(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746100
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 12/00 20060101AFI20150618BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
G06F12/00 542D
H04N1/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-145815(P2012-145815)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-152695(P2013-152695A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-285146(P2011-285146)
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-285147(P2011-285147)
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】辻 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】新田 健一朗
【審査官】
原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−192131(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0271017(US,A1)
【文献】
特開2010−282645(JP,A)
【文献】
特開2010−277184(JP,A)
【文献】
特開2011−203843(JP,A)
【文献】
特開2009−205696(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0083357(US,A1)
【文献】
ヤフマー カリム,組み込みLinuxシステム構築 第2版,株式会社オライリー・ジャパン オライリー ティム,2009年10月23日,初版第1刷,pp. 256-265, 280-304
【文献】
宮崎 北斗,AIX 6のすべて,UNIX magazine,日本,株式会社アスキー,2007年10月 1日,第22巻 第4号 通巻240号,pp. 92-103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
H04N 1/00
G06F 9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1演算処理部と、
前記第1演算処理部とは異なる処理を実行する第2演算処理部と、
前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶している不揮発性記憶装置と、
を備え、
前記不揮発性記憶装置は、前記第1演算処理部および前記第2演算処理部のカーネルを記憶しており、
前記第1演算処理部および前記第2演算処理部のいずれか一方は、ブートローダーを実行して、前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルを起動すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ルートファイルシステムは、前記第1演算処理部および前記第2演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムを含まないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記不揮発性記憶装置は、前記第1演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されている第1記憶領域と、前記第2演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されている第2記憶領域とを有し、
前記第1記憶領域は、前記第1演算処理部のカーネルによってマウントされ、
前記第2記憶領域は、前記第2演算処理部のカーネルによってマウントされること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2演算処理部は、ジョブ管理処理を実行し、
前記第1演算処理部は、前記ジョブ管理処理以外の特定の処理を実行すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
操作パネルをさらに備え、
前記第1演算処理部は、前記操作パネルを制御する処理を実行すること、
を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークインターフェイスをさらに備え、
前記第1演算処理部は、前記ネットワークインターフェイスでデータ通信を行う処理を実行すること、
を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
揮発性メモリーをさらに備え、
前記第1演算処理部は、前記ルートファイルシステムを前記揮発性メモリーへロードし、前記揮発性メモリーへロードした前記ルートファイルシステムをマウントし、
前記第2演算処理部は、前記第1演算処理部により前記揮発性メモリーへロードされた前記ルートファイルシステムをマウントすること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ルートファイルシステムは、前記揮発性メモリーにおける、前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードされることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルは、それぞれ、前記ルートファイルシステムがロードされた記憶領域を、メモリーブロックデバイスとして取り扱うことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
