(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高電位側素子および前記低電位側素子が高電位側電源バスと低電位側電源バスとの間にハーフブリッジ接続される、請求項1に記載のボンドワイヤレス電源モジュール。
それぞれが、高電位側素子のエミッタおよびアノードノードを低電位側素子のコレクタおよびカソードノードと結合させる共通出力パッドと、前記高電位側素子のコレクタを前記高電位側素子のカソードに接続させる高電位側導電性クリップと、前記低電位側素子のエミッタを前記低電位側素子のアノードに接続させる低電位側導電性クリップとを含むU相、V相、およびW相を備え、
前記U相の前記高電位側導電性クリップにより、電流が前記U相の前記高電位側導電性クリップおよび高電位側電源パッドを介して前記V相の前記高電位側導電性クリップに流れ、
前記U相の前記低電位側導電性クリップにより、電流が前記U相の前記低電位側導電性クリップおよび低電位側電源パッドを介して前記V相の前記低電位側導電性クリップに流れ、
前記U相の前記共通出力パッドが、基板表面上で前記高電位側電源パッドに横方向に隣接して設けられるボンドワイヤレスの三相モータ駆動用インバータモジュール。
前記V相の前記高電位側導電性クリップにより、電流が前記V相の前記高電位側導電性クリップおよび他の高電位側電源パッドを介して前記W相の前記高電位側導電性クリップに流れる、請求項12に記載のボンドワイヤレスの三相モータ駆動用インバータモジュール。
前記V相の前記低電位側導電性クリップにより、電流が前記V相の前記低電位側導電性クリップおよび他の低電位側電源パッドを介して前記W相の前記低電位側導電性クリップに流れる、請求項12に記載のボンドワイヤレスの三相モータ駆動用インバータモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は三次元の電流経路制御を採用したボンドワイヤレス電源モジュールを得ることを目的とする。以下の説明は、この発明の実施に関する特定の情報を含む。当業者は、本出願において特定して説明された態様とは異なる態様で本発明を実施してもよいことを認識するであろう。また、本発明を不明瞭にしないよう、本発明の特定の詳細については、説明を一部省略する。本出願において記載されない特定の詳細は、当業者の知識の範囲内のものである。
【0008】
本出願の図面およびこれに付随する詳細な説明は、単に本発明の例示的な実施形態を示すためのものである。簡潔に保つため、本発明の原理を用いる本発明の他の実施形態は、本出願においては特に記載せず、図面にも特に示さない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による三相モータ駆動用インバータ100(本出願においては、単に「モータ駆動用インバータ」とも呼ぶ)の例示的な回路図を示す。モータ駆動用インバータ100は、高電位側素子102a、102b、および102c、ならびに低電位側素子102d、102e、および102fを含み、これらは本明細書において素子102a〜102fのように単に素子とも呼ぶ。
【0010】
この実施形態において、素子102a〜102fはそれぞれ環流ダイオードを含み、この環流ダイオードは対応する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)に並列に接続される。例えば、高電位側素子102aはIGBT104aおよびダイオード106aを含み、高電位側素子102bはIGBT104bおよびダイオード106bを含み、高電位側素子102cはIGBT104cおよびダイオード106cを含み、低電位側素子102dはIGBT104dおよびダイオード106dを含み、低電位側素子102eはIGBT104eおよびダイオード106eを含み、低電位側素子102fはIGBT104fおよびダイオード106fを含む。素子102a〜102fはそれぞれIGBTを電源スイッチとして備えるが、実施形態によっては各素子102a〜102fはパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の他の素子を含みうる。例えば、ある実施形態においては、IGBT104aをMOSFETに置き換え、ダイオード106bをこのMOSFETの内蔵ダイオードとすることができる。また、ある実施形態においては、素子102a〜102fがダイオード106a〜106fを含まなくともよく、あるいはダイオード106a〜106f以外の電気素子を含んでもよい。
【0011】
