特許第5746266号(P5746266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746266
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20150618BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20150618BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20150618BHJP
   F16C 29/04 20060101ALI20150618BHJP
   F16C 29/08 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   F16H25/24 L
   F16H25/22 A
   F16H25/20 Z
   F16H25/22 Z
   F16C29/04
   F16C29/08
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-120844(P2013-120844)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238134(P2014-238134A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年10月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】山倉 亙
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 充
【審査官】 河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214501(JP,A)
【文献】 特開2005−344902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
F16C 29/04
F16C 29/08
F16H 25/20
F16H 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の第1の転動体転走溝が外周に形成された長尺のねじ軸と、
前記ねじ軸が貫通するねじ孔が形成されると共に、外周に前記ねじ軸と平行に形成された第2の転動体転走溝を有するインナーブロックと、
前記第2の転動体転走溝と対向するアウターレールと、
前記ねじ軸と前記インナーブロックの間および、前記インナーブロックと前記アウターレールの間にそれぞれ配列された複数の転動体とを有するアクチュエータにおいて、
前記ねじ軸の両端部に設置される一対の端部部材の間にかけ渡される一対の側面カバーと、
前記側面カバー間に形成されると共に前記ねじ軸と平行に開口した開口部を閉塞するように配置される上面カバーとを備え、
前記側面カバーは、前記上面カバーと平行に形成される上板と、前記上板の幅方向に沿った一端から垂下する側板とを備え、
前記端部部材は、前記側面カバーの前記上板と前記側板が連続するコーナー部に接触する姿勢保持手段を有し、
前記姿勢保持手段は、前記側面カバーの着脱の際に、前記上板の一端を基点として前記側板を前記ねじ軸と平行な回転軸周りに回転させることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項に記載のアクチュエータにおいて、
前記側面カバーは、前記ねじ軸と平行に延設されると共に、前記アウターレールに固定されることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関し、特に、防塵機構を備えたフルカバータイプのアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アクチュエータ構造部の全面をカバーなどで覆い防塵機構を備えたフルカバータイプのアクチュエータが知られている。また、このようなアクチュエータの形態として、アクチュエータの端部から伸縮自在に組付けられたロッドを有するロッドタイプや、アクチュエータの上面に長手方向に沿って移動するスライダを有するスライダタイプなど種々の形態が知られている。
【0003】
このようなフルカバータイプのアクチュエータは、種々の固定方法によって作業台などの基台に固定することができるが、作業者が基台の下に潜り込んで下方からアクチュエータを取り付ける場合には取り付けの作業性が悪いという問題があった。このような問題を解決するために特許文献1に記載されたアクチュエータは、カバーを取り外すことで、アクチュエータの上方からボルトによって基台に取り付けるという構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−19534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなロッドタイプのアクチュエータにおいては、容易にカバーを取り外すことが可能であるが、スライダタイプのアクチュエータは、アクチュエータ上面にスライダが移動することができるように開口部が形成され、該開口部を上面カバーで閉塞するという構成を有している。この上面カバーは薄膜状のステンレステープによって構成されるため、上面カバーの端部に上面カバーの幅方向に沿った応力が付与されると容易に損傷してしまう。このため、側面カバーをアクチュエータの側面に取り付ける際に、該側面カバーの位置決めを正確に行わないとアクチュエータの上面に張架された上面カバーに接触して上面カバーの端部に幅方向に沿った応力が付与されることで上面カバーを損傷するという課題を有していた。