(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】試験片を含んだ荷重アセンブリの斜視図である。
【
図2】荷重アセンブリ及び試験片の部分的に分解された図であり、荷重アセンブリは、第1の部材と、第2の部材と、第1の締付部材と、第2の締付部材とを有する。
【
図3A】荷重装置の第1の締付部材と第2の締付部材との間に締め付けられた試験片の、部分的に切り取られた平面図である。
【
図3B】荷重装置の第1の締付部材と第2の締付部材との間に締め付けられた試験片の、部分的に切り取られた平面図である。
【
図4】典型的な試験片の、部分的に分解された図である。
【
図5】荷重装置によって試験片に力を加えるための典型的なプロセスのプロセスフローチャートである。
【0006】
詳細な説明
ここで以下の説明及び図面を参照すると、開示されたシステム及び方法への例示的なアプローチが詳細に示されている。図面は幾つかの可能なアプローチを示しているが、図面は必ずしも実寸ではなく、本開示をより分かりやすく例示及び説明するために、幾つかの特徴は誇張、排除又は部分的に断面されている。さらに、ここに示された説明は、網羅的であること又はさもなければ請求の範囲を、図面に示されかつ以下の詳細な説明に開示された形態及び構成そのものに制限又は限定することを意図するものではない。
【0007】
さらに、以下の説明に多数の定数が導入される場合がある。幾つかの場合、定数の例示的な値が提供される。別の場合、特定の値は与えられない。定数の値は、関連するハードウェアの特性及びこのような特性の互いの相関関係、並びに開示されたシステムに関連する環境的条件及び運転条件に依存する。
【0008】
図1は、試験片30を締め付ける典型的な荷重装置20を示している。試験片30は、コネクティングロッドとして示されており、第1の側28と第2の側32とを有しており、第1の側28は概して第2の側32の反対側である。荷重装置20は、第1の部材34と、第2の部材36と、第2の部材36と機械的に接続したアクチュエータ38とを有する。第1及び第2の部材34及び36は、試験片30を荷重装置20内の所定の位置に締め付ける固定具であってよい。概して
図1及び
図2を参照すると、荷重装置20は、2対の締付部材と、1対の第1の締付部材若しくはクランプ72と、1対の第2の締付部材若しくはクランプ74とを有する。第1の対のクランプ72は第1の締結具78によって第1の部材34に接続されていてよく、第2の対のクランプ74は第2の締結具80によって第2の部材36に固定して取り付けられてよい。さらに加えて、締付部材74と第2の部材36との間の所定の間隔を規定するスペーサ90が設けられている。したがって、第1及び第2の締結具78,80並びにスペーサ90は概して、例えば様々なサイズの試験片又はコネクティングロッドを収容するために、締付部材72,74及び部材34,36それぞれの相対的な位置の調節を許容する。
【0009】
図1を参照すると、第1の部材34は概して荷重セル68を介して、定置のビーム70を有するフレームに固定されている。アクチュエータ38は、第2の部材36を、第1の部材34から離れる方向である第1の方向50と、第1の部材34に向かう方向である第2の方向52とに駆動する。特に、アクチュエータ38は、第2の部材36と機械的に接続されていてよく、アクチュエータ38は、第2の部材36が第1の方向50及び第2の方向52に駆動されるときに第2の部材36に所定の力を加える。荷重装置20の分解図である
図2を参照すると、第1の部材34は、組み立てられた荷重装置20において試験片30の第1の側28に接する第1の面60を有する。
図2に最も分かりやすく示したように、第1の面60は、細長くてよく、第1の面60に関して長手方向である第1の長手方向軸線A1−A1を規定している。第2の部材36は、第2の面62を有しており、この第2の面62は細長くてよく、これにより第2の面62は、第2の面62に関して長手方向に延びた第2の長手方向軸線A2−A2を規定している。第2の面62は、概して第1の面60に対して垂直に位置決めされていてよく、組み立てられた荷重装置20において試験片30の第2の側32に接する。つまり、第1の面60は、第1の長手方向軸線A1−A1が第2の面62の第2の長手方向軸線A2−A2に対して概して垂直であるように位置決めされていてよい。つまり、第1の面60及び第2の面62は、以下でさらに説明するように、試験片30に、概して互いに直交するそれぞれのエッジ荷重を加えるように構成されている。第1の対の締付部材72は第1の締付面82を有しており、第2の対の締付部材74は第2の締付面84を有している。第1の対の締付部材72は長手方向軸線A3−A3を規定するように協働するのに対し、第2の対の締付部材は長手方向軸線A4−A4を規定するように協働し、この場合、それぞれの軸線A3−A3,A4−A4は概して互いに垂直である。荷重装置20に組み付けられると、第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接触し、第2の締付面84は試験片30の第1の側28に接する。
