(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の概略的な図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。図中、対応する符号は対応する部分を示す。
【0020】
図1は、算術演算を行なうプロセッサユニット11を具備するナビゲーション装置10の一実施形態を示す概略ブロック図である。プロセッサユニット11は、ハードディスク12、読み出し専用メモリ(ROM)13、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)14、ランダムアクセスメモリ(RAM)15のような命令やデータを格納する記憶装置と通信するように構成される。記憶装置は、地図データを含んでもよい。この地図データは、2次元地図データ(緯度及び経度)であってもよいが、第3の次元(高度)を含んでもよい。地図データは、ガソリンスタンド、地点情報に関する情報等の追加の情報を更に含んでもよい。また、地図データは、道路沿いの建物や物体の形状に関する情報を含んでもよい。
【0021】
プロセッサユニット11は、キーボード16やマウス17のような1又は複数の入力装置と通信するように構成されてもよい。キーボード16は、例えば、タッチスクリーンであるディスプレイ18で提供される仮想キーボードであってもよい。更に、プロセッサユニット11は、ディスプレイ18、スピーカ24のような1又は複数の出力装置や、例えば、フロッピディスク20又はCD ROM21を読み取るための1又は複数の読取装置と通信するように構成されてもよい。ディスプレイ18は、従来のコンピュータディスプレイ(例えば、LCD)であってもよく、あるいは計測データを自動車のフロントガラスに投影するために使用されるヘッドアップディスプレイ等の投影型ディスプレイであってもよい。ディスプレイ18は、タッチスクリーンとして機能するように構成されるディスプレイであってもよい。タッチスクリーンは、ユーザが指でディスプレイ18に触れることにより、命令及び情報の少なくともいずれかを入力することを可能にする。
【0022】
スピーカ24は、ナビゲーション装置10の一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置10が車載ナビゲーション装置として使用される場合、ナビゲーション装置10は、自動車のラジオやボードコンピュータ等のスピーカを使用してもよい。
【0023】
プロセッサユニット11は、ナビゲーション装置10の位置に関する情報を提供するGPS受信機等の位置決め装置23と通信するように更に構成されてもよい。本実施形態によると、位置決め装置23はGPSに基づく位置決め装置23である。しかし、ナビゲーション装置10は、任意の種類の位置検知技術を実現してもよく、GPSに限定されないことが理解されるであろう。従って、ナビゲーション装置10は、欧州のガリレオシステム等の他の種類のGNSS(global navigation satellite system:グローバルナビゲーションサテライトシステム)を使用して実現することもできる。同様に、ナビゲーション装置10は、衛星を使用する位置/速度システムに限定されず、地上ビーコン又は装置が地理的な場所を判定することを可能にする任意の他の種類のシステムを使用しても同様に展開される。
【0024】
しかし、当業者に周知の更なる及び/又は他の記憶装置、入力装置及び読取装置が提供されてもよいことが理解されるべきである。更に、それら装置のうち1又は複数の装置は、必要に応じてプロセッサユニット11から物理的に遠く離れて配置されてもよい。プロセッサユニット11は1つのボックスで示されるが、当業者には周知であるように、互いに遠く離れて配置され且つ1つの主プロセッサにより制御されるか又は同時に機能するいくつかの処理ユニットを含んでもよい。
【0025】
ナビゲーション装置10は、コンピュータシステムとして示されるが、本明細書で説明される機能を実行するように構成されるアナログ及び/又はデジタル及び/又はソフトウェア技術を使用する任意の信号処理システムであってもよい。
図1に示すナビゲーション装置10は、複数の構成要素から構成されるものとして示すが、単一の装置として構成されてもよいことが理解されるであろう。
【0026】
ナビゲーション装置10は、Navigatorと呼ばれるTomTom B.V.のナビゲーションソフトウェア等のナビゲーションソフトウェアを使用してもよい。ナビゲータソフトウェアは、Compaq iPaq等のタッチスクリーンの(すなわち、スタイラスで制御される)PocketPC搭載PDA装置、並びに一体型GPS受信機23を有する装置上で実行してもよい。組み合わされたPDA及びGPS受信機システムは、車載ナビゲーションシステムとして使用されるように設計される。本実施形態は、一体型GPS受信機/コンピュータ/ディスプレイを有する装置、あるいは車両以外による使用(例えば、歩行者)又は自動車以外の車両(例えば、航空機)に対して設計された装置等のナビゲーション装置10の任意の他の構成で実現されてもよい。
【0027】
図2は、上述のようなナビゲーション装置10の機能ディスプレイ18の一例を示す。
【0028】
ナビゲータソフトウェアは、ナビゲーション装置10上で実行する場合、
図2に示すようにディスプレイ18に通常のナビゲーションモード画面をナビゲーション装置10に表示させる。このビューは、テキスト、記号、音声ガイダンス及び動画地図の組合せを使用して運転命令を提供してもよい。重要なユーザインタフェース要素は、3D地図が画面の殆どを占有することである。なお、その地図は2D地図として示されてもよい。
【0029】
