【文献】
ICS-3000 Ion Chropatography System,Dionex Corporation,2008年,[検索日 2014.08.27],URL,http://www.dionex.com/en-us/webdocs/85525-DS_ICS-3000_19Sep2008_LPN1683_09.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶離液から気体を除去するための高圧脱気装置アセンブリカートリッジを更に備え、前記高圧脱気装置アセンブリカートリッジは、前記小型化IC筐体内に形成された所定の脱気装置スロットに前記小型化IC筐体によって取外し可能に収容されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
前記サプレッサに流体接続された炭酸塩除去装置カートリッジを更に備え、前記脱気装置アセンブリカートリッジ及び前記炭酸塩除去装置カートリッジは、前記小型化IC筐体内に形成された脱気装置アセンブリスロット及び炭酸塩除去装置スロット内に収容されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
少なくとも2つの前記カートリッジの前記クイック流体コネクタに取り付けられ、それぞれのカートリッジの間で再生液流を導くように構成された再生液マニホルド板を更に備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
前記それぞれのカートリッジの各々は、一端部において前記それぞれの回路基板に接続された、前記それぞれのカートリッジが前記筐体内に嵌め込まれたときに前記筐体内に設けられた主回路基板との電気接続を確立するための反対側の端部を含む、少なくとも1つの電気的ピンコネクタを備えることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
前記分離カラムスロットは、間違ったスロットへのカートリッジの挿入を防止するために、前記サプレッサスロットとは異なる所定の形状又は寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
ポンプを更に備え、前記装置、前記溶離液生成器、及び前記検出器はキャピラリスケールの構成要素であり、前記ポンプは通常スケールのものであることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
イオンクロマトグラフィ(IC:ion chromatography)は、様々な試料マトリックス中のアニオン及びカチオン検体の測定のための広く使用されている分析技術である。今日、イオンクロマトグラフィは多くの分離及び検出モードで実施されている。抑制導電率検出(suppressed conductivity detection)イオンクロマトグラフィは最も広く行われている形態の技術である。抑制導電率検出においては、サプレッサと呼ばれる溶離液抑制装置が溶離液を導電性が低い形態に変換し、標的検体のコンダクタンスを強調する。当初のサプレッサは、適切なイオン形態のイオン交換樹脂で充填されたカラムであった。これらの充填床サプレッサは比較的大きな死容積を有し、オフラインでの化学的再生を必要とした。この問題を克服するために、イオン交換繊維及び他の膜をベースとするサプレッサが開発された。これらのサプレッサは、酸又は塩基の再生溶液を用いて連続的に再生することができる。
【0003】
この当初の膜サプレッサに付随する1つの短所は、サプレッサを連続的に生成するために、通常、酸又は塩基再生溶液の外部供給源が使用されたことである。化学的に再生される膜サプレッサに付随する制約を克服するために、電解的に再生される膜サプレッサの様々な設計が長年にわたって開発されてきた。電気的に再生される膜サプレッサの例は、下記の特許文献1〜4に開示されており、これらの全体の内容は、引用により全ての目的のために本明細書に組み入れられる。電解サプレッサは、イオンクロマトグラフィに幾つかの利点を提供する。それらは連続的且つ同時の溶離液の抑制、抑制媒質の再生、及び通常のイオンクロマトグラフィ(IC)用途のための十分な抑制能力を提供する。それらは、抑制された溶離液又は水を用いて、電解的に再生液イオンを生成することができるので、操作が容易である。したがって、オフラインで再生液溶液を調製する必要がない。また、このサプレッサは勾配分離に適合する。それらはまた非常に小さい抑制ゾーン体積を有し、これにより、高いクロマトグラフィ効率による分離が可能になる。
【0004】
イオンクロマトグラフィにおいて、通常は酸、塩基、又は塩の希釈溶液がクロマトグラフィ溶離液として用いられる。伝統的に、これらの溶離液は試薬等級の化学物質を用いた希釈によりオフラインで調製される。クロマトグラフィ溶離液のオフライン調製には、時間がかかり、操作者が間違え易く、更に汚染物質が混入することが多い。例えば、アニオンのイオンクロマトグラフ分離における溶離液として広く使用される希釈NaOH溶液は、炭酸塩によって汚染され易い。炭酸塩を含まないNaOH溶離液の調製は、炭酸塩が試薬からの不純物として、又は空気からの二酸化炭素の吸着によって入る可能性があるので、困難である。NaOH溶離液内の炭酸塩の存在は、イオンクロマトグラフ法の性能を低下させる可能性があり、水酸化物勾配中に望ましくないクロマトグラフィのベースラインドリフトを引き起こす可能性があり、更に標的検体の保持時間を再現不可能なものにする可能性がある。近年、高純度イオンクロマトグラフィ溶離液を生成するために、水の電気分解及びイオン交換媒質を通じたイオンの電荷選択的エレクトロマイグレーションを利用した幾つかの手法が研究者達によって研究されている。それらの内容の全体が引用により全ての目的のために本明細書に組み入れられる特許文献5〜10は、水をキャリアとして用いて高純度の酸及び塩基溶液を生成するために使用することができる電解装置について説明している。さらに、引用により全ての目的のために本明細書に組み入れられる特許文献11及び12は、汚染物イオンを溶離液から除去して溶離液ストリームを浄化するための、電解的に再生されるトラップカラムについて説明している。1つの実施形態において、溶離液ストリームは、イオン交換床を含んだ浄化流路を通して流れる。浄化流路内を流れる溶離液ストリームを通して電界がされる。これらの装置を用いると、クロマトグラフィ分離における溶離液として使用するための、高純度で汚染物を含まない酸又は塩基溶液がオンラインで自動的に生成される。これらの装置は、いまや従来の機械式勾配ポンプを用いる代りに電流勾配を用いて最小の遅延時間で実施することができる勾配分離を単純化する。
【0005】
電解溶離液生成器とサプレッサとを組み合せた使用により、イオンクロマトグラフィ法のルーチン操作が著しく変化し、移動相として脱イオン水のみを用いる様々なイオンクロマトグラフィ分離の実施が可能になった。これらの電解装置の使用は、勾配中の最小のベースラインシフト、優れた保持時間再現性、低い検出バックグラウンド、及び標的検体に対するより低い検出限界を可能にすることにより、イオンクロマトグラフィ法の性能の著しい向上をもたらしている。
【0006】
内径1mm又はそれ以下の分離カラムを用いるキャピラリ・イオンクロマトグラフィを分析的分離ツールとして用いることは、分離プロセスの小型化に伴う認識された利点により、絶えず関心が持たれている。これまでのところ、そのようなシステムは、適切な器具及び消耗品がないために利用されていない。通常スケールのイオンクロマトグラフィにおける典型的な分離カラムは、2mmから9mm迄の範囲のカラム内径を有し、0.2乃至5mL/minの範囲の流量で操作されている。
【0007】
