特許第5746326号(P5746326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746326
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】気体圧縮乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   F28D7/16 B
   F28D7/16 D
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-509409(P2013-509409)
(86)(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公表番号】特表2013-526695(P2013-526695A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】BE2011000028
(87)【国際公開番号】WO2011140616
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2013年7月31日
(31)【優先権主張番号】2010/0284
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン スティジュン ジョセフ リタ ジョハンナ
(72)【発明者】
【氏名】パーネル ウウェ
(72)【発明者】
【氏名】ブリエルス クリストフェ
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−152726(JP,A)
【文献】 特開2002−022371(JP,A)
【文献】 実開平02−045128(JP,U)
【文献】 実開昭56−033479(JP,U)
【文献】 実開昭59−186671(JP,U)
【文献】 実開昭54−084655(JP,U)
【文献】 特公昭36−011154(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧段階(30)と、高圧段階(32)と、圧力パイプ(39)と、乾燥領域(41)及び再生領域(40)を有する吸収乾燥器(27)と、を備えた多段階式コンプレッサを内部に含み、インタークーラー(34)が前記低圧段階(30)と高圧段階(36)との間に配置され、前記圧力パイプ(39)によって入口部(9)に連結された熱交換機(1)を備えた、気体圧縮乾燥装置において、
前記熱交換器(1)が、主区画室(7)中に行き渡って伸びている複数のチューブ(13)を超えて若しくはそれらの周囲を通って該主区画室に案内されて来る第1流体のための前記入口部(9)及び出口部(10)を備えた主区画室(7)を始め、幾つかの区画室を有するハウジングを備え、
前記主区画室(7)中に行き渡って伸びている複数のチューブ(13)の群を少なくとも2つ(11及び12)備え、該チューブ群の各々は、第2又は第3流体を該主区画室中に案内することによって前記第1流体と熱交換するためのものであり、
前記複数のチューブの端部が、チューブ群(11及び12)の各々に用いられる入口区画室(14及び16)と出口区画室(15及び17)とに分断されたそれぞれの区画室に連結され、
前記チューブ群のうち第1の群(12)が上記インタークーラー(34)の冷却回路を構成し、しかも該冷却回路が前記熱交換器(1)の第1冷却回路に相当し、
前記チューブ群のうち第2の群(11)が上記熱交換器(1)の第2冷却回路を構成し、
前記チューブ群のうち第2の群(11)の入口区画室(14)が枝パイプ(38)を介して直に前記高圧段階(32)の出口パイプ(39)に連結され、
前記吸収乾燥器(27)の再生のための前記高圧段階(32)からの気体を加熱するために、前記チューブ群のうち第2の群(11)の出口区画室(15)が前記吸収乾燥器(27)の前記再生領域(40)に連結されている、
ことを特徴とする気体圧縮乾燥装置。
【請求項2】
前記主区画室(7)が多くの第1流体のための多くの入口部及び出口部(9及び10)を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記主区画室(7)が2つのエンドプレート(6)と境界を有し、該主区画室(7)のいずれの側にも、エンドプレート(6)とそれに対するカバー(4)との間に2つのサイド区画室を形成するためのカバー(4)を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のチューブ(13)が前記複数のエンドプレート(6)に締結されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