(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746416
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】エレベータの引張部材
(51)【国際特許分類】
B66B 7/06 20060101AFI20150618BHJP
D07B 1/10 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
B66B7/06 A
D07B1/10
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-501047(P2014-501047)
(86)(22)【出願日】2011年3月21日
(65)【公表番号】特表2014-514993(P2014-514993A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】US2011029183
(87)【国際公開番号】WO2012128753
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ウェッソン,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ゴパル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤチャンドラン,ヴィジェイ
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−507349(JP,A)
【文献】
特表2003−507286(JP,A)
【文献】
国際公開第02/064480(WO,A1)
【文献】
米国特許第4457968(US,A)
【文献】
特開平07−267534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/06
D07B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、
前記1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットと、
を備え、
少なくとも1つの前記1つまたは複数のコードは、前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備え、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記1つまたは複数のコードの少なくとも1つのコードの外周側縁部に配置されることを特徴とするエレベータかごを吊り下げるおよび/または駆動するベルト。
【請求項2】
1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、
前記1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットと、
を備え、
少なくとも1つの前記1つまたは複数のコードは、前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備え、
少なくとも数個の前記複数のワイヤが、中心ストランドに配置され、該中心ストランドは、前記1つまたは複数のコードのコード中心に実質的にあるように配置され、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記中心ストランドに実質的に当接して配置されることを特徴とするベルト。
【請求項3】
エレベータかごと、
1つまたは複数のシーブと、
前記エレベータかごを吊り下げるおよび/または駆動するように、前記エレベータかごに作用的に接続されるとともに前記1つまたは複数のシーブと相互作用する1つまたは複数のベルトと、
を備え、
前記1つまたは複数のベルトの各ベルトは、
1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、
前記1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットと、
を備え、
少なくとも1つの前記1つまたは複数のコードは、前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備え、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記1つまたは複数のコードの少なくとも1つのコードの外周側縁部に配置されることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項4】
エレベータかごと、
1つまたは複数のシーブと、
前記エレベータかごを吊り下げるおよび/または駆動するように、前記エレベータかごに作用的に接続されるとともに前記1つまたは複数のシーブと相互作用する1つまたは複数のベルトと、
を備え、
前記1つまたは複数のベルトの各ベルトは、
1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、
前記1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットと、
を備え、
少なくとも1つの前記1つまたは複数のコードは、前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備え、