モータ駆動用インバータ100は高電位側電源バス108および低電位側電源バス110を有する。高電位側電源バス108は高電位側電源電圧を高電位側電源バス108にわたって供給するための電源端子V
H1およびV
H4を備える。低電位側電源バス110は低電位側電源電圧を低電位側電源バス110に供給するための電源端子V
L1およびV
L4を備える。
【0012】
この実施形態において、モータ駆動用インバータ100はモータの制御に使用可能な三相モータ駆動用インバータである。
図1において、モータ駆動用インバータ100のU相は素子102aおよび102dを含み、これらは出力端子U
outが素子102aと102dの間に接続された状態で高電位側電源バス108と低電位側電源バス110の間にハーフブリッジ接続される。同様に、モータ駆動用インバータ100のV相は素子102bおよび102eを含み、これらは出力端子V
outが素子102bと102eの間に接続された状態で高電位側電源バス108と低電位側電源バス110の間にハーフブリッジ接続される。また、モータ駆動用インバータ100のW相は素子102cおよび102fを含み、これらは出力端子W
outが素子102cと102fの間に接続された状態で高電位側電源バス108と低電位側電源バス110の間にハーフブリッジ接続される。
【0013】
モータ駆動用インバータ100はさらに高電位側ゲート端子G
H1、G
H2、およびG
H3、ならびに低電位側ゲート端子G
L1、G
L2、およびG
L3(本明細書においてはゲート端子G
H1、G
H2、G
H3、G
L1、G
L2、およびG
L3とも呼ぶ)を含み、各ゲート端子は、
図1に示すようにそれぞれIGBT102a〜102fの対応するゲートに接続する。当該技術分野において周知であるように、ゲート端子G
H1、G
H2、G
H3、G
L1、G
L2、およびG
L3を用いてIGBT102a〜102fを選択的にオン(enable)/オフ(disable)することができる。
【0014】
図1はコレクタ/カソードノード114a、114b、114c、114d、114e、および114fならびにエミッタ/アノードノード112a、112b、112c、112d、112e、および112fを示す。コレクタ/カソードノード114a、114b、および114cはそれぞれ高電位側電源バス108に接続され、エミッタ/アノードノード112d、112e、および112fはそれぞれ低電位側電源バス110に接続される。また、
図1に示すように、エミッタ/アノードノード112aはコレクタ/カソードノード114dに接続され、エミッタ/アノードノード112bはコレクタ/カソードノード114eに接続され、エミッタ/アノードノード112cはコレクタ/カソードノード114fに接続される。
【0015】
この実施形態では3相のモータ駆動用インバータであるが、他の実施形態においてはこれより多い、または少ない相のものであってもよい。さらにまた、実施形態によっては、三相インバータ100はモータ駆動用インバータ以外の回路であってもよい。
【0016】
モータ駆動用インバータ100は従来、基板上方のダイ間を電気的に接続することにより実装することができた。例えば、合計12個の個別のダイがIGBT102a〜102fおよびダイオード106a〜106fをそれぞれ含むことができた。たとえダイが高性能であっても、モータ駆動用インバータ100の性能はダイの接続方法により制限されうる。従来のアプローチでは、モータ駆動用インバータ100は、基板上に形成された導電線にダイをワイヤボンディングしてダイ間を接続することにより形成される。このため、従来のアプローチでは基板上で基本的に二次元の電流経路制御が採用される。しかしながら、従来のアプローチを用いると、
図1に示すように、モータ駆動用インバータ100は多数のダイを含み、さらに、ダイへの、またはダイ間の接続部が多いため、モータ駆動用インバータ100の設計およびレイアウトは複雑になる。このため、基板上における導電線の配線経路が長くなってしまい、誘導性が高いのみならず非対称な電流経路となりうるため望ましくない。また、基板上に多数の導電線の経路制御があることにより、導電線を十分に太くすることが困難になる可能性がある。したがって、従来のアプローチを採用すると、モータ駆動用インバータ100の設置面積が広くなり、電力密度が低くなるうえに、性能が悪くなる可能性がある。
【0017】
次に
図2を参照すると、
図2は本発明の一実施形態による、基板216上方の例示的な高電位側素子202aの断面図を示す。
図2において、高電位側素子202aは
図1の高電位側素子102aに対応する。高電位側素子202aは、