第1演算処理部と、
前記第1演算処理部とは異なる処理を実行する第2演算処理部と、
前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶している不揮発性記憶装置と、
揮発性メモリーと、
を備え、
前記第1演算処理部は、前記ルートファイルシステムを前記揮発性メモリーへロードし、前記揮発性メモリーへロードした前記ルートファイルシステムをマウントし、
前記第2演算処理部は、前記第1演算処理部により前記揮発性メモリーへロードされた前記ルートファイルシステムをマウントし、
前記ルートファイルシステムは、前記揮発性メモリーにおける、前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードされ、
前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルは、それぞれ、前記ルートファイルシステムがロードされた記憶領域を、メモリーブロックデバイスとして取り扱い、
前記ルートファイルシステムの前記メモリーブロックデバイスを、前記第1演算処理部のカーネルの管理領域および/または前記第2演算処理部のカーネルの管理領域より下位側のアドレス領域に設定可能としたこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記第1演算処理部および前記第2演算処理部のいずれか一方が、ブートローダーで、前記ルートファイルシステムを、前記揮発性メモリーにおける、前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードし、その後、前記第1演算処理部のカーネルおよび前記第2演算処理部のカーネルを起動することを特徴とする請求項8から請求項11のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記メモリーブロックデバイスは、MTDデバイスであることを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ルートファイルシステム内のプログラムは、このプログラムを実行している演算処理部のIDを取得し、取得した前記IDに応じた処理を実行するように記述されていることを特徴とする請求項1から請求項12のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項14】
マルチコアプロセッサーを備え、
前記第1演算処理部および前記第2演算処理部は、前記マルチコアプロセッサーにおける複数のコアのうちのいずれか2つであること、
を特徴とする請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記不揮発性記憶装置は、フラッシュメモリーであることを特徴とする請求項1から請求項14のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、メインシステムと、操作パネルの制御を行うパネルシステムとを有し、そのメインシステムおよびパネルシステムは、それぞれプロセッサーを有して異なる処理を行い、両者間が通信インターフェイスなどで結合されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−204242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の画像形成装置のように、互いに独立したシステムの場合、通常、各システムにおいて、オペレーティングシステムのカーネルが起動され、それぞれ別々にファイルシステムがマウントされる。
図8は、そのような画像形成装置の起動処理について説明するフローチャートである。
【0005】
図8に示すように、2つのシステムのプロセッサー#1,#2のそれぞれのためにカーネルおよびルートファイルシステムがフラッシュメモリーに予め記憶されている。プロセッサー#1用のルートファイルシステムには、プロセッサー#1が使用するデータおよび/またはプログラムが含まれており、プロセッサー#2用のルートファイルシステムには、プロセッサー#2が使用するデータおよび/またはプログラムが含まれている。
【0006】
そして、画像形成装置の起動処理において、プロセッサー#1,#2のそれぞれのカーネルがロードされ、起動する(ステップS101,S111)。プロセッサー#1,#2のカーネルは、それぞれ、ルートファイルシステムをマウントする(ステップS102,S112)。
【0007】
上述のように複数のシステムを使用する場合、各システムのために、カーネルおよびルートファイルシステムをフラッシュメモリーに記憶させておく必要があるため、フラッシュメモリーに要求される記憶領域のサイズが大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、第1演算処理部と、第1演算処理部とは異なる処理を実行する第2演算処理部と、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶している不揮発性記憶装置とを備える。
そして、不揮発性記憶装置は、第1演算処理部および第2演算処理部のカーネルを記憶しており、第1演算処理部および第2演算処理部のいずれか一方は、ブートローダーを実行して、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルを起動する。
【0011】
これにより、1つのルートファイルシステムが共用されるので、不揮発性記憶装置に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のルートファイルシステムは、第1演算処理部および第2演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムを含まない。
【0013】
