(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5746404
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】縁塗り加工装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
B05C1/02 102
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-156751(P2014-156751)
(22)【出願日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年1月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510306328
【氏名又は名称】新廣瀬商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 茂孝
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭48−040681(JP,Y1)
【文献】
特開昭58−153555(JP,A)
【文献】
米国特許第04332213(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−3/20
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁塗り加工を行う被加工容器の周縁の被塗装部を下に向けて保持する保持装置と、
塗料を収容するタンクと、
前記タンク内の塗料に接触するように支持されて自転する塗布ローラーであり、前記保持装置に保持された前記被加工容器の周縁の被塗装部に接して自転し、前記塗料を前記被加工容器の周縁の被塗装部に塗布する塗布ローラーと、
前記塗布ローラーが前記被加工容器に対して前記被加工容器の周縁の被塗装部に沿って相対的に公転するように、前記塗布ローラーまたは前記被加工容器を移動させる移動機構とを有し、
前記移動機構は、
前記被加工容器の周縁の被塗装部に沿う形状のガイドレールと、
前記タンクを支持する支持部であり、前記ガイドレールに沿って移動する支持部とを有し、
前記支持部は、
前記ガイドレールの内側に当接して回転する内側ガイドローラーであり、前記塗布ローラーの回転軸と直交する回転軸を有する内側ガイドローラーと、
前記ガイドレールの外側に当接して回転する2つの外側ガイドローラーであり、前記内側ガイドローラーの回転軸と平行かつ前記塗布ローラーの回転軸を挟む両側にそれぞれ位置する回転軸を有する外側ガイドローラーとを有する縁塗り加工装置。
【請求項2】
前記内側ガイドローラーは、前記塗布ローラーの公転中心方向と反対方向へ付勢されたものであり、前記外側ガイドローラーは、前記内側ガイドローラーの付勢方向と反対方向へ付勢されたものである請求項1記載の縁塗り加工装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記支持部または前記被加工容器を前記被加工容器の中心周りに回転させる回転装置を有する請求項1または2に記載の縁塗り加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の縁塗り加工を行う縁塗り加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、従来、プラスチック射出成型の食品包装容器に独自の縁塗り加工を行っている。しかしながら、縁塗りを色むらなく均一に行うには熟練が必要であり、自動化が難しく、1枚ずつ熟練職人が人手により行う必要がある。また、このような縁塗り加工は、例えば非特許文献1に記載のように、重箱や屠蘇器などの木製容器にも施されているが、これらも熟練職人が1つずつ手作業にて行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“重箱・屠蘇器渕金溜塗”,[online],有限会社よし彦,[平成26年7月17日検索],インターネット<URL:http://www.urusi.com/ju-fuchikin-t.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように縁塗り加工は自動化が難しく、従来、縁塗り加工を行う装置は存在しない。そこで、本発明は、容器の縁塗り加工を自動的に行う縁塗り加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の縁塗り加工装置は、縁塗り加工を行う被加工容器の周縁の被塗装部を下に向けて保持する保持装置と、塗料を収容するタンクと、タンク内の塗料に接触するように支持されて自転する塗布ローラーであり、保持装置に保持された被加工容器の周縁の被塗装部に接して自転し、塗料を被加工容器の周縁の被塗装部に塗布する塗布ローラーと、塗布ローラーが被加工容器に対して被加工容器の周縁の被塗装部に沿って相対的に公転するように、塗布ローラーまたは被加工容器を移動させる移動機構とを有するものである。
【0006】
本発明の縁塗り加工装置によれば、周縁の被塗装部を下に向けて保持された被加工容器に対し、塗布ローラーが自転しながら被加工容器の周縁の被塗装部に沿って相対的に公転して、タンク内の塗料を被加工容器の周縁の被塗装部の下側から塗布する。これにより、塗料が被加工容器の周縁の被塗装部に色むらなく均一に塗布される。