【0010】
図1を参照すると、第2の締付面84は、第2の部材36の第2の面62と概して整合させられ、第2の部材36は、荷重装置20が組み立てられた時に第2の対の締付部材74に固定して取り付けられる。したがって、軸線A2−A2,A4−A4は概して互いに平行に整合させられる。第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接触し、概して第2の締付面84に対して垂直に位置決めされる。第2の部材36が第1の部材34から離れる方向に、つまり
図1に示された第1の方向50に駆動されると、第2の対の締付部材74は試験片30に所定の力を加える。第2の部材36が第1の部材に向かって第2の方向52に駆動されると、第2の部材36は試験片30に所定の力を加える。第2の対の締付部材74及び第2の部材36は、試験片30に曲げモーメントを生ぜしめるように試験片30に所定の力を加える。つまり、これらの曲げモーメントは、後でさらに説明するように、所定のものである。所定の力は、所定の周波数でアクチュエータ38から第2の部材36へ伝達される。
【0011】
荷重装置20の1つの例示において、所定の周波数の値は調節可能であり、概して、関連する往復機関の回転速度、例えばRPMに相関している。より具体的には、所定の周波数は、コネクティングロッドが典型的な往復機関において特定のRPMで作動しているときに生じるのとほぼ同じ周波数を実質的に模擬する。所定の周波数値は、様々なRPM値を示すように調節することができる。往復機関は、例えば内燃機関のような、1つ又は2つ以上の往復するピストンを有するあらゆる形式のエンジンから選択される。
【0012】
所定の力及びその結果生じる曲げモーメントの値も、調節可能であり、往復機関のコネクティングロッドに加えられる横荷重に概して相関している。より具体的には、所定の力は、往復機関において運転しているときにコネクティングロッドのクランクシャフト端部が生じる荷重を実質的に模擬する。横荷重は通常、幾つかの往復機関において生じるクランクピン曲がり及びクランクピン対シリンダ不整合によって生ぜしめられる。これは、往復機関が通常、クランクピン及び/又はクランクスローにおけるある程度の曲がりと、ある程度のクランクスロー対シリンダ不整合を有するからである。
【0013】
横荷重は、コネクティングロッドと共に運転する対応するシリンダの軸線に対して概して垂直な、コネクティングロッドのクランクシャフト端部に加えられる荷重として定義される。横荷重は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部と接続されたクランクシャフトの長手方向軸線に関して概して平行でもある。アクチュエータ38によって試験片30に加えられる所定の力は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部に加えられる横荷重に相当する。したがって、試験片30は、往復機関内で特定の運転条件で運転されるコネクティングロッドのクランクシャフト端部に加えられるものとほぼ同じ荷重を模擬する努力において、所定の力が所定の周波数で試験片30に加えられながら、試験片30は荷重装置20に配置される。所定の力は、所定の周波数値から独立して調節されるが、所定の力は、所定の周波数値に関連して調節されてもよい。
【0014】
荷重装置20の1つの典型的な例示において、所定の力は約2kN〜約30kNであり、所定の周波数値は約10Hz〜約100Hzである。所定の荷重周波数は、毎分回転数(RPM)としての機関往復速度を120で割ったもので表しており、この場合、エンジンRPMはまず値60で割られ、RPM値を毎秒サイクル(Herz)に変換する。次に、この値が、値2で割られる。なぜならば、4ストローク機関ではクランク2回転ごとに一回の動力サイクルが行われるからである。2ストローク機関用途の場合、2で割る最後のステップは不要である。なぜならば、機関の各回転ごとに動力サイクルが行われるからである。1つの特定の例として、1つの例示において、機関速度は約4000RPMであり、これは約33Hzに相当する。