少なくとも数個の前記複数のワイヤが、中心ストランドに配置され、該中心ストランドは、前記1つまたは複数のコードのコード中心に実質的にあるように配置され、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記中心ストランドに実質的に当接して配置されることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項5】
1つまたは複数のストランドへと配置された複数のワイヤと、
前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントと、
を備えた、エレベータで用いられる、ベルトを吊り下げるおよび/または駆動するコードであって、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記コードの外周側縁部に配置されることを特徴とするコード。
【請求項6】
1つまたは複数のストランドへと配置された複数のワイヤと、
前記複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントと、
を備えた、エレベータで用いられる、ベルトを吊り下げるおよび/または駆動するコードであって、
少なくとも数個の前記複数のワイヤが、中心ストランドに配置され、該中心ストランドは、前記コードの中心に実質的にあるように配置され、
少なくとも数個の前記複数の非荷重支持充填材フィラメントが、前記中心ストランドに実質的に当接して配置されることを特徴とするコード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張部材に関し、例えば、エレベータかごおよび/またはカウンタウエイトを吊り下げるおよび/または駆動するエレベータシステムにおいて用いられる引張部材に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの引張部材が、一般に、1つまたは複数のコードを備えており、該1つまたは複数のコードは、幾何学的に安定した構成で配置された複数の鋼製ワイヤから形成される。ワイヤの直径により、特定の数の幾何学的に安定した構成のみが可能である。コードは、弾性ジャケット材料に少なくとも部分的に取り囲まれた複数のコードを有したベルトへと配置されることが多い。ベルト構成では、付加的な接着剤が用いられなければ、鋼製コード材料と、ジャケット材料を有した個々のコードワイヤとの間の相互作用が、コードとジャケットとの付着および結合の第1の基礎である。コード構造体内の隙間を充填し、コード構造体が「開かれる」ようにし、コード構造体へのジャケット材料の流れをより良くしてジャケットとコードとの付着の増加を促進するように、コード構造体に、「充填ワイヤ」としても知られている比較的小型の鋼製ワイヤを付加することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直径の小さい鋼製充填ワイヤを付加すると、付加的な製造ステップが加わり、これに伴いコストが増加する。さらに、鋼製充填ワイヤにより、コードの剛性が増加し、これにより、曲げ応力が高くなり、コードの寿命が減少する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの特徴では、エレベータかごを吊り下げるおよび/または駆動するベルトが、1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、該1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットとを備えている。少なくとも1つの1つまたは複数のコードは、複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備えている。
【0005】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、少なくとも数個の複数のワイヤが、複数のストランドに配置され、該複数のストランドは、1つまたは複数のコードへと配置される。
【0006】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、少なくとも数個の複数の非荷重支持充填材フィラメントが、1つまたは複数のコードの少なくとも1つのコードの外周側縁部に位置している。
【0007】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、少なくとも数個の複数のワイヤが、中心ストランドに配置され、該中心ストランドは、1つまたは複数のコードのコード中心に実質的にあるように位置している。
【0008】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、少なくとも数個の複数の非荷重支持充填材フィラメントが、中心ストランドに実質的に当接して位置している。
【0009】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、少なくとも数個の複数の非荷重支持充填材フィラメントが、中心ストランドを形成するように配置され、中心ストランドは、1つまたは複数のコードのコード中心に実質的にあるように位置している。
【0010】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、複数の非荷重支持充填材フィラメントは、有機質繊維または紡ぎ糸から形成される。
