(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746355
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】排気ガス流渦ブレーカ
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20150618BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-534994(P2013-534994)
(86)(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-543561(P2013-543561A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011056648
(87)【国際公開番号】WO2012054437
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年5月17日
(31)【優先権主張番号】12/907,421
(32)【優先日】2010年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509123677
【氏名又は名称】テンネコ・オートモティブ・オペレーティング・カンパニー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】フロイド、リャン・エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ、ジョセフ・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】クレインフェルド、クリストファー・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ・ザ・サード、ジェームズ・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ギアー、ラリー・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サムパス、マノジ・ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ショベルズ、マイケル・エル.
(72)【発明者】
【氏名】クロウド、ロベルト・ピー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】バールト、リク・エス.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】スメウレルス、ヨハネス・ピー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】ティラールト、エリク・ファン・デン
【審査官】
谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0212292(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102008008564(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102008041486(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの排気物を低減するための排気ガス処理システムであって、
排気処理装置と、
開口を含み、エンジンから排気処理装置に排気流を供給するように構成された排気管路と、
上記開口から排気流へと試薬を噴射するためのインジェクタと、
上記開口を通って延びる円筒状スリーブを有するマウントと、上記円筒状スリーブ内に配置されるとともに上記円筒状スリーブの先端部に取り付けられたフレアチューブとを含む渦ブレーカであって、上記フレアチューブは、上記円筒状スリーブから離して配置された自由端部を含み、この自由端部を越えて上記排気流の一部が流れるものであり、窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延びて上記フレアチューブを排気流に晒し、上記円筒状スリーブは上記窓と流体的に連通する下流側開口を含む渦ブレーカと、
を備えるシステム。
【請求項2】
上記インジェクタは、上記円筒状スリーブおよび上記フレアチューブを通して試薬を噴射するように動作可能である、
請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項3】
上記フレアチューブの上記自由端部は、 円筒形状を含む、
請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項4】
上記フレアチューブのフレア端部が、上記自由端部の反対側に配置され、上記フレアチューブの最大外径部分を含む、
請求項3に記載の排気ガス処理システム。
【請求項5】
上記フレア端部の外径は、上記円筒状スリーブの内径よりも大きい、
請求項4に記載の排気ガス処理システム。
【請求項6】
