特許第5746470号(P5746470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746470可変周波数航空機搭載冷蔵システムおよびそのコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746470
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】可変周波数航空機搭載冷蔵システムおよびそのコントローラ
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20150618BHJP
   B64D 11/04 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   F25D11/00 101Z
   B64D11/04
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2009-537145(P2009-537145)
(86)(22)【出願日】2007年9月26日
(65)【公表番号】特表2010-514603(P2010-514603A)
(43)【公表日】2010年5月6日
(86)【国際出願番号】US2007020742
(87)【国際公開番号】WO2008063271
(87)【国際公開日】20080529
【審査請求日】2010年8月26日
【審判番号】不服2013-14473(P2013-14473/J1)
【審判請求日】2013年7月26日
(31)【優先権主張番号】11/603,593
(32)【優先日】2006年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】リゾー,リチャード
【合議体】
【審判長】 鳥居 稔
【審判官】 佐々木 正章
【審判官】 紀本 孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−281218(JP,A)
【文献】 特開2006−105407(JP,A)
【文献】 特表2005−532955(JP,A)
【文献】 特表2008−539390(JP,A)
【文献】 特開2006−69457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B64D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変周波数航空機搭載厨房深冷交換式ラインユニット(LRU)であって、
食料品を格納するように構成されるキャビティを含む筐体であって、該筐体に結合されるドアを含み、前記ドアは、前記キャビティを密閉するための閉方向と、前記キャビティ内の食料品を取り出すため、または前記キャビティ内に食料品を置くための開方向との間で移動可能である、筐体と、
前記筐体内に配置され、前記キャビティ内の食料品を深冷する蒸気循環システムであって、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、ブラシレスDC気化器ファンモータ、および前記筐体ならびに前記蒸気循環システムの動作パラメータデータを出力するように構成される複数のセンサを含む、蒸気循環システムと、
前記筐体内に配置され、可変周波数航空機搭載電源からの可変周波数AC入力電圧を前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つに提供される少なくとも1つのDC出力電圧に変換するように構成される電力モジュールであって、前記電力モジュールは電力保護モジュールを備え、前記電力保護モジュールは、
前記可変周波数AC入力電圧の中断、前記可変周波数AC入力電圧の過渡的過電圧、および前記DC出力電圧の不足電圧のうちの少なくとも1つを検出するように構成される電圧センサモジュールと、
前記電圧センサモジュールと通信し、前記可変周波数AC入力電圧および前記DC出力電圧の少なくとも一方を中断するように構成される少なくとも1つのスイッチと
を含む、電力モジュールと、
前記筐体内に配置され、前記ブラシレスDC圧縮器ファンモータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータと通信するモータ制御モジュールと、
前記筐体内に配置され、前記複数のセンサおよび前記モータ制御モジュールと通信する処理モジュールであって、前記動作パラメータデータに従って、前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータを独立して駆動する制御信号を前記モータ制御モジュールに出力する処理モジュールと
を備え、
前記可変周波数航空機搭載厨房深冷LRUは、ユニットとして自給式独立型で交換可能であり、かつ航空機厨房内で作動するように構成され、
前記モータ制御モジュールは、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つに回転子位置信号を出力するように構成されるバックEMFセンサモジュールと、
前記バックEMFセンサモジュールおよび前記処理モジュールと通信し、前記処理モジュールからの前記制御信号および前記回転子位置信号に従ってPWM信号を出力するように構成されるコミュテーションモジュールと、
前記コミュテーションモジュールと通信し、前記PWM信号に従って前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つを駆動するように構成される三相インバータモジュールと
を備える、可変周波数航空機搭載厨房深冷交換式ラインユニット(LRU)。
【請求項2】
前記電力モジュールは、
三相15パルス変圧器と、
15パルス整流器と
を備える、請求項1に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスイッチは、
前記三相15パルス変圧器と可変周波数ACソースとの間に配置される、三相の通常は閉じられるACリレーと、
前記15パルス整流器と前記モータ制御モジュールとの間に配置されるMOSFETと
を備える、請求項2に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項4】
前記三相インバータモジュールは、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つを第1の位相にする第1の切り替え組立体と、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの前記少なくとも1つを第2の位相にする第2の切り替え組立体と、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの前記少なくとも1つを第3の位相にする第3の切り替え組立体と
を備える、請求項1に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項5】
前記第1、第2、および第3の切り替え組立体のそれぞれはIGBTハーフブリッジを含む、請求項4に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項6】
前記モータ制御モジュールは、前記モータ制御モジュールの過熱を防ぐように構成される温度感知モジュールをさらに備える、請求項1に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項7】
前記温度感知モジュールは、前記コミュテーションモジュールと通信するサーミスタを含む、請求項6に記載の可変周波数航空機搭載厨房深冷LRU。
【請求項8】
食料品を格納するように構成されるキャビティ、前記キャビティ内の食料品を深冷する蒸気循環システムを有する筐体を含む可変周波数航空機搭載厨房深冷交換式ラインユニット(LRU)のコントローラであって、前記蒸気循環システムは、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、ブラシレスDC気化器ファンモータ、および前記蒸気循環システムの動作パラメータデータを出力するように構成される複数のセンサを含み、該コントローラは、