また、このような理由から側面カバーを容易に着脱することができないため、アクチュエータを基台などに設置する際には、アクチュエータの上方から基台に対してボルトなどによって締結固定することができず、従前のように基台の下方からアクチュエータを固定するか、アクチュエータの側面にフランジを形成して該フランジを介してアクチュエータの上方からボルトによって基台に締結固定するという構成を採用せざるを得ず、依然として取り付けの作業性が悪く、フランジを形成する場合にはアクチュエータ自体が大型化してしまい、コスト抑制を図ることが難しいという問題を有していた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、上面カバーを損傷することなく、容易に側面カバーを着脱することができ、側面カバーを取り外した状態でアクチュエータの上方から基台に対して締結固定することで、作業性を向上させるとともに、アクチュエータを大型化することなくコスト抑制を図ることができるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアクチュエータは、螺旋状の第1の転動体転走溝が外周に形成された長尺のねじ軸と、前記ねじ軸が貫通するねじ孔が形成されると共に、外周に前記ねじ軸と平行に形成された第2の転動体転走溝を有するインナーブロックと、前記第2の転動体転走溝と対向するアウターレールと、前記ねじ軸と前記インナーブロックの間および、前記インナーブロックと前記アウターレールの間にそれぞれ配列された複数の転動体とを有するアクチュエータにおいて、前記ねじ軸の両端部に設置される一対の端部部材の間にかけ渡される一対の側面カバーと、前記側面カバー間に形成されると共に前記ねじ軸と平行に開口した開口部を閉塞するように配置される上面カバーとを備え、前記側面カバーは、前記上面カバーと平行に形成される上板と、前記上板の幅方向に沿った一端から垂下する側板とを備え、前記端部部材は、前記側面カバーの前記上板と前記側板が連続するコーナー部に接触する姿勢保持手段を有し、前記姿勢保持手段は、前記側面カバーの着脱の際に、前記上板の一端を基点として前記側板を前記ねじ軸と平行な回転軸周りに回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端部部材に側面カバーの着脱の際に、上面カバーが損傷することを防ぐことができ、作業性を向上させることができると共に、アクチュエータを大型化することなくコスト抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの斜視図。
図2】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの分解図。
図3】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの端部部材の構成を説明するための一部分解斜視図。
図4図3におけるL方向矢視図。
図5】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの長手方向断面図。
図6】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの側面カバーの取付け方法であって、(1)は、側面カバーを挿入する状態、(2)は、側面カバーをねじ軸と平行な回転軸周りに回転させた状態、(3)は、側面カバーを締結固定した状態を示す組立説明図。
図7】本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータの端部部材の構成を説明するための一部分解斜視図。
図8図7におけるL方向矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るアクチュエータの実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの分解図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの端部部材の構成を説明するための一部分解斜視図であり、図4は、図3におけるL方向矢視図であり、図5は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの長手方向断面図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの側面カバーの取付け方法であって、(1)は、側面カバーを挿入する状態、(2)は、側面カバーをねじ軸と平行な回転軸周りに回転させた状態、(3)は、側面カバーを締結固定した状態を示す組立説明図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、長手方向に沿って延びると共に、後述する第1の端部部材31と第2の端部部材との間にかけ渡される一対の側面カバー40と、該側面カバー40の両端に設置される第1の端部部材31および第2の端部部材32とからなる一対の端部部材と、側面カバー40の対向面間に長手方向に沿って形成された開口部51を閉塞する上面カバー50とを有して細長い箱型に形成されている。なお、第2の端部部材32は、側蓋33によって覆われており、本実施形態に係るアクチュエータ1の外形形状を形成しており、第1の端部部材31および第2の端部部材32には、後述する姿勢保持手段70が形成されている。また、開口部51に沿って往復移動するインナーブロック20が該インナーブロック20と重畳する位置にある上面カバー50を迂回させるための後述する迂回手段60を介して取付けられている。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係るアクチュエータ1の内部には、外表面に螺旋状の第1の転動体転走溝11が形成されると共に、長手方向に沿って延びるねじ軸10が第1の端部部材31および第2の端部部材32の間で回転自在の状態で支持されており、その一端が第1の端部部材31に形成された駆動手段収納部34内に配置された図示しない駆動モータに連結されている。さらに、ねじ軸10は、インナーブロック20の下端に形成されたボールねじナット22に挿通され、ねじ軸10とインナーブロック20との間に図示しないボールねじ用転動体を介して係合している。また、インナーブロック20は、ねじ軸10と平行に形成された第2の負荷転動体転走溝25が両側面に其々2条、合計4条形成されている。さらに、ねじ軸10と平行に穿孔された転動体戻し通路26が、第2の負荷転動体転走溝25に対応するように形成されている。またさらに、インナーブロック20の両端面には、一対の蓋体24が取り付けられている。