上記窓および上記フレアチューブの露出部分は、排気流を第1および第2の通路に導く掬い(スクープ)として機能する、
請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項7】
上記第1の通路は、上記窓から、上記フレアチューブの外表面に沿って、上記下流側開口へと延びる、
請求項6に記載の排気ガス処理システム。
【請求項8】
上記第2の通路は、上記窓から、上記フレアチューブの外表面を横切り、上記フレアチューブの上記自由端部で反対方向に向きを変え、上記フレアチューブを通って上記フレアチューブの フレア端部に延びる、
請求項7に記載の排気ガス処理システム。
【請求項9】
上記渦ブレーカは、上記排気流を変化させて、上記排気流に試薬を噴霧するとともに上記マウントの近傍の試薬付着物を最小化する、
請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項10】
排気管路と、排気流に試薬を噴射するためのインジェクタとを含む排気ガス処理システムのための排気ガス流渦ブレーカであって、
上記排気流およびフランジ内に配置されるように構成された円筒状スリーブを含み、上記管路に上記インジェクタを取り付けるように構成されたマウントと、
上記円筒状スリーブに取り付けられたフレア端部と、上記円筒状スリーブから離して配置された自由端部とを有し、上記円筒状スリーブ内に配置され、窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延びて上記フレア端部を排気流に晒し、上記円筒状スリーブは下流側開口をさらに含む、チューブと、
上記窓と上記下流側開口との間に延び、上記排気流を受ける第1の通路と、
上記窓から、上記チューブの外表面を横切り、上記チューブの上記自由端部で反対方向に向きを変え、上記チューブを通って上記フレア端部に延び、上記排気流を受ける第2の通路と、
を備える渦ブレーカ。
【請求項11】
上記チューブのフレア端部は、上記窓の一部分を画定する上記円筒状スリーブの先端部に取り付けられている、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項12】
上記フレアチューブの上記自由端部は、 円筒形状を含む、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項13】
上記チューブのフレア端部は、上記チューブの最大外径部分を含む、
請求項12に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項14】
上記フレア端部の外径は、上記スリーブの内径よりも大きい、
請求項13に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項15】
上記窓および上記フレアチューブの露出部分は、排気流を上記第1および第2の通路に導く掬い(スクープ)として機能する、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項16】
上記第2の通路は、上記チューブの上記自由端部の全ての円周を含む、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項17】
上記第1および第2の通路は、互いに連通している、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【請求項18】
上記第2の通路は、上記チューブの上記自由端部から離して上記自由端部と同軸で配置された半トロイダルの表面を含む、
請求項10に記載の排気ガス流渦ブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
分野
本開示は、インジェクタシステムに関し、特に試薬をエンジンからの排気流に噴射するためのインジェクタシステムに関する。
【0002】
背景
本セクションは、本開示に関連する背景情報を提供するが、この情報は必ずしも先行技術ではない。
【0003】
希薄燃焼エンジンは、燃料の完全燃焼に必要な量を超える十分な酸素にて動作することにより、改善された燃料効率を提供する。そのようなエンジンは、“希薄”あるいは“希薄混合気”を燃料とすると言われている。しかしながら、この燃料経済性の増加は、具体的には窒素酸化物(NOx)の形である好ましくない汚染排気によって相殺される。
【0004】
希薄燃焼内燃エンジンからNOx排気物を減らすために用いられる1つの方法として、選択接触還元(SCR)が知られている。例えばディーゼルエンジンからNOx排気物を減らすために用いられるSCRは、排気ガス温度、エンジン燃料流量にて計測されるエンジン負荷あるいはエンジンrpm、ターボブースト圧あるいは排気NOx質量流量のような、1又はより多数の選択されたエンジン運転パラメータに関連した、エンジンの排気流への細分化された試薬の噴射を伴う。試薬/排気ガス混合気は、触媒を含む反応装置を通過する。触媒は、試薬の存在の下にNOx濃度を減らすことが可能な、例えば活性炭、あるいは、プラチナ、バナジウムあるいはタングステンのような金属である。
【0005】
