【実施例】
【0037】
本発明を、以下の実施例によりさらに明確にする。
【0038】
実施例1
図2および3は、
図1Bの例示の光ファイバの相対屈折率プロファイルを概略的に示している。より詳しくは、
図2および3は、コアの中心から測定された距離に対する光ファイバの屈折率のパーセントデルタ(純粋なシリカの屈折率に対する)を示している。
図2は、例えば、
図1Bに示されたファイバの線Y−Yに沿った、空気孔を含まない領域に亘りとられた屈折率プロファイルを概略的に示している。
図3は、同じファイバであるが、空気孔24を含む領域(例えば、
図1Bに示されたファイバの線A−Aに沿った)に亘りとられた屈折率プロファイルを概略的に示している。
【0039】
図4は、
図1Aおよび1Bに示された光ファイバの例示のコア組成を示している。Ybドープトファイバコア12は、1μmより大きい波長に関してシングルモードである。光ファイバ10は、コア12に関して比較的低いNA(約0.065)を、内側クラッド14に関して高いNA(0.30)を有する。(NAは、(n
i2−n
i+12)
1/2により定義される。)この内側クラッドのNAは、ポンプ源のNAより高く、90%以上のポンプ光に関する高い結合効率が可能になることが好ましい。小さなコアのNA(0.065)により、大きなコアサイズ(直径が10.5マイクロメートル)で、1μmでのシングルモード動作が可能になる。ファイバをさらに曲げることによって、50μmに高いコアサイズについて、シングルモード動作がさらに達成できる。コアNAがより高い(例えば、0.13)場合、コアの直径は、シングルモードであるために、実質的により小さく(例えば、約5マイクロメートル)なければならないであろう。コアの直径がより大きく、コアNAがより低いことにより、コア12が、高輝度出力についてシングルモードのままであることができる一方で、コアが、内側クラッドからより多くのポンプパワーを得ることが可能になり、また非線形効果からの減少した影響により、ファイバパワー取扱能力が増加する。この例示の光ファイバのコアに関する特定の組成は:コア12:1.2質量%のYb
2O
3;3質量%のAl
2O
3;12質量%のGeO
2;0.2質量%のF;内側クラッド14:8.5質量%のGeO
2;内側クラッド16:8質量%のBおよび2.7質量%のF。
【0040】
MCVDプロセスにより製造されたYbドープトファイバ(約1.0質量%)の受動的損失が
図5Aに示されている。MCVDファイバプロセスにより製造された典型的な高Ybドープトファイバは、いくつかの例示の高不飽和吸収により明示された、重大なレーザ効率問題を被る。不飽和吸収は、ポンピング波長により異なることが分かっており、最悪は、976nmでのYb吸収ピークにポンピングされる。このことは、ファイバコア中に存在する不純物および/または欠陥色中心のせいであろう。これらの不純物および欠陥は、一般に、Yb溶液ドープトMCVDファイバ中に存在し、
図5Aに示されるような高いバックグラウンド損失に関連している。より詳しくは、
図5Aは、約1150nmの波長で約20dB/kmの損失を、1200nmと1350nmの間の波長範囲で約10dB/km以上の損失を、OHバンド(約1400nm)で40dBを超える損失を示している。
【0041】
OVDプロセスにより製造される二重クラッド型ファイバは、高効率でハイパワーのファイバレーザ装置に使用するのに特に適している。
図4および5Bは、
図1Bの光ファイバに相当する。より詳しくは、
図5Bは、低い受動的損失、例えば、
図1BのファイバのYbドープトコア中で達成される1.5dB/kmを示している。コアの受動的損失(バックグラウンド損失とも称される)は、Ybなどの活性ドーパントからの吸収効果なしでのコア材料からの固有の損失である。より詳しくは、
図5Bは、本発明のある実施の形態による高Ybドープトファイバの低損失特徴を示している。このファイバは、
図5AのYbドープトMCVDファイバにおける一般に10dB/kmの最小損失よりもずっと低い約1.5dB/kmの最小損失を有する。
図5Bに相当するOVDファイバにおけるOHレベルは、1380nmで約1dB/kmであり、MCVDファイバにおける約40dB/kmのOHレベルよりもずっと低い(
図5A参照)。MCVDファイバにおける高いバックグラウンド損失は、高不純物および/または欠陥色中心の含有量を示している。MCVDファイバにおいて、これらと高水レベルが合わさり、飽和不能な吸収として見られるエネルギー漏れチャンネルを形成することによって、ファイバの低レーザQEのきっかけになり得る。
【0042】
