
【0060】
また、本発明には、以下に示すような種々の変形例を適用してもよい。
【0061】
(第1変形例)
例えば、支配的データ保有領域決定部12は、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中に、データ量が最大のデータを有する分割領域が複数存在する場合には、当該複数のデータ量が最大のデータを有する分割領域のうち、現在再生中のデータを有する現在の再生対象領域からの記憶領域上における距離が最短の分割領域を、支配的なデータを有する分割領域と決定してもよい。このとき、記憶領域上における距離については、FE情報に示されるアドレス、レングス等に基づいて長短を判断してもよい。
【0062】
このような構成によれば、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうちの再生時間が最長となるデータを有する複数の分割領域のうち、現在の再生対象領域からのサーチ所要時間が最短となる分割領域をサーチ対象に決定することができるので、バッファアンダーランを更に効果的に抑制することができる。
【0063】
(第2変形例)
また、第1変形例において、さらに、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうち、前記距離が最短のデータからの記憶領域上における距離が閾値以内の分割領域についても、前記距離が最短の分割領域とともに支配的なデータを有する分割領域と決定してもよい。この場合に、閾値としては、スキップ対象領域S(図9参照)のサイズよりも短い距離を設定することが望ましい。
【0064】
このような構成によれば、次の再生対象領域を構成する複数の分割領域のうち、複数の分割領域が有するデータの再生時間が最長となる場合に、現在の再生対象領域からのサーチ所要時間が最短となる分割領域に加えて、当該最短となる分割領域からのサーチ所要時間が十分に短い分割領域についてもサーチ対象に含めることができるので、バッファアンダーランを有効に回避しつつ、次の再生対象領域内における再生時間を可及的に確保することができる。
【0065】
(早送り/早戻し再生方法の実施形態)
次に、前述した情報再生装置1を適用した本発明に係る早送り/早戻し再生方法の実施形態について、図4を参照して説明する。
【0066】
本実施形態においては、まず、図4のステップ1(ST1)において、次再生対象領域判定部11により、光ファイバ2に記録されているFE情報を光ピックアップ部3aを介して取得する。このステップ1(ST1)は、ディスクローディング直後のディスク解析のフェーズとして実行してもよい。
【0067】
次いで、ステップ2(ST2)において、次再生対象領域判定部11により、操作部7からの早送り/早戻し再生の指示があったか否かを判定する。そして、ステップ2(ST2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)を繰り返す。
【0068】
次いで、ステップ3(ST3)において、次再生対象領域判定部11により、ステップ1(ST1)において取得されたFE情報に基づいて、次の再生対象領域が、複数の分割領域に分割配置されているか否かを判定する。そして、ステップ3(ST3)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ8(ST8)に進む。
【0069】
ここで、ステップ4(ST4)に進んだ場合には、支配的データ保有領域決定部12により、ステップ3(ST3)において判断された次の再生対象領域を構成する複数の分割領域の中から、FE情報に基づいて支配的なデータを有する分割領域を決定して、ステップ5(ST5)に進む。
【0070】
一方、ステップ8(ST8)に進んだ場合には、再生/サーチ処理部5により、次の再生対象領域の全てを対象としたサーチ動作を行って、ステップ6(ST6)に進む。
【0071】
次いで、ステップ5(ST5)において、サーチ制御部14の制御の下で、再生/サーチ処理部5により、ステップ4(ST4)において決定された支配的なデータを有する分割領域に限定したサーチ動作を行って、ステップ6(ST6)に進む。
【0072】
次いで、ステップ6(ST6)において、再生/サーチ処理部5により、前工程においてサーチされた分割領域が有するデータを再生してステップ7(ST7)に進む。
【0073】
次いで、ステップ7(ST7)において、次再生対象領域判定部11により、早送り/早戻し再生モードが継続されているか否かを判定する。そして、ステップ7(ST7)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に戻り、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。
【0074】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 情報再生装置
2 光ディスク
5 再生/サーチ処理部
11 次再生対象領域判定部
12 支配的データ保有領域決定部
14 サーチ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9