引用により全内容が全ての目的のために本明細書に組み入れられる特許文献13は、水酸化カリウム溶離液の電解生成、及びアニオン測定のための抑制導電率検出を用いた、キャピラリ・イオンクロマトグラフィを開示している。このシステムにおいては、キャピラリ・ポンプシステムを用いて、脱イオン水のストリームが、Ptカソードを含む高圧生成チャンバとPtアノードを含む低圧電解液貯留槽とから構成されるキャピラリKOH溶離液生成器に送り込まれる。印加電界のもとで、カリウムイオンはイオン交換コネクタを横切って移動し、水酸化物イオンと結合してKOH溶離液を形成する。形成されるKOH溶液の濃度は、印加電流に比例し、且つ脱イオン水キャリアストリームの流量に反比例する。他の下流のシステム構成要素には、脱気装置ユニット、注入器、分離カラム、サプレッサ及び検出器が含まれる。
【0008】
特許文献13は更に、キャピラリ・イオンクロマトグラフィのサプレッサの幾つかの実施形態を開示している。一実施形態において、キャピラリ・アニオン・サプレッサは3つのチャンバからなる。溶離液チャンバは、カチオン交換樹脂床の内部にしっかりと埋め込まれたカチオン交換キャピラリ配管を含む。樹脂床内のカチオン交換キャピラリ配管への個別の流体接続が存在するように、準備がなされる。溶離液チャンバは、カチオン交換イオン交換膜によって、カソード再生液チャンバ及びアノード再生液チャンバから物理的に隔てられる。カソードチャンバは有孔Ptカソードを含み、アノードチャンバは有孔Ptアノードを含む。両方の電極チャンバは、2つの液体接続ポート(入口及び出口)を有する。このタイプの電解キャピラリ・サプレッサの動作において、樹脂床は、装置のアノードにおける水の電気分解により生成されるヒドロニウムイオンによって連続的に再生される。印加電界のもとで、装置のアノードで生成されたヒドロニウムイオンはカチオン交換膜を横切って移動し、カチオン交換樹脂床内に達する。その間に、樹脂床上に交換されたカリウムイオンもまた、他のカチオン交換膜を横切って移動し、装置のカソードチャンバ内に達した後に廃液部に行く。電気分解に用いられる水は、導電率検出器からの溶出水溶液から得ることができる。
【0009】
イオンクロマトグラフィシステムにおいて、ユーザは、種々のシステム構成要素間に多数の流体又は液体接続を形成する必要がある。最適のクロマトグラフィ性能を確保するためには、流体接続を適切に且つ死容積がないように形成することが重要である。キャピラリ・イオンクロマトグラフィの場合、適切な流体接続を形成することは達成が非常に難しいが、その理由は、分離流量が毎分数マイクロリットルの程度であるときには、数ナノリットル程度の小さい死容積がシステム性能に劇的な悪影響を及ぼすからである。
【0010】
近年、環境試料内の検体イオンの測定において、自動化された2次元IC法への関心が高まりつつあり、その理由は、それらの方法が便利なオンラインのマトリックス除去又は分流をもたらし、煩雑なオフラインでの試料前処理段階の必要性を排除するからである。1つの例示的な2次元IC法において、検体イオンは、第1の次元において通常のICカラム(例えば、4mm内径)上でマトリックスイオンから部分的に分離され、キャピラリ濃縮器カラム上に収集され、次いで第2の次元において別のICカラム上で残留マトリックスイオンから分離される。第1の次元における水酸化物溶離液からの抑制された溶離液は水であり、これが、第2の次元に移る前のイオン交換保持及び濃度に関する理想的な環境をもたらす。第2の分離次元において0.4mmID(内径、Inner Diameter)のキャピラリICカラムが用いられるならば、カラムは第1の次元のカラムに比べて百分の1の断面積を有し、検出感度は100倍高くなる。さらに、2次元IC法は、2つの異なるカラム化学を組み合せることを可能にする。抑制導電率及び質量分析検出の両方による2次元IC法は、環境試料中の過塩素酸塩及び臭素酸塩などの目的検体の1兆分の1のレベルの測定に対してこれらの方法を用いることの利点をもたらすであろう。
【0011】
したがって、キャピラリ・イオンクロマトグラフィをより使い易く且つ信頼性の高い分析技術にする、改善された流体接続の手段を提供するキャピラリイオンクロマトグラフを開発する必要がある。さらに、通常の流量及びキャピラリ流量におけるイオンクロマトグラフィ分離プロセスの改善された使用し易い統合化をもたらす、マルチチャネル型イオンクロマトグラフを開発する必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記を考慮すると、既知のイオンクロマトグラフィシステムの上記及び他の短所を克服する方法を及び装置を有することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の種々の態様は、電解的溶離液生成及び抑制導電率検出を用いたマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムに関する。要約すると、本発明の種々の態様は、1つ又は複数の標的検体を有する試料を供給するための試料注入器と、試料中のイオン種を分離するための、分離カラムカートリッジ内に収容されたIC分離カラムと、溶離液のコンダクタンスを低減させて標的検体のコンダクタンスを強調するための、サプレッサカートリッジ内に収容されたサプレッサと、分離カラムカートリッジ及びサプレッサカートリッジをそれぞれ所定の分離カラム及びサプレッサ空間内に取外し可能に収容する小型IC筐体と、を備えたイオンクロマトグラフィ(IC)のための装置に関する。
【0015】
種々の実施形態において、本装置は、溶離液から気体を除去するための高圧脱気装置アセンブリカートリッジを含む。種々の実施形態において、本装置は、サプレッサに流体接続された炭酸塩除去装置カートリッジを含む。脱気装置アセンブリカートリッジ及び炭酸塩除去装置カートリッジは、筐体内の炭酸塩除去装置用空間及び脱気装置アセンブリ用空間内に収容される。各々のカートリッジは、クイック流体コネクタを含むことができる。種々の実施形態において、本装置は、少なくとも2つのカートリッジのクイック流体コネクタに取り付けられる、それぞれのカートリッジの間で再生液流を導くように構成された再生液マニホルド板を含む。
【0016】
本装置は、分離カラムカートリッジの温度を一定に保つための温度制御ゾーンを筐体内に含むことができる。温度制御ゾーンは、加熱要素を含むことができる。
【0017】
本発明の種々の態様は、モジュール式コンポーネントカートリッジを利用したモジュール式システムに向けられる。種々の実施形態において、それぞれのカートリッジの各々は、それぞれの内部構成要素を制御するための回路基板を備える。それぞれのカートリッジの各々は、随意に、一端が回路基板に接続され、反対端が、それぞれのカートリッジが筐体内に嵌め込まれたときに筐体内に設けられた主回路基板との電気接続を確立する、少なくとも1つの電気的ピンコネクタを含む。種々の実施形態において、1つ又はそれ以上のカートリッジが、実際のシステム構成要素の代りに流体接続ラインを含むバイパスカートリッジで置き換えられる。
【0018】
種々の実施形態において、筐体はブロック形であり、所定の空間は、カートリッジを収容するためのスロットである。例示的な筐体は、約
16.387064cm3(1立方インチ
)から約
16387.064cm3(1000立方インチ
)迄の範囲の容積を有する。種々の実施形態において、小型化IC筐体は、他のシステム構成要素との接続のために、イオンクロマトグラフィシステムの大きなコンパートメント内に挿入されるように構成される。
【0019】
種々の実施形態において、第2のIC装置が第2の筐体内に収容される。第2のIC筐体は、小型化IC筐体とすることができる。第2のIC筐体は、システムコンパートメント内で第1のIC筐体と隣り合わせに配置することができる。種々の実施形態において、第2のIC装置は、第1のIC装置よりも高純度の分離のために構成することができる。種々の実施形態において、コンパートメントは1つ又はそれ以上の通常スケールの分離カラムを含む。種々の実施形態において、第1及び/又は第2のIC筐体は、キャピラリスケールの分離カラムを含む。