これにより、ルートファイルシステムが変更されないので、ルートファイルシステムを共用しても、ルートファイルシステムの整合性が維持される。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、不揮発性記憶装置は、第1演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されている第1記憶領域と、第2演算処理部によって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されている第2記憶領域とを有する。そして、第1記憶領域は、第1演算処理部のカーネルによってマウントされ、第2記憶領域は、第2演算処理部のカーネルによってマウントされる。
【0015】
これにより、ルートファイルシステムとは別に、書き換え可能なデータおよび/またはプログラムの記憶領域が設けられているため、ルートファイルシステムに読取専用のデータおよび/またはプログラムを含めることで、ルートファイルシステムが第1演算処理部および第2演算処理部のカーネルによって変更されずに済む。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第2演算処理部は、ジョブ管理処理を実行し、第1演算処理部は、ジョブ管理処理以外の特定の処理を実行する。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、操作パネルをさらに備える。そして、第1演算処理部は、操作パネルを制御する処理を実行する。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、ネットワークインターフェイスをさらに備える。そして、第1演算処理部は、ネットワークインターフェイスでデータ通信を行う処理を実行する。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、揮発性メモリーをさらに備える。そして、第1演算処理部は、ルートファイルシステムを揮発性メモリーへロードし、揮発性メモリーへロードしたルートファイルシステムをマウントする。一方、第2演算処理部は、第1演算処理部により揮発性メモリーへロードされたルートファイルシステムをマウントする。
【0021】
これにより、1つのルートファイルシステムが共用されるので、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む。また、揮発性メモリーへロードされたルートファイルシステムが使用されるため、不揮発性記憶装置内のルートファイルシステムに比べ、高速にアクセスすることができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のルートファイルシステムは、揮発性メモリーにおける、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードされる。
【0023】
これにより、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルのいずれからも、ルートファイルシステムがアクセス可能となる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルは、それぞれ、ルートファイルシステムがロードされた記憶領域を、メモリーブロックデバイスとして取り扱う。
【0025】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1演算処理部および第2演算処理部のいずれか一方が、ブートローダーで、ルートファイルシステムを、揮発性メモリーにおける、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードし、その後、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルを起動する。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置は、
第1演算処理部と、第1演算処理部とは異なる処理を実行する第2演算処理部と、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶している不揮発性記憶装置と、揮発性メモリーとを備える。第1演算処理部は、ルートファイルシステムを揮発性メモリーへロードし、揮発性メモリーへロードしたルートファイルシステムをマウントする。一方、第2演算処理部は、第1演算処理部により揮発性メモリーへロードされたルートファイルシステムをマウントする。上述のルートファイルシステムは、揮発性メモリーにおける、第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルの管理領域外にロードされる。第1演算処理部のカーネルおよび第2演算処理部のカーネルは、それぞれ、ルートファイルシステムがロードされた記憶領域を、メモリーブロックデバイスとして取り扱う。そして、ルートファイルシステムのメモリーブロックデバイスを、第1演算処理部のカーネルの管理領域および/または第2演算処理部のカーネルの管理領域より下位側のアドレス領域に設定可能となっている。
【0027】
これにより、カーネルに変更があっても上述のメモリーブロックデバイスの配置を柔軟に変更することができる。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のメモリーブロックデバイスは、MTDデバイスである。
【0029】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ルートファイルシステム内のプログラムは、このプログラムを実行している演算処理部のIDを取得し、取得したIDに応じた処理を実行するように記述されている。
【0030】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、マルチコアプロセッサーを備える。そして、第1演算処理部および第2演算処理部は、マルチコアプロセッサーにおける複数のコアのうちのいずれか2つである。