尿素水溶液は、ディーゼルエンジンに対するSCRシステムにおける効果的な試薬として知られている。しかしながら、そのような尿素水溶液や他の試薬の使用は、不利益を含み得る。尿素には高い腐食性があり、例えば排気ガス流に尿素混合気を噴射するために用いられるインジェクタのようなSCRシステムの機械部品を侵食する。尿素は、ディーゼル排気システムにて稀に生じるような高温に長時間晒されることにより凝固する傾向がある。固化された尿素は、典型的にはインジェクタに見られる出口オリフィス開口や狭い通路に蓄積するかもしれない。固化された尿素は、インジェクタの可動部を妨げるとともにあらゆる開口を塞ぎ、インジェクタを使用不可能にする。固化された尿素は、システムにおける背圧および排気減少の問題を引き起こすかもしれない。この懸念は、試薬がNOxを減らす代わりに付着物を生成するために存在する。
【0006】
いくつかの現在のインジェクタシステムは、インジェクタを排気管から所定距離に位置決めする取付方法を含む。いくつかのインジェクタ取付方法は、“ドッグハウス”あるいは“スタンドオフ”型に関連する。この取付方法は、インジェクタの取り付け場所および試薬出口オリフィスあるいはその近辺に、再循環渦および冷却スポットをもたらし得る。
【0007】
尿素の噴射に際し、取り付け領域において低下した温度および再循環渦は、取り付け領域を塞ぎ、排気ガス流に突き出す試薬付着物をもたらし得る。
【0008】
加えて、もし試薬混合気が最終的に細分化されなければ、試薬付着物が触媒反応装置に形成され、触媒の働きを抑制し、それによってSCRシステムの有効性が減少する。高い噴射圧は、尿素混合気の不十分な細分化の問題を最小化する一つの方法である。しかしながら、高い噴射圧は、排気流への噴霧煙の超過浸透をしばしばもたらし、インジェクタの反対にある排気管の内表面に噴霧煙を衝突させる。超過浸透は、尿素混合気の非効率な使用をもたらし、車両が低減されたNOx排気物にて運転できる範囲を狭める。限られた量の試薬のみが車両にて搬送でき、この搬送物は車両範囲を効率よく最大限化するために使用され、試薬の補充の必要性を減らすべきである。
【0009】
さらに、試薬は弱い滑剤であるかもしれない。この特性は、インジェクタの可動部に悪影響を及ぼし、インジェクタにおいて相対的に動く部分間の格別な嵌め合い、隙間、および耐性の採用が必要となる。いくつかの試薬は、漏出する強い傾向を有する。この特性は、合わせ面に悪影響を及ぼし、多くの場所において強化された密閉材が必要となる。
【0010】
試薬の付着物を最小化するとともにインジェクタ部品の寿命を延ばす、希薄燃焼エンジンの排気流に試薬を噴射するための装置および方法を提供することは有利であり得る。本開示における装置および方法は、前述の、あるいは他の長所を提供する。
【0011】
概要
このセクションは、本開示の概要を提供する。このセクションは、本開示の全ての範囲あるいは特徴に関する包括的な開示ではない。
【0012】
エンジンからの排気物を減らす排気ガス処理システムは、エンジンから排気処理装置へ排気流を供給するように構成された排気管路を含む。インジェクタは、開口から排気流へと試薬を噴射する。渦ブレーカは、上記開口を通って延びる円筒状スリーブを有するマウントと、上記円筒状スリーブ内に配置されるとともに取り付けられたフレアチューブとを含む。窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延び、上記フレアチューブを排気流に晒す。上記スリーブは上記窓と流体的に連通する下流側開口を含む。
【0013】
排気ガス流渦ブレーカは、排気ガス処理システムに対して設けられる。
【0014】
上記排気ガス処理システムは、エンジンから排気処理装置に排気流を供給する排気管路と、排気流に試薬を噴射するためのインジェクタとを含む。上記渦ブレーカは、上記インジェクタを上記管路に取り付けるように構成されたマウントを備える。上記マウントは、排気流およびフランジ内に配置されるように構成された円筒状スリーブを含む。チューブは、上記スリーブに取り付けられたフレア端部と、上記スリーブから離して配置された自由端部とを有する。窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延びて上記フレア端部を排気流に晒す。上記スリーブは、下流側開口をさらに含む。第1の通路は、上記窓と上記下流側開口との間に延び、上記排気流を受ける。第2の通路は、上記窓から、上記チューブの外表面を横切り、上記チューブの上記自由端部で反対方向に向きを変え、上記チューブを通って上記フレア端部に延び、上記排気流を受ける。
【0015】
さらなる応用分野は、以下に提供される説明から明らかになる。この概要における説明および特定の例は、例示を目的とするものであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に説明される図面は選択された実施形態の例示のみを目的とし、考えられる実施態様の全てではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】
図1は、本開示に係るインンジェクタ配置を用いた排気コントロールシステムを備える代表的な内燃エンジンの概略図を示す。
【
図4】
図4は、排気ガス処理装置の排気渦ブレーカ部分の斜視図である。
【
