特許第5746436号(P5746436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746436LTEアドバンストシステムにおける強化型アクセス制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746436
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】LTEアドバンストシステムにおける強化型アクセス制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/10 20090101AFI20150618BHJP
   H04W 28/08 20090101ALI20150618BHJP
【FI】
   H04W48/10
   H04W28/08
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-521933(P2014-521933)
(86)(22)【出願日】2012年8月16日
(65)【公表番号】特表2014-522163(P2014-522163A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】CN2012080211
(87)【国際公開番号】WO2013023608
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】61/524,118
(32)【優先日】2011年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/585,810
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506423280
【氏名又は名称】聯發科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEDIATEK INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シュー, チア−チュン
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−105758(JP,A)
【文献】 LG Electronics Inc.,Further Discussion on EAB,R2-113339,フランス,3GPP,2011年 5月 3日,p.1-4
【文献】 Intel Corporation,EAB for RAN overload protection,R2-113217,フランス,3GPP,2011年 5月 3日,paragraph 1-3
【文献】 Samsung,Overview of solutions on MTC,R2-113261,フランス,3GPP,2011年 5月 3日,paragraph 2
【文献】 Huawei, HiSilicon,Further consideration on EAB,R2-112951,フランス,3GPP,2011年 5月 3日,paragraph 2
【文献】 Ericsson, ST-Ericsson,Extended access barring for MTC devices,R2-113030,フランス,3GPP,2011年 5月 3日,paragraph 2.1.1
【文献】 Vodafone,Applicability of EAB in a Shared Network Environment,R2-114012,フランス,3GPP,2011年 8月15日,paragraph 2
【文献】 InterDigital,Network Sharing Considerations for EAB implementation,R2-113886,フランス,3GPP,2011年 8月15日,paragraph 4.1
【文献】 Intel Corporation,MTC indication in RRC signalling for overload prevention,R2-105609,フランス,3GPP,2010年10月 5日,paragraph 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス制御方法であって、
移動通信ネットワークにおいて、マシンタイプ通信(MTC)デバイスにより、当該MTCデバイスに強化型アクセスバーリング(EAB)により規制されるか否かを示すデバイスの強化型アクセスバーリング設定が設定されたか否かを確認する工程と、
前記移動通信ネットワークにおいて、前記マシンタイプ通信(MTC)デバイスにより、基地局から、システム情報ブロックによりブロードキャストされる複数のEABカテゴリーおよび複数のアクセスクラスに適用されるか否かを示す強化型アクセスバーリング情報を獲得する工程と、
前記MTCデバイスにより、前記EAB情報に基づいて、強化型アクセスバーリングを、無線リソース制御(RRC)接続に実行する工程と、