【0031】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、不揮発性記憶装置は、フラッシュメモリーである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、画像形成装置におけるフラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるフラッシュメモリーの記憶領域の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるルートファイルシステムに含まれるプログラムであって、パネルシステムとメインシステムとで異なる処理を実行するプログラムの一部の処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る画像形成装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2におけるDRAMにおいて割り当てられる記憶領域の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る画像形成装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態2におけるDRAMにおいて割り当てられる記憶領域の別の例を示す図である。
【
図8】
図8は、ある画像形成装置の起動処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、プロセッサー1、フラッシュメモリー2、DRAM(Dynamic Random Access Memory)3、コントローラー4、画像処理装置5、印刷装置6、および操作パネル7を備える。
【0037】
プロセッサー1は、マルチコアプロセッサーであって、複数のコア11a,11bと、ローカルバスコントローラー12、DRAMコントローラー13、およびPCIeコントローラー14を有する。
【0038】
複数のコア11a,11bは、それぞれ同一の回路構成を有する演算処理部であって、フラッシュメモリー2内のプログラムやDRAM3にロードされたプログラムを実行する。
【0039】
また、この実施の形態1では、コア11aがブートローダーを実行して、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルを起動する。これらのカーネルには、例えば、同一バージョンのLinux(商標)が使用される。
【0040】
コア11bは、ジョブ管理処理を実行し、コア11aは、ジョブ管理処理以外の特定の処理を実行する。この実施の形態1では、コア11aは、操作パネル7を制御するパネルシステムに使用され、コア11bは、ジョブ管理などを行うメインシステムに使用される。
【0041】
ローカルバスコントローラー12は、ローカルバスに接続されたフラッシュメモリー2などとのデータ通信を実行する。
【0042】
DRAMコントローラー13は、DRAM3に対するデータの読み書きを実行する。
【0043】
PCIeコントローラー14は、コントローラー4とのデータ通信を、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)インターフェイスで実行する。
【0044】
システムバス15は、コア11a,11bおよびコントローラー12〜14を相互に接続するデータ通信路である。
【0045】
また、フラッシュメモリー2は、複数のコア11a,11bで使用されるデータおよび/またはプログラムを記憶している不揮発性記憶装置である。フラッシュメモリー2は、例えばNAND型フラッシュメモリーである。
【0046】
図2は、
図1におけるフラッシュメモリー2の記憶領域の一例を示す図である。
【0047】
フラッシュメモリー2は、コア11a用のカーネル(つまり、オペレーティングシステム)のプログラム、およびコア11b用のカーネル(つまり、オペレーティングシステム)のプログラムを記憶している。
【0048】
また、フラッシュメモリー2は、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶している。
【0049】
このルートファイルシステムは、バイナリプログラム、標準ライブラリー、スクリプトなどを含む。なお、このルートファイルシステムは、コア11a,11bによって書き換えられるデータおよび/またはプログラムを含まない。つまり、このルートファイルシステムは、リードオンリーなデータおよび/またはプログラムのみを含む。したがって、このルートファイルシステムは、cramfs、squashfsなどのリードオンリーのファイルシステムとされる。これにより、ルートファイルシステムへのライトアクセスが禁止され、ルートファイルシステムの内容が保護される。
【0050】
さらに、フラッシュメモリー2は、コア11aによって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されているパネルプログラム領域と、コア11bによって書き換えられるデータおよび/またはプログラムが記憶されているメインプログラム領域とを有する。そして、パネルプログラム領域は、コア11aのカーネルによってマウントされ、メインプログラム領域は、コア11bのカーネルによってマウントされる。
【0051】
図3は、
図2におけるルートファイルシステムに含まれるプログラムであって、パネルシステムとメインシステムとで異なる処理を実行するプログラムの一部の処理を示すフローチャートである。そのようなプログラムは、このプログラムを実行している演算処理部のIDを取得し、取得したIDに応じた処理を実行するように記述されている。つまり、システムごとに異なる処理を実行させることができる。
【0052】
この実施の形態1では、コア11aのコアIDがゼロであり、コア11bのコアIDが1である場合、このプログラムを実行している演算処理部のコアIDが取得され(ステップS1)、取得したコアIDがゼロであるか否かが判定され(ステップS2)、コアIDがゼロであるときには、パネルシステム用の処理が実行され(ステップS3)、コアIDが1であるときには、メインシステム用の処理が実行される(ステップS4)。
【0053】
また、DRAM3は、コア11a,11bで使用されるデータおよび/またはプログラムをロードされる揮発性メモリーである。DRAM3は、フラッシュメモリー2に比べ高速にデータのリード・ライトを行うことができる。
【0054】