図5】
図5は、排気ガス処理装置の排気渦ブレーカ部分の上面図である。
【
図6】
図6は、排気ガス処理装置の排気渦ブレーカ部分の側面図である。
【
図7】
図7は、排気ガス処理装置のアダプタの斜視図である。
【
図8】
図8は、排気渦ブレーカおよびアダプタの断面図である。
【
図9】
図9は、渦ブレーカを通る排気流の速度分布モデルである。
【0017】
各図のいくつかの範囲において、同一の符号は同一の部分を示す。
詳細な説明
添付図面を参照して、実施形態の例をより詳細に説明する。
【0018】
本開示はディーゼルエンジンおよびNOx排気物の削減に関して説明するが、本開示は、限定的でない例として、ディーゼル、ガソリン、タービン、燃料電池、噴射式あるいは排気流を出力するあらゆる他の動力源のような多数の排気流のいずれかに関して使用されてもよい。さらに、本開示は、多数の好ましくない排気物のいずれかに関して使用されてもよい。例えば、ディーゼル微粒子除去装置の再生のための炭化水素の噴射も、本開示の範囲に含まれる。追記として、“Method And Apparatus For Injecting Atomized Fluids”のタイトルで同一出願人により2008年11月21日に提出された米国特許出願公開第2009/0179087A1が着目されるべきであり、この文献は参照によって本開示に組み込まれる。
【0019】
図面の参照とともに、ディーゼルエンジン21の排気からNOx排気物を低減するための汚染制御システム8が提供される。
図1において、システムの要素間の実線は試薬の流線を表し、破線は電気的な接続を表す。本開示に係るシステムは、試薬を貯留するための試薬タンク10と、試薬をタンク10から搬送するための搬送モジュール12とを含んでもよい。試薬は、尿素溶液、炭化水素、アルキルエステル、アルコール、有機化合物、水などであってもよく、それらの組み合わせあるいは混合であってもよい。1またはより多数の試薬がシステムにおいて使用可能であり、それらが単独あるいは組み合わせて使用されてもよい。タンク10および搬送モジュール12は、統合された試薬タンク/搬送モジュールを形成してもよい。また、システム8の一部として、電子噴出コントローラ14と、試薬インジェクタ16と、排気システム19とが設けられる。排気システム19は、排気流を触媒床17に供給する排気管路18を含む。
【0020】
搬送モジュール12は、タンク10から供給配管9を介して試薬を供給するポンプを備えてもよい。試薬タンク10は、ポリプロピレン、エポキシ樹脂塗装炭素鋼、PVC、あるいはステンレス鋼であってもよく、上記出願に係る大きさであってもよい(例えば、車両サイズ、車両の使用意図など)。圧力調節器(図示されず)がシステムを所定の圧力設定点(例えば、約60−80psiの比較的低い圧力、あるいはいくつかの実施形態においては約60−150psiの圧力)に保つために設けられ、当該圧力調節器は試薬インジェクタ16からの戻り配管35に配置される。圧力センサが試薬インジェクタ16に繋がる供給配管9に設けられてもよい。システムは、凍結した試薬を解凍し、あるいは試薬を凍結から防ぐための種々の凍結防止方策を取り入れてもよい。システムの動作において、インンジェクタが試薬を排気ガスに放出するか否かに関わらず、インジェクタを冷却するとともに試薬が低温に保たれるようにインジェクタにおける試薬の滞留時間を最小化するために、試薬はタンク10および試薬インジェクタ16の間で連続的に循環されてもよい。
【0021】
連続的な試薬の循環は、エンジン排気システムにおいて生じ得る300℃から650℃の高温に晒されると固化し易い含水尿素のような温度感受性試薬に関しては、必要であり得る。
【0022】
さらに、試薬の固化が確実に防止されるように、試薬混合物を140℃以下、好ましくは5℃から95℃のより低い動作範囲に保つことが望ましいかもしれない。固化された試薬は、仮に形成を許したならば、インジェクタの開口部や可動部を妨害するかもしれない。
【0023】
必要な試薬の量は、負荷、エンジンRPM、エンジン速度、排気ガス温度、排気ガス流量、エンジン燃料噴射タイミング、望まれるNOx低減、気圧、相対湿度、EGRレート、および、エンジン冷媒温度によって変わるかもしれない。NOxセンサあるいは計測器25は、触媒床17の下流に配置される。NOxセンサ25は、排気NOx含有量を示す信号をエンジンコントロールユニット27に出力するように動作可能である。全てあるいはいくつかのエンジン動作パラメータが、エンジン/車両データバスを介して、エンジンコントロールユニット27から試薬電子噴射コントローラ14に供給されてもよい。試薬電子噴射コントローラ14は、エンジンコントロールユニット27の一部として含まれてもよい。排気ガス温度、排気ガス流量および排気背圧、さらには他の車両動作パラメータは、それぞれのセンサによって計測されてもよい。
【0024】
図2−
図8を参照し、排気ガス処理アセンブリ100が、排気管路18およびインジェクタ16を含んで形成される。排気管路18は、排気通路104を形成する実質的に円筒状のチューブ102を含む。円筒状チューブ102は、内表面106および外表面108を含む。
【0025】
