(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746422
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】カテーテル壁内において繋止されたセンサアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0408 20060101AFI20150618BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20150618BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20150618BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
A61B5/04 300J
A61M25/00 600
A61M25/00 502
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-509287(P2014-509287)
(86)(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公表番号】特表2014-518701(P2014-518701A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】US2012023353
(87)【国際公開番号】WO2012150974
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】13/098,969
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506257180
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホール サッシャ シー.
(72)【発明者】
【氏名】テッグ トロイ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】モナハン ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス サロメ エー.
(72)【発明者】
【氏名】カウプシュマン ジェイムス ブイ.
【審査官】
杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−514947(JP,A)
【文献】
特表2006−504473(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/085374(WO,A1)
【文献】
特開2011−005251(JP,A)
【文献】
特開平11−267095(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/055651(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/012511(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0094226(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00−1/32
5/04−5/053
8/12
13/00−18/18
A61F2/01
2/82−2/97
A61M25/00−25/08
25/09−25/095
25/10
25/14
27/00−29/04
35/00
36/04
37/00
39/10
39/20−39/22
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を有する細長い医療装置用の遠位チップアッセンブリであって、
近位端部、遠位端部、壁、及び前記近位端部と前記遠位端部との間において軸方向に延在する中央管腔を有するシャフトと、
外側スリーブ内に配設された位置センサと、
を有し、
前記スリーブは、前記壁内において少なくとも部分的に配設されると共に、前記シャフトの変形可能な部分において前記壁に対して実質的に固定されており、且つ、前記スリーブは、前記位置センサを前記壁から実質的に分離しており、
前記位置センサは、前記シャフトの前記変形可能な部分の変形に応じて前記スリーブ内において移動するように構成されている、遠位チップアッセンブリ。
【請求項2】
前記シャフトの前記遠位端部に結合されたチップ電極を更に有する請求項1に記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項3】
前記シャフトの前記遠位端部を通じて延在する形態ワイヤを更に有し、前記ワイヤは、前記遠位端部用の予め規定された形状を確立するように構成されている請求項1又は2に記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項4】
前記形態ワイヤは、形状記憶合金を有する請求項3に記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項5】
前記位置センサは、コアと、前記コアの周りに巻回された導電性コイルと、を有し、且つ、前記コアは、第1軸方向長さを有し、前記外側スリーブは、第2軸方向長さを有し、前記第2軸方向長さは、前記第1軸方向長さを上回っており、且つ、前記外側スリーブは、前記コイル及び前記コアを周方向において取り囲んでいる請求項1〜4のいずれかに記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項6】
前記装置の前記軸は第1軸であり、前記コアは、前記第1軸からオフセットされた第2軸を有する請求項5に記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項7】
前記位置センサと前記細長い医療装置の近端との間において電気信号を搬送するように構成された1つ又は複数のワイヤを更に有し、前記ワイヤは、インターフェイスにおいて前記センサに結合されおり、前記インターフェイスは、
第1接触パッドと、
第2接触パッドと、
前記第1接触パッドと前記第2接触パッドとの間に電気的接続を提供するように構成された導電性トレースと、
を有する請求項1〜6のいずれかに記載の遠位チップアッセンブリ。
【請求項8】
軸を有する細長い医療装置であって、
壁を有する遠位端部及び中央管腔を有し、前記軸に沿って延在するシャフトと、
前記壁との間の相対的な運動を許容するように前記壁内に配設された位置センサと、
前記シャフトの前記遠端に結合されたチップ電極と、
前記遠位端部の形状を選択的に規定するように構成された形態ワイヤと、
