【文献】
Chiou-Yen Chiou et al.,Amperometric SO2 gas sensors based on solid polymer electrolytes,Sensor and Actuator B,2002年,Vol.87,p.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化物イオン伝導性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に設けられた一対の電極とを備え、前記一対の電極間に所定電圧を印加した際に内燃機関からの排気中の特定成分の濃度に応じて生じる限界電流に基づいて排気空燃比を検出する空燃比センサと、
前記内燃機関の排気空燃比がストイキよりもリッチ側にある場合、前記所定電圧を含む限界電流域の基準電圧と、前記限界電流域よりも高電圧域のSO2検出用電圧とを前記一対の電極間に印加し、前記SO2検出用電圧の印加時に前記空燃比センサから出力されるSO2検出用出力と、前記基準電圧の印加時に前記空燃比センサから出力される基準出力との出力差が設定値以下となるまでに生じた前記SO2検出用出力および前記基準出力の履歴を用いて、前記内燃機関からの排気中のSO2濃度を検出するSO2濃度検出手段と、
を備えることを特徴とするSO2濃度検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のセンサは、上記触媒のS吸着特性に着目したものであり、このようなS吸着特性を備える上記触媒は、上記特許文献1でのSOx濃度検出に必須である。故に、このセンサは、SOx濃度検出のための専用のセンサであると言える。専用のセンサであれば、既設センサとは別に搭載する必要が生じる。従って、搭載スペースの問題やコストアップの問題が避けられない。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、専用のセンサを用いることなく排気中のSO
2濃度を検出可能なSO
2濃度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、SO
2濃度検出装置であって、
酸化物イオン伝導性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に設けられた一対の電極とを備え、前記一対の電極間に所定電圧を印加した際に内燃機関からの排気中の特定成分の濃度に応じて生じる限界電流に基づいて排気空燃比を検出する空燃比センサと、
前記内燃機関の排気空燃比がストイキよりもリッチ側にある場合、前記所定電圧を含む限界電流域の基準電圧と、前記限界電流域よりも高電圧域のSO
2検出用電圧とを前記一対の電極間に印加し、前記SO
2検出用電圧の印加時に前記空燃比センサから出力されるSO
2検出用出力と、前記基準電圧の印加時に前記空燃比センサから出力される基準出力との出力差が設定値以下となるまでに生じた前記SO
2検出用出力および前記基準出力の履歴を用いて、前記内燃機関からの排気中のSO
2濃度を検出するSO
2濃度検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記一対の電極は、前記固体電解質の排気接触面に設けられた検知電極を備え、
前記検知電極が、アルカリ土類金属および希土類金属の少なくとも1つを0.1〜5.0wt%含むことを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記SO
2濃度検出手段は、前記出力差が前記設定値以下となった場合、前記排気空燃比をストイキよりもリッチ側に制御すると共に、前記一対の電極に吸着したS成分が脱離可能な所定温度まで前記空燃比センサを加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明者らは、内燃機関の排気空燃比がストイキよりもリッチ側にある場合において、上記限界電流域の基準電圧と上記SO
2検出用電圧とを上記一対の電極間に印加した際のセンサ出力(上記SO
2検出用出力および上記基準出力)の履歴と、上記一対の電極の表面に吸着したSO