前記MTCデバイスがACBに設定され、且つ、前記強化型アクセスバーリングにより規制されない場合、アクセス規制判定(ACB)をRRC接続に実行する工程と、
を含むことを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項2】
地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN)中、EABカテゴリが前記MTCデバイスのローミング状態に関連することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項3】
前記MTCデバイスは、移動体集合番号を加入者識別番号モジュール、または、万国加入者識別番号モジュール(SIM/USIM)中に保存すると共に、前記移動体集合番号はアクセスクラスであることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項4】
前記MTCデバイスは、オープン・モバイル・アライアンス(OMA)装置管理(DM)サーバにより、EABに設定されることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項5】
前記EAB情報は、さらに、地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN)ID、および、制御要素と規制時間を含む関連する規制パラメータを含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項6】
さらに、EABが前記MTCデバイスに適用できるか判断し、前記MTCデバイスがEABに設定される場合だけ、前記MTCデバイスがEABに適用できる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項7】
前記MTCデバイスが特別なアクセスクラス11−15のひとつに属する、または、前記アクセス試行が緊急呼び出しに属する場合、前記MTCデバイスはEABに適用できないことを特徴とする請求項6に記載のアクセス制御方法。
【請求項8】
構築要素が、モバイルオリジネート(MO)シグナリングまたはMOデータを示す場合、前記MTCデバイスはEABに適用できることを特徴とする請求項6に記載のアクセス制御方法。
【請求項9】
構築要素が遅延耐性アクセスを示す場合、前記MTCデバイスはEABに適用できることを特徴とする請求項6に記載のアクセス制御方法。
【請求項10】
アクセス制御方法であって、
移動通信ネットワーク中の基地局により、モビリティ管理エンティティから、強化型アクセスバーリング(EAB)設定を受信する工程と、
前記EAB設定に基づいて、複数のユーザー装置(UE)に用いる情報であって、規制されるEABカテゴリー、および、規制されるトラフィックの割合に基づく1つ以上のアクセスクラスを示すEAB情報を決定する工程と、
システム情報ブロックにより、前記EAB情報を前記複数のUEにブロードキャストする工程と、
を含むことを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項11】
前記EABカテゴリーは、地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN)中、UEのローミング状態に関連することを特徴とする請求項10に記載のアクセス制御方法。
【請求項12】
トラフィックの前記割合はアクセスクラスの数量と適合し、各アクセスクラスは、UEの対応する群と関連することを特徴とする請求項10に記載のアクセス制御方法。
【請求項13】
UEは、移動体集合番号を加入者識別番号モジュール、または、万国加入者識別番号モジュール(SIM/USIM)に保存し、前記移動体集合番号はアクセスクラスであることを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項14】
前記基地局は、ページングチャネル上の予定義タグにより、前記EAB情報が更新されたことを示すことを特徴とする請求項10に記載のアクセス制御方法。
【請求項15】
前記基地局は、前記ページングチャネル上の同じタグ値により、EAB情報の更新を示すことを特徴とする請求項14に記載のアクセス制御方法。
【請求項16】
アクセス制御方法であって、
移動通信ネットワーク中、モビリティ管理エンティティ(MME)により、強化型アクセスバーリング(EAB)が、複数のユーザー装置(UE)に供する基地局に適用できるかどうかを判断する工程と、
EABが適用できる場合、前記MMEにより、規制されるトラフィックの割合および規制されるEABカテゴリーを示すEAB設定を決定する工程と、
EABが適用できる場合、前記EAB設定を前記基地局に伝送する工程と、
を含むことを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項17】
各EABカテゴリーは、地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN)中、UEのローミング状態に関連することを特徴とする請求項16に記載のアクセス制御方法。