【0015】
さらに続けて
図1を参照すると、荷重装置20は締め付けられた位置において示されており、この場合、第1及び第2の面60及び62はそれぞれ試験片30の第1及び第2の側28及び32に接触している。
図1は第2の部材36の上方に位置決めされた第1の部材34を示しているが、荷重装置20は反対方向に、つまり第2の部材36が第1の部材34の上方に位置決めされるように配置されてもよいし、側方に配置されてもよいし、又は好都合なあらゆるその他の配置で配置されてもよい。
【0016】
図2を参照すると、第1及び第2の面60及び62は、概して狭い幅Wを有する概して長手方向に向けられた面であってよく、この場合、面60及び62の幅Wは、試験片30にエッジ荷重を加えるように寸法決めされている。1つの典型的な例では、第1及び第2の面60及び62は、約2mm〜3mmの幅Wを有する。第1の締付面82及び第2の締付面84も同様であり、エッジ荷重を加えるために寸法決めされた幅W′を有する概して長手方向に向けられた面を備える。1つの典型的な例において、第1及び第2の締付面82及び84も、約2mm〜3mmの幅を有する。
【0017】
図1は、概して第2の部材36に対して垂直に位置決めされた第1の部材34を示している。アクチュエータ38は、例えば空圧式又は液圧式に作動させられるアクチュエータのような、特定の周波数で所定の力を加えるあらゆるタイプのアクチュエータであってよい。
図1は、軸66によって第2の部材36と接続したアクチュエータ38も示しているが、アクチュエータ38は、一連のリンクを介して第2の部材36と接続していてもよい。その代わりに、アクチュエータ38は、第2の部材36と直接に接続されていてもよく、軸66は省略されてもよい。
【0018】
第1の部材34は、荷重セル68に隣接して概して固定された位置にあってよく、荷重セル68は定置のビーム70に当て付けて位置決めされている。荷重セル68は、アクチュエータ38によって第1及び第2の部材34及び36に加えられる張力及び圧縮力を測定する。荷重セル68は、データ取得システム(図示せず)と電気通信していてよく、この場合、荷重セル68は、張力及び圧縮力データをデータ取得システムに通信する。定置のビーム70は、第1の部材34に対する支持を提供し、これにより、第1の部材34は、アクチュエータ38が第1の方向50に所定の力を加えるときに概して定置のままであることができ、アクチュエータの荷重によって生ぜしめられるあらゆる撓みが、概して試験片32に限定されるように強制する。
【0019】
第1の対の締付部材72はそれぞれ第1の部材34に組み付けられており、第2の対の締付部材74はそれぞれ第2の部材36に組み付けられている。これにより、第1の対の締付部材72は選択的に第1の部材34に固定され、第2の対の締付部材74はそれぞれ選択的に第2の部材36に固定される。第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接触し、第2の締付面84は試験片30の第1の側28に接触する。第1の締結具78は、螺合によって第1の部材34に結合されており、この場合、第1の締結具78は、第1の部材34の第1の開口88と、締付部材72の第1の対の第1の開口89とに係合する(
図1及び
図2)。第2の締結具80も、螺合によって第2の部材36に固定結合されており、この場合、第2の締結具80は、第2の部材36の第2の開口85と、第2の締付部材74の開口87とに係合している(
図1及び
図2)。
【0020】
第2の締結具80はスペーサ90を有しており、これらのスペーサ90は第2の対の締付部材74を第2の部材36に固定結合している。つまり、スペーサは第2の対の締付部材74を第2の部材36に固定結合しており、これにより、第2の対の締付部材74は第2の部材36から所定の距離Dに位置決めされる。所定の距離Dは、アクチュエータ38が第2の部材を第1の方向50及び第2の方向52に駆動するときに概して一定のままである。スペーサのおかげで、第2の対の締付部材74は試験片30を第2の部材36に固く締め付けることができる。これに対して、第1の締結具78は、第1の対の締付部材72が第1の部材34に対して調節されることができるように、つまり例えば様々な厚さを有する試験片を取り付けることができるように、ねじ山付きボルトであってよい。
【0021】