【0020】
本発明の種々の態様は、イオンクロマトグラフィのための上記の装置を、試料注入器に溶離液を送るための、ポンプによって駆動される溶離液生成器と、分離されたイオン種を検出するための、サプレッサに直接又は炭酸塩除去装置を介して流体接続された検出器と組み合せて備えた、イオンクロマトグラフィのためのシステムに向けられる。本システムは、ポンプを含むことができる。種々の実施形態において、イオンクロマトグラフィのための装置、溶離液生成器、及び検出器は、キャピラリスケールの構成要素であり、ポンプは通常スケールのものである。
【0021】
種々の実施形態において、本システムは、IC分離カラムからの処理された溶出液を受取り濃縮するための濃縮器カラムと、濃縮器カラムと流体連通する第2のIC分離カラムと、第2の分離カラムと流体連通する第2のサプレッサと、第2のサプレッサからの分離されたイオン種を検出するための第2の検出器とを含む。種々の実施形態において、濃縮器カラム、第2のIC分離カラム、及び第2のサプレッサは、小型化IC筐体内に収容される。
【0022】
種々の実施形態において、溶離液生成器は電解溶離液生成器である。種々の実施形態において、検出器は導電率検出器である。種々の実施形態において、サプレッサは電解サプレッサである。
【0023】
本発明の種々の態様は、システムに試料をロードすることと、試料をシステム内で流動させることと、分離されたイオン種を検出器内で検出することとを含む、イオンクロマトグラフィを実施する方法に向けられる。
【0024】
本発明の種々の態様は、1つ又は複数の標的検体を含む試料を送出するための試料注入器と、試料注入器に溶離液を送るための溶離液生成器と、IC筐体アセンブリと、炭酸塩除去装置に流体接続された、分離されたイオン種を検出するための検出器とを備えたイオンクロマトグラフィのためのシステムに向けられる。種々の実施形態において、IC筐体アセンブリは、溶離液から気体を除去するための高圧脱気装置アセンブリを含む脱気装置アセンブリカートリッジと、標的検体からのイオン種を分離するためのIC分離カラムを含む分離カラムコートリッジと、標的検体のコンダクタンスを強調するためのサプレッサを含むサプレッサカートリッジと、サプレッサに流体接続された炭酸塩除去装置カートリッジと、各々のカートリッジを所定のスロット内に取外し可能に収容する小型化筐体とを含む。
【0025】
種々の実施形態において、本システムは、第2の注入器と第2の溶離液生成器とに接続され、第2の脱気アセンブリ、第2のIC分離カラム、第2のサプレッサ、及び第2の炭酸塩除去装置を備えた第2のIC筐体アセンブリと、分離されたイオン種を検出するための、該炭酸塩除去装置に流体接続された第2の検出器とを備える。第1の分離カラムはキャピラリスケールの分離カラムとすることができ、第2の分離カラムは通常スケールの分離カラムとすることができる。第1の分離カラムは通常スケールの分離カラムとすることができ、第2の分離カラムはキャピラリスケールの分離カラムとすることができる。
【0026】
本発明の種々の態様は、再生液マニホルド板を備えたイオンクロマトグラフィシステムに向けられる。種々の実施形態において、マニホルド板は、クイック流体接続を確立するための複数の流体コネクタを含み、マニホルド板は再生液チャンバの数に基づく数の流体コネクタを含む。マニホルド板は、それぞれの再生液チャンバの間で再生液の流れを導くように構成することができる。本システムは、脱気装置アセンブリカートリッジ、分離カラムカートリッジ、及びサプレッサカートリッジと組み合せて使用することができる。本システムは、炭酸塩除去装置カートリッジと共に使用することができる。カートリッジは各々、マニホルド板上のそれぞれのコネクタとの流体接続を確立するためのコネクタを含むことができる。各々のコネクタは、それぞれのカートリッジの対応するコネクタとの流体密封シールを確実にするための密封部材を含むことができる。
【0027】
本発明の種々の態様は、1つ又は複数の標的検体を有する試料を供給するための試料注入器と、試料中のイオン種を分離するためのIC分離カラムと、溶離液のコンダクタンスを低減させて標的検体のコンダクタンスを強調するためのサプレッサと、流路を構成する流体接続を含むバイパスカートリッジと、試料注入器、IC分離カラム、及びサプレッサを収容するように構成された小型化IC筐体とを備えた、イオンクロマトグラフィ(IC)のための装置に向けられる。IC筐体は、バイパスカートリッジを、試料注入器と分離カラム、分離カラムとサプレッサ、及びそれらの組合せのうちの1つを流体接続するためのそれぞれの所定のバイパスカートリッジ用空間内に、取外し可能に収容する。
【0028】
本発明のイオンクロマトグラフィ装置及び方法は、他の特徴及び利点を有し、これらは、本発明の原理を説明するために共に役立つ、本明細書に組み込まれてその一部分を形成する添付の図面、及び以下の本発明の詳細な説明から明白となり、又はそれらの中で詳しく説明されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
これから、添付の図面に例を示した本発明の種々の実施形態について詳しく言及する。本発明は種々の実施形態と関連して説明されるが、このことは本発明をそれらの実施形態に限定することを意図したものではないことを理解されたい。反対に、本発明は、添付の特許請求によって定められる本発明の趣旨及び範囲に入り得る代替、修正及び均等物に及ぶことが意図されている。
【0031】
次に、種々の図面を通して類似の構成要素が類似の参照数字で表される図面を参照し、
図1に注意を向ける。
【0032】
図1は、電解生成及び抑制導電率検出を用いた、一般に30で示す、例示的なイオンクロマトグラフィ(IC)システムを表すブロック図である。この例示的なシステムは電解溶離液生成器(EG)32及び電解サプレッサ33を含むが、以下の説明から、本発明によれば、他の生成器、サプレッサ、及び構成、例えば、非電解生成器及びサプレッサを用いることができることを認識されたい。例示的なシステム30は、水酸化カリウム溶離液の電解生成、及びアニオン測定のための抑制導電率検出を用いた、従来のIC構成要素を用いる。例示的なシステムはまた、MSA溶離液、及びカチオン測定のための抑制導電率検出を用いることもできることを認識されたい。多くの態様において、溶離液生成器32は、引用によりそれらの内容全体が全ての目的のために本明細書に組み入れられる特許文献5〜13に記載されているものと同様のものである。多くの態様において、サプレッサ33は、引用によりそれらの内容全体が全ての目的のために本明細書に組み入れられる特許文献1〜4に記載されているものと同様のものである。
【0033】
例示的なシステムにおいて、ポンプ35を用いて脱イオン水のストリームが溶離液生成器カートリッジ32内へと送られ、このカートリッジ32は、KOH溶離液生成器、並びにPtカソードを含む高圧生成チャンバ及びPtアノードを含む低圧電解質貯留器を含む。印加電界のもとで、カリウムイオンはイオン交換コネクタを横切って移動し、水酸化物イオンと結合してKOH溶離液を形成する。形成されるKOH溶液の濃度は印加電流に比例し、且つ脱イオン水キャリアストリームの流量に反比例する。
【0034】
例示的なシステム30は、溶離液中の微量汚染物を除去するための連続再生アニオントラップカラム(CR−ATC:continuously regenerated anion trap column)37を電解溶離液生成器の下流に含む。CR−ATCは、用途に応じて他のトラップで置き換えることができることが理解されよう。その他の下流のシステム構成要素には、KOH溶離液生成器及びCR−ATCの電解操作によって形成される水素ガスを除去するのに用いられる高圧脱気装置アセンブリ39、試料注入器40、分離カラム42、電解サプレッサ33、炭酸塩除去装置(CRD:carbonate removal device)44、及び導電率検出器46が含まれる。導電率検出器を出た溶離液は、電解サプレッサの再生液チャンバ、CRD、CR−ATC、及び高圧脱気装置アセンブリを通された後で廃液部47に行く。
