特許第5746342号(P5746342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746342
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】循環ポンプを有した液体吐出アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20150618BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   B41J2/14 201
   B41J2/14 605
   B41J2/14 601
   B41J2/18
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-521742(P2013-521742)
(86)(22)【出願日】2010年7月28日
(65)【公表番号】特表2013-532594(P2013-532594A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】US2010043480
(87)【国際公開番号】WO2012015397
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2013年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】コヴヤディノフ,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】トーニアイネン,エリック,ディー
(72)【発明者】
【氏名】メッセンジャー,ロバート
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−088592(JP,A)
【文献】 実開平02−108028(JP,U)
【文献】 特開2006−088493(JP,A)
【文献】 特開2008−273166(JP,A)
【文献】 特開平08−067010(JP,A)
【文献】 特開2007−237475(JP,A)
【文献】 特開2010−221443(JP,A)
【文献】 特開2010−188572(JP,A)
【文献】 特開2011−224971(JP,A)
【文献】 特開2002−113873(JP,A)
【文献】 特開平1−156075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板内に形成された液体スロットと、
第2の基板の上部上に配置されたチャンバ層内に形成されたチャンネルであって、該第2の基板の底面が、前記第1の基板の上面に付着されている、チャンネルと、
前記チャンネルの第1の端部の近傍に配置された液体吐出要素と、
前記チャンネルの第2の端部の近傍に配置されたポンプ要素と、
前記液体吐出要素に隣接して前記第2の基板を通じて前記液体スロットと前記チャンネルとの間に延びる少なくとも1つの第1の液体供給ホールと、
前記ポンプ要素に隣接して前記第2の基板を通じて前記液体スロットと前記チャンネルとの間に延びる少なくとも1つの第2の液体供給ホールと
を備えており、前記液体吐出要素及び前記ポンプ要素の少なくとも一方が、前記液体スロットから、前記チャンネル、前記少なくとも1つの第1の液体供給ホール、及び前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールにより形成される流路を介して、前記液体スロットへ液体の流れ提供し、前記液体吐出要素が、前記流路を介して、前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールから前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールへの第1の方向における前記液体の流れを提供し、前記ポンプ要素が、前記流路を介して、前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールから前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールへの第2の方向における前記液体の流れを提供する、
液体吐出アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールが、前記液体吐出要素と、前記チャンネルの前記第1の端部との間にある、請求項に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールが、前記ポンプ要素と、前記チャンネルの前記第2の端部との間にある、請求項1又は請求項2に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールが、前記液体吐出要素と前記ポンプ要素との間で該液体吐出要素に隣接している、請求項1に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールが、前記液体吐出要素と前記ポンプ要素との間で該ポンプ要素に隣接している、請求項1又は請求項4に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールが、
前記液体吐出要素の両側にそれぞれ隣接する2つの1の液体供給ホールからなり
前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールが、
前記ポンプ要素と前記チャンネルの前記第2の端部との間または前記液体吐出要素と前記ポンプ要素との間で該ポンプ要素に隣接する1つのの液体供給ホールからなる、
