(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746412
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】バルブの運転方法
(51)【国際特許分類】
F16K 51/02 20060101AFI20150618BHJP
F16K 3/18 20060101ALI20150618BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
F16K51/02 B
F16K3/18 B
F16K31/122
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-227414(P2014-227414)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-102245(P2015-102245A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】13005463.8
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バックマン
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン エルネ
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−310561(JP,A)
【文献】
特開平11−186363(JP,A)
【文献】
国際公開第1991/008412(WO,A1)
【文献】
特表2011−505528(JP,A)
【文献】
特表2011−512639(JP,A)
【文献】
特開平6−203782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバ(4)(5)のそれぞれの開口部(2)(3)を接続し、かつ、前記複数のチャンバ(4)(5)のそれぞれの前記開口部(2)(3)を閉塞するための閉塞要素(6)(7)を備え、前記閉塞要素(6)(7)が、バルブハウジングの内部空間により構成される中間チャンバ(8)における閉位置において前記開口部(2)(3)を閉塞するため、縦駆動機構(9)により前記開口部(2)(3)に対応するバルブシート(10)(11)に対して押し付けられるように構成されているバルブ(1)の運転方法であって、
一の開口部(2)(3)を開放するため、当該一の開口部に対応する一のチャンバ(4)(5)の圧力を前記中間チャンバ(8)の現在圧力よりも高圧に調節し、これにより前記一の開口部に対応する一の閉塞要素(6)(7)を前記一の開口部(2)(3)に対応する一のバルブシート(10)(11)から離間させ、前記一のチャンバ(4)(5)および前記中間チャンバ(8)の間の圧力調節を実行することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記高圧状態における圧力を、前記縦駆動機構(9)および前記中間チャンバ(8)から前記一の閉塞要素(6)(7)に対して閉方向に作用する圧力よりも高くすることにより前記一の閉塞要素(6)(7)を前記一のバルブシート(10)(11)から離間させることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、
他のチャンバ(4)(5)の他の開口部(2)(3)を閉塞している他の閉塞要素(6)(7)を、前記一の開口部(2)(3)の開放中に、前記縦駆動機構(9)および前記中間チャンバ(8)のうち一方または両方から作用する圧力により前記他の開口部(2)(3)に対応する他のバルブシート(10)(11)に対して押し付けることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記高圧状態の実現に先立ち、前記一のチャンバ(4)(5)および前記中間チャンバ(8)のそれぞれの圧力が大気圧を基準として低圧状態とされ、前記一のチャンバ(4)(5)における前記高圧状態の実現のために大気圧を導入することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記縦駆動機構(9)が前記閉塞要素(6)(7)が相対的にかつ相互に離れて変位可能であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記閉塞要素(6)(7)が前記縦駆動機構(9)とは相互に独立して変位可能であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の方法において、
それぞれの前記閉塞要素(6)(7)には前記バルブ(1)の縦駆動機構(9)が割り当てられまたは設けられ、前記縦駆動機構(9)が共通の支持要素(12)に取り付けられていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の方法において、