図6は、高Yb濃度(1.2質量%)のOVD製造シングルモードファイバからの約86%のレーザスロープ効率の高効率動作を示している。より詳しくは、
図6は、出力パワー(ワット)対吸収入力(ポンプ)パワー(ワット)のグラフである。光ポンプ波長は976nmである。出力波長は1μmが中心である。光ポンプは、ファイバに結合した半導体レーザダイオードバー(Ga−As/InGaAs)である。この光ポンプからの出力を、
図1Bの二重クラッド型光ファイバの内側クラッド14中に送り込んだ。我々の知る限りでは、
図6に示された効率は、これまでに公表されたどのYbドープトファイバの中でも最高の内である。それゆえ、このOVD製ファイバは、その高いYb濃度にもかかわらず、妥協のないレーザ効率を提供し、より短いファイバ長をファイバレーザに効果的に使用できるようにする。このファイバは、良好なパワー取扱能力を有し、100ワットを超える光(ポンプ)出力を提供する光源でうまく動作する。この実施例の光ファイバ10は、約8dB/m(コア/内側クラッドの比が30/400であるとき)までの単位長さ当たりの吸収(内側クラッド中でポンプパワーを送るときの)を有する。
図1Bの光ファイバは、コア12のサイズ(短径に沿った)に応じて、20nmから40nmの単一偏波を有する。
【0043】
Yb蒸気ドーピングOVDプロセスにより実現された高効率の高Yb濃度のファイバにより、ファイバ非線形プロセスのパワー閾値を上昇させるために、より短いファイバ長さが実際的に使用可能になる。
図7は、閾値パワー(W)対ファイバ長のグラフである。この図は、ファイバ長が減少すると、SBS閾値パワーが上昇することを示している。例えば、約10メートルかそこらの本発明の現在の二重クラッド型ファイバ設計からファイバ長を5メールまで短くすると(高Ybドーピングにより可能になる)、SBS閾値パワーが3倍より大きく上昇する。
【0044】
ファイバを製造するためのプロセス
図1Aおよび1Bのファイバは、外付け(OVD)法により製造される。OVD法は、スートプリフォームを製造するために、所望の蒸気成分(シリカおよび所望のドーパントを含む)を火炎中で酸素と反応させて、心棒上にスート粒子を堆積させることによって、光ファイバを製造する方式である。次いで、心棒を取り外した後、このスートプリフォームを、高温炉内で中実ガラスに固結させる。コア/内側クラッド/外側クラッドの組成物は、スートプリフォーム形成プロセスにおいて各層について異なる蒸気成分を使用することによって得られる。最初に、コアプリフォームを生成し、次いで固結させ、その後、コア/内側クラッドプリフォームの生成および固結を行い、さらにその後、外側クラッド外付け法と別の固結工程を行う。次いで、最終的なプリフォームを公知のファイバ線引き法によって、単一または二重クラッド型単一偏波光ファイバ10に線引きする。
【0045】
より詳しくは、以下の工程を利用して、
図1Bの希土類がドープされた二重クラッド型単一偏波ファイバを製造する。
【0046】
1.コアケインの形成 コアケインを最初に形成する。コアは、例えば、標準的なOVD法により製造する。コア材料を、付着堆積工程中に心棒上に堆積させる。ファイバコアケインを製造するのに使用される蒸気前駆体材料の例には、Yb(fod)
3、AlCl
3、SiF
4、SiCl
4、GeCl
4およびホウ酸トリエチルがある。Ybに加えてか、またはYbの代わりのいずれかで、他の希土類材料を使用してもよい。コア堆積プロセス中、均一なAlCl
3気相供給を行った。これは、
図8に概略的に示されているAlCl
3供給のための搬送ガス30として加熱された不活性ヘリウム(アルゴンガスの代わり)を使用することによって行った。固体のAlCl
3が蒸気(気)相に変わるときに、多量の熱が消費される。ヘリウムガスは、高い熱伝導率を有し、AlCl
3に熱を効果的に伝達し、AlCl
3の蒸気圧を一定に維持する。ヘリウムガスが150℃から180℃の範囲内の温度で提供されることが好ましい。
図8に示されるように、加熱されたヘリウムガスは、Heガスヒータ32によって、AlCl
3含有容器52を収容しているオーブン50に提供される。比較的高いヘリウムガスの温度は、AlCl
3含有容器52を約140℃〜160℃の一定温度に維持するのに役立つ。この実施例の光ファイバを製造するために、ヘリウムガスをヒータ32により168℃に加熱し、容器52の温度を145℃に一定に維持した。容器の温度が高いと、プリフォーム中のAlの濃度が高くなる。その上、ヘリウムガスの流量も、コアドーピングプロセス中ずっと、最も均一な供給のために調節した。この実施例において、供給には、10%の流量勾配(リットル/分)が用いられる。(コアとクラッドの全ての他のドーパントについて、その後の通過に流量を増加させた)加熱されたヘリウムガスは、AlCl