地図は、ナビゲーション装置10が動く方向が常に「上」になるように回転されたナビゲーション装置10の位置及びその周囲を示す。ステータスバー2は、画面の下1/4に渡ってもよい。ナビゲーション装置10の現在の場所(ナビゲーション装置10自体が従来のGPS位置探索を使用して判定する)及びその姿勢(移動する方向から推測される)は、位置矢印3により示される。装置により計算されたルート4(メモリ素子11、12、13、14、15の地図データベースに格納された地図データに適用されるメモリ素子11、12、13、14、15に格納されたルート計算アルゴリズムを使用して)は、陰影をつけた経路で示される。ルート4において、全ての主な動作(例えば、角、交差点、ロータリー等を曲がる)は、ルート4に重なる矢印5により概略的に示される。ステータスバー2は、左側に次の動作6(ここでは、右折)を示す概略的なアイコンを更に含む。ステータスバー2は、装置により計算されたルート全体のデータベース(すなわち、選択されるルートを規定する全ての道路及び関連する動作のリスト)から抽出される次の動作までの距離(すなわち、右折−ここでは距離は190メートル)を更に示す。ステータスバー2は、現在の道路名8、到着までの推定時間9(ここでは、35分)、実際の推定到着時間28(4:50pm)及び目的地までの距離26(31.6Km)を更に示す。ステータスバー2は、移動電話と同様の信号強度指標でGPS信号強度等の追加の情報を更に示してもよい。
【0030】
上述したように、ナビゲーション装置10は、ユーザがナビゲーションメニュー(不図示)を呼び出すことを可能にするタッチスクリーン等の入力装置を具備してもよい。このメニューから、他のナビゲーション機能は開始又は制御される。非常に容易に呼び出される(例えば、地図の表示からメニュー画面まで1ステップである)メニュー画面からナビゲーション機能を選択することを可能にすることにより、ユーザ対話が非常に簡単化されて高速且つ容易になる。ナビゲーションメニューは、ユーザが目的地を入力するオプションを含む。
【0031】
ナビゲーション装置10自体の実際の物理的な構造は、一体型GPS受信機23又は外部GPS受信機からのGPSデータ出力以外は任意の従来の携帯型のコンピュータと基本的に異ならない。従って、メモリ素子12、13、14、15は、ルート計算アルゴリズム、地図データベース、ユーザインタフェースソフトウェアを格納する。プロセッサユニット12は、(例えば、出発地及び目的地の住所を入力するためのタッチスクリーン、並びに全ての他の制御入力を使用して)ユーザ入力を解釈及び処理し、最適なルートを計算するためのルート計算アルゴリズムを展開する。「最適」は、最短時間又は最短距離、あるいは他のユーザに関係する要素等の基準を示してもよい。
【0032】
更に詳細には、ユーザは、タッチスクリーン18、キーボード16等の提供された入力装置を使用して、ナビゲーション装置10上で実行するナビゲーションソフトウェアに要求する目的地を入力する。ユーザは、移動ルートを計算する方法を選択する。ルートを非常に迅速に計算するがルートが最短ではない可能性のある「高速」モード、全ての可能なルートを調べ且つ最短のルートを見つけるが計算時間がより長い「フル」モード等の種々のモードが提供される。例えば、特に美しい景色としてマーク付けされた殆どのPOI(地点情報)を通過するか又は子供が興味を持つ可能性のある殆どのPOIを通過する景色のよいルート、あるいは分岐点が最も少ないルートをユーザが規定する等、他のオプションが可能である。
【0033】
ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10が他のナビゲーション装置10、パーソナルコンピュータ、サーバ等のリモートシステムとネットワーク27を介して通信するのを可能にする入出力装置25を更に具備してもよい。ネットワーク27は、LAN、WAN、Bluetooth(登録商標)、インターネット及びイントラネット等の任意の種類のネットワーク27であってもよい。通信は、有線であっても無線であってもよい。無線通信リンクは、例えば、RF信号(無線周波数)やRFネットワークを使用してもよい。
【0034】
図3を参照すると、更に本発明は、上述のナビゲーション装置10を具備する自動車等の車両40に関する。例えば、ナビゲーション装置10は、自動車40のダッシュボードに搭載されてもよく、あるいはフロントガラスに取り付けられてもよい。
【0035】
道路自体は、ナビゲーション装置10上で実行するナビゲーションソフトウェアの一部である(又は、ナビゲーションソフトウェアによりアクセスされる)地図データベースにおいて、線、すなわちベクトル(例えば、道路の始点、終点、方向であり、道路全体は、各々が始点/終点方向パラメータにより一意に規定される数百の部分から構成される)として記述される。地図は、そのような道路ベクトル、地点情報(POI)、道路名、公園の境界や川の境界等の他の地理的特徴の集合であり、それらは全てベクトルに関して規定される。全ての地図の特徴(例えば、道路ベクトル、POI等)は、GPS座標系に対応するか又は関連する座標系で規定され、GPSシステムを介して判定される装置の位置を地図に示される該当の道路に配置することを可能にする。
【0036】
ルート計算は、ナビゲーションソフトウェアの一部である複雑なアルゴリズムを使用する。アルゴリズムは、大量の潜在的に異なるルートにスコアをつけるために適用される。ナビゲーションソフトウェアは、景色のよいルート、歴史博物館、スピードカメラなしを含むユーザが規定したフルモードスキャン等の基準(又は装置のデフォルト)に対してそれらルートを評価する。規定された基準に最もよく適合するルートは、プロセッサユニット11により計算され、ベクトル、道路名及びベクトルの終点で行なわれる動作のシーケンス(例えば、100メートル先でx通りを左折する等、ルートの各道路に沿う所定の距離に対応する)としてメモリ素子12、13、14、15のデータベースに格納される。
【0037】
本発明に係るナビゲーション装置10は、煩わす機会を減少するために、既存のナビゲーション装置より適切なナビゲーション命令を与える。そのために、ナビゲーション装置10は、運転者に関するデータを収集し、そのデータを使用して適切な命令を与える。
図4〜
図7を参照して、データが収集され使用される方法を説明する。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10に含まれるいくつかのモジュールを概略的に示す。本実施形態において、ナビゲーション装置10は、地図データベース39の地図データ及びユーザにより入力された情報を使用して、出発地から目的地までのルートを判定するルート計算モジュール41を具備する。更に、矢印43に示すように、ルート計算モジュール41からの入力を受信する命令モジュール42が提供される。命令モジュール42は、ユーザが判定されたルートを進行できるように基本命令の集合を生成するように構成される。基本命令の一例は「20m RIGHT」であり、運転者は20メートル先を右折する必要があることを意味する。
