【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、最小限の圧力降下のみを用いて高い均質性を備えた混合物を生ぜしめるスワーラが提案される。さらに、このようなスワーラを備えたバーナが提案される。このようなバーナは、例えば、ガスタービン機関効率を高め、燃料能力を増大し、かつ設計を単純化するために提案される。
【0011】
提案されたスワーラは、制限壁を備えた環状ハウジングを有しており、前記ハウジングは、主流れ方向での入口領域と出口領域とを有する。少なくとも2つのベーンが環状ハウジングに配置されており、それぞれのベーンは、流線形断面プロフィルを有しており、このプロフィルは、スワーラにおいて優勢な主流れ方向に対して垂直又は傾斜した長手方向を有して延びている。それぞれのベーンの前縁領域は、前縁位置において優な主流れ方向に対して平行に向けられたプロフィルを有しており、ベーンのプロフィルは、流れにスワール(回旋流)を生ぜしめるために、前縁位置において優勢な主流れ方向から逸れている。スワールは、スワーラの中心軸線を中心として回転している。ベーンの中央平面に関して、後縁には、低い圧力降下で混合を改良するために、互いに半径の横方向で少なくとも2つのローブが設けられている。
【0012】
その結果、ローブによって生ぜしめられるスワール及び渦の組み合わされた効果により混合する、重なり合わされた混合装置が得られる。スワールは、大きなスケールにおいて混合につながり、渦は小さなスケールにおいて混合し、全体的な均一な混合を生じる。バーナに適用された場合、ローブスワーラは、低い圧力降下における良好な混合につながるのみならず、後続の燃焼器における高い再循環流にもつながる。高い再循環流は、よりよい、より安定した燃焼につながる。一般的に、火炎安定性は再循環流により改良される。つまり、燃焼脈動を、増大する再循環流により防止又は低減することができる。
【0013】
一般的に、4〜20枚のベーンがスワーラごとに使用される。1つの実施形態において、10〜15枚のベーンがスワーラごとに使用される。ベーンの下流の流れにおける固有周波数を回避するために、別の実施形態においては、奇数のベーンが提案される。
【0014】
ローブは、中央平面から、すなわち中央平面に対して横方向に交互に延びている。形状は、例えば、半円又は円弧の連続であることができ、くぼみ又はシヌソイド形状であることができ、円弧又はシヌソイド曲線と、付属の直線部分との組合せの形態であってもよく、この場合、直線部分は、円の曲線又は扇形に漸近している。さらに、三角形、矩形、又は類似の周期的形状が考えられる。好適には、全てのローブは、後縁に沿って実質的に同じ形状ものである。ローブは、互いに接続された後縁線を形成するように、互いに隣接して配置されている。ローブ角度は、流れ分離が回避されるように選択されるべきである。実施形態によれば、ローブ角度(α
1,α
2)は、流れ分離を回避するために、15゜〜45゜、好適には25゜〜35゜である。
【0015】
好適な実施形態によれば、ローブのレイアウトは、出口角度のシヌソイド半径分布につながるベーンの後縁における接線速度及び軸流速度の分配を保証するように設計されており、出口角度は、軸流速度に対する(半径方向における)接線速度の正規化された比である。一般的に、出口角度における2つの最大の間の半径方向の距離は、ローブのたわみにおける2つの最大の間の距離に等しい。
【0016】
好適な実施形態によれば、後縁には、後縁に沿って互いに隣接して連続して配置された3つ、好適には少なくとも4つのローブが設けられており、2つの反対の横方向に交互にロービングしている。
【0017】
別の好適な実施形態は、ベーンが、実質的に直線状の前縁を有することを特徴とする。しかしながら、前縁は、丸み付けられているか、湾曲させられているか、又は僅かに捻られていてもよい。
【0018】
別の好適な実施形態によれば、ベーンは、主流れ方向に関して上流部分において、最大の幅を有する。この幅Wの下流で、幅、すなわちベーンを規定する側壁の間の距離は、後縁に向かって連続的に減少している(後縁は鋭い縁部又は丸み付けられた縁部を形成している)。互いに隣接するローブの頂点の横方向の距離として規定される高さは、この場合、好適には最大幅の少なくとも半分である。1つの特定の好適な実施形態によれば、この高さは、ベーンの最大幅とほぼ同じである。別の特定の好適な実施形態によれば、この高さは、ベーンの最大幅のほぼ2倍である。概して、好適には高さは少なくとも最大幅と同じであり、好適には最大幅の3倍よりも小さい。