前記閉塞要素(6)(7)が前記縦駆動機構(9)により閉位置および中間位置の間で変位可能であり、横駆動機構(13)により中間位置および最大の開位置の間で変位可能であり、これにより前記閉塞要素(6)(7)は閉塞位置において前記バルブシートから離間した状態で前記開口部(2)(3)の間に配置され、最大の開位置において前記開口部(2)(3)の間の指定領域(14)から外れてまたは完全に外れて配置されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記一の閉塞要素(6)(7)が前記一のバルブシート(10)(11)から離間する際に閉位置から中間位置に駆動されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブなどのバルブの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチャンバのそれぞれの開口部を閉塞するためにバルブが当該複数のチャンバの間に設けられる。開口部の開状態において、バルブを通じてワークピースまたは部品などがチャンバの内部に搬入されまたは複数のチャンバの間で搬送される。チャンバは、ワークピースまたは部品などが加工処理、洗浄処理または製造処理などが実行されるプロセスチャンバである。チャンバは、本質的には複数のプロセスチャンバの接続要素またはプロセスチャンバの予備チャンバの役割を担ういわゆる搬送チャンバであってもよい。周知のバルブは、ワークピース、部品またはその他の対象物がプロセスチャンバの内部空間において、適当な雰囲気および適当な圧力条件のうち少なくとも一方の下で特定の処理が施されるいわゆる真空技術に適用される。チャンバのみならずバルブにおいて、ガス組成物および加工処理進行のうち少なくとも一方に由来して、プロセスを通じてプロセス残滓などが堆積する。そのほか、バルブのメンテナンス周期を延ばす必要がある。
【0003】
たとえば、メンテナンスまたはクリーニングなどの用意において、少なくとも1つのチャンバとバルブハウジングの内部空間との間の圧力調節が実行されることが重要である場合が少なくない。
【0004】
チャンバおよびバルブハウジングの内部空間に連通するバイパス経路を通じて圧力を調節する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公報 10−1171990B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、圧力調節の実行に関する代替的な手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のチャンバのそれぞれの開口部を接続し、かつ、前記複数のチャンバのそれぞれの前記開口部を閉塞するための閉塞要素を備え、前記閉塞要素が、バルブハウジングの内部空間により構成される中間チャンバにおける閉位置において前記開口部を閉塞するため、縦駆動機構により前記開口部に対応するバルブシートに対して押し付けられるように構成されている真空バルブなどのバルブの運転方法に関する。
【0008】
本発明の方法は、一の開口部を開放するため、当該一の開口部に対応する一のチャンバの圧力を前記中間チャンバの現在圧力よりも高圧に調節し、これにより前記一の開口部に対応する一の閉塞要素を前記一の開口部に対応する一のバルブシートから離間させ、前記一のチャンバおよび前記中間チャンバの間の圧力調節を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る技術的手法によれば、付加的なバイパス経路を通じて間接的にではなく、チャンバの開口部を通じて直接的に圧力が調節され、複数のチャンバのうち一のチャンバが高圧になり、一の閉塞要素または閉塞部材が一の開口部に対応する一のバルブシートから離間する。チャンバの開口部の開放という形態で実現された圧力流動開口部によって圧力が調節されうる。付加的なバイパス経路は不要であるにもかかわらず、チャンバの圧力が変更され、閉塞要素が動かされて圧力調節が可能になる。
【0010】
本発明の方法が適用可能なバルブは、任意の数のチャンバの開口部を接続し、相応する数の閉塞要素を有していてもよい。チャンバごとにかつその開口部ごとに閉塞要素が設けられていることが好ましい。バルブは、開口部を閉塞するために複数のチャンバのそれぞれに固有の閉塞要素が設けられていることが好ましい。他の態様においてバルブは一のチャンバの一の開口部および他のチャンバの他の開口部を接続するように配置される。この場合、バルブは開口部ごとに固有の閉塞要素を備え、2つの閉塞要素を備えている。各閉塞要素は各開口部を閉塞する機能を発揮する。バルブは2つの閉塞要素を備え、ツインバット(Twinvat)として知られている。
【0011】
本発明に係る方法は他の構成のバルブの運転にも適用されうる。たとえば、バルブは、それぞれが開口部を有する複数のチャンバが相互に接続され、相応の数の開口部および閉塞要素を備えていてもよい。一のチャンバが複数の開口部を備え、開口部ごとにまたはチャンバごとに閉塞要素が設けられていてもよい。
【0012】