【請求項18】
前記基地局により供されるUEがEABに設定される場合、前記UEが特別なアクセスクラスを有さない、および、前記UEによるアクセス試行が非緊急で、遅延耐性である場合、EABが適用できることを特徴とする請求項16に記載のアクセス制御方法。
【請求項19】
前記MMEは、前記EAB設定を、特定領域に関連する関連する基地局だけに伝送することを特徴とする請求項16に記載のアクセス制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2011年8月16日に出願された“Enhanced access control Method for OFDMA System communications”と題された米国特許仮出願番号号から、合衆国法典第35編第119条の下、優先権を主張するものであり、その内容は引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、マシンタイプ通信(マシンタイプコミュニケーション)に関するものであって、特に、LTE−アドバンストシステムにおけるマシンタイプ通信の強化型アクセス制御に関するものである。
【背景技術】
【0003】
マシンタイプ通信は、必ずしも人の介在を必要としないひとつ以上のエンティティ間のデータ通信の形式である。マシンタイプ通信に最適化されたサービスは、H2H(ヒューマンツーヒューマン)通信に最適化されたサービスと異なる。一般に、マシンタイプ通信サービスは、異なるマーケットシナリオ(計画)、純粋なデータ通信、低いコストと労力、および、各端末のトラフィックは少ないが潜在的に非常に多数の通信端末という性質を含むので、現在のモバイルネットワーク通信サービスと異なる。
【0004】
用語M2M(マシンツーマシン)とマシンタイプ通信(MTC)を用いて、使用実例を記述し、マシンタイプ通信サービスの種々の特徴を説明する。M2MとMTCデバイスは、モノのインターネット(“IoT”(internet of things))を実現する次世代の無線ネットワークの一部である。潜在的なM2MとMTCアプリケーションは、セキュリティ、トラッキングとトレーシング、支払い、健康、遠隔保守/制御、計測、および、消費者装置を含む。マシンタイプ通信サービスの主な特徴は、低移動性、時間制御性、遅延耐性、パケット切り換えのみ(packet-switched only)、低データ伝送、モバイル由来のみ(mobile originated only)、低頻移動終端(infrequent mobile terminated)、MTC監視、優先度警報、安全接続、位置特定トリガー、アップリンクデータの宛先を提供するネットワーク、低頻伝送(infrequency transmission)、および、MTC特徴に基づいたグループを含む。
【0005】
3GPP LTEシステムは、MTCデバイスとMTCサーバの間、または、二個のMTCデバイス間のエンド・ツー・エンドアプリケーションを提供する。3GPP LTEシステムは、MTCに最適化された伝送と通信サービスを提供する。しかし、MTCトラフィックは、ネットワーク/コアネットワークにより制御されない。たとえば、MTCアプリケーションは、同時に、複数のMTCデバイスに何かの実行(“任務”)を要求するので、これは、短時間内で、大量のM2Mデバイスが無線サービスにアクセスしようとする。その結果、複数のMTCデバイスは、大量のランダムアクセスチャネル(RACH)プリアンブルを伝送し、これにより、高いRACHコリジョンが生じる可能性を生じる。さらに、コアネットワークエンティティが低下するとき、MTCデバイの連続したアクセスの試行を延期するメカニズムがない。よって、MTC装置のサービングネットワークが失敗時、多くのMTCデバイスはローミングサービス利用者で、且つ、全て、ローカルコンピューティングネットワークに移動し、非(未)失敗ネットワークでトラフィックオーバーロードを生じる可能性がある。
【0006】
図1(従来の技術)は、LTEネットワーク100において、無線ネットワークが混雑して使用されている場合を説明する図である。LTEネットワーク100は、MTCサーバ110、パケットデータネットワークゲートウェイ(PDN GW)120、サービングGW130、二個の基地局eNB141とeNB142、および、複数のM2Mデバイスを含む。図1に示されるように、あるMTCアプリケーション中、大量の並列データ伝送が発生した時、無線ネットワークの混雑が発生する。ひとつの典型的なアプリケーションは、大量のセンサーを有する橋梁監視である。列車が橋を渡る時、全MTCセンサーは、ほぼ同時に、監視データを伝送する。同じことが大雨期間中の水路監視(hydrology monitoring)、および、侵入者が侵入するときのビル監視でも発生する。よって、ネットワークが最適化されて、特定領域の大量のMTCデバイスが、ほぼ同時にデータを伝送できるようにすることが望まれる。
【0007】
