特許第5746273号(P5746273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746273通信ステーション、作動方法及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746273
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】通信ステーション、作動方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20150618BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20150618BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
   H04W72/04 111
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-144168(P2013-144168)
(22)【出願日】2013年7月10日
(62)【分割の表示】特願2013-518540(P2013-518540)の分割
【原出願日】2011年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-3616(P2014-3616A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2013年7月10日
(31)【優先権主張番号】12/825,843
(32)【優先日】2010年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミニョン
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー,ロバート,ジェイ.
【審査官】 長谷川 篤男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−244840(JP,A)
【文献】 特開2006−222608(JP,A)
【文献】 Enhanced CCA for Non-Primary Channels Using Guard Innterval,doc.:IEEE802.11-10/0012r0,2010年 1月
【文献】 Legacy Coexistence - A Better Way?,doc.; IEEE 802.11-07/3001r0,2008年 1月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
H04W 72/04
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20MHzの帯域幅を有する主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネルの上で通信し、エネルギー検出(ED)技法に従ってチャネル評価を実行するように構成される送受信器であって、前記副次チャネルは、それぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の副次チャネルを含む、送受信器および
処理回路;
を具備する通信ステーションであって、
前記ED技法の一部として、前記処理回路は、或る手順を実行するように前記送受信器を設定し、前記手順は
コンテンション・ウィンドウの期間中において、近隣の無線LANからの20MHz帯域幅のデータ・ユニットの開始点が、20MHz帯域幅の前記主チャネル上において所定の第1のエネルギー・レベル以上で検出される場合、前記主チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第1のエネルギー・レベルは、CSMA/CAプロトコルの一部として実行されるDCF機能において使用されるエネルギー・レベルである、動作;および、
前記主チャネル前記ビジー状態であることを示す通知が発行されない場合であって、20MHz帯域幅の副次チャネルの中において所定の第2のエネルギー・レベル以上で、パケットの短いプリアンブルが検出され、かつ、それぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の副次チャネル上において所定の第3のエネルギー・レベル以上で20MHz帯域幅のデータ・ユニットのパケットのガード区間が検出された場合、副次チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第2のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、前記近隣の無線LANから現在無線送信中である前記パケットの前記短いプリアンブルを検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記第3のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、前記近隣の無線LANから現在無線送信中であるパケットのガード区間を検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記短いプリアンブルの検出と前記ガード区間の検出とは並行して実行される、動作;
することを特徴とする、通信ステーション。
【請求項2】
20MHz帯域幅の前記データ・ユニットは、20MHz帯域幅のPLCPプロトコル・データユニット(PPDU)である、請求項1記載の通信ステーション。
【請求項3】
通信ステーションによって実行される方法であって:
20MHzの帯域幅を有する主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネルの上で通信するように送受信器を構成する工程であって、前記副次チャネルは、それぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の副次チャネルを含む、工程;および、