図1のIGBT104aおよびダイオード106aにそれぞれ対応するIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aを有する。高電位側素子202aはさらに高電位側導電性クリップ218a(本明細書において、導電性クリップ218aとも呼ぶ)を含む。
【0018】
図2は、基板216上方の高電位側素子202aと、基板216上に位置する高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、高電位側ゲートパッドG
H1、ならびに共通出力パッドU
outとを示す。高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、高電位側ゲートパッドG
H1、ならびに共通出力パッドU
outはそれぞれ銅などの導電性材料からなる。この実施形態において、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、高電位側ゲートパッドG
H1、ならびに共通出力パッドU
outは銅直接接合(DBC:Direct Bonded Copper)基板の導電性のパッドからなる。基板216は、例えばセラミック、または他の基板材料からなる。また、実施形態によっては、絶縁性材料232および導電性材料234を導電性クリップ218a上方に備えることもできる。例えば、絶縁性材料232はセラミックからなり、導電性材料234は絶縁性材料232に接合された銅からなってもよい。これにより、IGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aを上下両面から冷却することができる。なお、実施形態によっては絶縁性材料232および導電性材料234を含まない場合もある。
【0019】
図2において、IGBTダイ204aはダイオードダイ206aに並列に接続されている。導電性クリップ218aは、高電位側素子202aのコレクタ220aを高電位側素子202aのカソード224aに接続する。この実施形態において、導電性クリップ218aはIGBTダイ204aの上面を介してコレクタ220aに電気的に接続され、ダイオードダイ206aの上面を介してカソード224aに電気的に接続される。導電性クリップ218aは銅などの金属または他の導電性材料で形成することができ、
図1の高電位側電源バス108に対応する高電位側電源バスの一部である。共通出力パッドU
outは高電位側素子202aのエミッタ222aと高電位側素子202aのアノード226aとを電気的に接続する。共通出力パッドU
outは、IGBTダイ204aの下面を介してエミッタ202aに電気的に接続され、ダイオードダイ206aの下面を介してアノード226aに電気的に接続される。こうして、共通出力パッドU
outは
図1のエミッタ/アノードノード112aに対応する高電位側素子202aのエミッタ/アノードノードを接続する。
図2には示さないが、共通出力パッドU
outは、高電位側素子202aのエミッタ/アノードノードを、
図1における低電位側素子102dのコレクタ/カソードノード114dに対応する低電位側素子のコレクタ/カソードノードに結合する。
【0020】
また
図2に示すように、高電位側ゲートパッドG
H1は
図1の高電位側ゲート端子G
H1に対応しうる。高電位側ゲートパッドG
H1は高電位側素子202aのゲート228aに電気的に接続する。より詳しくは、高電位側ゲートパッドG
H1はIGBTダイ204aの下面を介してゲート228aに電気的に接続される。
【0021】
図2において、導電性クリップ218aは高電位側電源パッドV
H1とV
H2とを接続している。より詳しくは、導電性クリップ218aは脚部230aを介して高電位側電源パッドV
H1に電気的に接続し、導電性クリップ218aは脚部230bを介して高電位側電源パッドV
H2に電気的に接続する。このため、導電性クリップ218aおよび高電位側電源パッドV
H1およびV
H2は、電流が導電性クリップ218aに流れるような電流経路236をもつ。この実施形態においては、共通出力パッドU
out、IGBTダイ204a、ダイオードダイ206a、および高電位側ゲート電極G
H1の上方で電流を導電性クリップ218aに流すことができる。こうして、電流経路236は、基板216の上方で三次元的に経路制御される。またこの実施形態において、導電性クリップ218aにより、電流が導電性クリップ218aを経由して、
図2に示されない、高電位側電源パッドV