記サイド区画室(8)が前記入口部及び出口部(14乃至17)を含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記サイド区画室(8)が2つ又はそれ以上のサブ区画室(19)に細区分されていて、少なくとも前記第2及び第3流体のための少なくとも2つの別々の回路を構成するために、前記主区画室(7)の両側のそれぞれのサブ区画室(19)が、複数のチューブ(13)による2つの群(11及び12)によって連結されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記主区画室(7)が、第1流体のための入口部と出口部(9と10)との間にバッフル(20)を備えていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記熱交換機(1)が2つ以上のさらなる流体を処理するように装備し、前記主区画室(7)の両側に設けた前記各々のサイド区画室(8)が仕切り(18)によって上記の入口区画室及び出口区画室(14,15,16及び17)、すなわち、第2流体を案内するための複数のチューブ(13)による第1の群(11)に連結した第1入口区画室及び第1出口区画室(14及び15)と、第3流体を案内するための複数のチューブ(13)による第2の群(12)に連結した第2入口区画室及び第2出口区画室(16及び17)とに、細区分されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記複数の仕切り(18)と複数のエンドプレート(6)との間に密閉部材(23)を備えていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のチューブの第1群(11)と第2群(12)との間に空間(24)を備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記の第1群及び第2群(11及び12)の複数のチューブ(13)が一つの円のセクターの全域に亘って分配されていることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
前記複数のチューブ(13)が同心上に配置された形で分配され、該複数のチューブの第1群(11)が一つの円内に位置し、該複数のチューブの第2群(12)が前記円の周りの一つのリング内に位置することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
前記熱交換器(1)の入口部及び出口部(9及び10)が、主区画室(7)と境界を成すシェル(3)の側にあることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
前記第1入口区画室及び第1出口区画室(14及び15)が前記熱交換器(1)の逆側に配置され、前記第2入口区画室及び第2出口区画室(16及び17)が前記熱交換器(1)の同じ側に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体圧縮乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューブ式の熱交換器はすでに幾つも知られていて、それらが構成するハウジングの内部においては、1つ以上のチューブが、第1流体のための第1入口部及び出口部と、第2流体のための第2入口部及び出口部との間を、長手方向に延伸していて、該第1流体は該チューブを貫通して流れ、第2流体は該チューブの周囲を流れ、そのことによって、2つの流体の間で熱の移動を行うものである。
【0003】
公知の熱交換器においては、前記ハウジングの第2入口部と第2出口部との間のスペースには、第2流体の流れを、例えばジグザグに案内する複数のバッフルを設けることが出来る。
【0004】
そのような構成にすると、前記第2流体は第2入口部から第2出口部に真直ぐに流れることが出来ないので、熱移動が向上する。
【0005】
さらに、気体を圧縮することは多量の熱の発生を伴うことが知られている。
【0006】
また、別のタイプの熱交換器としては、圧縮気体の一部を熱交換機の第1回路を通るように案内し、その熱を、該熱交換器の第2回路を通って流れる別の気体又は液体に与える
ようにしたものも知られている。
【0007】
コンプレッサ装置と乾燥装置から成り且つ該乾燥装置が乾燥剤と再生領域とを備えた乾燥領域によって構成された気体圧縮乾燥装置は公けに知られて久しい。
【0008】
また、気体の圧縮によって生じる熱を再生させる装置もある。
【0009】
従って、この熱は、該コンプレッサ設備のエネルギー消費を全体的に減少させることが出来るように、例えば、再生領域を通るように案内される気体を加熱するのに用いることが出来る。