図2(従来の技術)は、LTEネットワーク200において、コアネットワークが混雑して使用されている場合を示す図である。LTEネットワーク200は、MTCサーバ210、パケットデータネットワークゲートウェイ(PDN GW)220、サービングGW230、二個の基地局eNB241とeNB242、および、複数のM2Mデバイスを含む。多くのMTCアプリケーションにとって、大量のMTCデバイスと単一MTCユーザー(たとえば、MTCユーザー250)は関連する。これらのMTCデバイスは、MTCグループ(たとえば、MTCグループ260)の一部に属する。たとえば、MTCユーザー250はMTCグループ260と関連し、MTCユーザー250はMTCサーバ210を所有する。MTCグループ260中のMTCデバイスは、MTCサーバ210と通信する。一般に、特定のセル中のMTCデバイスにより同時に伝送されるデータを規制(制限)し無線ネットワークの過負荷(オーバーロード)を生じさせないように、同じMTCグループ中のMTCデバイスはネットワーク中に分散される。しかし、図2に示されるように、大量のMTCデバイスが同時にデータを送/受信するとき、MTCグループに関連するデータトラフィックが集中するモバイルコアネットワーク中、または、モバイルコアネットワークとMTCサーバ間のリンク上で、データ混雑が発生する。よって、ネットワークオペレータとMTCユーザーは、同じMTCグループにより送受信されるデータの最大速度を実現する手段を有することが望まれる。
【0008】
アクセス規制判定(ACB)は、特定のMTCデバイスの同時アクセス試行の数を規制(制限)するメカニズムである。全UE(たとえば、MTCデバイス)は、ランダムに割り当てられた10個の携帯電話個体群の一メンバーであり、アクセスクラス0から9であると定義される。移動体集合番号はUEのSIM/USIM中に保存される。さらに、UEは、5個の特別なカテゴリー中のひとつ以上のメンバー(たとえば、アクセスクラス11から15)であり、これも、SIM/USIM中に保存される。ACBメカニズムの下、ネットワークオペレータは、対応するアクセスクラスに基づいて、特定のUEのアクセス試行、または、PLMNの特定領域のページの応答を阻止する。ACBメカニズムに加え、その他の強化型アクセス制御ソリューションも最適化されたMTCサービスに用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、3GPP LTE−Advanced(LTEアドバンスト)ネットワーク中、マシンタイプ通信(MTC)に用いる強化型アクセス制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、3GPP LTE−アドバンストネットワーク中、マシンタイプ通信(MTC)に用いる強化型アクセス制御方法を提供する。MTCデバイスが、強化型アクセスバーリング(エンハンスドアクセスバーリング)(EAB)に設定される。MTCデバイスがネットワークへのアクセスを試行する時、NAS層は、EABがMTCデバイスに適用可能かどうか確認する。可能な場合、NAS層は、EAB設定をAS層に伝送して、さらにEAB制御する。EAB設定に基づいて、基地局は、システム情報ブロックにより、EAB情報をUEにブロードキャストする。EAB情報は、規制が、複数のEABカテゴリーと複数のアクセスクラスに適用されるかどうかを示す。EAB情報に基づいて、MTCデバイスは、RRCのアクセス試行のためにEABを実行する。アクセスがEAB下で未規制の場合、MTCデバイスは、さらに、RRCのアクセス試行のために、ACBを実行する。EABメカニズムとACBメカニズムを結合することにより、アクセス制御の付加的なフレキシブル性が達成される。
【0011】
本発明の実施の形態および利点が以下の詳細な説明に述べられる。この概要は、本発明を定めるものではない。本発明は請求項によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本発明の実施の形態を説明しており、同様の番号は同様の構成要素を示している。
図1図1は、3GPP LTEネットワークにおける無線ネットワークが混雑している状態の例を示す図である。
図2図2は、3GPP LTEネットワークにおけるコアネットワークが混雑している状態の例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるマシンタイプ通信(MTC)をサポートする3GPP LTEネットワークを示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による強化型アクセスバーリング(EAB)メカニズム.
図5図5は、システム情報ブロック(SIB)によりブロードキャストされるEAB情報の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による強化型アクセスバーリングを提供する方法を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による最適化マシンタイプ通信の強化型アクセスバーリング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について詳細に述べる。その例は添付図面に示されている。