請求項1に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールが、
前記ポンプ要素の両側にそれぞれ隣接する2つの第2の液体供給ホールからなり
前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールが、
前記液体吐出要素と前記チャンネルの前記第1の端部との間または前記液体吐出要素と前記ポンプ要素との間で該液体吐出要素に隣接する1つのの液体供給ホールからなる、
請求項1に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の液体供給ホールが、
前記液体吐出要素の両側にそれぞれ隣接する2つの1の液体供給ホールからなり
前記少なくとも1つの第2の液体供給ホールが、
前記ポンプ要素の両側にそれぞれ隣接する2つのの液体供給ホールからなる、
請求項1に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項9】
前記チャンネルがu型の形状である、請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項10】
第1及び第2の基板であって、該第1の基板の上面が、該第2の基板の底面に結合されている、第1及び第2の基板と、
前記第1の基板内に形成された液体スロットと、
前記第2の基板の上面上に配置されたチャンネルを有するチャンバ層と、
前記第2の基板を通じて形成された複数の液体供給ホールであって、前記液体スロットと前記チャンネルとの間において液体連通を提供する、複数の液体供給ホールと、
前記チャンネル内に配置された吐出要素と、
前記チャンネル内に配置されたポンプ要素とを備えており、
該ポンプ要素が、前記液体スロットから、前記複数の液体供給ホールの一部を通じ、前記チャンネルを通じ、及び前記複数の液体供給ホールの残りを通じて、前記液体スロットへの液体の流れを提供する、
液体吐出アセンブリ。
【請求項11】
前記吐出要素が、前記チャンネルの第1の端部の近傍に配置され、前記ポンプ要素が、前記チャンネルの第2の端部の近傍に配置されている、請求項10に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の液体供給ホールの前記一部が、前記ポンプ要素に隣接する少なくとも1つの第1の液体供給ホールからなり、前記複数の液体供給ホールの前記残りが、前記吐出要素に隣接する少なくとも1つの第2の液体供給ホールからなる、請求項10又は請求項11に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項13】
前記チャンネルが複数のチャンネルからなり、該複数のチャンネルが、該複数のチャンネルの各々の第1の端部において交差しており、前記ポンプ要素が、該複数のチャンネルの交差点に配置されており、前記吐出要素が、該複数のチャンネルの各々の第2の端部に配置されており、前記ポンプ要素、該ポンプ要素と各吐出要素との間における前記複数のチャンネルを通じた水平方向の液体の流れと、前記複数のチャンネルと前記液体スロットとの間における前記複数の液体供給ホールを通じた垂直方向の液体の流れとを提供する、請求項10に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項14】
前記複数の液体供給ホールの前記一部が、前記ポンプ要素に隣接する少なくとも1つの第1の液体供給ホールからなり、前記複数の液体供給ホールの前記残りが、前記各吐出要素に隣接する少なくとも1つの第2の液体供給ホールからなる、請求項13に記載の液体吐出アセンブリ。
【請求項15】
前記吐出要素が、前記チャンネルの第1の端部の近傍に配置された第1の吐出要素と、前記チャンネルの第2の端部の近傍に配置された第2の吐出要素とからなり、前記複数の液体供給ホールの前記一部が、前記第1の吐出要素に隣接する少なくとも1つの第1の液体供給ホールからなり、前記複数の液体供給ホールの前記残りが、前記第2の吐出要素に隣接する少なくとも1つの第2の液体供給ホールからなり、前記ポンプ要素が、前記チャンネルの前記第1の端部に向かって該チャンネルの全長に対して非対称に配置されている、請求項10に記載の液体吐出アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
インクジェットプリンタ内の液体吐出装置は、液滴のドロップ・オン・デマンド吐出(射出)を提供する。一般に、インクジェットプリンタは、インク滴を複数のノズルを通じて一枚の用紙などの印刷媒体上へと吐出(射出)することによって画像を印刷する。これらノズルは、典型的には、1つか又は複数のアレイを成しており、これにより、該ノズルからのインク滴の適正に連続した吐出(射出)によって、文字か又は他の画像が、プリントヘッドと印刷媒体とが互いに関連して(又は相対して)移動すると、印刷媒体上に印刷させられることとなる。ある特定例において、熱素子に電流を通過させて熱を生成して、発射チャンバ内における液体のわずかな部分を気化させることによって、サーマルインクジェットプリントヘッドがノズルから滴を吐出する。別の例では、圧電インクジェットプリントヘッドは、圧電材料アクチュエータを用いて圧力パルスを生成し、該圧力パルスが、液滴をノズルの外に強制する。
【0002】