【0011】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、有機質繊維または紡ぎ糸は、ポリアミド材料から構成される。
【0012】
また、本発明のこの特徴または他の特徴では、複数の充填材フィラメントの融解温度または軟化温度は、ジャケットの融解温度よりも低い。
【0013】
本発明の他の特徴では、エレベータシステムは、エレベータかごと、1つまたは複数のシーブと、エレベータかごを吊り下げるおよび/または駆動するように、エレベータかごに作用的に接続されるとともに1つまたは複数のシーブと相互作用する1つまたは複数のベルトとを備えている。1つまたは複数のベルトの各ベルトは、1つまたは複数のコードへと配置された複数のワイヤと、1つまたは複数のコードを実質的に保持するジャケットとを備えている。少なくとも1つの1つまたは複数のコードは、複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントを備えている。
【0014】
本発明の別の特徴では、エレベータで用いられる、ベルトを吊り下げるおよび/または駆動するコードが、1つまたは複数のストランドへと配置された複数のワイヤと、該複数のワイヤの隣接したワイヤの間に配置された複数の非荷重支持充填材フィラメントとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】1対1のローピング構成を有した例示的なエレベータシステムの概略図である。
【
図1B】異なるローピング構成を有した他の例示的なエレベータシステムの概略図である。
【
図1C】片持ち構成を有した他の例示的なエレベータシステムの概略図である。
【
図3】エレベータベルトの従来技術のコードを示した断面図である。
【
図4】エレベータベルトのコードの実施例を示した断面図である。
【
図5】エレベータベルトのコードの他の実施例を示した断面図である。
【
図6】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図7】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図8】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図9】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図10】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図11】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【
図12】エレベータベルトのコードの別の実施例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1A、
図1Bおよび
図1Cには、例示的なトラクション式エレベータシステム10が概略的に示されている。本明細書では、本発明を理解するのに必要でないエレベータシステム10の特徴部(例えば、ガイドレールおよび安全装置等)は、説明されていない。エレベータシステム10は、エレベータかご12を備えており、該エレベータかご12は、1つまたは複数のベルト16を用いて昇降路14内に作用的に吊り下げられている、または支持されている。1つまたは複数のベルト16は、エレベータシステム10の種々の構成要素の周囲に置くべき1つまたは複数のシーブ18と相互作用する。1つまたは複数のベルト16は、カウンタウエイト22にも接続され得るものであり、カウンタウエイト22は、動作中に、エレベータシステム10の均衡をとり、トラクションシーブの両側にかかるベルトの張力の差を減少させることを補助するように用いられる。
【0017】
シーブ18は、直径20をそれぞれ備えており、該直径20は、エレベータシステム10の他のシーブ18の直径と同様であるか、または異なり得る。少なくとも1つのシーブ18は、駆動シーブとされ得る。駆動シーブは、マシン50によって駆動される。マシン50によって駆動シーブが動くと、駆動シーブの周囲に置かれた1つまたは複数のベルト16が、(牽引力によって)移動するおよび/または進む。
【0018】
少なくとも1つのシーブ18は、ダイバータ、デフレクタまたはアイドラシーブとされ得る。ダイバータ、デフレクタまたはアイドラシーブは、マシン50によって駆動されないが、エレベータシステム10の種々の構成要素の周囲に1つまたは複数のベルト16を案内することを補助する。
【0019】
ある実施例では、エレベータシステム10は、エレベータかご12を吊り下げるおよび/または駆動する2つ以上のベルト16を使用し得る。さらに、エレベータシステム10は、(
図1A、
図1Bまたは
図1Cの例示的なエレベータシステムで示されているように)1つまたは複数のベルト16の両側が1つまたは複数のシーブ18と係合するか、または1つまたは複数のベルト16の一方の側のみが1つまたは複数のシーブ18と係合するように、種々の構成を備え得る。
【0020】
図1Aには、1対1のローピング構成が提供されており、この1対1のローピング構成においては、1つまたは複数のベルト16が、かご12およびカウンタウエイト22で終端している。また、
図1Bおよび
図1Cには、異なるローピング構成が提供されている。特に、
図1Bおよび