図3は、本発明の一実施形態によるマシンタイプ通信(MTC)をサポートする3GPP LTEネットワーク300を示す図である。3GPP LTEネットワーク300は、複数のMTCデバイス(たとえば、図3に示されるMTCデバイス314)と通信することにより、各種MTCサービスをMTCユーザー312に提供するMTCサーバ311を含む。図3の例において、MTCサーバ311、MTCユーザー312、および、パケットデータネットワークゲートウェイ(PDN GW)313は、コアネットワーク310の一部に属する。MTCデバイス314とそのサービング基地局(eNB)315は、無線アクセスネットワーク(RAN)320の一部に属する。MTCサーバ311は、PDN GW313、サービングGW316、および、eNB315により、MTCデバイス314と通信する。さらに、モビリティ管理エンティティ(MME)317は、eNB315、サービングGW316およびPDN GW313と通信して、3GPPネットワーク300中、無線アクセス装置のモビリティに用いる。注意すべきことは、MTCデバイス314は、一種のユーザー装置(UE)であり、また、用語MTCは、ヒューマンツーヒューマン(H2H)通信と比較した意味でのマシンツーマシン(M2M)通信を参照するものであり、同時にMTC装置(MTCデバイス)は、H2H装置(H2Hデバイス)と比較した意味でのM2M装置(M2Mデバイス)を参照するものである。
【0014】
図3の例において、MTCサーバ311は、アプリケーション(APP)プロトコル層中、構築されたアプリケーション−プログラミングインターフェース(API)340により、各種MTCサービス/アプリケーションをMTCユーザー312に提供する。典型的なMTCアプリケーションは、セキュリティ(たとえば、監視システム)、トラッキングとトレーシング(たとえば、走行距離で支払う保険)、支払い(たとえば、自動販売機とゲーム機)、健康(たとえば、健康説得システム)、遠隔保守/制御、計測(たとえば、スマートグリッド)、および、消費者装置(たとえば、eBooks)を含む。エンド・ツー・エンドMTCサービスを提供するため、3GPPネットワーク中、MTCサーバ311は複数のMTCデバイスと通信する。各MTCデバイス(たとえば、MTCデバイス314)は、各種プロトコル層モジュールを含み、エンド・ツー・エンドMTCアプリケーションとデータ接続をサポートする。アプリケーションレベルにおいて、APPモジュール331が、APPプロトコル層で、MTCサーバ311と通信し(たとえば、点線341で示される)、APPモジュール331は、エンド・ツー・エンド制御/データを提供する。ネットワークまたはNASレベルにおいて、NASモジュール332は、非アクセス中間プロトコル層で、MME317と通信し(たとえば、点線342で示される)、NASモジュール332は、モビリティ管理およびその他のシグナリング機能をサポートする。無線ネットワークアクセス(RAN)、または、ASレベルにおいて、RCモジュール333は、無線リソース制御(RRC)プロトコル層で、eNB315と通信し(たとえば、点線343で示される)、RCモジュール333は、システム情報のブロードキャスト、RRC接続制御、ページング、無線設定制御、QoS制御等を解決する。
【0015】
MTCサーバは、ネットワークオペレータドメイン内に位置する必要がなく、エンド・ツー・エンドMTCサービスは、MTCサーバを取り込む必要がないので、MTCトラフィックは、たいがい、ネットワーク/コアネットワークにより制御されない。その結果、大量のMTCデバイス(たとえば、セル中のUEまたはeNBまたはMMEの数量が設計容量より大きい)が、短時間で、無線サービスにアクセスしたい場合、MTCデバイスからそれらのサービング基地局に伝送される多くのランダムアクセスチャネル(RACH)プリアンブルは、高いRACHコリジョン可能性を生じる可能性がある。余分のRACHリソース(スロットまたはプリアンブル)の割り当ては、コリジョン可能性を減少させるが、これも、無線リソース利用の効率を低下させる。さらに、コアネットワーク性能が低下したとき、多くのMTCデバイスはローミングサービス利用者で、且つ、それら自身のサービングネットワークが不良となった時、全てはローカルコンピューティングローカルネットワークに移動するが、これは、未だ不良となっていないネットワークでオーバーロードを生じる可能性がある。
【0016】
本発明の一実施形態において、アクセスネットワーク、および/または、コアネットワークのオーバーロードを防止するため、強化型アクセスバーリング(EAB)メカニズムがネットワークオペレータに提供されて、EABに設置されるUEからのアクセス試行を制御する。混雑状況下、別のUEからのアクセスを許可する時、ネットワークオペレータは、EABに設定されるUEからのアクセスを規制(制限)することができる。一般に、EABに設定されるUEは、別のUEと比較して、アクセス規制上で、更なる許容性を有する。ネットワークオペレータが、EABの適用が適すると判断する時、ネットワークはEAB情報をブロードキャストして、特定領域中のUEで、EAB制御を制御する。