コントローラー4は、プロセッサー1から見た周辺装置である画像処理装置5、操作パネル7などを制御する回路である。コントローラー4は、PCIeインターフェイス21、ビデオコントローラー22、およびパネルコントローラー23を有する。PCIeインターフェイス21は、プロセッサー1のPCIeコントローラー14とデータ通信を行う。ビデオコントローラー22は、画像処理装置5および印刷装置6を制御して印刷を実行させる。パネルコントローラー23は、操作パネル7を制御して、プロセッサー1から供給されたデータに基づく情報を表示させたり、操作パネル7に対するユーザー操作の情報をプロセッサー1に供給したりする。つまり、パネルシステムでは、コア11aがパネルコントローラー23を使用して操作パネル7の制御を行い、メインシステムでは、コア11bがビデオコントローラー22を使用して画像処理装置5および印刷装置6の制御を行う。
【0055】
画像処理装置5は、図示せぬ画像読取装置により得られた画像データ、図示せぬホスト装置から供給された画像データなどから、印刷装置6に供給する印刷用画像データを生成する。印刷装置6は、画像処理装置5により生成された印刷用画像データに基づく画像を、例えば電子写真方式で、記録媒体に印刷する。
【0056】
操作パネル7は、この画像形成装置の筐体表面に配置され、ユーザーに対して情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を検出する入力装置とを有する。表示装置は、液晶ディスプレイ、インジケーターなどであって、入力装置は、タッチパネル、ボタンスイッチなどである。
【0057】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置の起動時の動作について説明する。
図4は、実施の形態1に係る画像形成装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【0058】
まず、コア11aは、フラッシュメモリー2などの所定の記憶領域に記憶されている図示せぬブートローダーを起動する(ステップS11)。
【0059】
そして、コア11aは、ブートローダーで、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルを起動する(ステップS12,S22)。
【0060】
これにより、コア11a,11bは、それぞれ、カーネルに従って動作する。
【0061】
コア11aは、カーネルに従って、ルートファイルシステムをマウントする(ステップS13)。その後、コア11aは、カーネルに従って、パネルプログラム領域を、/usr/localなどの所定の下位ディレクトリにマウントする(ステップS14)。
【0062】
また、コア11bは、カーネルに従って、ルートファイルシステムをマウントする(ステップS23)。その後、コア11bは、カーネルに従って、メインプログラム領域を、/usr/localなどの所定の下位ディレクトリにマウントする(ステップS24)。
【0063】
これにより、フラッシュメモリー2内のルートファイルシステムは、コア11a,11bの両方からアクセス(リードのみ)され、フラッシュメモリー2内のパネルプログラム領域は、コア11a,11bのうちのコア11aのみからアクセス(リードとライト)され、フラッシュメモリー2内のメインプログラム領域は、コア11a,11bのうちのコア11bのみからアクセス(リードとライト)される。
【0064】
以上のように、上記実施の形態1によれば、画像形成装置は、複数のコア11a,11bのプロセッサー1と、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルによってそれぞれマウントされる共用のルートファイルシステムを記憶しているフラッシュメモリー2とを備える。
【0065】
これにより、1つのルートファイルシステムが共用されるので、フラッシュメモリー2に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む。
【0067】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置と同様のハードウェア構成を有する。実施の形態2では、コア11aは、ルートファイルシステムをDRAM3へロードし、DRAM3へロードしたルートファイルシステムをマウントし、コア11bは、ルートファイルシステムをDRAM3へロードせずに、コア11aによりDRAM3へロードされたルートファイルシステムをマウントする。
【0068】
図5は、実施の形態2におけるDRAM3において割り当てられる記憶領域の一例を示す図である。
【0069】
図5に示すように、実施の形態2では、ルートファイルシステムは、DRAM3における、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルの管理領域外にロードされ、コア11a,11bのカーネルは、それぞれ、ルートファイルシステムがロードされた記憶領域を、メモリーブロックデバイスとして取り扱う。このメモリーブロックデバイスは、例えばMTD(Memory Technology Device)デバイスである。
【0070】
より具体的には、コア11aが、ブートローダーで、ルートファイルシステムを、DRAM3における、コア11a,11bのカーネル管理領域外にロードし、その後、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルを起動する。
【0071】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置の起動時の動作について説明する。
図6は、実施の形態2に係る画像形成装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【0072】
まず、コア11aは、フラッシュメモリー2などの所定の記憶領域に記憶されている図示せぬブートローダーを起動する(ステップS31)。ブートローダーとしては、例えばu−bootなどが使用される。
【0073】
コア11aは、ブートローダーに従って、フラッシュメモリー2内のルートファイルシステムをDRAM3の所定の物理アドレス領域に展開する(ステップS32)。
【0074】