【0039】
また、1又は複数のプロファイルモジュールが提供され、それらは以下に更に詳細に説明するように1又は複数のプロファイルを構築するように構成される。本実施形態において、プロファイルモジュールは、運転者プロファイルを構築する運転者プロファイル44、環境プロファイルを構築する環境プロファイラ45、ルートプロファイルを構築するルートプロファイラ46を含む。各プロファイルは、例えば、メモリ素子12に格納される。プロファイル/命令翻訳プログラム48が提供され、矢印51に示すように、プロファイル/命令翻訳プログラム48は、命令モジュール42により生成された基本命令の集合を受信し、メモリ素子12から1又は複数のプロファイルを読み出す。プロファイル/命令翻訳プログラム48は、人による可能な命令が格納される人間命令データベース70にアクセスできる。人による命令の一例は、「右折して下さい」又は「Uターンして下さい」である。
【0040】
ナビゲーション装置10は、出力装置50を更に具備し、矢印57に示すように、出力装置50は、プロファイル/命令翻訳プログラム48から出力命令を受信する。出力装置50は、
図1に示すスピーカ24又は画面18、あるいは任意の他の適切な出力装置を具備してもよい。
【0041】
ナビゲーション装置10は、自動車40のハンドルの前に座る運転者を認識する運転者認識部52を更に具備してもよい。ナビゲーション装置10の電源が投入されると、運転者認識部52は、運転者を認識し、矢印60に示すように、ユーザのIDが運転者プロファイラ44に転送される。運転者は、種々の技術を使用して認識されてもよい。例えば、ユーザは、タッチスクリーン18上で選択されたユーザの名前により認識されてもよい。また、ユーザは、電話機によりナビゲーション装置10に送信された移動電話番号により認識されてもよい。自動車の鍵、無線タグチップ等の他の手段が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0042】
運転者の運転挙動を反映する、いわゆる運転挙動パラメータを記録する運転者レコーダ62が提供される。それら運転挙動パラメータの記録された値は、矢印63に示すように、運転者プロファイラ44に送信される。運転者レコーダ62は、運転者の運転挙動に関するデータを継続的に収集する。運転者プロファイラ44は、運転挙動パラメータを使用して、運転者プロファイルを構築又は有効な運転者プロファイルを修正する。運転挙動パラメータは、ルートをプログラムしていなくても収集できる。
【0043】
運転者プロファイルを構築するために記録され、運転者プロファイラ44に送信されてもよい可能な運転挙動パラメータは、以下の通りである。
1.加速係数:これは、所定の最大加速度により除算された車両の加速度の移動平均[m/s
2]である。
2.減速係数:これは、所定の最大減速度により除算されたブレーキ係数に対する車両の減速度の移動平均[m/s
2]である。
3.カーブ攻撃性係数(curve aggression factor):これは、所定の最大カーブ加速度により除算されたカーブの間のカーブ加速度の移動平均[m/s
2]である。
4.運転者が特定の管理区域(例えば、パリ、居住地、職場のある地区)を運転した回数。
【0044】
運転者が運転者認識部52により認識されると、運転者プロファイラ44は、メモリ素子12から対応する運転者プロファイルを読み出す。運転者がナビゲーション装置10を初めて使用する場合、運転者プロファイラ44は全く新しい運転者プロファイルを構築するか、あるいはナビゲーション装置10に既に格納されている事前設定プロファイルを適合させる。運転者プロファイラ44は、複数の運転者に対する運転者プロファイルを格納する可能性があり、自動的に又は手動でそれらを切り替える可能性を提供してもよい。運転者プロファイルは、別個のファイル又はデータベース構造に格納されてもよく、対応するユーザインデックスを与えることにより個々の運転者プロファイルをアドレス指定する可能性を与える。運転者プロファイルが無線タグID、移動電話番号又はID等の個人関連データ、あるいは指紋又はパスワード等のユーザを一意に選択するための異なる個人指標を含むことができるため、運転者プロファイルはそのデータによってもアドレス指定される。一実施形態において、ユーザは、画面18に示されるリストから自身のプロファイルを選択することにより手動で自分自身を識別する可能性を有してもよい。
【0045】
運転者プロファイルは、例えば、0から100の間の値を有する以下の運転者パラメータを1又は複数含んでもよい。
A.自宅の住所
B.運転者ID
C.誕生日
D.管理区域を訪れた回数
E.運転者が無視した出口の比率:0...100
F.運転者が左と右とを間違える:0...100
G.攻撃性(aggression)の度合い:0...100
H.移動電話番号
I.運転者が現在電話をしている:0(NO)又は100(YES)
J.運転状況の困難さのレベル0...100
K.運転者が居住地又は任意の最近の目的地においてナビゲーション命令を希望しない:0...100
L.現在の曜日による運転者の影響の受け易さ:0...100
M.時間帯による運転者の影響の受け易さ:0...100
【0046】
以下において、運転者パラメータ値が判定又は計算される方法を説明する。
A.自宅の住所:手入力された道路、都市、国。
B.運転者ID:名前又は番号又は個人コード。
C.誕生日:運転者により手入力される。
D.管理区域を訪れた回数:都市等の複数の所定の区域がメモリに格納され、運転者がそれら所定の区域のうちの1つの区域で運転する度にカウンタが増分される。
E.運転者が無視した出口の比率:100×忘れられた出口の数の移動平均/プログラムされたルートの出口の総数。
F.運転者が左を右と間違えたか又は右を左と間違えた曲がり角の比率:100×運転者が左折命令又は右折命令を誤って解釈した回数/所定の運転時間数(100時間に事前設定される)のスライディングウィンドウの間の曲がり角の総数。