【0010】
その場合の不利な点は、設備構成が全体的に複雑になることである。さらに、連結部が数多くあることにより、漏れのリスクがかなりある。また、設備コストも極めて高額になってしまう。
【0011】
米国特開2003/0188542に記載された装置においては、圧縮された気体の一部を、コンプレッサの中間圧力段階の後で分岐させ、そして吸収乾燥器の再生領域へ運び、その後、その圧縮空気のこの部分に吸収された水分を冷却によって取り除き、そして残りの空気を該圧縮空気の主流によって再度圧縮し、その後、該主流は吸収乾燥器の乾燥領域を通って流れ、乾燥した圧縮空気として該装置を出て行く。
【0012】
そのような装置の欠点は、前記中間圧力段階の後の圧縮気体が、低圧段階の後の圧縮気体よりもずっと低い温度であるため、分岐した部分の気体は、吸収媒体から吸収できる水分がより少なくなり、従って、該吸収媒体を素早く乾燥させることが出来ないということである。
【0013】
気体の圧縮によって発生する熱を回復させるために、熱交換器が必要であり、そのため、チューブ式の熱交換器がしばしば用いられる。
【0014】
チューブ式の熱交換器はすでに幾つも知られていて、それらが構成するハウジングの内部においては、1つ以上のチューブが、第1流体のための第1入口部及び出口部と、第2流体のための第2入口部及び出口部との間を、長手方向に延伸していて、該第1流体は該チューブの周囲を流れ、該第2流体は該チューブを貫通して流れ、そのことによって、2つの流体の間で熱の移動を行うものである。
【0015】
公知の熱交換器においては、前記ハウジングの第2入口部と第2出口部との間のスペースには、第1流体の流れを、例えばジグザグに案内する複数のバッフルを設けることが出来る。
【0016】
そのような構成にすると、前記第1流体は第2入口部から第2出口部に真直ぐに流れることが出来ないので、熱移動が向上する。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、上記の欠点及び/又はその他の欠点の一つ以上について解決を与えることにあり、それは、低圧段階と、高圧段階と、圧力パイプと、乾燥領域及び再生領域を有する吸収乾燥器と、を備えた多段階式コンプレッサを内部に含み、インタークーラーが前記低圧段階と高圧段階との間に配置され、前記圧力パイプによって入口部に連結された熱交換機を備えた、気体圧縮乾燥装置において、
前記熱交換器が、主区画室中に行き渡って伸びているチューブを越えて若しくはそれらの周囲を通って該主区画室に案内されて来る第1流体のための前記入口部及び出口部を備えた主区画室を始めとする多くの区画室を有するハウジングを備え、
前記主区画室中に行き渡って伸びている複数のチューブの群を少なくとも2つ備え、該チューブ群の各々は、第2又は第3流体を該主区画室中に案内することによって前記第1流体と熱交換するためのものであり、
前記吸収乾燥器の再生のための前記高圧段階からの気体を加熱するために、前記チューブ群のうち第1の群が上記インタークーラーの冷却回路を構成する、
ことを特徴とする気体圧縮乾燥装置を提供することによって実現するものである。
【0018】
この装置の有利な点は製造するのが非常に簡単ということである。
【0019】
この装置の熱交換器の最も簡単な実施例においては、主区画室の一方の側が一つのエンドプレートによって閉鎖されていて、さらに該主区画室の前記の側に沿って一つのカバーを設けることによって該カバーと該エンドプレートとの間に一つのサイド区画室を形成し、このサイド区画室は第2及び第3流体のための入口区画室及び出口区画室を含み、複数のU字型のチューブが該エンドプレートに締結されている。
【0020】
別のより好ましい実施例においては、該主区画室はその両側でエンドプレートと境界を成し、そのいずれの側においても、それぞれのエンドプレートとそれに対するカバーとの間で2つのサイド区画室を形成するためのカバーを備えている。
【0021】
この実施例の有利な点は、結合部が不完全な場合の漏れのリスクを最小限に抑えられるように、結合しなければならない部分がより少ないことである。
【0022】
この実施例のもう一つの有利な点は、この装置の設備コストが低額で済むことである。それ故、この装置において本発明による熱交換器を用いることは、気体を圧縮し乾燥させるためのより効率的な方法となり、当然のことながら、供給される気体の費用という面でも好都合である。
【0023】
結局、気体を圧縮し乾燥させるためのそのような装置に本発明による熱交換器を適用することによって、2つの熱交換器の機能を単一の熱交換器の中に一体化させることが出来、当然のことながら材料費を節減することが出来ることは明らかである。
【0024】