前記筐体内に配置され、可変周波数航空機搭載電源からの可変周波数AC入力電圧を前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つに提供される少なくとも1つのDC出力電圧に変換するように構成される電力モジュールであって、前記電力モジュールは電力保護モジュールを備え、前記電力保護モジュールは、
前記可変周波数AC入力電圧の中断、前記可変周波数AC入力電圧の過渡的過電圧、および前記DC出力電圧の不足電圧のうちの少なくとも1つを検出するように構成される電圧センサモジュールと、
前記電圧センサモジュールと通信し、前記可変周波数AC入力電圧および前記DC出力電圧の少なくとも一方を中断するように構成される少なくとも1つのスイッチと
を含む、電力モジュールと、
前記筐体内に配置され、前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータと通信するモータ制御モジュールと、
前記筐体内に配置され、前記複数のセンサおよび前記モータ制御モジュールと通信する処理モジュールであって、前記動作パラメータデータに従って、前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータを独立して駆動する制御信号を前記モータ制御モジュールに出力する処理モジュールと
を備え、
前記可変周波数航空機搭載厨房深冷LRUのコントローラは、前記可変周波数航空機搭載厨房深冷LRUを航空機厨房内で作動する自給式独立型の交換可能なユニットとして制御するように構成され、
前記モータ制御モジュールは、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つに回転子位置信号を出力するように構成されるバックEMFセンサモジュールと、
前記バックEMFセンサモジュールおよび前記処理モジュールと通信し、前記処理モジュールからの前記制御信号および前記回転子位置信号に従ってPWM信号を出力するように構成されるコミュテーションモジュールと、
前記コミュテーションモジュールと通信し、前記PWM信号に従って前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つを駆動するように構成される三相インバータモジュールと
を備える、コントローラ。
【請求項9】
前記電力モジュールは、
三相15パルス変圧器と、
15パルス整流器と
を備える、請求項8に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスイッチは、
前記三相15パルス変圧器と可変周波数ACソースとの間に配置される、三相の通常は閉じられるACリレーと、
前記15パルス整流器と前記モータ制御モジュールとの間に配置されるMOSFETと
を備える、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記三相インバータモジュールは、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの少なくとも1つを第1の位相にする第1の切り替え組立体と、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの前記少なくとも1つを第2の位相にする第2の切り替え組立体と、
前記ブラシレスDC圧縮器モータ、前記ブラシレスDC凝縮器ファンモータ、および前記ブラシレスDC気化器ファンモータのうちの前記少なくとも1つを第3の位相にする第3の切り替え組立体と
を備える、請求項8に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記第1、第2、および第3の切り替え組立体のそれぞれはIGBTハーフブリッジを含む、請求項11に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記モータ制御モジュールは、前記モータ制御モジュールの過熱を防ぐように構成される温度感知モジュールをさらに備える、請求項8に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記温度感知モジュールは、前記コミュテーションモジュールと通信するサーミスタを含む、請求項13に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には冷蔵システムに関し、より詳細には可変周波数航空機搭載冷蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空機搭載冷蔵システムは、通常、交換式冷蔵ラインユニット(LRU)、例えば、食料および飲料等の物品を冷たい状態に保つように構成される深冷機を含む。このような従来の航空機搭載冷蔵システムには、主として冷蔵LRUの構造に起因するいくつかの欠点がある。既知のように、従来の冷蔵LRUは、圧縮器、凝縮器、および気化器の各ユニットを動作させるAC誘導モータを含む。AC誘導モータは、低コストで耐久性があることから多くの用途に使用されるが、その大型なサイズ、重量、および精密な可変制御が困難であることから、航空機搭載用途にはあまり適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、AC誘導モータのフィードバック制御は、通常、モータ筐体内に配置されるホール効果センサ等の電子機械位置センサを使用してなされる。何本かの配線がセンサおよびモータ筐体から延びて、信号をモータコントローラ等に提供する。不利なことに、航空機搭載環境では、センサ配線が、配線ハーネス内で他の電力配線、制御配線、および通信配線と一緒に集められ、配線によって通信される位置センサデータがハーネスのクロストーク、電磁干渉(EMI)等によって破損する恐れがある。さらに、ホール効果センサ等の電気機械位置センサは、摩耗および損傷により時が経つにつれて誤作動または故障しやすい。このようにセンサが誤作動または故障した場合、モータを制御することができず、モータを交換または修理しなければならない。さらに、冷蔵ユニットとの関連において、圧縮器が封止され、冷媒およびオイルを収容しているため、ホール効果センサを圧縮器内で信頼性をもって利用することは難しい。上記に鑑みて、AC誘電モータを利用せず、かつより正確な可変制御が可能な冷蔵LRUを含んだ冷蔵システムは、当該技術分野において重要な改善となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、航空機搭載冷蔵システムが提供される。この冷蔵システムは、周波数が航空機エンジンの速度(すなわち、RPM)に従って変化する可変周波数AC電源によって給電され、このシステムは、食料および飲料を格納するように構成される冷蔵LRUであって、蒸気循環システムを備え、蒸気循環システムは、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、ブラシレスDC気化器モータ、および蒸気循環システムの動作パラメータデータを出力するように構成される複数のセンサを含む、冷蔵LRUと、可変周波数AC入力電圧を少なくとも1つのDC出力電圧に変換するように構成される電力モジュールと、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、およびブラシレスDC気化器モータと通信するモータ制御モジュールと、複数のセンサおよびモータ制御モジュールと通信する処理モジュールとを含み、処理モジュールは、動作パラメータデータに従って制御信号をモータ制御モジュールに出力し、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、およびブラシレスDC気化器モータを独立して駆動する。冷蔵システムの実施形態によっては、冷蔵ユニットコントローラが電力モジュール、モータ制御モジュール、および処理モジュールを含む。
【0005】