G.攻撃性の度合い:100×(カーブ攻撃性係数+加速係数+減速係数)/3。
H.移動電話番号:手入力されるか又は移動電話から読み出される。
【0047】
I.出力命令が計画された時点で運転者が電話をしている:電話接続が有効である場合、SMSが読み出されるか又は音読される場合、あるいは任意の他の通話がシステムにより検出される場合、この値は100であり、それ以外の場合は0である。
【0048】
J.運転状況の困難さのレベル:(降雨係数(precipitation factor)+強風係数(wind factor)+道路状況係数(road condition factor)+交通係数(traffic factor))/4。式中、降雨係数は0(降雨なし)、20(雨)、60(雹)又80(雪)である。強風係数=0はBftの値の一次関数であり、この時は0Bftであり、100=8Bft以上である。道路状況係数は0(乾燥)、50(濡れている)、100(滑りやすい)であり、交通係数は0(順調)、40(平均的)、70(混雑)、100(渋滞)である。
【0049】
K.運転者が居住地(又は、任意の最近の目的地)においてナビゲーション命令を希望しない:このパラメータは計画された各目的地に対して最初は0に設定される。その後、その目的地から又はその目的地へルートを運転する度に、このパラメータは最終的に100に到達するまで5ずつ増加される。しかし、運転者がその目的地から又はその目的地へ運転しなかった日毎に1減少される。その結果、値は時間が経つにつれて0に到達し、0のままとなる。
【0050】
L.現在の曜日による運転者の影響の受け易さ:「事象」は、運転者のルートがプログラムされたルートと異なる場合に起きる。曜日と相関関係にある事象の相対分散(平均により除算された標準分散)は、以下のように計算される。
【0052】
この例において、Xは、日毎の事象の数を表し、Mは、全ての平日の平均であり、N=平日数(7)である。事象の分散が週の日に渡り同等に分割されると、この係数は0である。運転者が月曜日のみに間違いをした場合、この係数は100である。運転者が月曜日と火曜日のみに間違いをした場合、この値は64になる。係数2.65は倍率である。
【0053】
M.時間帯による運転者の影響の受け易さ:Gで説明した同一の式が使用される。Xは、1/4日(午前、午後、夕方、夜間)毎の事象の数を表し、Mは、全ての1/4日の平均であり、Nは1/4日の数(4)である。事象の分散が午前、午後、夕方、夜間に渡り同等に分割される場合、この係数は0である。運転者が夜間にのみ間違いをした場合、この係数は100である。運転者が午前及び夜間にのみ間違いをした場合、この値は64になる。
【0054】
図4に示す環境プロファイラ45は、環境パラメータと呼ばれる可能な関連した環境データを継続的にサンプリングする。可能な環境パラメータ及びそれらの値は以下の通りである。
A.進路の道路状況、値:(乾燥、濡れている、滑りやすい)
B.天候状況、値:(降雨なし/雨/雹/雪)及び(強風0〜100)(100は8Bft以上)
C.日光、値:(明るい、薄明かり、暗い)
D.時間帯、値:(午前、午後、夕方、夜間)
E.季節、値:(春、夏、秋、冬)
F.曜日、値:0〜6
【0055】
道路状況及び天候状況は、例えばリモートサーバから受信されてもよく、日光情報は、例えばナビゲーション装置10の地理的場所や光センサの少なくともいずれかを使用して判定されてもよい。時間帯、季節、曜日は、ナビゲーション装置10の内部クロック(不図示)により判定される現在時刻から差し引かれてもよい。
【0056】
ルートプロファイラ46は、ルートパラメータと呼ばれる可能な関連したルートデータを継続的にサンプリングするように構成される。可能なルートパラメータ及びそれらの値は以下の通りである。
1.進路の交通状況、値:(順調、平均的、混雑、渋滞)
2.道路の種類、値:(幹線道路、二級道路、市内の道路)
【0057】
交通状況は、例えば、リモートサーバ又は交通データ受信機から読み出されてもよい。矢印38に示すように、道路の種類は地図データベース39から読み出されてもよい。
【0058】
運転者がルートをプログラムすると、運転者がナビゲーション命令を無視するか又はルートを外れてその進路を自発的に変更する度に、運転者プロファイラ44は以下の1又は複数の「ナビゲーション応答パラメータ」を記録してもよい。
1.命令を逃す重要度:この値は、ルートに戻るための追加の距離を使用して計算されてもよい。
2.ナビゲーション命令を無視した後の通知時に運転者が実際に方向転換した回数(比率)。
3.GPSの場所、並びに実際の進路及び元の進路。これらはリモートサーバに送出される。多くの運転者が特定の場所において同一の問題を有する場合、地図データが誤っている可能性がある。リモートサーバはこれをデータベースシステムに格納できる。データベースシステムのエントリを手動で又は自動的に検査した後、このGPSの場所に対する地図データベースに欠陥があるか、あるいは地図データベースには他に不足しているものがあるという結論が得られる可能性がある。サーバは、地図データが新しいバージョンと置換されるまで、運転者が命令に従わなかった時に運転者プロファイルの更新を実行しないように、特定のGPSの場所は無視される必要があるというメッセージでナビゲーション装置10に応答できる。
4.現在の命令音量、値0〜100。
5.「可能であれば方向転換して下さい」という命令が与えられる回数。
6.GPS受信機及び/又はハンドル/ギアセンサからの速度(v)[m/s]。
7.運転者の居住地までの実際の距離。
8.居住地において右側通行に慣れている場合に左側通行をするか又はその逆[yes/no]
9.命令が「右」と言った時に運転者が左に進行した場合及びその逆の場合に運転者が誤った回数。
10.幹線道路の出口を逃した回数。
11.道路(左折/右折)を逃した回数。
12.自発的な方向転換(命令なしの左折又は右折)の回数。
13.命令が無視された時点でのGPS有効範囲及び精度、値:0=データなし、100=正確。
【0059】