を有する細長い医療装置。
【請求項9】
前記シャフトの半径方向の外側に配設された1つ又は複数のリング電極を更に有する請求項8に記載の細長い医療装置。
【請求項10】
前記形態ワイヤは、前記軸に対して実質的に垂直のプレーンに沿って前記遠位端部を曲げるように構成されている請求項8又は9に記載の細長い医療装置。
【請求項11】
前記形態ワイヤは、前記曲げるように構成された部分の半径を手動調節するための偏向要素として構成されている請求項10に記載の細長い医療装置。
【請求項12】
変形可能なシャフトを備えて、軸を有する細長い医療装置用の遠位チップアッセンブリを製造する方法であって、
第1シャフト層を設けるステップと、
前記細長い医療装置の遠位端部において、前記第1シャフト層上に位置センサアッセンブリを配置するステップであって、前記位置センサアッセンブリは、管状コアと、前記コア上に巻回された導電性コイルと、前記コア及び前記コイルを取り囲む外側スリーブと、を有する、ステップと、
前記位置センサアッセンブリ及び前記第1シャフト層の半径方向の外側に第2シャフト層を適用するステップと、
前記先端アッセンブリにリフローラミネーションプロセスを適用するステップであって、前記第1シャフト層及び前記第2シャフト層は前記変形可能なシャフトを備えており、前記スリーブの外側表面に接合し、且つ、前記コイル及び前記コアは、前記スリーブ内においてシフトすることができる、ステップと、
を有する方法。
【請求項13】
前記コイルを1つ又は複数のワイヤに結合するステップと、
前記1つ又は複数のワイヤを前記位置センサアッセンブリから前記近端に向かって軸方向において延在させるステップと、
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
チップ電極を前記遠位端部の最遠端に結合するステップと、
前記第1シャフト層の半径方向の内側に形態ワイヤを配置するステップと、
前記形態ワイヤを前記チップ電極に結合するステップと、
を更に有する請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1シャフト層及び前記第2シャフト層はエラストマーを有する、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記外側スリーブは、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を有する請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年5月2日に出願され、参照によりその全体が本願に組み込まれる米国特許出願第13/098,969号に基づく優先権を主張する。
本開示は、医療装置用の一群の位置決めセンサと、圧縮及び引張力並びにこれらに類似したものに起因した潜在的な損傷を回避するべく医療装置上において電磁位置決めセンサを取り付ける方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓や循環系の別の場所などの患者身体の内外における様々な診断及び治療手技は、電気生理学(EP:ElectroPhysiology)カテーテルを身体の管腔に挿入した後に、診断又は治療EPカテーテルをターゲットの解剖構造部位にナビゲートすることにより、実行又は促進することができる。EPカテーテルは、治療(例えば、アブレーション)、診断、又はその他の目的のために使用される1つ又は複数の電極を含むことができる。
【0003】
特定の手技においては、EPカテーテルの遠端が、例えば、特定の湾曲部又は形状を有するか、一方向又は双方向の偏向要素を含むことが望ましい。例えば、上肺静脈などの心臓の又は心臓周辺の脈管構造の特定の部分に対するいくつかのアブレーション又はマッピング手技は、その遠位端部に投げ縄又は螺旋の形状を有するEPカテーテルを使用することにより、単純化することができる。望ましい形状を実現するために、EPカテーテルは、1つ又は複数の形態ワイヤを内蔵することが可能であり、これらの形態ワイヤは、望ましい形状に予め形成することが可能であり、カテーテルをターゲットの解剖構造部位にガイドするように(例えば、負荷の印加によって)変形させることが可能であり、次いで、形態ワイヤ、従って、カテーテルが、予め形成された望ましい形状に戻るように、負荷を除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カテーテルをターゲットの解剖構造部位までナビゲートするための1つ又は複数の電磁界(位置)センサを含むように、まっすぐなEPカテーテル(即ち、形態ワイヤを有していないもの)を構成することも知られている。このようなまっすぐなEPカテーテルは、センサに基づいたナビゲーション機能は可能とするが、特定のEP手技に対しては、成形されたEPカテーテルと同じ適用性を有してはいない。
【0005】
従って、上述の問題点のうちの1つ又は複数の問題点を極小化又は除去する、形態ワイヤと、1つ又は複数の電磁位置センサと、を内蔵するカテーテルに対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、位置決めシステムと共に使用するべく構成された細長い医療装置を対象としている(即ち、装置は、インピーダンス検知電極、金属/磁気応答コイル、及び/又は音響応答素子又はこれらに類似したものなどの少なくとも1つの位置センサを有する)。軸を有する例示用の細長い医療装置用の遠位端部アッセンブリは、近位端部と、遠位端部と、壁と、近位端部と遠位端部との間において軸方向に延在する中央管腔と、を有するシャフトを含む。アッセンブリは、外側スリーブ内に配設されると共に/又は応力低減フレックス回路又はその他の部材に結合された電磁位置センサ、インピーダンス検知電極、及び音響応答素子のうちの1つを更に含む。スリーブがセンサを壁から実質的に分離しており、この結果、センサが、スリーブ、壁、又はセンサ用の任意の繋留場所に対して潜在的にシフトすることができるため、センサに対して加えられる機械的応力が低減される。スリーブは、少なくとも部分的に壁内に配設され、且つ、応力解放構成において壁に固定されている。又、一実施形態においては、アッセンブリは、望ましい予め形成された形状を提供するための形態ワイヤをも含む装置に内蔵されている。上述のスリーブ内にセンサを有する構成(sensor−in−sleeve arrangement)により、センサは、医療手技において使用されるべく組み立てられた際に、形態ワイヤ又はその他の偏向メカニズムに対して移動する(move)ことができる。この許容された移動により、センサが壁内において堅固に固定されている場合に通常発生しうるセンサに対する損傷が回避される。
【0007】