3蒸気を、加熱ガスライン54を介して火炎バーナ(ガスバーナ)56に搬送する。この実施例のコアプリフォームを製造するために、100回通過させるコア堆積プロセスは、1.2リットル/分(1回目の通過)で始め、1.65リットル/分(100回目の通過後)で終わらせ、スートプリフォームコアにおいて約2mmから3mmの厚さが得られた。加熱ヘリウムに基づくAlCl
3供給は、ファイバコアを形成するためだけではなく、その層に均一にAlをドーピングすることが望ましい場合、他のファイバ層(例えば、クラッド)にAlをドーピングするために、使用してもよい。さらに、加熱ヘリウム支援供給は、これも吸熱性(すなわち、熱吸収性)である、AlCl
3以外の材料に用いてもよい。AlCl
3のヘリウムガス供給の代わりアルゴンガス供給を用いてもよいが、AlCl
3のヘリウムガス供給により、Al
2O
3濃度の均一性がより良好になる(
図9参照)。Al
2O
3の存在は、コア内の希土類ドーパントのクラスタ分離に役立つので、Al
2O
3はコア層中に均一に分布されることが好ましい。これにより、消失効果が減少することによって、高レーザ/増幅器効率が得られる。この供給プロセスは、比較的高い屈折率(すなわち、シリカより高い)を有するファイバ層が必要とされるときに、Alドープト(例えば、Geを置換するために)伝送ファイバ(すなわち、コア中に希土類ドーパントを含まないファイバ)に使用することができる。
【0047】
図10に示されるように、AlCl
3の加熱ヘリウム供給により、プリフォームコア全体に亘りYbとAlが非常に均一に分布し、それにより、ファイバコア12内のYbとAlの濃度が均一になる。より詳しくは、コア中のAl
2O
3濃度の結果として生じる変動は、特に3質量%を超える最大Al
2O
3濃度について、2質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.25質量%未満である。また、任意の所定のファイバ層(例えば、コア、クラッドなど)中のAl
2O
3濃度の最大質量%対最小質量%の比が、特に3質量%を超える最大Al
2O
3濃度について、2:1未満、好ましくは1.5:1未満、より好ましくは1.2:1未満、さらにより好ましくは1.1:1未満であることも好ましい。
【0048】
Yb蒸気供給は、15slpm(標準リットル毎分)まで、好ましくは10〜12slpmの流量でアルゴンガスにより搬送され、150〜185℃、好ましくは165〜185℃、より好ましくは170〜180℃の温度範囲において有機金属Yb(fod)
3を加熱することによって行われ、約1.01質量%から3質量%のYb
2O
3濃度を有するスートプリフォームコアが得られる。この実施例の光ファイバ10を製造するために、173℃のYb(fod)
3含有容器温度を用いて、1質量%より大きいYb
2O
3濃度を達成した。他の材料の供給は、100℃未満の温度で従来の酸素供給により行われる。
【0049】
より詳しくは、本発明のある実施の形態によれば、Yb(fod)
3、AlCl
3、SiF
4、SiCl
4およびGeCl
4がガスバーナ56に供給される(
図11参照)。ガスバーナ56は、約2000℃の温度で動作する。各コア(またはクラッド)段階に関して供給される所定の量の様々な気相材料は、バーナ56に供給される酸素により搬送され、バーナ火炎58内で反応し、ここで、所望のガラススート粒子が形成される。次いで、スート粒子は、熱泳動機構によって、回転している心棒59またはコアケイン60上に堆積して、指定のスートプリフォーム62が得られ、これは、Ybドープトシングルモードコアを有する単一偏波ファイバを製造するのに用いられる。
【0050】
コアスートプリフォーム層が付着堆積され、スートプリフォーム62が室温まで冷却された後、心棒59がコアスートプリフォーム62の中心から取り外される。次いで、コアスートプリフォーム62が固結(中実ガラスに緻密にされる)されて、中実ガラスプリフォーム62aとなり、これがコアケイン62bに線引きされる(
図12および14参照)。
【0051】
本願の出願人等は、固結中の高温および高速下方供給速度を適切に選択すると、得られる中実ガラスプリフォームにおける結晶形成が少なくなり、これにより、受動的(バックグラウンド)損失が非常に低い光ファイバが得られ、Alドープトブランクに関連する従来の二重再線引きプロセスが省かれることを発見した。より詳しくは、スートプリフォーム62は、得られるファイバコアのバックグラウンド損失が、1280nmの波長で、8dB/km未満、好ましくは3dB/km未満となるように、結晶化を十分に最小にするような速度と温度で炉に対して下方供給される。