一実施形態において、運転者が命令を無視するという事象は、タイムスタンプ及び場所等の追加のデータと共に記録される。ナビゲーション装置10は、運転者が実際の状況又は可能性として地図データの誤りにより混乱したと考えられる「分かり難い場所のリスト」を作成及び格納するように構成される。分かり難い場所のリストは、1年未満の事象のみが保持されるように自動的に整理されてもよい。このリストは、運転者がルートを運転する度に調査される。運転者がそのようなリストされた場所を運転する場合、ナビゲーション命令は、その場所がリストされた回数に基づいて更なる間違いを回避するように適応される。運転者がその場所で間違えた回数は、>=2である必要がある。その場合、運転者は適応された命令を必要とする。一実施形態において、運転者が分かり難い場所のリスト中の場所まで1km未満にいる間、運転者パラメータ「運転者が無視した出口の比率」及び「運転者が左を右と間違えたか又は右を左と間違えた曲がり角の比率」は、一時的に2と乗算される。運転者のプロファイルは、それら2つの運転者パラメータの値を増加することにより、更に多くの出力命令を必要とする「より自信のない」運転者のプロファイルに変更される。
【0060】
一実施形態に係る運転者プロファイラ44は、上述した1又は複数の運転挙動パラメータ及びナビゲーション応答パラメータを使用して運転者プロファイルを構築するように構成される。その後、構築された運転者プロファイルは、プロファイル/命令翻訳プログラム48に送出され、プロファイル/命令翻訳プログラム48は、後述するように、運転者プロファイルに基づいて生成された基本命令の集合を変換する。
【0061】
別の実施形態によると、ナビゲーション装置10は、運転者プロファイラ44を含まないが、その代わりに環境プロファイルを構築する環境プロファイラ45のみを含む。そのような環境プロファイル及びそのパラメータの例は以下の通りである。
A.進路の道路状況、値:(乾燥、濡れている、滑りやすい)
B.天候状況、値:(降雨なし/雨/雹/雪)及び(Bft.0=穏やか、100=Brt8以上の風力)
C.日光、値:(明るい、薄明かり、暗い)
D.時間帯、値:(午前、午後、夕方、夜間)
E.季節、値:(春、夏、秋、冬)
F.曜日、値:0=日曜日〜6=土曜日
【0062】
なお、この環境プロファイルは、上述の環境パラメータにより構成される。
図4の矢印55に示すように、環境プロファイルは、プロファイル/命令翻訳プログラム48に送出され、プロファイル/命令翻訳プログラム48は、環境プロファイルを使用して基本命令を変換する。
【0063】
更に別の実施形態において、ルートプロファイルのみが構築され、ルートプロファイラ46によりプロファイル/命令翻訳プログラム48に送出される。ルートプロファイルの一例は、上述の全てのルートパラメータを含む:
A.進路の交通状況、値:(順調、平均的、混雑、渋滞)
B.道路の種類、値:(幹線道路、二級道路、市内の道路)
【0064】
好適な一実施形態によると、運転者プロファイラ44は、矢印64に示すように、環境プロファイラ45から環境パラメータ値を受信し、矢印65に示すように、ルートプロファイラ46からルートパラメータ値を受信する。例えば、環境パラメータを運転挙動パラメータと組み合わせることにより、運転者プロファイラ44は、運転者がある特定の方法で行動する理由を「認識」できる。例えば、天候状況が極端であり且つ運転者が幹線道路を非常に低速で運転している場合、現在の運転者プロファイルが「慣れた運転者」プロファイルに変更されるようにそのプロファイルを適応させることは意味がない。そのような状況において、運転者プロファイルは修正されず、そのまま保持される。追加の環境パラメータは、雨等の外部の刺激に対する運転者の反応の仕方を認識するために使用され、その情報を運転者プロファイルに格納する。
【0065】
ルートプロファイラ46は、例えば、リモートサーバ又は交通データ受信機からデータを読み出すことにより交通状況をサンプリングするように構成される。
図4の矢印66に示すように、交通状況はルート計算モジュール41に送信されてもよい。当業者には周知であるように、交通状況66は交通渋滞等を考慮に入れたルートを再計算するために使用される。
【0066】
一実施形態によると、プロファイル/命令翻訳プログラム48は、メモリに格納されたプロファイルを調査し、基本命令をK個の命令に変換する。ここで、K=0、1、2、3...である。運転者が電話で会話中に出口を出る必要がある場合に、現在のプロファイルにより適切であるという状況において警告音等の追加の音を鳴らすことが可能である。
【0067】
別の実施形態において、プロファイル/命令翻訳プログラム48は、命令の標準的な集合の中の1つの命令を削除するように構成される。例えば、現在の道路が50km/hの道路であるという警告は、その道路をよく知っており且つ攻撃的でない運転者に対しては必要ない。
【0068】
更に別の実施形態において、プロファイル/命令翻訳プログラム48は出力命令を変更するように構成される。プロファイル/命令翻訳プログラム48は、例えば、出力命令を発するために使用される音声を変更してもよく、あるいは出力命令を発するために使用される音量を変更してもよい。更に、出力命令のタイミングが変更可能であってもよい。ナビゲーション命令は、命令の標準的な集合51において規定される前後いずれかにおいて与えられる。これは、交通が非常に混雑しており且つ車線変更がほぼ不可能である状況において有用である。そのような場合、運転者は先立って命令を受信してもよい。命令が与えられる地点と命令に関連付けられるルートの地点との間の距離は、プロファイルに基づいて変更されてもよい。例えば、天候が悪い場合や運転者が経験していない場合の少なくともいずれかにおいて、特定の命令は特定の交差点又は出口より非常に手前で与えられてもよい。特定の命令が与えられる方法は変更されてもよい。「左へ進行してください」のような命令は、運転者が幹線道路の出口の命令を無視する傾向又は忘れる傾向はないが、運転者が新しい近隣を運転しているために更に注意が必要であることを示す運転者プロファイルに対して、「左へ進行する必要があります」に変更されてもよい。命令を発するのに使用される音声は、更に注意が必要であることをプロファイルが示す場合、例えば、乱暴に運転している運転者が女性の音声により減速する可能性がある場合、男性から女性又は女性から男性に変更されてもよい。