【0019】
実施形態によれば、スワーラのベーンは、実質的に直線状の前縁を有する。
【0020】
別の好適な実施形態によれば、ローブを形成するベーンの横方向変位は、たいていベーンの(主流れ方向に沿って測定された)長さlの3分の2よりも下流においてのみ生じる。これは、ベーンの上流部分は、中央平面に関して実質的に対称の形状を有することを意味する。その下流において、ローブは、それぞれの横方向に連続的にかつ円滑に拡大しており、ベーンの側壁の波形を形成しており、この場合、この波形の振幅は後縁において最大値に増大している。
【0021】
ローブの位相が同じであるスワーラの場合、2つのベーンの中央平面の間の平均距離は、ミキサにおける流れパターンを最適化するために、ローブの高さの少なくとも0.5倍、好適にはローブの高さの少なくとも0.9倍である。
【0022】
別の実施形態によれば、ローブを形成する2つの隣接するベーンの中央平面からの横方向逸れは、反転させられている。反転されたローブの場合、2つのベーンの中央平面の間の平均距離は、ミキサにおける流れパターンを最適化し、かつ2つのベーンの中央平面に対して垂直な混合及び2つの隣接するベーンの中央平面の方向での混合を許容するために、ローブの高さの少なくとも1.2倍、好適にはローブの高さの少なくとも1.2倍である。
【0023】
さらに別の実施形態において、平坦な前縁領域から逸れまでの移行は円滑であり、表面湾曲は、連続的な第1の導関数を備えた関数を表す。
【0024】
1つの実施形態によれば、ハウジングは、中心軸線が主流れ方向に整合させられながら延びている。その結果としてのスワーラは、ローブベーンを備えた軸流スワーラを形成するために中心軸線に対して垂直な入口領域及び出口領域を有する。
【0025】
別の実施形態によれば、ローブの高さ及び/又は周期は、ベーンの後縁に沿ったスワーラの中心軸線までのローブの半径方向距離の関数である。例えば、ローブ高さ及び/又は周期は、ベーンの後縁に沿ったスワーラの中心軸線までのローブの半径方向距離に比例する。
【0026】
アキシャルスワーラの他に、ローブベーンを備えたラジアルスワーラが考えられる。1つの実施形態によれば、環状のハウジングが半径方向に延びており、この場合、中心軸線が主流れ方向に対して垂直であり、入口領域及び出口領域は、ラジアルスワーラを形成するように同心状に配置されている。
【0027】
スワーラへの乱流の流入を備えた用途における使用のために、少なくとも2つのベーンには、ベーンの前縁において、横方向で互いに反対向きに少なくとも2つのローブが設けられている。流れ方向で、前縁領域における付加的なローブは、一般的に、ほぼ後縁ローブの始端まで延びている。ローブは、乱流の流入における流れコンディショニング効果を有し、下流のローブにより混合を改良する。
【0028】
1つの実施形態において、ローブを形成する2つの隣接するベーンの中央平面からの横方向逸れは、低い圧力降下のために位相合わせされている。付加的に改良された混合のために、ローブを形成する2つの隣接するベーンの中央平面からの横方向逸れは、位相がずれている。好適には、位相は反転され、すなわち位相角は180゜である。
【0029】
発明の特定の目的は、混合が改善されたバーナを提供することである。この目的は、噴射装置として構成されたスワーラを備えるバーナを提供することによって達成され、スワーラは少なくとも1つのベーンを有し、ベーンは、バーナに少なくとも1つの燃料を導入するための少なくとも1つのノズルを備えたバーナに配置されている。少なくとも1つのベーンは、流線形の横断面プロフィルhを有しており、この横断面プロフィルhは、スワーラにおいて生じる主流れ方向に対して垂直な又は傾斜した長手方向を備えて延びている。発明によれば、このようなベーンは、ベーンの中央平面に関して、後縁に、横方向で反対に延びた少なくとも2つのローブが設けられるように形成されている。
【0030】
言い換えれば、後縁は直線を形成しているのではなく、波線又はシヌソイド線を形成しており、この線は中央平面を中心として蛇行している。本発明は、ローブベーンからの燃料の噴射を含む。一般的に、燃料は、ローブインジェクタの後縁において噴射される。燃料噴射は好適には軸方向に沿っており、これは高圧キャリヤ空気の必要性を排除する。
【0031】
発明は、低い運動量フラックス比が可能な燃料・空気混合を許容する。インライン燃料噴射システムは、互い違いになった複数のローブベーンを有する。