図12に示されるように、「コア」スートプリフォーム62は、高温(1400℃から1600℃)炉64内で中実ガラスプリフォーム62aに固結される。固結中の炉の温度が1500℃から1600℃であることが好ましく、1530℃から1580℃がより好ましい。この実施の形態の光ファイバ10を製造するために、1550℃の炉の温度を使用した。1500℃未満の温度について、プリフォームガラスは結晶を形成し、結晶化の量は、炉の温度が1530℃より高くなると、著しく減少することが分かった。炉内にある間、スートプリフォーム62は、7mm/分以上の速度で炉64に対して動かされる(例えば、下方供給される)。この速度が12mm/分から18mm/分であることが好ましい。スートプリフォームを下方供給する代わりに、スートプリフォームを定位置に保持し、代わりに炉を動かしてもよいことに留意されたい。それゆえ、スートプリフォームが炉に対して動かされることを明記することによって、本願の出願人等は、スートプリフォームと炉との間のどのような相対運動も網羅することを意図している。一般に、炉の温度が高いほど、炉とスートプリフォームとの間の相対運動の速度を速くすることが推奨される。
【0052】
上述した高固結温度および高下方供給速度により、得られる光ファイバ10は、8dB/km未満のコアのバックグラウンド損失を有する。より詳しくは、光ファイバは、5dB/km未満のコアのバックグラウンド損失を示す。この実施例において、コアのバックグラウンド損失は、3dB/km未満である。コアのバックグラウンド損失は、外側クラッドのない(シングルモード)光ファイバを製造し、このファイバのバックグラウンド損失を測定することによって測定した。
【0053】
コアスートプリフォーム62は、クラッド形成プロセスが完了した後に、0.06から0.1%のコアデルタを有するファイバを製造するのに十分な量のGeを有する。コアスートプリフォーム62を上述したように固結した後、これはコアケイン62bに線引きされる。コアケイン62bは、長さ1メートル、直径約8mmであることが好ましい。コアケイン62bが
図14に概略的に示されている。
【0054】
2.第1のクラッドブランクの形成 コアケイン62bをシリカスートでオーバークラッドして、コア/クラッド(スート)ブランク(ここでは、第1のクラッドブランク63と称される)を形成する。次いで、第1のクラッドブランクを固結して、ケイン63aを形成する。第1のクラッドブランク63は、0.4から0.6のコア対第1のクラッドの直径の比を有する。ケイン63aは、直径約42mmである。ケイン63aが、
図15に概略的に示されている。
【0055】
あるいは、コアケイン62aの周りにシリカスリーブを配置することによるスリーブ付けプロセスを用いて、ケイン63aを形成してもよい。
【0056】
3.溝付きケインの形成 ケイン63aは、光ファイバ10のコア12と第1のクラッド層14に対応する部分112,114を含む。ケイン63aは、長さが約1メートルで、直径が約8mmであることが好ましい。次いで、溝54をケイン63aの正反対の縦側面に幅約6.4mm、深さ約8から10mm切り込み、それによって、溝付きケイン63Bを形成する(
図16参照)。溝の深さは、第1のクラッド層の厚さに依存するが、
図16に示されるように、その底部が部分112(ファイバコア12に相当する)と実質的に隣接するようなものであるべきである。溝付きケイン63Bは、どのような研削残留物も取り除くために約30分間に亘りHFエッチングされ、次いで、適切なサイズのケイン(約8mmの外径)に再線引きされる。
【0057】
次いで、溝付きの再線引きされたケイン63Bは、
図17に示されるように、シリカスート67がオーバークラッドされた(例えば、約800〜1000グラム)1メートル長のシリカ管またはスリーブ65中に挿入されて、プリフォームサブアセンブリ70が形成される。スリーブ65上のシリカスート67のオーバークラッドは、外付け(OVD)法により製造されることが好ましい。例示のシリカ管65は、約8.8mmの内径、およびシリカスート67の層を支持する約11.8mmの外径を有する。スートを担持しているシリカ管は、エッチングされ再線引きされたケイン63Bの管65中への挿入前に、化学溶剤またはアルコール(例えば、IPA)により、外側と内側の両方が洗浄される。必要であれば、プリフォームサブアセンブリ70内の2つの孔24,26をHFでさらにエッチングして、それらの孔を拡大してもよい。
【0058】
次いで、
図17のプリフォームサブアセンブリ70を
図18に示されるような従来の固結プロセスにしたがって、Cl