図3Aは、第1の部材34と第2の部材36との間で荷重をかけられた試験片30の、部分的に断面した図である。試験片30はコネクティングロッドとして例示されており、コネクティングロッドのクランクシャフト端部92は、ここでは垂直として例示された所定の向きで第1の部材34と第2の部材36との間に締め付けられている。コネクティングロッドのクランクシャフト端部92は、叩き割り分割タイプのコネクティングロッドとして例示されており、コネクティングロッドは、軸線B−B(
図4に示されている)に沿って分割されており、分割線94を生じている。叩き割りタイプ分割線94は、一般的に、コネクティングロッドが、クラッキングとして一般的に知られる製造作業において2つの片に叩き割られた時に生ぜしめられる。特に、コネクティングロッドは、第1の部分96と、第2の部分若しくはキャップ98とに叩き割られてよい。第1の部分96及びキャップ98は、ボルトとして例示された締結具100によって、分割線94において結合保持されてよい。コネクティングロッドは、ピストンピン端部93が荷重装置20において概して自由なままである状態で例示されており、ピストンピン端部93は概して荷重装置20において試験されない。一例において、ピストンピン端部93は、荷重装置20に配置される前にコネクティングロッドから除去されてもよい。
【0022】
図3Aは、クラッキングによって生ぜしめられた分割線94を備えたコネクティングロッドを例示しているが、分割線94は例えばスプリットマシニングのような他の製造作業によって生ぜしめられてもよいことに留意すべきである。しかしながら、コネクティングロッドの叩き割られた部分は、マシニングと比べて、組み立てられた時により正確な嵌合を生じるので、クラッキングによって生ぜしめられた分割線94を有するのが有利である。さらに加えて、叩き割り又は分割線を備えないコネクティングロッドが試験されてもよい。
【0023】
第2の部材36の第2の面62の長手方向軸線A2−A2(
図2に最も分かりやすく示されている)は、分割線94に対して概して垂直に示されているのに対し、第1の部材34の第1の面60の長手方向軸線A1−A1(
図2に最も分かりやすく示されている)は、分割線94に対して概して平行にかつ分割線94と接するように示されている。第2の部材36が、第1の部材34に向かって第2の方向52(
図1に示されている)に所定の力を加える時、第1の部材34は相対的に定置のままであるのに対し、第2の部材36及び第2の面62は、試験片30に所定の力を加える。第1及び第2の部材34及び36の相対移動は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部92に第1の曲げ運動を生ぜしめ、その際、分割線94においてはほぼゼロの変位が生じ、コネクティングロッドの長手方向軸線L−Aにおいてほぼ最大の変位が生じる。すなわち、クランクシャフト端部92の曲げ運動は、第2の部材36が試験片30に力を加えるので、クランクシャフト端部92の叩き割り分割線94においてほぼ最小値を有し、コネクティングロッドの長手方向軸線L−Aにおいてほぼ最大値を有する。つまり、試験片30の第1の曲げ運動は、試験片30のキャップ部分98と第1の部分96との間の境界面、例えば分割線94、に対して概して平行に整合させられたモーメント軸線B−B(
図4に示されている)を中心とした曲げモーメントを与える。
【0024】
図3Bは、第1の締付面82を有する第1の対の締付部材72のうちの一方と、第2の締付面84を有する第2の対の締付部材74のうちの一方との間で荷重をかけられた試験片30を示している。荷重装置20(
図1)に組み付けられたとき、第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接し、第2の締付面84は試験片30の第1の側28に接する。第2の部材36が第1の方向50(
図1)に駆動されると、第2の締付面84は試験片30に所定の力を加え、この場合、第2の締付面84は、試験片30の反対側に配置された第2の面62と概して整合させられており(
図3A)、分割線94に対して概して垂直に位置決めされている。第2の部材36(
図3A)が第1の方向50に駆動されると、第1及び第2の対の締付部材72,74の相対移動の結果、第1の締付面82は第2の締付面84に対して並進させられる。
【0025】
第1及び第2の対の締付部材72,74の相対移動は、前述のフラクチャ分割線94を中心として試験片30に曲げモーメントを生ぜしめる。さらに、第1及び第2の対の締付部材72,74の相対移動は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部92に第2の曲げ運動をも生ぜしめる。試験片30における第2の曲げ運動は、概して、第1及び第2の締付部材72,74の相対移動の間における第2の面62と第2の締付面84との間の長手方向軸線L−Aに沿った試験片30の拘束によって生じる。この第2の曲げ運動は、概して、モーメント軸線B−B、すなわち