H2に電気的に接続する別の電源モジュールの別の高電位側導電性クリップに流れる。電流経路236を設けることにより、基板216の上方で多数のダイが接続されていても、モータ駆動用インバータ100のような回路の設計およびレイアウトを大幅に簡素化することができる。
【0022】
この実施形態において、高電位側素子202aは、
図1のIGBT104aおよびダイオード106aをそれぞれ別個のダイ(すなわちIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206a)として実装する。しかしながら実施形態によっては、ダイオード106aはIGBT104aと単一のダイ上にモノリシック集積される。一実施形態において、ダイオードダイ106aは単一ダイの後方に形成される。この単一ダイは
図2のIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aと同様に接続される。さらに上述したように、実施形態によってはIGBT104aをMOSFETに置き換える。この場合、高電位側素子202aはダイオード106aに並列のMOSFETを備えることができる。このように、実施形態によってはIGBTダイ204aをIGBTダイ204aと同様に接続されるMOSFETダイに置き換えることができる。一実施形態において、ダイオード106aはMOSFETの内蔵ダイオードであってもよい。別の実施形態において、ダイオード106aは内蔵ダイオードではなく、MOSFETと単一ダイ上にモノリシック集積される。この単一ダイは
図2のIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aと同様に接続することができる。
【0023】
図2は、
図1の高電位側素子102aに対応する高電位側素子202aを図示したものであるが、高電位側素子102bおよび102cも高電位側素子102aと同様であるため、簡略化のため
図2では図示および説明を省略する。同様に、低電位側素子102d、102e、および102fも簡略化のため図示および説明を省略する。
【0024】
次に
図3Aおよび3Bを参照すると、
図3Aおよび3Bは、本発明の一実施形態によるボンドワイヤレスの三相モータ駆動用インバータモジュール300(本明細書において「モータ駆動用インバータモジュール」または「三相モータ駆動用電源モジュール」等とも呼ぶ)の上面図を示す。
図3Aおよび3Bは、
図2の基板216に対応する基板316を示す。
図3Aにおいて、基板316上方の高電位側素子302a、302b、および302cならびに低電位側素子302d、302e、および302fは、それぞれ
図1の高電位側素子102a、102b、および102cならびに低電位側素子102d、102e、および102fに対応する。このため、
図3Bにおいて、IGBTダイ304a、304b、304c、304d、304e、および304fは、それぞれ
図1のIGBT104a、104b、104c、104d、104e、および104fに対応し、ダイオードダイ306a、306b、306c、306d、306e、および306fは、それぞれ
図1のダイオード106a、106b、106c、106d、106e、および106fに対応する。したがって、各IGBTダイ304a、304b、304c、304d、304e、および304fは、それぞれダイオードダイ306a、306b、306c、306d、306e、および306fのうちの一つに並列に接続される。
【0025】
図3Aおよび3Bにおいて、三相モータ駆動用インバータモジュール300はU相、V相、およびW相を含む。U相は、高電位側および低電位側素子302aおよび302dならびに導電性クリップ318aおよび318dを備えた電源モジュールを含む。V相は、高電位側および低電位側素子302bおよび302eならびに導電性クリップ318bおよび318eを備えた電源モジュールを含む。W相は、高電位側および低電位側素子302cおよび302fならびに導電性クリップ318cおよび318fを備えた電源モジュールを含む。この実施形態では三相モータ駆動用インバータモジュールであるが、別の実施形態ではこれより多い、または少ない相のものであってもよい。さらにまた、実施形態によっては、電源モジュール300をモータ駆動用インバータ以外の回路で構成することもできる。
【0026】
図3Aおよび3Bにおいて、高電位側素子302aは
図2の高電位側素子202aに対応する。より詳しくは、
図3Aおよび3Bの断面2―2は、
図2に示す断面図に対応する。そのため、高電位側導電性クリップ318aは