【0035】
以下でより詳しく説明するように、任意の数の図示した構成要素を、より大きな構造体又はコンパートメント内に取外し可能に挿入されるように構成された、モジュールカートリッジ内に収容することができる。種々の実施形態において、溶離液生成器、サプレッサ、及び脱気装置アセンブリは、別々の取外し可能カートリッジ内に設けられる。本明細書の説明を通して、システム構成要素及びそれぞれのカートリッジへの言及は互換的になされる。
【0036】
幾つかのシステム構成要素は、流体通路を形成するための手動流体コネクタを含むことができる。種々の実施形態において、流体コネクタは、10−32ネジのメス型入口及び出口流体接続ポートである。CR−ATC、高圧脱気装置アセンブリ、及び電解サプレッサを含む幾つかの構成要素、並びに炭酸塩除去装置はまた、それらの再生液チャンバのために、10−32又は1/4−28ネジのメス型入口及び出口流体接続ポートの追加の組を有する。各々の端部にナット及びフェルールを有する小口径のポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)配管(例えば、外径が
0.15875cm(1/16インチ
)、内径が
0.00254cm(0.0010インチ
)乃至
0.0762cm(0.030インチ
))が、種々の構成要素を互いに接続するのに随意に用いられる。
図1に示す種々の構成要素の間を互いに配管するために、システム操作者は、ポンプ出口からの溶離液の流れを導電率検出器まで導くために少なくとも16個の流体接続を手動で形成する必要がある。さらに、システム操作者は、再生液流を導電率検出器の出口を通して廃液部まで導くために、少なくとも9個の流体接続を手動で形成する必要がある。
【0037】
種々の実施形態において、種々のシステム構成要素の入口及び出口ポートは、入口ポートを10−32又は1/4−28ネジのオス型コネクタとし、出口ポートを10−32又は1/4−28ネジのメス型コネクタとする形式で準備される。システム構成要素は、ナット及びフェルール付きの結合用配管部分を必要とせずに、相互に直接接続される。
図1に示すシステムでは、システムの操作者が種々の構成要素を互いに配管するために形成することが必要な流体接続の数は、上記のシステムから約半分に減らされている。例えば、操作者は、ポンプ出口からの溶離液流を導電率検出器の入口まで誘導するための8個の流体接続(16個の接続の代りに)、及び再生液流を導電率検出器の出口を通して廃液部まで導くための5個の流体接続(9個の接続の代りに)を手動で形成することが必要となる。したがって、この説明した接続は、イオンクロマトグラフィシステムにおいて手動で形成される流体接続を簡単にし、その数を減らすことになる。キャピラリイオンクロマトグラフィシステムの場合には、適切な流体接続の形成を成し遂げることは特に困難であり得るので、システムの使い易さ及び信頼性の向上はさらなる利益をもたらす。
【0038】
種々の実施形態において、システムは、内径が1mm又はそれ以下の分離カラムを用いたキャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムである。キャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムは、典型的には約1μL/minから約20μL/minまでで操作される。クロマトグラフィ性能は、システム構成要素及び接続の遅延容積又は死容積を最小にすることによって改善することができる。全てのクロマトグラフィ・システム構成要素、及びそれら構成要素を収容するコンパートメントの寸法を最小化することが有利である。
【0039】
図2は、大部分又は全てのクロマトグラフィ・システム構成要素、及び構成要素を収容するコンパートメントの寸法を最小化したシステム30aを示す。幾つかの点で、システム30aは上述のシステム30と同様に構成され動作する。種々の実施形態において、クラマトグラフィのコンパートメントには、小さいキューブ又は筐体49aの形態が採用される。筐体及びキューブは、以後、要素49aを指すのに互換的に用いられる。本明細書の説明から、筐体49aは、直方柱及び湾曲した形状を含むがそれらに限定されない、種々の形状、構成、及び構造を有することができることが理解されるであろう。
【0040】
IC筐体49aは、幾つかの重要なクロマトグラフィ構成要素、例えば、高圧脱気装置アセンブリ39a、試料注入器40a、分離カラム42a、電解サプレッサ33a、及び炭酸塩除去装置(CRD)44aなどを収容するように設計される。
【0041】
種々の実施形態において、高圧脱気装置アセンブリ、分離カラム、電解サプレッサ、及びの炭酸塩除去装置(CRD)の各々の機能構成要素は、筐体内に収容されるように構成され
た小さな矩形カートリッジ内に別々にパッケージされる
。カートリッジ及び筐体49aは、筐体内の所定の空間にカートリッジを取外し可能に挿入することができるように構成される。筐体及びシステム構成要素カートリッジは、筐体内へのカートリッジの容易な取り付け及び取外しを可能にする適切な機械的構造を設けるように設計される。種々の実施形態において、筐体は、筐体内へのカートリッジの容易な挿入及び保持、並びに、置き換え又は交換が必要なときのカートリッジの容易な取出しのための、クリップ又はラッチなどの機械的締結具を備えたスロットを含む。筐体は、カートリッジの挿入を容易にするための案内軌道又は他の構造部を含むこともできる。筐体はまた、スロットを特定のカートリッジに合わせて、筐体の間違った領域へのカートリッジの挿入を防ぐための、所定の形状又は他の構造を有するスロットを含むこともできる。
【0042】
種々の実施形態において、上記のものの1つ又はそれ以上をバイパスカートリッジとして構成することができる。カートリッジ51とは対照的に、バイパスカートリッジは実際のシステム構成要素の代りに流体接続ラインを含む。流体ラインは、カートリッジを通した流路を構成する。バイパスカートリッジは、構成要素カートリッジが必要でないシステム構成において、システムの種々の機能構成要素をバイパスすることができるように用いることができる。バイパスカートリッジはまた、IC筐体49aを他の機器構成と共に用いることを可能にすることができる。種々の実施形態において、バイバスカートリッジ又はカセットは、1つ又はそれ以上の再生用ポート、及び、他の構成要素とインタフェースするためにカセットの前面に接続される内部ループ又は配管延長部を含む。種々の実施形態において、ICシステムの1つ、2つ又はそれ以上の機能構成要素がIC筐体内に収容され、バイパスカートリッジは、その1つ、2つ又はそれ以上の機能構成要素及び/又はシステムの他の構成要素の間の流体接続をもたらす。
【0043】
種々の実施形態において、分離カラム42aは、一体型モジュールとして構成され、分離カラムカートリッジ42a’は、1つ又はそれ以上の分離カラムモジュールを収容するカセットとして形成される。
図2を参照すると、カセットは、システムの継手及び流体接続の多くのものを変更する必要性を最小にすることにより、種々のカラムの容易な取外し及び置き換えを可能にする。カラム全体を分解する代りに、ユーザは分離カラムカセットを収容スロット43aから取外し、新しいカセットを挿入するか又はカセット内の分離カラムの1つ又はそれ以上を交換する。
【0044】
例示的な試料注入器40aは、分離カラムカートリッジに隣接し、流体連通するように配置される。種々の実施形態において、注入器は、筐体内に固定された注入器アセンブリである。「固定された」は、機械技術分野で用いられるように、注入器の取外しにはネジなどの恒久的締結具の取外しを必要とすることを意味するものと理解されたい。