図3Aに関して上述した第1の曲げ運動、に対して概して垂直な長手方向軸線L−Aを中心とする試験片30における第2の曲げ運動を生ぜしめる。
【0026】
図2は、第1の面60及び第1の軸線A1−A1を、第2の面62及び第2の軸線A2−A2に対して概して垂直に示しているが、第1の面60及び第2の面62は、上述のように荷重装置20が第1の曲げモーメントを加えるようにのみ向き付けられる必要がある。すなわち、第1の面60及び第2の面62は、互いに正確に垂直である必要はなく、第1の曲げモーメントが第1の試験片30において分割線94を中心として生ぜしめられるのに対し、第2の曲げモーメントが試験片30においてコネクティングロッドの長手方向軸線L−Aを中心にして生ぜしめられる程度にのみ垂直である必要がある。
【0027】
荷重装置20によって生ぜしめられる第1の曲げモーメント及び第2の曲げモーメントは、往復機関において作動している時にコネクティングロッドのクランクシャフト端部92が受ける曲げモーメントと同じである。より具体的には、荷重装置20の所定の力は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部が往復機関において受ける荷重及び曲げモーメントを模擬するので、コネクティングロッドのクランクシャフト端部において生ぜしめられる同じ曲げモーメントも生ぜしめられる。
【0028】
図4は、コネクティングロッドとして示された、第1の部分96をキャップ98に結合する締結具100を有する試験片30の分解図である。締結具100はねじ山102を有してよく、コネクティングロッドは収容開口104を有してよく、締結具100が収容開口104によって収容される。特に、締結具100は、キャップ98における開口104のねじ山が設けられていない部分を貫通し、これにより、締結具100のねじ山102は、第1の部分96における開口104の内部の相補的なねじ山106に係合する。
【0029】
荷重装置20の作動中、第1及び第2の部材34,36並びに第1及び第2の対の締付部材72,74は、試験片30に第1及び第2の曲げモーメントを生じる。第1及び/又は第2の曲げモーメントは、概して、コネクティングロッドが組み付けられている時に締結具100と開口104のねじ山106との間の相対運動を生ぜしめる。締結具100とねじ山106との相対移動は、コネクティングロッドが往復機関において作動する時に締結具100が生じる緩みと同様に、所定の期間にわたって開口104から締結具100を緩める傾向がある。締結具100は、荷重装置20が作動させられるときに所定の期間にわたって開口104から緩められる。したがって、荷重装置20は、コネクティングロッドを試験する間、往復機関の代わりに使用される。1つの典型的な例において、所定の期間は、機関試験の場合には約150〜約400時間であるが、その他の期間が使用されてもよい。それに比べて、1つの典型的な例において、荷重装置20は、わずか4〜5時間の作動時間後に、場合によっては数分以内で締結具100を緩めることができる。所定の期間は、締結具100の予荷重、ねじ山の幾何学的形状及びコーティングといった様々な要因に依存する。所定の期間は、荷重装置20が試験片30に加える周波数及び荷重にも依存する。
【0030】
荷重装置20を使用することの1つの利点は、荷重装置は、一般的に、往復機関よりも、コネクティングロッドの試験中に使用するにはより経済的であるということである。コネクティングロッドの締結具100における緩み現象を生ぜしめることに関する減じられた期間は上記で言及されている。さらに、機関アセンブリは、コネクティングロッドのための著しく異なる試験環境を生ぜしめ、したがって、エンジン設計が同じである場合にさえも再現することが極めて困難である。したがって、荷重装置20は、往復機関と比較して、より単純な構成の結果、より再現可能な結果を保証する。さらに加えて、往復機関を数百時間運転することは、通常、エンジンに動力を供給するために大量の燃料を必要とする。往復機関を数百時間運転することは、高コストでもある。なぜならば、機関構成部材、又は機関全体さえもが、交換されなければならないからである。
【0031】
特に