エネルギー検出(ED)技法に従ってチャネル評価を実行する工程;を具備し、
前記ED技法の一部として:
コンテンション・ウィンドウの期間中において、近隣の無線LANからの20MHz帯域幅のデータ・ユニットの開始点が、20MHz帯域幅の前記主チャネル上において所定の第1のエネルギー・レベル以上で検出される場合、前記主チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第1のエネルギー・レベルは、CSMA/CAプロトコルの一部として実行されるDCF機能において使用されるエネルギー・レベルである、動作;および、
前記主チャネル前記ビジー状態であることを示す通知が発行されない場合であって、20MHz帯域幅の副次チャネルの中において所定の第2のエネルギー・レベル以上で、パケットの短いプリアンブルが検出され、かつ、それぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の前記副次チャネル上において所定の第3のエネルギー・レベル以上で20MHz帯域幅のデータ・ユニットのパケットのガード区間が検出された場合、副次チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第2のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、近隣の無線LANから現在無線送信中であるパケットの短いプリアンブルを検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記第3のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、前記近隣の無線LANから現在無線送信中であるパケットのガード区間を検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記短いプリアンブルの検出と前記ガード区間の検出とは並行して実行される、動作;
を実行することを特徴とする、方法。
【請求項4】
20MHz帯域幅の前記データ・ユニットは、20MHz帯域幅のPLCPプロトコル・データユニット(PPDU)である、請求項記載の方法。
【請求項5】
一の装置が内蔵する一つ以上のプロセッサによる実行のために、CPU実行可能命令を記憶しているコンピュータ読み出し可能記録媒体であって:
前記装置は、20MHzの帯域幅を有する主チャネルおよびそれぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の副次チャネルを含む最大で3本以上の副次チャネルの上で通信するように構成されることが可能であり、
前記CPU実行可能命令は、エネルギー検出(ED)技法に従ってチャネル評価を実行するように前記装置を設定し、
前記ED技法の一部として、前記一つ以上のプロセッサは:
コンテンション・ウィンドウの期間中において、近隣の無線LANからの20MHz帯域幅のデータ・ユニットの開始点が、20MHz帯域幅の前記主チャネル上において所定の第1のエネルギー・レベル以上で検出される場合、前記主チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第1のエネルギー・レベルは、CSMA/CAプロトコルの一部として実行されるDCF機能において使用されるエネルギー・レベルである、動作;および、
前記主チャネル前記ビジー状態であることを示す通知が発行されない場合であって、20MHz帯域幅の副次チャネルの中において所定の第2のエネルギー・レベル以上で、パケットの短いプリアンブルが検出され、かつ、それぞれの帯域幅が20MHzである一つ以上の前記副次チャネル上において所定の第3のエネルギー・レベル以上で20MHz帯域幅のデータ・ユニットのパケットのガード区間が検出された場合、副次チャネルビジー状態であることを示す通知を発行する動作であって、前記第2のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、近隣の無線LANから現在無線送信中であるパケットの短いプリアンブルを検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記第3のエネルギー・レベルは、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、前記副次チャネル上で、前記近隣の無線LANから現在無線送信中であるパケットのガード区間を検出するのに充分なエネルギー・レベルであり、前記短いプリアンブルの検出と前記ガード区間の検出とは並行して実行される、動作;
を実行するように設定されることを特徴とする、コンピュータ読み出し可能記録媒体。
【請求項6】
20MHz帯域幅の前記データ・ユニットは、20MHz帯域幅のPLCPプロトコル・データユニット(PPDU)である、請求項記載のコンピュータ読み出し可能記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、ワイヤレス通信に関係する。本発明に係る幾つかの実施形態は、例えば、多重チャネルを通じて、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)のPPDU(Protocol Data Unit)等のパケットを伝達する多重チャネル・ワイヤレス・ネットワークに関する。本発明に係る幾つかの実施形態は、IEEE802.11n標準およびIEEE802.11ac標準を含む複数のIEEE802.11標準のうちの1つに従って作動するワイヤレス・ネットワークおよびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス・ネットワークを通じて通信することに関する1つの問題は、基本サービス・セット(BSSs)が互いに隣接する複数のステーション同士の間における伝送の衝突である。