【0045】
筐体49aはまた、電解溶離液生成器、連続再生トラップカラム(CR−TC:continuously regenerated trap column)、及び/又は検出器などの付加的なシステム構成要素を収容するように設計することもできることを理解されたい。検出器は、導電率検出器、電気化学的検出器、又はイオンクロマトグラフィシステムに適合する他の検出器とすることができる。
【0046】
種々の実施形態において、IC筐体49aの背面パネルには、
図3−
図4に示すように再生液流マニホルド板53が取り付けられる。再生液マニホルド板は板状構造体として示されるが、任意の適切な構造又は構成を用いることができることを理解されたい。例示的なマニホルド板は、筐体に通常の方式で取り付けられ、種々の筐体構成要素への流体接続のための流体継手又はコネクタ54aを含む。例示的なマニホルド板は、システム内の種々の構成要素の再生液チャンバ間で再生液流を導くための、適切な数のメス型クイック接続/脱離式流体コネクタを含む。再生液チャンバを備えたカートリッジ(例えば、高圧脱気アセンブリ、電解サプレッサ、及びCRD)に、マニホルド板上のメス型流体コネクタに対応するオス型のクイック接続/脱離式流体コネクタが取り付けられる。
【0047】
種々の実施形態において、流体コネクタ54aの各々は、マニホルド板上のコネクタとそれぞれのチャンバとの間の流体密封シールを確実にするための密封部材56aを含む。
例示的なクイック接続/脱離式コネクタの流体密封は、イオンクロマトグラフィ内で用いられる溶離液と化学的に適合する材料で形成されたo−リングを使用することにより達成される。各々のメス型クイック接続/脱離式流体コネクタは、別の、10−32又は1/4−28ネジのメス型流体出口ポートを含む。例示的な流体コネクタは、各端部に適切なナット及びフェルールを有する小口径PEEK配管(例えば、外径が
0.15875cm(1/16インチ
)、内径が
0.00254cm(0.001インチ
)乃至
0.1016cm(0.040インチ
))を用いて互いに接続される。
【0048】
再生液流は第1の流体コネクタを通してマニホルド板53に入り、マニホルド板内で流体部品又は内蔵流体通路を介して第2の流体コネクタへと導かれ、それにより1つのチャンバから別のチャンバへの流れが促進される。このように、ICキューブの再生液マニホルド板は、システム内の種々の構成要素の再生液チャンバ間で再生液流を導くように機能する。
【0049】
例示的なIC筐体49aは、内部カートリッジ51への5個の流体接続、及び4個迄の再生液流体コネクタを含む。これら5個の流体接続は、ユーザによる容易な組立てを可能にするように構成要素の製造中に事前作成することができる。したがって、各カートリッジの前面から、既に内部で接続された配管が出ているので、ユーザは管の1つの未接続端部をシステムに接続する必要があるだけである。これは、ユーザが従来のシステムにおいて典型的に形成するよりも約9個少ない接続を可能にし、それにより遥かに使用し易くなり、間違える機会が減少する。
【0050】
再生液マニホルド板53を備えたIC筐体49a及び関連する構成要素カートリッジの設計は、重要なICシステム構成要素をIC筐体49aに、したがってICシステム30に、すばやく簡単に挿入することを可能にし、再生液流のための自動的な流体接続をもたらす。これは、イオンクロマトグラフィシステムにおいて、手動で形成する流体接続を著しく簡単にし、その数を減らすことになる。キャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムの場合には、これは特に有益であり、システムの使い易さ及び信頼性を改善することができるが、その理由は、キャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムにおいては適切な流体接続を形成することが特に難しいためである。この設計は更に、システムの構成要素のスケール及び寸法を著しく小さくする。
【0051】
種々の実施形態において、IC筐体49aは、カートリッジ内の種々の動作に必要な電流及び/又は電圧源を供給するために用いることができる適切な電子回路基板58aを含む。例えば、電解溶離液生成器32a、電解サプレッサ33a、及びCR−ATC37aは、それぞれのカートリッジ内部構成要素に電力を供給しそれらを制御するための回路基板を有することができる。
【0052】
種々の実施形態において、IC筐体49aは、分離カラムカートリッジ42a’を収容する温度制御ゾーン又はオーブンを含む。加熱素子を設けて、分離カラムの回りの温度をIC筐体の回りの周囲温度とは独立に保持することができる。カラム温度の正確且つ高精度の制御は、再現性のある、目的の検体イオンのイオンクロマトグラフィ分離を達成するために、一般的に重要である。
【0053】
図5を参照すると、種々の実施形態において、IC筐体49aの背面パネルは、カートリッジ33’及び44’との電気接続を確立するためのピンコネクタ又はレセプタクル52のアレイを含む。種々の実施形態において、ピンコネクタは、Pogo(商標)ピンである。Pogo(商標)ピンは、電子機器において2つのプリント回路基板の間の接続を確立するのに用いられる機構である。Pogo(商標)ピンは、通常、2つの鋭利なばね荷重式ピンを収容した細い円筒の形態を取る。2つの電子回路の間で押されると、ピンの各端部の鋭利な先端が各端部において2つの回路と確実に接触し、それによりそれら回路を互いに接続させる。Pogo(商標)は、エヴァレット・チャールズ・テクノロジーズ(Everett Charles Technologies)社の(カリフォルニア州、ポモナ)の登録商標である。
【0054】
種々に実施形態において、各々の構成要素カートリッジの背面端部60aには、ピンコネクタの一端と接触する回路基板58aを取り付けることができる。ピンの反対側の端部は、カートリッジが筐体内に嵌め込まれたときにIC筐体の背面パネル上の主回路基板と接触し、それにより電気接続が自動的に確立される。電気接続を形成するために幾つかの手動ステップを必要とする通常の電気ケーブル及びコネクタを用いる代りに、ピンコネクタを便利に用いて、電解溶離液生成器、電解サプレッサ、及びCR−TCなどの種々の電解システム構成要素の動作に必要な電流及び/又は電圧源を、IC筐体アセンブリを通して供給することができる。さらに、ピンタイプの電気接続は、システム構成要素カートリッジの存在を検出するための感知回路内で用いることができる。したがって、主回路基板は、IC筐体内のカートリッジの存在又は不在に基づいてシステムを制御することができる。存在感知機能の使用により、ユーザにそれらの特定の構成に関する準備及びエラーのインジケータを与えることができる。
【0055】
図2−
図5を参照すると、IC筐体49aは、高圧脱気装置アセンブリ、試料注入器、分離カラム、電解サプレッサ、炭酸塩除去装置(CRD)などの重要なクロマトグラフィ構成要素を収容するように設計された小型化クロマトグラフィ・コンパートメントである。IC筐体の体積は、約
16.387064cm3(1立方インチ
)から約
16387.064cm3(1000立方インチ
)迄の範囲にすることができる。種々の実施形態において、IC筐体は、約
18.542cm(7.3インチ
)×約
9.398cm(3.7インチ
)×約
13.97cm(5.5インチ
)の物理的寸法を有する。例示的な高圧脱気装置アセンブリカートリッジ39’及びCRDカートリッジ44’は、それぞれ、約
2.0828cm(0.82インチ
)×約
9.3472cm(3.68インチ
)×約
11.3284cm(4.46インチ
)の物理的寸法を有する。例示的な分離カラムカートリッジ42’は、約
9.144cm(3.6インチ
)×約
3.81cm(1.5インチ