【0032】
バーナは、燃料と空気を混合するために使用することができる。また、バーナは、燃料を、閉鎖された又は半閉鎖されたガスタービンにおいて使用されるあらゆる種類のガス、又は第1の燃焼段の燃焼ガスと混合するために使用することができる。
【0033】
これらのバーナは、1つの圧縮機と、1つの燃焼器と、1つのタービンとを有するガスタービンを使用することもでき、1つ又は複数の圧縮機と、少なくとも2つの燃焼器と、少なくとも2つのタービンとを有するガスタービンのために使用することもできる。バーナは、例えば、1つの燃焼器を備えたガスタービンにおいて予混合バーナとして使用するか、又は、バーナに少なくとも1つの気体燃料及び/又は液体燃料を導入するための噴射装置を備えた、第1の燃焼室及び第2の燃焼室を有する順次燃焼を備えたガスタービンの二次燃焼室のための再熱燃焼器において使用することもできる。
【0034】
バーナは、1つのスワーラ又は複数のスワーラから成ることができる。1つのスワーラを備えたバーナは、一般的に、円形の横断面を有する。複数のスワーラを有するバーナは、あらゆる横断面を有することができるが、一般的には円形又は矩形である。一般的に、複数のバーナは、ガスタービンの軸線と同心状に配置されている。バーナの横断面は、制限壁によって規定されており、この制限壁は例えばバーナのような缶を形成している。
【0035】
発明は、革新的なインジェクタ設計によって圧力損失を低減する。利点は以下のとおりである。
・GT効率の増大
−ローブを、適切な流れ構造を生ぜしめるように成形することができる。渦の強いせん断は、急速な混合、及び低速のポケットの回避を助ける。空気力学的に好適な噴射及び混合システムは、圧力降下をさらに一層低減する。別個のエレメントではなく1つの装置(インジェクタ)のみを有することにより、i)バーナの入口における大規模混合装置、ii)インジェクタにおける渦発生器、及びiii)インジェクタ圧力、が節約される。節約は、主流れ速度を高めるために利用することができ、これは、高い反応を有する燃料・空気混合物の場合に有利であるか、ガスタービン性能を高めるために利用することができる。
・燃料は、ちょうど渦が発生される位置においてインラインに噴射されてよい。冷却空気通路の設計を単純化することができる。なぜならば、燃料は、もはや高圧キャリヤ空気からの運動量を要求しないからである。
【0036】
ここで発明の要旨の1つは、渦発生態様と、別個のエレメントとして従来技術に従って慣用的に使用されているような燃料噴射装置とを(別個の燃料噴射装置の上流の別個の構造的な渦発生器エレメント)、1つの組み合わされた渦発生及び燃料噴射装置に融合させることである。こうすることにより、酸化空気との燃料の混合、及び渦発生が、空間的に極めて近接してかつ極めて効率的に行われ、これにより、より迅速な混合が可能であり、混合ゾーンの長さを減じることができる。幾つかの場合には、酸化空気経路におけるボディの対応する設計及び向き付けにより、ボディが流れコンディショニングをも引き受けるので、流れコンディショニングエレメント(整流装置、ガイドベーン)を省略することができる。この全ては、噴射装置に沿った深刻な圧力降下なしに可能であり、プロセスの全体的な効率を維持又は改善することができる。
【0037】
一般的に、特にガスタービン用途の場合、ベーンは、20〜200mmの(主流に対して垂直な)長手方向軸線に沿った高さHを有する。特に、幾つかの状況においては、ローブ周期("波長")λは、好適には10〜100mmの範囲、好適には20〜60mmの範囲である。これは、ベーンの後縁に沿って、例えば6つの交互のローブ、つまりそれぞれの横方向に3つのローブが配置されている。
【0038】
さらに別の好適な実施形態によれば、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つ、場合によっては4つ、5つ以上の燃料ノズルが、後縁に配置されており、後縁に沿って(好適には等距離に)分配されている。
【0039】
さらに別の好適な実施形態によれば、燃料ノズルは、実質的にベーンの中央平面に配置されている(したがって、一般的に、後縁のローブ部分には配置されていない)。この場合、燃料ノズルは、後縁に沿ったそれぞれの位置又は1つおきの位置に配置されており、ローブ付き後縁は中央平面と交差している。
【0040】