インクジェットプリンタは、手頃なコストで高い印刷品質を提供するが、継続する改善点(又は改良点)は、それらの開発(又は発展)において残ったままの様々な課題を克服することに依存する。例えば、気泡(空気の泡)は、インクジェットプリントヘッド内の継続している問題である。印刷中、インクからの空気が、解放(リリース)されて、気泡を形成する。該気泡は、発射チャンバから、プリントヘッド内の他の位置へと移動する可能性があり、それにより、インクの流れを遮断すること、印刷品質を劣化させること、プリントカートリッジ全体が部分的に空(カラ)に見えるようにさせること、及び、インク漏れ、などの問題が生じる可能性がある。更には、顔料ベースのインクを用いている時には、顔料インク・ビヒクル(vehicle)分離(PIVS)が、依然として問題となる。顔料ベースのインクは、それらが、染料ベースのインクよりもより耐久性があり及びより永久的となる傾向があるので、インクジェット印刷において好まれる。しかしながら、保管か又は未使用の期間中に、顔料粒子は、沈殿する(又は固まる)可能性があるか、或いは、インク・ビヒクルの外でクラッシュする可能性があり(すなわち、PIVS)、そのことが、プリントヘッド内の発射チャンバ及びノズルへのインクの流れを妨げるか又は完全に遮断する可能性がある。(水性インクについての)水の蒸発、及び(非水性インクについての)溶解などの他の要因もまた、PIVS及び/又は高められるインク粘性、及び粘性のある栓形成(plug formation)の原因となる可能性があり、そのことが、未使用の期間後の即座の印刷を阻む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
問題及び解決法の概要
上述のように、インクジェット印刷システムの開発(又は発展)において、様々な課題がまだ克服されていない。例えば、そのようなシステム内において使用されるインクジェットプリントヘッドには、インク妨害物による及び/又は目詰まりによるトラブルがあり続けている。この問題に対する以前の解決法には、プリントヘッドを利用する前後に、該プリントヘッドの点検(サービス)をすることが主に含まれていた。乾燥したインクによってノズルが詰まることを防止するために、例えば、プリントヘッドが、典型的には、未使用中にキャップされる。それらプリントヘッドを使用する前に、それらノズルを通じてインクを吐き出すことによって該ノズルはまた準備がなされる。これらの解決法の欠点には、点検時間(サービス時間)に起因して即座に印刷することが不可能であることと、点検中(サービス中)に消費されるインクの量が著しいことに起因して所有することにおけるトータルコストが増加することとが、含まれる。従って、インクジェット印刷システム内におけるインク妨害物及び/又は目詰まりが、基本的な問題であるままであり、該問題は、印刷品質全体を劣化させることと、コストを増加させることとの両方となる可能性がある。
【0004】
プリントヘッド内のインク妨害物か又は目詰まりには多くの原因がある。インク妨害物の1つの原因は、プリントヘッド内に気泡として累積する過剰な空気である。インクリザーバ内にインクが保管されている間のように、インクが空気にさらされる時には、追加的な空気が、インク内へと溶け込む。プリントヘッドの発射チャンバからインク滴を発射することに続く動作が、インクから過剰な空気を解放(リリース)して、該空気が、次いで、気泡として累積する。該気泡は、発射チャンバから、プリントヘッドの他の領域へと移動し、該他の領域において該気泡は、プリントヘッドに対する及びプリントヘッド内におけるインクの流れを遮断する可能性がある。
【0005】
顔料ベースのインクもまた、プリントヘッド内においてインク妨害物か又は目詰まりを引き起こす可能性がある。インクジェット印刷システムは、顔料ベースのインクと、染料ベースのインクとを使用する一方で、両タイプのインクによる利点と欠点とが存在しており、顔料ベースのインクが一般的には好まれる。染料ベースのインクでは、染料粒子が液体内に溶かされており、従って、該インクは、用紙内へとより深く染み込む傾向がある。このことは、染料ベースのインクを効率悪くさせ、画像のエッジにおいてインクがにじむと、画像品質を低下させる可能性がある。それに比べて、顔料ベースのインクは、インク・ビヒクルと、分散剤によりコーティングされた高濃度の不溶性の顔料粒子と、から成る。該分散剤は、該インク・ビヒクル内において該粒子を浮遊させたままにすることを可能にするものである。このことは、顔料インクが、用紙内へと染み込むのではなく用紙の表面上により長く留まるのを助ける。従って、顔料インクは、染料インクよりもより効率的である。何故ならば、ある印刷される画像内において同じ色強度を生成するのに、より少ないインクしか必要とされないからである。顔料インクが水に触れた時に、顔料インクは染料インクよりもシミがつかないので、顔料インクはまた、染料インクよりも、より耐久性があるものとなる及びより色落ちしないこととなる傾向がある。
【0006】
しかしながら、顔料ベースのインクによる1つの欠点は、出荷後及び長期保管後に、インクジェットプリントヘッド内にインク妨害物が発生する可能性があるということであり、これにより、箱から取り出してそのまま使える性能に乏しいインクジェットペン性能がもたらされる結果となる。インジェットペンは、インク供給部に内部的に結合される一端部に取り付けられたプリントヘッドを有する。該インク供給部は、ペン本体内において自己補充型(自己完結型)のものとすることができるか、又は、該ペンの外側にプリンタ上に存在することもでき、及び、ペン本体を通じてプリントヘッドに結合され得る。保管の長い期間にわたって、大きな顔料粒子についての重力の影響、及び/又は、分散剤の劣化によって、顔料の沈殿か又はクラッシュが生じる可能性があり、そのことは、PIVS(顔料インク・ビヒクル分離」として既知である。顔料粒子の沈殿か又はクラッシュが、プリントヘッド内の発射チャンバ及びノズルへのインクの流れを妨げるか又は完全に遮断する可能性があり、そのことが、箱から取り出してそのまま使える性能に乏しい、プリントヘッドによる性能を、もたらす結果となる可能性があり、及び低下した画像品質をもたらす結果となる可能性がある。
【0007】