別の態様において、食料および飲料を格納するように構成される冷蔵LRUのコントローラが提供され、冷蔵ユニットLRUは蒸気循環システムを含み、蒸気循環システムは、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、ブラシレスDC気化器モータ、および蒸気循環システムの動作パラメータデータを出力するように構成される複数のセンサを有する。このコントローラは、可変周波数AC入力電圧を少なくとも1つのDC出力電圧に変換するように構成される電力モジュールと、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、およびブラシレスDC気化器モータと通信するモータ制御モジュールと、複数のセンサおよびモータ制御モジュールと通信する処理モジュールとを含み、処理モジュールは、動作パラメータデータに従って制御信号をモータ制御モジュールに出力し、ブラシレスDC圧縮器モータ、ブラシレスDC凝縮器モータ、およびブラシレスDC気化器モータを独立して駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】可変周波数航空機搭載冷蔵システムの一実施形態のブロック図である。
図2図1の冷蔵システムの冷蔵LRUの一実施形態例の前面斜視図である。
図3図2の冷蔵LRUを示す略図である。
図4図1の冷蔵システムの処理ユニットの一例を示すブロック図である。
図5図1の冷蔵システムの電力保護モジュールの一例を示すブロック図である。
図6図1の冷蔵システムの電力モジュールの一例を示すブロック図である。
図7図1の冷蔵システムのモータ制御モジュールの一例を示すブロック図である。
図8図7のモータ制御モジュールのインバータモジュールの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
これより図を参照して、可変周波数航空機搭載冷蔵システムおよびそのコントローラを提供する。図1に示すように、例としての可変周波数航空機搭載冷蔵システム10は、コントローラ20と、コントローラ20によって閉ループフィードバック制御様式で動作する交換式冷蔵ラインユニット(LRU)100とを含む。コントローラ20および冷蔵LRU100は、有線接続(例えば、イーサネットケーブル、同軸ケーブル、ツイストペア等)または無線接続(例えば、RF)を介して互いに通信することができる。コントローラ20は、図示されているように、電力モジュール40、モータ制御モジュール60、および処理ユニット80を含む。コントローラ20は冷蔵LRU100とは別個に示されるが、代替としてコントローラ20および冷蔵LRU100を統合または一体化してもよい。さらに、例としてのコントローラ20は、電力モジュール40、モータ制御モジュール60、および処理ユニット80を含むものとして示されるが、図示のコントローラ20の1つまたは複数の部分を冷蔵LRU100と統合または一体化してもよい。例えば、冷蔵LRU100の一実施形態は処理ユニット80を含み得る。
【0008】
冷蔵LRU100は、例えば航空機の厨房内で、飛行中の食料サービスおよび飲料サービスのサポートとして食料品を格納し冷却するように構成される。冷蔵LRU100については図2および図3を参照して以下により詳細に説明するが、図1から理解されるように、冷蔵LRU100は、複数のブラシレスDC(BLDC)モータによって駆動される蒸気循環システムおよび蒸気循環システムと通信する複数のセンサを含む。複数のセンサは、冷蔵LRUの冷蔵または動作状態に関する入力信号を処理ユニット80に提供する。受け取ったセンサ入力信号に関して、処理ユニット80は、スイッチ(例えば、ソレノイド弁)を始動させ、BLDCモータを駆動する制御信号を出力する。
【0009】
図1に示すように、コントローラ20の電力モジュール40は、可変周波数ACソース(例えば、航空機の可変速エンジンと通信する発電機)によって提供される可変周波数AC入力電圧を受け取り、その可変周波数AC入力電圧を1つまたは複数のDC電圧に変換するように構成される。図示の一例としての電力モジュール40は、電磁干渉(EMI)フィルタ42、セーフティリレー44、多相変圧器46、パルス整流器48、第1のDC電源50、第2のDC電源52、および電力スイッチ54を含む。理解されるように、セーフティリレー44および電力スイッチ54は、コントローラ20を過渡的過電圧、電圧中断等のAC電力異常による損傷から保護する電力保護モジュールを提供する。電力保護モジュールについては図5を参照してより詳細に説明する。図示されているように、多相変圧器46およびパルス整流器48は協働して、約360Hzから約800Hzまで変化し得、約208ボルトACの線間(LL)電圧を有し得る可変周波数AC入力電圧を、280ボルトDC母線電圧を含む少なくとも1つのDC電圧に変換する電力変換モジュールを提供する。第1の電源50は、280ボルトDC母線電圧を、処理ユニット80に通電される28ボルトDC分離出力に変圧するように構成される。同様に、第2の電源52は、288ボルトDC母線電圧を、モータ制御モジュール60に通電される15ボルトDCに変圧するように構成される。電力スイッチ54は、電力変換モジュールと第2の電源52との間に配置され、母線電圧中断保護を提供する。理解されるように、モータ制御モジュールは、BLDCモータのバックEMF(BEMF)に対する制御アルゴリズムを利用するため、280ボルトDC母線が外乱を受けたとき、モータBEMF(回転子の位置および/または速度を示す)が誤って解釈されて、制御モジュールが不適正な位相の電圧および電流でBLDCを駆動してしまう恐れがあり、これはモータを損傷させ得ることから、BLDCモータの閉ループフィードバック動作を維持することができない。このため、280ボルトDC母線は、例えば、約1ミリ秒(ms)でオフに切り替わるように動作可能な高電圧金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)であり得る電力スイッチ54によって通電停止される。
【0010】
さらに図1に示すように、電力制御モジュール60は、第1、第2、および第3のモータコミュテーションモジュール62、64、および66を含む。モータコミュテーションモジュール62、64、66は第2の電源52によって通電され、処理ユニット80によって独立して制御される。モータ制御モジュール60は、3つのBLDCモータを独立して駆動するように構成されるインバータモジュールを提供する第1、第2、および第3の三相インバータ68、70、72を含む。さらに、制御モジュール60は、電流感知モジュールを提供し、それによってBLDCモータのフィードバック制御を可能にする第1、第2、および第3のモータBEMF電流センサ74、76、78を含む。図示されているように、第1のインバータ68、第1のBEMF電流感知モジュール74に関して第1のBLDCモータ(例えば、図示の圧縮器モータ)を駆動する第1のコミュテーションモジュール62と通信する。さらに、モータ制御モジュール60は、第2のBEMF電流感知モジュール76に関して第2のBLDCモータ(例えば、図示の凝縮器モータ)を駆動する第2のコミュテーションモジュール64と通信する第2のインバータ70を含む。さらに、モータ制御モジュール60は、第3のBEMF電流感知モジュール78に関して第3のBLDCモータ(例えば、図示の気化器モータ)を駆動する第3のコミュテーションモジュール66と通信する第3のインバータ72を含む。
【0011】