従来は、例えばCSMA/CA(carrier-sense multiple-access with collision-avoidance)等の衝突回避プロトコルは、これらの衝突を減らすのを補助するために使用される。ワイヤレス・ネットワークが追加のチャネルを使用して通信することによって、より広いバンド幅を使用するほど、衝突が起きる可能性は増加する。これらの追加のチャネルは、主チャネルおよび一つ以上の副次チャネルを含むことができる。衝突は、特に主チャネルとして同じチャネルを使用しない複数の異なるネットワークに属するステーションによる伝送同士の間の問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、当該技術分野において必要とされるのは、衝突確率を低下させるのを助けることができる多重チャネル通信ステーションおよび方法である。さらに、当該技術分野において必要とされるのは、衝突確率を低下させるのを助けるために副次チャネル上の他のワイヤレス・ネットワークの伝送を検出することができる多重チャネル通信ステーションおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネルに通信するように構成される通信ステーションであって:コンテンション・ウィンドウ内で開始する前記副次チャネルのいずれか一つの上において一のパケット伝送を検出するために、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、短いプリアンブルの検出;および、前記副次チャネルのいずれか一つの上において一のパケット伝送のガード区間を検出するために、前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、ガード区間の検出;を実行するように構成され、前記短いプリアンブルの検出および前記ガード区間の検出は前記コンテンション・ウィンドウの期間中において、互いに同時並行して実行されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の幾つかの実施形態に従う隣接したワイヤレス通信ネットワークを例示する図
図2】本発明の幾つかの実施形態に従う一のチャネルおよび輻輳状況の認識に基づく技法(CCA)を例示する図
図3】本発明の幾つかの実施形態に従う非常に高いスループット(VHT)の通信ステーションの機能ブロック図を例示する図
図4A】本発明の幾つかの実施形態に従う衝突および衝突回避を例示する図
図4B】本発明の幾つかの実施形態に従う衝突および衝突回避を例示する図
図5】本発明の幾つかの実施形態に従って主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネルの上において多重チャネルPPDUを伝達するための手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明および図面は、本発明に係る複数の具体的な実施形態を当業者が実施することができるようにするために、十分に当該具体的な実施形態を例示する。本発明の他の実施形態は、構造的な、論理的な、および電気的な方法および本発明の実施形態に対するその他の変形を組み込むことが可能である。本発明の幾つかの実施形態の複数の部分および特徴は、他の実施形態の部分又は特徴の中に含まれることが可能である、またはこれらと置換されることが可能である。本発明に係る請求項に記載される実施形態は、それらの請求項に記載された実施形態と均等である全ての利用可能な均等物や均等技術を含む。
【0007】
図1は、本発明の幾つかの実施形態に従う、隣接したワイヤレス通信ネットワークを例示する。隣接したワイヤレス通信ネットワークは、例えば非常に高いスループット(VHT)BSS 100および高スループット(HT)BSS 110のような、2つ以上の基本サービス・セット(BSS)を含むことができる。VHT BSS 100はVHTアクセスポイント(AP)104および一つ以上のVHT通信ステーション(STA)102を含むことができる、そして、HT BSS 110は隣接したHT AP 114および一つ以上のHT通信ステーション(STA)112を含むことができる。VHT BSS 100は、IEEE 802.11acに従って作動するように構成されることができる。HT BSS 110は、IEEE802.11nに従って作動するように構成されることができる。
【0008】
VHT BSS 100は、主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネルを利用することができる。他方、HT BSS 110は、主チャネルおよび単一の副次チャネルを使用するように限定することも可能である。VHT通信ステーション102およびHT通信ステーション112は、アクセスを巡って競合することに対して、コンテンションに基づく衝突回避プロトコル(例えばCSMA/CAプロトコル)を利用することができる。
【0009】
VHT BSS 100によって利用される主チャネルがHT BSS 110によって利用される同一の主チャネルでないときに、VHT BSS 100によって利用される副次チャネルの中の一つ以上はHT BSS 110の主チャネル上に存在することが可能である。これは、結果的には、衝突が発生する可能性が増加することになるかも知れない。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態に従って、VHT通信ステーション102は主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネル上においてデータ単位(例えばPPDU)を通信するように構成されることができる、そして、HT通信ステーション112は主チャネルおよび最大で1本までの副次チャネル上においてPPDUを通信するように構成されることが可能である。VHT通信ステーション102は、VHT BSS 100の副次チャネル上においてパケットを検出することによって、HT通信ステーション112によって発生する場合がある衝突を減らすように構成されることが可能である。これらの実施例では、VHT通信ステーション102は、副次チャネルのいずれか一つにおいてパケット伝送を検出するために、コンテンション・ウィンドウの期間中において、短いプリアンブルの検出およびガード区間の検出を実行することが可能である。