水の蒸発、及びインクからの溶解などの他の要因(ファクター)もまた、PIVS、及び/又は、高められたインク粘性、及び粘性のある栓形成(plug formation)の原因となる可能性があり、そのことが、未使用の期間後の即座の印刷を阻む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、液体循環ポンプを有した液体吐出アセンブリを利用することを概して通じて、インクジェットプリントヘッド内のインク妨害物か又は目詰まりの問題を克服することを助ける。該ポンプは、下層基板内の液体スロットにわたるメンブレン上に形成され、方向性のある液体の流れ(すなわち、流体ダイオード特性)を生成するために、液体チャンネルの全長に沿って非対称に(すなわち、該チャンネルの一端に向けて)配置される。アイドル時間中、液体吐出アセンブリが作動していない時には、ポンプが、液体チャンネル及び発射チャンバを通じて水平方向に(すなわち、ポンプ及び発射チャンバの平面内において)液体を循環させる。ポンプはまた、チャンネルと液体スロットとの間に形成された液体供給ホールを通じて垂直方向に液体を同時に循環させる。液体吐出アセンブリの通常動作中、発射チャンバ内の液体吐出要素は、ノズルを通じて液滴を吐出する。液体吐出要素の動作はまた、チャンネルと液体スロットとの間において垂直方向に、及び該チャンネルを通じて水平方向に液体を循環させるポンピング動作も生み出す。液体吐出アセンブリのアイドル時間とアクティブ動作との両方の間中における液体の循環は、インクジェットプリントヘッド内のインク妨害物か又は目詰まりを防止することを助ける。
【0009】
例示的な一実施形態において、液体吐出アセンブリは、第1の基板内に形成された液体スロットを含む。第1の基板の上面は、メンブレンか又は第2の基板の底面に付着される。あるチャンネルが、第2の基板の上部に配置されたチャンバ層内に形成され、液体供給ホールが、液体スロットとチャンネルとの間に第2の基板を通じて形成される。液体吐出要素が、チャンネルの第1の端部の付近に位置付けられ、ポンプ要素が、チャンネルの第2の端部の付近に位置付けられて、チャンネルを通じて水平方向に、及び液体供給ホールを通じて垂直方向に、液体が循環させられる。
【0010】
別の例示的な実施形態において、液体吐出アセンブリは、第1及び第2の基板を含み、該第1の基板の上面が、該第2の基板の底面に結合された状態にある。液体スロットが、第1の基板内に形成され、チャンバ層の中に形成されたチャンネルを有する該チャンバ層が、第2の基板の上面上に配置される。第2の基板を通じて形成された液体供給ホールが、液体スロットとチャンネルとの間において液体連通を提供する。吐出要素と、ポンプ要素とが、チャンネル内に配置されて、ポンプ要素と吐出要素との間のチャンネルを通じた水平方向の液体循環と、チャンネルと液体スロットとの間の液体供給ホールを通じた垂直方向の液体循環とが提供される。
【0011】
別の例示的な実施形態において、液体吐出アセンブリ内において液体を循環させる方法は、ポンプ要素と吐出要素との間の液体チャンネルを通じて水平方向に液体をポンピングし、及び、液体チャンネルと液体スロットとの間に延在する液体供給ホールを通じて液体チャンネルと液体スロットとの間において垂直方向に液体をポンピングする、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による、液体吐出アセンブリを組み込むのに適合可能なインクジェットペンの一例を示す図である。
図2A】一実施形態による、液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。
図2B】一実施形態による、滴吐出イベント中の液体吐出アセンブリの断面図を示す図である。
図3】一実施形態による、吐出要素の両側に隣接する2つの液体供給ホールと、ポンプ要素の遠方側(ポンプ要素の向こう側)に隣接する1つの液体供給ホールとを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。
図4】一実施形態による、吐出要素の両側に隣接する2つの液体供給ホールと、ポンプ要素の近方側(ポンプ要素の手前側)に隣接する1つの液体供給ホールとを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。
図5】一実施形態による、2つの液体供給ホールを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。該2つの液体供給ホールのうちの一方はポンプ要素に隣接しており、他方は吐出要素に隣接しており、及び両方とも液体チャンネルの対向する端部におけるものである。
図6】一実施形態による、2つの液体供給ホールを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。該2つの液体供給ホールのうちの一方はポンプ要素に隣接しており、他方は吐出要素に隣接しており、及び両方とも液体チャンネルの中心に向いている。
図7】一実施形態による、3つの液体供給ホールを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。該3つの液体供給ホールのうちの2つは、ポンプ要素に隣接しており、残りの1つは、液体チャンネルの遠方側(液体チャンネルの向こう側)において吐出要素に隣接している。
図8】一実施形態による、3つの液体供給ホールを有する液体吐出アセンブリの断面図と上面図とを示す図である。該3つの液体供給ホールのうちの2つは、ポンプ要素に隣接しており、残りの1つは、液体チャンネルの中心に向けて吐出要素に隣接している。