また、更に別の実施形態によると、使用される音声のイントネーションが変更される。運転中により友好的な調子であるか又は攻撃的な調子であるかは、時間帯又は曜日に影響を受けると考えられる。より攻撃的な音声は、以前の追加の命令が十分な効果を有さなかった場合、運転者が再び出口を逃したために有用であるか、あるいはルートから外れた時にそれを解決するための損失が相対的に高い場合に有用であろう。あるいは、命令の音量が変更されてもよい。最近出口を逃し且つ音量が相対的に小さい場合、音量は大きくされてもよい。運転者が出口を忘れた場合、追加の命令及び音が重要な出口に対して作成されてもよい。損失の大きい、すなわち修正するのに相対的に長いキロ数を必要とするそれら逃した出口に対して、命令は他の損失の少ない出口に対するものとは異なってもよい(例えば、より大きい音量であってもよい)。運転者が攻撃的でなく、運転者が命令に従うと考えられる場合(近隣を頻繁に運転する運転者等の場合)、音声命令を省いてもよい。運転者が自宅のある区域を頻繁に運転している場合、予告(前方を左折し、その後右折して下さい)は抑制されてもよく、全ての通知(前方を左折して下さい)を抑制し、全ての音声命令を抑制する。
【0069】
運転者が困難な運転状況にある場合(例えば、環境プロファイルが雨を示す場合)、予告は命令の標準的な集合51から削除されてもよい。運転者が時間帯又は曜日に影響を受け易い場合(全ての逃した命令がタイムスタンプと共にプロファイルにリストされるため、その情報を使用して予測される)、夜間、冬又は金曜の午後に出口を忘れたことが知られている運転者等に更に詳細な命令を与える。運転者が電話中の場合、音等を鳴らして更に注意を引いてもよい。運転者が左を右と間違えた場合、追加の命令が左右を強調するために与えられてもよい(例えば、「右へ急旋回してください」)。
【0070】
一実施形態において、出力命令が計画された時点で運転者が電話をしていることを運転者プロファイルが示す場合、出力命令の音量は増加される。あるいは、運転者が電話中に出口又は曲がり角を無視したり忘れたことがないことを運転者プロファイルが示す場合、音量は減少されてもよい。
【0071】
一実施形態において、運転者は自身のユーザプロファイルにおいて手動で選択することにより適応ナビゲーション命令を無効にする能力を有する。また、システムが適切に運転者に対処していないと運転者が考える場合、工場出荷時の設定にプロファイルを再設定する機会があってもよく、その結果として命令を提示するデフォルトの使用し易い方法を与える。
【0072】
図5、
図6及び表1を参照して、本発明の動作方法の一連の簡単化された詳細な例を以下に示す。
【0073】
表1は、「フィル」という名前の58歳の男性であり、またアムステルダムに住み、ハーグで働く運転者の運転者プロファイルの一例を示す。
図5を参照すると、フィルは、ルートアムステルダム−ハーグを移動したことがなく、そのルートには2つの幹線道路出口があり、更に自宅に戻るまでの道にも2つの幹線道路出口がある。
【0074】
例A:居住地又は最近の目的地付近における命令
各目的地に対する運転者パラメータ「運転者は居住地又は最近の地区においてナビゲーション命令を希望しない」は、最初に値0を有し、その結果、計算されたルートに対する出力命令の「初期」集合を得る。1週間、職場まで運転した後、例えば、運転者パラメータは5×5%/日=25の値を有する。1週間の休暇の後、値は、25−7×1%/日=18%に減少されるであろう。この値は、1年間平均的に働いてる間に100まで増加するであろう。所定の居住地までのルート及び最近の目的地までのルートがカウントされる。全ての目的地が自身のカウンタを有する。値0のカウンタを有する新しい目的地が追加される。
【0075】
プロファイル/命令翻訳プログラム48は、パラメータ「運転者は居住地又は最近の目的地においてナビゲーション命令を希望しない」の値を使用して、出力命令の初期集合と比較して出力命令の数を減少させてもよい。
【0076】
居住地に対する「運転者は居住地においてナビゲーション命令を希望しない」の所定の限度は、30%に事前設定されてもよいため、その結果、労働第2週目には43%となり、その限度を超える。従って、運転者が自身の居住する町の区域に入った場合に、生成される命令はより少ない。この区域を規定するマップポリゴンは、目的地及び居住地の都市のマップポリゴンが地図データに格納されるため、その地図データから得られる。省略される命令は、例えば「ロータリーにおいて左折して下さい」又は「目的に到着しました」の命令後の「第3の出口」であってもよい。
【0077】
フィルが更に数週間の休暇を取る場合、パラメータ「運転者は居住地においてナビゲーション命令を希望しない」の値は、徐々に限度を下回る可能性があり、自宅及び職場に対する命令は初期と同様になり、再び更に多くの命令が得られる。
【0078】
例B:出口を逃す
この例において、係数「運転者は曜日に影響を受け易い」及び「運転者は時間帯に影響を受け易い」の双方とも0である。逃した出口の数は、最初は0である。1週間、職場まで運転した後、フィルはこの期間に20個の出口を出て、1つも逃さなかった。従って、出口を逃すスコアは0%のままである。
【0079】
次の状況は、日曜日の夜のパーティーの後、次の日の月曜日の午前中のフィルを説明する。フィルは、標準的な命令を聞いたはずであるが、幹線道路の出口を逃した。その結果、「運転者は曜日に影響を受け易い」パラメータ及び「運転者は時間帯に影響を受け易い」パラメータは、双方とも100となる。フィルは21個の出口のうち1つを逃し、これは約4%のスコアである。次の日の午前中、フィルが再び出口を逃した場合、「運転者は曜日に影響を受け易い」パラメータは64に設定され、パラメータ「運転者は時間帯に影響を受け易い」は100のままである。また、フィルは22個の出口のうち2つを逃し、これは9%のスコアである。ここでは、8%の所定の限度が存在し、これによりアルゴリズムが逃した出口に対して適応命令を生成できる。
【0080】
逃した出口スコアが月曜日には4%であったため、火曜日の午前中の命令は、月曜日と同一であった。命令は適応されなかった。
【0081】