2の量との相関を見出した。第1の発明はこの知見に基づくものであり、第1の発明によれば、既設の空燃比センサを用いて排気中のSO
2濃度を検出できる。即ち、専用のセンサを用いることなく排気中のSO
2濃度を検出できる。
【0010】
また、本発明者らは、上記空燃比センサの検知電極に、アルカリ土類金属および希土類金属の少なくとも1つを0.1〜5.0wt%含有させることで、該検知電極へのSO
2の吸着促進と、吸着SO
2によるセンサ被毒からの回復容易性との両立を図ることができることを見出した。第2の発明はこの知見に基づくものであり、第2の発明によれば、上記第1の発明によるSO
2濃度の検出に好適な空燃比センサを提供できる。
【0011】
上記第1の発明において、上記SO
2検出用電圧を上記一対の電極間に印加すると、上記一対の電極の表面に吸着したSO
2がSへと還元され、このSは上記一対の電極上に吸着し続ける。この点、第3の発明によれば、上記出力差が上記設定値以下となった場合、上記排気空燃比をストイキよりもリッチ側に制御すると共に、上記一対の電極に吸着したS成分が脱離可能な所定温度まで上記空燃比センサを加熱するので、SO
2濃度の検出に必要な電流データの取得を終了した直後から、上記一対の電極上のSを脱離させることができる。即ち、上記一対の電極上のSを最適なタイミングで脱離させて、次回以降に行うSO
2濃度の検出精度を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[装置構成の説明]
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態のSO
2濃度検出装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態のSO
2濃度検出装置は、車両動力源としてのエンジン10を備えている。エンジン10の気筒数および気筒配置は特に限定されない。エンジン10の排気通路12には、A/Fセンサ14が配置されている。A/Fセンサ14は、電圧の印加に伴い排気中の酸素濃度等に応じた電流信号を出力する限界電流式のセンサである(詳細は後述)。
【0014】
また、本実施の形態のSO
2濃度検出装置は、ECU(Electronic Control Unit)16を備えている。ECU16の入力側には、上述したA/Fセンサ14や、エンジン10の制御に必要な各種センサ(例えば、エンジン回転数を検出するクランク角センサ、吸入空気量を検出するエアフロメータなど)が電気的に接続されている。一方、ECU16の出力側にはエンジン10の各気筒に燃料を噴射するインジェクタ(図示しない)などの各種アクチュエータが電気的に接続されている。ECU16は、各種センサからの入力情報に基づいて所定のプログラムを実行し、各種アクチュエータ等を作動させることにより、エンジン10の運転に関する種々の制御を実行する。
【0015】
[A/Fセンサ14]
図2は、
図1のA/Fセンサ14のセンサ素子の断面模式図である。
図2に示すように、センサ素子20は、安定化ジルコニアからなる固体電解質22を備えている。安定化ジルコニアは例えばジルコニウム系の固体電解質(ZrO
2−M
2O
3固溶体またはZrO
2−MO固溶体(M:Y、Yb、Gd、CaまたはMg))であり、高温で酸素イオン導電性を示す。
【0016】
また、センサ素子20は、固体電解質22の両面に形成された電極24,26を備えている。電極24,26はPtを主成分とし、リード線(図示しない)で電気的に接続されている。なお、電極26の好ましい副成分およびその添加量については、後述する。電極24は、大気導入用のエアダクト28側に配置され、ヒータ基材30と対向している。ヒータ基材30はセラミック(例えばアルミナなど)からなり、車載のバッテリ電源(図示しない)からの通電により発熱する発熱体32を内蔵している。電極26の上方には、電極26を覆うように拡散層34が配置されている。拡散層34は例えば耐熱性の多孔質セラミック(例えば多孔質アルミナなど)からなる。
【0017】
排気通路12を流れる排気は、拡散層34を流れて電極26に接触する。この際、電極24,26の間に電圧を印加すると、排気空燃比に応じて電流が流れる。具体的に、リーン側の領域(A/F>14.7)では、排気中の余剰O