【0017】
たとえば、一旦、NAS層で、MTCデバイス314によりアクセス試行が現れると、MTCデバイス314は、まず、EABが設定されたか、および、MTCデバイス314に適用可能か確認する。EABが未設定、または、EABが適用可能でない場合は、AS層(たとえば、RAN320)では更なるEAB制御は必要ない。NAS層が、MTC314にEABが設定され、適用可能であると決定した場合、MTCデバイス314のAS層で、さらに、EABチェックが必要である。AS層EABチェックは、eNB315からブロードキャストされるEAB情報に基づく。AS層中、eNB315は、MME317から伝送されるEAB設定に基づいて、EAB情報を決定する。その後、EAB情報は、システム情報ブロックにより、MTCデバイス314にブロードキャストされる。EAB情報の取得後、MTCデバイス314は、EAB制御を受けるRRCアクセスを試行する。注意すべきことは、ネットワークが、EAB情報をUEにブロードキャストせず、ACB情報がブロードキャストされる場合、UEは、まだ、アクセス規制判定(ACB)を受ける。さらに、EABチェック後、EAB情報に基づいて、UEが規制されない場合、ACB情報がブロードキャストされる場合、UEはまだ、ACBを受ける。
【0018】
図4は、3GPP LTEネットワーク400におけるEABメカニズムの一具体例を示す図である。3GPP LTEネットワーク400は、ユーザー装置UE401、基地局eNB402、モビリティ管理エンティティMME403、および、デバイス管理サーバ404を含む。EABメカニズムを促進するため、装置が、そのHPLMN(home public land mobile network)で、EAB制御を受けているか否かに基づいて、各UEデバイスの設定が行われる。デバイスEAB設定は、装置タイプ(たとえば、低優先度のMTCデバイス、通常のUEよりアクセス規制上の許容性が大きい装置)、UE動作(たとえば、ダウンしたあるいは性能が低下したサーバのアクセスを維持するような不適切な動作)、特定のAPNを有するUE(たとえば、他のアプリケーションより、アクセス規制上の許容性が大きいアプリケーション)、または、特定領域中のUE(たとえば、混雑している領域中のUE)に基づく。デバイスEAB設定は、OTAプロトコル、たとえば、オープン・モバイル・アライアンス(OMA)装置管理(DM)プロトコルによりシグナリングされる。図4の例において、デバイス管理サーバ404は、デバイスEAB設定411をUE401に伝送する。たとえば、UE401がMTCデバイスである場合、EAB制御を受けるように設定される。一旦、デバイスEAB設定がUE401により受信されると、これは不変であり、明示的シグナリングによってのみ修正または除去される。本発明において、デバイス管理サーバ404により設定される時、MTCデバイスはEABを適用し、デバイスEAB設定情報は一ビットで、これにより強制的に、MTCデバイスにNAS/AS層でEABを適用させる。
【0019】
ネットワークオペレータが、混雑のためEABの適用が適当であると判断した時、MME403は、ネットワークEAB設定421をAS層(たとえば、eNB402)に伝送して、EAB制御をする。追加のネットワークEAB設定は、主に、以下の情報を含む:1)MTCトラフィック中、トラフィックのどのくらいの割合(たとえば、10%,20%,30%,…,100%)を規制する必要があるか(この割合は、規制されるアクセスクラス(AC)と適合する。)、2)規制されるEABカテゴリー、および、3)EABを適用する特定の領域。
【0020】
第一に、全UEは、10種のランダムに割り当てられた移動体集合の一メンバーで、アクセスクラス0から9として定義される(移動体集合番号)。この移動体集合番号は、UEのSIM/USIM中に保存される。さらに、UEは、5個の特別なカテゴリー中のひとつ以上のメンバーで(たとえば、アクセスクラス11から15)、これも、SIM/USIM中に保存される。規制が必要とされるトラフィックの割合は、その後、規制されるアクセスクラスにマップされる(割り当てられる)。たとえば、50%のMTCトラフィックが規制されなければならない場合、アクセスクラス0−4を有するUEが、それに対応して規制される。
【0021】
第二に、各UEは、ローミング状態に関連する三種の特定のEABカテゴリー(a)、(b)と(c)のひとつに属する。EABカテゴリー(a)は、EABに設定される通常のUEに定義される;EABカテゴリー(b)は、EABに設定されるUEに定義され、且つ、それらのHPLMNにも、HPLMNに等しいPLMN(たとえば、ローミングUE)にも処さない;および、EABカテゴリー(c)が、EABに設定されるUEに定義され、且つ、UEが、SIM/USIM上のオペレータ定義のPLMN選択リスト中でローミングされる国の最優先のPLMNとしてリストされるPLMNにも、HPLMNに等しいPLMN中のそれらのHPLMNにも処さない。EABメカニズムが適用される時、ひとつ以上のEABカテゴリーが規制される。