水曜日の午前中の命令は火曜日とは異なる。これは、フィルは出口の9%を逃し、これは限度の8%を上回るためである。パラメータ「運転者は時間帯に影響を受け易い」が100%であり、所定の限度が50%であるため、「前方の出口を出て下さい」、「100メートル先の出口を出て下さい」、「この出口を忘れずに出て下さい」等の追加の命令が与えられてもよい。
【0082】
自宅に向かって運転中の次の月曜日及び火曜日の夜間の命令は、午前中ではないが月曜日又は火曜日であるため、この水曜日の午前中と同一である。月曜日及び火曜日は双方とも逃した出口スコア1を有し、その結果、「運転者は曜日に影響を受け易い」のスコアは64%となる。そのレコードに対して、フィルは水曜日に1つの出口を逃した場合、「運転者は曜日に影響を受け易い」のスコアは47%に減少する。その結果、逃した出口に対して更なる追加の命令はない。
【0083】
例C:フィルは円滑に運転する
この例において、長期間、フィルは職場まで運転している。ガソリンの価格を意識して、フィルは車両を円滑に加速し、ブレーキの前にアクセルを解放する。加速度[m/s
2]は、速度が0[m/s]の時と速度が初めて最大速度の90%になった時との間で測定される。これは、100個の連続したサンプル等の所定の数のサンプルと共に移動平均として格納される。フィルは、約15秒で0から50[km/h]に円滑に運転し、それによる平均加速度は0.93[m/s
2]である。この値は、移動平均アルゴリズムに対して格納される。100個のサンプルが格納され、新しいサンプルが到着すると、最も古いサンプルが除去される。加速度攻撃性の最小限度は0.5[m/s
2]であってもよく、最大限度は5.0[m/s
2]であってもよい。これが第1のサンプルであるため、この時点でフィルの平均は0.93である。フィルは(0.93−0.5)/(5.0−0.5)=約9%の加速度攻撃性係数を有する。フィルがスピードを出したい気分の時、5秒で0から50[km/h]になる可能性があり、それによる加速度は2.8[m/s
2]である。この時点でフィルの平均は約1.85[m/s
2]であり、それによる新しい加速度攻撃性パラメータ値は30%である。
【0084】
ブレーキを使用する場合、同一の減速度攻撃性係数が計算及び処理される。加速度は負になるが、値の処理は上記加速度攻撃性パラメータと同一である。ここで、フィルはアクセルペダルと同様にブレーキを使用すると仮定すると、減速度攻撃性は30%となる。
【0085】
カーブの場合、30度を超える全てのカーブに対して、速度及びカーブの半径は測定され、向心加速度[m/s
2]に変換され、更に移動平均に格納される。フィルは、カーブを円滑に曲がることによりゴムタイヤに関する保守費用を節約する。アムステルダムにおいて、半径70[m]のロータリー(地図データから得られる)を50[km/h]で運転する。その結果、向心加速度は2.8[m/s
2]となる。加速度攻撃性の最小限度は1[m/s
2]と規定されてもよく、最大限度は10[m/s
2]と規定されてもよいため、フィルは(2.8−1)/(10−1)=20%のカーブ攻撃性パラメータ値を有する。フィルが半径35[m]の小さなロータリーを同一速度で運転する場合、50%のスコアを有するであろう。それら値は移動平均に格納され、後で調査される。
【0086】
フィルの3つの攻撃性係数(加速度、減速度、カーブ加速度移動平均)の応用例は、それら係数の平均値に基づいて現在の運転者を「慣れた」、「平均的」又は「乱暴」に分類することである。攻撃性係数に対する値の低帯域は、慣れた運転者に対する0%〜30%であってもよく、中間帯域は「平均的」な運転者に対する30%〜70%であってもよく、高帯域は「乱暴」運転者に対する70%〜100%であってもよい。フィルは、加速度攻撃性係数30%、減速度攻撃性30%、カーブ加速度攻撃性係数20%の平均が27%であるため「慣れた」運転者に分類される。
【0087】
フィルの平均が影響を受けないようないくつかの例外がある。環境プロファイラ46が現在の交通状況が「混雑」であること又は道路状況が「滑りやすい」こと、あるいは天候状況が「嵐」であることを運転者プロファイラ44に対して示す場合、測定された値は処理されなくてもよい。その理由は、それが本来の挙動ではなく、外部の刺激が原因となる挙動であるためである。個人の運転者プロファイルを構築する場合、外部の刺激のそれら値に対する影響は最小限であるべきである。また、GPSの有効範囲及び精度が特定の受け入れ可能な限度を下回る場合、その「観察された挙動」がGPS受信機23の不適切な位置特定の誤りによるものであると考えられるため、運転者プロファイルは変更されない。
【0088】
最後に、フィルの「慣れた運転者」への分類(すなわち、相対的に小さい攻撃性係数)により、以下のような種々のナビゲーション命令が与えられる。フィルは、スピードを出すこと又は乱暴に運転することを好まないため、命令に反応する時間を確保するために命令を何度も通知して欲しいと考えるであろう。例えば、「800メートル先の出口を出て下さい」という幹線道路を離れるための標準的な命令は、「前方の出口を出て下さい」、「出口を出るために右車線を使用して下さい」又は「前方出口です。徐々に速度を落とし、右車線を選択して下さい」と通知されてもよい。更に、ロータリーに接近している場合、フィルは、「ロータリーで左折して下さい。3番出口です」に加え「右車線を安全に使用できます」という追加の命令が与えられてもよい。フィルが「平均的」に分類される場合、命令の変更は適用されない。フィルが「乱暴」の分類に従って運転する場合、命令に対するある特定の地点に接近していく時と到着時との間の短時間に命令が発声できない可能性があるため、フィルが得る命令はより少ないであろう。フィルは、「乱暴」として運転中、「100メートル先を左折して下さい」、「ロータリーで左折して下さい」のような短くて明確な命令を必要とするであろう。
【0090】
例D:フィルは特定の場所において特定の命令を無視する
フィルは居住地において川沿いを運転するのを好むため、ある目的地に向けて運転する場合、余分な時間がそれ程かからなければ、ある期間川沿いを行くルートを好む。これは、フィルが毎日同一の場所であるナビゲーション命令を繰り返し無視することを意味する。それは数分かかるだけであり、数百メートル余分に走るだけである。この例において、