図5を参照すると、往復機関の運転中にコネクティングロッドに生じる荷重を模擬するためにコネクティングロッドのクランクシャフト端部に曲げモーメントを生ぜしめるためのプロセス500が記載されている。プロセス500は概してステップ502において開始する。ステップ502において、第1の部材34が提供され、第1の部材34は、試験片30の第1の側28に接する第1の面60を有する。
図1〜
図4において、試験片30は、概して互いに向き合った第1の側28と第2の側32とを有するコネクティングロッドである。プロセス500は次いでステップ504へ続く。
【0032】
ステップ504において、第2の部材36が提供され、第2の部材は、上述のように第1の面60に概して垂直に位置決めされた第2の面62を有する。第2の面は、組み立てられた荷重装置20において試験片30の第2の側32に接する。
図2を参照すると、第1の面60及び第2の面62は、概して、試験片30にエッジ荷重を生ぜしめるように寸法決めされた幅Wを備えた長手方向に向けられた面である。1つの典型的な例において、第1の面60及び第2の面62は、約2mm〜約3mmの幅を有し、この幅は、面60,62の長手方向に延びた軸線、例えば軸線A1−A1及びA2−A2のそれぞれに対して概して垂直な方向で測定されたものである。プロセス500は次いでステップ506へ続く。
【0033】
ステップ506において、第1の締付面82を有する第1の締付部材72が試験片30の第2の側32に接するように位置決めされる。上述のように、第1の締付部材72は第1の部材34に固定されている。第1の締結具78は、螺合によって第1の部材34に結合され、第1の締結具78は、第1の部材34の第1の開口88と、第1の締付部材72の第1の開口89とに係合する(
図1及び
図2)。プロセス500は次いでステップ508へ続く。
【0034】
ステップ508において、第2の締付面84を有する第2の締付部材74が試験片30の第1の側28に接するように位置決めされる。第2の締付面84は、上述のように概して第1の締付面82に対して垂直である。
図1を参照すると、荷重装置20に組み付けられると、第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接し、第2の締付面84は試験片30の第1の側28に接する。第2の締付面84は概して第2の部材36の第2の面62と整合させられ、第2の部材36は、荷重装置20が組み立てられた時に第2の締付部材74に固定結合される。第1の締付面82は試験片30の第2の側32に接し、第1の締付面60に対して概して垂直に位置決めされる。第1の締付面82及び第2の締付面84は、概して、試験片30にエッジ荷重を生ぜしめるように寸法決めされた幅W′を有する概して長手方向に向けられた面である。第1の面60及び第2の面62と同様に、幅W′は約2mm〜約3mmである。プロセス500は次いでステップ510へ続く。
【0035】
ステップ510において、所定の力は、第2の部材36を、第1の部材34から離れるように第1の方向50に駆動する。概して
図1を参照すると、所定の力を第2の部材36に伝えるために、アクチュエータ38が使用される。上述のように、第2の部材36が第1の方向50に駆動されると、第2の締付面84は所定の力を試験片30に加え、第2の締付面84は、概して、試験片30の反対側に配置された第2の面62と整合させられる(
図3A)。プロセス500は次いでステップ512へ続く。
【0036】
ステップ512において、所定の力は、第2の部材36を、第1の部材34に向かって第2の方向52に駆動する。上述のように、第2の部材36は所定の力を第1の部材34に向かって第2の方向52に加えるので(
図1)、第1の部材34は概して定置のままであり、これにより、試験片30を拘束し、試験片30に第1の曲げモーメント及び/又は第2の曲げモーメントを生ぜしめる。プロセス500は次いでステップ514へ続く。
【0037】
ステップ514において、所定の力を第1の方向50及び第2の方向52に加えられると試験片30に曲げモーメントが生ぜしめられ、これにより、第1の曲げモーメント及び第2の曲げモーメントを生じる。特に、上述のように、第2の部材36が第1の方向50に駆動されると(
図1)、第2の締付面84は試験片30に所定の力を加え、第2の締付面84は、試験片30の反対側に配置された第2の面62と概して整合させられており(
図3A)、分割線94に対して概して垂直に位置決めされている。第2の部材36(
図3A)が第1の方向50に駆動される時(
図1)、第1の締付面82は概して第2の締付面84に対して概して定置である。したがって、第1の対の締付部材72と、第2の対の締付部材74との相対運動は、前記コネクティングロッドのクランクシャフト端部92に第1及び第2の曲げモーメントを生ぜしめる。