最も実際的な実施例においては、前記コンプレッサは低圧段階と高圧段階とを備えた多段階式のコンプレッサとして構成され、その低圧段階と高圧段階との間に一つのインタークーラーを備え、該熱交換器の入口部は該コンプレッサの前記圧力パイプに連結されていて、前記吸収乾燥器の再生のための高圧段階からの気体を加熱するために前記第1のチューブ群は前記インタークーラーの冷却回路を形成する。
【0025】
この実施例の有利な点は、高圧段階から流れてくる気体の一部を加熱するために圧縮気体からの熱を再生させることが出来るので、非常に熱効率の良い装置を実現出来、該気体の一部は高温に達し、またそのようにすることで、吸収乾燥器のための再生気体として用いるのに適している。
【0026】
別の有利な点は、2つの熱交換器を単一の熱交換器に一体化させることによって、一体化した機能を有する熱交換器の容積は2つの別個の熱交換器の組み合わされた容積よりも相当小さくすることが出来、実質的なスペースの節減を実現出来ることである。
【0027】
さらに別の有利な点は、前記熱交換器の適用は気体圧縮乾燥器のみに限定されることはなく、その熱交換器は、幾つかの小さな変更を条件として、吸収乾燥器を用いない設備にも適用可能なことである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による装置に用いる熱交換器の第1実施例の断面を模式的に示すものである。
図2図1の代替的実施例を示すものである。
図3】本発明による気体圧縮乾燥装置の1例を示すものである。
図4図2の代替的実施例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の特徴をより良く示すために、本発明による望ましい実施例を以下に添付図面を参照しながら説明するが、いかなる限定をもするものでなく、1例として示すものである。
【0030】
図1は、本発明による装置に用いるチューブ式熱交換器1の第1実施例を模式的に示すものであって、該熱交換器は第1に、シェル3を有する閉鎖ハウジング2を備えている。この例では、該シェルは円筒形になっているが、必ずしもそのような形に形成する必要はない。
【0031】
前記ハウジング2はカバー4によって両端が閉鎖され、そして該カバー4は、例えば、該カバー4内の複数の通路5Aを介して該シェル3内の複数の螺子孔5Bに螺子止め可能な複数のボルト(図面に示していない)によって前記円筒形シェルに締結される。
【0032】
この実施例においては、前記ハウジング2は、主区画室7とサイド区画室8との間を分離するエンドプレート6を備え、それによって、該主区画室7は該シェル3及び該カバー4と境界を有し、該サイド区画室8はエンドプレート6及び該エンドプレート側に位置するカバー4と境界を成す。
【0033】
前記円筒形シェル3には、第1流体が該主区画室7を通るように案内するための入口部9及び出口部10が設けられている。
【0034】
この実施例においては、該入口部9と該出口部10は該シェル3の同じ側に位置しているが、勿論、該シェル3の別の場所に設けてもよい。
【0035】
前記熱交換器1の中では、複数のチューブから成る群を少なくとも2つ(11−12)備えたものが主区画室7を通って延伸している。それらの群(11−12)は各々第2又は第3流体が該主区画室7を通るように案内することを意図するものであるが、これは、該区画室7内のチューブ13を越えて若しくはその周りを流れる第1流体と熱交換するためである。
【0036】
上記の群のうち第1群11のチューブ13の端部は、第2流体のための第1入口区画室14と第1出口区画室15に連結されている。同様に、第2群12のチューブ13の端部は、第3流体のための第2入口区画室16と第2出口区画室17に連結されている。本発明によれば、上記の入口及び出口区画室14〜17は互いに完全に分離されている。
【0037】
この目的のため、示された実施例においては、上記サイド区画室8は、複数の仕切り部材18によってそれぞれ4つのサブ区画室19、すなわち、第1入口区画室14、第1出口区画室15、さらには第2チューブ群のための第2入口区画室、第2出口区画室17に区分けされている。
【0038】
ここに示された実施例においては、チューブ13はU字形をしていて、前記第1チューブ群11の各チューブ13の一端側が該第1入口区画室14に通じるように開口し、他端側が該第1出口区画室15に通じるように開口している。同様に、前記第2チューブ群12の複数のチューブ13は第2入口及び出口区画室17−18に通じるように開口している。そのようにして、第2及び第3流体の回路は完全に互いに分離している。
【0039】