例示的な装置用の遠位チップアッセンブリを製造する方法は、第1シャフト層を提供するステップと、細長い医療装置の遠位端部において、第1シャフト層上に位置センサアッセンブリを配置するステップと、を含むいくつかのステップを含む。位置センサアッセンブリは、管状コアと、前記コア上に巻回された導電性コイルと、コア及びコイルを取り囲む外側スリーブと、を含む。方法は、位置センサアッセンブリの及び第1シャフト層の半径方向の外側に第2シャフト層を適用するステップと、先端アッセンブリにリフローラミネーションプロセスを適用するステップと、を更に含む。リフローラミネーションプロセスにおいて、第1シャフト層及び第2シャフト層は、スリーブの外側表面に接合し、且つ、コイル及びコアは、スリーブ内においてシフトすることができる。
【0008】
これらの及びその他の利益、特徴、及び能力は、本明細書において図示、記述、及び特許請求されている構造、システム、及び方法に従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】人間の心臓内における遠位投げ縄部分を有する細長い医療装置の第1実施形態の概略図である。
【
図2-6】
図1に示されている装置用の遠位チップアッセンブリを製造する方法を示す。
【
図7】
図5に示されている製造段階における第1実施形態の遠位チップアッセンブリの平面図である。
【
図8-8A】第1実施形態の遠位チップアッセンブリの断面図である。
【
図10】
図9のライン10−10に実質的に沿って取得した第1実施形態の最遠端の断面図である。
【
図11】近位端部を含む第1実施形態の等角図である。
【
図12】外側ジャケットの一部分が切り取られた状態におけるフレックス回路を有する細長い医療装置の別の実施形態の遠位部分の側面図である。
【
図13】
図12のライン13−13に実質的に沿って取得した細長い医療装置の一実施形態の断面図である。
【
図14】本開示によるフレックス回路の一実施形態の様々な等角図及び平面図である。
【
図15】本開示によるフレックス回路の一実施形態の様々な等角図及び平面図である。
【
図16】本開示によるフレックス回路の一実施形態の様々な等角図及び平面図である。
【
図17】本開示によるフレックス回路の一実施形態の様々な等角図及び平面図である。
【
図18】本開示によるフレックス回路の一実施形態の平面図である。
【
図19】本開示によるフレックス回路の一実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、様々な図において同一の参照符号を使用して同一の構成要素を識別している添付図面を参照すれば、
図1は、細長い医療装置10の第1実施形態の概略図である。カテーテルとして示されている装置10は、人間の心臓12の左心房内に配設されている。図示のように、装置10は、少なくとも1つの電磁的位置センサ、インピーダンス位置センサ、又は音響に基づいた位置センサを内蔵した螺旋状の電気生理学(EP)マッピングカテーテルを有しているが、本発明は、螺旋状のEP切除カテーテル、別のEPカテーテル、又は電磁位置センサが有用である別の医療装置に伴うその用途を見出すことができる。カテーテル10などの螺旋状のマッピングカテーテルは、上肺静脈14などの人間の心臓の流入及び排出地点をマッピングするために、且つ、人間の脈管構造のその他の部分のために、特に有用であろう。EPマッピングカテーテルは、「System and Method for Mapping Electrophysiology Information Onto Complex Geometry」という名称の、本出願人に譲渡された米国特許第7,774,051号明細書に更に詳細に記述されているように、EPデータを収集するために心臓及び脈管構造内において使用することが可能であり、この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。装置10、又は電磁位置センサ及び/又はEP電極を利用するその他の装置は、例えば、St. Paul, Minnesotaに所在するSt. Jude Medical Inc.社によって販売されると共に本開示の譲受人に譲渡されたHauck他に対する「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」という名称の米国特許第7,263,397号明細書を参照することによって概略的に観察することができるENSITE NavX(商標)ソフトウェアの1つのバージョンを稼働させるENSITE VELOCITYシステムなどの様々なナビゲーション及びマッピングシステムと共に使用することが可能であり、この特許文献の内容も、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。又、装置10は、空間内においてカテーテルを検出/ナビゲートするための(且つ、視覚化するための)その他の既知の技術に伴う用途を見出すことも可能であり、これらの技術には、例えば、Biosense Webster, Inc.社のCARTO視覚化及びロケーションシステム(例えば、「System for Determining the Location and Orientation of an Invasive Medical Instrument」という名称の米国特許第6,690,963号明細書によって例示されているものであり、この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される)、Haifa, Israelに所在するMediGuide Ltd.社からの技術に基づいていると共にいまやSt. Jude Medical, Inc.社によって所有されているgMPSシステムなどの磁界に基づいたローカリゼーションシステムであるNorthern Digital Inc.社のAURORA(登録商標)システム(例えば、米国特許第7,386,339号、第7,197,354号、及び第6,233,476号明細書によって例示されているものであり、これらの特許文献の内容は、いずれも、引用により、そのすべてが本明細書に包含される)、又はBiosense Webster, Inc.社のCARTO3視覚化及びロケーションシステムなどのハイブリッド型の磁界−インピーダンスに基づいたシステム(例えば、米国特許第7,536,218号及び第7,848,789号明細書によって例示されているものであり、これらの特許文献の内容は、いずれも、引用により、そのすべてが本明細書に包含される)が含まれる。
【0011】
