(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746248
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】制御用空気系のバックアップシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 9/03 20060101AFI20150618BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20150618BHJP
G05B 9/05 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
G05B9/03
G21D1/00 G
G05B9/05
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-59360(P2013-59360)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-186415(P2014-186415A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2013年7月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武藤 智
(72)【発明者】
【氏名】田村 真満
(72)【発明者】
【氏名】竹村 靖
(72)【発明者】
【氏名】重村 正則
【審査官】
後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−161199(JP,A)
【文献】
特開2000−279743(JP,A)
【文献】
特開2000−334253(JP,A)
【文献】
特開平09−015380(JP,A)
【文献】
特開平04−287884(JP,A)
【文献】
特開平09−015378(JP,A)
【文献】
特開昭63−100397(JP,A)
【文献】
特開2003−057389(JP,A)
【文献】
特開2013−221700(JP,A)
【文献】
米国特許第04153434(US,A)
【文献】
特開平3−51799(JP,A)
【文献】
特開2007−155464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/00− 9/05
G21D 1/00− 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電ユニットを備え、各発電ユニット毎に、空気圧縮機と、空気レシーバータンクと、除湿装置と、空気ヘッダーと、それらを直列に連結する空気供給配管とからなる制御空気系がそれぞれ設けられた制御用空気系のバックアップシステムにおいて、
2つの制御用空気系を一組として、一方の第1制御用空気系に、前記除湿装置をバイパスする第1バイパス配管と、該第1バイパス配管を開閉させる第1バイパス弁とを設けるとともに、
他方の第2制御用空気系に、前記除湿装置をバイパスする第2バイパス配管と、該第2バイパス配管を開閉させる第2バイパス弁とを設け、
前記第1制御用空気系の空気ヘッダーと前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に第1バックアップ配管を接続し、
前記第2制御用空気系の空気ヘッダーと前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に第2バックアップ配管を接続し、
前記第1バックアップ配管に前記第1バックアップ配管を開閉させる第1バックアップ弁を設け、前記第2バックアップ配管に前記第2バックアップ配管を開閉させる第2バックアップ弁を設け、
前記第1制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中、かつ、前記第2制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が停止中であって、前記第1制御用空気系の空気圧縮機に異常が生じた場合に、
前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を閉じると共に、前記第2バイパス弁及び前記第2バックアップ弁を開き、前記第2制御用空気系の空気圧縮機を作動させることにより、該空気圧縮機から前記第2バイパス弁及び前記第2バックアップ弁を介して前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側に圧縮空気を供給し、
前記第2制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中、かつ、前記第1制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が停止中であって、前記第2制御用空気系の空気圧縮機に異常が生じた場合に、