これより図2を参照して、一例としての冷蔵LRU100を提供する。図示されているように、冷蔵LRU100は、筐体110、筐体110に結合され、閉方向と開方向との間を移動するドア120、冷蔵する物品(例えば、食料および飲料)を格納する筐体110内の被絶縁キャビティ130、吸気口140、およびユーザインタフェース150を含む。冷蔵LRU100は、食品および飲料品を被絶縁キャビティ130内の適正格納温度に維持するために空気を冷却する自給式独立型冷蔵庫である。図示されているように、筐体110は、航空機の厨房内への冷蔵LRU100の設置を容易にするように概して小型の矩形多面体形状を有するが、筐体110は、他の車両および場所、例えばバス、電車、バン、住居、およびオフィスに設置するように他の形状で構成されてもよい。ドア120は、例えば、ヒンジにより、内部の物品を取り出せるように被絶縁キャビティ130が露出される開方向(図1に示す)と、被絶縁キャビティ130が密閉される閉方向との間で旋回移動するように筐体110に結合される。冷蔵LRU100は、ドア120または筐体110に構成されて、ドア120を閉じる/ラッチする/ロックするとともに、ドア120を開く/ラッチ解除する/アンロックするための取っ手またはハンドル等(図示せず)を含んでもよい。例えば、航空機の人員が、航空機の離着陸中および乱気流時に、安全のために取っ手またはハンドル等を操作して、ドア120を閉方向に固定することができる。
【0012】
被絶縁キャビティ130は、乗客の食料および飲料を格納するように構成される。例えば、被絶縁キャビティ130は、12本の標準ワインボトルを収容できるように、すなわち図1に示すように、9本を普通に被絶縁キャビティのフロア上にまっすぐに立て、3本を棚132に寝かせて置けるように、約1.0立方フィート(約28.32リットル)の容積を有することができる。棚132は、被絶縁キャビティ130内の物品を支持し整理するために使用できるが、必要なものではない。図示されているように、棚132は、被絶縁キャビティ130内の空気流を遮らないようにワイヤまたはバーのオープンアレイとして構成される。しかし、棚132を別様に、例えば中実平坦部材として構成してもよい。棚132は取り外し可能であり、かつ被絶縁キャビティ130内で再構成可能であってもよい。すなわち、棚132を取り外し、被絶縁キャビティ130内のフロアよりも上の異なる高さに設置し直してもよい。1つの棚132が示されるが、より少数またはより多数の棚を所望に応じて提供してよい。図示されているように、グリル(grill)またはレジスタ(register)134および136が被絶縁キャビティ130の後壁に構成される。ここでは、グリル134が冷却された空気を被絶縁キャビティ130に供給し、グリル136が被絶縁キャビティ130内を通って流れた内部の物品を冷却した空気の帰路を提供する。しかし、当然ながら、グリル134、136は、グリル136が冷却された空気を供給し、グリル134が帰路を提供するように逆に構成されてもよい。周囲温度空気が、筐体110の前面に構成される吸気口140によって受けられる。吸気口140からの周囲温度空気は、詳細に後述する冷却対象の冷蔵システム内に流れ込み、それからグリル134および136を介して被絶縁キャビティ130内を循環する。
【0013】
さらに図1に示すように、冷蔵LRU100はユーザインタフェース150を含む。ユーザインタフェース150は、筐体110の前面の吸気口140付近に構成されて示されるが、別様に構成されてもよい。図示されているように、ユーザインタフェース150は、1つまたは複数のユーザ操作可能なアクチュエータ152、ディスプレイ154、および1つまたは複数のインジケータ156を含む。アクチュエータ152は、冷蔵LRU100の動作を制御/変更し、情報を要求する信号を、例えばコントローラに出力する、ボタン(例えば、スナップドーム)、スイッチ(例えば、マイクロスイッチ)、ダイアル等の当該技術分野において既知の各種装置であってよい。ディスプレイ154は、冷蔵LRU100の動作に関して英数字または他の印を表示する、LCDパネル、LEDアレイ等の当該技術分野において既知の各種装置であってよい。1つまたは複数のインジケータ156は、冷蔵LRU100が適切に動作していない1つまたは複数の視覚的かつ/または可聴的な警告またはアラートを提供することができる。例えば、インジケータ156は、LED等の1つまたは複数の照明および/または音を出力するスピーカまたはブザー等として具現することができる。一実施形態では、1つまたは複数のインジケータ156は、正常動作を示すグリーンの照明、冷蔵庫に故障または障害があることを示すレッドの照明、および内部のキャビティ内の温度が、ユーザによって選択された動作状態および温度設定点と異なることを示すアンバーの照明を含む。ユーザインタフェース150を介して、ユーザは、冷蔵LRU100の動作モード(例えば、深冷庫、冷蔵庫、冷凍庫の各冷蔵状態)を選択し、被絶縁キャビティ130の温度設定点を選択または決定し、冷蔵LRU100または内部の1つまたは複数の各種部品およびサブシステムの現在および過去の動作に関する情報(例えば、動作時間数、霜取り回数、故障回数等)を要求することができる。
【0014】
これより図3を参照して、図2の冷蔵LRU100の蒸気循環システムを説明する。図3に示すように、蒸気循環システム200は筐体110内に配置され、破線で概略的に示される。蒸気循環システム200を通る空気流は大きな矢印で示される。蒸気循環システム200は、各種冷蔵部品および冷蔵部品と通信して、蒸気循環システム200の動作を監視し制御する複数のセンサを含む。図示されているように、蒸気循環システム200の冷蔵部品は、圧縮ユニット210、凝縮ユニット220、気化ユニット230、高圧カットアウトスイッチ240、熱膨張弁250、熱ガス迂回弁260、フィルタ/ドライヤユニット270、および液体ラインソレノイド弁280を含む。図3に示していないが、圧縮ユニット210は、BLDCモータ(図1に示す)を含む。さらに、凝縮ユニット220および気化ユニット230は各々、ファンの羽根を回転させて空気をそれぞれ凝縮器および気化器熱交換器を越えて送るBLDCモータ(図1に示す)を含む。当該技術分野において既知のように、蒸気循環システム200は、LRU100の被絶縁キャビティ130から熱を排除する輸送ループを提供する。
【0015】
動作に際して、冷媒(例えば、HFC−134a、フロン等)が、低温低圧蒸気として圧縮ユニット210に入り、圧縮ユニット210において圧縮され、周囲温度で凝縮されるように高温高圧になる。圧縮ユニット210から、冷媒は凝縮ユニット220に移動し、凝縮ユニット220において、熱が排除され(すなわち、周囲空気が冷却され)、冷媒は凝縮されて高圧の液体になる。熱ガス迂回弁260(例えば、ソレノイド制御弁)が、圧縮ユニット210の冷媒流出口を気化ユニット230の流入口に結合する。液体状態の冷媒は、凝縮ユニット220からフィルタ/ドライヤユニット270を通って移動し、そこでいかなる水分および固体汚染物も冷媒から除去される。次に、冷媒はソレノイド弁280を通過し、ソレノイド弁280は冷媒流を適した速度および圧力に調整する。ソレノイド弁280を出た冷媒は膨張弁250に入り、ユーザによって選択された動作状態および温度設定点に対応する飽和温度まで低下する。膨張弁250は、例えば、内部感知バルブを有するブロック膨張弁であってよい。冷媒は、膨張弁250から、液体と蒸気との混合物として気化ユニット230に入る。冷媒混合物内の液体は、帰路136を介して被絶縁キャビティ130から戻ってくるより温かい空気から熱を吸収し、気化器熱交換器を出るときには完全に気化される。気化ユニット230内で吸収された熱は、凝縮ユニット220のモータ駆動ファンによって排気口(例えば、筐体110の背面に構成される)を介してキャビン周囲空気に排除される。凝縮ユニット220のモータ駆動ファンは、凝縮ユニット220の流入口側に負圧も発生させ、それにより、吸気口140を通して周囲空気を引き込む。このファンによって発生する空気流は、熱を排気口から、例えば厨房内に設けられ得る流出ダクトに運ぶ。
【0016】