2が電極26で反応し、電子を受け取ってイオン化する。この酸素イオン(O
2−)が固体電解質22の内部を移動し、電極24に到達する。このO
2−の移動により、電極24から電極26に向かって電流が流れる。なお、電極24に到達したO
2−は、電子の脱離に伴いO
2に戻り、エアダクト28に排出される。一方、リッチ側の領域(A/F<14.7)では、エアダクト28内のO
2が電極24で反応し、電子を受け取ってO
2−に変わる。このO
2−が固体電解質22の内部を移動し、電極26に到達すると、排気中の未燃成分(HC、CO、H
2など)と反応してCO
2やH
2Oに変換される。このO
2−の移動により、電極26から電極24に向かって電流が流れる。
【0018】
[A/Fセンサ14を用いた排気空燃比の検出手法]
次に、
図3を参照しながら、A/Fセンサ14を用いた排気空燃比の検出手法を簡単に説明する。
図3は、A/Fセンサ14の電流−電圧特性図である。
図3に示すように、電極24,26の間に印加する電圧を変化させても電流が殆ど変化せず一定となる領域が存在する。この電流値は限界電流値と呼ばれ、この限界電流値に対応する電圧領域は限界電流域と呼ばれる。また、
図3に示すように、この限界電流値は、排気空燃比がリーン側になるほど増大し、排気空燃比がリッチ側になるほど減少する。A/Fセンサ14による排気空燃比検出は、このような相関に基づいて行われる。具体的に、限界電流域の所定電圧(例えば0.3V)を電極24,26の間に印加し、その際にA/Fセンサ14から出力される電流信号を取得する。そして、この電流信号を限界電流値と照合することで排気空燃比が検出される。
【0019】
[本実施の形態の特徴]
ところで、
図3に示すように、限界電流域よりも高電圧側では、電流値が増大する領域が存在する。この領域は過電流域と呼ばれ、電流値が増加するのは、センサ素子20(具体的には電極26の表面)に吸着した電解質の還元により生じる電子伝導が寄与しているとされている。この電流値の増加現象に着目して、本発明者らは研究を重ねた結果、電極26の表面に吸着したSO
2の量(以下、「電極表面SO
2吸着量」ともいう。)と、該電流値の経時変化との間に相関を見出した。この知見について、
図4乃至
図6を参照しながら説明する。
【0020】
図4は、センサ周囲のSO
2濃度を100ppm、空燃比をリッチ(固定値)とした測定条件でのA/Fセンサ14の電流−電圧特性図である。
図4に示す複数の特性線は、電圧印加開始後の経過時間(0秒後、10秒後、20秒後および30秒後)にそれぞれ対応している。
図4に示すように、限界電流域の電圧(0.3V)を印加した場合に流れる電流値は、経過時間に関係なく一定の値(限界電流値)を示す。一方、過電流域の電圧(0.6v)を印加した場合に流れる電流値は、経過時間と共に低下して電圧印加開始から30秒後には限界電流値に近づく。
【0021】
上述したように、過電流域での電流値の増加現象には、電極26の表面に吸着した電解質の還元による電子伝導が寄与している。そのため、
図4で観察された電流低下現象にも当然この電子伝導が寄与していると考えられる。しかし、電極26の表面に吸着したSO
2は、後述するS被毒回復制御を実行するといった特別な場合でなければ簡単に反応しないことが分かっている。そこで、本発明者らは、
図4で観察された電流低下現象と、電極26の表面に吸着したSO
2との関係を明らかにすべく、
図4の測定条件のうちのSO
2濃度を変えて、A/Fセンサ14の電流−電圧特性を調査した。
【0022】
図5は、上述の調査の結果を説明するための図である。なお、
図5の縦軸は、過電流域の電圧(0.6v)を印加した場合に流れる電流値I
0.6と、限界電流域の電圧(0.3V)を印加した場合に流れる電流値I
0.3との差分|I
0.6−I
0.3|を示している。また、
図5の横軸は、電圧印加開始後の経過時間を示している。
図5に示すように、SO
2濃度の違いにかかわらず、2つの電流値差|I
0.6−I
0.3|は同様の挙動を示した。但し、SO
2濃度を200ppmとした場合は、SO
2濃度を100ppmとした場合に比べ、経過時間の何れにおいても電流値差|I
0.6−I