図2の高電位側導電性クリップ218aに対応する。さらに、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、高電位側ゲートパッドG
H1、ならびに共通出力パッドU
outは、それぞれ
図2の高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、高電位側ゲートパッドG
H1、ならびに共通出力パッドU
outに対応する。また、電流経路336は
図2の電流経路236に対応する。なお、
図3Aおよび3Bにおいては、
図2に示した任意に設けることができる絶縁性材料232および導電性材料234に対応する構成要素を図示しない。
【0027】
図3Bは三相モータ駆動用インバータモジュール300の透過平面図を示し、基板316上の高電位側ゲートパッドG
H1、G
H2、およびG
H3、低電位側ゲートパッドG
L1、G
L2、およびG
L3、高電位側電源パッドV
H1、V
H2、V
H3、およびV
H4、低電位側電源パッドV
L1、V
L2、V
L3、およびV
L4、ならびに共通出力パッドU
out、V
out、およびW
outのレイアウトを示す。例えば、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2は、
図3Bの導電性クリップ318aと重なる領域において、それぞれ導電性クリップ318aの下に位置し、これに電気的に接続される。
図2において、これらの電気接続は、それぞれ脚部230aおよび230bにより容易となっている。
【0028】
図3Bはまた、
図2の導電性クリップ318aの下に位置し、
図2のIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aに対応するIGBTダイ304aおよびダイオードダイ306aを示す。高電位側ゲートパッドG
H1は、
図3BのIGBTダイ302aと重なる領域において、IGBTダイ302aの下に位置し、これに電気的に接続される。
図2において、この電気接続はIGBTダイ204aの下面を介したゲート228aに対するものとして示される。同様に、共通出力パッドU
outは
図3BのIGBTダイ302aおよびダイオードダイ206aと重なる領域において、IGBTダイ304aおよびダイオードダイ306aの下に位置し、これらに電気的に接続される。
図2において、これらの電気接続はIGBTダイ204aおよびダイオードダイ206aの下面を介したそれぞれエミッタ222aおよびアノード226aへのものとして示される。
【0029】
この実施形態において、高電位側素子302bは高電位側素子302aと同様である。例えば、高電位側素子302bは高電位側ゲートパッドG
H2、高電位側電源パッドV
H2およびV
H3、ならびに共通出力パッドV
outに接続されるが、これは
図2、3A、および3Bにおける高電位側ゲートパッドG
H1、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、ならびに共通出力パッドU
outにそれぞれ接続される高電位側素子302aについて図示および説明されるのと同様である。そのため、例えば導電性クリップ318aは高電位側電源パッドV
H2を介して導電性クリップ318bに電気的に接続される。さらに、導電性クリップ318bにより、共通出力パッドV
outの上方で電流を導電性クリップ318bに流すことができる。
【0030】
また、高電位側素子302cは高電位側素子302aおよび302bと同様である。例えば、高電位側素子302cは高電位側ゲートパッドG
H3、高電位側電源パッドV
H3およびV
H4、ならびに共通出力パッドW
outに接続されるが、これは
図2、3A、および3Bにおける高電位側ゲートパッドG
H1、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、ならびに共通出力パッドU
outにそれぞれ接続される高電位側素子302aについて図示および説明されるのと同様である。そのため、例えば導電性クリップ318bは高電位側電源パッドV
H3を介して導電性クリップ318cに電気的に接続される。さらに、導電性クリップ318cにより、共通出力パッドW
outの上方で電流を導電性クリップ318cに流すことができる。
【0031】
またこの実施形態において、低電位側素子302dは低電位側ゲートパッドG
L1、低電位側電源パッドV
L1およびV
L2、ならびに共通出力パッドU
outに接続されるが、これは
図2、3A、および3Bにおける高電位側ゲートパッドG
H1、高電位側電源パッドV
H1およびV
H2、ならびに共通出力パッドU