インジェクタ16は、軸方向に移動可能なバルブ部材154を受ける円筒状のチャンバ152を形成する本体150を含む。本体150は、噴射試薬の排出場所としての出口オリフィス156を含む。バルブ台座146が出口オリフィス156の近傍に形成され、選択的にバルブ部材154と嵌め合って排気ガス流路への試薬噴射を制御する。バルブ部材154は、試薬噴射158の軸に沿って移動可能である。
【0026】
アダプタ159は、本体150に取り付けられ、放射状に外に向かって延びるフランジ160を含む。渦ブレーカ162は、フランジ160および外表面108の間に差し込まれてもよい。クランプ(図示されず)あるいはいくつかの他の適した連結装置がフランジ160と渦ブレーカ162をチューブ102に取り付ける。
【0027】
渦ブレーカ162は、フレアチューブ172に取り付けられたマウント170を含む。
【0028】
マウント170は、フランジ176に取り付けられた実質的に円筒形状の中空本体174を含む。穴178は本体174と同じくフランジ176を通って広がり、内部の実質的に円筒形状の表面180によって形成される。本体174は、外部の円筒形状の表面182を含む。
【0029】
窓184は、フランジ176と反対側の本体174の端部に設けられる。窓184は、第1の軸方向延在面186と第2の軸方向延在面188とで形成される。円周に延びる端面190は、第1の軸方向延在面186と第2の軸方向延在面188とを相互に連結する。円周端面190は、本体174の終端面192からオフセットしている。端面190は、全体として端面192と平行する曲面であると考えられる。より具体的には、端面190は、第1の軸方向延在面186と第2の軸方向延在面188との間の円周中点における高さ196が最大となるように僅かに反っている。
【0030】
好ましくは、フレアチューブ172は、外表面200および内表面202を有する薄壁の金属部材として構成される。表面200,202は、放物線状、円錐形、あるいはいくつかの他の幾何学的形状を有する末広がりの表面として形成されてもよい。フレアチューブ172は、第1の自由端部204および第2の端部206を含む。フレアチューブ172は、フレアチューブ172の端部206が端面192を超えて軸方向に極僅かに突出するように、穴178内に配置される。第2の端部206において、外表面200は、外に向かって放射状に広がり、穴178よりも僅かに大きい最大直径を形成する。そのため、フレアチューブ172が穴178に挿入された際に、端面192の内縁部がフレアチューブ172の表面200と嵌め合う。フレアチューブ172は、溶接のような適当な処理によってこの場所においてマウント170に取り付けられる。自由端部204を含むフレアチューブ172の残りの部分は、マウント170から離して配置される。
【0031】
フレアチューブ172がマウント170に一度取り付けられると、フレアチューブ172と本体174の一部が取り除かれる。切削あるいは研磨処理は、本体174の一部とフレアチューブ172の一部を効率的に取り除き、開口210を形成する。表面200のテーパ形状および穴178の円筒形状によって、通気路212が形成される。通気路212は、窓184から、外表面200に沿って開口210に繋がる。
【0032】
図3に示されるように、渦ブレーカ162は、排気管路18を通って流れる排気流において、窓184が上流に位置し、開口210が下流に位置するように方向付けられる。窓184は、窓184の上流位置における排気流にフレアチューブ172の一部を晒す。フレアチューブ172がその長さの大部分において円筒チューブ102から離して配置されているために、窓184および外表面200は、排気流の一部を渦ブレーカ162に導く
掬い(スクープ
)として作用する。排気流の一部は、通気路212に沿って進む(
図4および
図5)。排気流の他の部分は、参照符号213にて示された第2の通路を流れる(
図9)。
【0033】
図8において最も良く示されたように、アダプタ159は、フランジ160からボア178へと軸方向に延びるボス214を含む。穴216は、ボス214を通って延び、噴射試薬の排気通路104への流入を可能とする。半トロイダル表面218がボス214の下方に形成され、通路213を形成すべく自由端部204から間隔が空けられている。通路213は、窓184から、外表面200に沿って、第1の端部204で反対方向に向きを変え、内表面202を横切り、第2の端部206へと達する。通路213は、第1の端部204の全ての円周に沿って広がる。
【0034】
エンジン21の運転に際して、燃焼が排気管路18を通る排気流を生む。電子コントローラ14が試薬の噴射が生じるべきと判定したとき、軸方向に移動可能なバルブ部材154は、加圧された尿素が出口オリフィス156から穴216およびフレアチューブ172を経て排気流路に噴射されるように移動する。
【0035】
図9は、渦ブレーカ162の使用に伴う噴射試薬および排気流の速度分布を示す。同図に示された速度分布に基づくと、インジェクタ16によって供給された試薬がアダプタ159およびマウント170を通して噴射され、フレアチューブ172を通って下方に流れる排気流に乗ることが分かる。渦ブレーカ162の形状に基づくと、試薬と排気ガスとの完全な混合が生じ、マウント170および出口オリフィス156あるいはその近辺における付着物を最小化する。