本発明のこれらの実施形態は、以下において更に詳細に説明される。
【0011】
図2は、本発明の幾つかの実施形態に従うCCA技法を例示する。主チャネル208および最大で3本以上の副次チャネル210が、例えばVHT通信ステーション102(図1)のようなVHT通信ステーションによって使用されることが可能である。実施例に従って、VHT通信ステーション102は、ステーション(例えばコンテンション・ウィンドウ216の中で動作を開始するHT BSS 110(図1)のHT通信ステーション112(図1))からの副次チャネル210のいずれか一つの上でのパケット伝送を検出するために、コンテンション・ウィンドウ(CW)216の期間中において、短いプリアンブルの検出(PD)202を実行することが可能である。VHT通信ステーション102は、副次チャネル210のいずれか一つの上におけるパケット伝送のガード区間を検出するために、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において、ガード区間の検出(GD)204を実行することも可能である。短いプリアンブルの検出202およびガード区間の検出204は、コンテンション・ウィンドウ216の間、並行して実行されることができる。ガード区間の検出204および短いプリアンブル検出202は、例えば、肯定応答(ACK)パケット212の後に提供される分散協調機能(DCF)のフレーム間間隔(DIFS)214の後に実行される。VHT BSS 100(図1)のAP 104によって、または、通信ステーションからデータパケットの以前の受信に対して肯定応答を返しているHT BSS 110のAP 114によって、ACKパケット212は送信されている可能性がある。ACKパケット212は、通信ステーションの1つによって送信されている可能性もある。
【0012】
コンテンション・ウィンドウ216において開始している信号を検出するために副次チャネル210上において短いプリアンブルの検出202を実行する追加機能によって、VHT通信ステーション102が隣接したBSS(例えばHT BSS 110)のチャネル上におけるパケット伝送を検出することが可能となる。従来技術においては、CSMA/CAプロトコルの一部として信号を検出するために実行されるエネルギー検出とは異なり、短いプリアンブルの検出202およびガード区間の検出204は、エネルギー検出技術によっては検出することが出来ないパケットを検出することが出来る可能性がある。例えば、短いプリアンブルの検出202およびガード区間の検出204は、エネルギー検出技術におけるエネルギー検知閾値を充分に下回るレベルにおいて(例えば、最大で20dB以上は下回るレベルにおいて)パケットを検出することが可能である。そして、副次チャネルに関しては、従来技術との対比において、約62dBのマイナスである。
【0013】
短いプリアンブルの検出202またはガード区間の検出204によって、副次チャネル210の中の1本において検出されるパケット伝送は、隣接したHT BSS 110のHT通信ステーション112の信号伝送である可能性もある。隣接したHT BSS 110の主チャネルは、VHT BSS 100の副次チャネル210のうちの1本の上に共配置されている可能性もある。
【0014】
VHT通信ステーション102は、最高で毎秒1ギガ・ビット(Gbps)およびそれより大きな転送速度を提供するために、主チャネル208および最大で3本以上の副次チャネル210を利用することが可能である。転送速度は、バンド幅の使用量に加え、使用するアンテナの本数に依存する可能性がある。したがって、転送速度は、HT通信ステーション(例えばHT通信ステーション112)の転送速度より著しく大きくなる可能性もある。主チャネル208は、20MHzのバンド幅を有する可能性があり、3本の2次チャネル210が使われるときに、最大で80MHzまでの使用バンド幅を提供するために、副次チャネル210の各々は20MHzのバンド幅を有することができ、そして、さらに最大で4本の副次チャネル(図示されない)が使われる場合には、最大で160MHzの使用バンド幅が提供され得る。他方、本発明の実施形態を、HT通信ステーション112は、単一の主チャネルおよび単一の副次チャネルを使用するように限定することも可能である。
【0015】
短いプリアンブルの検出202は、パケットの始まりを示している短いプリアンブルを備える予め定められたシーケンスの検出を含むことができる。ガード区間検出の204は、一つのパケットに関する一つ以上のフレームの中においてOFDMシンボルの巡回プリフィックスに対応する反復するパターンを検出するための相関処理(例えば、自己相関)を含むことが可能である。ガード区間の検出204による巡回プリフィックスの検出は、当該一つのパケットの中における有効なフレームを示すことができる。
【0016】