前記第2バイパス弁及び前記第2バックアップ弁を閉じると共に、前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を開き、前記第1制御用空気系の空気圧縮機を作動させることにより、該空気圧縮機から前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を介して前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側に圧縮空気を供給する
ことを特徴とする制御用空気系のバックアップシステム。
【請求項2】
前記第1制御用空気系の空気ヘッダーと前記第2制御用空気系の空気ヘッダーとの間には、それらの間を連結する連絡配管と、該連絡配管を開閉させる連絡弁とが設けられ、
前記連絡配管と前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に前記第1バックアップ配管を接続し、
前記連絡配管と前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に前記第2バックアップ配管を接続し、
前記第1バックアップ配管に前記第1バックアップ配管を開閉させる第1バックアップ弁を設け、
前記第2バックアップ配管に前記第2バックアップ配管を開閉させる第2バックアップ弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の制御用空気系のバックアップシステム。
【請求項3】
前記バックアップ弁は、前記連絡配管側と前記空気供給配管側の両方に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の制御用空気系のバックアップシステム。
【請求項4】
前記各制御用空気系には、一対の空気圧縮機が並列に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の制御用空気系のバックアップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御用空気系のバックアップシステムに関し、特に、複数の発電ユニットを備えた火力発電所、原子力発電所等の発電所に適用され、稼働中の発電ユニットの制御用空気系に異常が生じた場合に、点検等で停止中の他の発電ユニットの制御用空気系からバックアップすることが可能な制御用空気系のバックアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発電ユニットを備えた火力発電所、原子力発電所等の発電所においては、各発電ユニット毎に、各発電ユニットの空気作動弁、計装機器、制御機器等の機器に除湿、除塵された圧縮空気(以下、制御用空気という。)を供給するための制御用空気系が設けられている。
【0003】
制御用空気系31は、例えば、
図6に示すように、並列に設けられた一対の空気圧縮機32、32と、空気レシーバータンク33と、除湿装置34と、空気ヘッダー35と、これらを直列に連結する空気供給配管36とから構成されている。
【0004】
このような構成の制御用空気系31の空気圧縮機32、32を作動させることにより、所定の圧力に高められた圧縮空気が空気圧縮機32、32から空気レシーバータンク33に供給され、空気レシーバータンク33に一旦貯留された後に除湿装置34に導かれ、除湿装置34で除湿された後に空気ヘッダー35を介して発電ユニット40の各機器に制御用空気として供給される。
【0005】
上記のような構成の複数の発電ユニット40を備えた発電所においては、稼働中の発電ユニット40の制御用空気系31の空気圧縮機32に異常が発生した場合に、その発電ユニット40の各機器に制御用空気を供給することができなくなる。
【0006】
このため、稼働中の発電ユニット40の制御用空気系31の空気圧縮機32に異常が発生した場合においても、その発電ユニット40の各機器への制御用空気の供給を維持することができる各種のバックアップ方法が提案されている。
【0007】
例えば、
図7に示すように、2つの制御用空気系31、31の空気ヘッダー間35、35に、それらの間を相互に連結する連絡配管37と、連絡配管37を開閉させる連絡弁38とを設けたバックアップ方法が提案されている。
【0008】
このような構成のバックアップ方法によれば、稼働中の発電ユニット40の制御用空気系31の空気圧縮機32に異常が発生した場合に、点検等で停止中の発電ユニット40の制御用空気系31を一時的に運転させて連絡弁38を開くことにより、その制御用空気系31から連絡弁38を介して、異常が発生した稼働中の発電ユニット40の制御用空気系31に制御用空気を供給することができる。
【0009】
また、他のバックアップ方法として、特許文献1には、発電ユニットの制御用空気系の空気供給配管と所内用空気系の空気供給配管との間に、それらの間を相互に連結するバックアップ配管と、バックアップ配管を開閉させるバックアップ弁とを設けたバックアップ方法が提案されている。