図1Cは、かご12および/またはカウンタウエイト22が、1つまたは複数のベルト16と係合するかご12および/またはカウンタウエイト22上の1つまたは複数のシーブ18を備えることができ、1つまたは複数のベルト16は、他の場所、一般には、(例えば、マシンルームレスエレベータシステムの)昇降路14内の構造体、または(マシンルームを用いたエレベータシステムの)マシンルーム内の構造体で終端することができる。構成において用いられるシーブ18の数は、特定のローピング比(例えば、
図1Bおよび
図1Cに示される2対1のローピング比または異なる比)を決定する。また、
図1Cには、いわゆるリュックサック式または片持ち式エレベータが提供されている。本発明は、
図1A、
図1Bまたは
図1Cに示した例示的な形式以外のエレベータシステムにも使用され得る。
【0021】
図2には、例示的なベルト構成または設計の概略図が提供されている。各ベルト16は、ジャケット26内の1つまたは複数のコード24で構成されている。ベルト16のコード24は、全て同様のものとすることができ、またはベルト16で用いられるコード24の数個または全ては、他のコード24と異なるものとすることができる。例えば、1つまたは複数のコード24は、他のコード24とは異なる構成または大きさを備えることができる。
図2に見られるように、ベルト16は、1よりも大きいアスペクト比を有している(つまり、ベルトの幅が、ベルトの厚さよりも大きい)。
【0022】
エレベータかご12を吊り下げるおよび/または駆動するための強度要求を満たすことができるのに十分な強さとしつつ、低い曲げ応力を提供し、ベルトの寿命の要求を満たし、円滑な動作を有するために、ベルト16は、1つまたは複数のシーブ18を越えて移動するときに十分な柔軟性を有するように構成される。
【0023】
ジャケット26は、適切な材料とすることができ、該適切な材料は、単一の材料、複数の材料、同様の材料または異なる材料を用いた2つ以上の層および/またはフィルムを備えている。1つの構成では、ジャケット26は、例えば、押し出しまたは成形ホイールプロセスを用いてコード24に塗布されるエラストマのようなポリマとされ得る。他の構成では、ジャケット26は、コード24と係合するおよび/またはコード24を組み込む織布とされ得る。付加的な構成としては、ジャケット26は、組み合わされた1つまたは複数の前述の代替物とされ得る。
【0024】
ジャケット26は、その内部でコード24を実質的に保持することができる。実質的に保持するという言葉は、安全装置の付加的な要因を潜在的に伴うエレベータシステム10の使用中に生じ得る負荷がベルト16にかかっているときに、コード24がジャケット26から抜けない、ジャケット26から取り外されないおよび/またはジャケット26を通り抜けないように、ジャケット26がコード24と十分に係合することを意味する。つまり、コード24は、エレベータシステム10での使用中に、ジャケット26に対してコード24の初期の位置に留まっている。ジャケット26は、(
図2に示されているように)コード24を完全に取り囲むか、コード24を実質的に取り囲むか、またはコード24を少なくとも部分的に取り囲み得る。
【0025】
図3を参照すると、各コード24は、幾何学的に安定した配置において複数のワイヤ28を備えている。ワイヤ28は、鋼または他の荷重支持材料から形成される。鋼製ワイヤ28は、コード24の引張強さを提供し、コード24の曲げ応力を決定し、この曲げ応力は、コード24の寿命を決定する。任意選択的に、ワイヤ28の数個または全てが、ストランド30へと形成され、該ストランド30は、次に、コード24へと形成され得る。幾何学的に安定した配置という言葉は、ワイヤ28(および用いられるのであればストランド30)が、コード24内のワイヤの理論上の位置に大体留まっていることを意味する。つまり、互いに対するワイヤ28(および用いられるのであればストランド30)の移動が制限されている。例えば、ワイヤ28の相対的な移動は、その直径の約30%よりも小さく制限され得る。ストランド30の相対的な移動は、その直径の約5%よりも小さく制限され得る。
【0026】
図4には、コード24の例示的な実施例が示されている。
図4の実施例では、コード24は、複数の充填材フィラメント32をさらに備えている。充填材フィラメント32は、コード24の非荷重支持構成要素であり、例えばナイロン(ポリアミド)ポリエステル材料からなる有機質繊維または紡ぎ糸から形成され得る。充填材フィラメント32を、モノフィラメント(単一の繊維)、連続的なマルチフィラメント(複数の繊維)または複数の非連続的な繊維から紡がれた紡ぎ糸からそれぞれ構成することができる。充填材フィラメント32は、荷重を支持しないようにコード24内に構成されるとともに配置され得る。充填材フィラメント32は、コード24の構造体を開くとともに安定させるように、コード24内に配置される。「開く」は、充填材フィラメント32を含むことにより、コード24の2つ以上のワイヤ28の間の隙間が増加することを意味する。コード24の構造体を開くことにより、コード24への(
図2に示された)弾性ジャケット26材料の浸透の増加を促進し、これにより、コード24とジャケット26材料との間の付着が向上する。さらに、有機質繊維または紡ぎ糸の充填材フィラメント32は、従来技術に対してコード24とジャケット26との間の付着をより向上させつつ、鋼よりも弾性ジャケット26との強い結合を形成する。さらに、コード24内に充填材フィラメント32を含むことにより、フレッチングによるコード24の摩耗が減少する。
【0027】
特に、