)×約
9.652cm(3.8インチ
)の物理的寸法を有する。例示的な電解サプレッサカートリッジ33’は、約
2.0828cm(0.82インチ
)×約
9.3472cm(3.68インチ
)×約
11.3284cm(4.46インチ
)の物理的寸法を有する。比較すると、通常それらの構成要素は
1638.7064cm3乃至4916.1192cm3(100乃至300立方インチ
)の範囲の体積を有する。種々の実施形態において、それぞれのカートリッジに対する筐体内の対応する収容スロットの各々の寸法は、対応するカートリッジの各寸法よりも、典型的には約
0.0254乃至0.1016cm(0.010乃至約0.040インチ
)大きくされる。そのサイズが小さいことにより、IC筐体は、イオンクラマトグラフィシステムにおけるクロマトグラフィ・コンパートメントとして特有の利点をもたらす。
【0056】
一実施形態において、IC筐体は、高圧脱気装置アセンブリ、試料注入器、分離カラム、電解サプレッサ、炭酸塩除去装置(CRD)、及び検出器などの重要なシステム構成要素を収容し、IC筐体は、イオンクロマトグラフィシステムのポンプ及びシステム制御コンピュータなどの物理的に大きな構成要素から離して(即ち、1メートル又はそれ以上)配置される。IC筐体とポンプ及びシステム制御コンピュータとの間の適切な流体接続及び電気通信によって、IC筐体は、イオンクロマトグラフィ分離を実施するシステム操作者にとって簡単に近づけない又は危険な遠隔位置に配置することができる。例えば、IC筐体は、種々の工業プロセスにおけるプロセス監視のための遠隔オンライン分析器内に便利に組み込むことができる。IC筐体を放射性環境内に遠隔に配置して、システム操作者を危険な状態に曝す危険性なしに標的検体のイオンクロマトグラフィ分離を実行することができる。そのサイズが小さく軽量であるので、宇宙探査における目的検体の測定の要求を満たすIC筐体を宇宙船内に設置することが考えられる。
【0057】
種々の実施形態において、キャピラリスケールのイオンクロマトグラフィシステム構成要素、例えば、電解溶離液生成器、CR−TC、高圧脱気装置アセンブリ、試料注入器、分離カラム、電解サプレッサ、炭酸塩除去装置(CRD)、及び検出器などを、通常スケールのイオンクロマトグラフィシステム構成要素と組み合せて用いることにより、マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムが構築される。
図6は、分析スケール及びキャピラリスケールの両方のイオンクロマトグラフィ分離を同時に実施することができるデュアルチャネルのマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステム30bのブロック図を示す。このように、本発明によるシステムは、1次元システムでは不可能な化学種の分離をもたらすように構成することができる。本システムはまた、より大きな速度及び効率をもたらすことができる。
【0058】
種々の実施形態において、マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムのキャピラリスケールのシステム構成要素は、前述のようにIC筐体49a内に取り付けられ、このIC筐体が、
図7に示すように、より大きな、通常スケールのイオンクロマトグラフィシステム構成要素を収容する通常スケールのイオンクロマトグラフィコンパートメント61c内に配置される。IC筐体はサイズがより小さいので、2つ又はそれ以上のIC筐体を通常スケールのクロマトグラフィ・コンパートメント内に配置することができる。
図7に示すように、このコンパートメントはまた、通常スケールの分離カラムなどの他の構成要素を収容することができる。種々の実施形態において、2つのIC筐体を有するように構成された例示的なシステムは、2つのキャピラリスケールのIC分離(例えば、アニオン検体用の2つの分離チャネル、又はカチオン検体用の2つの分離チャネル、又はアニオン検体用の1つの分離チャネル及びカチオン検体用の1つの分離チャネル)を同時に実施するために用いることができる。種々の実施形態において、通常スケールのイオンクロマトグラフィ分離チャネルをIC筐体などの他の構成要素のキャピラリスケールのイオンクロマトグラフィ分離と都合よく結合させて、マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムが2次元イオンクロマトグラフィ分離を実施できるようにすることができる。IC筐体は、1つ又はそれ以上の、キャピラリスケール又は通常スケールの分離カラムを含むことができることを認識されたい。ICコンパートメント及び/又は筐体はまた、当業者であれば本明細書の説明から理解するように、配管及び他の接続を用いてICシステムの他の構成要素に接続することもできる。
【0059】
図8は、2次元イオンクロマトグラフィ分離を実施するために構成された別のマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステム30dを示す。このシステムにおいて、検体イオンは、第1の次元の通常スケールのICカラム上でマトリックスイオンから部分的に分離され、キャピラリ濃縮器カラム上に収集され、次いで第2の次元においてキャピラリスケールのICカラム上で残留マトリックスイオンから分離される。種々の実施形態において、通常スケールのICカラムは約4mmの内径(ID)を有し、キャピラリスケールのICカラムは約0.4mmのIDを有する。第2の次元において標的検体を測定する前に標的検体が濃縮器カラム上に効率的に保持されることを確実にするように、第1の次元からの最適な切替え時間(cut time)を決定することが重要となり得る。種々の実施形態において、第1の次元における脱気装置アセンブリ、分離カラム、及びサプレッサは全て、前述の筐体49aと同様のIC筐体49d内に嵌め込まれるカートリッジ内に別々に収容される。種々の実施形態において、第2の次元における脱気装置アセンブリ、分離カラム、及びサプレッサは全て、第1の次元のIC筐体と隣合わせのIC筐体内に嵌め込まれるカートリッジ内に別々に収容される。
【0060】
図8の例示的なシステムにおいて、第1の分離次元からの所定量の抑制された溶離液がキャピラリ濃縮器上で濃縮される。第1の次元における水酸化物溶離液からの例示的な抑制溶離液は水であるので、標的検体が第2の次元に移動する前のイオン交換保持及び濃縮の理想的な環境をもたらす。例示的な第2の次元のカラムは、第1の次元のカラムの僅か1/100の断面積しか有さないので、検出感度は理論的には100倍高くなる。このタイプのマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いて、複雑な試料マトリックス内の微量濃度(例えば、1兆分の1レベル、又はng/Lレベル)の検体の改善された測定をもたらすことができることが認識されよう。
【0061】
図9は、2次元イオンクロマトグラフィ分離を実施するために構成された別のマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステム30eを示す。このシステムにおいては、目的試料が第1の次元の分離カラム内に注入され、標的検体の分離がキャピラリスケールのICカラムを用いて実施される。種々の実施形態において、キャピラリスケールのICカラムは約0.4mmのIDを有する。第1の次元の分離チャネルからの溶出液は、異なる固定相を含む分析スケールのICカラムを使用する第2の次元の分離チャネルの注入ループを通すことができる。種々の実施形態において、分析スケールのICカラムは、約2mm乃至約4mmのIDを有する。種々の実施形態において、第1の次元の脱気装置アセンブリ、分離カラム、及びサプレッサは全て、前述の筐体49aと同様のIC筐体内に嵌め込まれるカートリッジ内に別々に収容される。種々の実施形態において、第2の次元の脱気装置アセンブリ、分離カラム、及びサプレッサは全て、第1の次元のIC筐体と隣り合わせのIC筐体内に嵌め込まれるカートリッジ内に別々に収容される。