【0010】
このような構成のバックアップ方法によれば、稼働中の発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生した場合に、バックアップ弁を開くことにより、所内用空気系の空気圧縮機からバックアップ弁を介して、異常が発生した発電ユニットの制御用空気系に圧縮空気を供給することができる。
【0011】
ところで、
図7に示すバックアップ方法は、点検等で停止中の制御用空気系31の空気圧縮機32及び除湿装置34の両方を起動させる必要があるため、除湿装置4b、4aを起動させて定常運転に入るまでの時間的なロスが生じることになり、電力を安定して供給し続けることが困難になる。
【0012】
また、特許文献1に記載のバックアップ方法は、管理基準の異なる所内用空気系の空気圧縮機から制御用空気系に圧縮空気が供給されることになるため、発電ユニットの各機器のトラブル発生の原因となり、発電ユニットの各機器の運転管理上、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−155464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、複数の発電ユニットを備えた発電所において、稼働中の発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機に異常が生じた場合に、点検等のために停止中の他の発電ユニットの制御用空気系から制御用空気の供給をバックアップすることができる制御用空気系のバックアップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、複数の発電ユニットを備え、各発電ユニット毎に、空気圧縮機と、空気レシーバータンクと、除湿装置と、空気ヘッダーと、それらを直列に連結する空気供給配管とからなる制御空気系がそれぞれ設けられた制御用空気系のバックアップシステムにおいて、2つの制御用空気系を一組として、一方の第1制御用空気系に、前記除湿装置をバイパスする第1バイパス配管と、該第1バイパス配管を開閉させる第1バイパス弁とを設けるとともに、他方の第2制御用空気系に、前記除湿装置をバイパスする第2バイパス配管と、該第2バイパス配管を開閉させる第2バイパス弁とを設け、前記第1制御用空気系の空気ヘッダーと前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に第1バックアップ配管を接続し、前記第2制御用空気系の空気ヘッダーと前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に第2バックアップ配管を接続し、前記第1バックアップ配管に前記第1バックアップ配管を開閉させる第1バックアップ弁を設け、前記第2バックアップ配管に前記第2バックアップ配管を開閉させる第2バックアップ弁を設け、前記第1制御用空気
系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中
、かつ、前記第2制御用空気
系の空気圧縮機及び除湿装置が停止中
であって、
前記第1制御用空気系の空気圧縮機に異常が生じた場合に、
前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を閉じると共に、前記第2バイパス弁及び前記第2バックアップ弁を開き、前記第2制御用空気系の空気圧縮機を作動させることにより、該空気圧縮機から前記第2バイパス
弁及び前記第2バックアップ
弁を介して
前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側に圧縮空気を供給し
、前記第2制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中、かつ、前記第1制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が停止中であって、前記第2制御用空気系の空気圧縮機に異常が生じた場合に、前記第2バイパス弁及び前記第2バックアップ弁を閉じると共に、前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を開き、前記第1制御用空気系の空気圧縮機を作動させることにより、該空気圧縮機から前記第1バイパス弁及び前記第1バックアップ弁を介して前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側に圧縮空気を供給することを特徴とする。
【0016】
本発明のケーシングの制御用空気系のバックアップシステムによれば、
第1制御用空気系又は第2制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中で、第2制御用空気系又は第1制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が停止中の場合に、運転中の空気圧縮機に異常が生じた場合に、