さらに別の実施形態によれば、燃料ノズルは、実質的にローブの頂点に配置されており、好適には燃料ノズルは、後縁に沿ったそれぞれの頂点又は1つおきの頂点に配置されている。
【0041】
バーナの別の実施形態によれば、少なくとも1つの燃料をベーンの上流でバーナに導入するための少なくとも1つのノズル及び/又は少なくとも1つの燃料をバーナに導入するための少なくとも1つのノズルを備えた少なくとも1つの噴射装置が、バーナの内側制限壁及び/又は外側制限壁に設けられている。
【0042】
一般的に、少なくともノズルは、主流れ方向に対して平行に燃料(液体又はガス)及び/又はキャリヤガスを噴射する。しかしながら、少なくとも1つのノズルは、一般的に主流れ方向に対して30゜未満の傾斜角度でも燃料及び/又はキャリヤガスを噴射する。好適には、ベーンは、バーナの互いに反対側の壁部の間で、流過横断面全体にわたって延びている。
【0043】
好適な実施形態によれば、ベーンには冷却エレメントが設けられており、好適にはこれらの冷却エレメントは、ベーンの側壁に沿った冷却媒体の内部循環によって(すなわち二重壁構造を提供することによって)及び/又は好適には後縁の近くに配置されたフィルム冷却穴によって提供され、最も好適には、冷却エレメントには、燃料噴射のためにも使用されるキャリヤガス供給部から空気が供給される。
【0044】
複数のノズルの複数の別個の出口オリフィスを、互いに隣接して配置することができかつ後縁に配置することができる。
【0045】
少なくとも1つのスリット状出口オリフィスを、ノズルの意味で、後縁に配置することができる。スリット状又は細長いスロットノズルは、一般的に、ベーンの後縁に沿って延びるように配置されている。
【0046】
ノズルは、様々な燃料タイプ及びキャリヤ空気のための複数の出口オリフィスを有することができる。1つの実施形態において、液体燃料又は気体燃料の噴射のための第1のノズルと、第1のノズルを包囲する、キャリヤ空気の噴射のための第2のノズルとが、後縁に配置されている。別の実施形態において、液体燃料の噴射のための第1のノズルと、第1のノズルを包囲する、気体燃料の噴射のための第2のノズルと、第1のノズル及び第2のノズルを包囲する、キャリヤ空気の噴射のための第3のノズルとが、後縁に配置されている。
【0047】
スワーラを有する改良されたバーナの他に、このようなバーナを操作する方法が発明の目的である。作動条件及びガスタービンの負荷ポイントに応じて、バーナを通じて噴射される燃料流は広範囲で変化する。流れが全てのバーナノズルに等しく分配されかつそれぞれのノズルを通る流れが流れ全体に比例するような単純な作動は、それぞれのノズルにおける極めて小さな流速につながる恐れがあり、噴射品質、及び空気流への燃料の侵入深さfを損なう。
【0048】
作動方法の1つの実施形態によれば、燃料が噴射される燃料噴射ノズルの数は、作動ノズルにおける最小流を保証するために、噴射される燃料流全体の関数として決定される。
【0049】
別の実施形態において、燃料は、低い燃料流量においてはベーンの1つおきの燃料ノズル介して噴射される。択一的に、燃料は、バーナの1つおき又は2つおきのベーンの燃料ノズルのみを介して噴射される。さらに、燃料噴射を減じるために両方法の組合せが提案される。低い燃料質量流量の場合、燃料は、ベーンの1つおき又は2つおきの燃料ノズルを介して、及びバーナの1つおき又は2つおきのベーンの燃料ノズルのみを介して、噴射されることが提案される。増大した質量流量において、燃料噴射のために使用されるベーンの数、ひいてはベーンごとの燃料噴射のために使用されるノズルの数を増大することができる。択一的に、増大した質量流量において、ベーンごとの燃料噴射のために使用されるノズルの数を増大することができ、燃料噴射のために使用されるベーンの数を増大させることができる。ノズルの作動及び停止は、例えば、対応するしきい値燃料流に基づいて決定することができる。
【0050】
さらに、本発明は、高い反応度条件下での燃焼のため、好適には高いバーナ入口温度での燃焼のため及び/又は一般的に5000〜20000kJ/kg、好適には7000〜17000kJ/kgの熱量値を有するMBtu燃料の燃焼のための、上に規定されたバーナの使用に関し、最も好適にはこのような燃料は水素ガスを含む。
【0051】
発明のさらに別の実施形態は従属請求項に記載されている。
【0052】
発明の好適な実施形態が、図面を参照して以下に説明される。図面は、発明の現時点で好適な実施形態を例示することを目的とし、発明を限定することを目的としない。