1つ又は複数の形態ワイヤを利用したEPカテーテルは、カテーテルを上述の技術のうちの1つ又は複数の技術によってターゲットの解剖構造部位までナビゲートするべく、1つ又は複数の電磁位置センサを含むことができる。カテーテルの空間制約の範囲内における感度の犠牲を伴わない電磁コイルセンサの組立には、様々な設計及び製造上の課題が伴っている。そのような課題の1つが、カテーテルのシャフトに対して且つ電磁センサなどのシャフト内に配設された構成要素に対して応力を印加しうる方式で形態ワイヤによって屈曲可能なカテーテルの一部分内にセンサを内蔵するということである。
【0012】
図2〜
図6は、装置10用の電磁位置センサを有する遠位チップアッセンブリ40の製造方法の様々な構築段階におけるリフローマンドレルアッセンブリの概略側部断面図である。材料のいくつかの層と層との間にギャップが示されているが、このようなギャップは、視覚的明瞭性のために示されており、且つ、実際の製造プロセス及び最終的な製品内に存在する可能性も存在しない可能性もあるということを理解されたい。
図2〜
図6に示されている要素は、必ずしも縮尺が正確ではない。更には、「アッセンブリ40」は、本明細書においては、組立及び構築されている途中の遠位チップアッセンブリと完成した遠位チップアッセンブリの両方を意味するべく使用されている。
【0013】
図2は、中心軸「A」と、遠位端部18と、近位端部20と、を有するマンドレル16を示している。マンドレル16は、半径方向の断面を円形とすることができ、且つ、製造対象の細長い医療装置又はその一部分の観点において、望ましい長さを有することができる。マンドレル16は、材料の適用及び除去を円滑に実行するために溝を有することも、滑らかとすることもできる。
【0014】
図3に示されているように、まず、マンドレル16上に第1シャフト層22の第1セグメント22
1を配置することができる。第1シャフト層22は、複数のセグメント22
1、22
2、22
3から構成することができる(
図5及び
図6に最良に示されている)。第1シャフト層22は、限定されるものではないが、適切な硬度、溶解温度、及び/又はその他の特性を有するArkema inc.社のPEBAX(登録商標)という商標の下に市販されているエラストマを含む、エンジニアリングナイロン樹脂及びプラスチックなどの医療装置の分野において既知の任意の適切なチューブ材料とすることができる。第1セグメント22
1は、遠位チップアッセンブリ40に内蔵されるセンサ又はセンサアッセンブリの長さに実質的に等しくなるように構成された軸方向の長さを有することができる。
【0015】
完成した装置10内における位置の検知及び装置のナビゲーションのために、位置センサアッセンブリ24を設けることができる。
図4及び図4Aに示されているように、位置センサアッセンブリ24は、第1シャフト層22の上部に配置することができる。図示の第1実施形態においては、センサアッセンブリ24は、第1セグメント22
1上に配置されている。センサアッセンブリ24は、外側保護スリーブ又はチューブ28内にセンサ26を含むことができる。センサ26は、図示のように、電磁界−検出コイルタイプのセンサとすることができる。電磁コイルセンサ26は、管状コア30と、コア30の周りに巻回された導電性コイル32と、を有することができる。コア30は、「Electromagnetic Coil Sensor for a Medical Device」という名称の同時係属中の米国特許出願第12/982,120号明細書を参照することによって観察することができるものなどの高温リフローラミネーションプロセスにおいて形状を維持するように、ポリイミドなどの相対的に高い溶解点を有するポリマーから製造された中空チューブであってもよい。この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に含まれる。コア30は、また、(
図13に示されているように)中空ではなく、非中空とすることもできる。コア30は、中心軸「B」を有することが可能であり、中心軸「B」は、マンドレルの中心軸「A」と実質的に平行であるが、これから半径方向においてオフセットされていてもよい。軸「A」は、装置10及び遠位チップアッセンブリ40の中心軸とすることができるため、センサ軸「B」は、装置10の軸「A」と実質的に平行であるが、これから半径方向においてオフセットされていてもよい。コイル32は、コア30の周りに巻回された導電性ワイヤから製造することができる。コイル32は、巻線の数やピッチ又はワイヤのタイプにおいて限定されるものではなく、センサ26の特定の用途に適するように適合させることができる。コイル32は、1つ又は複数のワイヤ36に対する接続のために、1つ又は複数の自由リード線34をその近端において有することができる。配線36はコイルリード線34に対して結合されることができ、且つ、配線36は、装置10の近位端部に向かって延在されることにより、位置決めシステム、ナビゲーションシステム、又はその他のシステムとの電気的接続を提供することができる。1つ又は複数のワイヤ36は、
図4〜
図6に示されているように、ツイストペア(TP:twisted−pair)ケーブルの形態とすることも、同軸ケーブルとすることも、当技術分野において既知の別の電気信号又は電源ケーブルとすることもできる。
【0016】
外側スリーブ28を設けることにより、完成した装置10のシャフト内にセンサ26が直接的に埋め込まれることを防止することができる。スリーブ28は、センサ26(即ち、コア30及びコイル32の両方)の軸方向の長さを超えて遠位方向及び近位方向の両方に延在することが可能であり、且つ、センサ26(この場合にも、コア30及びコイル32の両方)を完全に周方向において取り囲むことができる。スリーブ28は、第1シャフト層のセグメント22
1の長さと実質的に同一の長さを有することができる。スリーブ28は、第1シャフト層22及びその他のシャフト層とセンサ26との間に介在している延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE:expanded PolyTetraFluoroEthylene)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;PolyTetraFluoroEthylene)、ポリイミド、フッ素化エチレンプロピレン(FEP:Fluorinated Ethylene Propylene)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:PolyEther Ether Ketone)、又はその他の材料から製造することができ、この結果、高温のリフローラミネーションプロセスにおいて、これらのシャフト層によってセンサ26
(図6参照)がカプセル状に包まれると共にこれによってセンサ26がその内部において堅固に固定されることが妨げられる。スリーブ28は、周方向において封止することが可能であり、且つ、その遠端において封止することができるが、配線36又はセンサコイルリード線34がスリーブ28内に又はこれから外に延在するための孔をその近端に有することもできる。