【0022】
第三に、MME403は、EABメカニズムが適用される特定領域を決定する。たとえば、無線ネットワークの混雑が、大量の関連するeNBに関連する領域で発生する場合、MME403は、ネットワークEAB設定をそれらの関連するeNBだけに伝送する。無線ネットワークの混雑している領域以外の別のeNBは、ネットワークEAB設定を受信しないので、よって、さらなるEAB制御を実行しない。これにより、EAB制御は限られた数の関連するセルだけに適用されて、さらに効率的なアクセス制御が達成される。
【0023】
ネットワークEAB設定421受信後、eNB402は、たとえば、システム情報ブロック(SIB)により、EAB情報431をUE401にブロードキャストする。ブロードキャストされたEAB情報431は、EABが、三つのEABカテゴリーの一つを有するUEに適用されるかどうかを定義する。EAB情報は、また、アクセスクラス0−9の拡張制御情報を含む。EAB情報に基づいて、ASネットワークは、UE EABカテゴリーとアクセスクラスをチェックして、アクセスが規制されるか判断する。同じアクセスネットワーク(RAN sharing)をシェアする複数のコアネットワークのケースにおいて、アクセスネットワークは、単独で、コアネットワークにEABを適用することができる。EAB設定は関連するPLMNを含む。
【0024】
図5は、システム情報ブロック(SIB)によりブロードキャストされるEAB情報の一例を示す図である。表500は、システム情報ブロックタイプ14(たとえば、SIB14)の一例を示す。SIB14において、EAB設定パラメータは、共通設定と各PLMN設定を含む。各PLMNにとって、EAB設定パラメータは、1)列挙EABカテゴリー501、どのEABカテゴリーを規制するかの指示、および、2)規制されるアクセスクラス502のビットマップ(どのアクセスクラスが規制されるかを示す)、を含む。EAB情報は、また、PLMN IDと規制要素と規制時間を含む関連する規制パラメータを含む。EAB情報がUEにブロードキャストされるので、各UEは、RRC_IDLEモードでだけ、EAB情報を獲得する必要がある。さらに、EABに設定されるUEは、SIB14からだけEAB情報を読み取る。EABが設定されない普通のUEは、SIB14を獲得する必要がない。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態によるモバイルネットワーク600中、強化型アクセスバーリングを提供する方法を示す図である。モバイルネットワーク600は、MTCデバイス610、eNB620、MME630、および、デバイス管理サーバ640を含む。まず、ステップ651において、デバイス管理サーバ640を用いて、MTCデバイス610がEABに設定される。その後、ネットワークオペレータは、MTCデバイス610が、モバイルネットワークのアクセスを試行する時のネットワークの混雑状態に基づいて、EABメカニズムの適用を決定する。ステップ652において、MME630は、関連するeNBのEAB適用可能性を確認し、EABが適用可能な場合、ネットワークEAB設定をeNB620に伝送する。各MTCデバイスのEAB適用可能性は、幾つかの要素に基づく。まず、MTCデバイスが既にEABに設定されていること(たとえば、ステップ651中)。次に、試行したアクセスは緊急呼び出しではないこと、または、MTCデバイスは特別なアクセスクラス(11−15)のひとつに属さないこと。三つ目に、試行したアクセスは遅延耐性であること(たとえば、アクセス試行の構築原因に基づく)。
【0026】
ステップ653において、MME630からEAB設定受信後、eNB620は、現在のセルのためのEAB情報を決定し、SIBを介して、EAB情報をMTCデバイス610に伝送する。節電のため、MTCデバイス610は、周期的に、EAB情報を読み取る必要がない。代わりに、MTCデバイス610は、たとえば、指示はページングチャネル上の予め定義さrたタグであるというようなeNB620からの指示を受信し、MTCデバイス610は、SIB中のEAB情報を読み取る。さらに、EAB情報が変化する時、SIB1中の値タグは変化させる必要がない。このように、EABを受けない普通のUEは、EAB情報変化により、SIBを再獲得する必要がない。
【0027】
EAB情報の取得後、ステップ654において、MTCデバイス610は、そのEABカテゴリーとアクセスクラスに基づいて、EABアクセス規制(制限)を実行する。アクセスが規制される場合、MTCデバイス610は、無線ネットワークへのアクセスの試行を停止する。ステップ655中、アクセスが規制されない場合、MTCデバイス610はACBを実行する(MTCデバイス610がACBに設定され、および、ACB情報がeNB620によりブロードキャストされる場合)。EABとACB両方の通過が成功後、MTCデバイス610は、無線ネットワークのアクセスだけを試行することができる(たとえば、RACH工程を開始)。ステップ656において、MTCデバイス610は、RRC接続要求をeNB620に伝送する。無線ネットワークへのアクセス制御の付加的なフレキシブル性が、EABとACBを同じUEに適用することにより達成することができる。