【0038】
第2の部材36は、第1の部材34に向かって第2の方向52に所定の力を加えるので(
図1)、第2の部材36が試験片30に所定の力を加えながら第1の部材34は相対的に定置のままである。第1の部材34と第2の部材36との相対移動は、コネクティングロッドのクランクシャフト端部92に第1の曲げ運動を生ぜしめる。概して
図3Bを参照すると、第1の曲げ運動は、分割線94を中心にして、例えば前記モーメント軸線B−Bを中心にして試験片30に生ぜしめられる。例えば、前記のように、第1の部材34に対する第2の部材36の移動は、第2の部材36が試験片30に力を加えるので、試験片30の長手方向軸線L−Aに沿った試験片30の最大変位と、フラクチャ分割線94における試験片30の最小変位とを生ぜしめる。プロセス500は次いでステップ516へ続く。
【0039】
ステップ516において、往復機関のコネクティングロッドに加えられる横荷重に概して相関するように、所定の力は調節可能である。より具体的には、前記のように、所定の力は、往復機関において作動している時にコネクティングロッドが受けるのとほぼ同じ荷重を実質的に模擬し、横荷重は、一般的に、幾つかの往復機関において生じるクランクスロー曲がり及びクランクスロー対シリンダ不整合によって生ぜしめられる。これは、往復機関が、通常、クランクスローにおけるある程度の曲がりと、ある程度のクランクスロー対シリンダ不整合とを有するからである。荷重装置20の1つの典型的な例において、所定の力約2kN〜約30kNである。プロセス500は次いでステップ518へ続く。
【0040】
ステップ518において、所定の周波数は、往復機関のRPMに概して相関している。例えば、前記のように、所定の周波数は、往復機関において作動している時にコネクティングロッドが受けるのとほぼ同じ周波数を実質的に模擬する。所定の力は、所定の周波数とは独立して調節されてよいが、所定の力は、所定の周波数値に関して調節されてもよい。荷重装置20の1つの典型的な例において、所定の周波数値は約10Hz〜約100Hzである。プロセス500は次いで終了する。
【0041】
プロセス500は、往復機関内で作動させられる試験片30を模擬するために利用される荷重装置20を記載しているが、荷重装置20はその他の用途を有してもよい。荷重装置20の1つの択一的な例において、荷重装置20は、
図3A、
図3B及び
図4に示された分割線94を有するコネクティングロッド30のような、分割タイプのクランクシャフト端部を有するコネクティングロッドを提供するために使用されてよい。すなわち、概して
図3A及び
図3Bを参照すると、荷重装置20は、所定の周波数を有する所定の破壊力をコネクティングロッド30に加え、これによりコネクティングロッド30が軸線A−Aに沿って割れ、コネクティングロッドの第1の部分96からキャップ98を分割し、分割線94を生ぜしめる。例えば、1つの典型的な例において、コネクティングロッドの固有周波数に概して相当する周波数で所定の荷重が加えられ、これにより、コネクティングロッドにおける叩き割り分割を開始する。
【0042】
より具体的には、
図1を参照すると、分割線94を有さないコネクティングロッドである試験片30が荷重装置20に配置される。次いで、荷重装置20は、クランクシャフト端部92においてコネクティングロッドを割る。この例において、コネクティングロッドは、最初は1つの一体の片である。次いで、荷重装置20は所定の破壊力を第2の方向52に加え、この所定の破壊力は、試験片30をクランクシャフト端部において2つの片に叩き割るために十分な値である。次いで、試験片30は荷重装置20から取り出される。
【0043】
本開示は、この開示を実施するための最良の形態を単に例示する前記例示を参照して特に図示及び説明された。ここで説明された開示の例示に対する様々な択一例が、以下の請求項で定義されるような開示の思想及び範囲から逸脱することなく開示を実施するときに採用されてよいことは、当業者によって理解されるべきである。以下の請求項は開示の範囲を規定しており、これらの請求項及びこれらの均等物の範囲の方法及び装置はこれによって網羅されることが意図されている。開示のこの説明は、ここで説明された全ての新規でかつ非自明の組合せを含むと理解されるべきであり、請求項は、本願又は後の出願において、これらのエレメントのあらゆる新規でかつ非自明の組合せに対して提供される。さらに、前記例示は例示的であり、1つの特徴又はエレメントは、本願又は後の出願において請求される全ての可能な組合せにとって必須ではない。