上述したように、冷蔵LRU100は、蒸気循環システム200の動作を監視するように構成される複数のセンサを含む。第1の複数のセンサが、システム200の様々な場所で蒸気循環システム200を通る空気流の温度を監視するために提供される。さらに、第2の複数のセンサが、システム200の様々な場所で冷媒の圧力および温度を監視するために提供される。図3に示すように、複数のセンサは温度センサ310、320、330、340、350および圧力センサ360、370を含む。温度センサ310、320、330、340、350のうちの1つまたは複数はサーミスタ、熱電対、または当該技術分野において既知の温度を監視する任意の適した装置であってよい。さらに、圧力センサ360、370のうちの1つまたは複数は、圧力変換器、圧力スイッチ、または当該技術分野において既知の流体圧力を感知する任意の適した装置であってよい。帰路空気温度センサ310は、被絶縁キャビティ130内の帰路グリル136(図2)付近に構成される。供給空気温度センサ320は被絶縁キャビティ130内の供給グリル134(図2)付近に構成される。流入口空気温度センサ330は、吸気口140(図2)付近または凝縮ユニット220の流入口付近に構成されて、システム200に流入する周囲空気の温度を検出する。排気口空気温度センサ340は排気口付近に構成され、蒸気循環システム200から流出する空気の温度を検出する。吸込み温度センサ350は、熱膨張弁250と圧縮ユニット210との間の低圧冷媒の温度を検出するように構成される。吸込み圧力センサ360は、吸込み温度センサ350付近に構成されて、熱膨張弁250と圧縮ユニット210との間の低圧冷媒の圧力を検出する。吐出し圧力センサ370は付近に構成されて、凝縮ユニット220の流出口とフィルタドライヤユニット270との間を流れる冷媒の圧力を検出する。さらに、吐出し圧力センサ370は高圧カットアウトスイッチ240付近に構成することができる。実際に、上述した複数のセンサは別様に構成されてもよく、例えば、より少数または追加の温度センサおよび/または圧力センサを設けてもよく、または複数のセンサを蒸気循環システム200内の他の場所の圧力および/または温度を感知するように配置してもよい。
【0017】
これより図4を参照して、冷蔵LRU100の蒸気循環システム200の動作を制御する、一例としての処理ユニット80を提供する。図4に示すように、処理ユニット80はプロセッサ402を含むことができる。理解されるように、プロセッサ402はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、PLC、FPGA、状態機械等の当該技術分野において既知の各種装置であってよいが、処理ユニット80の実施形態によっては、プロセッサ402が集積回路(IC)マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサであることが有利である。処理ユニット80は、図4においてFreescale Semiconductor, Inc.から入手可能な32ビット33MHz MPC565マイクロコントローラを含んで示されるが、プロセッサ402は、例えば、MC68HC908MR32マイクロコントローラおよび他等の他の適したICであってもよい。プロセッサ402は、複数の入力(例えば、システム200の複数のセンサからの信号およびユーザインタフェース150からのユーザ入力)を処理し、かつ複数の入力に関する複数の、例えば制御出力および情報出力を行うアルゴリズム、ソフトウェア、またはファームウェアを実行する。さらに、コントローラ20の実施形態によっては、プロセッサ402は、複数の入力に従ってイベントの発生を決定し、イベント発生に関する動作パラメータ(例えば、センサ)データを動的に(すなわち、可変または一定ではない間隔またはレートで)ログに記録することができる。
【0018】
処理ユニット80は、プロセッサ402とインタフェースまたは通信する複数のモジュールを含む。図示されているように、複数のモジュールは、電力入力モジュール410、メモリモジュール420、デジタル入力モジュール430、アナログ入力モジュール440、出力モジュール450、第1の通信モジュール460、第2の通信モジュール470、ネットワーク通信モジュール480、および電源入力監視モジュール490を含む。上述したモジュール410〜490はプロセッサ402とは別個のものとして示されるが、モジュールのうちの1つまたは複数は、代替として、プロセッサ402と統合または一体化してもよい。電力入力モジュール410は、DC電力、電力保護、およびEMIフィルタリングをプロセッサ402に提供する。28V DC電力入力411、信号接地入力412、およびDCリターン入力413が電力入力モジュール410とインタフェースする。メモリモジュール420は、データ記憶をプロセッサ402に提供する。図示されているように、メモリモジュール420は512K SRAMであるが、他の種類およびサイズのメモリであってもよい。さらに、メモリモジュール420はプロセッサ402とは別個のものとして示されるが、代替として、プロセッサ402と統合または一体化(すなわち、オンボード)してもよい。
【0019】
デジタル入力モジュール430は、複数のデジタル入力信号を受け取って集計する。図示されているように、デジタル入力モジュール430は、ドアセンサ入力431(図2のドア120が適切に閉められていないことを示す)、高圧スイッチ入力432(図3の高圧カットアウトスイッチ240が高圧状況を検出したことを示す)、低電力5V入力433、低電力28V入力434、低電力2.6V入力435、熱ガス電流存在入力436(電流が図3の熱ガス迂回弁260のソレノイドに供給されていることを示す)、液体ライン電流存在入力437(電流が図3の液体ラインソレノイド弁280のソレノイドに供給されていることを示す)、電力モニタ位相A、B、およびC入力438a、438b、438c(位相損失を示す)のそれぞれ、ならびに母線ピンプログラミング入力439とインタフェースする。アナログ入力モジュール440は、複数のアナログ入力信号を受け取って集計し、アナログ入力信号をプロセッサ402のA/Dコンバータを提供する。あるいは、アナログ入力モジュール440が、プロセッサ402とインタフェースするA/Dコンバータを含んでもよい。図示されているように、アナログ入力モジュール440は、帰路空気温度入力441、供給空気温度入力442、流入口空気温度入力443、排気口空気温度入力444、気化ユニットファンモータ(固定子)温度入力445、圧縮ユニットモータ(固定子)温度入力446、凝縮ユニットファンモータ(固定子)温度入力447、コントローラ基板温度入力404、冷媒吸込み温度入力448、冷媒吐出し圧力入力449a、および冷媒吸込み圧力入力449bとインタフェースする。理解されるように、入力441〜449は一般に、温度センサおよび圧力センサ310〜370(図3)に対応する。
【0020】
図4にさらに示すように、出力モジュール450は、電流保護および温度保護のためにプロセッサ402とシステム200の遠隔部品、例えばリレー、アクチュエータ(例えば、ソレノイドスイッチ)等との間に離散制御インタフェースを提供する。図示されているように、出力モジュール450は、DCリレーイネーブル出力451(モータコントローラへのVDCバーストを可能にする)、熱ガス弁開/閉出力452(図3の熱ガス迂回弁260の状態を制御する)、液体ライン弁開/閉453(図3の液体ライン弁280の状態を制御する)、(圧縮器、凝縮器、気化器)モータコントローラ454のチップ選択(通信するモータ通信制御モジュール62、64、66を選択する)、およびシリアルEEPROM455のチップ選択(履歴ログデータ構造にエントリを書き込む正しいメモリモジュールを選択する)を含むデジタル出力制御信号または離散出力制御信号を提供する。示される第1の通信モジュール460は、非同期シリアル通信を提供するRS232通信インタフェースである。プロセッサ402と外部パーソナルコンピュータ(PC)との通信は、例えば、コントローラ20のプログラミング、蒸気循環システム200の診断、コントローラ20のデバッグ、および蒸気循環システム200の各種モジュールまたはサブシステム(例えば、圧縮ユニット210、凝縮ユニット220、気化ユニット230等)の実施のために、PCインタフェース462によって提供される。さらに、プロセッサ402とディスプレイ(例えば、図2のユーザインタフェース150のディスプレイ154または「ダム」端末)を含むユーザインタフェースとの通信は、例えば、履歴ログデータ構造のデータエントリの表示、温度設定点の変更、1つまたは複数のインジケータ156(図2)の始動等のためにディスプレイインタフェース464によって提供される。示される第2の通信モジュール470は、プロセッサ402(マスタ)と各種(スレーブ)外部装置との通信を提供するシリアル周辺インタフェース(SPI)である。蒸気循環システム200の圧縮ユニットモータ、凝縮ユニットモータ、および気化ユニットモータの動作を制御するモータ制御モジュール60(図1)との制御通信およびフィードバック通信は、モータの速度および/または方向を制御するモータコントローラインタフェース472によって提供される。さらに、プロセッサ402と1つまたは複数の外部メモリモジュール(例えば、3つの32KのEEPROM)との通信は、履歴ログデータ構造のデータエントリの書き込みおよび読み取りを行うインタフェース474によって提供される。