図1の実施例では、前記主区画室7はバッフル20(バッフラーとも呼ぶ)を備え、該バッフルの形と相対位置は、例えばジグザグ模様のような一定のパターンの流れを第1流体に課し、それによって該第1流体が多くの通路を前後に動いて該主区画室を通って流れるようにするものが選択される。
【0040】
この目的のため、前記複数のバッフル20は、前記主区画室7の一側から、該主区画室7の他側から一定の距離だけ離れた位置まで伸びていて、それによって第1流体のための逆通路21を形成している。それは、連続する逆通路が前記熱交換器1の一方又は他方を交互に行き交うような形で形成している。
【0041】
前記複数のバッフルはステンレスで構成するのが望ましいが、本発明は決してそれに限定するものではない。
【0042】
本発明の別の実施例では、該チューブ13の直径と事実上同じかそれよりも僅かに大きな直径を有する複数のバッフル20の中に通路を設けていて、複数の該バッフル20と複数の該チューブ13との間のマージンは制限されたものとなっている。
【0043】
しかし、前記熱交換器1に複数のバッフル20を設けることは必ずしも必要というわけではない。
【0044】
図2は、本発明による装置に用いるチューブ式熱交換器1の別の望ましい実施例を模式的に示すものであり、該熱交換器は第1に、主区画室7を有する閉鎖ハウジング2を備え、該主区画室7は、該主区画室7の中を通って伸びる複数のチューブ13に亘って或いはその周りに案内される第1流体のための第1入口部及び出口部9−10を備えている。
【0045】
この実施例では、上記の入口部及び出口部9−10は前記シェル3の対向する側に位置していて、軸線方向から見て出来るだけ遠ざけるようにしてある。
【0046】
入口部及び出口部についての、この多少の対角線方向の配置がより効率的な熱の移動を可能にするのである。
【0047】
前記第1流体のための前記入口部及び出口部9−10を前記シェル3の同じ側に配置することも勿論できるし、該シェル3の別の場所に配置することも勿論可能である。
【0048】
図1の実施例とは対照的に、図2においては、前記区画室7は2つのエンドプレート6と境界を成し、該主区画室7のいずれの側にもカバー4を設け、それによって、それぞれのエンドプレート6とそれに対するカバー4との間に2つのサイド区画室8を形成している。
【0049】
本発明の最も実際的な実施例においては、前記主区画室7の全域に亘って伸びる複数のチューブ13は前記2つのエンドプレート6Aの1つに締結され、このエンドプレート6Aは、ハウジング2と、このエンドプレート6Aに向かい合わせに位置するカバー4Aとの間でクランプされる。
【0050】
それによって、前記チューブ13は、例えば半田づけ等によって、複数のエンドプレート6の複数の通路で気体が漏れないようにして固定されている。
【0051】
前記複数のエンドプレート6は互いに異なっていて、2つのエンドプレートのうちの一方6Bが他方よりも寸法が短くなっているのが望ましい。なぜならば、そのように構成することによって、このエンドプレート6Bが浮かんでいるような仕方で設けることが出来、熱による膨張を許容出来るからである。
【0052】
図2の断面図においては、前記複数のチューブ13が固定されるエンドプレート6Aは他方のエンドプレート6Bよりも寸法が大きく、最も小さいエンドプレート6Bはシェル3とカバー4Bとの間のリング内に可動的に取り付けられている。
【0053】
この実施例においては、前記複数のサイド区画室8は、平行なチューブ13を介し両側のエンドプレート6を通じて共に繋がっている。それによって、上記複数のチューブ13は主区画室7を通り、これらのエンドプレート6の中の通路22を通って伸びている。
【0054】
この実施例においては、勿論、複数のバッフルを用いてもよいが、必ずしも必要というわけではない。
【0055】
前記熱交換器の望ましい特徴によれば、上記の複数のサイド区画室8は2つ以上のサブ区画室に再分割されている。
【0056】
この目的のために、そこに示した断面図においては、前記カバーの内部には、1つ以上の真直ぐで直立の壁又は仕切り18が設けられ、これらの壁18の端部とエンドプレート6との間には密閉部材23が設けられている。
【0057】
図2のバリエーションにおいては、各サイド区画室8の中に、第2又は第3流体を案内するための2つのサブ区画室19を設けてある。
【0058】
図2の断面図において、第1サブ区画室19Aは前記主区画室7の中の第1チューブ群11に連結し、該チューブ群11の全てのチューブ13は、熱交換器1の他方の側のサブ区画室19Bの中へ開口して連結している。
【0059】
そのようにして、サブ区画室19A及び19Bは互いに関係し合う形で配置されている。
【0060】
同様に、他のサブ区画室19C-19Dは第2チューブ群によって互いに繋がっている。
【0061】