短いプリアンブルの検出202は、コンテンション・ウィンドウ216のタイムスロット内において開始する副次チャネル210のいずれか一つの上においてパケット・プリアンブルを検出するために実行されることができる。短いプリアンブルの検出202は、コンテンション・ウィンドウ216の一つのタイムスロットの期間内に完了するように構成される。本発明のこれらの実施形態では、コンテンション・ウィンドウ216は、複数のタイムスロットから構成されることが可能である。短いプリアンブルの検出202は、これらのタイムスロットの中の任意の一つ以上の期間内において実行することも可能であり、当該検出を開始したタイムスロットの期間内において、完了する可能性もある。短いプリアンブルの検出202は、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において、連続的に短いパケット・プリアンブルを探索するように構成されることが可能である。
【0017】
ガード区間の検出204は、点協調機能(PCF)のフレーム間間隔(PIFS)206の区間内において実行されることが可能であり、その実行の時点は、例えばCSMA/CAプロトコルのようなコンテンションに基づく衝突回避プロトコルのバックオフ・カウンタが満了する直前である。ガード区間の検出204または短いプリアンブルの検出202が副次チャネル210の中の1本の上において、パケット伝送を検出した場合に、副次チャネル210は、「ビジー状態にある副次チャネル」として指定される。ガード区間の検出204および短いプリアンブルの検出202が副次チャネル210の中の1本の上において、パケット伝送を検出することに失敗した場合、副次チャネル210は、「アイドル状態にある副次チャネル」として指定される。
【0018】
VHT通信ステーション102は、「ビジー状態にある副次チャネル」として指定される副次チャネル210のいずれか一つにおいて伝送することを抑制するように構成されることも可能である。主チャネル208がアイドル状態にあるときに、VHT通信ステーション102は主チャネル208上のPPDUおよび「アイドル状態にある副次チャネル」として指定される副次チャネル210の任意の一つ以上の上において伝送するように構成されることも可能である。主チャネル208および副次チャネル210の少なくとも1つの上において伝送されるPPDUは、多重チャネルPPDUと呼ばれてもよい。
【0019】
VHT通信ステーション102は、1本の主チャネル208および3本の副次チャネル210の上において通信することができる。本発明に係る幾つかの他の実施形態においては、VHT通信ステーション102は、1本の主チャネル208および7本の副次チャネル210の上において通信することができる。
【0020】
主チャネル208がアイドル状態にあるか又はビジー状態にあるかを判定するために、VHT通信ステーション102は、主チャネル208上において、エネルギー検出、短いプリアンブルの検出202およびガード区間の検出204を実行するように構成される。エネルギー検出は、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において、主チャネル208の信号レベルを測定することによって実行されることが可能である。短いプリアンブル検出の202は、主チャネル208上におけるパケット伝送を検出するために、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において、実行されることが可能である。ガード区間の検出204は、主チャネル208上においてパケット伝送のガード区間を検出するために、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において、実行されることが可能である。このようにして、VHT通信ステーション102は、主チャネル208がアイドル状態であるかビジー状態であるかを判定することができる。本発明のこれらの実施形態では、主チャネル208において実行されるエネルギー検出、短いプリアンブル検出202およびガード区間の検出204の実行は、副次チャネル210において実行されるガード区間の検出204および短いプリアンブルの検出202の実行と並行して、コンテンション・ウィンドウ216の期間中において共に実行されることができる。主チャネル208がDIFS 214に加えてコンテンション・ウィンドウ216を含む期間に渡ってアイドル状態であると判定される場合に、VHT通信ステーション102は主チャネル208および「アイドル状態にある副次チャネル」として指定される副次チャネル210のいずれかの上においてパケットを送信することが可能である。
【0021】
VHT通信ステーション102は、主チャネル208に対するアクセスのために、主チャネル208上のDCFを使用するCSMA/CAプロトコルを実行して、、例えばCSMA/CAのような衝突回避プロトコルを、副次チャネル210上において実行することを抑制するように構成されることも可能である。本発明のこれらの実施形態では、衝突回避プロトコルは、主チャネル208において実行され、副次チャネル210においては実行されない。
【0022】
VHT通信ステーション102は、IEEE802.11acに従って転送速度が20MHzである主チャネル208および各々の転送速度が20MHzである最大で3本以上の副次チャネル210の上においてアクセスポイント104を使用して通信するように構成される。本発明のこれらの実施形態では、主チャネル208は、CSMA/CAプロトコルを実行するために使用されると同時に、アクセスポイント104を使用してデータパケット(例えばPPDUs)を通信するために使用される。副次チャネル210の一つ以上は、主チャネル208と共に、多重チャネル・データパケット(例えば多重チャネルPPDUs)を通信するために使用されることが可能である。例えば、複数のチャネルが複数の20MHzチャネルである場合において、VHT通信ステーション102が主チャネル208だけを使用するならば、20MHzのPPDUを通信することが可能である。VHT通信ステーション102が主チャネル208および副次チャネル210の中の一つを使用するならば、40MHzの多重チャネルPPDUを通信することが可能である。VHT通信ステーション102が主チャネル208および副次チャネル210の中の2本を使用するならば、60MHzの多重チャネルPPDUを通信することが可能である。VHT通信ステーション102が主チャネル208および副次チャネル210の中の3本を使用するならば、80MHzのマルチチャネルPPDUを通信することが可能である。VHT通信ステーション102が主チャネル208および最大でさらに4本の副次チャネル(図示されない)を使用するならば、最大で160MHzまでの多重チャネルのPPDUを通信することが可能である。多重チャネルPPDUに関しては、多重チャネルPPDUによって利用される各々20MHzずつの各チャネル上において、別個の情報が送信されることが可能である。