0.3|が大きく、また、その値がゼロとなるまでに長時間を要した。
【0023】
図5の結果から、空燃比リッチ条件で過電流域の電圧を印加すると、還元され難いはずのSO
2が還元されて電流が流れることが分かった。
図6は、空燃比リッチ条件でのSO
2の還元イメージを示した図である。
図6に示すSO
2は、排気由来のものであり、拡散層34側から流入して電極26の表面に吸着したものである。空燃比リッチ条件では、SO
2同様、排気中のHC、COやH
2(
図5においてはHC)が拡散層34側から流入して電極26の表面に到達する。この際、過電流域の電圧が電極間に印加されることで、電極26上のSO
2がHCと反応してSに還元されると考えられる。
【0024】
また、センサ周囲のSO
2濃度は拡散層34内のSO
2拡散量と相関があり、このSO
2拡散量は電極表面SO
2吸着量と相関がある。そのため、
図5において電流値差|I
0.6−I
0.3|が時間の経過に伴い小さくなったのは、上述したSO
2の還元が進んで電極表面SO
2吸着量が減少したためであると考えられる。同様に、電流値差|I
0.6−I
0.3|が最終的にゼロとなったのは、電極表面SO
2吸着量がゼロ(またはゼロに近い値)まで減少したためであると考えられる。
【0025】
このような知見に基づき、本実施の形態では、電流値差|I
0.6−I
0.3|を「SO
2還元電流」と定義し、このSO
2還元電流の積算値から、センサ周囲のSO
2濃度を検出することとしている。SO
2還元電流の積算値は、具体的に、
図5に示した特性線よりも下方の面積に相当する。
図7は、SO
2還元電流の積算値とセンサ周囲のSO
2濃度との関係を示した図である。
図7に示すように、SO
2還元電流の積算値とセンサ周囲のSO
2濃度とは概ね比例の関係を示す。従って、SO
2還元電流の積算値を求め、
図7の関係に適用すれば、センサ周囲のSO
2濃度を検出できる。よって、本実施の形態によれば、A/Fセンサ14を用いてセンサ周囲のSO
2濃度を検出できる。なお、本実施の形態においては、
図7の関係をマップ化して予めECU16内部に記憶しているものとする。
【0026】
なお、本実施の形態では、SO
2還元電流の積算値を求める際、電流値差|I
0.6−I
0.3|がゼロとなった場合、所定期間に亘ってS被毒回復制御を実行する。S被毒回復制御は、具体的に、発熱体32を通常時よりも高温化させると共に、空燃比を強制的にリッチ状態とするものである。これにより、SO
2の還元により生成したSや、還元されずに残留しているSO
2などを電極26から脱離させることができる。従って、次回以降に行うSO
2濃度の検出精度を向上できる。
【0027】
また、SO
2還元電流の積算に際しては、排気空燃比の変動分を考慮することが好ましい。
図3の説明の際に述べたように、限界電流値は、排気空燃比がリーン側になるほど増大し、排気空燃比がリッチ側になるほど減少する。そのため、SO
2還元電流の積算中に排気空燃比が変動すれば、限界電流値の変動分だけ電流値I
0.6,I
0.3が変動する。よって、排気空燃比が変動した場合には、限界電流値の変動分に応じて電流値I
0.6,I
0.3を補正することが好ましい。これにより、SO
2濃度の検出精度を向上できる。なお、限界電流値の変動分は、例えば、電流値I
0.3の前回値と今回値の差として求めることができる。
【0028】
[電極26の副成分およびその添加量]
ここで、電極26の副成分およびその添加量について、
図8を参照しながら説明する。上述したように、本実施の形態においては、電極表面SO
2吸着量が重要である。そのため、電極26には、ガス感度を向上させるべくSO
2の吸着を促進する物質(アルカリ土類金属、希土類金属)が添加されていることが好ましい。しかし、電極表面SO
2吸着量が多くなれば、それだけセンサが再生し難くなり、上記S被毒回復制御の長期間実行する必要が生じてしまう。このような問題に鑑み、本発明者らは研究を重ねた結果、
図8に示す関係を得た。
【0029】
図8は、ガス感度およびセンサ再生し易さと、アルカリ土類金属の添加量との関係を示した図である。