第2及び第3流体のための複数のサブ区画室19は互いに完全に分離していて、各流体が、関与する流体のためのそれ自身の分離回路を循環するように構成するのが望ましい。
【0062】
ここで示した断面図を参照すると、2つのチューブ群11−12のチューブ13の数は同じでなければならないと解釈されるかもしれないが、実際には、第2流体のためのチューブ13の数と第3流体のためのチューブ13の数が異なるように構成してもよい。
【0063】
勿論、第2流体のための複数のチューブ13と第3流体のための複数のチューブ13の直径が互いに異なるように構成してもよい。
【0064】
第2流体のための複数のチューブ13と第3流体のための複数のチューブ13の内部の形を異なったものとすることと、第1流体と第2及び/又は第3流体との間の熱移動を高めるために幾つかのチューブ13にフィン又はその他の手段を設けること、のどちらか一方又は両方を講じてもよい。
【0065】
最も簡単な実施例においては、第2流体のための上記第1チューブ群11は熱交換器1の上側半分に位置し、第3流体のための第2チューブ群12は下側半分に位置している。
【0066】
該主区画室7内の第1チューブ群11と第2チューブ群12との間に空間24を、上記壁18及び密閉部材23の高さの位置で、設けている。
【0067】
勿論、前記の熱交換器は図に示したものに限定されるわけではなく、別の形での構成も可能である。例えば、第1チューブ群11の複数のチューブを該熱交換器1の軸線の周りに配置し、第2チューブ群12を該第1チューブ群11の周りに同心リング状のチューブ群として形成されるようにしても良い。
【0068】
さらに別の配置の仕方は、前記第1チューブ群11の複数のチューブが円の第1セクターの全域に亘って分配され、前記第2チューブ群12の複数のチューブが円のもう一つのセクターの全域に亘って分配されることである。
【0069】
勿論、前記2つのセクターは必ずしも同じ大きさにする必要はないし、それらが合わさって完全な円ディスクを形成するようにしてもよい。
【0070】
本発明による装置のための熱交換器1の操作は非常に簡単であり、それは次の通りである。
【0071】
第1流体はシェル3内の入口部9を介して主区画室7に案内され、該区画室7を通って流れる時、この第1流体は、図1の矢印Pで示したように、一定のパターンに従って幾つかのバッフル20によって案内される。
【0072】
同時に、2つの流体は、(これらは互いに異なる流体であっても良いしそうでなくても良いが)、主区画室7の複数のチューブ13を通って流れる。すなわち、第2流体は、第1チューブ群11の複数のチューブ13を貫通して矢印Qの方向に流れ、第3流体は、第2チューブ群12の複数のチューブ13を貫通して矢印Rの方向に流れる。
【0073】
ここに示した断面図において、第2及び第3流体の方向Q及びRは互いに逆向きになっているが、このことは本発明による装置について厳格に必要とされるわけではない。
【0074】
その結果として、前記主区画室7の中で、熱の移動が、一方において第1流体と第2流体との間で行われ、他方において第1流体と第3流体との間で行われる。
【0075】
言うまでもなく、複数のチューブ13を通って流れる第2及び第3流体は気体、混合気体又は液体にして良いし、第2流体を気体にして、第3流体を液体等にしても良い。
【0076】
前記熱交換器1は、本発明による気体圧縮乾燥装置に用いるのに特に適しているものであり、その配置は図3に一例として示している。
【0077】
この装置25は、コンプレッサ装置26と吸収乾燥器27から成り、該コンプレッサ装置26の入口に繋がる入口28と、圧縮乾燥された気体を図示されていない消費ネットワークに案内する出口29とを備えている。
【0078】
図に示したコンプレッサ装置26は、この場合には連結された一連の3つのコンプレッサ要素30−32による多段階コンプレッサであって、低圧段階30と中間圧力の段階31と高圧段階32とを形成する。
【0079】
コンプレッサ要素30−32の各々は電気モーター33によって駆動し、コンプレッサ要素30−32の各々の下流にはクーラー34−36、すなわち2つのインタークーラー34−35とアフタークーラー36をそれぞれ備えている。
【0080】
前記クーラー34−36の各々はそれらに関与するコンプレッサ要素30−32によって圧縮された気体を冷却する。
【0081】
前記装置25には液体ガスクーラーを設けることによって、冷却すべき気体を第1流体として前記クーラー34−36を通るように案内し、冷却材を第2流体として前記複数のチューブを通るように案内するのが望ましい。
【0082】
前記低圧段階30と前記中間圧力段階31の間には、前記インタークーラー34とその上流に設けた熱交換器37とを一体的に構成した本発明による熱交換器1を設けている。