【0023】
本発明のこれらの実施形態において、HT BSS 110はIEEE 801.11nに従って通信するように構成され、それは通信するために、1本の主チャネルおよび1本の副次チャネルを使用する。短いプリアンブルの検出202またはガード区間の検出204によって副次チャネル210において検出されるパケットは、HT BSS 110(図1)の主チャネルまたは副次チャネルのいずれの上で伝送されたものであってもよい。したがって、隣接したBSSとの衝突は、減らされることが可能であり、場合によっては、完全に排除されることが可能である。各BSSは、IEEE802.11acステーションおよびIEEE802.11nステーションの両者に関して同一の主チャネルを使用することができ、ステーションはそれら自身のBSSの主チャネル上においてパケット伝送を容易に検出することができるので、同一のBSSにおける複数のステーション同士の間における衝突は通常ならば問題ではない点に留意されたい。同一のBSSにおいて、IEEE802.11nステーションおよびIEEE802.11acステーションは同一の主チャネルを使用するので、それらは副次チャネル上で検知されない伝送によって引き起こされる衝突問題が発生しないような互いの伝送を検出することが可能である。
【0024】
図3は、本発明の幾つかの実施形態に従うVHT通信ステーションの機能ブロック図を例示する。VHT通信ステーション300は、とりわけ、空間的な多様性のあるアンテナ311を介して信号を受信するためのフロントエンドの回路310、短いプリアンブルの検出モジュール302、ガード区間の検出モジュール304、論理OR演算回路306および媒体アクセス制御(MAC)層回路308、を含むことができる。VHT通信ステーション300はVHT通信ステーション102(図1)としての用途に適していてもよいし、さらに他の構成態様においても適切であり得る。
【0025】
短いプリアンブル検出のモジュール302は、受信したデータ・サンプル301上において、短いプリアンブルの検出202(図2)を実行するように構成されることが可能である。ガード区間の検出モジュール304は、受信したデータ・サンプル301上において、ガード区間の検出204(図2)を実行するように構成されることが可能である。主チャネル208(図2)および各々の副次チャネル210(図2)がビジー状態またはアイドル状態のいずれか一方の状態であることを示すために、論理OR演算回路は、チャネル・ビジー状態またはチャネル・アイドル状態のいずれか一方を示す状態表示307をMAC層回路308に提供するように構成されることが可能である。本発明のこれらの実施形態では、論理OR演算回路306は、主要チャネル208および副次チャネル210の各々に関して、短いプリアンブルの検出202およびガード区間の検出204から検出出力を受信し、チャネル・ビジー状態またはチャネル・アイドル状態のいずれか一方を示す状態表示307をMAC層回路308に対して提供するように構成されることが可能である。論理OR演算回路306は、MAC層回路308が、主チャネル208および副次チャネル210の各々を、アイドル状態またはビジー状態のいずれか一方であると指定することを可能にすることができる。
【0026】
VHT通信ステーション300は、主チャネル208および最大で3本以上の副次チャネル210を通じて並行して複数のデータ・ストリームを伝送するために、複数の空間的に多様なアンテナ311を用いたMIMO通信技法を実施することが可能である。本発明のこれらの実施形態では、VHT通信ステーション300は、複数のアンテナ311の中の一つだけを使用して、副次チャネル210上において、ガード区間の検出204および短いプリアンブルの検出202を実行するように構成されることが可能であるけれども、この事は、本発明における必須の要件ではない。何故なら、VHT通信ステーション300は、副次チャネル210上において、ガード区間の検出204および短いプリアンブルの検出202を実行するために、複数のアンテナ311の中の最大で4本以上を利用することも可能だからである。
【0027】
VHT通信ステーション300が幾つかの別々の機能要素を有することとして例示するにもかかわらず、機能要素の一つ以上は、互いに統合され、およびソフトウェアにより設定される回路要素(例えばデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を含む演算処理装置)および/または他のハードウェア素子との組合せによって実装することが可能である。例えば、幾つかの機能要素は、一つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、ラジオ波放電集積回路(RFICs)および少なくとも本願明細書において記載されている機能を実行するための様々なハードウェアおよび論理回路の組合せから成ることができる。さらに、VHT通信ステーション300の機能要素とは、一つ以上の演算処理装置上において動作している一つ以上の方法を指して言うことも可能である。
【0028】
VHT通信ステーション300は、例えば、無線通信機能を有するパーソナル携帯情報機器(PDA)、ラップトップ型コンピュータまたはポータブル型コンピュータ等の可搬型のワイヤレス通信装置、スマートフォン、ウェブ・タブレット、無線電話、無線ヘッドセット、ポケットベル、インスタントメッセージング・デバイス、デジタル・カメラ、アクセスポイント、テレビジョン、医療装置(例えば、心拍数モニタ、血圧監視装置、その他)または無線で情報を受信および/または送信することができる他のデバイスとすることも可能である。