【0021】
例示的な本冷蔵LRU100は電力接続のみを必要とする独立ユニットであるが、コントローラ20は、プロセッサ402が通信バスまたはネットワークを介して他の車両サブシステム、LRU等と通信できるようにネットワーク通信モジュール480を含んでもよい。コントローラ20は、冷蔵LRU100に統合して(例えば、筐体110内に配置されて)もよいが、コントローラ20は、代替として、筐体110外の冷蔵LRU110から離れて構成し、有線リンクまたは無線リンクを介して冷蔵LRU110と通信してもよい。図示されているように、ネットワーク通信モジュール480は、CANプロトコルを使用してプロセッサ402をバスまたはネットワークとインタフェースするように構成されるが、代替として、LIN、J1850、TCP/IP、または当該技術分野において既知の他の通信プロトコルを使用してプロセッサ402をバスまたはネットワークにインタフェースするように構成されてもよい。電源監視モジュール490はプロセッサ402と通信し、コントローラ20および/または冷蔵LRU100の電圧監視、電流監視、および電力監視のうちの1つまたは複数を提供する。
【0022】
これより図5を参照して、電力モジュール40(図1)の電力保護モジュールを説明する。固定周波数航空機搭載電力システムにAC誘電モータを利用する場合、過渡的電圧または電圧中断に対する誘電モータの反応は回転子RPMの瞬間的な低減であるため、過渡的過電圧および電圧中断に耐えることができる。しかし、280ボルトDC母線またはBLDCモータ制御アルゴリズムモータコントローラを実行するプロセッサ402(図4)が瞬間的に中断する場合、回転子の位置およびまたは速度を測定するために処理されるBEMF情報が破損し、モータ制御が失われ、モータが損傷する恐れが生じ得る。このため、電力保護モジュール500は、コントローラ20およびBLDCモータが、両方とも280ボルトDC母線および280ボルトDCからより低い電圧に変換する電源の切り替えを妨害する恐れがあるAC電力異常(例えば、過渡的過電圧および電圧中断)およびDC過/不足電圧から保護されるように提供される。図5に示すように、電力保護モジュール500は、セーフティリレー44およびDC母線電圧センサ520を含む。セーフティリレー44は、可変周波数AC入力電圧を受け取るように構成され、可変周波数AC入力電圧を電力変換モジュール540に転送するために通常は閉じた状態である。図示されているように、電力変換モジュール540は、約360Hzから約800Hzまで変化可能であり、約208ボルトACの線間(LL)電圧を有し得る可変周波数AC入力電圧を280ボルトDC母線電圧に変換する。電力変換モジュール540については図6を参照してより詳細に後述する。
【0023】
過渡的過電圧保護は、過渡的高電圧の可変周波数三相AC電力入力を感知することを含む。所定の電圧閾値を超える過渡的電圧は、過電圧センサ(例えば、リレー44に統合された)によって検出され、それにより、通常は閉じているリレー44が始動する。リレー44が始動すると、可変周波数AC入力電力はコントローラ20から切断され、それにより、システム10は過電圧状況が終了するまで保護される。さらに図示されているように、過電圧抵抗(R−過電圧(R-Over-voltage))および280ボルトDC母線と接地との間に接続されるキャパシタが、DC母線電圧センサ520を280ボルトDC母線にインタフェースする。DC母線電圧センサ520は、DC母線の過電圧および不足電圧を検出し、リレーディセーブル信号をリレー44に提供するように構成される。実施形態によっては、DCバス電圧センサ520は、図示されているように、リレーディセーブル信号をリレー44に通信するオプトアイソレータを含んでもよい。図5に示されていないが、DC母線電圧センサ520は、例えば、DC母線電圧が所定のDC母線低電圧閾値よりも下がった場合に280ボルトDC母線を通電停止する電力スイッチ54(図1)とさらに通信してもよい。示される電力保護モジュール500は例示的なものであり、コントローラ20およびシステム10を電圧および/または電流の過渡現象および/または中断から保護するように別様に構成されてもよい。
【0024】
これより図6を参照して、電力変換モジュール540を説明する。図6に示すように、電力変換モジュール540は、変圧器46、整流器48、第1のDC−DCコンバータ50、および第2のDC−DCコンバータ560を含む。DC電流の高調波歪み/含有量が最小になるように、変圧器46は15パルス多相変圧器として構成され、整流器48は15パルス整流器として構成される。15パルス多相変圧器46は、それぞれ24度(すなわち、360度を15で割ると24度)シフトした15個の個々の位相を生成する。15パルス整流器48は、15個のダイオード整流器ペアを含み、以下の式に従って入力された208ボルトACを280ボルトDCに変換する。
DC電圧=(3xボルトAC(LL)x2の平方根)/Pi
【0025】
上述したように、280ボルトDC(すなわち、母線電圧)はモータ制御モジュール60、具体的にはインバータモジュールに提供され、そこで、3つのモータコミュテーションモジュール62、64、66(図1)がDC母線に並列するように構成される。図6に示すように、DC母線キャパシタ580が整流器48間に設けられて、整流器のリプル電圧を低減し、実質的な瞬間電流をインバータ68、70、72(図1)に供給する。第1のDC−DCコンバータ50は、280ボルトDC母線電圧を28DC電圧に逓減する絶縁型DC−DCコンバータとして構成される。図1図6から理解されるように、第1のDC−DCコンバータ50は、電圧および動作電力を処理ユニット80に提供する。同様に、第2のDC−DCコンバータ560は280ボルトDC母線電圧を15DCボルトに逓減する非絶縁型DC−DCコンバータとして構成される。図1図6から理解されるように、第2のDC−DCコンバータ560は、電圧および動作電力をコミュテーションモジュール62、64、および66に提供する。
【0026】
これより図7および図8を参照すると、モータ制御モジュール60を説明する。図7に示すように、モータ制御モジュール60は、冷蔵LRU100の3つのモータを独立して駆動するように構成されるが、他の状況および用途では、より少数または追加のモータを制御するために利用されてもよい。さらに、モータ制御モジュール60は、センサレス正弦波駆動可変速BLDCモータ制御を圧縮器モータおよび冷蔵LRU100の2つのファンモータに提供する。図示されているように、モータ制御モジュール60は、コミュテーションモジュール62を備える圧縮器モータコントローラ700、モータコミュテーションモジュール64を備える凝縮器モータコントローラ、およびコミュテーションモジュール66を備える気化器モータコントローラを含む。図1から理解されるように、圧縮器モータコントローラ、凝縮器モータコントローラ、および気化器モータコントローラは略同様であるため、モータ制御モジュール60については、簡潔な説明にするために、コミュテーションモジュール62を含む圧縮器モータコントローラ700に関して以下に説明する。
【0027】