運転中の第1バイパス弁又は第2バイパス弁を閉じ、第1バックアップ弁又は第2バックアップ弁を閉じ、
停止中の第2バイパス弁又は第1バイパス弁を開き、第2バックアップ弁又は第1バックアップ弁を開き、
停止中の空気圧縮機を作動させることにより、当該空気圧縮機から第2バイパス弁又は第1バイパス弁、第2バックアップ弁又は第1バックアップ弁を介して異常が生じた第1制御用空気系又は第2制御用空気系の除湿装置の上流側に圧縮空気を供給することができ、この圧縮空気を
当該除湿装置で除湿した後に、空気ヘッダーを介して稼働中の発電ユニットの各機器に供給することができる。
この場合、停止中の
第2制御用空気系
又は第1制御空気系の除湿装置を作動させる必要はなく、空気圧縮機のみを作動させればよいので、除湿装置を起動させて定常運転に入るまでの時間的なロスが生じることなく、各発電ユニットへの制御用空気の供給を維持することができる。
【0017】
また、本発明において、前記
第1制御用空気系の空気ヘッダー
と前記第2制御用空気系の空気ヘッダーとの間には、それらの間を連結する連絡配管と、
該連絡配管を開閉させる連絡弁とが設けられ、前記連絡配管と
前記第2制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に
前記第1バックアップ配管を接続し、
前記連絡配管と前記第1制御用空気系の除湿装置の上流側で、かつ空気レシーバータンクの下流側の空気供給配管との間に前記第2バックアップ配管を接続し、
前記第1バックアップ配管に
前記第1バックアップ配管を開閉させる
第1バックアップ弁を設け、
前記第2バックアップ配管に前記第2バックアップ配管を開閉させる第2バックアップ弁を設けたこととしてもよい。
【0018】
本発明の制御用空気系のバックアップシステムによれば、
第1制御用空気系の空気ヘッダー
と第2制御用空気系の空気ヘッダーの相互間で連絡弁を介して制御用空気を流通させることができるので、
第1又は第2制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が運転中で、
第2又は第1制御用空気系の空気圧縮機及び除湿装置が点検等で停止中の場合に、運転中の
第1又は第2制御用空気系から、連絡弁を介して停止中の
第2又は第1制御用空気系に制御用空気を供給することができる。
【0019】
また、本発明において、前記バックアップ弁は、前記連絡配管側と前記空気供給配管側の両方に設けられていることとしてもよい。
【0020】
本発明の制御用空気系のバックアップシステムによれば、連絡配管側のバックアップ弁と空気供給配管側のバックアップ弁の両方を開き、予備機として使用する制御用空気系の空気圧縮機から圧縮機が、両バックアップ弁を介してバックアップ側の制御用空気系の除湿装置の上流側に供給されることになる。
【0021】
さらに、本発明において、前記各制御用空気系には、一対の空気圧縮機が並列に設けられていることとしてもよい。
【0022】
本発明の制御用空気系のバックアップシステムによれば、各制御用空気系の何れか一方の空気圧縮機を運転し、何れか他方の空気圧縮機を停止させておくことにより、運転中の何れか一方の空気圧縮機に異常が生じた場合に、何れか他方の空気圧縮機に運転を切り替えることにより、発電ユニットの各機器に制御用空気を供給し続けることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上、説明したように、本発明の制御用空気系のバックアップシステムによれば、稼働中の発電ユニットの
第1又は第2制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生した場合に、点検等で停止中の発電ユニットの
第2又は第1制御用空気系の空気圧縮機を作動させることにより、この空気圧縮機から圧縮空気を異常が発生した発電ユニットの
第1又は第2制御用空気系の除湿装置の上流側に供給することができ、その圧縮空気を除湿装置で除湿した後に、稼働中の発電ユニットの各機器に制御用空気として供給することができる。
この場合、停止中の
第2又は第1制御用空気系の除湿装置を作動させる必要はなく、空気圧縮機のみを作動させればよいので、除湿装置を起動させて定常運転に入るまでの時間的なロスが生じることなく、各発電ユニットへの制御用空気の供給を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による制御用空気系のバックアップシステムの一実施の形態を示したフロー図である。
【
図2】第1制御用空気系の空気圧縮機が運転中で、第2制御用空気系の空気圧縮機が停止中の状態を示したフロー図である。
【
図3】
図2の状態において、運転中の第1制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生した場合のバックアップ方法を示したフロー図である。