outにそれぞれ接続される高電位側素子302aについて図示および説明されるのと同様である。そのため、導電性クリップ318dにより、共通出力パッドU
outの上方で電流を導電性クリップ318dに流すことができる。しかしながら、低電位側素子302dは、共通出力パッドU
outが、高電位側素子302aについて説明されるようにエミッタ/アノードノードではなく低電位側素子302dのコレクタ/カソードノードに電気的に接続されている。このコレクタ/カソードノードは
図1のコレクタ/カソードノード114dに対応する。また、導電性クリップ318dは低電位側素子302dのエミッタを低電位側素子302dのアノードに接続しているが、これは高電位側素子302aのコレクタを高電位側素子302aのカソードに接続する導電性クリップ318aと対照的である。実施形態によっては、上記接続は、共通出力パッドU
outをIGBTダイ304dおよびダイオードダイ306dのそれぞれの下面を介して低電位側素子302dのコレクタおよびカソードに接続し、導電性クリップ318dをIGBTダイ304dおよびダイオードダイ306dのそれぞれの上面を介して低電位側素子302dのエミッタおよびアノードに接続することにより実現される。このように、共通出力パッドU
outは高電位側素子302aのエミッタ/アノードノードを低電位側素子302dのコレクタ/カソードノードに結合し、高電位側および低電位側導電性クリップ318aおよび318dの下に位置する。
【0032】
さらに、この実施形態において、低電位側素子302eおよび302fはいずれも低電位側素子302dと同様である。例えば、低電位側素子302eは低電位側ゲートパッドG
L2、低電位側電源パッドV
L2およびV
L3、ならびに共通出力パッドV
outに接続されるが、これは低電位側ゲートパッドG
L1、低電位側電源パッドV
L1およびV
L2、ならびに共通出力パッドU
outのそれぞれに接続される低電位側素子302dについて説明されるのと同様である。このため、例えば、導電性クリップ318dは低電位側電源パッドV
L2を介して導電性クリップ318eに電気的に接続される。さらに、導電性クリップ318eにより、共通出力パッドV
outの上方で電流が導電性クリップ318eに流れる。
【0033】
また、低電位側素子302fは低電位側ゲートパッドG
L3、低電位側電源パッドV
L3およびV
L4、ならびに共通出力パッドW
outに接続されるが、これは低電位側ゲートパッドG
L1、低電位側電源パッドV
L1およびV
L2、ならびに共通出力パッドU
outのそれぞれに接続される低電位側素子302dについて説明されるのと同様である。このため、例えば導電性クリップ318eは低電位側電源パッドV
L3を介して導電性クリップ318fに電気的に接続される。さらに、導電性クリップ318fにより、共通出力パッドW
outの上方で電流が導電性クリップ318fに流れる。
【0034】
共通出力パッドU
out、V
out、およびW
outはそれぞれ
図1の出力端子U
out、V
out、およびW
outに対応しうる。このため、三相モータ駆動用インバータモジュール300では、共通出力パッドU
outにより高電位側素子302aのエミッタ/アノードノードが低電位側素子302dのコレクタ/カソードノードに結合される。該エミッタ/アノードノードは、
図1のエミッタ/アノードノード112aに対応し、該コレクタ/カソードノードは同図のコレクタ/カソードノード114dに対応しうる。また、共通出力パッドV
outにより高電位側素子302bのエミッタ/アノードノードが低電位側素子302eのコレクタ/カソードノードに結合される。該エミッタ/アノードノードは
図1のエミッタ/アノードノード112cに対応し、該コレクタ/カソードノードは同図のコレクタ/カソードノード114eに対応しうる。さらに、共通出力パッドW
outにより高電位側素子302cのエミッタ/アノードノードが低電位側素子302fのコレクタ/カソードノードに結合される。該エミッタ/アノードノードは
図1のエミッタ/アノードノード112cに対応し、該コレクタ/カソードノードは同図のコレクタ/カソードノード114fに対応する。この実施形態において、各共通出力パッドU
out、V
out、およびW
outは基板316上で近接するパッドであり、実施形態によってはそれぞれ銅直接接合(DBC)基板からなる近接するパッドであってもよい。
【0035】