【0014】
インナーブロック20は、下端に配置されたアウターレール80によってその往復運動が案内されており、アウターレール80は、長手方向に沿って延びる底部83と、底部83の両端から立設してボールねじナット22の両側面と対向する一対の側壁部82とを有している。さらに、インナーブロック20には、上面カバー50を上下から挟み込むように移動板21が取り付けられている。また、側壁部82には、第2の負荷転動体転走溝25と対向するように第2の転動体転走溝82aが形成され、第2の負荷転動体転走溝25と第2の転動体転走溝82aとで転動体転走路を構成している。さらに、蓋体24には、ねじ軸10が挿通される貫通孔24a及び、転動体転走路と転動体戻し通路26とを連絡する方向転換路24bが形成されている。
【0015】
インナーブロック20は、図示しない複数の転動体を介してアウターレール80に組み付けられており、転動体は、転動体転走路、方向転換路24b及び転動体戻し通路26からなる無限軌道内を転動することで無限循環してインナーブロック20をアウターレール80に沿って往復運動自在に案内している。
【0016】
側面カバー40は、上面カバー50と平行に延びる上板41と、この上板41から垂下する側板42とを有している。また、上板41の端部には上面カバー50に接触する封止部43が形成されている。なお、封止部43は、上面カバー50を封止することができれば、どのように上面カバーと接触しても構わないが、例えば、永久磁石等を取り付けて上面カバー50と磁着すると好適である。なお、上面カバー50は、磁性を有するステンレステープなどを適用すると好適である。さらに、側面カバー40は、側板42をアウターレール80に締結ボルト81によって締結することで取付固定されている。
【0017】
次に、図5を参照してインナーブロック20に形成された迂回手段60について説明を行う。迂回手段60は、インナーブロック20に取り付けられた第1の案内部61と、移動板21の下端に取り付けられた付勢手段63によって付勢された第2の案内部62とを備えている。上面カバー50は、第1の案内部61によって持ち上げられるので、上面カバー50とインナーブロック20と接触することがなく、移動板21の外方から第2の案内部62の下側、第1の案内部61の上側を通ることで移動板21とインナーブロック20の間に架け渡されている。迂回手段60はこのように構成されているので、インナーブロック20の往復運動によって、上面カバー50とインナーブロック20とが干渉しないように構成されている。なお、上面カバー50は、開口部51よりも広幅に形成されており、側面カバー40の下方に開口部51に沿って配置することで開口部51を閉塞している。
【0018】
このように構成することで、本実施形態に係るアクチュエータ1は、駆動モータの回転によって、ねじ軸10の回転運動に伴って、インナーブロック20をねじ軸の軸方向に往復運動自在に取り付けられている。
【0019】
また、迂回手段60によって、インナーブロック20の移動軌跡に沿って形成される開口部51が上面カバー50による閉塞状態を常に維持することが可能となっているので、ねじ軸10とボールねじナット22との摺動部分や、ボールねじナット22とアウターレール80との摺動部分等から発生した粉塵が開口部51を介して外部に漏れ出すことがないようになっている。
【0020】
図3及び4に示すように、第1の端部部材31には、側面カバー40の着脱の際に上面カバー50と側面カバー40とが接触することを防止する姿勢保持手段70が形成されている。なお、第2の端部部材32にも第1の端部部材31に形成された姿勢保持手段70と対向するように同一形状の姿勢保持手段70が形成されている。
【0021】
姿勢保持手段70は、側面カバー40の上板41の基端側と接触する基点部71と、該基点部71から所定の角度だけ傾斜して延びる斜面72とを備えている。姿勢保持手段70は、側面カバー40を上板41の基端側を基点として側板42をねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させることで、側面カバー40の着脱の際に上面カバー50の損傷を防止している。
【0022】
即ち、図4に示すように、アウターレール80に取り付けられた側面カバー40は、上板41の基端側を基点として側板42をアウターレール80から離間する方向に向かってねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させると共に、上板41を斜面72と平行な位置まで回転させることで上板41と斜面72とが当接して側面カバー40の回転を制限している。このように構成することで、側面カバー40がねじ軸10と平行な回転軸周りに回転することによって、封止部43を上面カバー50から離間する方向に移動させることで上面カバー50の端部に水平成分の応力を低減させることができ上面カバー50の損傷を防止している。このように、斜面72は、上面カバー50の幅方向から所定の角度だけ傾斜すると共に、上板41がねじ軸10と平行な回転軸周りに回転した際に上板41と平行になるように延設されている。
【0023】
次に、図6を参照して、本実施形態に係るアクチュエータ1の側面カバーの取付方法について説明を行う。なお、側面カバー40の取り外しは、取付方法と逆の手順によって取り外すことができる。
【0024】