【0007】
ここで、移動機構は、被加工容器の周縁の被塗装部に沿う形状のガイドレールと、タンクを支持する支持部であり、ガイドレールに沿って移動する支持部とを有するものであることが望ましい。これにより、被加工容器の周縁の被塗装部に沿って塗布ローラーをタンクとともにガイドローラに沿って移動させ、被加工容器の周縁の被塗装部に塗料を塗布することができる。
【発明の効果】
【0008】
(1)縁塗り加工を行う被加工容器の周縁の被塗装部を下に向けて保持する保持装置と、塗料を収容するタンクと、タンク内の塗料に接触するように支持されて自転する塗布ローラーであり、保持装置に保持された被加工容器の周縁の被塗装部に接して自転し、塗料を被加工容器の周縁の被塗装部に塗布する塗布ローラーと、塗布ローラーが被加工容器に対して被加工容器の周縁の被塗装部に沿って相対的に公転するように、塗布ローラーまたは被加工容器を移動させる移動機構とを有する構成により、被加工容器の周縁の被塗装部を自動的に色むらなく均一に縁塗り加工することが可能となる。
【0009】
(2)移動機構が、被加工容器の周縁の被塗装部に沿う形状のガイドレールと、タンクを支持する支持部であり、ガイドレールに沿って移動する支持部とを有する構成によれば、被加工容器の周縁の被塗装部の形状に応じたガイドレールを使用することで、様々な形状の被加工容器の周縁の被塗装部の縁塗り加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態における縁塗り加工装置の斜視図である。
【
図2】
図1の縁塗り加工装置の主要部の拡大図である。
【
図5A】ガイドレールに沿って支持部が移動した際の内側ガイドローラーおよび外側ガイドローラーの位置ならびに塗布ローラーの向きを示す説明図である。
【
図5B】ガイドレールに沿って支持部が移動した際の内側ガイドローラーおよび外側ガイドローラーの位置ならびに塗布ローラーの向きを示す説明図である。
【
図5C】ガイドレールに沿って支持部が移動した際の内側ガイドローラーおよび外側ガイドローラーの位置ならびに塗布ローラーの向きを示す説明図である。
【
図5D】ガイドレールに沿って支持部が移動した際の内側ガイドローラーおよび外側ガイドローラーの位置ならびに塗布ローラーの向きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の実施の形態における縁塗り加工装置の斜視図、
図2は
図1の縁塗り加工装置の主要部の拡大図、
図3は
図2のA矢視図、
図4は
図2のB矢視図である。
【0012】
図1において、本発明の実施の形態における縁塗り加工装置1は、縁塗り加工を行う被加工容器10を、その周縁の被塗装部11を下に向けて保持する保持装置2と、保持装置2により保持された被加工容器10の周縁の被塗装部11の下面に塗料を塗布する塗布装置3と、塗布装置3等を制御する制御装置4とを有する。
【0013】
本実施形態における被加工容器10は、プラスチック射出成型された正方形状の食品包装容器である。被加工容器10は、その正方形状の周縁に沿って立壁部12を有する。被塗装部11は、この立壁部12の天頂面である。なお、
図1および
図2においては、被加工容器10は、被塗装部11を下に向けて保持されているため、使用時とは天地の面が逆になっている。
【0014】
図2に示すように、保持装置2は、鉛直方向に延びる固定された固定シャフト20上に固定されたテーブル21を備える。また、本実施形態における縁塗り加工装置1は、被加工容器10を1つずつ吸着して搬送する搬送装置5を備えている。搬送装置5によりテーブル21上に搬送された被加工容器10は、搬送装置5に吸着固定されたままテーブル21上に、被加工容器10の中心が固定シャフト20の軸上に位置するように保持される。
【0015】
塗布装置3は、塗料6を収容するタンク30と、タンク30内の塗料6に接触するように支持されて自転する塗布ローラー31と、塗布ローラー31が被加工容器10に対して被加工容器10の周縁の被塗装部11に沿って公転するように、塗布ローラー31を移動させる移動機構32とを有する。塗布ローラー31は、固定シャフト20(後述する回転シャフト35)の半径方向に延びる回転軸31a周りに回転、すなわち自転するようにタンク30に支持されている。なお、回転軸31aは、被加工容器10の周縁の被塗装部11の公転速度に同期して回転するようにされている。
【0016】
移動機構32は、被加工容器10の周縁の被塗装部11に沿う形状のガイドレール33を有して固定シャフト20に固定されたガイド34と、固定シャフト20の軸を中心として回転する回転シャフト35と、回転シャフト35に固定され、回転シャフト35とともに回転する回転テーブル36と、回転テーブル36上にタンク30を支持する支持部40とを有する。回転シャフト35および回転テーブル36は、支持部40を被加工容器10の中心周りに回転、すなわち支持部40上のタンク30に支持された塗布ローラー31を被加工容器10に対して公転させる回転装置を構成する。
【0017】