【0017】
次いで、
図5に示されているように、第1シャフト層22の残りの部分はマンドレル16上に配置されることが可能であり、即ち、セグメント22
2及び22
3はセグメント22
1の近位及び遠位に配置されることができる。完成した装置の中央管腔内に配線36を配置することができるように、配線36を第1シャフト層のセグメント22
2の半径方向の内側に配設することが可能であり、即ち、このセグメントは、センサ26の軸方向において近位に位置している。セグメント22
2は、配線36を更に良好に示すように、軸「A」を中心として非対称な状態で示されているが、セグメント22
2は、チューブなどの実質的に対称的なセグメントとして適用することができる。セグメント22
1、22
2、22
3は、互いに異なる軸方向の長さ及び半径方向の厚さを有することも、同一の相対的な長さ及び厚さを有することもできる。上述のように、セグメント22
1の軸方向の長さは、センサ26又はセンサアッセンブリ24のサイズに対して選択することができる。セグメント22
2及び22
3の軸方向の長さは、装置10内における1つ又は複数のセンサ26の望ましい配置に従って選択することができる。セグメント22
2及び22
3は、互いに実質的に等しい厚さを有することが可能であり、これの厚さは、セグメント22
1の厚さを上回ってもよい。
【0018】
図7は、
図5と同一の構築段階において第1層のセグメント22
1上に配設された、即ち、その上部に載置された、センサアッセンブリ26の平面図である。センサコア30は、軸方向の長さL
1を有し、このL
1は、スリーブ28の軸方向の長さL
2を下回ってもよく、このL
2は、第1シャフトセグメント22
1の長さL
3に実質的に等しくてもよい。スリーブの軸方向の長さL
2は、視覚的明瞭性のために第1シャフトセグメントの長さL
3よりも小さい状態で示されているが、L
2は、L
3と実質的に同一であってもよく、或いは、場合によっては、L
3よりも大きくなり得る。
【0019】
次いで、
図6に示されているように、第1シャフト層22及びセンサアッセンブリ24を含む遠位チップアッセンブリ40全体の上方に、第2シャフト層38を配置することができる。第2シャフト層38は、第1シャフト層と同一の材料(即ち、PEBAX(登録商標)などの溶解処理ポリマー)とすることができる。第2シャフト層38は、相対的に厚い第1シャフト層22
2及び22
3と同一の半径方向の厚さを有することができる。
【0020】
第2シャフト層38をアッセンブリに追加した後に、アッセンブリにリフローラミネーションプロセスを適用することが可能であり、これには、第1シャフト層22及び第2シャフト層38が流動すると共にアッセンブリの周囲に再分配されることによってスリーブ28の外側表面と接合してスリーブ28を埋め込む時点までアッセンブリを加熱するステップを伴う。一実施形態においては、リフロープロセスは、(例えば、オーブン様の装置内において)アッセンブリを約華氏450度に加熱するステップを含むが、リフロー温度は、その他の実施形態においては、変化することできる。次いで、アッセンブリを冷却することが可能であり、その後に、第1シャフト層22及び第2シャフト層38は、一体的なシャフト42を形成している。シャフト42は、それぞれ、マンドレルの近位端部20及びマンドレルの遠位端部18と一致する近位端部及び遠位端部を有することができる。
【0021】
図8及び
図8Aは、リフローラミネーションプロセスの後の且つマンドレル16の除去の後の遠位チップアッセンブリ40を示している。シャフト42は、シャフト42の近位端部とシャフト42の遠位端部との間において軸「A」(かつては、マンドレル16の中心軸であったもの)に沿って延在する中央管腔44を有している。保護スリーブ28は、シャフト42の壁50内に埋め込むことが可能であるが、センサ26の外径(O.D.)は、センサ26がスリーブ28に対して自由に運動(例えば、シフト)する状態に留まることができるように、スリーブ28の内径(I.D.)から分離することが可能であるか、少なくともこれに対して接合されてはいない。スリーブ28のI.D.とセンサ26のO.D.との間(即ち、コイル32の外側表面)には、相対的に大きなギャップが示されているが、スリーブ28は、リフローラミネーションプロセスの後に、依然として、コイル32及びコア30がスリーブ28及び壁50に対してシフトできるようにしつつ、コイル32及びコア30に対して相対的に緊密な状態にあり得ることを理解されたい。
【0022】
図9は、遠位チップアッセンブリ40に対するチップ電極46及び形態ワイヤ48の追加(
図10に示されている)の後の装置10の遠位端部54の等角図である。形態ワイヤ48は、遠位端部54を通じて、且つ、更には、近位方向において装置10を通じて、延在することが可能であり、且つ、遠位端部54のために予め規定された形状を確立するように構成することができる。装置10内において、形態ワイヤ48は、装置の軸「A」に対して実質的に垂直のプレーンに沿って、投げ縄の形状を確立している。形態ワイヤ48は、Nitinolなどの超弾性又は形状記憶金属合金又は別の超弾性又は形状記憶材料とすることができる。形態ワイヤ48が超弾性の実施形態においては、形態ワイヤ48は、装置10の特定の部分にとって望ましい形状に予め成形することができる。装置10は、力の印加により、まっすぐにすることも、その他の方式で変形させることも可能であり、且つ、次いで、変形力の除去の後に、形態ワイヤ48の超弾性により、その予め形成された形状に戻ることができる。例えば、遠位チップアッセンブリ40は、手の力によってまっすぐにすることが可能であり、且つ、イントロデューサを通じて心臓に挿入することができる。イントロデューサは、装置10がイントロデューサを通じて前進するのに伴って、変形させる(まっすぐにさせる)力を維持することができる。遠位チップアッセンブリ40がイントロデューサから心臓内に出現するのに伴って、遠位チップアッセンブリは、形態ワイヤ48の予め形成された投げ縄の形状に戻ることになろう。形態ワイヤ48が形状記憶合金の実施形態においては、形態ワイヤ48は、「自然」にまっすぐな形状を有することもできるが、(人体内のものなどの)上昇した温度に露出した際に、(遠位チップアッセンブリ40の投げ縄の形状などの)既定の形状を形成することもできる。形態ワイヤ48は、投げ縄の形状を形成する遠位部分を有するように示されているが、本発明の範囲及び思想内において、形態ワイヤ48を使用して様々な形状を形成することができる。更には、形態ワイヤ48は、(ワイヤ48を引っ張るなどの)装置10の近端における力の印加によって遠位チップアッセンブリ40の形状を変化させることができるように、プルワイヤとして構成することもできる。例えば、形態ワイヤ48を引っ張ることにより、投げ縄の形状の半径を増大させることができる。