図6(1)に示すように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、側面カバー40を外した状態でアウターレール80の上方から固定ボルト84によって基台に締結固定される。その後、側面カバー40の上板41を斜面72に沿って摺動させるように、側面カバー40を挿入する。なお、側面カバー40は、インナーブロック20と重畳する位置では、インナーブロック20に形成された溝23に挿入され、溝底に突き当てるように組み付けられる。
【0025】
図6(2)に示すように、上板41の基端側と基点部71とが当接するまで側面カバー40を挿入した後、上板41の基端側を基点として側板42をねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させる。この回転に伴って、封止部43は、上面カバー50に近接する方向に移動するので、封止部43は、上面カバー50に不要な水平成分の応力を付与することがないので、上面カバー50の端部を損傷することなく上面カバー50に接触して開口部51を閉塞することができる。なお、側面カバー40は、インナーブロック20の溝23の溝幅の範囲を溝底と摺動しながら回転するので、側面カバー40の位置決めを容易に行うことができる。
【0026】
図6(3)に示すように、封止部43が上面カバー50を閉塞した状態で、締結ボルト81によって側板42をアウターレール80に締結固定する。
【0027】
このように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、側面カバー40を姿勢保持手段70を介してねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させることで、上面カバー50を損傷することなく、容易に側面カバー40を着脱することができ、側面カバー40を取り外した状態で本実施形態に係るアクチュエータ1の上方から基台に対して固定ボルト84によって締結固定することで、作業性を向上させるとともに、アクチュエータ1を大型化することなくコスト抑制を図ることができる。
【0028】
また、姿勢保持手段70は、側面カバー40の上板41の基端部を基点として側板42をねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させることができるので、上述した側面カバー40の回転動作を簡便な構成で確実に実現することができる。
【0029】
また、側面カバー40をねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させた際に、上板41と斜面72とが当接して側板42の回転を制限しているので、回転動作に伴って誤って上面カバー50に接触することを防止することができる。
【0030】
また、斜面72は、上板41と当接することで側面カバー40の回転を制限する制限部として機能するので、基点部71と斜面72とを一体に構成することができることによる取付作業性の向上及びコスト抑制に寄与することができる。
【0031】
[第2の実施形態]
以上説明した第1の実施形態に係るアクチュエータ1では、姿勢保持手段70を基点部71及び斜面72により一体に形成した場合について説明を行った。次に説明する第2の実施形態のアクチュエータは、第1の実施形態とは異なる形態を有する姿勢保持手段の実施例について説明を行うものである。なお、上述した第1の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータの端部部材の構成を説明するための一部分解斜視図であり、図8は、図7におけるL方向矢視図である。
【0033】
図7に示すように、本実施形態に係るアクチュエータ2の第1の端部部材31´には、図示しない第2の端部部材と対向する面に基点部としての支持案内ピン71´が突設されている。また、ピン71´から離間すると共に、第1の端部部材31´から突出するストッパ73が取り付けられている。
【0034】
図8に示すように、ストッパ73は、上述した第1の実施形態に係るアクチュエータ1と同様に側面カバー40をねじ軸10と平行な回転軸周りに回転させた際に、上板41の回転を制限する位置に取り付けられており、これによって第1の実施形態に係るアクチュエータ1の姿勢保持手段70と同様の作用効果を奏することができる。
【0035】
本実施形態に係るアクチュエータ2によれば、姿勢保持手段をピン71´とストッパ73とで構成しているので、ストッパ73の大きさを適宜変更することで、回転動作の範囲を微調整することができ、側面カバー40の着脱作業の作業性をより向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々の変更が可能である。例えば、第1及び第2の実施形態に係るアクチュエータ1,2では、軸部材及び移動部材について、ねじ軸10をボールを介してボールねじナットに組み付けた例について説明を行ったが、ねじ軸10は、ボールねじナットに対してボールを介さずに螺合することも可能である。
【0037】
また、第1及び第2の実施形態に係るアクチュエータ1,2では、軸部材及び移動部材について、ねじ軸10を採用した場合について説明を行ったが、ねじ軸に限らず、スプライン装置やリニアガイドなどといった種々の直線案内装置を採用することも可能である。
【0038】
また、第1及び第2の実施形態に係るアクチュエータ1,2において、封止部43は、磁石を用いた場合について説明を行ったが、上面カバー50と側面カバー40との閉塞を確実に行うことができれば、磁石を用いずに接触のみで閉塞しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0039】
1,2 アクチュエータ, 10 ねじ軸, 20 インナーブロック, 22 ボールねじナット, 31,31´ 第1の端部部材, 32 第2の端部部材, 40 側面カバー, 41 上板, 42 側板, 50 上面カバー, 51 開口部, 70 姿勢保持手段, 71,71´ 基点部, 72 斜面, 73 ストッパ, 80 アウターレール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8