【
図4】第1制御用空気系の空気圧縮機が停止中で、第2制御用空気系の空気圧縮機が運転中の状態を示したフロー図である。
【
図5】
図4の状態において、運転中の第2制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生した場合のバックアップ方法を示したフロー図である。
【
図6】従来の制御用空気系の一例を示したフロー図である。
【
図7】従来の制御用空気系のバックアップ方法の一例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図5には、本発明による制御用空気系のバックアップシステムの一実施の形態が示されている。本実施の形態の制御用空気系のバックアップシステム10は、例えば、複数の発電ユニット20、21を備えた火力発電所、原子力発電所等の発電所の各発電ユニット20、21の制御用空気系1a、1bに適用され、稼働中の発電ユニット20、21の制御用空気系1a、1bに異常が発生した場合に、点検等で停止中の他の発電ユニット21、20の制御用空気系1b、1aによって制御用空気の供給をバックアップすることが可能なものである。
なお、本実施の形態においては、本発明を2つの発電ユニット(第1発電ユニット20、第2発電ユニット21)を備えた発電所に適用しているが、3つ以上の発電ユニットを備えた発電所に本発明を適用してもよい。
【0026】
図1に示すように、第1発電ユニット20及び第2発電ユニット21には、当該発電ユニット20、21に対応するように、第1制御用空気系1a及び第2制御用空気系1bがそれぞれ設けられ、第1制御用空気系1a及び第2制御用空気系1bから、第1発電ユニット20の各機器(空気作動弁、計装機器、制御機器等の機器)及び第2発電ユニット21の各機器(空気作動弁、計装機器、制御機器等の機器)にそれぞれ制御用空気が供給されるようになっている。
【0027】
第1制御用空気系1aは、並列に設けられた一対の空気圧縮機2a、2bと、空気レシーバータンク3aと、除湿装置4aと、空気ヘッダー5aと、これらを直列に連結する空気供給配管6aとから構成されている。
【0028】
第2制御用空気系1bは、並列に設けられた一対の空気圧縮機2a、2bと、空気レシーバータンク3bと、除湿装置4bと、空気ヘッダー5bと、これらを直列に連結する空気供給配管6bとから構成されている。
【0029】
第1制御用空気系1a及び第2制御用空気系1bの空気圧縮2a、2bを作動させることにより、圧縮空気が空気レシーバータンク3a、3bに供給され、空気レシーバータンク3a、3bに一旦貯留された後に除湿装置4a、4bに導かれ、除湿装置4a、4bで除湿された後に空気ヘッダー5a、5bを介して各発電ユニット20、21の各機器に制御用空気が供給される。
【0030】
両制御用空気系1a、1bの空気ヘッダー5a、5b間には、それらの間を相互に連結する連絡配管7と、連絡配管7を開閉させる連絡弁8とが設けられ、連絡弁8を開くことにより、両制御用空気系1a、1bの空気ヘッダー5a、5b相互間で制御用空気を流通させることができる。
【0031】
第1制御用空気系1aの空気供給配管6aには、除湿装置4aをバイパスする第1バイパス配管11aと、第1バイパス配管11aを開閉させる第1バイパス弁12aとが設けられている。同様に、第2制御用空気系1bの空気供給配管6bには、除湿装置4bをバイパスする第2バイパス配管11bと、第2バイパス配管11bを開閉させる第2バイパス弁12bとが設けられている。第1バイパス弁12a及び第2バイパス弁12bを開くことにより、空気圧縮機2a、2bから圧縮空気が除湿装置4a、4bをバイパスして空気ヘッダー5a、5b側に導かれる。
【0032】
連絡配管7の連絡弁8よりも図中左側の部分と、第2制御用空気系1bの空気供給管6bの除湿装置4bよりも上流側の部分との間には、第1バックアップ配管13aが接続され、この第1バックアップ配管13aには、第1バックアップ配管13aを開閉させる第1バックアップ弁14a、14aが設けられている。同様に、連絡配管7の連絡弁8よりも図中右側の部分と、第1制御用空気系1aの空気供給配管6aの除湿装置4aよりも上流側の部分との間には、第2バックアップ配管13bが接続され、この第2バックアップ配管13bには、第2バックアップ配管13bを開閉させる第2バックアップ弁14b、14bが設けられている。
【0033】
なお、本実施の形態においては、第1バックアップ配管13a、及び第2バックアップ配管13bに、それぞれ2つの第1バックアップ弁14a、14a、及び第2バックアップ弁14b、14bを設けているが、第1バックアップ配管13a、及び第2バックアップ配管13bに1つの第1バックアップ弁14a、及び第2バックアップ弁14bを設けるように構成してもよい。
【0034】