【0023】
チップ電極46及び形態ワイヤ48を装置10に追加する方法の1つは、形態ワイヤ48をチップ電極46と予め結合した後に、形態ワイヤ48を管腔44に通すというものである。このようにする際には、シャフト42と、シャフト42の壁50の内部であるが26
1及び26
2としてアウトラインの形態で示されている1つ又は複数の位置センサと、を形態ワイヤ48の湾曲形態に沿ってガイドしなければならない。形態ワイヤ48は、大量の応力をシャフト42に対して且つ壁50内に配設されている任意の構成要素に対して印加することができる屈曲部52などの1つ又は複数の鋭い屈曲部を含むことができる。但し、センサ26
1、26
2は、壁50内に直接的に埋め込まれるのではなく、スリーブ28内に位置しているため、センサ26
1、26
2は、それぞれのセンサ26を取り囲んでいる壁50の部分に対して、シフト及び運動し、これにより、さもなければそれぞれのセンサ26に加えられることになる、壁50を通じて伝達される直接的な機械的応力を、低減又は除去することができる。換言すれば、それぞれのセンサ26は、壁50内において堅固に埋め込まれるのではなく、壁50内において繋がれている(tethered)。従って、それぞれのセンサ26を、破損を伴うことなしに、屈曲部52及び形態ワイヤ48のその他の応力誘発部分に沿ってガイドすることができる。それぞれのセンサ26は、センサ26を取り囲んでいる壁50の部分に対してシフトすることが可能ではあるが、それぞれのセンサが位置の検知及びナビゲーションという目的のために予測可能な場所に留まることをスリーブ28及び配線36が保証している。
【0024】
図10は、
図9のライン10−10に沿って実質的に取得した遠位チップアッセンブリ40の最遠端の断面図である。当技術分野において既知の方法により、チップ電極42をシャフト42の最遠位チップに結合することができる。はんだ付け、蝋付け、溶接、又は当技術分野において既知の別のプロセスなどの冶金プロセスにより、形態ワイヤ48をチップ電極46の内側表面に結合することができる。形態ワイヤ48は、円形の半径方向断面を有することも、必要に応じて、特定の用途のために、異なる断面を有することもできる。先端アッセンブリ40は、1つの形態ワイヤ48のみを有しているが、2つ以上の形態ワイヤ48を使用することもできる。使用されるそれぞれのワイヤは、既定の形状を有する形態ワイヤとして、プルワイヤとして、又はこれらの両方として、機能することができる。例えば、装置10は、
図10に示されているように、単一の形状/プルワイヤ48のみを内蔵することも、複数の形状及びプルワイヤを有することもできる。形態ワイヤの及びチップ電極に対する形態ワイヤの結合の更に詳細な説明については、「Catheter Employing Shape Memory Alloy Shaping Wire or Pull Wire and Method of Its Manufacture」という名称の当出願人に譲渡された米国特許第7,706,891号明細書において見出すことが可能であり、この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0025】
図11は、完成した遠位チップアッセンブリ40を有する細長い医療装置10の等角図である。遠位端部54は、形態ワイヤ48の屈曲部に従って投げ縄の形状を有している。チップ電極46及び形態ワイヤ48をアッセンブリ40と結合した後に、当技術分野において既知の様々なその他のステップにより、又は、追加の配線、層、又は1つ又は複数の追加電極などの当技術分野において既知のその他の特徴を追加することにより、アッセンブリ40を完成させることができる。例えば、チップ電極46に加えて、遠位端部54は、9個の帯状電極(「10極(decapolar)」カテーテル)又は19個の帯状電極(「20極(duo−decapolar)」カテーテル)を含むことができる。装置10の近位端部56は、装置10をナビゲーション/マッピングシステム及び電源に接続する能力と、装置10の遠位端部54を操作する能力と、を提供している。
【0026】
遠位チップアッセンブリ40の例示的一実施形態においては、シャフト42は、約0.048インチの望ましい内径(ID)と、約0.065インチの望ましい外径(OD)と、を有することができる。このような例示的実施形態においては、第1シャフト層のセグメント22
1は、約0.048インチのIDと、約0.050インチのODと、を有することができる。センサアッセンブリ24は、約0.013インチのODを有することができる。第1シャフト層のセグメント22
2及び22
3は、それぞれ、約0.048インチのIDと、約0.052インチのODと、を有することができる。第2シャフト層38は、約0.058インチのIDと、約0.062インチのODと、を有することができる。第1シャフト層22及び第2シャフト層38は、いずれも、55Dの硬度を有するPEBAX(登録商標)材料であってもよい。リフローラミネーションの後に、例示的実施形態は、望ましいIDを有することが可能であり、望ましいODを有することが可能であり、且つ、壁50内において繋止されたセンサ26を有することができる。
【0027】
図2〜
図11との関連において説明した方法に従って遠位チップアッセンブリ40、遠位端部54、及び装置10を製造することにより、多くの利点が得られる。電磁位置センサ26は、センサ26がスリーブ28に対してシフトすることができるように、スリーブ28内に配設されている。従って、形態ワイヤ48がシャフト42に通されるのに伴って、センサ26には、壁50上に印加される応力のすべてが印加されるわけではない。但し、センサ26を収容している外側スリーブ28は、壁50内に少なくとも部分的に埋め込まれるか又はその他の方法でこれに対して実質的に固定されているため、壁50との関係におけるセンサ26のシフト及び運動は、依然としてセンサ26を位置の検知及び装置のナビゲーションのために確実に使用することができるような特定の許容範囲内に留まることができる。この結果、投げ縄の形状などの多数の異なる形状の形態ワイヤ48がその遠位端部内に位置した状態において、1つ又は複数の位置センサ26を医療装置に内蔵することができる。
【0028】
装置10、遠位チップアッセンブリ40、及び遠位端部54の実施形態は、実質的に例示であることを理解されたい。変形形態を作成することは可能であり、且つ、それらの変形形態も、依然として、特許請求されている本発明の精神及び範囲に含まれる。例えば、遠位チップアッセンブリ40は、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の数の位置センサ26又は位置センサアッセンブリ24を有することができる。複数のセンサ26又はセンサアッセンブリ24は、本明細書の実施形態において規定されているものを上回る数の第1シャフト層のセグメント22