チャンバの各開口部に対応するバルブシートは各開口部を直接的に囲んでいてもよく、中間チャンバを取り囲むバルブハウジングの開口部により構成されていてもよく、この場合はバルブハウジングの開口部が組付け状態においてチャンバの各開口部に一致するように設けられまたは組み付けられる。チャンバおよびバルブハウジングの開口部が、プロセス対象物が搬入または搬出されるいわゆる搬送開口部を構成してもよい。開口部の横断面のサイズは基本的に搬送対象である部品またはワークピースを通過させるように調節されている。開口部の横断面積は90cm
2〜25000cm
2の範囲に含まれ、好ましくは3000cm
2〜10000cm
2の範囲に含まれている。閉塞要素はたとえば平板状であってもよい。閉位置において、閉塞要素によってチャンバまたはその内部空間およびバルブハウジングの内部空間の間が遮断されることが好ましい。必要なシール部材が閉塞要素またはバルブシートに設けられていてもよい。ここでは詳細な説明は省略するが、利用状況および圧力状態にしたがって、該当技術分野において慣用されているシール部材が採用されてもよい。本発明に係るバルブの運転方法は閉塞装置にも適用される。
【0013】
本発明に係る方法はいわゆる真空技術にも適用される。バルブはその構成に基づいて真空バルブとして用いられる。通常、0.001[mbar]または0.1[Pa]以下の圧力における運転状態を伴う場合が真空技術と呼ばれている。
【0014】
本発明に係る方法において、圧力によって一の閉塞要素を
当該一の閉塞要素に対応する一の開口部を囲んでいる一のバルブシートから離間させるため、当該一の閉塞要素に対して閉位置に向かう方向に作用する縦駆動機構および中間チャンバの現在圧力を上回るように当該圧力が調節される。
【0015】
真空バルブのメンテナンス、交換およびクリーニングのうち少なくとも1つの作業の実行のため、一のチャンバおよび中間チャンバにおける圧力が大気圧よりも低い圧力に調節され、当該一のチャンバの圧力が大気圧に調節される。この場合、大気圧は地球表面における環境圧力を意味する。
【0016】
本発明の開放段階およびその後における他のチャンバの気体成分および圧力状態が影響を受けないため、一の開口部の開放段階において当該他のチャンバの他の開口部を閉塞している閉塞要素が、縦駆動機構および中間チャンバの圧力のうち一方または両方によって他の開口部に対応する他のバルブシートに対して押し付けられることが好ましい。
【0017】
最大の開位置における閉塞要素により、プロセスの対象物またはワークピースなどが搬送されるように、本発明に係る方法によれば、当該閉塞要素が閉位置および中間位置の間で縦駆動機構により駆動され、中間位置および最大の開位置の間で横駆動機構により駆動されうる。閉塞要素は中間位置においてバルブシートから離間する一方で複数の開口部の間にある指定領域にあり、最大の開位置において当該指定領域から好ましくは完全に外される。閉塞要素がこのように駆動されるバルブはLバルブとして知られている。縦駆動機構による駆動方向は好ましくは開口部を通じた搬送方向に沿っている。横駆動機構による駆動方向は当該搬送方向に対して傾斜し、好ましくは垂直である。
【0018】
本発明に係る方法によれば、一の閉塞要素が圧力によって一の開口部を囲んでいる一のバルブシートから離間し、閉位置から中間位置まで動かされる。当該一の開口部が設けられている一のチャンバおよび中間チャンバの間の圧力調節が可能になる。
【0019】
複数の開口部に加えて複数の閉塞要素が相互に対向して配置されていることが好ましい。前記のように少なくとも1つの縦駆動機構が複数の閉塞要素を相互に近づけるようにまたは遠ざけるように駆動することができる。複数の閉塞要素は、一または複数の縦駆動機構により相互に独立して駆動されうる。複数の閉塞要素のそれぞれに固有の縦駆動機構が設けられてもよい。この場合、当該複数の閉塞要素が共通の支持要素または支持部材に設けられていることが好ましい。当該共通の支持要素が複数の縦駆動機構とともに横駆動機構に対して相対的に変位可能である。この場合、複数の縦駆動機構に共通の横駆動機構が設けられる。
【0020】
本発明に係る方法の前記態様のさらなる特徴および詳細は添付図面を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】1つのバルブにより接続された2つのチャンバの説明図。
【
図6】順次配列されてバルブにより相互に接続された複数のチャンバの説明図。
【
図8】交差して配置されてバルブおよびセンター搬送チャンバにより接続された複数のチャンバの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、バルブ1により接続された2つのチャンバ(第1チャンバ4および第2チャンバ5)が示されている。第1チャンバ4および第2チャンバ5のそれぞれは第1開口部2および第2開口部3のそれぞれを備えている。第1開口部2および第2開口部3ならびに中間チャンバ8を通じて部品、ワークピースなどを第1チャンバ4から第2チャンバ5にまたは第2チャンバ5から第1チャンバ4に搬送可能にするように、バルブ1は開状態において第1チャンバ4および第2チャンバ5(または第1チャンバ空間4および第2チャンバ空間5)を相互に連通させる役割を果たす。バルブ1は閉状態において第1開口部2および第2開口部3のうち一方または両方を閉塞かつ密閉する。第1開口部2および第2開口部3のそれぞれに第1閉塞要素6および第2閉塞要素7が設けられている。