支持部40は、ガイドレール33の内側に当接して回転する内側ガイドローラー41と、ガイドレール33の外側に当接して回転する2つの外側ガイドローラー42とを有する。内側ガイドローラー41は、塗布ローラー31の回転軸31aと直交する、すなわち回転シャフト35と平行な回転軸41aを有する。回転軸41aは、支持部40に対してスライダー43aにより回転シャフト35の半径方向にスライド可能に設けられた支持板43に設けられている。また、支持板43は、付勢手段としてのばね44により塗布ローラー31の公転中心方向と反対方向、すなわち回転シャフト35の半径方向の外側(
図2の外側)へ付勢されている。
【0018】
外側ガイドローラー42は、内側ガイドローラー41の回転軸41aと平行かつ塗布ローラー31の回転軸31aを挟む両側にそれぞれ位置する回転軸42aを有する。回転軸42aは、支持部40に設けられている。支持部40は、回転テーブル36に対してスライダー40aにより回転シャフト35の半径方向にスライド可能に設けられている。スライダー40aは、付勢手段としてのばね45により内側ガイドローラー41の付勢方向と反対方向、すなわち回転シャフト35の半径方向の内側(
図2の右側)へ付勢されている。また、支持部40は、回転シャフト35と平行な回転軸40bによりスライダー40aに対して回転自在に設けられている。
【0019】
次に、上記構成の縁塗り加工装置1の動作について説明する。
図5A〜
図5Dはガイドレール33に沿って支持部40が移動した際の内側ガイドローラー41および外側ガイドローラー42の位置ならびに塗布ローラー31の向きを示す説明図である。
【0020】
本実施形態における縁塗り加工装置1では、回転シャフト35の回転により回転テーブル36が回転し、回転テーブル36上の支持部40はガイド34のガイドレール33に沿って移動、すなわち被加工容器10に対して公転し、支持部40上の塗布ローラー31は、保持装置2に保持された被加工容器10の周縁の被塗装部11に接して自転し、塗料6を被加工容器10の周縁の被塗装部11に塗布する。
【0021】
そして、支持部40(塗布ローラー31)がガイドレール33に沿って移動する際、正方形状のガイドレール33の角部に達すると、内側ガイドローラー41は水平移動を停止し、外側ガイドローラー42は内側ガイドローラー41を中心に回転する(
図5A〜
図5B〜
図5D参照。)。このとき、支持部40は回転軸40bを中心に回転テーブル36上で回転自在となっており、内側ガイドローラー41は外側へ向かってばね44により付勢され、外側ガイドローラー42は内側へ向かってばね45により付勢されているため、支持部40はスムーズに方向転換を行う。
【0022】
これにより、支持部40上の塗布ローラー31は、
図5A〜
図5Dに示すように、正方形状のガイドレール33の角部でスムーズに方向転換を行いつつ、ガイドレール33に沿って周回し、保持装置2に保持された被加工容器10の周縁の被塗装部11に塗料6を塗布することができるので、被加工容器10の周縁の被塗装部11を自動的に色むらなく均一に縁塗り加工することが可能となっている。
【0023】
なお、上記実施形態においては、回転シャフト35および回転テーブル36により支持部40を回転させ、塗布ローラー31が移動することにより被加工容器10の周縁の被塗装部11に沿って公転する構成であるが、逆に被加工容器10を被加工容器10の中心周りに回転させて移動させる構成とすることも可能である。要するに、塗布ローラー31が被加工容器10の周縁の被塗装部11に沿って相対的に公転する構成とすることで、上記実施形態における縁塗り加工装置1と同様に、被加工容器10の縁塗り加工を行うことが可能となる。
【0024】
また、本実施形態における縁塗り加工装置1では、正方形状の被加工容器10に対応して正方形状のガイドレール33を有するガイド34を用いているが、その他の形状の被加工容器10に対しても、被加工容器10の周縁の被塗装部11の形状に応じたガイドレールを有するガイドを用いることで、様々な形状の被加工容器10の周縁の被塗装部11の縁塗り加工を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の縁塗り加工装置は、容器の縁塗り加工を自動的に行う装置として有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 縁塗り加工装置
2 保持装置
3 塗布装置
4 制御装置
5 搬送装置
10 被加工容器
11 被塗装部
12 立壁部
20 固定シャフト
21 テーブル
30 タンク
31 塗布ローラー
32 移動機構
33 ガイドレール
34 ガイド
35 回転シャフト
36 回転テーブル
40 支持部
41 内側ガイドローラー
42 外側ガイドローラー
【要約】
【課題】容器の縁塗り加工を自動的に行う縁塗り加工装置の提供。
【解決手段】縁塗り加工を行う被加工容器10の周縁の被塗装部11を下に向けて保持する保持装置2と、塗料6を収容するタンク30と、タンク30内の塗料6に接触するように支持されて自転する塗布ローラー31であり、保持装置2に保持された被加工容器10の周縁の被塗装部11に接して自転し、塗料6を被加工容器10の周縁の被塗装部11に塗布する塗布ローラー31と、塗布ローラー31が被加工容器10に対して被加工容器10の周縁の被塗装部11に沿って相対的に公転するように、塗布ローラー31または被加工容器10を移動させる移動機構32とを有する。
【選択図】
図2