次に、コア11aは、ブートローダーに従って、コア11aのカーネルおよびコア11bのカーネルを起動する(ステップS33,S43)。
【0075】
これにより、コア11a,11bは、それぞれ、カーネルに従って動作する。
【0076】
コア11aは、カーネルに従って、例えばio_remap関数で、ルートファイルシステムを展開した物理アドレス領域の、論理アドレス領域へのマッピングを行い(ステップS34)、その領域についてのメモリーブロックデバイス(ここではMTDデバイス)を作成し登録する(ステップS35)。そして、コア11aは、カーネルに従って、そのメモリーブロックデバイス(つまり、ルートファイルシステム)をマウントする(ステップS36)。その後、コア11aは、カーネルに従って、パネルプログラム領域を、/usr/localなどの所定の下位ディレクトリにマウントする(ステップS37)。
【0077】
また、コア11bは、カーネルに従って、例えばio_remap関数で、ルートファイルシステムを展開した物理アドレス領域の、論理アドレス領域へのマッピングを行い(ステップS44)、その領域についてのメモリーブロックデバイス(ここではMTDデバイス)を作成し登録する(ステップS45)。そして、コア11bは、カーネルに従って、そのメモリーブロックデバイス(つまり、ルートファイルシステム)をマウントする(ステップS46)。その後、コア11bは、カーネルに従って、メインプログラム領域を、/usr/localなどの所定の下位ディレクトリにマウントする(ステップS47)。
【0078】
なお、ルートファイルシステムが展開された物理アドレス領域の位置(例えば先頭アドレスおよびサイズ)は、ブートローダーがカーネルを起動する際に、ブートローダーから各コア11a,11bのカーネルへ渡される。例えば、u−bootのコマンドラインのパラメーターなどとしてそれらの情報が渡される。
【0079】
これにより、DRAM3にロードされたルートファイルシステムは、コア11a,11bの両方からアクセスされ、フラッシュメモリー2内のパネルプログラム領域は、コア11a,11bのうちのコア11aのみからアクセスされ、フラッシュメモリー2内のメインプログラム領域は、コア11a,11bのうちのコア11bのみからアクセスされる。
【0080】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
以上のように、上記実施の形態2によれば、コア11aは、ルートファイルシステムをDRAM3へロードし、DRAM3へロードしたルートファイルシステムをマウントする。一方、コア11bは、コア11aによりDRAM3へロードされたルートファイルシステムをマウントする。
【0082】
これにより、1つのルートファイルシステムが共用されるので、フラッシュメモリー2に要求される記憶領域のサイズが小さくて済む。また、DRAM3へロードされたルートファイルシステムが使用されるため、フラッシュメモリー2内のルートファイルシステムに比べ、高速にアクセスすることができる。なお、実施の形態2では、ルートファイルシステムには、リードオンリーのデータおよび/またはプログラムのみが含まれており、ルートファイルシステムに変更が生じないため、DRAM3へロードされたルートファイルシステムの使用後に、DRAM3のルートファイルシステムをフラッシュメモリー2にライトバックする必要がない。
【0083】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0084】
例えば、上記実施の形態1,2では、プロセッサー1内の複数のコア11a,11bにより複数の演算処理部が実現されているが、その代わりに、バスなどで接続されている複数のプロセッサーで複数の演算処理部を実現するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態1,2では、コア11aがパネルシステムに使用されているが、その代わりに、画像形成装置にネットワークインターフェイスを設け、そのネットワークインターフェイスを使用する通信処理をコア11aで行うようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態1,2において、ルートファイルシステムのメモリーブロックデバイスを、コア11aのカーネルの管理領域および/またはコア11bのカーネルの管理領域より下位側のアドレス領域に設定可能としてもよい。その場合、カーネルの管理領域とメモリーブロックデバイスの領域とが重ならないようにする。なお、通常、io_remap関数では、カーネルの管理領域の先頭アドレスより下位側のアドレスについては、マッピングができないが(カーネルの管理領域を保護するためにエラーとされるが)、io_remap関数を変更して、カーネルの管理領域の先頭アドレスより下位側のアドレスについてのマッピングを可能とする。
図7は、実施の形態2におけるDRAMにおいて割り当てられる記憶領域の別の例を示す図である。
図7に示すように、例えば、コア11bのカーネル管理領域より下位アドレス側にメモリーブロックデバイスの領域を割り当てることができる。
【0087】
また、上記実施の形態1,2において、コア11aのカーネルは、コア11aのカーネル管理領域内にRAMディスクを作成して、そのRAMディスクにパネルプログラムをロードして、そのRAMディスクを、フラッシュメモリー2内のパネルプログラム領域の代わりにマウントするようにしてもよい。同様に、コア11bのカーネルは、コア11bのカーネル管理領域内にRAMディスクを作成して、そのRAMディスクにメインプログラムをロードして、そのRAMディスクを、フラッシュメモリー2内のメインプログラム領域の代わりにマウントするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、例えば、プリンター、複写機、ファクシミリ機、複合機などといった画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 プロセッサー(マルチコアプロセッサーの一例)
2 フラッシュメモリー(不揮発性記憶装置の一例)
3 DRAM(揮発性メモリーの一例)
7 操作パネル
11a コア(第1演算処理部の一例)
11b コア(第2演算処理部の一例)