第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれは、第1開口部2および第2開口部3のそれぞれを閉塞または開放するため、平板としてまたは平板状に形成されている。図示されているシール部材18により密閉性が実現され、第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれが当該シール部材18を介して第1バルブシート10および第2バルブシート11のそれぞれに対して当接する。本実施形態では第1開口部2に対応する第1バルブシート10はバルブ1のバルブハウジング15により構成されている。第2開口部3に対応する第2バルブシート11も同様にバルブ1のバルブハウジング15により構成されている。第1バルブシート10はバルブハウジング15の第1開口部2’を囲んでいる。当該第1開口部2’は第1開口部2に一致する。第2バルブシート11はバルブハウジングの第2開口部3’を囲んでいる。当該第2開口部3’は第2開口部3に一致する。第1バルブシート10が第1チャンバ4の対応する壁部により直接的に構成され、かつ、第1開口部2を直接的に囲んでいてもよい。第2バルブシート11および第2開口部3についても同様である。第2バルブシート11が第2チャンバ5の対応する壁部により直接的に構成され、かつ、第2開口部4を囲んでいてもよい。
【0023】
縦駆動機構9は第1閉塞要素6および第2閉塞要素7を閉位置および中間位置の間で進退駆動する役割を果たす。当該駆動方向は搬送方向16に対して平行である。さらにバルブ1が開かれた状態で、中間チャンバ8を通じて第1チャンバ4および第2チャンバ5のうち一のチャンバから他のチャンバに対象物およびガスが搬送方向16に搬送される。縦駆動機構9は共通の支持要素12により構成されている。第1閉塞要素6および第2閉塞要素7は、縦駆動機構9および支持要素12とともに、横駆動機構13によって中間位置および最大の開位置の間で搬送方向16に対して垂直な方向に動かされる。
図3、
図4および
図5には、縦駆動機構9および横駆動機構13が簡易に図示されているバルブ1の縦断面図が示されている。縦駆動機構9および横駆動機構13は、油圧式または気圧式のピストンシリンダシステムにより構成されていてもよい。液体または気体用の経路は省略されているが、技術常識にしたがって構成されうる。本実施形態において、横駆動機構13は、ロッド17を介して支持要素12に対して力を作用させる。支持要素12において、第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれについて縦駆動機構9が割り当てられている。第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれは、縦駆動機構9により、閉位置(
図3参照)および中間位置(
図4参照)の間で相互に独立して進退駆動される。当該駆動方向は搬送方向16に対して平行である。最大の開位置(
図5参照)において、横駆動機構13によって支持要素12ならびに第1閉塞要素6および第2閉塞要素7が第1開口部2および第2開口部3の間にある指定領域14から動かされ、指定領域14が完全に開放されている。これにより、部品またはプロセス対象のワークピースが、第1開口部2および第2開口部3、バルブハウジング15ならびに中間チャンバ8を通じて支障なく搬送されうる。縦駆動機構9および横駆動機構13は、電動式駆動機構、スピンドル式駆動機構、ギア式駆動機構およびその他の代替駆動機構などにより構成されていてもよい。
図2は第1チャンバ4および第2チャンバ5が省略されたバルブ1の斜視図を示している。
【0024】
図1に関して、プロセス対象であるワークピースまたはその他の対象物が第1チャンバ4および第2チャンバ5に対して搬入または搬出される第1開口部2”および第2開口部3”について、バルブまたは閉塞機構は図示されていない。当該第1開口部2”および第2開口部3”は、付加的なバルブ1または慣用されている閉塞装置によって閉塞されうる。すべての図面に示されている構成は、基本的にはさまざまな技術分野で実現されうる。前記のように当該装置は特に真空技術において用いられる。真空技術では、第1チャンバ4および第2チャンバ5のそれぞれには換気バルブ20が設けられている(
図1参照)。換気バルブ20が開かれると、第1チャンバ4および第2チャンバ5のうち一方または両方が大気圧となり、大気圧の空気またはその他の気体が第1チャンバ4または第2チャンバ5に流入する。通常運転時に、第1チャンバ4および第2チャンバ5は大気圧よりも低圧の負圧状態または真空状態に維持される。その実現のために本実施形態ではポンプ19が設けられている。適当な切替バルブ21の開閉切り替えにより、ポンプ19により第1チャンバ4および第2チャンバ5が減圧される。この際、換気バルブ20は閉じられている。