2の雰囲気中の固結炉64内で最初に乾燥させ、次いで、He含有雰囲気中の固結炉内で固結して、固結済みプリフォーム70Aを製造することによって、固結する。次いで、固結済みプリフォーム70Aを、
図19に示されるように、再線引き塔74中に挿入する。好ましい下方供給速度は約7mm/分である。加熱素子75によりプリフォーム70Aに熱を加え、このプリフォームを張力印加ホイール76によって、約7〜8mmの直径のケイン78へと下方に線引きする。再線引きプロセス(プリフォームからより小さい直径のケインへの線引き)が行われている間に、孔24,26を閉じなくするのに十分な正圧(約1psi(約6.9kPa))をその孔に印加する。この正圧は、中心コアがわずかに細長くなるのに十分であってもよい。使用される正圧は、他の要因の中でも、線引き温度、ガラスの粘度、および線引き速度の関数である。
【0059】
今では楕円形状の中心コア112および空気孔24,26を有するこのケイン78は、
図20に示されるように、約1000グラムのシリカスート67Aでオーバークラッドされた1メートル長のシリカ管65A中に再度挿入されて、プリフォームサブアセンブリ70Bが形成される。このプリフォームサブアセンブリ70Bは、これまでと同じ様式で固結されて、固結済みブランク70Cが形成される。この固結済みブランク70Cは、光ファイバ10のコアと内側クラッド部分の基部を形成する。
【0060】
次いで、固結済みブランク70Cは、必要であれば、所望の形状に機械加工される。内側クラッド層における円対称を壊すことによって、ポンプ光の吸収効率が向上する。機械加工されたコア/内側クラッドのブランク70Dが
図21に概略的に示されている。機械加工済みブランク70Dを、例えば、屈折率低下ドーパントを含むSiO
2によって再度オーバークラッドし、次いで、固結済みブランク71に固結した。固結済みブランク71のダウンドープされたシリカ層116は、光ファイバ10の第2の、すなわち外側クラッド16を形成する。
図22は、例示の固結済みブランク71を概略的に示している。オーバークラッドにホウ素を使用する場合、固結をフッ素雰囲気中で行うことが好ましい。この実施例において、屈折率低下ドーパントはBおよびFである。
【0061】
より詳しくは、バーナに供給されるホウ酸トリエチルおよびSiCl
4を用いることによって、B
2O
3およびSiO
2を、研削したガラスプリフォーム上に気相成長させて、B
2O
3およびSiO
2スート層を形成した。次いで、固結炉に供給されたSiF
4ガスを使用することによって、B
2O
3ドープトシリカスート層で被覆されたブランク(すなわち、機械加工または研削されたガラスプリフォーム)を、固結工程中にフッ素ドープした。この第2の固結工程中、固結炉は、1300℃〜1400℃の温度範囲で動作される。これらの固結温度で、フッ素は、ホウ素/シリカスート層中に拡散するが、その下にあるガラス相中には浸透しない。この実施例の光ファイバは、拡散により適切なフッ素ドーピングを促進するように、1350℃の固結温度を使用することによって製造した。この実施例において、プリフォームの第3の層(外側クラッド)は、第2の層(内側クラッド)の形状と似た形状を有する。
【0062】
次いで、固結済みブランク71を、
図23に示したように、線引き炉80内のハンドル81から吊り下げ、ファイバ82をそこから線引きする。線引き中、前記孔にわずかな正圧(約1psi(約6.9kPa)以上)を印加して、それらが閉じないようにする。これにより、コアが(より)楕円形状になる。
図1Aおよび1Bに示された例示のファイバにおいて、0.1psi(約690Pa)未満の正圧を用いた。線引き速度は約1m/秒であった。得られたファイバは、楕円形状のコアおよび2つの空気孔を有している。
【0063】
中心コアの所望のアスペクト比を達成するために、コアの楕円化は、再線引き工程、線引き工程、またはその組合せのいずれで行ってもよいことが認識されよう。いずれの場合にせよ、楕円化が生じるように、プリフォーム(およびファイバ)の孔に正圧が印加される。
【0064】
本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の改変および変更を行ってもよいことが当業者には明白である。例えば、ステップインデックス型構造が示されているが、他のグレーデッドインデックス型構造を用いてもよい。さらに、ファイバプロファイルに環状構造を同様に加えてもよく、その構造は許容されるように機能するであろう。それゆえ、本発明は、本発明の改変および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびその同等物に含まれる条件で、包含することが意図されている。