図7に示すように、圧縮器モータコントローラ700は、コミュテーションモジュール62、クロック740、インバータ68、電流センサ74、増幅器760、およびA/Dコンバータ780を含む。圧縮器コミュテーションモジュール62は、様々な種類のモータを制御するように構成可能なデジタル集積回路(IC)チップ(例えば、カリフォルニア州エルセグンド(El Segundo)に所在のInternational Rectifierから入手可能なIRMCK203)であってよい。さらに図示されているように、コミュテーションモジュール62は、モータ速度制御アルゴリズム710およびレジスタセット720を含む。モータ速度制御アルゴリズム710は、3つのモータ位相のうちの2つのBEMF値を使用してモータ回転子の位置/速度を決定し、それにより、モータ筐体内のレゾルバ、エンコーダ、ホール効果センサ等の必要性をなくす。センサレスアルゴリズム710は、ハーネスクロストークおよび電磁式モータセンサを使用する場合に発生し得るEMIによるノイズおよび不適正な読み取り等の問題をなくす。
【0028】
BLDCモータの閉ループ速度制御を提供するために、各BLDCモータの回転子の位置は、所定の正確な抵抗値を有する電流感知抵抗(R−BEMF)間のBEMF電圧に関してBEMFセンサモジュールによって決定される。3つのモータレグ位相のうちの少なくとも2つの位相のBEMFを検出するために、2つの抵抗が提供される。モータBEMFは所定のレート、例えば、133MHzでサンプリングされる。これら抵抗両端のBEMF電圧降下は、+/−250mVの範囲内にマッピングされ、線形電流感知IC74に入力される。この線形電流感知IC74は、アナログ電圧をモータコミュテーションモジュール62に適合する130kHz PWM信号に変換する。アルゴリズム710は電流センサ74および処理ユニット80と協働して、モータ力率および効率を最適化する正弦波モータ速度制御を生み出す。このようにして、LRU100のBLDCモータは、約0.9よりも高い力率で動作し、それにより、本システムを、誘電モータおよびバングバング制御アルゴリズムを利用する従来のシステムよりも効率的にする。
【0029】
コミュテーションモジュール62は、処理ユニット80のシリアル周辺インタフェース(SPI I/F)(図4の474)と通信し、BLDC圧縮器モータ(図1)を制御する。理解されるように、処理ユニット80は、モータ制御(例えば、PWM)信号をコミュテーションモジュール62に出力または通信して、BLDC圧縮器モータのオン、オフ、方向反転、速度変更を行う。図示されているように、処理ユニット80は、オプトアイソレータ90を介してコミュテーションモジュール62とインタフェースすることができるが、代替として、当該技術分野において既知の他のインタフェース装置を使用してもよい。クロック740は、圧電結晶発振器、単安定マルチバイブレータ、または適したタイミング/クロック信号をコミュテーションモジュール62に提供する当該技術分野において既知の他の装置であってよい。
【0030】
これより図8を参照して、インバータ68を更に詳細に説明する。図8に示すように、インバータ68は複数の切り替え要素800を備える。6個の切り替え要素800が示されるが、より少数または追加の要素800を提供してもよい。複数の切り替え要素800のそれぞれは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)として示されるが、代替として、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、または当該技術分野において既知の他の適した装置であってもよい。図示されているように、各切り替え要素800はブートストラップダイオードを含み得る。6個の切り替え要素800は3つの群810、820、830に構成され、各群は、ハーフブリッジ組立体として相互接続される2個の切り替え要素800(すなわち、ハイ側切り替え要素およびロー側切り替え要素)を含む。複数の切り替え要素800のそれぞれは、コミュテーションモジュール62から出力される信号によって駆動される。理解されるように、3つの群810、820、830のそれぞれは、コミュテーションを制御するか、または冷蔵LRU100(図1)内のBLDCモータを駆動する3つの位相のうちの1つ(すなわち、位相A、B、およびCのそれぞれ)に対応する。出力ノードが、各群810、820、830の2つの切り替え要素800の間に構成され、BLDCモータの位相に接続される。
【0031】
図示されているように、群810(すなわち、A位相IGBTハーフブリッジ組立体のゲート)は、信号「A−HI」および「A−LO」によって駆動され、PWM出力信号をA位相モータ巻線に提供する。同様に、群820(すなわち、B位相IGBTハーフブリッジ組立体のゲート)は、信号「B−HI」および「B−LO」によって駆動され、PWM出力信号をB位相モータ巻線に提供し、群820(すなわち、C位相IGBTハーフブリッジ組立体のゲート)は、信号「C−HI」および「C−LO」によって駆動され、PWM出力信号をC位相モータ巻線に提供する。このようにして、インバータ68は、正弦波電流を使用してBLDCモータのY字形構成の3つの位相巻線を駆動するように構成され、これは、従来の台形の電流波形と比較してより最適かつ効率的な駆動波形である。インバータ68は、280ボルトDC PWM信号およびモータRPMに依存するおよそ300Hzの正弦波電流波形でモータの3つの位相を発生させる。
【0032】
さらに、図8に示すように、インバータ68は、インバータ68を過熱から保護するか、またはインバータ68の過熱を防ぐように構成される温度センサ850(例えば、示されるようなサーミスタ)を含む。温度センサ850は、処理入力信号を処理ユニット80に提供することができ、処理ユニット80は信号を処理し、インバータ68が過熱されつつあるか否かを判断することができる。その後、処理ユニット80は、インバータ68を一時的かつ/または部分的に通電停止するか、またはファン、能動ヒートシンク等の放熱モジュール(図示せず)を始動させる制御信号を出力することができる。さらに、処理ユニット80は、修理、メンテナンス等の必要性を個人に警告する情報信号または警告信号を出力することができる。さらに、各IGBTハーフブリッジ組立体(すなわち、群810、820、830)は、インバータ68内の過電流状況を検出するために、所定の正確な抵抗値を有する抵抗(R−I)を含む。さらに、再び図7を参照すると、コントローラ700は、増幅器760およびA/Dコンバータ780に接続された、DCバス電圧を監視し、任意の過渡的なDC母線高電圧を検出するための電圧感知抵抗(R−DC母線)を含み得る。
【0033】
冷蔵システムおよびコントローラの動作
冷蔵システム10およびLRU100の動作中、ユーザは、表1に示す7つの所定の動作モードのうちの1つを選択することにより、被絶縁キャビティ130の所望の温度を決定または設定する。ソフトドリンクおよびワイン等の飲料を高速深冷する「高速プルダウンモード」中では、被絶縁キャビティ130を通して空気を高速で移動させるとともに、冷たい空気を各容器の周囲に等しく分散させることが望まれる。理解されるように、本冷蔵システム10は、コントローラ20が複数のBLDCモータのうちの1つまたは複数(例えば、気化ユニット230のBLDCモータ)の速度および方向を独立して制御する(例えば、回転を瞬間的に逆にする)ことにより、温度等化のためにLRU100内の空気流分散を改良するように動作可能である。これにより、例えば、キャビティ130内の物品の上部が冷却プロセス中に容器の底部と同じ温度になることが保証される。この反転可能なファンモータ方向により、被絶縁キャビティ130内の空気を混ぜ、より均等で効率的な冷気分散が可能になる。
【0034】
さらに、本冷蔵システム10では、LRU100内の複数のモータのうちの1つまたは複数の回転方向を逆にすることにより、暖かい空気をある時間期間にわたって気化ユニット230に入れることができ、それにより、標準の(すなわち、加熱する)霜取りサイクルを必要としない霜取りサイクルが可能になる。さらに、標準の(すなわち、加熱する)霜取りサイクルが必要な場合には、気化ユニット230のファンモータを逆にすることにより、より低い消費電力でのより短時間期間の霜取りになる。
【0035】
【表1】
【0036】