図1に示されている本実施形態において、中間チャンバ8の減圧のために別個のポンプ19が割り当てられ、中間チャンバ8は、切替バルブ21を介して第2チャンバ5を減圧するためのポンプ19に対して直接接続される。切替バルブ21の状態に応じて、中間チャンバ8および第2チャンバ5が同時にまたは交互に減圧される。このためにさまざまな手法が採用される。たとえば、中間チャンバ8に独立したポンプ19が設けられていてもよい。切替バルブ21を通じた中間チャンバ8に対する連通路に加えて、第1チャンバ4に設けられた中間チャンバ8を減圧するためのポンプ19が用いられることが好ましい。
図1とは異なりさらなるポンプが設けられ、3つの切替バルブ21が両方のポンプ19のうち対応する方に接続される。
【0025】
図1〜
図5を用いて説明された、2つのチャンバ(第1チャンバ4および第2チャンバ5)ならびにこれらの間に配置されたバルブ1からなる例示的な構成にしたがって、本発明に係るバルブの運転方法について説明する。
図3に示されている、第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれが第1開口部2および第2開口部3のそれぞれを密閉している閉状態から始まる。縦駆動機構9により第1閉塞要素6および第2閉塞要素7のそれぞれが、第1バルブシート10および第2バルブシート11のそれぞれに対して強く押し付けられることにより当該密閉性が実現される。中間チャンバ8が第1チャンバ4および第2チャンバ5よりも高圧に制御されることによって、当該押し付けによる密閉性が実現される。これは、ポンプ19および切替バルブ21の適当な位置によって実現される。真空技術において、第1チャンバ4および第2チャンバ5ならびに中間チャンバ8における圧力は大気圧よりも低圧である。第1開口部2”および第2開口部3”は、閉塞されかつ相応に密閉される。
【0026】
本発明にかかる方法、たとえば第2チャンバ5および中間チャンバ8の間の圧力調節のため、第2開口部3が中間チャンバ8に対して開放され、換気バルブ20が開放されることにより第2チャンバ5における高圧状態が実現される。これにより第2閉塞要素7が第2バルブシート11から離間し、縦駆動機構9および中間チャンバ8の現在圧力によって第2閉塞要素7に対して閉位置に向かう方向に作用する力よりも強い、第2チャンバ5における圧力が作用する。
【0027】
第2閉塞要素7による開放のため、第2チャンバ5における高圧力により第2閉塞要素7が第2開口部3の指定領域14に一致する中間位置に動かされる。中間位置において、第2チャンバ5および中間チャンバ8の間の圧力が調節される。第2チャンバ5が大気圧よりも高圧に調節され、通常の技術的手法によって中間チャンバ8を大気圧に調節することが可能である。これにより、バルブ1のクリーニング作業、メンテナンス作業または点検作業など、バルブ1が開放される必要がある作業が実行され、その後、中間チャンバ8が第2チャンバ5を通じて大気圧に調節される。
【0028】
第2チャンバ5の高圧力によって第2閉塞要素7を第2バルブシート11から離間させ、その結果として第2チャンバ5および中間チャンバ8の間の圧力が調節される間、第1開口部2を閉塞している第1閉塞要素6は第1バルブシート10に対して押し付けられている状態が維持される。当該押し付け状態は、縦駆動機構9および中間チャンバ8の圧力のうち一方または両方によって実現される。
【0029】
第2チャンバ5および中間チャンバ8の間の圧力調節とは異なる慣用技術にしたがって、第1閉塞要素6が第1チャンバ4の高圧によって第1バルブシート10から離間している状態で第1チャンバ4および中間チャンバ8の間の圧力調節が実行されてもよい。当該圧力は基本的には大気圧とは相違している必要がある。当該圧力は大気圧よりも低圧であっても高圧であってもよい。第1チャンバ4または第2チャンバ5の圧力のためポンプ(図示略)が設けられていてもよい。
【0030】
図6には、バルブ1を通じて接続されている第1プロセスチャンバ4および第2プロセスチャンバ5が示されている。バルブ1は
図1〜
図5に示されている構成を有する。
図7には、複数のバルブおよび複数のチャンバの連結構造を通る断面線A−Aに沿った縦断面図が示されている。本発明に係る方法が描くバルブ1に対して適用される。
図8には、第1チャンバ4および当該第1チャンバ4に対して放射状に配置された複数の第2チャンバ5が示されている。第1チャンバ4および各第2チャンバ5はバルブ1を介して
図8に示されている態様で接続されている。
図9には、断面線B−Bに沿った断面図が示されている。当該実施形態においても本発明の技術的手法が適用される。
【0031】
図2〜
図9においてポンプ19、換気バルブ20および切替バルブ21は示されていないが、これは単に簡略化のためである。
図1に示されているようにまたは技術常識にしたがってポンプ19、換気バルブ20および切替バルブ21が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1‥バルブ、2、2’、2”‥第1開口部、3、3’、3”‥第2開口部、4‥第1チャンバ、5‥第2チャンバ、6‥第1閉塞要素、7‥第2閉塞要素、8‥中間チャンバ(バルブハウジングの内部空間)、9‥縦駆動機構、10‥第1バルブシート、11‥第2バルブシート、12‥支持要素、13‥横駆動機構、14‥指定領域、15‥バルブハウジング、16‥搬送方向、17‥ロッド、18‥シール部材、19‥ポンプ、20‥換気バルブ、21‥切替バルブ。