図9】一実施形態による、吐出要素と対にされたポンプ要素と、液体チャンネルとを有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。該液体チャンネルは、該アセンブリの全長に対して垂直方向に配向されている。
図10】一実施形態による、吐出要素と対にされたポンプ要素と、液体チャンネルとを有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。該液体チャンネルは、該アセンブリの全長に対して長手方向に配向されている。
図11】一実施形態による、吐出要素と対にされたポンプ要素と、u型の液体チャンネルとを有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。
図12】一実施形態による、吐出要素と対にされたポンプ要素と、液体チャンネルとを有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。該液体チャンネルは、該液体吐出アセンブリの全長に対して斜め方向に配向されている。
図13】一実施形態による、アンバランスな循環チャンネルを有した対の滴発生器を有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。
図14】一実施形態による、循環チャンネルを介して取り囲んでいる多くの滴発生器間において共有されたポンプ要素を有する液体吐出アセンブリの上面図を示す図である。
図15】本開示の一実施形態による、基本的な液体吐出装置のブロック図を示す図である。
【実施例】
【0013】
添付図面に関連して、本実施形態が、例示を目的として次に説明されることとなる。
【0014】
例示的な実施形態
図1は、一実施形態による、本明細書内において開示したような液体吐出アセンブリ102を組み込むのに適合可能なインクジェットペン100の一例を示す。この実施形態では、液体吐出アセンブリ102は、液滴噴射プリントヘッド102として開示されている。インクジェットペン100は、ペンカートリッジ本体104、プリントヘッド(液体吐出アセンブリ)102、及び電気接点106を含む。液体吐出アセンブリ102内の個々の液滴発生器222(例えば、図2を参照)は、選択されたノズル108からの液体の滴を吐出するために、及び、アセンブリ102内において液体を循環させるために、接点106に提供される電気信号によってエネルギーが与えられる。液体吐出アセンブリ102内の個々のポンプ要素224(例えば、図2を参照)もまた、接点106に提供される電気信号によってエネルギーが与えられて、アセンブリ102内において液体が循環させられる。該液体は、様々な印刷可能な液体、インク、事前処理組成物、定着液(フィクサー)、及びこれらに類するもののような、印刷処理において使用される任意の適合可能な液体とすることができる。幾つかの例において、液体は、印刷液以外の(印刷液を除く)液体とすることができる。ペン100には、カートリッジ本体104内においてペン100自体の液体供給部を含めることができるか、或いは、ペン100は、例えばチューブを通じてペン100に接続された液体リザーバのような外部供給部(図示せず)からの液体を受容することができる。ペン100自体の液体供給部を含んでいるペン100は、液体供給部が使い果たされると、一般に使い捨て可能である。
【0015】
図2Aは、本開示の一実施形態による、液体吐出アセンブリ102(プリントヘッド102)の断面図と上面図との両方を示す。液体吐出アセンブリ102は、液体スロット202を有した第1の基板200を含み、該液体スロット202は、該第1の基板200内に形成されている。細長い液体スロット202が、図2Aの平面内へと延在しており、及び、液体リザーバのような液体供給部(図示せず)と液体連通している状態にある。液体スロット202は、該スロット202の側壁206が基板200によって形成されることとなるように、第1の基板200内に形成された溝(トレンチ)である。液体スロット202の上壁208が、覆っている第2の基板か又はメンブレン210の底面の一部分によって形成されている。第2の基板210は、その底面208の残りによって第1の基板200の上面212に付着されている。第1の基板200及び第2の基板210は、当業者にとって周知の標準的な微細加工プロセス(例えば、電鋳法、レーザアブレーション、異方性エッチング、スパッタリング、ドライエッチング、フォトリソグラフィ、鋳造、成形、スタンピング、及び機械加工)において、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウェーハから形成される。SOI基板内の二酸化ケイ素(Si02)層214は、液体スロット202のような特徴を形成する間の製造中に、正確なエッチング深さを達成させるためのメカニズムを提供する。
【0016】
第2の基板210の上部に配置されたチャンバ層216は、層216内において形成された液体チャンネル218を含む。液体供給ホール220(220A及び220B)が、第2の基板210(該第2の基板は、液体スロット202の上部208を形成する)を通じて延在し、及び、液体スロット202と液体チャンネル218との間の液体連通を提供する。液体チャンネル218は、チャンネル218の一方端に向かって配置された滴発生器222と、チャンネル218の他方端に向かって配置された液体ポンプ要素224とを含む。滴発生器210は、ノズルプレート228(すなわち、上部ハット層)内に形成されたノズル226と、発射チャンバ230と、発射チャンバ230内に配置された吐出又は発射要素232と、を含む。発射チャンバ230は、液体チャンネル218の延長であり、その一部である。発射チャンバ230と液体チャンネル218の幅は、液体吐出とポンピングとを最適化するために独立に指定され得る。吐出要素232は、熱抵抗器か又は圧電アクチュエータのような、対応するノズル226を通じて液滴を吐出するよう動作させることが可能な任意のデバイスとすることができる。図示された実施形態において、吐出要素232は、第2の基板210の上部に追加された薄膜スタックの形状を成す熱抵抗器である。該薄膜スタックは、概して、酸化物層と、吐出要素232を画定する金属層と、導電トレースと、パッシベーション層とを含む(個別には図示せず)。