1〜22
nを必要としてもよい。シャフト層22、38の長さ及び厚さは、特定の装置及び用途のために構成することができる。同様に、シャフト層22、38の硬度は、特定の用途に対して適合させることが可能であり、且つ、シャフト42(及び/又は、完成した装置のシャフト全体)の硬度は、その長さにわたって変化することができる。管腔44は、特定の装置の必要とされる寸法及び特徴に応じて、本明細書に記述されている実施形態よりも大きくすることも、より小さくすることもできる。当技術分野において既知のその他の変更及び追加も可能であり得る。
【0029】
図12は、内部構成要素を示すために外側ジャケットの一部分が切り取られた状態における細長い医療装置の第2実施形態60の遠位端部58の側面図である。装置60は、配線36をセンサ26に接続するためのフレックス回路の第1実施形態62を含む。配線36は、第1自由端部と、第2自由端部と、からなるリード線64を有することができる。又、センサリード線34も、第1自由端部と、第2自由端部と、からなることができる。フレックス回路62は、第1及び第2電気経路を電気的に分離しつつ、配線リード線64の第1自由端部をセンサリード線34の第1自由端部に電気的に接続して第1電気経路を形成することが可能であり、且つ、配線リード線64の第2自由端部をセンサリード線34の第2自由端部に電気的に接続して第2電気経路を形成することができる。回路62は、必要とされる用途にとって適切なサイズ及び形状を有することができる。フレックス回路62は、1つの軸方向端部(装置60内の回路62の遠端)においてセンサ26に当接することが可能であり、且つ、他方の軸方向端部(装置60内の回路62の近端)において配線36に当接することができる。配線36が、図示のように、遮蔽層、ハウジング層、又はその他の外側層を有する場合には、フレックス回路62は、外側層まで延在することも、外側層内に部分的に延在するか又はこれに隣接して延在することもできる。
【0030】
図13は、
図12のライン13−13に沿って実質的に取得したカテーテル60の断面図である。装置10と同様に、カテーテル60内のセンサ26は、管状コア30と、コア30の周りに巻回されたコイル32と、を含む電磁コイルセンサであってもよい。フレックス回路62は、別個のプレーン内に接触表面を生成するための屈曲部66を有することができる。接触表面は、軸方向寸法よりも大きな半径方向寸法を有することも可能であり(「半径方向接触パッド」)、或いは、半径方向寸法よりも大きな軸方向寸法を有することもできる(「軸方向接触パッド」)。配線リード線64及びセンサリード線34は、はんだ付け又は別の導電性結合方法を通じて回路62に結合することができる。
【0031】
図14〜
図17は、フレックス回路62の様々な等角図及び平面図である。回路62は、電気絶縁性基板78と、薄い導電性トレース72によって電気的に接続された接触パッド68、70の2つの組と、を含むことができる。接触パッド68、70は、配線リード線64及びセンサリード線34と容易に結合可能なはんだなどの導電性材料から製造することができる。トレース72は、真鍮などの導電性材料とすることができる。接触パッド68は、軸方向接触パッドとすることができ、且つ、配線リード線64との接続のために回路62の近端に設けることができる。接触パッド70は、半径方向接触パッドとすることができ、且つ、センサリード線34との接続のために回路62の遠端に設けることができる。又、基板78は、接触パッド68から軸方向に延在する軸方向延長部分74を有することもできる。軸方向延長部分74は、配線リード線64などの関連するリード線の長さに類似した又はこれと実質的に等しい長さを有することができる。例示的実施形態においては、フレックス回路62の軸方向の長さL
4は、約0.038インチとすることができ、回路72の接触部分(即ち、接触パッド68、70を含む回路62の部分及びトレース72)の長さL
5は、約0.020インチとすることができ、且つ、軸方向延長部分74の長さL
6は、約0.018インチとすることができる。
【0032】
図18及び
図19は、フレックス回路の第2実施形態76の平面図である。回路76は、特記されている点を除いて、上述の回路62と同一の機能を実行するが、形態がわずかに異なっている。回路76は、基板78と、接触パッド68、70の2つのペア又は組と、を含むことが可能であり、これらのパッドは、いずれも、軸方向接触パッドである。接触パッド68、70は、軸方向において延在する導電性トレース72によって結合することができる。又、基板78は、2つの軸方向延長部分74
1、74
2(回路76の近端におけるものと遠端におけるもの)を含むこともできる。回路76は、2つの軸方向延長部分が望ましい際に、又は軸方向接触パッドの2つの組が望ましい際に、回路62の代わりに、使用することができる。
【0033】
回路76の一実施形態においては、回路76の軸方向の長さL
7は、約0.072インチとすることができる。回路76の接触部分の長さL
8は、約0.032インチとすることができ。接触パッド68は、約0.010インチの軸方向長さを有することが可能であり、且つ、接触パッド70は、約0.004インチの軸方向長さを有することができる。トレース72は、約0.0158インチの軸方向長さを有することができる。接触パッド68、70及びトレース72は、それぞれ、約0.002インチの幅を有することができる。
【0034】
特に装置60との関係において具体的に示されているが、フレックス回路62又はフレックス回路76などのフレックス回路は、リード線の2つの組の間の電気的結合が望ましい、任意の装置を伴う用途を見出すことができる。例えば、フレックス回路62又は76は、センサ26を配線36と結合するためのインターフェイスとして、細長い医療装置10との関連において使用することができる。
【0035】
本開示の複数の実施形態をある程度の具体性を持って上記のとおり記載したが、当業者であれば添付されたクレームで規定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく開示された実施形態に対して種々の変更を加えることができる。すべての方向の参照(例えば、時計回りに、水平方向、垂直方向、上、下、下、上、右方向、左方向、右、左、下方向、上方向、下側、上側、および反時計回り)は、読者の本発明についての理解を助けるべく、識別目的で使用されているに過ぎず、特に本発明の位置、方向又は使用に関して制限を与えるものではない。結合に関する参照(例えば、取り付けられる、結合される、接続されるなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続部の中間部材や、要素間の相対運動の中間部材を包含している。このように、結合に関する参照は、必ずしも直接的に結合される2つの要素や互いに固定された2つの要素を必ずしも推論するものではない。なお、上記の説明に含まれるまたは添付図面に示されるすべての事項は例示にすぎず、限定するものとして解釈されるべきでないことが意図される。細部又は構造の変更は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