【0028】
MTCデバイス610が、無線ネットワークのアクセスを制御する場合、MTCデバイス610は、後に、タイマーメカニズム、または、変化したEAB設定により、無線ネットワークにアクセスするさらに多くの機会を有する。アクセス制御を実行する二種の方法がある。一具体例中、アクセス制御は、UE側で実行されるアクセス可能性(たとえば、制御要素)と再試行タイマー(たとえば、規制時間)を含む制御パラメータにより達成される。別の具体例において、アクセス制御は、eNB側で決定される変化したEAB情報により達成される。たとえば、50%のMTCトラフィックが規制される場合、eNB620は、アクセスクラス0−4をまず規制することを決定する。その後でば、eNB620は、アクセスクラス5−9を規制すことを判断して、各アクセスクラスが、同じアクセス配分を有するようにする。ページングチャネル上の予定義タグにより、更新されたEAB情報がUE610に指示される。
【0029】
図7は、本発明の一実施形態による最適化マシンタイプ通信の強化型アクセスバーリング方法のフローチャートである。ステップ701において、ユーザー装置(UE)はモバイルネットワークのアクセスを試行する。装置のタイプとアクセスのタイプに基づいて、NAS層は、EABがUEに適用可能かどうか確認する。ステップ702において、NAS層は、UEがEABを設定するか確認する(たとえば、MTCデバイスタイプがEABを設定する)。設定しない場合、UEは、アクセス試行を実行して、RRC接続を構築する(ステップ705)。設定する場合、NAS層は、さらに、アクセスが、低優先度のアクセスに用いられるか(たとえば、構築要素=遅延耐性アクセス)、または、アクセスが、モバイルオリジネート(Mobile Originated、MO)セッション(たとえば、構築要素=MO−シグナリング、または、MOデータ)か確認する(ステップ703)。これは、移動終端(Mobile Terminated、MT)セッションと比較して、MOセッションが、通常、遅延耐性であるからである。ステップ703で答えが、はい、の場合、UEはアクセス試行を実行して、RRC接続を構築する(ステップ705)。いいえ、の場合、NAS層は、さらに、アクセスが緊急呼び出しであるか、または、UEが特定のアクセスクラス11−15のひとつに属するかを確認する(ステップ704)。なお、特別なアクセスクラスは、以下のように、特定の高優先度ユーザーに割り当てられる:PLMNスタッフのクラス15、緊急サービスのクラス14、公益事業のクラス13、セキュリティサービスのクラス12、および、PLMN使用のクラス11。ステップ704で、答えが、はい、の場合、UEは、EABを受けず、アクセス試行を実行して、RRC接続を構築する(ステップ705)。いいえ、の場合、UEは、EABメカニズム下で、RRC接続にアクセス試行を実行する(ステップ706)。
【0030】
EABメカニズムの下、AS層は、さらに、サービング基地局からブロードキャストされるEAB情報に基づいて、RRCにアクセスするために、UEが規制されるか確認する。EAB情報は、ローミングに関連するEABカテゴリーとアクセスクラスのリストを含む。ステップ707において、UEは、そのEABカテゴリーとアクセスクラスが、EAB情報に基づいて規制されるか確認する。答えが、はい、の場合、このアクセス試行のために、UEのアクセスを規制する。そうでなければ、UEは、通常のACBメカニズム下で、アクセスが規制されるか確認する(ステップ708)。
【0031】
アクセス規制判定(ACB)は、特定のUEからの同時アクセス試行の数を規制するメカニズムである。H2Hアクセスクラス(AC)と比較して、M2Mアクセスクラス(AC)は、異なるアクセス可能性、規制パラメータ、および、再試行タイマーパラメータを適用する。このような工程は、アプリケーションレベル、NASレベル、または、RANレベル(たとえば、RACHアクセスレベル)アクセス分布で実現される。アプリケーションレベルアクセス分配において、サービスのタイプに基づいて、優先アクセスにより、規制が行われる。たとえば、異なるアクセス可能性は、異なるアプリケーションのQoS要求、および/または、遅延耐性レベルに基づく。NASレベルアクセス分配において、規制は、サービスタイプ、MTCサーバ、および、装置ID(たとえば、新しいMTC ID、国際移動体装置識別番号(IMEI)、国際移動体装置加入者識別番号(IMSI)等)に基づいて、アクセス規制、たとえば、優先アクセスにより実現される。RANレベルアクセス分配において、アクセス規制判定メカニズム中、規制は、異なるac-BarringFactorを適用することにより実現される。たとえば、異なる制御要素と再試行タイマーが、MTCデバイスに適用される。EABメカニズムとACBメカニズムを結合することにより、アクセス制御の付加的フレキシブル性が達成される。
【0032】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7