【0017】
液体ポンプ要素224もまた、第2の基板210の上面上に配置されている。ポンプ要素224は、熱抵抗器のような、液体内に動きを生じさせて、本明細書内において説明されているような液体循環を生成するように、動作することが可能な任意のデバイスとすることができる。ポンプ要素224が、熱抵抗器要素として説明されているが、他の実施形態において、ポンプ要素224は、液体吐出アセンブリ102のチャンネル218内に適合可能に配置され得る任意の様々なタイプのポンプ要素とすることもできる。例えば、異なる実施形態において、液体ポンプ要素224は、圧電アクチュエータポンプか、静電ポンプか、電気流体力学ポンプか、又は蠕動ポンプとして実現され得る。図示された実施形態では、吐出要素232、ポンプ要素224のようなものは、第2の基板210の上部上に追加された薄膜スタックの形状を成す熱抵抗器である。液体ポンプ224が熱抵抗器である場合の実施形態において、液体ポンピング動作は、電流によりポンプ要素224(すなわち、熱抵抗器)にエネルギーを与えることによって達成される。該電流によって、抵抗性ポンプ要素224が、急速に熱せられ、それが今度は過熱させられて、ポンプ要素224と接触する薄膜層の液体を気化させる。発泡した蒸気泡が、チャンネル218内において両方向にポンプ224から離れるように液体を強制する。しかしながら、後述のように、チャンネル218の全長か又は中心(中央)に対してポンプ224が非対称の位置にあることによって、液体のネットの流れが、チャンネル218の長手側に向けられる結果となる。
【0018】
液体チャンネル218内における液体ポンプ要素224の正確な位置は、幾らか変動させることができるが、任意の場合において、液体チャンネル218の全長の中心点に対して非対称に位置付けられることとなる。例えば、図2A内の液体チャンネル218の全長が、図2Aの左端側において示される液体供給ホール220Bから、図2Aの右端側における液体供給ホール220Aへと延在すると仮定すると、チャンネル218のおおよその中心が、これら左端の液体供給ホールと右端の液体供給ホールとの間の中ほどに位置付けられる。従って、液体ポンプ要素224は、チャンネル218の右端側における液体供給ホール220Aの方へと、チャンネル218の中心に対して非対称に配置される。液体ポンプ要素224の非対称の位置が、ポンプ224と液体スロット202との間の、チャンネル218の短手側と、チャンネル218の中心と滴発生器222とに向かって延在する、チャンネル218の長手側と、を生成する。
【0019】
液体チャンネル218内における液体ポンプ要素224の非対称の位置が、液体の単一方向性の流れ(すなわち、流体ダイオード特性)の基礎(根拠)である。図2A内の灰色の矢印234は、液体の流れの大まかな方向と、ポンプ要素224のポンピング動作によって生成される液体循環とを示している。チャンネル218の短手側の方への、ポンプ224の非対称の位置は、チャンネル218の中心か又は長手側に向けた方向の(すなわち、滴発生器222の方への)ネット液体の流れを結果としてもたらす。灰色の方向性矢印234によって概して指示されているように、ポンプ要素224は、液体を、液体スロット202からチャンネル218内へと液体供給ホールを220Aを通じて垂直方向に上向きに循環させる。液体は、次いで、チャンネル218を通じて水平方向に、滴発生器222に向かって(すなわち、ポンプ224及び吐出要素232/発射チャンバ230の平面内において)ポンピングされ、次いで、液体供給ホール220Bを通じて垂直方向に液体スロット202内へと戻される。
【0020】
図2Bは、本開示の一実施形態による、滴吐出イベント中の液体吐出アセンブリ102の断面図を示す。液体吐出アセンブリの通常動作中、対応する吐出要素232をアクティブにすることによって、対応するノズル226を通じてチャンバ230から液滴236が吐出(射出)される。チャンバ230には、次いで、別の液滴を吐出することに備えて液体供給ホール220Bを通じて液体スロット202から垂直方向に上向きに循環する液体が再補充される。より具体的には、熱抵抗器吐出要素232を通過した電流が、要素232の急速な加熱を結果としてもたらし、及び、要素232に隣接した液体の薄い層が、過熱させられる。その過熱させられた液体が気化して、対応する発射チャンバ230内に蒸気泡を生成し、及び、急速に発泡する泡が、液滴236を、対応するノズル226の外に強制する。吐出要素232が、冷える時には、蒸気泡は、急速に崩壊して、ノズル226から別の滴を吐出することに備えて、液体スロット202から発射チャンバ230内へと液体供給ホール220Bを通じて垂直方向に上向きにより多くの液体を引き込む。
【0021】
従って、通常の滴吐出イベント中、吐出要素232は、ノズル226を通じて液滴を吐出するための、並びに、液体吐出アセンブリ102内において液体を循環させるための、二重の能力において作用するということが明らかである。図2B内の灰色の矢印234は、液体の流れの大まかな方向と、滴吐出イベント中に吐出要素232のポンピング動作によって生成される液体循環とを示している。まず最初に、急速に発泡する気泡が、液滴236をノズル226の外に強制すると、チャンネル218内の液体が、ポンプ要素224に関して上述の手法に類似した手法において、但し反対方向において、滴発生器222から離れるように水平方向に、チャンネル218の中心か又は長手側に向かって循環する。蒸気泡が崩壊すると、液体が、液体供給ホール220Bを通じてチャンバ230及びチャンネル218内へと、垂直方向に上向きに循環して、吐出した液滴236によって残された隙間を補充する。従って、液滴吐出中、吐出要素232はまた、ポンプ要素224とほぼ同じように、液体吐出アセンブリ102内において垂直方向と水平方向との両方向に液体を循環させるためのポンプ要素としても作用する。上述のように、発射チャンバ230及び液体チャンネル218の寸法は、液体吐出とポンピングとの両方を最適化するために独立に指定される。