軸を有する細長い医療装置用の遠位チップアッセンブリであって、
近位端部、遠位端部、壁、及び前記近位端部と前記遠位端部との間において軸方向に延在する中央管腔を有するシャフトと、
外側スリーブ内に配設された位置センサと、
を有し、
前記スリーブは、前記壁内において少なくとも部分的に配設されると共に前記壁に対して実質的に固定されており、且つ、前記スリーブは、前記位置センサを前記壁から実質的に分離している遠位チップアッセンブリ。
[項目2]
前記シャフトの前記遠位端部に結合されたチップ電極を更に有する項目1に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目3]
前記シャフトの前記遠位端部を通じて延在する形態ワイヤを更に有し、前記ワイヤは、前記遠位端部用の予め規定された形状を確立するように構成されている項目2に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目4]
前記形態ワイヤはNitinolを有する、項目3に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目5]
前記装置の前記軸は第1軸であり、前記位置センサは、前記第1軸からオフセットされた第2軸を有する項目1に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目6]
前記位置センサは、コアと、前記コアの周りに巻回された導電性コイルと、を有し、且つ、前記コアは、第1軸方向長さを有し、前記外側スリーブは、第2軸方向長さを有し、前記第2軸方向長さは、前記第1軸方向長さを上回っており、且つ、前記外側スリーブは、前記コイル及び前記コアを周方向において取り囲んでいる項目1に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目7]
前記位置センサと前記細長い医療装置の近端との間において電気信号を搬送するように構成された1つ又は複数のワイヤを更に有し、前記ワイヤは、インターフェイスにおいて前記センサに結合されおり、前記インターフェイスは、
第1接触パッドと、
第2接触パッドと、
前記第1接触パッドと前記第2接触パッドとの間に電気的接続を提供するように構成された導電性トレースと、
を有する項目1に記載の遠位チップアッセンブリ。
[項目8]
軸を有する細長い医療装置であって、
遠位端部、壁、及び中央管腔を有する前記軸に沿って延在するシャフトと、
前記壁との間の相対的な運動を許容するように前記壁内に配設された位置センサと、
前記シャフトの前記遠端に結合されたチップ電極と、
前記遠位端部の形状を選択的に規定するように構成された形態ワイヤと、
を有する細長い医療装置。
[項目9]
前記シャフトの半径方向の外側に配設された1つ又は複数のリング電極を更に有する項目8に記載の細長い医療装置。
[項目10]
前記形態ワイヤは、前記軸に対して実質的に垂直のプレーンに沿って投げ縄の形状に前記遠位端部を曲げるように構成されている項目8に記載の細長い医療装置。
[項目11]
前記形態ワイヤは、前記投げ縄の形状の半径を手動調節するための偏向要素として構成されている項目10に記載の細長い医療装置。
[項目12]
前記位置センサアッセンブリは、実質的に前記遠位端部内に位置している項目10に記載の細長い医療装置。
[項目13]
軸を有する細長い医療装置用の遠位チップアッセンブリを製造する方法であって、
第1シャフト層を設けるステップと、
前記細長い医療装置の遠位端部において、前記第1シャフト層上に位置センサアッセンブリを配置するステップであって、前記位置センサアッセンブリは、管状コアと、前記コア上に巻回された導電性コイルと、前記コア及び前記コイルを取り囲む外側スリーブと、を有する、ステップと、
前記位置センサアッセンブリ及び前記第1シャフト層の半径方向の外側に第2シャフト層を適用するステップと、
前記先端アッセンブリにリフローラミネーションプロセスを適用するステップであって、前記第1シャフト層及び前記第2シャフト層は、前記スリーブの外側表面に接合し、且つ、前記コイル及び前記コアは、前記スリーブ内においてシフトすることができる、ステップと、
を有する方法。
[項目14]
前記コイルを1つ又は複数のワイヤに結合するステップと、
前記1つ又は複数のワイヤを前記位置センサアッセンブリから前記近端に向かって軸方向において延在させるステップと、
を更に有する項目13に記載の方法。
[項目15]
チップ電極を前記遠位端部の最遠端に結合するステップと、
前記第1シャフト層の半径方向の内側に形態ワイヤを配置するステップと、
前記形態ワイヤを前記チップ電極に結合するステップと、
を更に有する項目13に記載の方法。
[項目16]
前記第1シャフト層及び前記第2シャフト層は、PEBAX材料を有する項目13に記載の方法。
[項目17]
前記外側スリーブは、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を有する項目13に記載の方法。
[項目18]
軸、近位端部、及び遠位端部を有する細長い医療装置であって、
前記遠位端部内に配設された位置センサと、
前記近位端部から前記位置センサまで電気信号を搬送するように構成された1つ又は複数のワイヤと、
前記1つ又は複数のワイヤに加えられた機械的応力を吸収すると共に前記位置センサと前記1つ又は複数のワイヤとの間に電気的接続を提供するように構成されたフレックス回路と、を有し、
前記フレックス回路は、
前記1つ又は複数のワイヤとの電気的接続のための第1接続パッドと、
前記位置センサとの電気的接続のための第2接続パッドと、
前記第1接続パッドと前記第2接続パッドとの間の導電性トレースと、
軸方向延長部分と、
を有する、細長い医療装置。
[項目19]
前記第1接続パッド及び前記第2接続パッドのうちの一方は、軸方向接続パッドであり、且つ、前記第1接続パッド及び前記第2接続パッドのうちの他方は、半径方向接続パッドである項目18に記載の細長い医療装置。
[項目20]
前記第1接続パッド及び前記第2接続パッドは、いずれも、軸方向接続パッドである項目18に記載の細長い医療装置。