【0062】
図9の例示的なシステムにおいて、第2の次元の分離チャネルは、第1の次元の分離チャネル内では達成できない標的検体のさらなる分離をもたらすために用いられる。第2の次元の分離カラムの試料ループ内の溶出液の画分が目的の検体を確実に含むように、第1の次元からの最適な切替え時間を決定することが重要となり得る。このタイプのマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いて、複雑な試料マトリックス内の標的検体の改善された測定、即ち、より高純度の及び/又はより広範囲の分離をもたらすことができる。典型的には、複雑な試料は、異なる嵩高いシステム上で2回又はそれ以上の実験を行うことを必要とするであろう。
【0063】
本発明は、高レベルのモジュール性及び汎用性を提供する。前述の構成要素及び構成は、流路及びシステムの他の局面に対する複雑で煩雑な変更を伴わない、簡単な置き換え及び変更を可能にする。本明細書における説明から、前述のシステム構成は、それぞれのIC筐体内のカートリッジの簡単な交換、及び/又はICコンパートメント内のIC筐体の交換によって達成することができることが認識されよう。本発明のシステムはまた、相互運用性を提供する付加的な複雑な装置を必要とすることなく、モジュール式のキャピラリスケールの構成要素を、通常スケールの構成要素と共に使用することを可能にする。
【0064】
本発明によるイオンクロマトグラフィシステムの使用法は、多くの点で従来のイオンクロマトグラフィシステムと同様である。前述のように、IC筐体49aは、従来のクロマトグラフィ・システム及び構成要素に接続して従来通りに操作することができる。したがって、本発明によるIC筐体及びシステムは、既存のイオンクロマトグラフィ構成要素との高レベルの相互運用性を提供する。
【0065】
再生液マニホルド板を備えたIC筐体49a及び関連する構成要素カートリッジの新規な設計は、重要なICシステム構成要素をICキューブにすばやく簡単に挿入することを可能にし、再生液流のための自動的な流体接続を提供する。これは、イオンクロマトグラフィシステムにおいて、流体接続を著しく簡単にし、手動で形成する流体接続の数を減らすことになる。キャピラリ・イオンクロマトグラフィの場合には、適切な流体接続の形成を達成することが著しく困難であり得るので、このことは特に有益であり、システムの使い易さ及び信頼性を改善する。
【0066】
操作及び使用に際して、本発明によるシステムは、溶離液を電解溶離液生成器から生成し、水性試料ストリームを溶離液中に注入し、試料ストリームを第1の分離カラムを通して流して、イオン種をクロマトグラフ的に分離し、第1の分離カラムからの分離されたイオン種を検出することによって、イオンクロマトグラフィを実施するために用いられる。本発明のシステム及びその操作の種々の態様は、引用によりその内容全体が全ての目的のために本明細書に組み入れられる、特許文献14として公開された、Multidimensional Chromatography Apparatus and Methodと題された2005年9月16日出願の米国特許出願整理番号第11/229,002号に開示されたものと同様である。種々の実施形態において、本システムは、さらに、試料ストリームを濃縮器カラム内で濃縮し、第2の次元で分離を実施することによって、イオンクロマトグラフィを2次元で実施するように構成される。種々の実施形態において、本システムは、2次元の分離を同時に実施するように、2つ又はそれ以上のIC筐体を含む。
【0067】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、イオンクロマトグラフィの使い易さ及び信頼性を改善する。本発明によるキャピラリイオンクロマトグラフィシステムは、小型化されたクロマトグラフィ・コンパートメント及び簡単な流体接続を提供する。
【0068】
前述のマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムは、キャピラリ・イオンクロマトグラフィをより使い易く信頼度の高い分析技術にする、改善された流体接続の手段を提供する。マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムの種々の実施形態は、キャピラリスケール又は通常スケールのいずれかの2つ又はそれ以上の独立した分離プロセスを同時に実施する自由度を提供する。さらに、本発明によるシステムは、2次元イオンクロマトグラフィ分離のための、通常流量及びキャピラリ流量でのイオンクロマトグラフィ分離プロセスの改善された使い易い統合を提供する。これらのシステムは、様々な複雑な試料マトリックス中の標的イオン検体の測定に適している。
【0069】
本発明のシステム及び方法は、キャピラリ形式でのイオンクロマトグラフィ(即ち、1mm又はそれ以下の内径のカラムを用いる)の実施を可能にする。一部分において、本システムは、既存のIC構成要素と共にキャピラリ形式で動作するための、モジュール形式の消耗品を提供する。キャピラリ形式は、イオン検体の分析のための多くの利点を引き出せることを認識されたい。キャピラリ分離カラムの使用により、分離の効率及び/又は速度が向上する。キャピラリ形式における分離プロセスは、著しく少量の試料しか必要としないので、試料の量が限られる用途との改善された適合性をもたらし、例えば、10μLの試料の注入がキャピラリICにおいては大ループ注入となり得る。本発明によるキャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムは、典型的には、約1μL/minから約100μL/minにおいて動作するので、消費される溶離液の量は非常に少ない。本キャピラリ・イオンクロマトグラフィシステムは、最小の介入で連続動作する改善された機能を有するので、システムの始動及び停止に付随する問題を最小にする。低流量でのキャピラリ・イオンクロマトグラフィの操作は、本システムと質量分析計との適合性を向上させる。本発明によるキャピラリ・イオンクロマトグラフィはまた、使い易さ、高い試料処理能力、及び改善された較正をもたらすことが期待される。さらに、キャピラリ形式でのイオンクロマトグラフィの実施は、より高価で作製が困難な固定相を充填した新規なカラムを使用した、難しい用途に対する新たな選択性を提供する可能性を開く。
【0070】
本発明は以下の実施例によって更に説明される。これらの実施例は本発明の範囲を定めること又は限定することを意図したものではない。
【実施例1】
【0071】
キャピラリアニオン交換分離カラム上での一般的アニオンの分離のための、ICキューブを含むマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムの使用
本実施例において、マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムは、ポンプモジュール、電解溶離液生成器(EG:electrolytic eluent generator)モジュール、及び通常スケールのクロマトグラフィ・コンパートメント(DC)モジュールを含む、カリフォルニア州サニーベイル(Sunnyvale)所在のディオネクス社(Dionex Corporation)製ICS−3000イオンクロマトグラフィシステム構成要素モジュールを使用して構築した。機器制御、データ収集及び処理のために、Dionex Chromeleon6.8クロマトグラフィ・データシステムを使用した。
図2に示した実施形態に基づくIC筐体も構築した。このIC筐体の物理的寸法は、約
18.542cm(7.3インチ
)×約
9.398cm(3.7インチ
)×約