【0022】
図3図14は、本開示の実施形態による、構造のバリエーションによって、及び/又は、液体チャンネル218と、(液体スロット202とチャンネル218との間に延在する)液体供給ホール220と、ポンプ要素224と、吐出要素232との配置(レイアウト)のバリエーションによって、液体吐出アセンブリ102に変化をもたせた図を示す。例えば、図3は、本開示の一実施形態による、図2の実施形態内のような吐出要素232の両側に隣接する2つの液体供給ホール220Bと、しかしながら、ポンプ要素224の遠方側(ポンプ要素の向こう側)に隣接するたった1つのみの液体供給ホール220Aとを有する液体吐出アセンブリ102の断面図と上面図とを示す。灰色の方向性矢印234によって示されているように、図3の実施形態内のポンプ要素224のポンピング動作は、液体スロット202からチャンネル218内へと単一の液体供給ホール220Aを通じて垂直方向に上向きに、及び、チャンネル218を通じてチャンネル218の中心か又は長手側に向かって(すなわち、滴発生器222の方へと)水平方向に、液体を循環させる。図示されてはいないが、通常の滴吐出イベント中、吐出要素232は、ノズル226を通じて液滴を吐出するための、並びに、液体吐出アセンブリ102内において液体を循環させるための、二重の能力において作用する。図2の実施形態内のように、吐出要素232は、チャンネル218内の液体を、滴発生器222から離れるように水平方向に、チャンネル218の中心か又は長手側に向かって循環させ、次いで、吐出要素232が冷えて気泡が縮むと、液体供給ホール220Bを通じてチャンバ230及びチャンネル218内へと垂直方向に上向きに循環させて、吐出した液滴236によって残された隙間を補充する。
【0023】
図4は、本開示の一実施形態による、図2の実施形態内のように吐出要素232の両側に隣接する2つの液体供給ホール220Bと、しなしながら、ポンプ要素224の近方側(ポンプ要素の手前側)に隣接するたった1つのみの液体供給ホール220Aとを有する液体吐出アセンブリ102の断面図と上面図とを示す。灰色の方向性矢印234によって示されているように、図4の実施形態内のポンプ要素224のポンピング動作は、液体スロット202からチャンネル218内へと単一の液体供給ホール220Aを通じて垂直方向に上向きに、及び、チャンネル218を通じてチャンネル218の中心か又は長手側に向かって(すなわち、滴発生器222の方へと)水平方向に、液体を循環させる。ここでもまた、通常の滴吐出イベント中、吐出要素232は、ノズル226を通じて液滴を吐出し、並びに、液体吐出アセンブリ102内において液体を循環させる。吐出要素232は、チャンネル218内の液体を、滴発生器222から離れるように水平方向に、チャンネル218の中心か又は長手側に向かって循環させ、次いで、液体供給ホール220Bを通じてチャンバ230及びチャンネル218内へと垂直方向に上向きに循環させて、吐出した液滴236によって残された隙間を補充する。
【0024】
図5図8は、本開示の実施形態による、液体吐出アセンブリ102内における液体チャンネル218、液体供給ホール、ポンプ要素224、及び吐出要素232の更なる例の構成と、それぞれのポンプ要素224によって生成される液体循環の大まかな方向と、を示す。図5の実施形態内において、液体吐出アセンブリ102は、2つの液体供給ホール220A及び220Bを有しており、該2つの液体供給ホールのうちの一方は、チャンネル218の右側の遠方において、ポンプ要素224に隣接しており、他方は、チャンネル218の左側の遠方において吐出要素232に隣接している。図6の実施形態内において、液体吐出アセンブリ102はまた、2つの液体供給ホール220A及び220Bを有する。一方の液体供給ホール220Aは、ポンプ要素224に隣接しており、他方の液体供給ホール220Bは、吐出要素232に隣接しており、及び、両方ともチャンネル218の中心に向かってポンプ要素224と吐出要素232との間にある。図7及び図8の実施形態において、液体吐出アセンブリ102は、3つの液体供給ホール220を有しており、そのうちの2つの液体供給ホール220Aが、ポンプ要素224の両側に隣接している状態になっている。図7では、3つ目の液体供給ホール220Bは、チャンネル218の左側の遠方において吐出要素232に隣接しており、及び、図8では、3つ目の液体供給ホール220Bは、チャンネル218の中心に向かって吐出要素232に隣接している。
【0025】