【0029】
VHT BSS 100の中で作動しているVHT通信ステーション300は、主チャネル208および副次チャネル210を含む自身の各チャネルの上において、直交周波数分割多重化通信シグナル(OFDM)を伝送するように構成されることが可能である。HT BSS 110(図1)は、自身の各チャネルの上においてOFDM通信信号を伝送するように構成されることも可能である。OFDM信号は、互いに直交する複数の副搬送波の上において変調される複数のシンボルを備えることが可能である。各チャネルは、これら互いに直交する所定の個数の副搬送波を備えることが可能である。本発明に係る幾つかの例示的な実施形態においては、各チャネルは52個の副搬送波を備えることが可能であるが、これは本発明に必須の要件ではない。
【0030】
アンテナ311は一つ以上の指向性の、又は全方向性のアンテナを備えることが可能であり、例えば、ダイポール・アンテナ、モノポール・アンテナ、パッチ・アンテナ、ループ・アンテナ、マイクロストリップ・アンテナまたはRF信号の伝送に適している他のタイプのアンテナを含む。2本以上のアンテナの代わりに、多重開口を有する単一アンテナを使用することも可能である。本発明のこれらの実施形態において、各開口は、別々のアンテナとみなすことが可能である。本発明に係る幾つかのマルチ入力・マルチ出力(MIMO)型の実施形態において、複数のアンテナ311の各々とVHTアクセスポイント104(図1)との間に結果として生じる可能性がある空間ダイバーシティおよび互いに異なるチャネル特性を有効活用するために、複数のアンテナ311は、効果的に分離されることが可能である。複数のアンテナ311は、最大で一波長の1/10又はそれ以上の波長だけ分離されることが可能である。
【0031】
図4Aおよび図4Bは、本発明の幾つかの実施形態に従って衝突の発生および衝突の回避を図示する。図4Aおよび図4Bにおいて図示したように、VHT BSS 100のVHT通信ステーション102(図1)は、主チャネル208および最大で3本までの副次チャネル210の上において通信することが可能であり、これらの副次チャネルは、副次チャネル210A、副次チャネル210Bおよび副次チャネル210Cとして図示されている。HT BSS 110(図1)のHT通信ステーション112は、主チャネル408および副次チャネル410の上において通信することが可能である。この例では、そのHT通信ステーション112によって使用される主チャネル408は、VHT通信ステーション102によって使用される副次チャネル210Bと同時に生成される。HT通信ステーション112によって使用される副次チャネル410は、VHT通信ステーション102によって使用される副次チャネル210Cと同時に生成される。
【0032】
図4Aにおいて図示したように、VHT通信ステーション102は、主チャネル208および3本の副次チャネルの全て210A(および210B、210C)の上において80MHzの多重チャネルPPDU伝送を完了した直後であることが可能であり、それは各チャネル確認応答パケット412に承認されることになるだろう。VHT通信ステーション102が送信すべき追加のデータを有する場合、主チャネル208がアイドル状態にあるかまたはビジー状態にあるかを判定するために、VHT通信ステーション102は、DIFS 214とコンテンション・ウィンドウ216とを併せた期間中に渡って、主チャネル208を延期し、検出する動作から開始することができる。
【0033】
上述したように、VHT通信ステーション102は、3本の副次チャネル210A、210Bおよび210Cを検出することも可能である。隣接したHT BSS 110のHT通信ステーション112がVHT通信ステーション102の以前の伝送が終了したことを知っているので、HT通信ステーション112はDIFS 214とコンテンション・ウィンドウ416とを併せた期間中に渡って延期してから媒体にアクセスしようとすることも可能である。この例では、HT通信ステーション112のコンテンション・ウィンドウ416は、(例えば、ランダムなバックオフに起因して)VHT通信ステーション102のコンテンション・ウィンドウ216より時間スロット一個分だけ少ない。
【0034】
少なくとも一部のチャネルがアイドル状態である旨をHT通信ステーション112が判定する場合、それは主チャネル408および副次チャネル410上において多重チャネルPPDU 414を送信することができる。そして、それらのチャネルは、VHT通信ステーション102によって利用される副次チャネル210Bおよび210Cに対応する。パケット伝送のためのCCAを完了するのに10乃至14マイクロ秒の所要時間を要するので、VHT通信ステーション102が副次チャネル210において短いプリアンブルの検出202を実行しない場合、VHT通信ステーション102は、最も遅い場合でも、そのコンテンション・ウィンドウ216の最後の時間スロット218よりも時間スロット一個分以上前に遡ってガード区間の検出204を開始しなければならない。しかしながら、この例では、HT通信ステーション112によって送信される多重チャネルPPDU 414はVHT通信ステーション102のコンテンション・ウィンドウ216の最後の時間スロット218から開始する。従って、それは信頼性が高い信号検知のためのGD CCA検出時間と完全には重複しない。このように、VHT通信ステーション102は、コンテンション・ウィンドウ216の最後の時間スロット218から開始し、HT通信ステーション112によって送信される多重チャネルPPDU 414を検出することに失敗する。その結果、VHT通信局102は副次チャネル210A、210Bおよび21Cがアイドル状態であると確信し、4本の全てのチャネル(208、210A、210B、210C)の上において多重チャネルPPDU 418を送信する可能性がある。そして、当該送信はHT通信ステーション112のPPDU 414の伝送と衝突する。この例では、副次チャネル210Bまたは210Cの信号レベルがエネルギー検出閾値レベル以下にあるけれども、短いプリアンブルまたはガード区間の検出レベルを上回っていると仮定される。