またこの実施形態において、高電位側導電性クリップ318aは高電位側素子302aのコレクタを高電位側素子302aのカソードに接続しており、これにより高電位側導電性クリップ318aを介して電流が高電位側素子302bおよび低電位側素子302eを含む別の電源モジュールの高電位側導電性クリップ318bに流れる。同様に、高電位側導電性クリップ318bが高電位側素子302bのコレクタを高電位側素子302bのカソードに接続させることにより、高電位側導電性クリップ318bを介して電流が高電位側素子302cおよび低電位側素子302fを含む別の電源モジュールの高電位側導電性クリップ318cに流れる。このようにして、電流経路336を、
図1の高電位側電源バス108の高電位側電源端子V
H1およびV
H4のそれぞれに対応しうる高電位側電源パッドV
H1から高電位側電源パッドV
H4に延ばすことができる。そのため、各高電位側導電性クリップ302a、302b、および302cは、低インダクタンスで幅の広い電流経路をもつ高電位側電源バスの一部でありうる。
【0036】
また三相モータ駆動用インバータモジュール300では、低電位側導電性クリップ318dが低電位側素子318dのエミッタを低電位側素子318dのアノードに接続させることにより、低電位側導電性クリップ318dを介して電流が高電位側素子302bおよび低電位側素子302eを含む該別の電源モジュールの低電位側導電性クリップ318eに流れる。さらに、低電位側導電性クリップ318eが低電位側素子318eのエミッタを低電位側素子318eのアノードに接続させることにより低電位側導電性クリップ318eを介して電流が高電位側素子302cおよび低電位側素子302fを含む該別の電源モジュールの低電位側導電性クリップ318fに流れる。これにより、電流経路338を、
図1の低電位側電源バス110の低電位側電源端子V
L1およびV
L4のそれぞれに対応しうる低電位側電源パッドV
L1から低電位側電源パッドV
L4に延ばすことができる。そのため、各低電位側導電性クリップ302d、302e、および302Fは低インダクタンスで幅の広い電流経路をもつ高電位側電源バスの一部でありうる。
【0037】
こうして、三相モータ駆動用インバータモジュール300のU相として、素子302aおよび302dを高電位側と低電位側の電源バスの間でハーフブリッジ接続することができる。また、三相モータ駆動用インバータモジュール300のV相として、素子302bおよび302eを高電位側と低電位側の電源バスの間でハーフブリッジ接続することができる。さらに、三相モータ駆動用インバータモジュール300のW相として、素子302cおよび302fを高電位側と低電位側の電源バスの間でハーフブリッジ接続することができる。
【0038】
したがって、上述のように、
図1〜
図3Bの実施形態において、本発明はボンドワイヤレスの三相モータ駆動用インバータモジュールのようなボンドワイヤレス電源モジュールを提供することができる。本発明の様々な実施形態は、高電位側素子のコレクタを高電位側素子のカソードに接続する高電位側導電性クリップ、および低電位側素子のエミッタを低電位側素子のアノードに接続する低電位側導電性クリップを含む。先に説明したように、該高電位側および低電位側導電性クリップのそれぞれにより、別の電源モジュールの別の高電位側および低電位側導電性クリップのそれぞれに、三次元的に電流を流すことができる。例えば、電源モジュールの共通出力パッドの上方で電流を流すことができる。こうして、電源モジュールはボンドワイヤを用いることなく形成することができ、多数のダイが接続され、かつダイへのまたはダイ間の接続部が多い場合であっても大幅に簡素化することができる。さらに、導電性のパッドを用いて、幅が広く、左右対称であり、かつ誘導性の低い電流経路を提供することができる。その結果、電源モジュールの設置面積を縮小し電力密度を上げるとともに、性能を高めることができる。
【0039】
本発明の上記の説明から、さまざまな手法を用いて、本発明の範囲を逸脱することなく本発明の概念を実施することができることは明らかである。また、特定の実施形態を特に取り上げて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく形態および細部を変更することができることを理解するであろう。すなわち、上記の実施形態は、あらゆる点において例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと考えるべきである。また、本発明は、本明細書において記載した特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの再構成、変更、および代替が可能であることも理解されるべきである。