上記の第1バイパス配管11a、第1バイパス弁12a,第2バイパス配管11b、第第2バイパス弁12b、第1バックアップ配管13a、第1バックアップ弁14a、第2バックアップ配管13b、第2バックアップ弁14bにより、第1制御用空気系1aから第1発電ユニット20の各機器への制御用空気の供給をバックアップし、第2制御用空気系1bから第2発電ユニット21の各機器への制御用空気の供給をバックアップする本実施の形態の制御用空気系のバックアップシステム10が構成される。
【0035】
図1に示すシステムにおいて、第1制御用空気系1a及び第2制御用空気系1bの何れか一方の圧縮機2a、2bを運転させ、何れか他方の圧縮機2b、2aを停止させておくことにより、運転中の何れか一方の圧縮機2a、2bに異常が発生した場合に、停止中の何れか他方の圧縮機2b、2aに運転を切り替えることにより、第1発電ユニット20及び第2発電ユニット21の各機器への制御用空気の供給を維持することができる。
なお、以下の
図2〜
図5を参照した説明において、図中白抜きは各空気圧縮機2a、2b、各除湿装置4a、4bの「運転」状態、各弁
8、12a、12b、14a、14bの「開」状態を示し、図中黒塗りは各空気圧縮機2a、2b、各除湿装置4a、4bの「停止」状態、各弁
8、12a、12b、14a、14bの「閉」状態を示している。
【0036】
また、
図2に示すように、第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2b及び除湿装置
4aが運転中で、第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2b及び除湿装置
4bが点検等のために停止中の場合には、第1バイパス弁12a、第2バイパス弁12b、第1バックアップ弁14a、及び第2バックアップ弁14bを閉じた状態で連絡弁8を開くことにより、
図2に矢印で示すように、運転中の第1制御用空気系1aの空気ヘッダー5aから、連絡弁8を介して停止中の
第2制御用空気系1bの空気ヘッダー5bに制御用空気を供給することができ、空気ヘッダー5bから第2発電ユニット21の各機器への制御用空気の供給を維持することができる。
【0037】
この
図2の状態で、運転中の第1制御用空気系1aの両方の空気圧縮機2a、2bに異常が生じた場合には、
図3に示すように、連絡弁8を閉じ、第1バイパス弁12aを閉じ、第2バイパス弁12bを開き、第1バックアップ弁14aを閉じ、第2バックアップ弁14bを開き、停止中の第2制御用空気系1bの何れか一方の空気圧縮機2a、2b(例えば、空気圧縮機2a)を作動させる。これにより、
図3に矢印で示すように、第2の制御用空気系1bの何れか一方の空気圧縮機2a、2bから圧縮空気が第2バイパス弁12b、空気ヘッダー5b、第2バックアップ弁14b、14bを介して、運転中の第1制御用空気系1aの除湿装置4aの上流側に供給され、この圧縮空気が除湿装置4aで除湿された後に、空気ヘッダー5aを介して第1発電ユニット20の各機器に制御用空気として供給される。
なお、この場合、第2制御用空気系1bの空気ヘッダー5bの下流側(各機器側)の開閉弁(図示せず)は閉じておくものとする。
【0038】
また、
図4に示すように、第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2b及び除湿装置3bが運転中で、第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2b及び除湿装置3aが点検等のために停止中の場合には、第1バイパス弁12a、第2バイパス弁12b、第1バックアップ弁14a、及び第2バックアップ弁14bを閉じた状態で連絡弁8を開くことにより、
図4に矢印で示すように、運転中の第2制御用空気系1bの空気ヘッダー5bから、連絡弁8を介して停止中の第1制御用空気系1aの空気ヘッダー5aに制御用空気を供給することができ、空気ヘッダー5aから第1発電ユニット20の各機器への制御用空気の供給を維持することができる。
【0039】
この
図4の状態で、運転中の第2制御用空気系1bの両方の空気圧縮機2a、2bに異常が生じた場合には、
図5に示すように、第1バイパス弁12aを開き、第2バイパス弁12bを閉じ、第1バックアップ弁14aを開き、第2バックアップ弁14bを閉じ、停止中の第1制御用空気系1aの何れか一方の空気圧縮機2a、2b(例えば、空気圧縮機2a)を作動させる。これにより、
図5に矢印で示すように、第1の制御用空気系1aの何れか一方の空気圧縮機2a、2bから圧縮空気が第1バイパス弁12a、空気ヘッダー5a、第1バックアップ弁14a、14aを介して、運転中の第2の制御用空気系1bの除湿装置4bの上流側に供給され、この圧縮空気が除湿装置4bで除湿された後に、空気ヘッダー5bを介して第2発電ユニット21の各機器に制御用空気として供給される。
なお、この場合、第1制御用空気系1aの空気ヘッダー5aの下流側(各機器側)の開閉弁(図示せず)は閉じておくものとする。
【0040】