図4の実施例では、コード24は、6個のストランド30を備えており、該ストランド30の各々は、中心部34の周囲に配置された7個のワイヤ28を備えている。中心部34は、複数の充填材フィラメント32を備えており、本実施例では、7つの充填材フィラメント32を備えている。さらに、付加的な充填材フィラメント32が、例えば、コード24の周縁部の隣接したストランド30の間に配置される。
【0028】
図5には、コード24の他の例示的な実施例が示されている。本実施例では、12個の外周側ワイヤ28が、中心ストランド30の周囲に配置されており、該中心ストランド30は、7個のワイヤ28を備えている。充填材フィラメント32は、コード24の周縁部に実質的にある外周側ワイヤ28の間に配置されている。
【0029】
図6には、他の例示的な実施例が示されている。本実施例は、中央ストランド30を備えており、中央ストランド30は、3個のワイヤ28を有している。中央ストランド30は、内周側リング36によって取り囲まれており、該内周側リング36は、6個のワイヤ28を備えている。内周側リング36は、外周側リング38によって取り囲まれており、外周側リング38は、12個のワイヤ28を備えている。充填材フィラメント32は、中央ストランド30と内周側リング36との間に位置している。さらに、付加的な充填材フィラメント32は、内周側リング36のワイヤ28と外周側リング38のワイヤ28との間に位置している。ある実施例では、付加的な充填材フィラメント32は、コード24の周縁部の外周側リング38のワイヤ28の間に配置される。
【0030】
図7には、コード24の別の例示的な実施例が示されている。
図7の実施例は、中心部34を備えており、該中心部34は、3個の充填材フィラメント32を備えている。中心部34は、内周側リング36によって取り囲まれており、該内周側リング36は、5個のワイヤ28を備えている。内周側リング36は、外周側リング38によって取り囲まれており、外周側リング38は、9個のワイヤ28を備えている。付加的な充填材フィラメント32は、外周側リング38の隣接したワイヤ28の間、内周側リング36のワイヤ28の間および内周側リング36と外周側リング38との間に位置している。
【0031】
図8を参照すると、ある実施例では、中心部34は、内周側リング36によって取り囲まれており、内周側リング36は、6個のワイヤ28を備えている。内周側リング36は、外周側リング38によって取り囲まれており、該外周側リング38は、9個のワイヤ28を備えている。この実施例では、付加的な充填材フィラメント32は、コード24の周縁部に実質的にある外周側リング38の隣接したワイヤ28の間に位置している。
【0032】
図9〜
図11には、コード24の実施例が示されており、これらの実施例は、6個のワイヤ28を有した中心ストランド30を備えており、これらのワイヤ28は、中心ワイヤ28を取り囲む。
図9の実施例は、中心ストランド30を取り囲む6個の充填材フィラメント32を有してなるフィラメントリング40と、該フィラメントリング40を取り囲む12個のワイヤ28を有した外周側リング38とを備えている。
図10の実施例では、中心ストランド30が、外周側リング38によって取り囲まれており、該外周側リング38は、9個のワイヤ28を備えている。充填材フィラメント32は、外周側リング38の隣接したワイヤ28の間に実質的に配置されており、図示したある実施例では、対(または3つ以上)の充填材フィラメント32は、隣接したワイヤ28の間に位置している。
図11の実施例は、中心ストランド30を取り囲む12個のワイヤ28からなる外周側リングを備えている。充填材フィラメント32は、中心ストランド30と外周側リング38との間に配置されており、さらに、コード24の周縁部における外周側リング38の隣接したワイヤ28の間にも配置されている。
【0033】
図12には、別の例示的な実施例が示されている。本実施例は、中心ストランド30を備えており、中心ストランド30は、1つまたは複数の充填材フィラメント32を有している。中心ストランド30を取り囲む内周側リング36が、5個のワイヤ28を備えている。外周側リング38が、内周側リング36を実質的に取り囲んでおり、10個のワイヤ28を備えている。複数の充填材フィラメント32、図示した実施例では、5個の充填材フィラメント32が、内周側リング36と外周側リング38との間に位置している。さらに、10個の充填材フィラメント32が、コード24の周縁部における外周側リング38の隣接したワイヤ28の間に位置している。
【0034】
コード24の付加的な実施例では、充填材フィラメント32は、弾性ジャケット26材料の融解温度よりも低い融解温度または軟化温度を有するように構成されている。したがって、ジャケット26材料内にコード24を入れるための製造中には、充填材フィラメント32は、軟化または融解し、これにより、ジャケット26材料の流れがコード24の全体にわたって増加し、ジャケット26材料とコード24との付着がより良くなる。
【0035】
制限された数の実施例のみと組み合わせて本発明を説明してきたが、本発明は、上記の開示した実施例に限定されないことを容易に理解すべきである。むしろ、本発明は、その真意および範囲と釣り合うが、上述されていないあらゆる数の変更、代替物、代用物または同等の構成を組み込むように修正されることができる。さらに、本発明の種々の実施例を説明してきたが、本発明の特徴が、開示した実施例の数個のみを備え得ることを理解すべきである。したがって、本発明は、上述の説明によって限定されるように解釈されるべきではなく、付記の特許請求の範囲によって限定されるのみである。