図8に示すように、電極26全体に対するアルカリ土類金属の添加量を0.1〜5.0wt%ですることで、ガス感度とセンサ再生し易さとを両立できる。従って、アルカリ土類金属や希土類金属の添加量を0.1〜5.0wt%とすることで、本実施の形態でのSO
2濃度の検出に好適な電極26を構成できる。
【0030】
[本実施の形態における具体的処理]
次に、
図9を参照しながら、上述した機能を実現する具体的な処理について説明する。
図9は、本実施の形態において、ECU16により実行されるSO
2濃度検出ルーチンを示すフローチャートである。なお、
図9に示すルーチンは、定期的に繰り返して実行されるものとする。
【0031】
図9に示すルーチンにおいて、先ず、ECU16は、前提条件の成否を判定する(ステップ110)。この前提条件は、(i)A/Fセンサ14が活性化していること(センサの暖機が完了していること)、(ii)排気空燃比がリッチであること、をもって成立とする。前提条件が不成立であると判定された場合、ECU16は、ステップ110に戻り、前提条件の成否を再度判定する。一方、前提条件が成立していると判定された場合、ECU16は、ステップ120に進む。
【0032】
ステップ120において、ECU16は、SO
2還元電流を積算する。具体的に、ECU16は先ず、電極24,26の間に過電流域の電圧(0.6v)と限界電流域の電圧(0.3V)とを交互に印加し、A/Fセンサ14から出力された電流信号を取得する。続いて、ECU16は、取得した電流信号から電流値差|I
0.6−I
0.3|を求め、この電流値差|I
0.6−I
0.3|に、電圧印加周期(例えば、0.6Vを印加してから再度0.6Vを印加するまでの期間)を乗算して求めた値を、前回までの積算値に加算する。
【0033】
ステップ120に続いて、ECU16は、ステップ120で求めた電流値差|I
0.6−I
0.3|について、電流値差|I
0.6−I
0.3|≦閾値が成立するか否かを判定する(ステップ130)。なお、本実施形態においては、閾値をゼロに設定する。電流値差|I
0.6−I
0.3|≦閾値が成立した場合は、電極表面SO
2吸着量がゼロ(またはゼロに近い値)まで減少したと判断できる。そのため、ECU16は、ステップ140に進む。電流値差|I
0.6−I
0.3|>閾値の場合、ECU16は、ステップ120に戻り、SO
2還元電流を再び積算する。
【0034】
ステップ140において、ECU16は、SO
2濃度を算出する。具体的に、ECU16は、ステップ120で求めたSO
2還元電流の積算値と、
図7のマップとからセンサ周囲のSO
2濃度を算出する。
【0035】
ステップ140に続いて、ECU16は、所定期間に亘ってS被毒回復制御を実行する。具体的に、ECU16は、上記バッテリ電源を制御して発熱体32を通常時よりも高温化させる。同時に、ECU16は、上記インジェクタを制御して燃料噴射量を増やして空燃比をリッチにする。
【0036】
以上、
図9に示したルーチンによれば、SO
2還元電流の積算値を求めてセンサ周囲のSO
2濃度を算出できる。また、電流値差|I
0.6−I
0.3|=0が成立した場合に所定期間に亘ってS被毒回復制御を実行するので、SO
2濃度の検出に必要な電流値データの取得を終了した直後から、SO
2還元反応により生成したSや、還元されずに残留しているSO
2などを電極26から脱離させることができる。即ち、電極26上のSを最適なタイミングで脱離させて、次回以降に行うSO
2濃度の検出精度を向上できる。
【0037】
ところで、上述した実施の形態においては、電極24,26間に0.6Vを印加した場合に流れる電流値I
0.6と、0.3Vを印加した場合に流れる電流値I
0.3との差分|I
0.6−I
0.3|をSO
2還元電流とした。しかし、0.6Vや0.3Vは例示的な値であることは言うまでもない。即ち、過電流域の電圧を印加した場合に流れる電流値と、限界電流域の電圧を印加した場合に流れる電流値の差であれば、本実施の形態と同様の手法によりSO
2濃度が検出できる。
【0038】
なお、上述した実施の形態においては、ECU16が
図9の一連の処理を実行することにより上記第1の発明の「SO
2濃度検出手段」が実現されている。
また、電極26が上記第2の発明における「検知電極」に相当する。