【0035】
図4Bにて図示したように、VHT通信ステーション102がコンテンション・ウィンドウ216の期間中において、短いプリアンブルの検出202(図2)およびガード区間の検出204(図2)を実行する場合、HT通信ステーション112のPPDU 414が検出される可能性があり、それは、VHT通信ステーション102が副次チャネル210Bおよび210Cをビジー状態にあると指定するという結果を引き起こす。その結果、VHT通信ステーション102は主チャネル208および副次チャネル210A上において多重チャネルPPDU 419を送信することが可能となり、結局、PPDU 414との衝突を回避することになる。この例では、短いプリアンブルの検出202が副次チャンネル210A、210Bまたは210Cの中の1つの信号を検出するためにわずか約4マイクロ秒しか要しないので、短いプリアンブルの検出202はVHT通信ステーション102のコンテンション・ウィンドウ216の最後のタイムスロット内において完了することが可能となる。
【0036】
短いプリアンブルの検出202を実行することは、送信されたフレームに対する迅速なタイミング同期を成し遂げるために使用しても良く、そのような工夫は、副次チャネル210上において送信されるOFDMシンボルのガード区間の位置を識別するのを助ける目的で用いることができる。ガード区間についての知識は、誤った検出の確率を低下させる。その結果、ガード区間の検出を単独で使用した場合と比較して、プリアンブルの検出に続いてガード区間の検出を実行した方が、達成することが可能な検出感度が増大する。これらの実施例では、PPDUの予め定められた構造は、短いトレーニングフィールド(STF)、それに後続する長いトレーニングフィールド(LTF)、およびさらに後続するOFDMシンボルを含むことができる。各OFDMシンボルは、ガード区間を有することができる。本発明に係るこれらの実施例では、(例えば、短いトレーニングフィールドを識別することによって)短いプリアンブルの検出モジュール302がPPDUの始まりを識別する際に、ガード区間の検出モジュール304はPPDUのガード区間が発生する可能性の高い箇所を識別するように構成されることが可能であり、それによって、長いトレーニングフィールドに後続するガード区間を検出するための感度を改善する。短いプリアンブルの検出モジュール302は、短いプリアンブル(例えば短いトレーニングフィールド)を自分が検出したという表示を、ガード区間の検出モジュール304に対して提供することが可能である。
【0037】
一般的には、HT BSS 110のHT通信ステーション112は、信号の伝送を検出するために、自身の副次チャネル410のエネルギー検出を実行するだけである。何故なら、その方が技術的構成が複雑にならずに済むからである。その結果、HT通信ステーション112は、自身の副次チャネル410上において、例えばVHT BSS 100のような隣接したBSSのステーションからの一部の伝送を検出することに失敗する場合があり、これは、副次チャネル410上における衝突が増加する結果を生じる。HT BSS 110は、単一の副次チャネル410だけを利用するので、性能劣化はVHT BSS 100に関する場合よりも許容することができ、3本から7本の間の本数の副次チャネル210を使用する。しかしながら、VHT BSS 100のVHT通信ステーション102が、自身の副次チャネル210上において、伝送を検出することに失敗した場合、ネットワーク性能が著しく減損させられる可能性がある。従って、本願明細書において開示される改良された伝送検出技法は、VHT通信ステーション102にとって、中でも特に、IEEE802.11acに従って作動するように構成されるVHT通信ステーションにとって、より重要である可能性がある。
【0038】
図5は、本発明の幾つかの実施形態に従って主チャネルおよび最大で3本以上の副次チャネル上において多重チャネルPPDUを通信するための手順である。手順500は、例えばVHT通信ステーション102(図1)のようなVHT通信ステーションによって実行されることが可能である。
【0039】
ステップ502は、コンテンション・ウィンドウの期間中に開始する副次チャネルのいずれか一つ上においてパケット伝送を検出するために、コンテンション・ウィンドウの期間中において、短いプリアンブルの検出を実行する動作を具備する。
【0040】
ステップ504は、副次チャネルのいずれか一つ上においてパケット伝送に関するガード区間を検出するために、コンテンション・ウィンドウの期間中において、ガード区間の検出を実行する動作を具備する。短いプリアンブルの検出およびガード区間の検出は、コンテンション・ウィンドウの期間中において、互いに同時並行して実行されることが可能である。
【0041】
ステップ506は、ガード区間の検出または短いプリアンブルの検出のいずれか一方が副次チャネル上においてパケット伝送を検出する際に、副次チャネルをビジー状態にあると指定する動作を具備する。
【0042】
ステップ508は、ガード区間の検出および短いプリアンブルの検出の両者がパケット伝送の検出に失敗した際に、副次チャネルをアイドル状態にあると指定する動作を具備する。ステップ510においては、VHT通信ステーションは、主チャネルおよびアイドル状態にある一つ以上の任意の副次チャネルの上において、多重チャネルPPDUを自由に送信することが可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5