図9及び図10は、本開示の実施形態による、ポンプ要素224が、液体チャンネル218内において吐出要素232と対にされている場合の液体吐出アセンブリ102の上面図を示す。図9の実施形態では、複数の液体チャンネル218の全長は、液体吐出アセンブリ102及び下層の液体スロット202(図示せず)の全長に対して垂直に配向されている。図10の実施形態では、複数の液体チャンネル218の全長は、それらが、液体吐出アセンブリ102及び下層の液体スロット202(図示せず)の全長に対応することとなるように配向されている。両ケースにおいて、各液体チャンネル218内のポンプ要素224及び吐出要素232の非対称の位置によって、ポンプ要素224と吐出要素232との間において行ったり来たりする、及び、液体供給ホール220を通じて下層の液体スロット202に対して行き来する、液体の循環が結果として生じる。例えば、図9の実施形態では、ポンプ要素224が、液体を、下層の液体スロット202から液体供給ホール220Aを通じて垂直方向に上向きに(すなわち、平面外へと)循環させ、次いで、ポンプ要素224から吐出要素232へと液体チャンネル218を通じて水平方向に(すなわち、ポンプ要素224、吐出要素232、などの平面内において)循環させ、及び、液体供給ホール220Bを通じて液体スロット202内へと戻すように垂直方向に下向きに(すなわち、平面内へと)循環させる。液滴を吐出するために吐出要素232が活性化する時(アクティブになる時)には、吐出要素232のポンピング効果によって、液体は、大部分が逆方向に循環させられる。図10の実施形態では、液体が類似の手法において循環する。
【0026】
図11及び図12は、本開示の実施形態による、異なる形状を有した液体チャンネル218内においてポンプ要素224が吐出要素232と対にされている場合の液体吐出アセンブリ102の上面図を示す。図11の実施形態では、液体チャンネル218は、u型の形状であり、「u」の一方側におけるポンプ要素224及び液体供給ホール220Aと、「u」の他方側における吐出要素232及び液体供給ホール220Bとを有している。ポンプ要素224は、液体を、下層の液体スロット202から液体供給ホール220Aを通じて垂直方向に上向きに(すなわち、平面外へと)循環させ、次いで、ポンプ要素224から吐出要素232へとu型の液体チャンネル218を通じて水平方向に(すなわち、ポンプ要素224、吐出要素232、などの平面内において)循環させ、及び、液体供給ホール220Bを通じて液体スロット202内へと戻すように垂直方向に下向きに(すなわち、平面内へと)循環させる。液滴を吐出するために吐出要素232が活性化する時(アクティブになる時)には、吐出要素232のポンピング効果によって、液体は、大部分が逆方向に循環させられる。図12の実施形態は、液体吐出アセンブリ102及び下層の液体吐出スロット202の全長に対して斜め方向に配向されている液体チャンネル218を有する。図12の実施形態内の液体循環は、図11の実施形態に類似する。
【0027】
図13は、本開示の一実施形態による、アンバランスな循環チャンネル218を有した対の滴発生器222を有する液体吐出アセンブリ102の上面図を示す。以前の実施形態内のように、液体チャンネル218内における液体ポンプ要素224の非対称の位置が、液体の単一方向の流れ(すなわち、流体ダイオード特性)の基礎(根拠)である。チャンネル218の一端の方へのポンプ要素224の非対称の位置によって、チャンネル218の長手側に向けた液体のネット流れが結果としてもたらされる。従って、図13の実施形態内において、ポンプ要素224は、液体を、チャンネル218内において右から左へと水平方向に(すなわち、ポンプ224、吐出要素232、などの平面内において)循環させ、及びチャンネル218の右側の液体供給ホール220を通じて垂直方向に上向きに(すなわち、平面外へと)循環させ、及びチャンネル218の左側の液体供給ホール220を通じて垂直方向に下向きに(すなわち、平面内へと)循環させるように動作する。
【0028】
図14は、本開示の一実施形態による、循環チャンネル218を介して取り囲んでいる多くの滴発生器222間において共有化されたポンプ要素を有する液体吐出アセンブリ102の上面図を示す。4つの滴発生器222間のポンプ要素224の中心位置によって、ポンプ224に隣接する液体供給ホール220を通じて垂直方向に上向きに(すなわち、平面外へと)、チャンネル218を通じて各々の滴発生器222へと水平方向に(すなわち、ポンプ224、吐出要素232、などの平面内において)、及び吐出要素232の両側の液体供給ホール220を通じて垂直方向に下向きに(すなわち、平面内へと)、循環する液体が結果としてもたらされる。
【0029】
図15は、本開示の一実施形態による、基本的な液体吐出装置のブロック図を示す。液体吐出装置1500は、電子コントローラ1502と、液体吐出アセンブリ102とを備える。液体吐出アセンブリ102は、本開示によって、説明がなされた、図示された、及び/又は予期される(期待される)液体吐出アセンブリ102の任意の実施形態とすることができる。電子コントローラ1502は、厳密な手法において液滴を吐出するために、液体吐出アセンブリ102と伝達し合うための及び液体吐出アセンブリ102を制御するための、プロセッサ、ファームウェア、及び他の電子機器を、典型的には含む。
【0030】
一実施形態において、液体吐出装置1500は、インクジェット印刷装置とすることができる。従って、液体吐出装置1500には、液体吐出アセンブリ102に液体を供給するための液体/インク供給部及びアセンブリ1504と、吐出される液滴のパターンを受容するための媒体を提供するための媒体移送アセンブリ1506と、電力源1508とを含めることもできる。概して、電子コントローラ1502は、コンピュータのようなホストシステムからデータ1510を受け取る。データ1510は、例えば、印刷されることとなるドキュメント及び/又はファイルを表し、1つか又は複数の印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータを含んだ印刷ジョブを形成する。データ1510から、電子コントローラ1002は、吐出する滴のパターンを画定し、該滴のパターンは、文字、記号、及び/又は他のグラフィックスか又は画像を形成する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15