コントローラ20は、閉ループフィードバック制御を利用して、気化ユニット230、凝縮ユニット220、および圧縮ユニット210の可変モータ速度を独立して制御することにより、被絶縁キャビティ130内の温度を選択された温度設定点の約+/−2°C以内に維持しようとする。コントローラ20が、被絶縁キャビティ130内の温度を選択された温度設定点の約+/−2°C以内に維持するように蒸気循環システム200を制御することができない場合、コントローラ20は警告またはアラートを始動または提供することができる。例えば、コントローラ20は、1つまたは複数のカラー照明として具現され得る1つまたは複数のインジケータ156(図2)を表2に従って始動させることができる。
【0037】
【表2】
【0038】
圧縮ユニットの制御
コントローラ20は、帰路空気温度センサ310を使用して帰路空気温度を監視し、PID式を使用して圧縮ユニット210のモータ速度を調整する。圧縮ユニット210のモータは、圧縮器モータが40%という最低速度を有するようにコントローラ20によって駆動される。帰路空気温度センサ310が誤作動する場合、コントローラ20は供給空気温度センサ320からのデータを使用して、選択された温度設定点に対応するように空気温度を調整する。以下の表では、100%の圧縮器モータ速度は、例えば、3500RPMであり得る。
【0039】
PID温度制御式は、吐出し圧力センサ370(図3)によって測定される吐出し圧が所定の圧力閾値、例えば、275psiを超える場合、オーバーライドすることができる。この場合、圧縮ユニット210のモータの速度を、感知された吐出し圧力が吐出し圧力閾値を超える量に従い、それに比例して低減することができる。高い突入電流の場合を低減するために、圧縮ユニット210のモータは遅延なしで開始されるか、または1秒の遅延後に開始することができる。例えば、遅延時間は、流入口空気温度センサ330によって感知された周囲空気温度の最下位ビットを使用して処理ユニット80によって疑似乱数的に決定されるべきである。圧縮ユニット210のモータは、最短で30秒の開始間隔を有し得る。冷凍モードまたはプルダウンモードでは、圧縮ユニットモータを開始する前に、毎回、熱ガス迂回弁260(図3)をおよそ5秒間、開くことができる。さらに、冷凍モードまたはプルダウンモードでは、圧縮ユニットモータが開始された後、毎回、熱ガス迂回弁260をおよそ5秒間、閉じることができる。圧縮器がロジックを開始した後、被絶縁キャビティ130(図2)内で感知される温度が設定点温度よりも約5°Fを超えて高い場合、熱ガス迂回弁260を閉じることができる。被絶縁キャビティ130内で感知される温度が設定点温度よりも約3°Fを超えて低い場合、熱ガス迂回弁260が閉じられ得る冷凍モードおよびプルダウンモードの場合を除き、熱ガス迂回弁260を開くことができる。さらに、深冷モードのときのみ、被絶縁キャビティ130内で感知される温度が設定点温度よりも約7°Fを超えて低い場合、液体ライン弁280を閉じることができ、その温度が設定点温度よりも約3°Fを超えて高い場合には開かれるべきである。
【0040】
気化ユニットの制御
気化ユニット230のモータの速度は、表3に従ってコントローラ20によって制御することができる。この表では、100%の気化器速度は、例えば、8500RPMであり得る。気化器230のモータは最短で5秒の開始間隔を有し得る。
【0041】
【表3】
【0042】
凝縮ユニットの制御
凝縮ユニット220のモータの速度は、表4に従ってコントローラ20によって制御することができる。この表では、100%の凝縮器速度は、例えば、8500RPMであり得る。凝縮ユニット220のモータは、圧縮ユニット210のモータが停止した後、2分間にわたってオンの状態を保ち得る。
【0043】
【表4】
【0044】
履歴データログ記録
システム10の実施形態によっては、コントローラ20は、冷蔵LRU100の動作に関して故障、誤作動、ヒューマンエラー等を診断する際に検索して使用するために、センサデータおよび他の入力を履歴ログデータ構造に書き込むことができる。履歴ログデータ構造の一例は、コントローラ20によって冷蔵LRU100の初期化/電源投入時にその都度書き込まれるヘッダを含むことができる。表5に示すように、ヘッダは、ハードウェアおよびソフトウェアのバージョン、冷蔵LRU100の累計ステータス等の一般的な識別を提供することができる。
【0045】
【表5】
【0046】
さらに、表6に示すように、各データエントリは、蒸気循環システム200の複数のセンサからのデータを含む。したがって、コントローラ20によって履歴ログデータ構造に書き込まれる各データエントリは、実際の問題(例えば、故障、ハードウェア故障等)とユーザエラーによって発生する問題とを区別するのを助けるため、冷蔵LRU100のある瞬間の動作を示す情報を含む。
【0047】
【表6】
【0048】
実施形態によっては、コントローラ20は、データログ記録を少なくとも2つのログ記録モード間で動的に変更するように動作可能であり得る。すなわち、コントローラ20がデータエントリを履歴ログデータ構造に書き込む頻度、間隔、またはレートは、例えば、不定期な動作をデバッグし診断するために、冷蔵LRU100の動作データおよびパラメータを適宜取り込むように変更することができる。一例では、コントローラ20は、1)通常動作中に3分毎に通常データログ記録モードで、2)冷却動作を実行してない間(シャットダウン後を含め)、15分毎にスタンバイデータログ記録モードで、3)警告イベントが検出されている間、1分毎に警告データログ記録モードで、4)情報イベントの発生と略同時にその情報イベントをログ記録する情報データログ記録モードで、および5)故障イベントの発生と略同時にその故障イベントをログ記録する故障データログ記録モードでデータエントリをデータ構造に書き込むことができる。さらに、実施形態によっては、コントローラ20は、エントリの「循環」リストを使用して最も古いデータエントリが新しいデータエントリで上書きされるロールオーバアルゴリズムを実施することができる。イベント(警告イベント、故障イベント、および情報イベント)の発生の決定は、受け取られる複数の入力(すなわち、センサデータ入力およびユーザ入力)に関してコントローラ20によって実行される。
【0049】
出版物、特許出願、および特許を含む本明細書において引用されたすべての参照文献は、各参照文献が個々にかつ明確に参照により援用されると示されかつその全体が本明細書に記載されているかのような程度と同じ程度まで、参照により本明細書に援用される。
【0050】
本発明を説明する文脈の中(特に以下の特許請求の範囲の文脈の中)での数の指定がない名詞並びに同様の指示対象の使用は、本明細書において別記されない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書における範囲の詳述は単に、本明細書において別記されない限り、範囲内にある別個の各値を個々に参照することの省略表現としての役割を果たすことが意図され、別個の各値は、まるで本明細書に個々に記されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書において説明したすべての方法は、本明細書において別記されない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で実行することが可能である。本明細書において提供される任意およびすべての例または例示的な言葉(例えば、「等」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図され、別様に特許請求されない限り、本発明の範囲に対して制限を課さない。本明細書内の言葉は、特許請求されないあらゆる要素を本発明の実施に必須であるとして示さないものと解釈されるべきである。
【0051】
発明者等に知られている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が本明細書に説明されている。示された実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8