上記のように構成した本実施の形態の制御用空気系のバックアップシステムにあっては、第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2b、及び除湿装置4aが運転中で、第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2b、除湿装置4bが点検等のために停止中の場合に、運転中の第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2bに異常が生じた場合には、停止中の第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2bを予備機として使用することができ、また、第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2b、及び除湿装置4aが点検等のために停止中で、第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2b、除湿装置4bが運転中の場合に、運転中の第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2bに異常が生じた場合には、停止中の第1制御用空気系1aの空気圧縮機2a、2bを予備機として使用することができる。
【0041】
従って、運転中の第1制御用空気系1a又は第2制御用空気系1bの空気圧縮機2a、2bに異常が発生しても、点検等のために停止中の第2制御用空気系1b又は第1制御用空気系1aの空気圧縮機2b、2aを作動させることにより、制御用空気の供給を維持することができるので、発電ユニット20、21の各機器への制御用空気の供給が損なわれるようなことはない。
【0042】
また、停止中の制御用空気系1b、1aの除湿装置4b、4aを作動させる必要はなく、空気圧縮機2a、2bのみを作動させればよいので、除湿装置4b、4aを起動させて定常運転に入るまでの時間的なロスが生じることはなく、各発電ユニット20、21への制御用空気の供給を維持することができる。
【0043】
また、停止中の空気圧縮機2a、2bからの圧縮空気は、運転中の除湿装置4a、4bを通して空気ヘッダー5a、5b側に導かれるので、除湿された後の圧縮空気が制御用空気として各発電ユニット20、21の各機器に供給されることになり、所内用空気系から圧縮空気を供給する従来の技術のように、各発電ユニット20、21の各機器のトラブル発生の原因となるようなことはない。
【0044】
また、複数の発電ユニットを備えた発電所において、何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機を他の何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機の予備機として使用することができるので、稼働中の発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生し、当該空気圧縮機を緊急に修理する必要が生じた場合に、点検等のために停止中の発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機を一時的に運転することにより、異常が発生した制御用空気系による制御用空気の供給をバックアップすることができるので、異常が生じた空気圧縮機の修理に迅速に対応することができる。
【0045】
また、何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機に異常が発生しても、他の何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機から圧縮空気の供給をバックアップすることができるので、各発電ユニットの各機器へ制御用空気を安定して供給することができ、電力を安定して供給することができる。
【0046】
さらに、何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機の修理計画を立てる場合に、他の何れかの発電ユニットの制御用空気系の空気圧縮機を予備機として使用することができるので、修理計画を余裕をもって立てることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1a 第1制御用空気系
1b 第2制御用空気系
2a、2b 空気圧縮機
3a、3b 空気レシーバータンク
4a、4b 除湿装置
5a、5b 空気ヘッダー
6a、6b 空気供給配管
7 連絡配管
8 連絡弁
10 バックアップシステム
11a 第1バイパス配管
11b 第2バイパス配管
12a 第1バイパス弁
12b 第2バイパス弁
13a 第1バックアップ配管
13b 第2バックアップ配管
14a 第1バックアップ弁
14b 第2バックアップ弁
20 第1発電ユニット
21 第2発電ユニット
31 制御用空気系
32 空気圧縮機
33 空気レシーバータンク
34 除湿装置
35 空気ヘッダー
36 空気供給配管
37 連絡配管
38 連絡弁
40 発電ユニット