図5に示すように、フィルは職場まで運転し、提案された命令はロータリーをまっすぐ進むことである。フィルは、河岸のルートを好み、ロータリーを右に進む。この特定の場所でこの特定の命令を無視する回数はカウントされる。この回数が10回等の特定の所定の限度を超えると、妥当な代替ルートを有することを示すための目印がその場所に付けられる。迂回路に必要な余分な時間が所定の限度10%の余分な時間又は余分な距離より少ない場合にこの目印は付けられる。次にフィルが職場に行く時に同一の命令が画面上に与えられるが、フィルはそれら命令を無視する可能性が高いため、ロータリーに接近する時にそれら命令は発声されない。フィルはこの小さな迂回に個人的な好みを有するため、命令は煩わしいであろう。
【0091】
一実施形態によると、各基本命令はK個の出力命令に変換される。ここで、K>=0であり且つKは1又は複数のプロファイルのデータに基づいている。K=0の場合、1つの基本命令が削除されることを意味する。K=1の場合、1つの基本命令が1つの出力命令に変換されることを意味する。K>1の場合、1つの基本命令が1又は複数の出力命令に変換されることを意味する。一例を使用して、本実施形態を説明する。
図6を参照してその例を説明する。
図6において、アムステルダム内の出発地Aから目的地Bまでのルート80を示す。AからBまでのルート80は、ルート計算モジュール41により計算され、道路ベクトル及び座標を記述するデータの集合として命令モジュール42に送出される。命令モジュール42は、基本命令の集合を生成するためにそのデータの集合を使用する。この例において、基本命令の集合は以下のようなものである。
・START
・20m RIGHT
・300m U−TURN
・230m RIGHT
・900m LEFT
・150m RIGHT
・55m RIGHT
・75m FINISH
・STOP
【0092】
この基本命令の集合51は、ルート80及び地図データから取得される。これは、人による命令を含まないが、ルート80を記述する最も短い形式を含む。
図4の矢印57に示すように、プロファイル/命令翻訳プログラム48は基本命令を出力命令に変換する。基本命令を翻訳(すなわち、変換)するために、データベース70に格納された人による可能な命令は基本命令と組み合わされる。この例において、ある期間に渡りプロファイル/命令翻訳プログラム48により生成され、運転する距離を監視することにより与えられる出力命令は、少なくとも以下のようなものである。
・右折して下さい
・Uターンして下さい
・右折して下さい
・左折して下さい
・右折して下さい
・右折して下さい
・目的地に到着しました
【0093】
図6の上部に示されるように、ルート80は交差点がないがすぐに右にカーブする。運転者は、このカーブに対する命令がないことに困惑するかもしれない。しかし、ナビゲーション装置10は、それら「自然なカーブ」に対する出力命令が基本命令「右折して下さい」及び「左折して下さい」に存在するため、それら出力命令を与えなくてもよい。運転者プロファイルに基づいて、それら自然なカーブが示されてもよい(K>1)。また、追加の(すなわち、K>1)命令は、例えば小さい攻撃性係数を含む運転者プロファイルを有する運転者に与えられる。それら運転者は安全運転を好むため、可能な限り多くの命令を欲しがるであろう。そのような運転者は、相対的に高い年齢(例えば、年齢>60)の運転者又は危険性を回避したい運転者(「慣れた」運転者に分類される運転者)である。この例において、出力命令は以下のようなものである。
【0094】
・[ここで]右折して下さい
・[ここで右折して下さい。道なりです]
・[再度右折して下さい。道なりです]
・200メートル先でUターンして下さい[その後、突き当たりで右折して下さい]
・[ここで]Uターンして下さい[その後、突き当たりで右折して下さい]
・突き当たりで右折して下さい[その後、左車線を走行して下さい]
・[ここで]右折して下さい[その後、左車線を走行して下さい]
・[前方を左折して下さい]
・200メートル先を左折し、その後右折して下さい
・左折して下さい[その後右折して下さい]
・右折して下さい[その後右折して下さい]
・右折して下さい[その後、目的地に到着します]
・目的地に到着しました
【0095】
上記において、大括弧内のテキストは、「運転者が無視した出口の比率」パラメータの値が大きいか又は「運転者が左を右と間違えたか又は右を左と間違えた曲がり角の比率」パラメータの値が大きい運転者に与えられる。
【0096】
運転者プロファイルにおける「運転者が無視した出口の比率」パラメータの値が更に大きいか又は「運転者が左を右と間違えたか又は右を左と間違えた曲がり角の比率」パラメータの値が更に大きい運転者に対して、追加の命令(K>1)が挿入されてもよい。
・[ここで必ず]右折して下さい
パラメータ「運転者が左を右と間違えたか又は右を左と間違えた曲がり角の比率」に対する値が大きい(例えば、>80)ことにより示されるように、左右を混同すると考えられる運転者に対する追加の命令は以下の通りである。
・欧州において:右折して下さい[これは急カーブです]
・英国において:右折して下さい[これは緩やかなカーブです]
・欧州において:左折して下さい[これは緩やかなカーブです]
・英国において:左折して下さい[これは急カーブです]
【0097】
本発明の特定の実施形態を上述したが、本発明が上述以外の方法で実施されてもよいことが理解されるであろう。例えば、本発明は、上述のような方法を記述する機械可読命令の1又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム又はそのようなコンピュータプログラムを格納するデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。全てのソフトウェアコンポーネントがハードウェアコンポーネントとして形成されてもよいことは、当業者には理解されるであろう。
【0098】
上記説明は例を示すことを意図しており、限定することを意図しない。従って、以下に示す請求の範囲から逸脱せずに、上述した本発明に対して変更が行なわれてもよいことは当業者には明らかであろう。