【0036】
上述の実施形態の説明は、図示および説明を目的として与えられたものである。網羅的であること、あるいは開示を限定することは意図されていない。個々の要素あるいは特定の実施形態の特徴は、概してその特定の実施形態に限定されず、適用可能であれば、明示あるいは記述されていないとしても、それらは置換可能であり、選び出された実施形態にて使用されることもできる。同様の構成が様々な態様に変形されてもよい。
【0037】
そのようなバリエーションは、開示から離れたものとみなされるものではなく、全てのそのような修正は、開示の範囲に含まれることを意図している。
以下に、出願当初の特許請求の範囲を付記しておく。
[1]
エンジンからの排気物を低減するための排気ガス処理システムであって、
排気処理装置と、
開口を含み、エンジンから排気処理装置に排気流を供給するように構成された排気管路と、
上記開口から排気流へと試薬を噴射するためのインジェクタと、
上記開口を通って延びる円筒状スリーブを有するマウントと、上記円筒状スリーブ内に配置されるとともに取り付けられたフレアチューブとを含み、窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延びて上記フレアチューブを排気流に晒し、上記スリーブは上記窓と
流体的に連通する下流側開口を含む渦ブレーカと、
を備えるシステム。
[2]
上記フレアチューブは、上記スリーブから離して配置された自由端部を含み、この自由端部を越えて上記排気流の一部が流れる、
[1]の排気ガス処理システム。
[3]
上記インジェクタは、上記スリーブおよび上記フレアチューブを通して試薬を噴射するように動作可能である、
[2]の排気ガス処理システム。
[4]
上記フレアチューブの上記自由端部は、実質的な円柱形状を含む、
[2]の排気ガス処理システム。
[5]
上記フレアチューブのフレア端部は、上記自由端部の反対側に配置され、上記チューブの最大外径部分を含む、
[4]の排気ガス処理システム。
[6]
上記フレア端部の外径は、上記スリーブの内径よりも大きい、
[5]の排気ガス処理システム。
[7]
上記窓および上記フレアチューブの露出部分は、排気流を第1および第2の通路に導くスクープとして機能する、
[1]の排気ガス処理システム。
[8]
上記第1の通路は、上記窓から、上記フレアチューブの外表面に沿って、上記下流側開口へと延びる、
[7]の排気ガス処理システム。
[9]
上記第2の通路は、上記窓から、上記チューブの外表面を横切り、上記チューブの上記自由端部で反対方向に向きを変え、上記チューブを通って上記チューブの上記フレア端部に延びる、
[8]の排気ガス処理システム。
[10]
上記渦ブレーカは、上記排気流を変化させて、上記排気流に試薬を噴霧するとともに上記マウントの近傍の試薬付着物を最小化する、
[1]の排気ガス処理システム。
[11]
排気管路と、排気流に試薬を噴射するためのインジェクタとを含む排気ガス処理システムのための排気ガス流渦ブレーカであって、
上記排気流およびフランジ内に配置されるように構成された円筒状スリーブを含み、上記管路に上記インジェクタを取り付けるように構成されたマウントと、
上記スリーブに取り付けられたフレア端部と、上記スリーブから離して配置された自由端部とを有し、上記円筒状スリーブ内に配置され、窓が上記円筒状スリーブの上流側部分を通って延びて上記フレア端部を排気流に晒し、上記スリーブは下流側開口をさらに含む、チューブと、
上記窓と上記下流側開口との間に延び、上記排気流を受ける第1の通路と、
上記窓から、上記チューブの外表面を横切り、上記チューブの上記自由端部で反対方向に向きを変え、上記チューブを通って上記フレア端部に延び、上記排気流を受ける第2の通路と、
を備える渦ブレーカ。
[12]
上記フランジは、上記管路に取り付けられるように構成された、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。
[13]
上記フレアチューブの上記自由端部は、実質的な円柱形状を含む、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。
[14]
上記チューブのフレア端部は、上記チューブの最大外径部分を含む、
[13]の排気ガス流渦ブレーカ。
[15]
上記フレア端部の外径は、上記スリーブの内径よりも大きい、
[14]の排気ガス流渦ブレーカ。
[16]
上記窓および上記フレアチューブの露出部分は、排気流を上記第1および第2の通路に
導くスクープとして機能する、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。
[17]
上記第2の通路は、上記チューブの上記自由端部の全ての円周を含む、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。
[18]
上記第1および第2の通路は、互いに連通している、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。
[19]
上記第2の通路は、上記チューブの上記自由端部から離して上記自由端部と同軸で配置されたトーラス状の表面を含む、
[11]の排気ガス流渦ブレーカ。