【0083】
図3において、前記熱交換器1は、前記熱交換器37と前記インタークーラー34とを取り囲んだ四角で模式的に示されている。
【0084】
前記熱交換器1は、低圧段階30から流れてくる圧縮気体のための入口部9と、中間圧力段階31の入口部に連結された出口部10とを備えているのが望ましい。
【0085】
前記熱交換器37は、一定量の圧縮気体を矢印Qの方向に分岐させるために、前記高圧段階32の出口パイプ39に枝パイプ38を介して直に連結している入口区画室14を備えている。
【0086】
該熱交換器はさらに、前記吸収乾燥器27の再生領域に連結している出口区画室15を備えている。
【0087】
前記インタークーラー34は、外部の冷却回路、例えば、このインタークーラー34を矢印Rの方向に通って流れる水のための入口及び出口としての役割を果たす入口区画室16及び出口区画室17を備えている。
【0088】
図に示した配置においては、そこを流れる気体の全ては低圧段階30によって圧縮され、そして熱交換器37及びインタークーラー34の中を矢印Pの方向に流れる。
【0089】
前記吸収乾燥器27は、例えば、再生領域40を有する回転ドラムと、乾燥剤が充填された乾燥領域41とを備えたタイプのものであって、該乾燥剤はモーターによってこの乾燥領域41と再生領域40を交互に通るように送られる。
【0090】
高圧段階32から流れて行く圧縮気体は、アフタークーラー36で冷却された後、エジェクター42を介して乾燥領域41を通るように案内され、乾燥処理の後、出口29を介して消費ネットワークに送られる。
【0091】
前記出口区画室15を経由して熱交換器37を出て行く気体は、乾燥器27とリンクしていて、再生領域40を通るように案内され、その後、クーラー43及び前記エジェクター42を経由することによって、前記乾燥領域41を通って送られて来る気体と混合する。
【0092】
本発明による装置に用いられる複合式の熱交換器は複合機能を構成し、それは、外部冷却流体が用いられたインタークーラー34として機能する第1熱交換器と、高圧段階32からの高温の気体から取り込んだ一部の気体を、図示した配置において該高圧段階32の圧縮気体の温度よりも高い低圧段階の気体と先ず接触させることによってさらに加熱するように機能する第2熱交換器37とを、併せ持つものである。
【0093】
このようにして、吸収乾燥器27をより効率的に作動させることが出来る。
【0094】
公知のよりシンプルな装置ではその熱が第1インタークーラー34を通って流れる冷却材によって失われてしまうのとは対照的に、ここに図示した装置においては第1低圧段階30の圧縮熱が回復することは明白である。
【0095】
さらに、このように構成した装置は、再生のための気体を加熱するのに外部からの加熱要素を必要とせず、また前記インタークーラー34をより小さく出来るので、特に有益である。
【0096】
図4は、本発明による装置に用いる熱交換器の別の可能なバリエーションを示すものであり、その熱交換器は、第3流体のための入口区画室16と出口区画室17が同じカバー4の中に位置している。
【0097】
このため、2つのサイド区画室8の1つは、第3流体のための入口及び出口区画室16−17が互いに完全に分離されるように追加的に設けた壁を備えている。
【0098】
そこに示した断面図において、入口区画室16の第3流体は、上方チューブ群の連続体12から区画室44を経由し、下方チューブ連続体12を通って出口区画室17へ流れる。
【0099】
図4では、主区画室7において複数のバッフル20は設けられていないが、バッフル20を設けたバリエーションも可能であり、その場合には、第1流体は多くの通路が設けられた主区画室7をジグザグに通って流れる。
【0100】
それ以外の多くのバリエーションも可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば、カバー4が第2流体の入口区画室14と出口区画室15とを含み、他のカバー4が第3流体の入口区画室16と出口区画室17とを含むようにしても良い。
【0101】
また、2つの入口区画室14−16と2つの出口区画室15−17を一方の単一のカバーの中に設けることによって、他方のカバーを入口又は出口区画室なしで構成できるようにすることを排除するものではない。
【0102】
複数の異なったサブ区画室の位置と大きさの選択については多くの可能性があり、また、例えば、現場への適用に応じて一定の調整をすればさらに有利なものとなる、ということは当業者にとって明白である。
【0103】
本発明は、その明細書や図面に示した実施例に限定されるものでは決してなく、本発明による装置は、発明の範囲から逸脱することなくあらゆるバリエーションで実現できる。
図1
図2
図3
図4