13.97cm(5.5インチ
)であった。このIC筐体は、高圧脱気装置アセンブリ、試料注入器、分離カラム、電解サプレッサ、及び炭酸塩除去装置(CRD)などの、キャピラリスケールのシステム構成要素を入れるように準備した。IC筐体は、ICS−300DCモジュールの上部コンパートメント内に物理的に配置した。DCは、注入バルブ、電解サプレッサ、及びICキューブのカラムヒータを動作させるのに必要な電子制御を与えるように改造した。検体の検出は、キャピラリスケールの分離に適合させたキャピラリ導電率セルを含むように改造されたICS−3000導電率検出器を使用して遂行した。このシステムにおいて、キャピラリスケールの電解溶離液生成器及びキャピラリCR−ATCは、改造されたICS−3000EGモジュール内に取り付けられ、改造されたICS−3000EGモジュールによって制御された。
【0072】
この実施例において、IC筐体には、Dionex AS19アニオン交換樹脂を充填したキャピラリスケールの分離カラム(0.4mm×250mm)が取り付けられた。
図10は、10μL/minにおける20mM KOHの溶離条件下で本システムを用いて取得した、フッ化物、亜塩素酸塩、塩化物、亜硝酸塩、塩素酸塩、臭化物、硝酸塩、及び硫酸塩を含む8種の通常のアニオンの分離を示す。
図10は、標的検体の30回の連続した分離の重ね合わせを示す。この結果は、再現性の高い標的アニオンの分離を示し、検体の保持のパーセント相対的標準偏差(RSD:relative standard deviation)は、亜硝酸塩に対する0.047%から硫酸塩に対する0.078%迄の範囲にあり、検体のピーク面積のパーセントRSDは、フッ化物に対する0.28%から臭素酸塩に対する0.33%迄の範囲にある。これらの結果は、本発明において説明したマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いて、標的アニオン検体の信頼性の高いキャピラリスケールのイオンクロマログラフィ分離を、キャリアストリームとして脱イオン水のみを用いて提供することができることを示す。
【実施例2】
【0073】
キャピラリカチオン交換分離カラム上での一般的カチオンの分離のための、ICキューブを含むマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムの使用
この実施例においては、実施例1で説明したマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いた。DionexCS16カチオン交換樹脂を充填したキャピラリ分離カラム(0.4mm×250mm)をICキューブに取り付けた。
図11は、10μL/minにおける30mMメタンスルホン酸の溶離条件下で本システムを用いて取得した、リチウム、ナトリウム、アンモニウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムを含む6種の一般的なカチオンの分離を示す。
図11は、標的検体の30回の連続した分離の重ね合わせを示す。この結果は再現性の高い標的カチオンの分離を示し、検体の保持のパーセント相対的標準偏差(RSD)は、マグネシウムに対する0.052%からナトリウムに対する0.072%迄の範囲にあり、検体のピーク面積のパーセントRSDは、ナトリウムに対する0.33%からカルシウムに対する0.46%迄の範囲にある。これらの結果は、本発明において説明したマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いて、標的カチオン検体の信頼性の高いキャピラリスケールのイオンクロマログラフィ分離を、キャリアストリームとして脱イオン水のみを用いて提供することができることを示す。
【実施例3】
【0074】
キャピラリアニオン交換分離カラム上でのジュース試料中の糖の測定のための、ICキューブを含むマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムの使用
この実施例においては、実施例1で説明したものと同様のマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いた。検体の検出は、キャピラリスケールの分離に適合させたキャピラリ・フローセルを含むように改造したICS−3000電気化学検出器を使用して遂行した。この電気化学検出器は、パルス電流滴定検出モードで動作させた。IC筐体には、Dionex CarboPac PA20アニオン交換樹脂を充填したキャピラリスケールの分離カラム(0.4mm×150mm)を取り付けた。
図12は、10μL/minにおける50mM KOHの溶離条件下で本システムを用いて取得した、ジュース試料中のブドウ糖、果糖、及びショ糖の分離を示す。
【実施例4】
【0075】
マルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いたボトル入り水試料内の微量臭素酸塩の測定
この実施例においては、実施例1で説明したマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを用いた。DionexAS20アニオン交換樹脂を充填したキャピラリスケールの分離カラム(0.4mm×250mm)をIC筐体に取り付けた。通常スケールのDionexAS19カラム(4mm×250mm)を更に用いた。このシステムを用いて、飲料水試料中の痕跡レベルの臭素酸塩を測定した。この実施例では、1000μLの試料を、第1の分離次元の4mm IonPac AG19/AS19カラム内に注入した。臭素酸塩は、マトリックスイオンから部分的に分離され、キャピラリ濃縮器カラム上で収集され、次いで第2分離次元のキャピラリ0.4mm AS20カラム上で残留マトリックスイオンから分離された。この実施例において、第2の次元において測定される前に、標的検体が濃縮器カラム上に効率的に確実に保持されるように、第1の次元からの最適な切替え時間を決定することが重要である。この実施例においては、7.5分から10分迄の切替え時間枠を用いて、第1の次元の2500μLの溶出液をキャピラリ濃縮器カラム上にロードした。
図13は、マルチチャネル型ICシステムを用いてボトル入り水試料中の痕跡レベルの臭素酸塩を測定したときにキャピラリAS20カラムから得られたクロマトグラムを示す。ボトル入り水試料中の臭素酸塩の濃度は、54ng/Lであることが見出された。上記の結果は、本発明において説明したマルチチャネル型イオンクロマトグラフィシステムを2次元イオンクロマログラフィシステムとして構成して、痕跡レベルの標的検体を測定することができることを示す。
【0076】
説明における便宜及び添付の特許請求の範囲における正確な定義のために、用語「上」又は「より上の」、「下」又は「より下」、「内部」及び「外部」は、本発明の構造部を、図面内に表示されたそれら構造部の位置に関連して説明するのに用いられる。
【0077】
多くの点で、種々の図の改変は、先行するそれらの改変に類似し、添字「a」、「b」、「c」及び「d」を伴う同じ参照数字が、対応する部分を示す。
【0078】
本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例証及び説明のために提示されたものである。それらは網羅的であること又は本発明を開示された通りの形態に限定することを意図したものではなく、前記の教示を考慮すれば、多くの修正及び改変が可能であることが明らかである。これらの実施形態は、本発明の原理及びその実際的な用途を最も良く説明し、それにより当業者が、本発明及び企図した特定の用途に適する種々の修正を伴う種々の実施形態を最も良く利用できるように、選択され、説明されたものである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定められることが意図されている。